説明

【課題】照明の収まるスペースを小さく形成することができ、しかも、構成部材の数が少なく構造が簡単な庇を提供する。
【解決手段】建物の側面にブラケットB1,B2を介して固定され、底面に開口部12aが設けられたパネル10と、このパネル10の開口部12aに設けられた照明用の発光ダイオード素子を含む照明部30とを具備した。パネル10は、アルミニウム合金製のコア材を用いたハニカム構造で、ろう付けにより接合されてなる。発光ダイオード素子から発せられる光は、虫を誘引しやすい波長の光を除去された、400nm以上の波長とされた光とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庇に関し、特に、照明を備えた庇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建物の側面に設置される庇に照明器具を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1に記載された庇は、庇本体内に照明器具が内蔵されており、庇本体の取付面側に設けられた接続端子が建物側の接続端子に電気的に接続された構成となっている。
また、特許文献2に記載された庇は、外壁近傍の庇天井に照明器具用の開口部が形成されており、開口部内に照明器具が設けられた構成となっている。
さらに、特許文献3に記載された庇は、庇本体ののき部の内側に照明器具(照明用の光源灯)が設けられた構成となっている。
また、特許文献4に記載された庇は、内部に照明器具を有しており、建物の外壁に取り付けられたコンセントに照明器具のプラグが接続された構成となっている。
【特許文献1】特開2000−27350号公報
【特許文献2】特開2003−41700号公報
【特許文献3】実公平4−33307号公報
【特許文献4】実開昭55−158504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の庇は、いずれも、庇本体の内部に照明器具(電球)を設けるために、それに見合う凹部が形成されており、照明器具が内部に納まる分の厚さを有していた。このため、圧迫感があり、照明を備えた庇において薄型化を図るべく改善が望まれていた。
また、一方で、庇の設置し易さを考慮すると、構成部材の数が少なく簡単な構造よりなる庇が望まれていた。
【0005】
また、照明の設置された庇では、飛翔昆虫などの虫を誘引するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、照明の収まるスペースを小さく形成することができ、しかも、構成部材の数が少なく構造が簡単な庇を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、照明を有している構成でありながらも、誘虫性を低減することができる庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の庇は、建物の側面にブラケットを介して固定されるパネルと、このパネルの底面に設けられた開口部と、この開口部に設けられた照明用の発光ダイオード素子とを具備したことを特徴とする。
【0009】
かかる庇によれば、建物の側面にブラケットを介してパネルを固定することにより庇を構築することができ、構成部材の数が少なく簡単な構造よりなる庇が得られる。また、庇に設けられる照明として照明用の発光ダイオード素子が用いられているので、従来のように照明器具(電球)を設置する場合に比べて、開口部内における設置スペース(照明の納まるスペース)を小さく形成することができ、それに見合う薄さにパネルを形成することができる。したがって、照明を備え、かつ、薄型化を図ることができる庇が得られる。
【0010】
また、庇に設けられる照明として照明用の発光ダイオード素子が用いられているので、省電力性に優れ、しかも耐久性が高く、メンテナンス性にも優れた庇が得られる。
【0011】
しかも、パネルにより庇が構築されるとともに、その底面の開口部から照明の光が差して足元を照らすようになっているので、従来の庇のような重圧感が無く、軽やかで、開放感が得られるという利点が得られる。
【0012】
また、前記パネルは、枠材と、この枠材を挟んで固定される一対の面板とを含み、前記照明用の発光ダイオード素子は、前記パネル内に形成される中空部に配置されている構成とするのがよい。
【0013】
かかる庇によれば、パネルは、枠材と、この枠材を挟んで固定される一対の面板とを含んで構成されるので、パネル自体の構成が簡単になり、軽量化を図ることができる庇が得られる。また、パネル内に形成される中空部を有効に利用して照明用の発光ダイオード素子を配置することができ、組立性に優れた庇が得られる。
