説明

床用敷物、および床用敷物のセット

【課題】縦横に連結可能とされた床用敷物において、使用状態に拘わらず外観上の体裁を良好に維持する。
【解決手段】床用敷物A1は、平面視矩形状のベース部材1と、ベース部材1の外周縁を構成する4つの側面部1a,1bのうち2つの側面部1aに設けられた筒状部2と、4つの側面部1a,1bのうち他の2つの側面部1bに設けられた係止部3と、を備え、筒状部2および係止部3が互いに係合することにより、縦横に連結可能とされた床用敷物A1であって、ベース部材1は、平面視矩形状の複数の単位領域10を有し、複数の単位領域10は、所定幅の境界部11を介して複数行、複数列に並んで一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床用敷物に関し、特に、縦横に複数連結した状態で床面上に敷き詰めて使用するのに適した床用敷物、および床用敷物のセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内外における通路や風除室には、靴底の汚れの除去、下地の保護などを目的として、床用敷物を所要箇所に敷き詰めることが行われている。この床用敷物としては、プラスチックなどにより形成された平面視矩形状のベース部材を具備したものが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている床用敷物は、同文献の図1に表れているように、本体1(ベース部材)の上面に格子を設けた構造とされている。平面視矩形状の本体1において、その外周縁を構成する4つの側面部のうち、隣合う2つの側面部には接続筒3(第1係止部)が設けられ、他の2つの側面部には挿入体7(第2係止部)が設けられている。そして、挿入体7を接続筒3に挿入し、これら接続筒3および挿入体7を互いに係合させることにより、縦横に複数連結可能とされている。
【0004】
上記構成の床用敷物は、たとえば、使用場所に応じて所望のサイズとなるように、縦横に複数連結した状態で床面上に敷き詰めて使用される。敷き詰められた複数の床用敷物の周縁部分は、必要に応じて切断される。また、上記構成の床用敷物は、視覚障害者用の警告パネルや誘導パネル(以下、「警告・誘導パネル」という)を取り囲むようにして使用される場合がある。
【0005】
このような種々の使用態様を考慮して、床用敷物については、外形寸法の異なる複数サイズとして作製される場合があり、図12に表れているように、たとえば、150mm角の小サイズの床用敷物X1と、450mm角の大サイズの床用敷物X2とが準備される。小サイズの床用敷物X1は、複数連結して敷き詰められる床用敷物X2の周縁付近や、サイズが300mm角の警告・誘導パネルPに隣接する位置に配置され、主としてサイズ調整の目的で使用される。
【0006】
複数の床用敷物X1(X2)を敷き詰めると、隣接する床用敷物X1(X2)の継ぎ目には所定幅の隙間が形成される。上記したサイズの異なる床用敷物X1,X2を混在して敷き詰めると、床用敷物X1,X2の継ぎ目が不揃いとなって外観上の体裁が悪くなるので、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭58−8384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、縦横に連結可能とされた床用敷物において、使用状態に拘わらず外観上の体裁を良好に維持することが可能な床用敷物、およびこのような床用敷物のセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される床用敷物は、平面視矩形状のベース部材と、上記ベース部材の外周縁を構成する4つの側面部のうち2つの側面部に設けられた第1係止部と、上記4つの側面部のうち他の2つの側面部に設けられた第2係止部と、を備え、上記第1係止部および第2係止部が互いに係合することにより、縦横に連結可能とされた床用敷物であって、上記ベース部材は、平面視矩形状の複数の単位領域を有し、上記複数の単位領域は、所定幅の境界部を介して複数行、複数列に並んで一体化されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成の床用敷物によれば、ベース部材における複数行、複数列に並んだ複数の単位領域は、所定幅の境界部によって互いに区切られている。これにより、ベース部材の上面においては、複数の単位領域が縦横に並ぶ態様が表れている。複数の床用敷物を縦横に連結して使用する際には、隣接する床用敷物の間の継ぎ目は、各床用敷物における隣接する単位領域の間の境界部との区別が付き難い。したがって、連結された複数の床用敷物は、継ぎ目の有無に拘わらず、同一の単位領域が連続して並ぶように見える。その結果、連結された床用敷物について、外観上の体裁が良好である。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記境界部の上部は、上記単位領域の上部よりも低位に位置する。