説明

床構造、床構造の施工方法、および床下地材

【課題】床下地材の目地模様が化粧材に表出することがない床下地材、床構造および床構造の施工方法を提供する。
【解決手段】四角形の軟質フローリング材12を同一方向に敷き詰めて床表面を形成する床構造10であって、フローリング材12の下に配置される第2下地は、対向する一対の第4の辺(23)と対向する一対の第3の辺(22a)によって周囲の輪郭が形成された四角形の板状の第2床下地材16aを敷き詰めて構成されており、第2床下地材16aは、第3の辺がフローリング材12の第1の辺の方向、第4の辺がフローリング材12の第2の辺の方向に向けて配置されており、第3の辺は、第1及び第2の辺の方向と斜めに交差する方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、変形部分は、第2の辺の方向に関して隣接する別の第2床下地材16aの変形部分に突き合わされ、第2床下地材と別の第2床下地材が第2の辺の方向に隙間無く配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の床構造、床構造の施工方法、および床下地材に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅では、仕上げが美しく、掃除が容易である等の理由から木質系の硬質フローリング材の多くの床構造が使用されてきた。例えば、木質系のフローリング材の床は、コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地等の基礎構造の上に、衝撃吸収や遮音性に優れた材料からなる床下地材を介して配置される(例えば、特許文献1参照)。床下地材には、発泡型床下地材や木質系床下地材など、従来から種々の形態が提案されている。しかし、このような床下地材を取り付けても、木質系のフローリング材は堅い木材の小片であるため、衝撃や音が近隣の住居(特に、階下の住宅や居室)に伝わり易い。特に、マンションなどの集合住宅における衝撃や音の伝播は、近隣住民とのトラブルの原因になることもある。
【0003】
そこで、木質系のフローリング材に代えて、比較的軟らかい合成樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)からなる軟質系フローリング材が提案されて利用されている。この軟質系のフローリング材は、衝撃や音の吸収性に優れるうえ、木質系フローリング材に比べて傷つきにくく、汚れにくいため、ライフサイクルが長いという、数々の利点を有する。
【特許文献1】特開2001−323649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリ塩化ビニルのような合成樹脂からなる軟質フローリング材を用いた床構造では、フローリング材の短辺方向に伸びたり、衝撃を緩衝するために圧縮されたりすることによって床下地材の目地が凹凸模様となって床面に表れるという問題がある。具体的には、特に気温が高い時期に施工すると、床下地材が膨張することによって隣接する床下地材の継ぎ目が僅かに浮き上がり、それによって表面の軟質フローリング材が僅かに波打ち、あるいは、床下地材が衝撃を緩衝するために変位を生じ、床下地材の目地が段差を生じ、そこで床面に入射する光の反射方向が変わることによって床面の美観を損なうことがある。
【0005】
上記の問題を解決するため、床下地材の目地模様が床面に表れることのない床下地材及び床構造並びにその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明は、
第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成された軟質フローリング材を敷き詰めて床表面が形成される床構造であって、
上記フローリング材の下に配置される下地は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲に輪郭が形成された四角形の板状下地板を敷き詰めて構成されており、
上記下地材は、上記第3の辺が上記フローリング材の第1の方向に向けて配置され、上記第4の辺が上記フローリング材の第2の方向に向けて配置されており、
上記第3の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第3の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第2の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第3の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第1の方向に隙間無く配置されるように形成されている、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明はまた、
コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地からなる基準面の上に、下地材と軟質フローリング材を積層して構成される床構造の施工方法において、
上記フローリング材は、第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成さており、
上記下地材は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲の輪郭が形成されており、
上記下地材は、上記第3の辺が上記フローリング材の第1の方向に向けて配置され、上記第4の辺が上記フローリング材の第2の方向に向けて配置され、
上記第3の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の変形部分を有し、
