説明

床暖房システム

【課題】太陽光の熱エネルギーを蓄えておき、必要なときに取り出すことができ、設置空間を問題としない床暖房システムを提供することである。
【解決手段】 床板1の下に、べた基礎層2、断熱層4を順に配置し、熱源として太陽熱温水集熱パネル12を屋外に設置し、ポンプ20,23,33で太陽光温水集熱パネル12の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する熱伝達経路13を備えることによって、べた基礎層2を放熱層として機能させる床暖房システムにおいて、断熱層4の下に蓄熱層5を設け、熱伝達経路13は、太陽熱温水集熱パネル12の内部と蓄熱層5の内部を温水が循環する蓄熱経路16、並びに蓄熱層16の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する放熱経路17を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルからの熱で基礎コンクリートを温める床暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房システムには、ソーラーパネルからの熱で基礎コンクリートを温め、基礎コンクリートの熱を室内に放熱して暖房するものが存在する(特許文献1)。
【0003】
ところが、ソーラーパネルから得られる熱エネルギーを直ぐに使用せずに、この熱エネルギーを蓄えておき、必要なときに取り出せるようにすることが望まれる。また、熱エネルギーを蓄える蓄熱器は、家屋の周囲に設置することもできるが、設置空間が必要となり、そのために、家屋の外観に影響を与えることや、所有地の広さから設置空間がない(物理的に設置できない)こともある。
【特許文献1】特開平9−280665号公報(段落0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実情を考慮したもので、その解決課題は太陽光の熱エネルギーを蓄えておき、必要なときに取り出すことができ、設置空間を問題としない床暖房システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、床板の下に、べた基礎層、断熱層を順に配置し、熱源として太陽熱温水集熱パネルを屋外に設置し、太陽光温水集熱パネルの内部とべた基礎の内部を温水が循環する熱伝達経路を備えることによって、べた基礎層を放熱層として機能させる床暖房システムを前提とする。
【0006】
請求項1の発明は、断熱層の下に蓄熱層を設け、熱伝達経路は、ポンプで太陽熱温水集熱パネルの内部と蓄熱層の内部を温水が循環する蓄熱経路、並びに蓄熱層の内部とべた基礎層の内部を温水が循環する放熱経路を備えることを特徴とする。
【0007】
蓄熱層は、全体が同一材料であっても良いし、蓄熱層として地面を利用しないものであっても良いが、地面の温度は冬季の外気温よりも高く、地面の温度を利用するには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項2の発明のように、蓄熱層は、断熱層の下に割ぐり層、熱交換層、地面を順に配置し、熱交換層の内部を温水が循環する蓄熱経路の一部として構成し、熱伝達経路は、蓄熱経路と放熱経路の二つの経路を独立して形成し、蓄熱経路と放熱経路にポンプをそれぞれ接続することを特徴とするものである。
【0008】
また、同様に地面の温度を利用するには、請求項3の発明のように、蓄熱層は、断熱層の下に割ぐり層、熱交換層、地面を順に配置し、熱交換層の内部を温水が循環する蓄熱経路の一部として構成し、熱伝達経路は、蓄熱経路と放熱経路の二経路が共用経路を介して接続された複合経路であり、蓄熱経路と放熱経路を切替可能なバルブユニットと共用ポンプを共用経路には接続しても良い。
【0009】
さらに、太陽熱以外に補助熱源を利用する場合には、請求項4の発明のように、太陽熱温水集熱パネル以外の補助熱源と、補助熱源と放熱経路との間で熱交換する熱交換器を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、べた基礎層の下に配置された断熱層のさらに下に蓄熱層を設けてあるので、建物の周囲に設置空間を必要としない。また、温水を循環させることによって蓄熱層に太陽熱温水集熱パネルの熱を伝えるので、太陽光の熱エネルギーを蓄熱層に蓄えておくことができ、しかも蓄熱層の熱は断熱層によってべた基礎層には直に伝わらないようになっている。そして、蓄熱層の内部と放熱層の内部を温水が循環する放熱経路によって、蓄熱層に蓄熱された熱エネルギーを、必要なときに取り出すことができる。
