説明

床構造

【解決手段】スラブS上に載置される、受台20と脚部材1とからなる下地パネル載置部材H及び該下地パネル載置部材に載置される下地パネル30とからなる床構造において、前記下地パネル載置部材を構成する受台を、長尺受台として形成したものである。
【効果】従来の下地パネル載置部材のように、下地パネルの角部を、必ずしも、略平方形状の受台に載置する必要がないので、下地パネルの角部が、長尺受台のどの位置にあってもよく、しかも、下地パネルの短辺同士が、互いに、当接するように、下地パネルを、下地パネル載置部材を構成する長尺受台に載置すればよく、従って、従来の下地パネル載置部材のように、下地パネルの短辺間に、受台の中心部に穿設された縦孔が塞がれないような間隙を形成する必要がない。従って、下地パネル載置部材への下地パネルの布設作業の作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、コンクリート製のスラブ上に施工される床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先ず最初に、図6〜図9を用いて、従来の発明について説明する。
【0003】
1は、脚部材であり、脚部材1は、上端に、工具挿入用溝1a1が形成されている棒状のボルト1aと、ボルト1aの下端に取着された防振ゴム部1bと、ボルト1aの上端部に螺合されるナット1cとから構成されている。ナット1cは、内周にネジ溝が刻設された円筒部1c1と、円筒部1c1の下端外周面に形成された鍔部1c2とを有している。また、ボルト1aの上端部に螺合されたナット1cには、一辺が、略10数cmセンチ程度の略平方形状の受台2の中心部に穿設された縦孔2aが嵌着されている。このようにして、脚部材1と受台2とにより、下地パネル3が載置される下地パネル載置部材H’が構成されている。なお、4は、下地パネル3に載置される床パネルである。
【0004】
床構造を施工する際には、床構造が施工されるスラブS上に、上述した下地パネル載置部材H’を、縦横に所定の間隔を置いて、多数、配置する。その後、下地パネル載置部材H’を構成する受台2に、下地パネル3を載置することになるが、複数の下地パネル3の角部3aを、下地パネル載置部材H’を構成する1辺が、略10数cm程度の略平方形状の受台2に載置しなければならず、しかも、下地パネル3を、下地パネル載置部材H’を構成する受台2に載置した後、下地パネル3の水平出しを行うために、ボルト1aの工具挿入用溝1a1に工具を挿入しなければならないために、受台2に形成された縦孔2aが、下地パネル3により塞がれないように、受台2に、下地パネル3を載置する必要があり、従って、下地パネル3の角部3aの角部3aの受台2への載置面積が、更に少なくなることになる。
【0005】
また、従来の発明においては、上述したように、下地パネル3の4つの角部3aが、下地パネル載置部材H’を構成する略平方形状の受台2に載置されるように、床構造が施工されるスラブS上に、下地パネル載置部材H’を配置することになる。
【0006】
上述した従来の床構造は、一例として、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−81196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の床構造においては、複数の床下地パネルの角部が、略正方形状の受台に載置されているために、床構造の施工時に脚部材が移動した際に、床下地パネルが、受台から外れたり、或いは、床下地パネルが、受台から外れることがなくても、床下地パネルの角部の受台への載置面積が異なることにより、受台への載置面積が小さい床下地パネルの強度や剛性が低下するという問題があった。
【0009】
また、略正方形状の受台に、床下地パネルの角部を載置しなければならず、従って、受台への床下地パネルの角部の載置作業の作業性が悪いという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来の床構造及び該床構造の施工方法が有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した目的を達成するために、スラブ上に載置される、受台と脚部材とからなる下地パネル載置部材及び該下地パネル載置部材に載置される下地パネルとからなる床構造において、前記下地パネル載置部材を構成する受台を、長尺受台として形成したものである。
【発明の効果】
【0012】
スラブ上に載置される、受台と脚部材とからなる下地パネル載置部材及び該下地パネル載置部材に載置される下地パネルとからなる床構造において、前記下地パネル載置部材を構成する受台を、長尺受台として形成したので、従来の下地パネル載置部材のように、下地パネルの角部を、必ずしも、略平方形状の受台に載置する必要がないので、下地パネルの角部が、長尺受台のどの位置にあってもよく、しかも、下地パネルの短辺同士が、互いに、当接するように、下地パネルを、下地パネル載置部材を構成する長尺受台に載置すればよく、従って、従来の下地パネル載置部材のように、下地パネルの短辺間に、受台の中心部に穿設された縦孔が塞がれないような間隙を形成する必要がない。従って、下地パネル載置部材への下地パネルの布設作業の作業性が向上する。
【0013】
