説明

【課題】隙間なく配することができ、見栄えのよい庇を提供する。
【解決手段】本発明の庇1は、複数の長尺矩形状の庇パネル2を並列に配してなる構成を備え、庇パネル2は、一方の長手側面21に係止部3と、他方の長手側面22に係止受部4とを備えた構成としてあり、係止部3は、隣接する庇パネル2の係止受部4に係止して庇パネル間隙を閉塞可能としてあり、庇パネル2の短手側面側を建築物の外面Aに取り付ける構成としてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直射日光を遮るなどのために建築物の軒先等に配される庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の庇としては、下記特許文献1に示されているような庇があり、これは、軒内側端部を躯体固着面、軒外側端部を係合受構造とした基礎パネルと、軒内側端部を係合構造、軒外側端部を係合受構造とした連結パネルと、軒内側端部を係合構造とした先端パネルからなり、係合構造と係合受構造とは係合可能な構成としてあり、基礎パネルの軒内側端部を躯体に固定し、係合部と係合受部とを係合して連結パネル及び先端パネルを基礎パネルの端部に順次連結したものである。
【0003】
また、下記特許文献2に示されているような庇があり、これは、両側縁部に溝付枠材を設けてある庇パネルを、溝付枠材が対向するように建物の壁面に適宜間隔で配し、対向する溝付枠材に連結軸部材の端部を係合させて溝付枠材間に架け渡してあり、吊材の上端を建物壁面部に連結し、吊材の下端を連結軸部材に連結したものである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−145078号公報
【特許文献2】特開2005−314924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築物の軒先等に庇を幅広に設けたい、例えば10m〜20mの幅で設けたい場合がある。この場合、上記特許文献1に記載の庇を用いて上記幅にするには、複数の庇を並べて配することになり、庇間には隙間ができてしまう。このため、隙間を埋めるために防水シートなどを用いることがあり、見栄えがよくない。また、上記特許文献2に記載の庇は、連結軸部材を移動できるようにしてあるものであり、庇パネル間には隙間があり、この庇も見栄えはよくない。
【0006】
そこで、本発明は、建築物の軒先等に幅広に設けたとしても隙間を形成することなく配することができ、見栄えのよい庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の庇は、複数の矩形長尺状の庇パネルを並列に配してなる構成を備えた庇であって、庇パネルは、一方の長手側面に係止部と、他方の長手側面に係止受部とを備えた構成としてあり、係止部は、隣接する庇パネルの係止受部に係止して庇パネル間隙を閉塞可能としてあり、庇パネルの短手側面側を建築物の外面に取り付ける構成としてあることを特徴とするものである。
【0008】
このようにすることにより、庇パネルを幅方向に適宜数並べて幅広の庇を形成することができ、係止部と係止受部とをパネル間隙を閉塞して係止するようにしたため、隙間のない幅広な庇となる。
また、係止部と係止受部とを係止すればよいので、取り付けも容易であり作業性もよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態の庇を建築物の外面に取り付けた場合の上面図、図2は、図1の庇の側面図、図3は、図1の庇の一部を拡大した横断面図、図4は、図1の庇の構成部品である庇パネルの横断面図、図5は、図1の庇の建築物の外面への取付構造を示した縦断面図である。
【0010】
本発明の一実施形態の庇1は、図1又は2に示すように、複数の長尺矩形状の庇パネル2,2・・・を並列に配し、隣接する庇パネル同士を係止してあり、庇パネル2の短手側面側を建築物の外面Aに取り付ける構成としてある。
【0011】
庇パネル2は、図1〜5に示すように、断面中空矩形の長尺矩形状としてあり、一方の長手側面21には、係止部3が形成してあり、他方の長手側面22には、係止部3と係止可能な係止受部4が形成してある。