【0014】
さらに、前記照明用の発光ダイオード素子は、有底筒状のホルダ内に防水部材を介して保持されており、このホルダが前記開口部内に固定される構成とするのがよい。
【0015】
かかる庇によれば、照明用の発光ダイオード素子が、有底筒状のホルダ内に防水部材を介して保持されるので、発光ダイオード素子の防水性に優れた庇が得られる。しかも、開口部内にホルダが固定される構成とされているので、照明用の発光ダイオード素子が保持されたホルダを開口部内に固定するという簡単な作業により、パネルに発光ダイオード素子を取り付けることができ、組立作業性に優れた庇が得られる。
【0016】
また、前記ホルダは、下端部が前記開口部の縁部から下方に突出する構成とするのがよい。
【0017】
かかる庇によれば、開口部の縁部から下方に突出するホルダの下端部が水切りの作用をなし、発光ダイオード素子の防水性が高まる。
【0018】
さらに、前記枠材に沿って前記建物の側面側まで付設された補強部材を備え、前記ホルダは前記補強部材に固定される構成とするのがよい。
【0019】
かかる庇によれば、補強部材に対してホルダを固定することができ、補強部材に沿わせて建物の側面側まで発光ダイオード素子のハーネスを配索することができる。したがって、施工性に優れた庇が得られる。また、発光ダイオード素子が高出力で多量の熱を発生するものであっても、発光ダイオード素子から発生した熱は、ホルダや補強部材を通して面板に伝わり外部に放熱されるため、発光ダイオード素子が高温になるのを防ぐことができる。
【0020】
また、前記補強部材がアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、前記照明用の発光ダイオード素子のハーネスが前記補強部材の内部を通じて前記建物の側面側に配索される構成とするのがよい。このような構成とすることにより、補強部材の内部を通じて発光ダイオード素子のハーネスを建物の側面側に簡単に配索することができ、施工性に優れた庇が得られる。
【0021】
さらに、前記枠材および面板の一種または全種が、アルミニウム合金製である構成とするのがよい。
【0022】
かかる庇によれば、強度の割に軽量で腐食し難いというアルミニウム合金のメリットを活かすことができる。すなわち、庇が軽量になるので、施工時の取り扱いが容易で、また、従来の木造住宅にも容易に適用することができる。
さらに、強度上、デザイン上、最適の断面形状を容易に生産性よく得ることができる。
また、廃棄の際の取扱も容易になる。
【0023】
さらに、前記パネルは、アルミニウム合金製のコア材を用いたハニカム構造である構成とするのがよい。このようにすると、パネルの強度を高めることができ、耐久性に優れた庇が得られる。なお、ハニカム構造を採用したパネルにおいては、ハニカムコアがパネル内に敷き詰められる関係上、前記補強部材を設けて発光ダイオード素子のハーネスに係る配索を行うことが効果的である。
【0024】
また、前記パネルは、ろう付けにより接合されてなる構成とするのがよい。このようにすると、パネルの接合強度をより高めることができ、より耐久性に優れた庇が得られる。
【0025】
さらに、前記発光ダイオード素子から発せられる光は、虫を誘引しやすい波長の光を除去された光である構成とするのがよい。このようにすると、パネルの下方に飛翔昆虫などの虫が近寄り難くなり、誘虫性の低減効果に優れた庇が得られる。
【0026】
また、発せられる光の波長が400nm以上である構成とすることにより、飛翔昆虫などの虫が感応性を示して誘引されやすいとされる波長の光が照射されなくなり、パネルの下方に誘引される虫を低減することができる。これにより建物への虫の侵入をも防止することができるようになる。
【0027】
また、本発明は、建物の側面にブラケットを介して固定され、底面に開口部が設けられたパネルと、このパネルの前記開口部に設けられた照明用の光源と、を備え、前記光源から発せられる光が虫を誘引しやすい波長の光を除去された光であることを特徴とする。
【0028】
かかる庇によれば、照明用の光源から発せられる光は、虫を誘引しやすい波長の光を除去された光であるので、飛翔昆虫などの虫がパネルの下方に近寄り難くなり、誘虫性の低減効果に優れた庇が得られる。
【0029】
さらに、本発明は、建物の側面にブラケットを介して固定され、底面に開口部が設けられたパネルと、このパネルの前記開口部に設けられた照明用の光源と、を備え、前記光源から発せられる光の波長が400nm以上であることを特徴とする。