また、上述したように構成することにより、下地パネル載置部材を構成する長尺受台が、根太として機能するので、従来の略平方形状の受台に比べて、床構造の強度や剛性が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の床構造を構成する下地パネル長尺載置部材の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の床構造を構成する下地パネル長尺載置部材の分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の床構造を構成する下地パネル長尺載置部材に下地パネルが載置された状態の拡大斜視図である。
【図4】図4は、本発明の床構造を構成する下地パネル長尺載置部材に、下地パネルが載置された状態の平面図である。
【図5】図5は、図4のFーFに沿った部分拡大垂直断面図である。
【図6】図6は、従来の下地パネル載置部材の分解斜視図である。
【図7】図7は、図6に示されている下地パネル載置部材に、下地パネルが載置されている状態の拡大垂直断面図である。
【図8】図8は、図6に示されている下地パネル載置部材に、下地パネル及び床パネルが載置されている状態の垂直断面図である。
【図9】図9は、従来の下地パネル載置部材を構成する受台に、下地パネルが載置された状態の平面図である。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の床構造について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本実施例に何ら限定されるものではない。なお、上述した従来の発明の構成部材と同じ構成部材については、同じ符号が使用されている。
【0016】
図1及び図2において、1は、上述した従来の脚部材と同様の脚部材である。即ち、脚部材1は、上端に、工具挿入用溝1a1が形成された棒状のボルト1aと、ボルト1aの下端に取着された防振ゴム部1bと、ボルト1aの上端部に螺合されるナット1cとから構成されているとともに、ナット1cは、内周にネジ溝が刻設された円筒部1c1と、円筒部1c1の下端外周面に形成された鍔部1c2とから構成されている。
【0017】
20は、上述した略平方形状の受台2に代えて使用される長尺受台であり、長尺受台20には、長尺受台20の長手方向に沿って、複数の縦孔20aが穿設されている。なお、本実施例においては、長尺受台20の長手方向の両端部に、それぞれ、1個の縦孔20aが穿設されており、両端部に穿設された一対の縦孔20a間に、2個の縦孔20aが穿設されている例が示されている。また、縦孔20aに、上述した従来の略平方形状の受台2の中心部に穿設された縦孔2aと同様に、脚部材1を構成するナット1cの円筒部1c1を嵌着することにより、長尺受台20には、図1に示されているように、複数の脚部材1が取り付けられることになる。このように、脚部材1と長尺受台20とにより、下地パネル3が載置される下地パネル長尺載置部材Hが構成されることになる。なお、図1には、長尺受台20に、4個の脚部材1が取り付けられている例が示されているが、脚部材1の数は、この実施例に限定されるものではない。
【0018】
また、30は、上述した下地パネル3と同様の下地パネルであり、下地パネル30は、短辺30’長さが、400mm〜1000mm程度であり、また、長辺30”長さが、900mm〜2000mm程度に形成された平面形状が、長方形に形成されている。下地パネル30を、短辺30’に平行に、及び/又は、長辺30”に平行に、適宜、切断することにより、切断されていない、製造された状態のままの下地パネル(切断されていない、製造された状態のままの下地パネルを、以下、単に、製造時下地パネルと称し、符号30Aを付す。)より、平面形状が小さな下地パネル30を使用することもできる。なお、切断された状態の下地パネルを、以下、単に、切断下地パネルと称し、符号30Bを付す。なお、製造時下地パネル30A及び切断下地パネル30Bに、特に、限定されない場合には、単に、下地パネルと称し、符号30を付す。
【0019】
上述した長尺受台20は、長手方向に対して垂直に切断することにより、短くして使用することもできる。また、切断されていない長尺受台20の長手方向に沿った長さは、製造時下地パネル30Aの長辺の長さより、長く形成されている。
【0020】
床構造を施工する際には、先ず最初に、所望の壁Wに対して、下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20が垂直となるように、複数の下地パネル長尺載置部材Hを、スラブS上に配置する。図4には、長尺受台20が、互いに平行となるように、4列I〜IVに亘たって、下地パネル長尺載置部材Hが配置されている例が示されており、各列I〜IVは、各列の隣接する下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20の短辺20’同士を当接させることにより、複数の下地パネル長尺載置部材Hから構成されている。なお、所望の壁Wと相対する壁と、各列I〜IVの下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20のうち、図4において、右端に位置する長尺受台20との間に、1本の長尺受台20の長さより短い間隔が残っている場合には、この間隔を埋めるように、適宜、長尺受台20が切断されることになる。
【0021】
