説明

広告音声映像配信システム及び情報通信端末用アプリケーションソフトウェア

【課題】
スマートフォン等に代表される情報通信端末による通話の発信・着信時において、通話接続が確立される前後の僅かな時間に、ユーザに呼出音広告や着信映像広告を視聴させ、広告主の所望するセグメントのユーザに対して有効な広告を行える費用対効果の高い広告手段としての広告音声映像配信システムを提供する。
【解決手段】
ターゲットとするユーザへの配信条件を付加した音声又は映像からなる広告データから、個々のユーザの個人情報に適合する広告データをランダムに複数選択して広告データセットを生成し、該広告データセットを予めアプリケーションソフトウェアをインストールしたユーザの情報通信端末に所定時間ごとに配信して更新させ、ユーザの通話発信時には呼出音広告を発音させ、通話受信時には発信者情報表示画面に映像広告を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の情報通信端末への広告配信技術に関し、特に、ディスプレイ画面を有しインターネット通信が可能な情報通信端末に、音声又は映像あるいはその両方から成る広告データを配信して記憶させ、該情報通信端末のユーザが第三者に通話を発信した際には、相手方情報通信端末が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、CMソング等の音声広告データを呼出音の代わりに、あるいは呼出音に重ねて発音させ(以下、「呼出音広告」と記す。)、一方、通話が着信した際には、発信者情報表示画面に映像広告データを表示させる(以下、「着信映像広告」と記す。)ことで、情報通信端末による通話の機会を通じてユーザに広告を視聴させて広告効果を得るためのシステムに関する。なお、かかる情報通信端末としては、通信に3G、Wi−Fi、携帯電話通信回線等を利用し、各種オペレーションシステムをプラットフォームとして搭載した「スマートフォン」と称される多機能携帯電話を想定するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、同様の通信機能、音声映像出力機能を有するコンピュータあるいはインターネットテレビ等も含むものとする。また、前記映像広告データにおける「映像」とは、動画だけでなく、単一の静止画像、あるいは複数の静止画像から成るいわゆるデジタルサイネーション等をも含むものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、特に携帯電話機等の情報通信端末による通話サービスにおいては、携帯電話サービス会社(以下、「キャリア」と記す。)が、発信者端末からの発信を受けて受信者端末を呼び出す間に、発信者端末に送信する呼出音とともに、通話を受ける受信者が予め選択して設定した特定の音楽等を配信する呼出音楽システムが導入されている。こうした呼出音楽システムとしては「メロディーコール(登録商標)」や「待ちうた(登録商標)」などが知られており、一般的には発信者端末から聞こえる呼出音に重ねて音楽が流れる。
【0003】
かかる呼出音楽システムは、キャリアのサーバが提供する登録型ネットワークサービスであり、受信者は受信者端末からキャリアにインターネット等のネットワークを介してアクセスして契約手続を行い、キャリア側のサーバ上に予め用意された音楽の中から所望のものを選択して設定する。
【0004】
近年では、例えば特許文献1(特開2009−213100号公報)に示されるように、単なる音楽ではなく、企業の広告CMソング等の楽曲や、楽曲に音声広告を重ねた広告音響を配信する呼出音広告も提案されている。図1は、このような呼出音広告のシステム構成を示す概念図である。
【特許文献1】特開2009−213100号公報
【0005】
ただ、呼出音楽システムの呼出音広告への利用は、発信者に対して呼出音広告を強制的に聴かせるものであるため、広告を聴きたくない発信者には必ずしも歓迎されない場合がある。しかし、呼出音広告の視聴を事前に了承した発信者側の情報通信端末に予め広告データを配信して記憶させておき、発信者が第三者に通話を発信した際に、相手方が応答するまでの呼出中に記憶させた広告データを聴かせるのであれば問題はない。
【0006】
また、呼出音楽システムを利用した呼出音広告は、キャリアのサーバから提供される登録型ネットワークサービスであるため、異なるキャリアを利用する情報通信端末からの発信に対しては呼出音広告を配信できない場合があるほか、誰にどんな広告が配信されるかは着信側の情報通信端末のユーザの選択設定次第となる。そのため、広告主にとっては自己の広告のターゲットとなるセグメント、すなわち自己の広告に反応する可能性の高いユーザ層に的を絞って聴かせることは困難であり、必ずしも費用対効果の高い広告手段となり得なかった。
【0007】
この点についても、特定のセグメントのユーザの情報通信端末に、当該ユーザの属性や嗜好に適合性の高い広告データのみを予め配信して聴かせることができれば高い広告効果が期待できる。ただ、情報通信端末、特にスマートフォン等では、メモリの容量の制約から予め大量の広告データを配信して記憶させておくことは困難である。かといって、限られた広告データのみを通話発信の都度繰り返し聴かされればユーザは飽きてしまい、広告上も逆効果となるおそれが大きい。
【0008】
また、呼出音広告はユーザの通話発信時に広告データを聴かせるものであるが、逆に、通話着信時に情報通信端末のディスプレイ上に表示される発信者情報表示画面に映像又は画像の広告を表示できれば、これも広告媒体として活用できる。しかし、かかる映像又は画像の広告データは音声広告データ以上の情報量を有するため、やはりメモリ容量の制約から、予め大量の広告データを配信して記憶させておくことには制約がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の困難や制約を解決し、広告主にはより費用対効果の高い広告手段を提供するとともに、ユーザにも一定の利益を還元することで普及・定着しやすい広告配信システムを提供することを課題とする。