上記第3の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第2の辺の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第3の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第1の方向に隙間無く配置される、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明はさらに、
コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地からなる基準面の上に下地材と軟質フローリング材を積層して構成される床構造に用いられる床下地材であって、
上記床下地材は、
対向する一対の第1の辺と、対向する一対の第2の辺とによって周囲に輪郭が形成されており、
上記第1の辺は、直交する第3及び第4の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第1の辺の上記変形部分は、上記床下地材を敷いたときに上記第3の方向に関して隣接する別の床下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記台1の辺の変形部分に突き合わされ、上記床下地材と上記別の床下地材が上記第3の方向に隙間無く配置されるように形成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、
第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成された軟質フローリング材を敷き詰めて床表面が形成される床構造であって、
上記フローリング材の下に配置される下地は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲の輪郭が形成された四角形の板状下地板を敷き詰めて構成されており、
上記下地材は、上記第3の辺と上記第4の辺がそれぞれ上記フローリング材の第1の方向及び第2の方向と所定の角度をもって斜めに交差するように配置されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有する床構造、床構造の施工方法、および床下地によれば、床下地材の膨張が斜めの変形部分又は曲線からなる変形部分によって吸収されることから、床下地材の目地が、軟質フローリング材で形成された床表面に表出することがなく、フローリング床の美観を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の床構造10を示す。床構造10は、コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地からなる基準面の上に設けられるものであり、表面仕上げ材の軟質フローリング材12と軟質フローリング材12を支える床下地材からなり、床下地材が下層の第1床下地材14と、上層の第2床下地材16aを有する。
【0012】
軟質フローリング材12は、上面に木目模様等の模様が印刷された細長い長方形の部材であり、一対の短辺(第1の方向を向く第1の辺)と、一対の長辺(第2の方向を向く第2の辺)とによって周囲の輪郭が形成されている。軟質フローリング材12は、例えばポリ塩化ビニル系やポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の合成樹脂又は木質系、プリントを施した紙系や和紙のような化粧紙、不織布等の化粧シートを積層した合成樹脂、カーペット等の繊維系タイルやゴム系の軟質の材料を用いて製造される。フローリング材12は、後に説明する床下地材の上に、図1に示すように同一方向に向けて、すなわち、長辺方向(第2の方向であり、図1に矢印19で示す方向)を所定の方向(図の左右方向)に向けて隙間無く敷き詰められる。
【0013】
軟質フローリング材12は、上述のように木質系のフローリングのような外観と、木質系のフローリングよりも汚れにくく、傷つきにくい床が実現できる。また、軟質系のフローリング材12は、フローリングよりも柔らかいため、衝撃の吸収性及び遮音性に優れ、また、転倒時の怪我を防止することもできる。このような軟質系のフローリング材12は、集合住宅、幼稚園、老人ホームなどの床に好適である。また、軟質系のフローリング材12は、上述のように汚れにくく傷つきにくいため、床構造の寿命が長くなり、ランニングコストを低減できる。また、例えば合成樹脂は木材よりも安価であるため、フローリング材の費用を抑えることができる。
【0014】
第2床下地材(下地材)16aは、フローリング材12の下に配置されて第2下地を構成する。第2床下地材16aは、図2に示すように、概ね四角形の板状の下地材であり、対向する一対の第3の辺22aと、対向する一対の第4の辺23とによって周囲の輪郭21aが形成される。第2床下地材16aの第4の辺23は、フローリング材12の長辺方向に向けて配置される。また、第3の辺22aは、フローリング材12の短辺方向(第1の方向であり、長辺方向と直交する方向)に向けて配置される。第3の辺22aは、フローリング材12の長辺方向及び短辺方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する曲線を描く変形部分を有する。その変形部分は、第2床下地材16aを敷いたときに、フローリング材12の長辺方向に関して隣接する別の第2床下地材に形成されている別の変形部分に突き合わされる。そのため、第2床下地材16aの変形部分は、フローリング材12の長辺方向に隙間無く配置されるように、隣接する別の第2床下地材の変形部分と相補的関係をもって形成されている。ここで、「隙間がない」とは、床下地材の間隔が数ミリメートル程度以下の状態を言い、特にことわらない限り、以下においても同様の意味で用いる。
