説明

広告具

【課題】ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用して成る広告具を提供する。
【解決手段】広告媒体Q1、Q2、Q3に太陽電池モジュール2を組み込んで成り、さらに具体的には、広告媒体Q1、Q2、Q3の任意の被着面に貼着可能としたラッピングシート状の広告具本体1に、フィルム型に形成された太陽電池モジュール2を貼着して成るものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルの看板、ネオンサイン、ビルの壁面広告、電車・バス・タクシー等の車両広告、旅客機・飛行船等の飛翔体広告、その他あらゆる広告媒体に使用可能な広告具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギといわれる太陽電池を使用した屋根設置型または地上設置型等の太陽光発電によるソーラーシステムが注目されてきている。すなわち、このソーラーシステムは、太陽電池パネルを太陽の方向に向けることで太陽エネルギを受光し、当該太陽電池パネルから得られる直流を交流に変換するインバータ(DC/AC変換装置)を設けることにより電力が得られるように構成されている。
【0003】
また、近年では、例えば電車・バス・タクシー等を広告媒体として利用し、これらの車両用広告具として、宣伝広告用のグラフィックスをプリントしたフィルムをこれら車両のボディーに貼着する所謂ラッピング車両なるものが普及されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用させて成る広告具なるものは未だ存在していなかった。例えば、電車・バス・タクシー等の広告媒体に、宣伝広告用のグラフィックスをプリントしたフィルムを貼着する所謂ラッピング車両であってさえも、これらにソーラーシステム機能を持たせたものは未だに存在していないのが実状である。
【0006】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用させて成る広告具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、広告媒体に太陽電池モジュールを組み込んで成ることを特徴とする。
【0008】
太陽電池モジュールは、フィルム型に形成されて成る。
【0009】
広告媒体の任意の被着面に貼着可能としたラッピングシート状の広告具本体に、フィルム型に形成された太陽電池モジュールを貼着して成ることを特徴とする。
【0010】
広告具本体は、塩化ビニルまたは非塩ビ系のフィルムの表面に、広告対象となるグラフィックスデザインによる画像が印刷され、その印刷された表面は、フッ素系のラミネートフィルムでもって被覆保護されて成る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広告媒体に太陽電池モジュールを組み込んで成るので、ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用させて成る広告具を提供することができる。
【0012】
太陽電池モジュールは、フィルム型に形成されて成るので、種々の形態の広告媒体に容易に付設することができる。
【0013】
広告媒体の任意の被着面に貼着可能としたラッピングシート状の広告具本体に、フィルム型に形成された太陽電池モジュールを貼着して成るので、ソーラーシステム機能と広告機能とを同時に併用させて成るラッピングシート状の広告具を容易且つ安価に作成することができる。また、軽くて湾曲柔軟性のあるフィルム型の太陽電池モジュールを使用することから、広告具本体と共に種々の広告媒体に容易に付設することができる。
【0014】
広告具本体は、塩化ビニルまたは非塩ビ系のフィルムの表面に、広告対象となるグラフィックスデザインによる画像が印刷され、その印刷された表面は、フッ素系のラミネートフィルムでもって被覆保護されて成るので、耐候性と施工容易性に加えて、ビジュアル感覚の優れた広告具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施するための製造の一形態を示す工程図である。
【図2】同じく広告具本体にフィルム型の太陽電池モジュールを組み込んだ一部省略斜視図である。
【図3】同じくフィルム型の太陽電池モジュールを組み込んだ広告具本体の使用の一例を示した斜視図である。
【図4】同じく使用の他例を示した斜視図である。
【図5】同じく使用の更に他例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明する。
本発明に係る広告具は、図3乃至図5に示すような例えばバス・電車・ビル等の地球上のいたる所に存在するものを広告媒体Q1、Q2、Q3とし、これら広告媒体Q1、Q2、Q3にソーラーシステムを組み込んで成るものであり、太陽光を受けてソーラーシステムが稼働することと、広告機能が昼夜を問わず働くように構成されている。