すなわち、スマートフォン等の情報通信端末にそのユーザのセグメントに適合した呼出音広告・着信映像広告のデータを予め配信して記憶させておき、当該情報通信端末からの通話発信時には呼出音広告を発音させ、通話受信時には着信映像広告を表示させるシステムであって、情報通信端末のメモリ容量の制約下でも多数の広告データを適宜差替えて更新することを可能とする、広告音声映像配信システム及び情報通信端末用アプリケーションソフトウェアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載した広告音声映像配信システムは、情報通信端末と、広告主端末と、これら端末とネットワークを介して接続された管理装置とからなる広告音声映像配信システムであって、前記管理装置は、広告管理サーバと、広告配信サーバと、報酬管理サーバと、広告データベースと、個人情報データベースとを備え、前記広告管理サーバは、前記広告主端末から送信された音声又は映像あるいはその両方から成る広告データ、配信条件データ、広告料データとを受信した上で、前記広告データに前記配信条件データ及び前記広告料データを付加して前記広告データベースに記憶し、前記広告配信サーバは、所定時間ごとに、予め前記情報通信端末から受信して前記個人情報データベースに記憶された前記情報通信端末のユーザの個人情報データを参照し、個々のユーザごとに、該ユーザの個人情報データに適合する配信条件データが付加された前記広告データのみを前記広告データベースから所定数選択して生成した広告データセットを該ユーザの情報通信端末に配信し、前記情報通信端末は、配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、広告データセットに音声広告データが含まれる場合に、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を発信した際には、相手方情報通信端末が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して呼出音の代わりに又は呼出音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合に、相手方情報通信端末からの音声通話が着信した際には、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して発信者情報表示画面に表示させることを特徴とする。
【0011】
本発明では、管理装置から情報通信端末に配信されるのは所定数の音声広告データと映像広告データ(以下、特記しない限りこれらを「広告データ」と記す。)とからなる広告データセットである。一つの広告データセットの合計データ量は、一般的なスマートフォン等のメモリを過度に圧迫しない程度とし、今後の情報通信端末のメモリ容量の拡大に応じて適宜前記広告データの所定数合計を増加可能とする。
【0012】
管理装置は、所定時間、例えば15分ごとに広告配信サーバが生成した新たな広告データセットを情報通信端末に配信し、情報通信端末は新たな広告データセットにより前回配信済みの古い広告データセットを更新する。この際、後述の通り、広告配信サーバは、情報通信端末ごとにそのユーザのセグメントに適合する広告データのみを広告データベースからランダムに選択して広告データセットを生成するため、特定のユーザの情報通信端末には当該ユーザのセグメントに適合する広告データのみからなる広告データセットが配信され、しかも、広告データの構成は、例えば15分ごとにランダムに変更される。
【0013】
広告配信サーバが、ユーザのセグメントに適合する広告データのみを広告データベースから選択して広告データセットを生成する工程は次の通りである。
【0014】
すなわち、本発明に係る広告音声映像配信システムを導入するユーザは、予め自己の情報通信端末からインターネットを介して管理装置にアクセスし、管理装置が提供する情報通信端末用アプリケーションプログラムをダウンロードして自己の情報通信端末にインストールする。その際、ユーザは、アクセス画面に表示されるインターフェイスを通じて自己の個人情報を管理装置に送信し、管理装置は当該個人情報を個人情報データベースに登録する。かかる個人情報としては、例えばユーザの氏名(実名)、性別、生年月日、現住所を必須情報とし、それ以外に任意情報として、職業(学生の場合学校の分類)、家族構成、勤務又は就学先の住所(市区町村レベルで可)、趣味、関心の高いジャンル等である。必須情報は、後述する広告データ視聴の報酬をユーザに提供する際の本人確認のために必要な情報となる。
【0015】
一方、広告主は、予め本発明に係る広告音声映像配信システムに出稿したい広告データを制作した上で、広告主端末からインターネットを介して管理装置にアクセスし、広告管理サーバが提供するインターフェイスを通じて広告データをアップロードする。その際、広告主は、広告データごとに配信条件データ、すなわち当該広告データを主として配信したいユーザの性別、年齢、職業、趣味、関心の高いジャンル、居住地、就業又は就学地等の情報に優先順位を付してインターフェイスに入力し、広告管理サーバに送信する。さらに、広告主は、当該広告データについて支払い可能な広告料の上限額を設定した広告料データを併せて広告管理サーバに送信するとともに、別途当該上限額を管理装置の運営者に対して支払う。かかる支払は広告出稿時に前払いした場合はいわゆる「デポジット」となるが、必ずしも前払いに限られるものではない。広告管理サーバは、アップロードされた広告データに、前記の配信条件データ及び広告料データを付加して広告データベースに記憶する。
【0016】
広告配信サーバは、所定時間、例えば15分ごとに、個人情報データベースと広告データベースを参照し、個々のユーザごとにその個人情報に適合する配信条件データが付加された広告データを所定数、広告データべースからランダムに選択して広告データセットを生成する。その際、広告配信サーバは、まず、すべての配信条件データにおいて個人情報に適合する広告データを優先的に候補とし、それが存在しない場合は、前記優先順位の高い配信条件が適合する広告データから順に候補とし、候補数が所定数を上回る場合は、例えば乱数表によりランダムに所定数を選択して広告データセットを生成する。生成された広告データセットは広告配信サーバ内にユーザごとに一時保持され、情報通信端末からの配信要求を待つ。
【0017】
情報通信端末が、所定時間ごとにインターネットを介して管理装置に対して広告データセットの配信要求を送信すると、これを受信した管理装置は情報通信端末を認証してユーザを特定し、広告配信サーバは、該当するユーザの情報通信端末にその時点で保持していた最新の広告データセットを配信する。情報通信端末は、配信された広告データセットにより、記憶している前回の広告データセットを上書きして記憶し、通話の発信又は受信を待つ。
【0018】
なお、多数のユーザが登録されている場合であっても、広告配信サーバによる広告データセットの生成と情報通信端末への配信は必ずしも同時に行う必要はない。広告配信サーバは、個々のユーザごとに広告データセットの生成と配信のサイクルに時間差を設けて順次処理を繰り返すことにより、広告配信サーバへの負荷の集中を避けることができる。それでも負荷が集中する場合には、一時的に処理サイクルの時間を遅らせることを可能として負荷の分散を図るものとする。