庇パネル2の内部には、上面23と下面24間に架け渡した2つの仕切り面部25が形成してあり、仕切り面部25は、長手側面21(22)と並行に形成してある。
また、庇パネル2の適宜枚数(例えば3枚に1枚の割合)に対して、上面23の後端側には、後述する固定ブラケット6を固定するための孔26が形成してある。
【0012】
係止部3は、上側係止部31とその下方に形成した下側係止部32とからなり、上側係止部31は、長手側面21の上端縁部を側方に適宜幅で突出させ、パネル2の長手方向の全長に渡り形成してあり、下側係止部32は、長手側面21から側方に突出するようにパネル2の長手方向の全長に渡り形成してある。上側係止部31及び下側係止部32は、略同一の幅としてある。
【0013】
上側係止部31の下面31aには、下方に突出し、先端を外方に向け折曲した係合部33が長手方向に沿い形成してある。
下側係止部32の下面32aには、長手方向に沿い凹設した係合溝34が形成してあり、上面32bには、上方に開口したリップ溝形の嵌合溝35が長手方向に沿い形成してある。また、溝35内には、長手方向に適宜間隔で上下方向に貫通した孔(図示せず)が形成してあり、この孔の位置に合わせて溝35にナットが嵌め合わせてある。
【0014】
係止受部4は、上側係止受部41とその下方に形成した下側係止受部32とからなり、上側係止受部41及び下側係止部42は、長手側面22から側方に突出するようにパネル2の長手方向の全長に渡り形成してあり、これらは略同一の幅としてある。
【0015】
上側係止受部41の上面41aには、長手方向に沿い凹設した係合受部43が形成してあり、前記係合部33に係止できるようにしてある。
下側係止受部42の上面42aには、長手方向に沿い突設した係合突条42bが形成してあり、前記係合溝34に係止できるようにしてある。また、下側係止受部42には、長手方向に適宜間隔で上下方向に貫通した孔(図示せず)が形成してある。
下側係止部32の嵌合溝35内に形成した孔及び下側係止部42に形成した孔は、下側係止部32と下側係止部42とを係止した状態で重なり合い、ボルトなどの締結部材を挿通し、前記嵌合溝35に嵌め合わせたナットに締結して隣接する庇パネル2同士を締結固定できるようにしてある。
【0016】
庇1は、図1又は5に示すように、パネル2の上面23の後端側に庇1の幅方向に適宜間隔で固定した固定ブラケット6を、建築物の外面Aに固定した固定具5に係止して外面Aに取り付けできるようにしてある。
【0017】
固定具5は、図5に示すように、断面略コの字状の長尺材であり、外面Aに接する固定面51には、適宜間隔で孔52が形成してあり、外面Aに形成してあるアンカーボルト70に挿通し、ナット71などで締結固定できるようにしてある。
固定具5の下面53には、長手方向に沿い下方に凹設した排水溝54が形成してあり、庇パネル2内に浸入した雨水などを流すことができ、また、下面53の先端は、庇パネル2の下面24を載せることができるようにしてある。上面55には、長手方向に沿い上方に突出し、先端を外面A側に向け折曲したブラケット係止受部56が形成してある。また、上面55の先端は、庇パネルの上面23の後端部が当接するようにしてある。
【0018】
固定ブラケット6は、平面視略矩形状のピース材であり、庇パネル2の上面24に載せる固定面61には、ボルト72など締結部材を挿通できる孔62が形成してある。
固定面61の後端側には、上方に突出し、先端を外面Aに向け斜め上方に延設した係止面部63が形成してある。この先端は上下二股に分かれており、この下部は、下方に湾曲させて折曲し、さらに、先端をブラケット内側に向け折曲したブラケット係止部64としてあり、前記ブラケット係止受部56と係止できるようにしてある。また、この上部は、湾曲しつつ上方に延ばした後端水きり係止部65としてある。
固定面61の先端側には、上方に突出し、先端をブラケット外側に向け斜め下方に延設した前端水切り係止部66が形成してあり、この係止部66と前記後端水切り係止部65とにより水きり部材8を係止できるようにしてある。
【0019】
水切り部材8は、図1又は5に示すように、傾斜面81の後端側を、上方に折曲した長尺材であり、固定ブラケット6に係止して水の浸入を防ぐものである。
【0020】
以下、本実施形態の庇1の組立方法を説明する。