次いで、隣接する列間(例えば、I列とII列)を構成する長尺受台20を跨ぐように、且つ、長尺受台20の長辺(長尺受台20の長さ方向の辺)20”側と下地パネル30の長辺30”側とが一致するように、長尺受台20の長辺20”に沿った長尺受台20の長辺側縁部に、下地パネル30の長辺30”に沿った長辺側縁部を載置する。同様に、隣接する列間(例えば、II列とIII列)を構成する長尺受台20を跨ぐように、且つ、長尺受台20の長辺20”側と下地パネル30の長辺30”側とが一致するように、長尺受台20の長辺20”に沿った長尺受台20の長辺側縁部に、下地パネル30の長辺30”に沿った長辺側縁部を載置する。この際、隣接する列(例えば、I列とII列)を構成する下地パネル長尺載置部材Hの長尺受台20を跨ぐように、長尺受台20に載置された下地パネル30の長辺30”と、隣接する列(例えば、II列とIII列)を構成する下地パネル長尺載置部材Hの長尺受台20を跨ぐように、長尺受台20に載置された下地パネル30の長辺30”との間には、工具挿入用間隙Dが形成されるように構成されており、且つ、この工具挿入用間隙Dに、長尺受台20に穿設された縦孔20aが位置するように構成されている。
【0022】
また、上述したように、隣接する列(例えば、I列とII列、II列とIII列)を構成する下地パネル長尺載置部材Hの長尺受台20を跨ぐように、長尺受台20に載置される複数の下地パネル30の短辺30’同士は、互いに、当接するように構成されている。
【0023】
その後、公知のように、所定の下地パネル30の上面に、水準器を載置するとともに、工具挿入用間隙D及び長尺受台20に穿設されている縦孔20aに、工具を挿入し、且つ、脚部材1を構成するボルト1aの上端に形成された工具挿入用溝1a1に、工具の先端を嵌合させて、工具を、適宜、回動させて、脚部材1を構成するナット1cを上下動させることにより、下地パネル30の水平出しを行う。このような下地パネル30の水平出し作業を、各下地パネル30について行うことにより、全ての下地パネル30について、水平出しを行う。その後、公知のように、水平出しされた下地パネル30に、床パネル4やフローリング材等を布設し、床構造が施工されることになる。
【0024】
上述したように、下地パネル長尺載置部材Hを構成する、下地パネル30が載置される受台を、長尺受台20としたので、従来の下地パネル載置部材H’のように、下地パネル3の角部3aを、必ずしも、略平方形状の受台2に載置する必要がないので、下地パネル30の角部30aが、長尺受台20のどの位置にあってもよく、しかも、下地パネル30の短辺30’同士が、互いに、当接するように、下地パネル30を、下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20に載置すればよく、従って、従来の下地パネル載置部材H’のように、下地パネル3の短辺間に、受台2の中心部に穿設された縦孔2aが塞がれないような間隙を形成する必要がない。このように構成されているので、下地パネル長尺載置部材Hへの下地パネル3の布設作業の作業性が向上する。
【0025】
上述したように構成することにより、下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20が、根太として機能するので、従来の略平方形状の受台2に比べて、床構造の強度や剛性が増加することになる。
【0026】
なお、上述した実施例には、下地パネル長尺載置部材Hに、下地パネル3を載置した後、下地パネル3の水平出しを行うようにした構成が示されているが、下地パネル長尺載置部材Hに、下地パネル3を載置する前に、下地パネル長尺載置部材Hを構成する長尺受台20の上面に、水準器を載置するとともに、長尺受台20に穿設されている縦孔20aに、工具を挿入し、且つ、脚部材1を構成するボルト1aの上端に形成された工具挿入用溝1a1に、工具の先端を嵌合させて、工具を、適宜、回動させて、脚部材1を構成するナット1cを上下動させることにより、長尺受台20の水平出しを行うように構成することもできる。その後、水平出しされた長尺受台20に、下地パネル30を載置することにより、床構造が施工することができる。
【符号の説明】
【0027】
H・・・・・・・・・・・・・・・下地パネル長尺載置部材
H’・・・・・・・・・・・・・・下地パネル載置部材
S・・・・・・・・・・・・・・・スラブ
1・・・・・・・・・・・・・・・脚部材
2・・・・・・・・・・・・・・・受台
20・・・・・・・・・・・・・・長尺受台
3、30・・・・・・・・・・・・下地パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ上に載置される、受台と脚部材とからなる下地パネル載置部材及び該下地パネル載置部材に載置される下地パネルとからなる床構造において、前記下地パネル載置部材を構成する受台を、長尺受台として形成したことを特徴とする床構造の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−209596(P2010−209596A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57479(P2009−57479)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(594209072)竹村工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】