【0019】
ユーザが、情報通信端末から第三者に通話発信を行うと、情報通信端末は記憶している広告データセット内の音声広告データのうちの一つを選択し、相手方が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、呼出音の代わりに、あるいは呼出音に重ねて発音させる。この際、発音させるべき広告データは、情報通信端末がランダムに選択するが、次回発信の際に同じ音声広告データが連続して発音されないよう、一度発音された音声広告データは広告データセットが更新されるまでは、選択の際に優先度を下げるよう設定することが望ましい。
【0020】
一方、ユーザの情報通信端末に第三者からの通話着信があった場合、情報通信端末は記憶している広告データセット内の映像広告データのうちの一つを選択し、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、発信者情報表示画面に表示させる。この際、音声広告データの選択と同様に、一度表示された映像広告データは広告データセットが更新されるまでは、選択の際に優先度を下げるよう設定することが望ましい。
【0021】
次に、請求項2に記載した広告音声映像配信システムは、請求項1に記載の広告音声映像配信システムであって、前記情報通信端末が、発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記管理装置に送信し、前記管理装置は、受信した広告履歴データを広告履歴ログに記憶するとともに、前記広告管理サーバに通知し、前記広告管理サーバは、前記広告データベース内の該当する広告データに付加された前記広告料データの広告料の残額を更新し、前記広告配信サーバは、前記広告データセット生成のための広告データの選択に当たり、個々の広告データの前記広告料の残高がなくなった時点で当該広告データを選択対象から除外することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る広告音声映像配信システムは、広告主から徴収する広告料をその運営の原資とするものであるが、広告主にとって広告料の料金体系は、自らが出稿した広告データが確実に当該広告のターゲットであるセグメントに属するユーザに視聴された場合にのみ広告料が発生する、いわゆる「成功報酬型」であることが望ましい。一方、システム運営者側にとっては、広告データが視聴されて実際に広告料が発生する都度広告主にそれを請求するのでは事務的に煩雑であり、システムの運営コストも高くなる。そのため、本広告音声映像配信システムにおいては、予め広告主が出稿した広告データごとに支払可能な広告料の上限を定めて前払い(デポジット)しておき、広告料が発生する都度自動的にデポジット金額を減少させ、残高がなくなった時点で当該広告データの配信を停止するという処理が好適である。
【0023】
そこで、情報通信端末は、広告データを発音又は表示させる都度、当該広告データを特定する広告履歴データを生成し、インターネットを介して管理装置に送信し、管理装置は、受信した広告履歴データを広告履歴ログに記録する。
【0024】
広告管理サーバは、所定時間毎に広告履歴ログを参照し、新たな広告履歴データを検出した場合、視聴された広告データを特定し、広告データベース内の個々の広告データに視聴履歴を追加するとともに広告料データの残高を減額して更新する。更新の結果残高がなくなった場合、広告配信サーバが次回の広告データセット生成のために広告データを選択する際に、当該広告データは選択対象から除外される。
【0025】
以降、残高がなくなった広告データは選択されず、情報通信端末に配信されなくなるが、広告主が当該広告データにつき追加の広告料を支払い、広告管理サーバが当該広告データに付加された広告料データの残高を復活させた場合は、次回の広告データセット生成から再び当該広告データが選択の対象となる。
【0026】
なお、広告主は、広告主端末から随時広告管理サーバにアクセスして広告履歴ログを参照し、アクセス時点において自己の出稿している広告データの視聴履歴及び広告料データの残額を確認することが可能とする。
【0027】
次に、請求項3に記載した広告音声映像配信システムは、請求項2に記載の広告音声像配信システムであって、前記管理装置は、受信した広告履歴データを前記報酬管理サーバにも通知し、前記報酬管理サーバは、通知された広告履歴データに基づき、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、前記個人情報データベース内の該当するユーザの個人情報に当該報酬額を記録することを特徴とする。
【0028】
呼出音広告や着信画像広告は、いずれも情報通信端末による通話の受発信に不可欠の機能ではなく、むしろ広告の視聴を強制される性質のサービスであるから、ユーザにとってはなんらかのインセンティヴ、すなわち報酬がなければ普及・定着させにくい。一方、広告主はユーザに広告を視聴させることで最終的に販売促進等の利益が期待できる。そこで、広告主から徴収した広告料の一部を実際に広告データを視聴したユーザに報酬として還元すれば、ユーザの積極的な利用を図れる。
【0029】
そこで、本発明では、報酬管理サーバが前記広告履歴データを受信する都度、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、当該情報通信端末のユーザの個人情報に最新の報酬額を記録して残高を更新する。かかる報酬額の残高は、情報通信端末のブラウザ機能を用いてリアルタイムにディスプレイ画面上に表示させることが可能とする。これによりユーザは、通話を発信又は受信する都度、報酬額残高が増加していく状況を確認できるため、本サービスの利用が促進されるのである。
【0030】
次に、請求項4に記載した広告音声映像配信システムは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の広告音声映像配信システムであって、前記広告データが、インターネット上の特定のウェブサーバのURLと関連付けられた広告IDデータを含むとともに、前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後にユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータが前記情報通信端末に記憶され、その後、ユーザが、該記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする。