【0030】
かかる庇によれば、光源から発せられる光の波長が400nm以上である構成とすることにより、飛翔昆虫などの虫が感応性を示して誘引されやすいとされる波長の光が照射されなくなり、パネルの下方に誘引される虫を低減することができる。これにより建物への虫の侵入をも防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、照明の収まるスペースを小さく形成することができ、しかも、構成部材の数が少なく構造が簡単な庇が得られる。
また、本発明によれば、照明を有している構成でありながら、誘虫性を低減することができる庇が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る庇について説明する。なお、説明において、「前後」,「左右」,「上下」は、庇を建物の外壁(側面)に取り付けた状態を基準とする。
【0033】
参照する図面において、図1は本発明の一実施の形態に係る庇を建物の外壁に取り付けた状態を示す斜視図、図2は庇を構成するパネルの要部を断面で示した庇の側面図、図3は同じくコア材を省略した状態でパネルを示した平面図(一部切断)、図4は図3のV1−V1線における要部の拡大断面図である。また、図5は照明部の取付状態を示したパネルの内部の透視斜視図、図6は収容部に固定される固定部材および照明部を分解して示した斜視図、図7は照明部の分解斜視図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の庇は、建物の出入口や窓等の外部上方における外壁Wに、日よけあるいは雨の室内への浸入を防ぐために設けられ、薄板状のパネル10と、このパネル10と外壁Wとの間に掛け渡された吊りロッド8と、パネル10内に設けられ庇の下方を照明するための照明部30とを主として備えて構成される。
【0035】
パネル10の上面の後端側には、取付金具5が設けられており、この取付金具5は、ボルト、ナット等の締結手段6を介して建物の外壁Wに突設された取付ブラケットB2に固定される。また、パネル10の後端部から前端側へ所定距離離反した位置の上面にも、取付金具7が設けられており、前記吊りロッド8が締結手段6を介して連結されている。なお、パネル10の後端部と外壁Wとの間には、シール材(図示せず)が充填されている。
【0036】
パネル10は、図3に示すように、矩形状に形成される面板としての一対の表面板11,12(図3では上側の表面板11のみ図示)と、これらの表面板11,12間の周辺部に介在される枠材13と、表面板11,12間の内部に介在される枠材14a,14bと、枠材14aに並設された補強部材15A,15Bと、これらの表面板11,12、枠材13、枠材14a,14bおよび補強部材15A,15Bでそれぞれ区画される空間内に介在される複数のコア材16とを備え、これらの部材がろう付けにより一体的に接合されて構成される。
【0037】
前記表面板11,12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の板材(圧延版)にて形成されており、また、前記枠材13、枠材14a,14bはアルミニウム合金製の押出形材にて形成されている。下側の表面板12には、パネル10内に設けられる照明部30を露出するための丸形の開口部12aが形成されている(図9参照)。さらに、前記コア材16は、それぞれが独立した多数の、例えばアルミニウム合金製の帯板を丸めた(屈曲成形した)円筒状に形成されており、コア材16の側面には、隣接するコア材16同士を連通させる連通孔16aが設けられている。
【0038】
補強部材15A,15Bは、アルミニウム合金製の中空押出形材にて形成されており、主として後記する照明部30のハーネスH(H1,H2)を配索するための通路として機能するとともに、パネル10の補強材として機能する。補強部材15A,15Bは、枠材14aに並設されるかたちで、枠材14aの側面に予め溶接等により接合されている。なお、この接合は、仮組み程度に行うものであってもよく、ろう付けによりパネル10を組み立てる際に、枠材14aに補強部材15A,15Bが強固に接合されるようにろう材を回り込ませてもよい。
図2,図3に示すように、補強部材15Aの先端部15a、および補強部材15Aと補強部材15Bとの間の部分(中間部)には、有底円筒状の収容部17,17が溶接等により固定される。これらの収容部17は、パネル10内に照明部30を収容するための中空部を確保する役割をなす。なお、図3に示すように、補強部材15Bの後端部15bに対峙する枠材13の側面には、後記する照明部30のハーネスH(H1,H2)をパネル10の外部に導出するための導出孔13aが貫通形成されている。なお、導出孔13aには、防水のためのコーキング処理等が施される。