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記各単位領域は、平面視において一定形状の複数の単位ブロックが縦横に配列された構成を含む。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記複数の単位ブロックは、平面視において複数ずつ並ぶ縦壁および横壁が縦横に交差した格子状の格子壁として構成され、上記格子壁の上部は、凸部および凹部からなる凹凸状とされている。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記凸部は、上記各縦壁と上記各横壁との交差部、および隣り合う2つの上記交差部の間に設けられており、上記凹部は、上記各横壁の上端縁における上記各縦壁に隣接する部位、および上記各縦壁の上端縁における上記各横壁に隣接する部位に設けられている。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記格子壁を構成する格子の目には、当該格子壁につながる十字状の追加壁が設けられており、上記各追加壁の中央交差部には、上方に突出する突起が設けられている。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記各追加壁は、上記中央交差部に隣接し、かつ上端縁が上記中央交差部から遠ざかるにつれて下方に変位する傾斜部と、上記傾斜部に隣接し、かつ上記格子壁に隣接する接続部と、を有し、上記接続部の上端縁は、上記格子壁の上記凹部よりも低位に位置する。
【0018】
好ましい実施の形態においては、上記第1係止部が設けられた上記2つの側面部には、基端が上記ベース部材の下部につながり、かつ外側に向けて延出する平板部を備え、上記平板部の先端には、上方に突出する帯状突部が設けられている。
【0019】
好ましい実施の形態においては、上記ベース部材の下面には、上記各側面部から所定寸法内側の位置を境界線とする凹段部が形成されている。
【0020】
本発明の第2の側面によって提供される床用敷物のセットは、本発明の第1の側面によって提供される床用敷物と同一の構成を有する、第1床用敷物と第2床用敷物とを備える床用敷物のセットであって、上記第1床用敷物における上記複数の単位領域は、第1の行数および列数で複数行、複数列に並んでおり、上記第2床用敷物における上記複数の単位領域は、上記第1の行数および列数とは異なる第2の行数および列数で複数行、複数列に並んでいることを特徴としている。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る床用敷物の一例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部拡大断面図である。
【図3】図1に示す床用敷物の要部拡大斜視図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。
【図5】図1に示す床用敷物の底面図である。
【図6】図1に示す床用敷物を連結した状態を示す平面図である。
【図7】本発明に係る床用敷物の他の例を示す平面図である。
【図8】図7に示す床用敷物を連結した状態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る床用敷物を連結した状態を示す要部断面図である。
【図10】本発明に係る床用敷物の使用状態の一例を示す平面図である。
【図11】(a)および(b)は、追加壁の他の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図12】従来の床用敷物の使用状態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1〜図5は、本発明に係る床用敷物の一例を示している。本実施形態の床用敷物A1は、平面視矩形状のベース部材1と、この外周縁を構成する側面部1a,1bに設けられた筒状部2および係止部3とを備え、たとえばポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂により一体形成されたものである。
【0025】
図1に表れているように、ベース部材1は、平面視矩形状の複数(本実施形態では4つ)の単位領域10を有する。これら単位領域10は、所定幅の境界部11を介して複数行、複数列(本実施形態では2行、2列)に並んで一体化されている。図2に表れているように、境界部11の上部11aは、単位領域10の上部よりも低位に位置している。本実施形態では、ベース部材1およびこれを構成する単位領域10は、いずれも平面視において略正方形とされている。
【0026】
単位領域10は、平面視において格子状とされた格子壁12を有する。格子壁12は、平面視において縦横に複数ずつ並ぶ縦壁121および横壁122が交差して構成されたものである。格子壁12の上部は、凸部12aおよび凹部12bからなる凹凸状とされている。
【0027】