【0031】
呼出音広告・着信画像広告のいずれも、情報通信端末での通話の受発信の際の短い時間にしか発音・表示されない。これらを視聴したユーザが広告に関心を持った場合でも、同じ広告データが次にいつ発音・表示されるかは知り得ないが、ユーザが任意に視聴したばかりの広告の広告主のウェブサイト等に情報通信端末からただちにアクセスする手段が用意されていれば、広告主にとっては高い広告効果が期待できる。
【0032】
そこで、情報通信端末に呼出音広告又は着信画像広告を発音又は表示した直後から一定時間、ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示させ、広告に関心を持ったユーザが例えば通話開始前あるいは通話終了後にクリップボタンを操作することにより、当該広告を記憶させるようにする。
【0033】
ユーザは、随時かかるクリップのリストを表示させ、所望の広告クリップを指定することで特定のウェブサイトに直接アクセスできる。これにより、ユーザは、広告内容に関するより詳しい情報を入手したり、気に入ったCMソングを再度聴いたりダウンロードしたりすることが可能となる。
【0034】
請求項5乃至請求項7に記載した発明は、いずれも本発明に係る広告音声映像配信システムを構成する情報通信端末用のアプリケーションソフトウェアである。
【0035】
すなわち、請求項5に記載した発明は、請求項1に記載の広告音声映像配信システムを構成する情報通信端末用のアプリケーションソフトウェアであって、情報通信端末に前記管理装置から配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶させるとともに、広告データセットに音声広告データが含まれる場合に、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を発信した際には、相手方情報通信端末が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して呼出音の代わりに発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合に、相手方情報通信端末からの音声通話が着信した際には、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して発信者情報表示画面に表示させることを特徴とする。
【0036】
また、請求項6に記載した発明は、請求項5に記載の情報通信用アプリケーションソフトウェアであって、前記情報通信端末に発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記管理装置に送信させることを特徴とする。
【0037】
さらに、請求項7に記載した発明は、請求項5又は請求項6に記載の情報通信端末用アプリケーションソフトウェアであって、前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後に前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、ユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータを前記情報通信端末に記憶させ、その後、ユーザが記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする。
【0038】
前述の通り、従来のキャリアによる登録型ネットワークサービスとしての呼出音広告システムでは、広告データをキャリア側のサーバが通話の都度、情報通信端末に配信するものであるのに対し、本発明に係る広告音声映像配信システムでは、広告配信サーバが生成した広告データセットを定期的に情報通信端末に配信し更新する、いわゆるバッチ処理の方式を採用している。
【0039】
そのため、受信した所定の形式の広告データセットを情報通信端末に記憶させて更新し、通話受発信の際に発音・表示させるとともに、やはり所定の形式の広告履歴データを管理装置に送信する処理を行うアプリケーションソフトウェアをスマートフォン等にインストールすることで、直ちに当該スマートフォン等を本システムを構成する情報通信端末として利用できる。
【0040】
すなわち、スマートフォン等に搭載されたオペレーションシステムで稼働するアプリケーションソフトウェアを用意すれば、キャリアや情報通信端末の機種の違い等を問わずあらゆる情報通信端末に本広告音声映像配信システムを適用可能となるのである。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る広告音声映像配信システムによれば、スマートフォン等の情報通信端末のユーザが、第三者との間で通話を発信した場合には呼出音広告が発音され、第三者からの通話を受信した場合には着信映像広告がディスプレイに表示される。広告主は、広告のターゲット属性を指定して出稿することにより、希望するセグメントに属するユーザを選択して到達させることが可能となるため、広告効果を高めることができる。
【0042】
また、本広告音声映像配信システムは、キャリアや情報通信端末の機種の違い等を問わずあらゆる情報通信端末に適用可能であり、情報通信端末には最小限量の広告データのみを記憶させて所定の時間ごとにこれをランダムに更新するため、情報通信端末の記憶容量を過度に圧迫することがない。しかも、ユーザが視聴する広告が特定のものに偏ることを防ぐことができるので、ユーザを飽きさせずに広告効果を高めることができる。
【0043】
また、広告を視聴するたびに所定の報酬が得られるため、ユーザには積極的に自己の情報通信端末に本広告音声映像配信システムを導入する動機づけを提供でき、その普及を促進することができる。一方、広告主にとっては、ユーザが実際に自己の広告を視聴した場合にのみ広告料が発生するため、支払う広告料に無駄がなく、費用対効果の高い広告を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図2乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0045】