【0015】
第2床下地材16aは、好ましくは、硬質又は軟質の発泡体、硬質又は軟質のソリッドゴムのように柔軟性と耐圧縮性を備えた材料で製造される。このような材料を利用することによって、歩き心地を向上させることができる。
【0016】
第1床下地材14は、第2床下地材16aの下に配置されて第1下地を構成する。第1床下地材14は、図1に示すような長方形の板状の下地材である。第1床下地材14の材料は、例えば不織布が下面に取り付けられたゴム材である。ゴム材は、発泡ゴムからなる部材、ソリッドゴムで作られた複数の突起を有するゴム突起部材などである。ゴム突起部材は、不織布の上に縦横に配置される複数の突起を含む。ゴム突起部材の各突起は、上下に出没自在に成型されており、例えば中空の山型の突起である。このようなゴム材は、衝撃吸収と吸音性に優れたものであることが好ましい。また、ゴム材と不織布は、固着力、製造工程の簡素さ、製造コストの観点から、互いに溶着または融着されることが好ましいが、接着剤、粘着材などにより取り付けられてもよい。第1床下地材14の下面に不織布を取り付けることによって、衝撃および音の吸収性、制震性などが向上する他に、基礎材への接着力を向上させることが可能になる。
【0017】
次に、床構造10の床構造の施工方法について説明する。まず、第1床下地材14が、基準面の上に、図1に示すように、隙間無く配置されて接着剤等で固定される。これにより、第1下地が形成される。なお、第1床下地材14は、釘などによって基準面の上に固定されてもよい。
【0018】
次に、第2床下地材16aが、第1床下地材14の上に隙間無く配置されて固定される。このとき、第2床下地材16aの第3の辺22aの変形部分は、第4の辺23の方向に隣接する第2床下地材16aの第3の辺22aの変形部分と隙間無く突き合わして配置される。上述のように、変形部分は相補的な関係にあるため、第4の辺23の方向に隙間のない第2下地が形成される。また、第2床下地材16aの第4の辺23も、第3の辺22aの方向に隣接する第2床下地材16aの第4の辺23と隙間無く突き合わして配置されるため、第3の辺22aの方向にも隙間のない第2下地が形成される。
【0019】
次に、フローリング材12が第2下地の上に配置され、接着剤又は粘着材で固定される。フローリング材12は、その長辺方向を第2床下地材16aの第4の辺23の方向に向け、その短辺方向を第2床下地材16aの第3の辺22aの方向に向けて配置され、それによって、第2床下地材16aの第3の辺22aの変形部分は、フローリング材12の長辺方向及び短辺方向と斜めに交差する。
【0020】
このように、床構造10を施工することにより、上述のような基準面の上に第1及び第2床下地材14,16aとフローリング材12を積層した床構造が形成される。
【0021】
ところで、全ての輪郭が直線縁で形成された四角形の床下地材を、フローリング材12と平行に、すなわち、フローリング材12の短辺方向に床下地材の直線縁を整列させて配置した場合、床下地材の膨張によって隣接する床下地材の継ぎ目が互いにせり上がり(浮き上がり)、そのせり上がりによってフローリング材が浮き上がり、表面の美観に悪い影響を与える。これに対し、本実施の形態の床構造及びその施工方法では、フローリング材12の長辺方向と交差する第3の辺22aはその殆どが長辺方向及び短辺方向に対して斜めに伸びているので、例えば、第4の辺23の方向に膨脹したとしても、隣接する第2床下地材16aと押し合う力は、分散する。そのため、第2床下地材16aの浮き上がりを防止することができ、床下地材の継ぎ目がフローリング材に表出することを防ぐことが可能になる。
【0022】
このように、本実施の形態では、第2床下地材16aの輪郭21aがフローリング材12の長辺方向と直交することが実質的に無くなるため、第2床下地材16aの目地模様がフローリング材12の表面に現れることを防ぐことができ、化粧材12の表面の美観を向上させることが可能になる。ここで、「床下地材の輪郭が化粧材の長辺方向と直交しない」とは、床下地材が、化粧材の長辺方向と直交する一定の長さ以上の直線部分を有する輪郭を含まないことをいい、以下においても同様の意味で用いる。ここでの、一定の長さは、フローリング材12の幅や素材等によって、変化し得る。
【0023】
以上、本実施の形態に係る第2床下地材、床構成及びその施工方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2床下地材の形状には、種々の変形例が考えられる。図3と図4とはそれぞれ、第2床下地材の変形例に係る平面図である。
【0024】
図3に示す第2床下地材16bは、実施の形態1と同様に、対向する一対の第4の辺23と対向する一対の第3の辺22bによって周囲に輪郭21bが形成された四角形の板状下地板である。第4の辺23は、実施の形態1と同様の直線形状を有する。第3の辺22bの変形部分は、フローリング材12の長辺方向と短辺方向と所定の角度をもって交差する方向に伸びる斜めの直線部分からなっており、第3の辺22bは、斜めの直線部分斜めの直線部分が連続したジグザグ形状を有する。
【0025】
また、図4に示す第2床下地材16cも、実施の形態1と同様に、対向する一対の第4の辺23と対向する一対の第3の辺22cによって周囲に輪郭21cが形成された四角形の板状下地板である。第4の辺23は、実施の形態1と同様の直線形状を有する。第3の辺22cの変形部分は、フローリング材12の長辺方向と短辺方向と所定の角度をもって交差する方向に伸びる斜めの曲線部分からなっており、第3の辺22cは、斜めの曲線部分が連続的に表れる波形形状を有している。具体的には、第3の辺22cは、真円の上部分の上部分の半円と下部分の半円とが連続的に直接接続された形状を有している。なお、第3の辺22cは、例えば、上部分の半円と下部分の半円とが直線を介して連続的に接続された形状のように、斜めの曲線部分が間欠的に表れる波形形状を有してもよい。