図2〜図4に表れているように、凸部12aは、各縦壁121と各横壁122との交差部123、および隣り合う2つの上記交差部123の間に設けられている。本実施形態では、凸部12aおよび凹部12bは、それぞれ同一ピッチで交互に配列されており、隣り合う上記交差部123の間には、2つの凸部12aが設けられている。図2〜図4から理解されるように、凹部12bは、各横壁122の上端縁における各縦壁121に隣接する部位、および各縦壁121の上端縁における各横壁122に隣接する部位に設けられている。
【0028】
図1〜図3に表れているように、各単位領域10において、格子壁12を構成する(多数の)格子の目には、当該格子壁12につながる十字状の追加壁13が設けられている。本実施形態では、追加壁13は、隣接する2つの交差部123の中間において縦壁121または横壁122に接続しており、縦壁121または横壁122と平行となるように縦横に沿って形成されている。
【0029】
図2、図3に表れているように、追加壁13の中央交差部131には、上方に突出する突起13aが形成されている。突起13aの高さは、格子壁12の凸部12aの高さと同一である。追加壁13において、中央交差部131に隣接する部位(4箇所)は、上端縁が当該中央交差部131から遠ざかるにつれて下方に変位する傾斜部132とされている。また、追加壁13において、傾斜部132に隣接する部位(4箇所)は、接続部133とされている。接続部133は、格子壁12に隣接しており、当該格子壁12(縦壁121または横壁122)につながる部分である。接続部133の上端縁は、一定高さの平坦面とされており、格子壁12の凹部12bよりも低位に位置している。
【0030】
図4および図5に表れているように、ベース部材1の下面には、下方に突出する複数の突部14が形成されている。これら突部14は、たとえば上記した多数の追加壁13のうち選択された一部が下方に延出されることによって形成されたものを含む。突部14は、ベース部材1の下面において略均等に分散して配されており、これら突部14の先端は、いずれも同一平面上に位置している。かかる構成により、床用敷物A1が床面上に置かれると、これら突部14の先端が床面に当接することにより、ベース部材1が床面との間に所定の隙間をあけて床面上に支持されるようになっている。
【0031】
図5に表れているように、ベース部材1の下面にはまた、凹段部15が形成されている。凹段部15は、各側面部1a,1bから一定寸法内側の位置を境界線15a,15bとして囲まれた範囲に形成されている。ベース部材1の厚みは、凹段部15が形成された部分において周囲の他の部分よりも小とされている。
【0032】
図1に表れているように、筒状部2は、ベース部材1の外周縁を構成する4つの側面部1a,1bのうち隣り合う2つの側面部1aにそれぞれ設けられている。筒状部2は、係止部3を嵌入するための孔2aを有し、各側面部1aにおいて単位領域10に対応した2箇所に配されている。筒状部2が設けられた2つの側面部1aには、平板部16が設けられている。平板部16は、基端がベース部材1の下部につながるとともに、平面視においてベース部材1から外側に向けて延出している。図1および図2に表れているように、平板部16の先端には、上方に突出する帯状突部16aが設けられている。
【0033】
係止部3は、4つの側面部1a,1bのうち他の隣り合う2つの側面部1bにそれぞれ設けられている。係止部3もまた、各側面部1bにおいて単位領域10に対応した2箇所に配されている。1枚の床用敷物A1における筒状部2の孔2aに対して、他の床用敷物A1における係止部3を嵌入することにより、筒状部2および係止部3が互いに係合し、2枚の床用敷物A1を連結することができる。実際の使用に際しては、これと同様の手法により複数の床用敷物A1が縦横に連結される。
【0034】
図6は、本実施形態の床用敷物A1を縦横に複数連結した状態について、各床用敷物A1の格子壁12および追加壁13を省略し、単位領域10の輪郭を表したものである。同図に表れているように、隣接する床用敷物A1の継ぎ目には所定幅の隙間S1が形成される。
【0035】
床用敷物A1は、小サイズとして構成されたものであり、そのサイズはたとえば150mm角とされる。床用敷物A1のサイズ(150mm)は、縦横に複数連結された状態にある床用敷物A1のピッチ寸法であり、ベース部材1の一辺の長さ寸法L1と、上記隙間S1の寸法とを加算した寸法である。ここで、隙間S1の寸法は、隣接する床用敷物A1におけるベース部材1間の寸法であり、たとえば2mmに設定される。この場合、ベース部材1の一辺の長さ寸法L1は、148mmとされる。そして、ベース部材1における単位領域10の間の境界部11の幅寸法W1は、上記隙間S1の寸法と同じ2mmとされる。各単位領域10の一辺の長さ寸法は、73mmとされる。
【0036】
図7は、本発明に係る床用敷物の他の例を示している。図7に表れている床用敷物A2は、上記した床用敷物A1と基本的には同一の構成とされるが、上記の床用敷物A1とはサイズが異なっている。なお、同図に示された床用敷物A2について、上記の床用敷物A1と同一または類似の要素には床用敷物A1と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0037】