図2は、本発明に係る広告音声映像配信システム(以下、「本システム」と記す。)の構成の一例を示すシステム構成図である。本システムは、管理装置100と、広告主端末200と、ユーザの情報通信端末300とから構成され、管理装置100と広告主端末200はインターネット10を介して、管理装置100と情報通信端末300はインターネット又は携帯電話通信網11を介して情報通信可能としている。図2では、管理装置100は情報通信端末300とは基地局400を介して携帯電話通信網11により接続しているが、これは例えば3G方式での接続を想定したものであり、基地局400をいわゆるアクセスポイントあるいは無線ルータに置き替えてWi−Fi接続としてもよいし、情報通信端末300がパソコン等である場合は有線又は無線のLANにより接続してもよい。
【0046】
管理装置100は、広告管理サーバ110、広告配信サーバ120、報酬管理サーバ130、個人情報データベース150、広告履歴ログ160及び通信部170から構成されるが、かかる構成は必ずしも物理的な機器構成を限定するものではなく、一つの機器が上記のうち複数の機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0047】
一方、図2における情報通信端末300はいわゆるスマートフォンを想定しており、通信部310、制御部320、記憶部330、ディスプレイ340、音声入出力部350を有し、さらに位置検出部360を備える。記憶部330は、オペレーションシステム(以下、「OS」と記す。)331を記憶して、いわゆるCPUである制御部320により情報通信端末300全体を制御する。
【0048】
また、記憶部330は、OS331のほか、本発明に係るアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリ」と記す。)332及び広告データセット333を記憶可能にして成る。広告データセット333は、複数の音声広告データ又は映像広告データあるいはその両方から成り、本実施例では、例えば、音声広告データとして1再生当たり5秒程度の長さのCMソングや音声広告と映像広告データとして動画又は複数の画像から成るデジタルサイネージを、各5件づつ合計10件で1つの広告データセットを構成する。なお、記憶部330としてはフラッシュメモリ等が一般的であるがこれに限定されず、また、OS331は記憶部330ではなく制御部320側のメモリに記憶されていてもよい。
【0049】
本システムは、ユーザの情報通信端末300に予めアプリ332がインストールされていることが前提となる。図3は、情報通信端末300にアプリ332がインストールされて本システムの利用が可能となり、広告データセットが配信される情報処理を示すフロー図である。
【0050】
図3に示す通り、ユーザは、情報通信端末300からインターネット又は携帯情報通信網11を介して管理装置100にアクセスし、ウェブサーバ(図示せず)又はそれを兼ねた広告配信サーバ120が提供するウェブサイトからアプリ332をダウンロードしてインストールする。その際、ユーザは、当該ウェブサイトのインターフェイス画面により情報通通信端末300を本システムに登録するとともに、自己の性別、年齢、職業、居住地、就業地、趣味、関心事などの個人情報を管理装置100に送信する。
【0051】
管理装置100は、登録した情報通信端末300ごとにユーザを関連づけてその個人情報を個人情報データベース150に格納する。この際、予め前述の個人情報を組み合わせたセグメント分類を設定しておき、受信した個人情報に基づいてユーザを一つ又は複数のセグメントに分類し、かかる分類情報を付した上でユーザの個人情報を格納するようにしてもよい。また、個人情報には、広告データを視聴したユーザが受け取るべき報酬の残高を記録する報酬データが自動的に設定されるが、初期段階ではその残高はゼロである。
【0052】
以降、情報通信端末300にインストールされたアプリ332は、所定の時間ごと、例えば15分に1回、通信部310を通じて管理装置100にアクセスし、広告配信サーバ120に対して広告データセットの配信要求を行う。なお、アプリ332は、通話受発信時以外はバックグラウンドで動作して管理装置100との一連の通信処理を行うほか、ユーザの操作により随時アプリ自体のインターフェイス画面を起動し、後述の報酬の確認やクリップした広告データの操作を可能とすることが望ましい。
【0053】
図4は、本システムにおいて、広告主が出稿した広告データが広告データベース140に格納されるまでの情報処理を示すフロー図である。
【0054】
まず、広告主は、広告主端末200からインターネット10を介して管理装置100にアクセスし、広告管理サーバ110に広告データをアップロードする。その際、広告主は、広告管理サーバ110が提供するインターフェイス画面により、個々の広告データごとに当該広告データを視聴させたいターゲットとしてのユーザのセグメントを指定する。かかるセグメント指定は、ユーザの性別、年齢、職業、居住地、就業地、趣味、関心事などの属性を個別に指定する方法をとってもよいし、予め広告管理サーバ側でそれらを組み合わせて設定したセグメント分類の中から選択する方法としてもよい。
【0055】
また、広告主は、併せて個々の広告データごとに支払可能な広告料の上限額を設定し、
所定期間にユーザの広告データ視聴により発生する広告料の累積額が上限額に達した時点で広告データが配信されないよう制限可能とする。広告料の支払は、かかる上限額を予め本システムの運営者(以下、「運営者」と記す。)に前払いするデポジット方式としてもよいし、広告主と運営者との契約に基づき広告主の金融機関口座からの後日引き落としとしてもよい。また、複数の広告データを一定期間出稿する広告主については、所定期間の広告予算総額を設定し、その範囲内で任意に個別の広告データに上限額を割り振って設定することも可能とする。
【0056】
広告管理サーバ110は、アップロードされた個々の広告データに、広告主が指定したユーザのセグメントを配信条件データとして付加し、また、広告主が設定した広告料の上限額を広告料データとして付加した上で、広告データベース140に格納する。なお、上記配信条件データは広告主が随時広告管理サーバにアクセスして変更可能とする。また、広告料データは、後述の通り、広告履歴ログに広告データの視聴が記録される都度残高が減額され、広告主が広告料を追加設定した場合は広告料データの残高も追加可能とする。
【0057】
図5は、本システムにおいて、管理装置100がユーザの情報通信端末300からの広告データセットの配信要求を受け、広告配信サーバ120が広告データセットを生成して情報通信端末300に配信し、さらに所定時間毎に広告データセットを更新していく工程の情報処理を示すフロー図である。
【0058】