【0039】
収容部17は、図4,図5に示すように、表面板11,12間に介在されてろう付け溶接により固定されるようになっており、さらに図6に示すように、開口部17aを通じて内側の空間に照明部30が挿入可能に形成されている。収容部17の上部の径方向両側部には、照明部30のハーネスH(H1,H2)を配索するための貫通孔17b,17bが形成されている。このような収容部17には、照明部30を固定するための部材として、固定部材18が収容されて固定される。
【0040】
固定部材18は、円筒状を呈しており、収容部17に照明部30を固定するためのスペース部材として機能する。固定部材18の上部には、凹溝18aが径方向に横断するかたちで形成されている。この凹溝18aは、中空部18bと連通し、かつ、収容部17の貫通孔17b,17bに対応した位置関係を有しており、収容部17に固定部材18が固定された状態で、当該固定部材18の下端部に固定される照明部30のハーネスH(H1,H2)の配索路として機能する。つまり、照明部30からのハーネスH(H1,H2)は、固定部材18の中空部18bから凹溝18aを通って収容部17の貫通孔17bに配索され、この貫通孔17bから補強部材15Aまたは補強部材15Bの中空部(内部)に導出されるようになっている。また、図5に示すように、補強部材15Aと補強部材15Bとの間の部分(中間部)に配置された収容部17においては、補強部材15Aの先端部15a側に固定された照明部30のハーネスH1の通り抜けを可能にする配索路としても機能する。
【0041】
このような固定部材18は、図6に示すように、収容部17の底部の下面17cに上端部がろう付けされて収容部17内に固定され、下端部に照明部30がねじ34により固定される。図4に示すように、照明部30は、固定部材18に固定された状態で、その下端部30aが、下側の表面板12の開口部12aに露出して表面板12の下面と略面一となるに各部の寸法が調整されている。
【0042】
照明部30は、図7に示すように、複数部品からなる有底円筒状のホルダ内に照明用の発光ダイオード素子Dが保持されて構成されており、ベース部31と、このベース部31の外周段部31aに嵌合した状態で接合される円筒状の胴部32と、この胴部32の内側面に嵌め入れられてベース部31の上面に固定される円板状のカバー33とからなっている。ベース部31、胴部32およびカバー33は、いずれも、アルミニウム合金製からなる。
【0043】
発光ダイオード素子Dは、発せられる光の波長が400nm以上とされたものが採用されている。つまり、発光ダイオード素子Dは、400nm以上の可視領域の光を出力することが可能であるとともに、飛翔昆虫などの虫が感応性を示しやすいとされる400nm未満の紫外光を照射しないようになっている。したがって、例えば、450nmの波長をピークに出力する白色の光やそれ以上の波長をピークとするその他の有色の光によってパネル10の下方を明るく照らすことができ、その一方で、400nm未満の紫外光がカットされていることによって、誘虫性の低減効果が期待できる。
【0044】
ベース部31は有底円筒状を呈して中空部31cを有し、また、底板(図では上板)の上面周部には、照明用の発光ダイオード素子Dが組み付けられる凹部31bが形成されている。本実施形態では、凹部31bが底板の周りに90度間隔を置いて計4つ形成されており、これによって発光ダイオード素子Dが計4つ組み付けられるようになっている。各凹部31bには、中空部31cに連通する通孔31dが形成されており、各通孔31dは、発光ダイオード素子DのハーネスHを中空部31cへ引き出すための引出孔として機能する。そして、各ハーネスHは束ねられるなどして中空部31cから外部に引き出される。なお、中空部31cには、図示しない防水部材としてのコーキング材などが充填され、少なくとも中空部31cの開口がコーキング材で閉塞されるようになっている。本実施形態では、発光ダイオード素子Dの周りにもコーキング材が充填されており、発光ダイオード素子Dは、コーキング材を介してホルダ内に保持された状態に設けられている。
【0045】
また、ベース部31の底板の周部には、カバー33を固定するためのねじ34(図9参照)が螺入されるねじ穴31fが形成されている。さらに、ベース部31の底板の中央部には、カバー33を位置決めするための凸部31eが突設されている。