床用敷物A2は、大サイズとして構成されたものであり、そのサイズはたとえば450mm角とされる。したがって、床用敷物A2は、縦横の寸法が床用敷物A1の3倍のサイズであり、これに伴って、ベース部材1を構成する単位領域10の数が床用敷物A1とは異ならせられている。すなわち、床用敷物A2においては、単位領域10は境界部11を介して6行、6列に並んで一体化されており、合計36個の単位領域10を有する。なお、詳細な図示説明は省略するが、床用敷物A2における各単位領域10は、上記床用敷物A1の単位領域10と同様の構成とされており、上記した格子壁12および追加壁13を有する点についても床用敷物A1と同様である。
【0038】
図7に表れているように、床用敷物A2において、筒状部2は、各側面部1aにおいて単位領域10に対応した6箇所に配されており、係止部3もまた、各側面部1bにおいて単位領域10に対応した6箇所に配されている。1枚の床用敷物A2における筒状部2に対して、他の床用敷物A2における係止部3を嵌入することにより、筒状部2および係止部3が互いに係合し、2枚の床用敷物A2を連結することができる。
【0039】
図8は、床用敷物A2を複数連結した状態を表したものである。同図に表れているように、隣接する床用敷物A2の継ぎ目には所定幅の隙間S2が形成される。
【0040】
床用敷物A2のサイズ(450mm)は、複数連結された状態にある床用敷物A2のピッチ寸法であり、ベース部材1の一辺の長さ寸法L3と、上記隙間S2の寸法とを加算した寸法である。ここで、隙間S2の寸法は、隣接する床用敷物A2におけるベース部材1間の寸法であり、上記した隣接する床用敷物A1の隙間S1と同一である2mmに設定される。床用敷物A2におけるベース部材1の一辺の長さ寸法L3は、448mmとされる。そして、ベース部材1における単位領域10の間の境界部11の幅寸法W2は、上記隙間S2の寸法と同じ2mmとされる。各単位領域10の一辺の長さ寸法L4は、73mmとされる。
【0041】
上記した床用敷物A1および床用敷物A2の構成から理解されるように、小サイズの床用敷物A1と大サイズの床用敷物A2とは、互いに連結することが可能となっている。
【0042】
上記構成の床用敷物A1,A2は、使用場所に応じて所望のサイズとなるように、縦横に複数連結した状態で床面上に敷き詰めて使用される。床用敷物A1,A2を使用する際には、まず、所望枚数の床用敷物A1,A2を準備し、これら床用敷物A1,A2を上述したように縦横に連結して、屋内外の通路や風除室に敷き詰める。ここで、敷き詰められた床用敷物A1,A2全体の周縁部分は、必要に応じて切断される。次いで、床用敷物A1,A2の継ぎ目の隙間S1,S2に液状の接着剤を流し込み、当該接着剤により複数の床用敷物A1.A2の全体を一体的に固定させる(図9参照)。
【0043】
図10は、複数の床用敷物A1,A2を縦横に連結した使用状態の一例を示す平面図である。同図においては、警告・誘導パネルPを取り囲むようにして複数の床用敷物A1,A2を敷き詰めた場合を模式的に示している。
【0044】
図10では、図12を参照して上述した従来の床用敷物X1,X2に対応する配置とされており、図12において小サイズの床用敷物X1が置かれた位置には、小サイズの床用敷物A1が置かれ、図12において大サイズの床用敷物X2が置かれた位置には、大サイズの床用敷物A2が置かれている。なお、図10においては、床用敷物A1(A2)の境界と単位領域10の境界とを区別するために、床用敷物A1(A2)の継ぎ目を太線で表し、単位領域10の境界部11を細線で表している。
【0045】
床用敷物A1(A2)によれば、ベース部材1における複数行、複数列に並んだ複数の単位領域10は、所定幅の境界部11によって互いに区切られている。これにより、ベース部材の上面においては、複数の単位領域10が縦横に並ぶ態様が表れている。複数の床用敷物A1(A2)を縦横に連結して使用する際には、隣接する床用敷物A1(A2)の間の継ぎ目は、各床用敷物A1(A2)における隣接する単位領域10の間の境界部11との区別が付き難い。したがって、連結された複数の床用敷物A1(A2)は、継ぎ目の有無に拘わらず、同一の単位領域10が連続して並ぶように見える。その結果、連結された床用敷物A1(A2)について、外観上の体裁が良好である。
【0046】
また、床用敷物A1,A2は、いずれも同一構成の複数の単位領域10を有し、これら単位領域10が同一幅の境界部11を介して縦横に並んでいる。したがって、図10に表れているように、サイズの異なる床用敷物A1,A2を混在させて敷き詰めた場合においても、連結された複数の床用敷物A1,A2は、継ぎ目の有無に拘わらず、同一の単位領域10が連続して並ぶように見える。その結果、連結されたサイズの異なる床用敷物A1,A2についても、外観上の体裁を良好に維持することができる。