管理装置100が、ユーザの情報通信端末300から広告データセットの配信要求を受け付けると、通信部170を介して広告配信サーバ120がこれを受け取って認証し、ユーザを特定する。広告配信サーバ120は個人情報データベース150を参照して該当する情報通信端末300のユーザの個人情報、及び当該ユーザを予めセグメント分類している場合には分類情報を検索するとともに、広告データベース140を参照してその時点で選択可能な広告データを検索し、当該ユーザの個人情報あるいは分類情報に合致する配信条件データが付加された広告データのみを抽出する。この際、広告料データの広告料残高が不足している広告データは抽出対象から除外する。このため、残高がなくなった広告データは広告配信サーバ120による広告データセット生成の際に選択対象とならず、ユーザの情報通信端末300へ配信されることはなくなる。
【0059】
次に、広告配信サーバ120は、抽出した広告データから所定数、例えば音声広告データ5件と映像広告データ5件の合計10件を、乱数表を発生させてこれに基づきランダムに選択して広告データセット333を生成し、通信部170からインターネット又は携帯電話通信網11を介して情報通信端末300へと配信する。
【0060】
情報通信端末300は、配信を受けた広告データセット333を記憶部330に格納して記憶させるが、その際、前回の配信で記憶させておいた広告データセットがある場合には、これを上書きする。これにより、情報通信端末300の記憶部330内の広告データセットは所定時間毎に更新されるのである。
【0061】
図6は、情報通信端末300が、第三者の情報通信端末との間の通話の発信又は着信の際にランダムに広告データを発音又は表示させ、ユーザによる広告データの視聴履歴により広告主への広告料金を処理する情報処理を示すフロー図である。
【0062】
情報通信端末300が、ユーザの第三者への通話発信操作を検出した場合、アプリ332は、記憶部330内の音声広告データから乱数表に基づきランダムに1つを選択し、選択した音声広告データを少なくとも1回、受話部350から発音させた後、情報通信端末300に通話接続要求を発信させる。その後、相手方情報通信端末が応答して通話接続が確立するまでの間、音声広告データの発音は継続させるが、この場合、選択した1つの音声広告データをリピートさせてもよいし、乱数表に基づいて決定したランダムな順序により記憶している音声広告データを順次発音させてもよい。また、通話接続確立までの間、受話部350からは音声広告データのみを発音させてもよいし、音量を絞った通常の呼出音に重ねて発音させてもよい。
【0063】
一方、情報通信端末300がユーザへの第三者からの通話を受信した場合、アプリ332は、記憶部330内の映像広告データから乱数表に基づきランダムに1つを選択し、ディスプレイ340に発信者情報とともに表示し、ユーザが通話終了操作を行うまで表示を継続させる。
【0064】
通話発信・通話着信のいずれの場合も、ユーザによる通話終了操作を検出すると、アプリ332は、発音又は表示させた広告データ及びそのユーザを記録した広告履歴データを作成し、管理装置100へと送信する。
【0065】
管理装置100は、受信した広告履歴データを広告履歴ログ160に情報通信端末ごとに記録させる。一方、広告管理サーバ110は所定時間毎に広告履歴ログ160を参照し、新たに広告履歴が記録された広告データを検出した場合、広告データベース内の当該広告データに付加されている広告料データの残高を減少させる処理を行う。
【0066】
以上の処理結果は、広告管理サーバ110が提供するインターフェイス画面において、広告主が出稿中の広告データごとに発生した広告料金の累積額及び上限額までの残額を表示させて反映させる。これにより広告主は、上記インターフェイス画面にアクセスすることで随時自己が出稿中の広告データの広告料の状況を確認することが可能となる。また、広告管理サーバに、例えば毎月末日における広告データごとの視聴履歴及び広告料データの残額を記載した月次報告書を自動的に作成させて電子メール等で広告主端末に送付させたり、残高が乏しくなった広告データにつき広告主に広告料の追加支払を促す電子メールを随時送付させたりしてもよい。
【0067】
また、広告管理サーバ110は、広告履歴ログ160と個人情報データベースを関連づけて検索可能とし、個別の広告データごとに任意に指定した期間内の広告データの視聴回数、及び視聴したユーザの属性別集計結果を表示可能とする。これにより、広告主は、随時また定期的にターゲットとするセグメントのユーザへの広告データの到達状況を把握し、広告効果を分析することが可能となる。
【0068】
図7は、報酬管理サーバ130が広告データを視聴したユーザに提供する報酬を算出し、ユーザの個人情報へ反映させる情報処理を示すフロー図である。
【0069】
報酬管理サーバ130は広告管理サーバ110と同様に所定時間毎に広告履歴ログを参照し、新たに広告履歴が記録された広告データを検出した場合、当該広告履歴に係るユーザに該当する個人情報を個人情報データベース150を参照して探し、該当するユーザの個人情報の前記報酬データを加算して更新する。なお、当該報酬データの残高は、ユーザへの報酬支払処理が完了した場合に支払高に応じて減額又はリセットされる。
【0070】
一方、ユーザの情報通信端末300は、広告データを発音又は表示する都度、管理装置100に報酬照会要求を送信し、これを受信した管理装置100は当該報酬照会要求を報酬管理サーバ130に伝達する。これを受けた報酬管理サーバ130は、個人情報データベース150から該当するユーザの個人情報に付加された更新済みの報酬データを参照し、最新の報酬額残高を情報通信端末300へと送信する。これを受信した情報通信端末300では、アプリ332が記憶部330に報酬データを記憶させ、ユーザがアプリのインターフェイス画面を起動した際に最新の報酬残高を表示させる。これによりユーザは通話を終了して直ちに広告データの視聴による報酬の加算を確認することができるため、本システムを継続使用するためのインセンティブとなる。
【0071】
報酬管理サーバ130は、ユーザとの約定による設定に基づき、ユーザからインターネットを介して請求があった場合、又は例えば毎月末日にユーザへの報酬を支払処理を行い、支払完了時点で報酬残高を更新する。なお、ユーザへの報酬の支払いは現金送金で行ってもよいが、支払事務が煩雑となるだけでなくユーザの金融機関口座等の登録が必要となり安全性の面で問題があるため、例えば、小切手や本システム運営事業者やその提携先事業者が発行するポイントでの還元、あるいはユーザが専用口座を開設している場合はGooglWallet(登録商標)やPayPal(登録商標)等の電子マネーによる決済を用いることが好適である。
【0072】