【0011】
請求項2、3の発明は、冬季でも外気より温かな地面を巧みに利用し、割ぐり層、熱交換層、地面を全体として蓄熱層とするので、蓄熱容量が大きくなる。また、請求項3の発明は、放熱経路と蓄熱経路を複合経路とし、共用ポンプを使用するので、放熱経路と蓄熱経路にそれぞれポンプを要するものに比べて、ポンプに要する費用が安価となる。
【0012】
請求項4の発明は、太陽熱温水集熱パネル以外の補助熱源の熱を、熱交換器で放熱経路に伝えることができるので、蓄熱層に蓄えられた熱だけでは不十分な場合にも、室内を暖められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
床暖房システムに用いる家屋は、図1に示すように、家屋の床板1の下に、コンクリートからなるべた基礎層2、防水シート3、断熱材を充填させた断熱層4、および蓄熱層5を順に積層して配置してある。べた基礎層2は、熱を与えることによって放熱層となる。また、蓄熱層5は、断熱層4の下に、割ぐり石が敷き並べられた割ぐり層6、コンクリートからなる熱交換層7、地面8を順に配置した積層構造で、熱交換層7に熱を与えることによって全体が蓄熱層5となる。また、べた基礎層2の外周部分は、逆T字状に垂下しており、垂下部分が断熱層4、割ぐり層6、熱交換層7の周囲を覆って地面8に埋設される。また、べた基礎層2の周囲を断熱材9で覆うと共に、壁10、屋根11にも断熱材9を配置してある。
【0014】
床暖房システムは、上述の家屋と、屋外(屋根11)上に設置する熱源としての太陽熱温水集熱パネル12と、太陽熱温水集熱パネル12の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する熱伝達経路13と、補助熱源14としてのヒートポンプと、ヒートポンプ14の熱を熱伝達経路13に伝える熱交換器15によって構成する。
【0015】
熱伝達経路13の第一例は、図2(イ)(ロ)に示すように四つの経路により構成してあり、単一経路からなる一つの経路と、複合経路からなる他の三つの経路である。以下、各経路について詳述する。
【0016】
一つ目の経路は単一経路であり、太陽熱温水集熱パネル12の内部と蓄熱層5(熱交換層7)の内部を温水が循環する蓄熱経路16であり、太陽熱を蓄熱するものである。蓄熱経路16は、温水が流れるパイプ(ポリスチレン等の合成樹脂製チューブ)にポンプ20を接続して循環路を形成したものである。そして、パイプは、その一部分を太陽熱温水集熱パネル12に内蔵する太陽熱チューブ21とし、別の部分を熱交換層7の内部に埋設する蓄熱チューブ22としてある。従って、ポンプ20を駆動すれば、太陽熱チューブ21内で温められた温水が蓄熱チューブ22の内部に流れて、熱交換層7が温まり、その結果、割ぐり層6および地面8も温まって蓄熱層5の全体が温まる。
【0017】
蓄熱経路16以外の他の三つの経路は、放熱経路17、補助熱経路18、および併用経路19を切替可能に接続した複合経路であって、複合経路中に別のポンプ23とバルブユニット24を備えるもので、バルブユニット24はその切替操作によって、使用する経路を切り替えられるものである。
【0018】
バルブユニット24は、複数のバルブから構成するもので、温水が流れる方向を切り替える第一切替弁25および第二切替弁26と、温水の流れを止める第三止め弁27とから構成し、図示しない制御装置からの制御信号に基づいて作動させる電磁弁を用いる。
【0019】
放熱経路17と補助熱経路18は、べた基礎層2内を通過して両方に引き出した部分を共用する部分とし、この共用する部分の両端部を二つの分岐点とし、分岐点から熱交換器15に向う経路と、熱交換層7内に向う経路に分かれている。これら二つの分岐点に第一切替弁25と第二切替弁26を接続する。第一切替弁25と第二切替弁26は、二方向に温水が流れる方向を切り替えるもので、各々、共通ポート(符号なし)と、第一ポート(符号1)、第二ポート(符号2)を有し、第一ポートを開けて第二ポートを閉めるか、その逆に第一ポートを閉めて第二ポートを開けるか切り替え、共通ポートと切り替えたポートとの間に温水を流す。そして第一切替弁25と第二切替弁26は、第三止め弁27との共同操作によって、選択した放熱経路17または補助熱経路18にのみ温水を循環させるものである。また、第三止め弁27は、開閉可能なもので、併用経路19に接続してあり、第一切替弁25および第二切替弁26との共同操作によって、併用経路19にのみ温水を循環させるものである。