【0047】
床用敷物A1(A2)において、各単位領域10の格子壁12の上部は、凸部12aおよび凹部12bからなる凹凸状とされている。これにより、靴底の汚れが除去され易く、除塵性を高めることができる。
【0048】
格子壁12における凸部12aは、各縦壁121と各横壁122との交差部123、および隣り合う2つの交差部123の間に設けられている。その一方、凹部12bは、各横壁122の上端縁における各縦壁121に隣接する部位、および各縦壁121の上端縁における各横壁122に隣接する部位に設けられている。このため、ベース部材1の一部を切断する場合において、たとえば図1において仮想線で示したカットラインC1,C2のように、選択したいずれかの縦壁121あるいは横壁122の際に位置する凹部12bに沿ってカットすることが可能である。したがって、上記した凸部12aおよび凹部12bの配置によれば、床用敷物A1(A2)の切断時の作業性を高めることができる。
【0049】
格子壁12を構成する格子の目には、十字状の追加壁13が設けられており、追加壁13は、中交交差部131と、中央交差部131に隣接する傾斜部132と、傾斜部132に隣接し、かつ格子壁12に隣接する接続部133とを有する。このような傾斜部132および接続部133を有する構成によれば、ベース部材1を切断する場合に、傾斜部132によって接続部133が切断されるようにガイドされる。したがって、かかる構成は、縦壁121あるいは横壁122の際に沿って切断するのに適しており、床用敷物A1(A2)の切断時の作業性を高めるうえで好適である。
【0050】
また、接続部133の上端縁は、格子壁12の凹部12bよりも低位に位置している。このため、接続部133における垂直方向の断面積が格子壁12における垂直方向の断面積よりも小となっている。これにより、床用敷物A1(A2)の切断時における追加壁13での切断力が小さくて済むので、切断作業をスムーズに行うことができる。
【0051】
追加壁13の中央交差部131には上方に突出する突起13aが設けられているため、この突起13aによって除塵性の向上を図ることができる。また、追加壁13は、中央交差部131につながる十字状の傾斜部132を有し、傾斜部132の上端縁は中央交差部131から遠ざかるにつれて下方に変位している。このような傾斜部132を有する構成によれば、突起13aの補強としての機能を備えるとともに、靴底からの除去物(たとえば小石等)を下方に誘導することによって当該除去物が格子壁12および追加壁13の間に詰まるのを抑制することができる。さらに、上記したように、追加壁13の接続部133における垂直方向の断面積が格子壁12における垂直方向の断面積よりも小となっている。かかる構成によれば、追加壁13に垂直方向の荷重がかかる場合は、格子壁12に垂直方向の荷重がかかる場合に比べて、垂直方向への弾性変形量が大きくなる。したがって、追加壁13を具備する構成によれば、床用敷物A1(A2)のクッション性を高める効果が期待できる。
【0052】
筒状部2が設けられた2つの側面部には、基端がベース部材1の下部につながる平板部16が設けられている。平板部16は、平面視においてベース部材1の外側に延出しており、先端には上方に突出する帯状突部16aが設けられている。これにより、床用敷物A1の連結時には、図9に表れているように、平板部16が隣接する床用敷物A1の側面部1bの下部に当接しつつ、帯状突部16aが当該側面部1bの下部に係合することによって、隣り合う2枚の床用敷物A1(A2)の隙間が一定範囲内に規定されて位置決めが図られる。また、平板部16の先端に帯状突部16aが設けられた構成によれば、床用敷物A1(A2)の継ぎ目に流し込んだ接着剤Bが床面に流れ落ちるのを防止することができるので、床用敷物A1(A2)の連結状態を適切に維持するうえで好ましい。
【0053】
ベース部材1の下面には、凹段部15が形成されている。これにより、床用敷物A1(A2)の軽量化を図ることができる。また、連結された周縁部の段差をなくすニーズがある場合には、たとえば図示しない傾斜面を有する縁取り部材(図示略)が床用敷物A1(A2)の周縁ないし下面にまたがって取り付けられる。このとき、筒状部2または係止部3や、ベース部材1の下面に形成された突部14の一部を切り落とす必要があるが、段差部15は、各側面部1a,1bから一定寸法内側の位置を境界線15a,15bとする範囲に形成されている。このため、当該境界線15a,15bを、突部14等の切断範囲を規定するための目印として利用することができる。かかる構成によれば、上記縁取り部材を取り付ける際の作業性が改善される。
【0054】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る床用敷物の各部の具体的な形状や材質、寸法なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