本発明では、情報通信端末による通話の受発信の都度報酬が発生するため、報酬獲得を目的として、実質的な通話をしないにも関わらずユーザが連続的な受発信を行うといった不正行為が行われる可能性が考えられる。かかる不正行為を防止するため、たとえば、(1)一定時間内における一定回数以上の同一相手方への発信、(2)一定時間内における一定回数以上の同一相手方からの着信、が広告履歴ログから検出された場合は、報酬管理サーバがこれらの受発信を不正行為として報酬計算の対象から除外して報酬を発生させない処理を行う。また、(3)発信時において通話が確立する前の音声データ発音中に発信を中止した、(4)着信時において一定時間を経過する前に着信拒否操作が行われた などの場合も実質的な広告データの視聴とは認めず、報酬管理サーバは報酬計算の対象から、広告管理サーバは広告料データの残額更新の対象から除外して、報酬も広告料も発生させない処理を行うことが望ましい。
【0073】
次に、情報通信端末300による広告データのクリップ機能について説明する。ユーザが発信・着信を問わず第三者との通話を終了して情報通信端末300で通話終了操作を行うと、これを検知したアプリ332はユーザに広告データのクリップの意思を確認する選択画面を表示する。選択画面には、通話がユーザからの発信によるものである場合には通話開始前に聴いた広告音声を、着信によるものである場合には着信時に発信者情報表示とともにディスプレイに表示された映像広告を、それぞれ「クリップする」のボタンを所定時間、例えば3秒間程度表示させる。この間にユーザが「クリップする」ボタンを操作した場合は、アプリ332が当該広告データに広告管理サーバ110が予め付加しておいた広告IDデータを記憶し、記憶部330内にクリップデータとして保存されるが、操作がなかった場合は所定時間経過後に「クリップする」ボタンは消える。
【0074】
前記広告IDデータは、広告主のウェブサーバ等の外部サーバのURLを含むテキストデータとする。容量の小さなテキストデータであれば、クリップにより情報通信端末300の記憶部320に広告の音声や映像をそのまま記憶させることでメモリ容量を過度に圧迫することなく多数の広告を記憶させることができ、また、当該広告の内容を補足する関連情報もテキストデータであれば相当程度保存しておくことが可能となる。なお、クリップされた広告IDデータは記憶部330内でクリップリストの形式で保存しておき、ユーザはアプリ332のインターフェイス画面を起動してクリップリストを表示させ、関心を持った広告データの提供元である広告主のウェブサイト等にアクセスすることで、広告内容に関するより詳細な情報を閲覧でき、広告主のウェブサイト等がコンテンツとして提供している場合は、広告データ自体を直接情報通信端末300にダウンロードして保存することができる。
【0075】
なお、かかる広告のクリップが行われた場合、単に広告データを視聴させたのみの場合に比べて広告効果はより高まり、購買行動等に繋がる可能性も期待できる。そのため、クリップが行われた場合には、前記広告履歴データにクリップ履歴を付加して広告履歴ログに記録し、広告管理サーバには通常の視聴に対する広告料とは別に当該広告データに対して「被クリップ料」を付加して課金してもよい。
【0076】
ところで、一般的なスマートフォン等の多くは位置検出部360としてのGPS装置を搭載している。この場合、情報通信端末300は現在位置を検出し、位置情報データとして常時管理装置100へと送信可能である。本システムでは、かかる位置情報データを用い、管理装置100から配信する広告データセットに含まれる広告データの選択の際にユーザの現在位置情報を反映させることもできる。
【0077】
すなわち、情報通信端末300が所定時間ごとに管理装置100に広告データセットの配信要求と視聴履歴データを送信する際に、併せて送信時における位置情報データも送信させる。一方、広告主は個別の広告データを広告管理サーバ110にアップロードする際に、広告ターゲットとしてのユーザのセグメントに加え、例えば自己の店舗の所在地等の位置情報も指定できるようにしておき、広告データの配信条件データに位置情報を含めておく。広告配信サーバ120は、所定時間ごとに広告データセットを生成する際にかかる位置情報も配信条件に加え、ユーザの現在位置から所定の距離内に店舗等が立地する広告主の広告データを優先的に選択対象として抽出するよう設定することができる。
【0078】
広告主が、例えば飲食店等のように比較的商圏が限定される業種である場合には、上述のように広告データに自店舗の位置情報を指定しておくことにより、ユーザが至近距離に居る場合は、他地域の同業の広告主の広告データよりも自己の広告データがユーザに配信される確率が高まり、結果的に広告効果を向上させることが可能となる。
【0079】
以上、本発明に係る呼出音広告システムの一実施例について、具体的な構成と各プロセスについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において改良又は変更が可能であり、それらは本発明の技術的範囲に属するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、スマートフォン等に代表される情報通信端末による通話の発信・着信時にユーザに呼出音広告や着信映像広告を視聴させることを目的とする広告音声映像配信システムであり、情報通信端末相互による通話接続が確立される前後の僅かな時間を新たな広告媒体として活用することで、広告主の所望するセグメントのユーザに対して有効な広告を行える費用対効果の高い広告手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】既存の呼出音広告のシステム構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る広告音声映像配信システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図3】情報通信端末に広告データセットが配信される情報処理を示すフロー図である。
【図4】広告データが広告データベースに格納されるまでの情報処理を示すフロー図である。
【図5】広告配信サーバが広告データセットを生成して情報通信端末に配信し、さらに所定時間毎に広告データセットを更新していく工程の情報処理を示すフロー図である。
【図6】情報通信端末が広告データを発音又は表示させ、その視聴履歴により広告料金を処理する情報処理を示すフロー図である。
【図7】報酬管理サーバが広告データを視聴したユーザに提供する報酬を算出し、ユーザの個人情報へ反映させる情報処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0082】