【0046】
カバー33には、ベース部31の凸部31eに係合する位置決め孔33eと、発光ダイオード素子Dの発光部が露出する開口33Dと、カバー33をベース部31に固定するためのねじ34(図9参照)が挿通される挿通孔33fが形成されている。このようなカバー33は、図8(b)に示すように、ベース部31の底板に取り付けられて、各発光ダイオード素子Dをベース部31との間に挟持する。
【0047】
前記したパネル10を成形するには、各部材を例えば一方の表面板11に配設するとともに他方の表面板12をこれらに載置してろう付けにより一体成形する。
より詳しくは、表面板11の周辺部に枠材13を配設するとともに、表面板11の所定の位置に、補強部材15A,15Bが接合された枠材14aおよび枠材14bを配設する。そして、補強部材15Aの先端部15aに収容部17を配設するとともに、補強部材15Aと補強部材15Bとの間に収容部17を配設する。
また、収容部17内に固定部材18を図示しないろう材とともに挿入して、ろう付けによる接合固定に備える。このとき、収容部17の貫通孔17b,17bに固定部材18の凹溝18aを位置合わせする。なお、収容部17の底部の底面に固定部材18の凹溝18aに係止する図示しない突部を予め形成しておく構成とすることにより、収容部17に対する固定部材18の位置合わせ作業が簡略化される。
【0048】
その後、表面板11と前記各部材とで形成される空間内に複数のコア材16を互いに接触させて連通孔16aによる通路を形成した状態で配列する。このとき、取付金具5,7を固定するための図示しない固定部材も所定位置に配置する。そして、これらの上面に他方の表面板12を載置し、表面板11,12を図示しない型枠にて固定する。その後、これを置換室内に配置し、当該室内を真空にした後、窒素などの不活性ガスで置換する。その際、不活性ガスによる置換は、コア材16に形成された連通孔16aを通じてスムーズに行われる。次に、これをろう付け炉に配置し、ろう付けを行う。
【0049】
そして、パネル10を冷却した後にパネル10に照明部30を取り付ける。照明部30の取り付けは、図9に示すように、表面板12の開口部12aから収容部17(図6参照)内に照明部30を挿入してねじ34を螺合することにより行う。このときの、ハーネスHの配索を図5,図6を適宜参照して説明すると、ハーネスH2は、固定部材18の中空部18bから凹溝18a、収容部17の貫通孔17bを通じて補強部材15B(図5参照)の中空部に導出するようにし、そしてさらに、図3に示すように、補強部材15Bの後端部15bから枠材13に予め形成された貫通孔13a,13aを通じてパネル10の後端外側に導出する。このハーネスH2の導出にあたっては、ワイヤー等を用いて引っ掛けながら引き出すことにより簡単に行うことができる。
【0050】
そして、このようにして設けられたパネル10は、固定部材5,7と吊りロッド8とを用いて建物の外壁Wに固定される。その際、パネル10の外部に引き出されたハーネスHが建物側と電気的に接続される。なお、図1に示すように、パネル10の周部には、断面L字形状の先端部材19aや雨樋19bが取り付けられる。
【0051】
以上説明した庇によれば、構成部材の数が少なく構造が簡単であるという利点が得られる。また、庇に設けられる照明として照明用の発光ダイオード素子Dを用いた照明部30を採用しているので、従来のように照明器具(電球)を設置する場合に比べて、パネル10内における設置スペース(照明の納まるスペース)を小さく形成することができ、それに見合う薄さにパネル10を形成することができる。したがって、照明を備え、かつ、薄型化を図ることができる庇が得られる。
【0052】
また、庇に設けられる照明として発光ダイオード素子Dを備えた照明部30が用いられているので、省電力性に優れ、しかも耐久性が高く、メンテナンス性にも優れた庇が得られる。
【0053】
しかも、このようなパネル10により庇が構築されるとともに、その底面(表面板12)の開口部12aから照明部30による照明の光が差して足元を照らすようになっているので、従来の庇のような重圧感が無く、軽やかで、開放感が得られるという利点が得られる。
【0054】
また、パネル10は、枠材13や枠材14a,14bと、これらを挟んで接合される一対の表面板11,12とを含んで構成されるので、パネル10自体の構成が簡単になり、軽量化を図ることができる。また、パネル10内に形成される空間(収容部17)を有効に利用して照明部30を配置することができ、組立性に優れた庇が得られる。
【0055】