【0020】
二つ目の経路は蓄熱層5の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する放熱経路17で、蓄熱した熱を放熱して室内を暖めるものである。放熱経路17は、蓄熱経路16とは別のパイプに別のポンプ23、第一切替弁25および第二切替弁26を接続して循環路を形成するものである。パイプは、放熱チューブ28と熱交換チューブ29とから構成し、放熱チューブ28の大半をべた基礎層2の内部に埋設すると共に残りの両端部をべた基礎層2から引き出し、熱交換チューブ29の大半を熱交換層7の内部に埋設すると共に残りの両端部を熱交換層7から引き出す。放熱チューブ28の一端にはポンプ23の出口、ポンプ23の入口、第一切替弁25の共通ポート、第一切替弁25の第二ポート(符号2)、熱交換チューブ29の一端を順に接続し、熱交換チューブ29の他端には第二切替弁26の第二ポート(符号2)、第二切替弁26の共通ポート、放熱チューブ28の他端を順に接続してある。そして、温水をポンプ23から放熱チューブ28、第二切替弁26、熱交換チューブ29、第一切替弁25、ポンプ23の順に循環させる。
【0021】
三つ目の経路は、熱交換器15の内部とべた基礎層2の内部を温水が循環する補助熱経路18で、補助熱源14のみの熱を放熱して室内を暖めるものである。補助熱経路18は、第一切替弁25の第一ポート(符号1)および第二切替弁26の第一ポート(符号1)に補助熱チューブ30の両端をそれぞれ接続し、補助熱チューブ30の一部を熱交換器15に導くものである。そして、温水をポンプ23から放熱チューブ28、第二切替弁26、補助熱チューブ30、第一切替弁25、ポンプ23の順に循環させる。
【0022】
四つ目の経路は、熱交換器15の内部とべた基礎層2の内部と蓄熱層5の内部を温水が循環する併用経路19で、補助熱源14と蓄熱層5の熱を併用して室内を暖めるものである。併用経路19は、温水が熱交換層7の熱交換チューブ29を通過した後に熱交換器15内の補助熱チューブ30に向うバイパス経路31を有し、バイパス経路31の途中に第三止め弁27を接続してある。そして、温水をポンプ23から放熱チューブ28、第二切替弁26、熱交換チューブ29、バイパス経路31(第三止め弁27を含む)、補助熱チューブ30、第一切替弁25、ポンプ23の順に循環させる。
【0023】
なお、前述した熱交換チューブ29、蓄熱チューブ22は、地面8の上に組んだ鉄筋の上にそれぞれ敷設するもので、その後にコンクリートを流し込んで熱交換層7を形成する。また、放熱チューブ28も同様に使用し、べた基礎層2を形成する。
【0024】
上述した熱伝達経路13は、バルブユニット24の切替操作によって、所望の経路に温水を循環させる。蓄熱層5の熱を使う場合(放熱経路17に温水を循環させる場合)は、蓄熱層5に十分に蓄熱されているときであり、第一切替弁25の第一ポート(符号1)を開き、第二切替弁26の第二ポート(符号2)を開き、第三止め弁27を閉じる。このようにしてから放熱経路17内のポンプ23を駆動すれば、熱交換層7で温められた温水がべた基礎層2の内部に流れて、べた基礎層2が温まり、その結果、室内も暖かくなる。
【0025】
蓄熱層5の熱を使い補助熱源14で補う場合(併用経路19に温水を循環させる場合)は、蓄熱層5の蓄熱量が不十分なときであり、第一切替弁25の第一ポート(符号1)を開き、第二切替弁26の第二ポート(符号2)を開き、第三止め弁27を開く。このようにしてから補助熱源14(ヒートポンプ)を暖房運転しつつポンプ23を駆動すれば、補助熱源14の熱だけでなく、蓄熱層5の熱が温水に伝わり、温水がべた基礎層2の放熱チューブ28に流れ込む。
【0026】
補助熱源14の熱を使う場合(補助熱経路18に温水を循環させる場合)は、蓄熱層5の蓄熱量が不足しているときであり、第一切替弁25の第一ポート(符号1)を開き、第二切替弁26の第一ポート(符号1)を開き、第三止め弁27を閉じる。このようしてから補助熱源14を暖房運転しつつポンプ23を駆動すれば、補助熱源14の熱が熱交換器15によって補助熱チューブ30内の温水に伝わり、温水がべた基礎層2の放熱チューブ28に流れ込む。
【0027】
熱伝達経路13の第二例は、図3(イ)(ロ)に示すように四つの経路、すなわち蓄熱経路16、放熱経路17、補助熱経路18、併用経路19を切替可能に接続した複合経路であって、四つの経路が共用する共用経路32にポンプ33とバルブユニット24を備え、バルブユニット24の切替操作によって、使用する経路を切り替えられるものである。
【0028】