10 インターネット
11 インターネット又は携帯電話通信網
100 管理装置
110 広告管理サーバ
120 広告配信サーバ
130 報酬管理サーバ
140 広告データベース
150 個人情報データベース
160 広告履歴ログ
170 通信部
200 広告主端末
300 情報通信端末
310 通信部
320 制御部
330 記憶部
331 オペレーションシステム(OS)
332 アプリケーションソフトウェア(アプリ)
333 広告データセット
340 ディスプレイ
350 受話部(スピーカー)
360 位置検出部(GPS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信端末と、広告主端末と、これら端末とネットワークを介して接続された管理装置とからなる広告音声映像配信システムであって、
前記管理装置は、広告管理サーバと、広告配信サーバと、報酬管理サーバと、広告データベースと、個人情報データベースとを備え、
前記広告管理サーバは、前記広告主端末から送信された音声又は映像あるいはその両方から成る広告データ、配信条件データ、広告料データとを受信した上で、前記広告データに前記配信条件データ及び前記広告料データを付加して前記広告データベースに記憶し、
前記広告配信サーバは、所定時間ごとに、予め前記情報通信端末から受信して前記個人情報データベースに記憶された前記情報通信端末のユーザの個人情報データを参照し、個々のユーザごとに、該ユーザの個人情報データに適合する配信条件データが付加された前記広告データのみを前記広告データベースから所定数選択して生成した広告データセットを該ユーザの情報通信端末に配信し、
前記情報通信端末は、配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、
広告データセットに音声広告データが含まれる場合に、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を発信した際には、相手方情報通信端末が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して呼出音の代わりに又は呼出音に重ねて発音させ、
広告データセットに映像広告データが含まれる場合に、相手方情報通信端末からの音声通話が着信した際には、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して発信者情報表示画面に表示させることを特徴とする、広告音声映像配信システム。
【請求項2】
前記情報通信端末は、発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、受信した広告履歴データを広告履歴ログに記憶するとともに、前記広告管理サーバに通知し、
前記広告管理サーバは、前記広告データベース内の該当する広告データに付加された前記広告料データの広告料の残額を更新し、
前記広告配信サーバは、前記広告データセット生成のための広告データの選択に当たり、個々の広告データの前記広告料の残高がなくなった時点で当該広告データを選択対象から除外することを特徴とする、請求項1に記載の広告音声映像配信システム。
【請求項3】
前記管理装置は、受信した広告履歴データを前記報酬管理サーバにも通知し、
前記報酬管理サーバは、通知された広告履歴データに基づき、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、前記個人情報データベース内の該当するユーザの個人情報に当該報酬額を記録することを特徴とする、請求項2に記載の広告音声像配信システム。
【請求項4】
前記広告データは、インターネット上の特定のウェブサーバのURLと関連付けられた広告IDデータを含むとともに、前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後にユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータが前記情報通信端末に記憶され、その後、ユーザが、該記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の広告音声映像配信システム。
【請求項5】
前記管理装置から配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、
広告データセットに音声広告データが含まれる場合に、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を発信した際には、相手方情報通信端末が応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して呼出音の代わりに発音させ、
広告データセットに映像広告データが含まれる場合に、相手方情報通信端末からの音声通話が着信した際には、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して発信者情報表示画面に表示させることを特徴とする、情報通信端末用アプリケーションソフトウェア。
【請求項6】
前記情報通信端末に発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記管理装置に送信させることを特徴とする、請求項5に記載の情報通信用アプリケーションソフトウェア。
【請求項7】
前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後に前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、ユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータを前記情報通信端末に記憶させ、その後、ユーザが記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の情報通信端末用アプリケーションソフトウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9058(P2013−9058A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138974(P2011−138974)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(311009402)
【出願人】(511153460)
【Fターム(参考)】