【0026】
このように、実施の形態1の変形例に係る第2床下地材16b,16cも、実施の形態1と同様の構造の床構造10に適用され、また、実施の形態1と同様の施工方法で床構造を形成することによって、その輪郭21b,21cがフローリング材12の長辺方向と直交することがなくなる。そのため、第2床下地材16b,16cの目地模様がフローリング材12の表面に現れることを防ぐことができ、化粧材12の表面の美観が向上させることが可能になる。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態1では、第2床下地材16は輪郭21aを形成する2対の辺のうち、1対の第3の辺にのみ変形部分を含むが、輪郭を形成する2対の辺のいずれにも変形部分を含んでもよい。
【0028】
図5は、実施の形態2の床構造30を示す。床構造30は、概ね実施の形態1に係る床構造10と同じ構造であり、違いは、第2床下地材36aの形状にある。そのため、ここでは、主に第2床下地材36aの形状について説明し、その他の構成に関する説明は省略する。
【0029】
第2床下地材36aは、フローリング材12の下に配置されて第2下地を構成する。第2床下地材36aは、図6に示すように、概ね四角形の板状の下地材であり、対向する一対の第3の辺42aと、対向する一対の第4の辺42bとによって周囲の輪郭41aが形成される。
【0030】
第3の辺42aは、フローリング材12の短辺方向(第1の方向)に向けて配置される。第3の辺42aは、フローリング材12の長辺方向(第2の方向であり、短辺方向と直交する方向)及び短辺方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する曲線を描く変形部分を有する。その変形部分は、第2床下地材36aを敷いたときに、フローリング材12の長辺方向に関して隣接する別の第2床下地材に形成されている別の変形部分に突き合わされる。そのため、第2床下地材36aの変形部分は、フローリング材12の長辺方向に隙間無く配置されるように、隣接する別の第2床下地材の変形部分と相補的関係をもって形成されている。
【0031】
第4の辺42bは、フローリング材12の長辺方向に向けて配置される。第4の辺42bは、フローリング材12の長辺方向及び短辺方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する曲線を描く変形部分を有する。その変形部分は、第2床下地材36aを敷いたときに、フローリング材12の短辺方向に関して隣接する別の第2床下地材に形成されている別の変形部分に突き合わされる。そのため、第2床下地材36aの変形部分は、フローリング材12の長辺方向に隙間無く配置されるように、隣接する別の第2床下地材の変形部分と相補的関係をもって形成されている。
【0032】
次に、床構造30の床構造の施工方法について説明する。まず、第1床下地材14が、基準面の上に、図5に示すように、隙間無く配置されて接着剤等で固定される。これにより、第1下地が形成される。次に、第2床下地材36aが、第1床下地材14の上に隙間無く配置されて固定される。このとき、第2床下地材36aの第3の辺42a及び第4の辺42bは、隣接する第2床下地材36aの第3の辺42a及び第4の辺42bのそれぞれと突き合わして配置される。これにより、隙間のない第2下地が形成される。
【0033】
次に、フローリング材12が第2下地の上に配置され、接着剤又は粘着材で固定される。このとき、フローリング材12は、第2床下地材36aの第3の辺42a及び第4の辺42bがフローリング材12の長辺方向及び短辺方向と所定の角度をもって斜めに交差するように配置される。
【0034】
このように、床構造10を施工することにより、上述のような基準面の上に第1及び第2床下地材14,36aとフローリング材12を積層した床構造が形成される。
【0035】
本実施の形態の床構造及びその施工方法では、フローリング材12の長辺方向と交差する第3の辺42aは、その殆どが長辺方向及び短辺方向に対して斜めに伸びているので、例えば、第4の辺42bの方向に膨脹したとしても、隣接する第2床下地材16aと押し合う力は、分散する。また、フローリング材12の短辺方向と交差する第4の辺42bは、その殆どが長辺方向及び短辺方向に対して斜めに伸びているので、例えば、第4の辺42bの方向に膨脹したとしても、隣接する第2床下地材16aと押し合う力は、分散する。そのため、第2床下地材16aの浮き上がりを防止することができ、床下地材の継ぎ目がフローリング材に表出することを防ぐことが可能になる。
【0036】
このように、本実施の形態では、第2床下地材36aの輪郭41aがフローリング材12の長辺方向及び短辺方向と直交することが実質的に無くなるため、第2床下地材16aの目地模様がフローリング材12の表面に現れることを防ぐことができ、化粧材12の表面の美観を向上させることが可能になる。
【0037】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では、それぞれの第2床下地材16及び36は輪郭21a及び41aに変形部分を含むが、輪郭21a及び41aに変形部分を含まない、例えば四角形の第2床下地材であっても、第2床下地材の目地模様が化粧剤12表面に現れることを防ぐことができる(図8及び9参照)。
【0038】