【0017】
すなわち、図1に示すように、広告媒体Q1、Q2、Q3に貼着される広告具本体1に厚さ1mm以下の柔軟性シート材によるフィルム型の太陽電池モジュール2を組み込み、当該太陽電池モジュール2から得られる直流を交流に変換する後述するインバータ(DC/AC変換装置)21を設けることにより、広告一体型の太陽光発電ソーラーシステムを構成している。
【0018】
この広告媒体Q1、Q2、Q3としては、例えばビルQ3(図5参照)の壁面広告・看板・出入口・ガラス窓、ネオンサイン、広告塔、電車Q2(図4参照)・バスQ3(図3参照)・タクシー等の車両広告、旅客機・飛行船等の飛翔体広告、船舶広告、その他あらゆる広告媒体が挙げられる。
【0019】
広告具本体1の作成には、図1に示すように、画像編集12からデータ計算13、出力(プリントアウト)14、転写・ラミネート15による加工までの一連の工程を実現したスコッチプリント(商標名)グラフィックスシステムの技術が使用される。このシステムには、高速、高解像度RIP(Raster Image Processorの略:電子的システムで処理・編集されたデジタル信号をラスタ方式の出力装置で出力するための画像データ変換装置・ソフトウェア)を搭載している。
【0020】
画像編集12では、例えばCD−R・MO・MOディスク等に記憶されている画像データ、またはスキャナーで読み取った画像の編集を行う。すなわち、ビジュアル再現性に優れたCGシステムの下で、広告宣伝の対象となる写真や絵画・イラスト等のフルカラー原稿をスキャナーを使って自在に入力編集し、画像データを高速処理(データ計算13)する。そして、大型静電プリンターにより耐候性・発色性の高い3M専用トナーとマテリアルでプリントアウト14する。このプリントアウト14された画像データを広告具本体1に転写・ラミネート15する。
【0021】
このとき広告具本体1の素材には塩化ビニルの他に例えば非塩ビ系のフィルムが使用され、この素材の表面には広告対象となる種々のグラフィックスデザインによる画像が例えばインクジェット等によって印刷(転写)される。さらに、その印刷された表面は、例えばフッ素系のラミネートフィルムでもって被覆し保護される。
【0022】
広告具本体1の具体的な構成としては、図2における一方の円内の拡大された断面図に示すように、上記グラフィックスシステムによって非塩ビ系のフィルム層の表面に印刷が施され、裏面には不図示の剥離紙を付けた粘着層が施されて成るレセプターフィルム16と、該レセプターフィルム16の印刷面を保護するためのフッ素系のフィルム層の裏面に粘着層を施して成るオーバーラミネートフィルム17とから構成されている。そして、この広告具本体1は、広告媒体Q1、Q2、Q3に貼着された際には、ワンウェイビジョンすなわち外部からは印刷による絵柄が見えて、中からは外の景色が見えるようになっている。
【0023】
一方、フィルム型太陽電池モジュール2は、アモルファスシリコン(a-Si)太陽電池を用いたトップセル層28と、アモルファスシリコンゲルマニウム(a-SiGe)太陽電池を用いたボトムセル層27との二層構造(タンデム)となっており、このように光の吸収特性の異なる2つの太陽電池層を重ねることで、幅広い波長に対しての収集効率を高めている。
【0024】
すなわち、フィルム型の太陽電池モジュール2の薄膜内部構造は、図2における他方の円内の拡大された断面図に示すように、背面金属電極と表面金属電極とを施したフィルム基板26の表面金属電極側に、アモルファスシリコンゲルマニウム(a-SiGe)太陽電池を用いたボトムセル層27のn型(電子)層が接合され、該ボトムセル層27のp型(正孔)層には、アモルファスシリコン(a-Si)太陽電池を用いたトップセル層28のn型(電子)層が接合され、該トップセル層28のp型(正孔)層には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電膜を使用した透明電極29が接合されている。
【0025】
このような光電変換機能を有する半導体層の製膜としては、フィルムをカメラのようにコマ送りしながら、順次半導体層や電極層を積層してゆく所謂ステッピングロール方式を採用している。また、近年のSCAF(Series-Connection through Aperture Formed on Film Substrate)構造と呼ぶ直列接続構造の開発により、スルーホール構造による集積型の直列接続を製造プロセスで作り込むことで高いモジュール電圧を実現している。
【0026】
こうして作成されたフィルム型の太陽電池モジュール2には、インバータ(DC/AC変換装置)21を介して分電盤22に接続され、そこから蓄電力の一部が証明・表示灯・非常用電源等の使用機器23に費やされ、余った蓄電力は、売買電用のメータ24を介して電力会社系統25に買い取られる仕組みとなっている。