バルブユニット24は、複数のバルブから構成するもので、温水が流れる方向を切り替える第一〜第六共用切替弁34〜39から構成する。各共用切替弁34〜39は、前例の第一切替弁25等と同様に、二方向に温水が流れる方向を切り替えるものである。そして各共用切替弁34〜39は、共同操作によって、選択した蓄熱経路16、放熱経路17、補助熱経路18、併用経路19にのみ温水を循環させるものである。
【0029】
蓄熱経路16は、太陽熱温水集熱パネル12から引き出した太陽熱チューブ21の両端と熱交換層7から引き出した蓄熱チューブ22の両端部を、共用経路32の第一共用チューブ40と第二共用チューブ41で別々に接続して循環路を構成し、第一共用チューブ40には途中にポンプ33を接続し、ポンプ33から太陽熱チューブ21に向って温水を循環させる。ポンプ33を起点として温水の進行方向に沿って第一共用チューブ40には第一共用切替弁34の共通ポート、第一共用切替弁34の第一ポート、第二共用切替弁35の第二ポート、第二共用切替弁35の共通ポート、第三共用切替弁36の共通ポート、第三共用切替弁36の第二ポートを順番に接続し、第二共用チューブ41には第四共用切替弁37の第二ポート、第四共用切替弁37の共通ポート、第五共用切替弁38の共通ポート、第五共用切替弁38の第一ポートを順番に接続し、第五共用切替弁38の第一ポートから蓄熱チューブ22を経て温水が流れ込む第一共用チューブ40には第六共用切替弁39の第二ポート、第六共用切替弁39の共通ポートを順次接続し、その後、温水がポンプ33に戻るものである。
【0030】
放熱経路17は、べた基礎層2から引き出した放熱チューブ28の両端を第三共用切替弁36の第一ポートと第四共用切替弁37の第一ポートに接続することによって、共用経路32を利用しながら放熱チューブ28と蓄熱チューブ22との間で温水を循環する循環路を構成するものである。より詳しく言えば、温水がポンプ33から第一共用切替弁34、第二共用切替弁35、第三共用切替弁36、放熱チューブ28、第四共用切替弁37、第五共用切替弁38、蓄熱チューブ22、第六共用切替弁39、ポンプ33の順に流れるものである。
【0031】
補助熱経路18は、第五共用切替弁38の第二ポートと第六共用切替弁39の第一ポートを、共用バイパス経路42で接続すると共に、第一共用切替弁34の第二ポートと第二共用切替弁35の第一ポートを補助熱チューブ30の両端に接続することによって、共用経路32を利用しながら補助熱チューブ30と放熱チューブ28との間で温水を循環する循環路を構成するものである。より詳しく言えば、温水がポンプ33から第一共用切替弁34、補助熱チューブ30、第二共用切替弁35、第三共用切替弁36、放熱チューブ28、第四共用切替弁37、第五共用切替弁38、共用バイパス経路42、第六共用切替弁39、ポンプ33の順に流れるものである。
【0032】
併用経路19は、共用経路32を利用しながら補助熱チューブ30と放熱チューブ28と蓄熱チューブ22の間で温水を循環する循環路を構成するものである。より詳しく言えば、温水がポンプ33から第一共用切替弁34、補助熱チューブ30、第二共用切替弁35、第三共用切替弁36、放熱チューブ28、第四共用切替弁37、第五共用切替弁38、蓄熱チューブ22、第六共用切替弁39、ポンプ33の順に流れるものである。
【0033】
共用経路32は、第一共用チューブ40と第二共用チューブ41と共用バイパス経路42、ポンプ33、並びに第一〜第六共用切替弁34〜39によって構成されるものである。
【0034】
上述した熱伝達経路13は、バルブユニット24の切替操作によって、所望の経路に温水を循環させる。蓄熱層5の熱を使う場合は、第一共用切替弁34の第一ポートを開き、第二共用切替弁35の第二ポートを開き、第三共用切替弁36の第一ポートを開き、第四共用切替弁37の第一ポートを開き、第五共用切替弁38の第一ポートを開き、第六共用切替弁39の第二ポートを開いて、ポンプ23を駆動する。
【0035】
蓄熱層5の熱を使い補助熱源14で補う場合は、第一共用切替弁34の第二ポートを開き、第二共用切替弁35の第一ポートを開き、第三共用切替弁36の第一ポートを開き、第四共用切替弁37の第一ポートを開き、第五共用切替弁38の第一ポートを開き、第六共用切替弁39の第二ポートを開いて、ポンプ23を駆動する。
【0036】
補助熱源14のみの熱を使う場合は、第一共用切替弁34の第二ポートを開き、第二共用切替弁35の第一ポートを開き、第三共用切替弁36の第一ポートを開き、第四共用切替弁37の第一ポートを開き、第五共用切替弁38の第二ポートを開き、第六共用切替弁39の第一ポートを開いて、ポンプ23を駆動する。