図8は、実施の形態3の床構造の一例を示す斜視図である。床構造100は、概ね実施の形態1と同様であり、一対の長辺と一対の短辺によって周囲の輪郭が形成され、同一方向に向けて敷き詰めて床表面を形成する軟質のフローリング材12と、第1及び第2床下地材14,116とから形成される。実施の形態1との違いは、第2床下地材116の配列方向である。第2床下地材116は、図8に示すように、上方から見た形状が長方形の板状下地板である。なお、第2床下地材116は、図9に示す床構造200を構成するような平行四辺形であってもよい。すなわち、第2床下地材116は、対向する一対の第4の辺と対向する一対の第3の辺によって周囲の輪郭が形成されている。第2下地は、第2床下地材116を敷き詰めて構成される。第2床下地材116の第4の辺と第3の辺が、フローリング材12の長辺方向(図8の矢印19が指し示す方向)及び短辺方向と所定の角度をもって斜めに交差する方向に配置されている。
【0039】
次に、施工方法について説明する。まず、第1床下地材14が、基準面の上に、図8に示すように、隙間無く配置されて接着剤等で固定される。これにより、第1下地が形成される。次に、第2床下地材116(216)が、第1床下地材14の上に隙間無く配置されて固定される。このとき、第2床下地材116(216)の第4の辺及び第3の辺は、隣接する第2床下地材116(216)の第4の辺及び第3の辺のそれぞれと突き合わして配置される。これにより、隙間のない第2下地が形成される。
【0040】
次に、フローリング材12が第2下地の上に配置され、接着剤又は粘着材で固定される。このとき、フローリング材12は、第2床下地材116(216)の第4の辺及び第3の辺がフローリング材12の長辺方向及び短辺方向と所定の角度をもって斜めに交差するように配置される。
【0041】
このように、本実施の形態では、第2床下地材116(216)の輪郭がフローリング材12の長辺方向と直交することがなくなるため、第2床下地材116(216)の目地模様がフローリング材12の表面に現れることを防ぐことができ、フローリング材12の表面の美観が向上させることが可能になる。
【0042】
以上、本発明に係る実施の形態1及び2について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、フローリング材12は、長方形であるとしたが、第1の方向を向く一対の第1の辺と、第2の方向を向く一対の第2の辺とによって周囲の輪郭が形成される正方形であってもよい。また例えば、実施の形態では、床構造は、第1及び第2下地とフローリング材との3層としたが、1つの下地とフローリング材との2層構造であってもよく、また、3つ以上の下地とフローリング材との多層構造であってもよい。本発明の範囲において、層の数、各層を形成する床下地材の形状や素材などが適宜選択されることによって、床構造の衝撃吸収性、音吸収性、歩行感、制震性などを向上させることができる。
【0043】
また例えば、実施の形態では、第1床下地材14の形状は、長方形であるとしたが、いかなる形状であってもよい。施工の便宜上からは、第1床下地材14の形状は、長方形や第2床下地材16a,16b,16c,116,216と同じ形状であることが好ましい。さらに、第2床下地材16a,16b,16c,116,216と同じ形状である場合は、第1床下地材14と第2床下地材16aとが接着剤などで一体になっていることが好ましい。第1床下地材14と第2床下地材16a,16b,16c,116,216とが一体であることによって、第1及び第2床下地材を一度に取り付けることができ、施工が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の床下地材および床構造は、住居、各種施設、オフィスなどの床を構成する床構造に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態1の床構造を示す斜視図。
【図2】実施の形態1の床下地材の平面図。
【図3】実施の形態1の第1の変形例に係る床下地材の平面図。
【図4】実施の形態1の第2の変形例に係る床下地材の平面図。
【図5】実施の形態2の床構造を示す斜視図。
【図6】実施の形態2の床下地材の平面図。
【図7】実施の形態2の第1の変形例に係る床下地材の平面図。
【図8】実施の形態3の床構造の一例を示す斜視図。
【図9】実施の形態3の床構造の他の例示す斜視図。
【符号の説明】
【0046】
10・100・200 床構造,12 フローリング材,14 第1床下地材,16a・16b・16c・36a・36b・116・216 第2床下地材,21a・21b・21c・41a・41b 輪郭,22a ・22b・22c 第3の辺,23 第4の辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成された軟質フローリング材を敷き詰めて床表面が形成される床構造であって、
上記フローリング材の下に配置される下地は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲に輪郭が形成された四角形の板状下地板を敷き詰めて構成されており、
上記下地材は、上記第3の辺が上記フローリング材の第1の方向に向けて配置され、上記第4の辺が上記フローリング材の第2の方向に向けて配置されており、
上記第3の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第3の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第2の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第3の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第1の方向に隙間無く配置されるように形成されている、
ことを特徴とする床構造。
【請求項2】