【0027】
上記した広告具本体1は、レセプターフィルム16の粘着層から不図示の剥離紙を剥がして太陽電池モジュール2の透明電極29側に貼着されて一体化される。これにより、広告具本体1単体でもって広告機能とクリーンエネルギーの同時確保が可能になっている。
【0028】
尚、上記した広告具本体1を、ソーラーシステム化されている広告媒体Q1、Q2、Q3に貼付たり、あるいは既存の広告塔に貼付たり、さらには広告具本体1のスコッチプリント(商標名)そのものを改良してフィルム型の太陽電池モジュール2としたりする等、種々の応用が可能である。例えば、レセプターフィルム16自体を太陽電池モジュール2の透明電極29に加工する等の応用作成技術も可能である。
【0029】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明する。
図3に示すように、広告具本体1はバスQ1のボディー壁面に貼着される(所謂ラッピングバス)。このとき、広告具本体1はフィルム型の太陽電池モジュール2と一体化されているため、バスQ1を広告媒体とした広告具本体1自体の広告機能と、太陽電池モジュール2によるクリーンエネルギーの同時確保が可能となる。尚、バスQ1の窓ガラス部分にもこのような広告具本体1を貼着しても良い。
【0030】
また、図4に示すように、広告具本体1は電車Q2のボディー壁面に貼着される(所謂ラッピング電車)。このとき、広告具本体1はフィルム型の太陽電池モジュール2と一体化されているため、電車Q2を広告媒体とした広告具本体1自体の広告機能と、太陽電池モジュール2によるクリーンエネルギーの同時確保が可能となる。尚、電車Q2の窓ガラス部分にもこのような広告具本体1を貼着しても良い。
【0031】
さらに、図5に示すように、広告具本体1はビルQ3の壁面・屋上の看板・出入口・ガラス窓等に貼着される(所謂ラッピングビル)。このとき、広告具本体1はフィルム型の太陽電池モジュール2と一体化されているため、ビルQ3を広告媒体とした広告具本体1自体の広告機能と、太陽電池モジュール2によるクリーンエネルギーの同時確保が可能となる。しかも、ビルQ3のウィンドウスペースを表情豊かにデコレーションすることにも効果がある。尚、ビルQ3の窓や壁面等に付設されている大面積パネル構造の高画質液晶画面にもこのような広告具本体1を組み込んでも良い。
【0032】
この他、上記太陽電池モジュール2と一体化されている広告具本体1を、ブラインド・ロールスクリーンに貼着したり、あるいは広告具本体1自体を携帯ソーラーとして活用させたり、さらには、ウィンドウディスプレイ、シャッター、仮囲い、タペストリー・フロア、路面標識等のあらゆるビジュアルコミュニケーションに利用する等、幅広い応用も可能である。
【0033】
太陽電池モジュール2に蓄電された電力は、インバータ(DC/AC変換装置)21から分電盤22を介して当該蓄電力の一部が証明・表示灯・非常用電源等の使用機器23に費やされ、余った蓄電力は、売買電用のメータ24を介して電力会社系統25に買い取られる。
【符号の説明】
【0034】
Q1、Q2、Q3 広告媒体
1 広告具本体
2 太陽電池モジュール
11 スキャナー
12 画像編集
13 データ計算
14 出力(プリントアウト)
15 転写・ラミネート
16 レセプターフィルム
17 オーバーラミネートフィルム
21 インバータ(DC/AC変換装置)
22 分電盤
23 使用機器
24 売買電用のメータ
25 電力会社系統
26 フィルム基板
27 ボトムセル層
28 トップセル層
29 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告媒体に太陽電池モジュールを組み込んで成ることを特徴とする広告具。
【請求項2】
太陽電池モジュールは、フィルム型に形成されて成る請求項1記載の広告具。
【請求項3】
広告媒体の任意の被着面に貼着可能としたラッピングシート状の広告具本体に、フィルム型に形成された太陽電池モジュールを貼着して成ることを特徴とする広告具。
【請求項4】
広告具本体は、塩化ビニルまたは非塩ビ系のフィルムの表面に、広告対象となるグラフィックスデザインによる画像が印刷され、その印刷された表面は、フッ素系のラミネートフィルムでもって被覆保護されて成る請求項3記載の広告具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−70065(P2011−70065A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222275(P2009−222275)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(509269827)株式会社インフィニティ (1)
【Fターム(参考)】