説明

床材の製造方法

【課題】色調のムラを抑制可能な床材の製造方法を提供することである。
【解決手段】化粧溝4とV字溝9,10とが形成された板体2の表面3に塗装を施した後、V字溝9,10に沿って切断し、その切断によって面取り部5,6を形成する床材1の製造方法。床材1の端面11,12には、それぞれ雄実部13と雌実部14とが設けられている。雄実部13は凸部であり、雌実部14は凹部である。複数の床材1を連結した際に、雄実部13と雌実部14とが嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材の製造方法に関し、さらに詳細には、色調のムラを抑制可能な床材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用の床材として木質床材が広く利用されている。合板等の基材に化粧板を貼付した木質床材においては、例えば白色のフローリング等、様々な色相や色調を有したものが用意されている。使用者は、豊富なバリエーションの中から、建具や壁面の色に合わせて、木質床材をコーディネイトすることが可能である。特許文献1には、仕上げ塗装が施される床材が開示されている。特許文献1に開示された床材では、化粧溝や半溝(面取り部)、嵌合凸部(雄実部)や嵌合凹部(雌実部)が予め加工されている。そして、前記加工の後、床材の表面全体がロール塗装やスプレー塗装等によって塗装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−193539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示された床材は、化粧溝と半溝とで、色調にムラが生じる恐れがある。詳述すると、化粧溝は閉鎖された溝であり、塗料が溝内に留まる。このため、化粧溝の色調は濃くなる。これに対して半溝は、半開放された溝(面取り部)であり、塗料が留まらず、すぐに流れてしまう。このため、半溝の色調は薄くなることが懸念される。薄くなった半溝のみ再塗装することも可能ではあるが、化粧溝の色調と同等に合わせることは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、色調のムラを抑制可能な床材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、化粧溝とV字溝とが形成された板体の表面に塗装を施した後、前記V字溝に沿って切断し、その切断によって板体の端部に現出する同V字溝の残部によって面取り部を形成することを特徴とする床材の製造方法である。
【0007】
化粧溝とV字溝とは、略同じ条件で塗装されることにより、両者の色調は同等となる。
【0008】
前記の塗装後に、V字溝に沿って切断され、その切断面によって面取り部が形成されている。すなわち、化粧溝と面取り部とは、略同じ条件で塗装されているため、両者の色調には差異が生じ難い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の床材の製造方法によれば、色調のムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る床材の製造方法で製造された床材を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る床材の製造方法を示す断面図であり、(a)は研磨工程、(b)は溝形成工程、(c)は塗装工程、(d)は切断工程である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の床材の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0012】
図1に示すように、床材1は、フローリングと呼ばれる木質床材である。床材1は、水平方向に複数連結されて用いられるものである。
【0013】
床材1は、後述する本発明の実施形態に係る床材1の製造方法で製造されたものである。床材1は、板体2で構成されている。板体2は、合板で形成されており、図示しない単板が複数積層されている。なお、図1の断面図においては、床材1の構造の理解を容易にするため、ハッチングを省略している。
【0014】
床材1の表面3には、化粧溝4と、面取り部5,6が設けられている。化粧溝4は、V字状の溝であり、床材1の溝模様を構成する凹部である。面取り部5,6は、それぞれ端面11,12の縁7,8(周縁)を面取りした部位である。複数の床材1を連結した際に、面取り部5,6同士が合わさることにより、化粧溝4と同様の外観が現出される。
【0015】
床材1の端面11,12には、それぞれ雄実部13と雌実部14とが設けられている。雄実部13は凸部であり、雌実部14は凹部である。複数の床材1を連結した際に、雄実部13と雌実部14とが嵌合する。
【0016】
図2(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係る床材1の製造方法を示す断面図であり、図2(a)は研磨工程、図2(b)は溝形成工程、図2(c)は塗装工程、図2(d)は切断工程である。なお、図2においても、床材1の積層構造の理解を容易にするため、ハッチングを省略している。
【0017】
図2(a)の研磨工程では、板体2の表面3が、サンダやベルトサンダと呼ばれる研磨機20で研磨(サンディング)される。これは、プレス工程等で製造される板体2は、単板が複数積層されたままの状態であり、表面3に粗さを有しているためである。
【0018】
図2(b)の溝形成工程では、板体2の表面3に、化粧溝4と、V字溝9,10が形成される。V字溝9,10は、化粧溝4と略同形状の凹部である。V字溝9,10は、図2(b)の水平方向において、化粧溝4の両側に配置されている。この場合、V字溝9,10は、板体2のできるだけ両側端部付近に配置されることが望ましいものである。
【0019】
図2(c)の塗装工程では、スポンジローラー21で板体2の表面3が塗装される。この時、化粧溝4と、V字溝9,10も塗装される。
【0020】
図2(d)の切断工程では、板体2がV字溝9,10に沿って切断される。すなわち、図2(c)に図示した仮想線(2点鎖線)の位置で切断される。V字溝9,10における切断部位は、最深部であり、谷線である。
【0021】
切断された板体2の両側には、それぞれ端面11,12が形成されている。端面11,12の縁7,8(周縁)には、それぞれ面取り部5,6が形成されている。端面11,12には、それぞれ雄実部13と雌実部14とが形成されている。なお、化粧溝4は、縁7,8(周縁)の内側に位置している。
【0022】
以上の通り、図2(a)〜(d)の各工程を経ることにより、床材1が完成する。
【0023】
本発明の実施形態に係る床材1の製造方法では、化粧溝4と、V字溝9,10とが略同じ条件で塗装されることにより、両者の色調は同等となる。そして、塗装工程の後に、板体2がV字溝9,10に沿って切断され、その切断によって面取り部5,6が形成されている。すなわち、化粧溝4と面取り部5,6とは、略同じ条件で塗装されているため、両者の色調には差異が生じ難い。
【0024】
前述のように本発明の実施形態に係る床材1の製造方法では、床材1の表面3の色調のムラを抑制できる。
【0025】
なお、本実施形態では、V字溝9,10は、化粧溝4と略同形状とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、V字溝9,10の形状と、化粧溝4の形状とが相違していても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 床材
2 板体
3 表面
4 化粧溝
5,6 面取り部
9,10 V字溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧溝とV字溝とが形成された板体の表面に塗装を施した後、前記V字溝に沿って切断し、その切断によって板体の端部に現出する同V字溝の残部によって面取り部を形成することを特徴とする床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−1944(P2012−1944A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136798(P2010−136798)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】