【0037】
蓄熱層5に熱を蓄える場合は、第一共用切替弁34の第一ポートを開き、第二共用切替弁35の第二ポートを開き、第三共用切替弁36の第二ポートを開き、第四共用切替弁37の第二ポートを開き、第五共用切替弁38の第一ポートを開き、第六共用切替弁39の第二ポートを開いて、ポンプ23を駆動する。
【0038】
上述した床暖房システムは、夏季には冷房システムとしても使用することができる。すなわち、夏季には地面の温度が外気温よりも低いので、放熱経路17に温水(夏季には地面の温度によって冷水となる)を循環させて、地面の温度を蓄熱層5からべた基礎層2に伝える。この場合、蓄熱層5には太陽熱温水集熱パネル12からの熱を蓄熱しない(蓄熱経路16のポンプを駆動しない)。また、補助熱源14(ヒートポンプ)を冷房運転して、補助熱源14の熱をべた基礎層2に伝えることも可能である。このようにすれば、冷暖房システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】床暖房システムの概略構造を示す断面図である。
【図2】(イ)(ロ)図は床暖房システムの熱伝達経路の第一例を示す説明図、バルブユニットの操作図である。
【図3】(イ)(ロ)図は床暖房システムの熱伝達経路の第二例を示す説明図、バルブユニットの操作図である。
【符号の説明】
【0040】
1床板、2べた基礎層、3防水シート、4断熱層、5蓄熱層、6割ぐり層、7熱交換層、
8地面、9断熱材、10壁、11屋根、12太陽熱温水集熱パネル、13熱伝達経路、
14補助熱源、15熱交換器、16蓄熱経路、17放熱経路、18補助熱経路、
19併用経路、20ポンプ、21太陽熱チューブ、22蓄熱チューブ、23ポンプ、
24バルブユニット、25第一切替弁、26第二切替弁、27第三止め弁、
28放熱チューブ、29熱交換チューブ、30補助熱チューブ、31バイパス経路、
32共用経路、33ポンプ、34第一共用切替弁、35第二共用切替弁、
36第三共用切替弁、37第四共用切替弁、38第五共用切替弁、39第六共用切替弁、
40第一共用チューブ、41第二共用チューブ、42共用バイパス経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板(1)の下に、べた基礎層(2)、断熱層(4)を順に配置し、熱源として太陽熱温水集熱パネル(12)を屋外に設置し、ポンプ(20,23,33)で太陽熱温水集熱パネル(12)の内部とべた基礎層(2)の内部を温水が循環する熱伝達経路(13)を備えることによって、べた基礎層(2)を放熱層として機能させる床暖房システムにおいて、
断熱層(4)の下に蓄熱層(5)を設け、
熱伝達経路(13)は、太陽熱温水集熱パネル(12)の内部と蓄熱層(5)の内部を温水が循環する蓄熱経路(16)、並びに蓄熱層(5)の内部とべた基礎層(2)の内部を温水が循環する放熱経路(17)を備えることを特徴とする床暖房システム。
【請求項2】
蓄熱層(5)は、断熱層(4)の下に割ぐり層(6)、熱交換層(7)、地面(8)を順に配置し、熱交換層(7)の内部を温水が循環する蓄熱経路(16)の一部として構成し、
熱伝達経路(13)は、蓄熱経路(16)と放熱経路(17)の二つの経路を独立して形成し、蓄熱経路(16)と放熱経路(17)にポンプ(20,23)をそれぞれ接続することを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項3】
蓄熱層(5)は、断熱層(4)の下に割ぐり層(6)、熱交換層(7)、地面(8)を順に配置し、熱交換層(7)の内部を温水が循環する蓄熱経路(16)の一部として構成し、
熱伝達経路(13)は、蓄熱経路(16)と放熱経路(17)の二経路が共用経路(32)を介して接続された複合経路であり、蓄熱経路(16)と放熱経路(17)を切替可能なバルブユニット(24)と共用のポンプ(33)を共用経路(32)には接続してあることを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項4】
太陽熱温水集熱パネル(12)以外の補助熱源(14)と、補助熱源(14)と放熱経路(17)との間で熱交換する熱交換器(15)を備えることを特徴とする請求項2、または3記載の床暖房システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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