建築物の外面Aに、水平方向に適宜間隔でアンカーボルト70を設ける。アンカーボルト70に固定具5の孔52を挿通し、ナット71を締結して固定具5を外面Aに固定する。
次に、孔26を形成してある庇パネル2に固定ブラケット6を固定する。この際、固定ブラケット6は、後端側が若干外方に突出するように上面24に配する。
【0021】
固定ブラケット6を固定した庇パネル2の短手側面側を固定具5に向け、庇パネル2の下面24を固定具5の下面53の先端に載せつつ、固定ブラケット6のブラケット係止部64と固定具5のブラケット係止受部54とを係止させて取り付ける。
取り付けた庇パネル2の隣に、他の庇パネル2を係止部3と係止受部4とが向き合うように並べ、庇パネル2の係止部3に対して隣接する庇パネル2の係止受部4を斜め方向から挿入し、庇パネル2同士が同一平面になるようにして係止部3と係止受部4とを係止する。この際、上側係止部31の係合部33と上側係止受部41の係合受部43とが係止し、下側係止部32の係合溝34と下側係止受部42の係合突条42bとが係止するので、パネル2同士が外れることがない。また、係止部3と係止受部4とは、パネル2の長手方向の全長に渡り適宜幅で突出させてあるので、隣接するパネル2間に隙間ができず閉塞でき、見栄えがよくなり、また、雨水等も浸入することがない。
そして、下側係止受部42に形成してある孔に、下方からボルトなどの締結部材を挿通し、締結することにより、隣接する庇パネル2同士が固定できる。
このように複数の庇パネル2を並べ、係止部3と係止受部4とを順次係止していき、幅広の庇1を形成することができる。
適宜幅の庇1を形成した後、水切り部材8を固定ブラケット6に係止する。
【0022】
また、本実施形態では、庇1の先端部には、図1又は2に示すようなキャップ90をしてある。庇1の側縁部には、図6に示すような端部パネル26を係止してあり、これは、一方の長手側面に係止部3又は係止受部4を形成し、他方の長手側面を円弧状乃至湾曲上に閉じた形状としてある。庇1の上側には、図1又は2に示すように、支持アーム91が適宜間隔で配してあり、庇パネル2の上面23と建築物の外面Aとを連結し、庇1を支持している。また、図5に示すように、水切り部材8の先端側と後端側には、防水シール82がしてあり、雨水等の浸入を防いでいる。
【0023】
本発明の庇は、上述したように、複数の庇パネルを並列に係止することにより、幅広な庇とすることができ、また、庇パネル間を隙間なく閉塞でき見栄えのよいものとすることができる。
【0024】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の庇を建築物の外面に取り付けた場合の上面図である。
【図2】図1の庇の側面図である。
【図3】図1の庇の一部を拡大した横断面図である。
【図4】図1の庇の構成部品である庇パネルの横断面図である。
【図5】図1の庇の建築物の外面への取付構造を示した縦断面図である。
【図6】図1の庇の構成部品である端部パネルを示した横断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1庇
2庇パネル
21長手側面
22長手側面
3係止部
31上側係止部
32下側係止部
4係止受部
41上側係止受部
42下側係止受部
5固定具
6固定ブラケット
8水切り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の長尺矩形状の庇パネルを並列に配してなる構成を備えた庇であって、庇パネルは、一方の長手側面に係止部と、他方の長手側面に係止受部とを備えた構成としてあり、係止部は、隣接する庇パネルの係止受部に係止して庇パネル間隙を閉塞可能としてあり、庇パネルの短手側面側を建築物の外面に取り付ける構成としてある庇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−31696(P2008−31696A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204979(P2006−204979)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390031325)インターライト株式会社 (2)
【Fターム(参考)】