さらに、発光ダイオード素子Dは、ホルダ内にコーキング材を介して保持されているの
で、防水性に優れている。しかも、表面板12の開口部12aを通じて収容部17内に照
明部30が固定される構成とされているので、照明部30の取り付け作業が簡単であり、
組立作業性に優れている。また、発光ダイオード素子Dが高出力で多量の熱を発生するも
のであっても、その熱は、収容部17、補強部材15A,15Bを通して表面板11,1
2に伝わり外部に放熱されるので、照明部30が高温になるのを防ぐことができる。
【0056】
また、補強部材15A,15Bを通じて建物の外壁W側(建物の側面側)までハーネスHを配索することができるので、照明部30がパネル10に対して後付け、つまり、ろう付け後に取り付けられる構成でありながらも施工性に優れた庇が得られる。
【0057】
さらに、枠材13,14a,14b、補強部材15A,15Bが、アルミニウム合金製の押出形材からなるので、強度の割に軽量で腐食し難いというアルミニウム合金のメリットを活かすことができる。すなわち、庇が軽量になるので、施工時の取り扱いが容易で、また、従来の木造住宅にも容易に適用することができる。
さらに、強度上、デザイン上、最適の断面形状を容易に生産性よく得ることができる。また、廃棄の際の取扱も容易になる。
【0058】
さらに、パネル10は、アルミニウム合金製のコア材16を用いたハニカム構造であるので、パネル10の強度を高めることができ、耐久性に優れた庇が得られる。なお、ハニカム構造を採用したパネル10においては、コア材16がパネル10内に敷き詰められる関係上、補強部材15A,15Bを設けて照明部30のハーネスHに係る配索を行うことが効果的である。
【0059】
また、パネル10がろう付けにより接合されてなる構成であるので、パネル10の接合強度が高く、より耐久性に優れた庇が得られる。
【0060】
さらに、発光ダイオード素子Dから発せられる光は、虫を誘引しやすい波長の光が除去された400nm以上の波長とされているので、パネル10の下方に飛翔昆虫などの虫が近寄り難くなり、照明を有している構成でありながら、誘虫性の低減効果に優れた庇が得られる。また、建物への虫の侵入をも防止することができるようになる。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらをさらに種々変更して用いることも可能である。
例えば、図10に示すように、高さ寸法の大きい固定部材18’を用いることにより、固定部材18’に固定される照明部30は、その下端部30aが開口部12aの縁部から下方に突出する状態となるようにパネル10に設置されるようにしてもよい。このようにした庇によれば、開口部12aの縁部から下方に突出する照明部30の下端部30aが水切りの作用をなし、発光ダイオード素子Dの防水性が高まる。
また、前記実施形態では、照明部30に発光ダイオード素子Dが計4個設けられたものを示したが、発光ダイオード素子Dの数は、任意に設定することができる。例えば、図11に示すように、12個の発光ダイオード素子Dが円弧状に配置された照明部30’を構成することができる。また、これとは逆に、3個の発光ダイオード素子Dを図示しない三角形の頂点に位置するように配置して照明部を構成することもできる。またさらに、一つの発光ダイオード素子Dで照明部を構成することもできる。この場合には、照明部を小型化することができるので、補強部材15A,15Bの中空部に照明部を直接収容する形態を採用することもできる。
【0062】
また、前記実施形態では、照明用の光源として発光ダイオード素子Dを採用したがこれに限られるものではなく、蛍光灯やその他種々の照明器具を用いてもよい。この場合、400nm未満の波長の光をカットすることのできるフィルター等の透過光調整手段を設け、飛翔昆虫などの虫を誘引する可能性のある波長の光をカットするように構成する。
このような光源を有する庇によれば、飛翔昆虫などの虫がパネルの下方に近寄り難くなり、誘虫性の低減効果に優れた庇が得られる。また、建物への虫の侵入をも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態に係る庇を建物の外壁に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】庇を構成するパネルの要部を断面で示した庇の側面図である。
【図3】同じくコア材を省略した状態でパネルを示した平面図(一部切断)である。
【図4】図3のV1−V1線における要部の拡大断面図である。
【図5】照明部の取付状態を示したパネルの内部の透視斜視図である。