上記第4の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第4の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第1の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第4の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第2方向に隙間無く配置されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地からなる基準面の上に、下地材と軟質フローリング材を積層して構成される床構造の施工方法において、
上記フローリング材は、第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成さており、
上記下地材は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲の輪郭が形成されており、
上記下地材は、上記第3の辺が上記フローリング材の第1の方向に向けて配置され、上記第4の辺が上記フローリング材の第2の方向に向けて配置され、
上記第3の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の変形部分を有し、
上記第3の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第2の辺の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第3の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第1の方向に隙間無く配置される、
ことを特徴とする床構造の施工方法。
【請求項4】
上記第4の辺は、上記第1及び第2の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第4の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第1の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第4の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第2方向に隙間無く配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の床構造の施工方法。
【請求項5】
コンクリート、モルタル下地、石膏ボード等の無機材料による下地又は構造用合板、パーティクルボード等の木質材料による下地からなる基準面の上に下地材と軟質フローリング材を積層して構成される床構造に用いられる床下地材であって、
上記床下地材は、
対向する一対の第1の辺と、対向する一対の第2の辺とによって周囲に輪郭が形成されており、
上記第1の辺は、直交する第3及び第4の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第1の辺の上記変形部分は、上記床下地材を敷いたときに上記第3の方向に関して隣接する別の床下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記台1の辺の変形部分に突き合わされ、上記床下地材と上記別の床下地材が上記第3の方向に隙間無く配置されるように形成されている、
ことを特徴とする床下地材。
【請求項6】
上記第2の辺は、上記第3及び第4の方向と斜めに交差する方向の方向成分を有する直線又は曲線を描く変形部分を有し、
上記第2の辺の上記変形部分は、上記下地材を敷いたときに上記第4の方向に関して隣接する別の下地材に上記変形部分と相補的関係をもって形成されている別の上記第2の辺の変形部分に突き合わされ、上記下地材と上記別の下地材が上記第4方向に隙間無く配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の床下地材。
【請求項7】
上記変形部分は、上記第3及び第4の方向と所定の角度をもって交差する方向に伸びる斜めの直線部分からなり、
上記第1及び第2の辺の一方又は両方は、上記斜めの直線部分が連続したジグザグ形状を有する、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6の床下地材。
【請求項8】
上記変形部分は、上記第3及び第4の方向と所定の角度をもって交差する方向に伸びる曲線部分からなり、
上記第1及び第2の辺の一方又は両方は、上記斜めの曲線部分が連続的又は間欠的に表れる波形形状を有する、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6の床下地材。
【請求項9】
第1の方向を向く1対の第1の辺と第2の方向を向く第2の辺によって周囲の輪郭が形成された軟質フローリング材を敷き詰めて床表面が形成される床構造であって、
上記フローリング材の下に配置される下地は、対向する一対の第3の辺と、対向する一対の第4の辺とによって周囲の輪郭が形成された四角形の板状下地板を敷き詰めて構成されており、
上記下地材は、上記第3の辺と上記第4の辺がそれぞれ上記フローリング材の第1の方向及び第2の方向と所定の角度をもって斜めに交差するように配置されている、
ことを特徴とする床構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−203626(P2009−203626A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44588(P2008−44588)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(591000506)早川ゴム株式会社 (110)
【Fターム(参考)】