【図6】収容部に固定される固定部材および照明部を分解して示した斜視図である。
【図7】照明部の分解斜視図である。
【図8】(a)は発光ダイオード素子の配置例を示した説明図、(b)は図8(a)のV2−V2線断面図である。
【図9】パネルに取り付けられた照明部を下方から見た斜視図である。
【図10】照明部のその他の設置例を示す要部の拡大断面図である。
【図11】発光ダイオード素子のその他の配置例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0064】
10 パネル
11 表面板(面板)
12 表面板(面板)
12a 開口部
13 枠材
13a 導出孔
14 枠材
14a,14b 枠材
15A,15B 補強部材
16 コア材
16a 連通孔
17 収容部
17b 貫通孔
18 固定部材
18a 凹溝
18b 中空部
30 照明部
30a 下端部
H1,H2 ハーネス(H)
B1,B2 ブラケット
D 発光ダイオード素子
W 外壁
B1,B2 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の側面にブラケットを介して固定され、底面に開口部が設けられたパネルと、
このパネルの前記開口部に設けられた照明用の発光ダイオード素子とを具備したことを特徴とする庇。
【請求項2】
前記パネルは、枠材と、この枠材を挟んで固定される一対の面板とを含み、前記照明用の発光ダイオード素子は、前記パネル内に形成される中空部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の庇。
【請求項3】
前記照明用の発光ダイオード素子は、有底筒状のホルダ内に防水部材を介して保持されており、このホルダが前記開口部内に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の庇。
【請求項4】
前記ホルダは、その下端部が前記開口部の縁部から下方に突出することを特徴とする請求項3に記載の庇。
【請求項5】
前記枠材に沿って前記建物の側面側まで付設された補強部材を備え、前記ホルダは前記補強部材に固定されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の庇。
【請求項6】
前記補強部材がアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、前記照明用の発光ダイオード素子のハーネスが前記補強部材の内部を通じて前記建物の側面側に配索されることを特徴とする請求項5に記載の庇。
【請求項7】
前記枠材および面板の一種または全種が、アルミニウム合金製であることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の庇。
【請求項8】
前記パネルは、アルミニウム合金製のコア材を用いたハニカム構造であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の庇。
【請求項9】
前記パネルは、ろう付けにより接合されてなることを特徴とする請求項8に記載の庇。
【請求項10】
前記発光ダイオード素子から発せられる光は、虫を誘引しやすい波長の光を除去された光であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の庇。
【請求項11】
発せられる前記光の波長が400nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の庇。
【請求項12】
建物の側面にブラケットを介して固定され、底面に開口部が設けられたパネルと、
このパネルの前記開口部に設けられた照明用の光源と、を備え、
前記光源から発せられる光が虫を誘引しやすい波長の光を除去された光であることを特徴とする庇。
【請求項13】
建物の側面にブラケットを介して固定され、底面に開口部が設けられたパネルと、
このパネルの前記開口部に設けられた照明用の光源と、を備え、
前記光源から発せられる光の波長が400nm以上であることを特徴とする庇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−328936(P2006−328936A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68874(P2006−68874)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】