上記実施形態においては、追加壁13について、上端縁が中央交差部131から遠ざかるにつれて下方に変位する傾斜部132と、上端縁が一定高さとされた接続部133とを備える場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。たとえば、図11(a)に表れているように、接続部133は、上端縁が傾斜部132の上端縁と一連につながる傾斜状とされることによって一定高さの平坦面を有しない構成としてもよい。また、図11(b)に表れているように、接続部133と傾斜部132との間に高さ方向における段差を有する構成としてもよい。
【0056】
上記実施形態では、格子壁12の格子の目に追加壁13が設けられた場合について説明したが、追加壁13を有しない構成としてもよい。また、単位領域10が平面視において格子状の格子壁12を有する場合について説明したが、これに限定されない。単位領域10としては、格子壁に代えて、たとえば円形や楕円形などの一定形状の複数の単位ブロックが縦横に配列された構成を含むものとすることができる。
【0057】
上記実施形態においては、ベース部材1および単位領域10が平面視において略正方形とされた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。ベース部材および単位領域は、平面視において長矩形状としてもよい。
【0058】
ベース部材1を構成する単位領域の数量(縦横に並ぶ行数および列数)については、上記実施形態に示した床用敷物A1(2行、2列)および床用敷物A2(6行、6列)に限定されない。また、単位領域が並ぶ行数と列数とは、必ずしも同数でなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
A1,A2 床用敷物
1 ベース部材
1a,1b 側面部
2 筒状部(第1係止部)
3 係止部(第2係止部)
10 単位領域
11 境界部
11a (境界部の)上部
12 格子壁
121 縦壁
122 横壁
123 交差部
12a 凸部
12b 凹部
13 追加壁
131 中央交差部
132 傾斜部
133 接続部
13a 突起
14 突部
15 凹段部
15a,15b 境界線
16 平板部
16a 帯状突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状のベース部材と、上記ベース部材の外周縁を構成する4つの側面部のうち2つの側面部に設けられた第1係止部と、上記4つの側面部のうち他の2つの側面部に設けられた第2係止部と、を備え、
上記第1係止部および第2係止部が互いに係合することにより、縦横に連結可能とされた床用敷物であって、
上記ベース部材は、平面視矩形状の複数の単位領域を有し、
上記複数の単位領域は、所定幅の境界部を介して複数行、複数列に並んで一体化されていることを特徴とする、床用敷物。
【請求項2】
上記境界部の上部は、上記単位領域の上部よりも低位に位置する、請求項1に記載の床用敷物。
【請求項3】
上記各単位領域は、平面視において一定形状の複数の単位ブロックが縦横に配列された構成を含む、請求項1または2に記載の床用敷物。
【請求項4】
上記複数の単位ブロックは、平面視において複数ずつ並ぶ縦壁および横壁が縦横に交差した格子状の格子壁として構成され、
上記格子壁の上部は、凸部および凹部からなる凹凸状とされている、請求項3に記載の床用敷物。
【請求項5】
上記凸部は、上記各縦壁と上記各横壁との交差部、および隣り合う2つの上記交差部の間に設けられており、
上記凹部は、上記各横壁の上端縁における上記各縦壁に隣接する部位、および上記各縦壁の上端縁における上記各横壁に隣接する部位に設けられている、請求項4に記載の床用敷物。
【請求項6】
上記格子壁を構成する格子の目には、当該格子壁につながる十字状の追加壁が設けられており、
上記各追加壁の中央交差部には、上方に突出する突起が設けられている、請求項5に記載の床用敷物。
【請求項7】
上記各追加壁は、上記中央交差部に隣接し、かつ上端縁が上記中央交差部から遠ざかるにつれて下方に変位する傾斜部と、上記傾斜部に隣接し、かつ上記格子壁に隣接する接続部と、を有し、
上記接続部の上端縁は、上記格子壁の上記凹部よりも低位に位置する、請求項6に記載の床用敷物。
【請求項8】
上記第1係止部が設けられた上記2つの側面部には、基端が上記ベース部材の下部につながり、かつ外側に向けて延出する平板部を備え、
上記平板部の先端には、上方に突出する帯状突部が設けられている、請求項1ないし7のいずれかに記載の床用敷物。
【請求項9】
上記ベース部材の下面には、上記各側面部から所定寸法内側の位置を境界線とする凹段部が形成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の床用敷物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の床用敷物と同一の構成を有する、第1床用敷物と第2床用敷物とを備える床用敷物のセットであって、
上記第1床用敷物における上記複数の単位領域は、第1の行数および列数で複数行、複数列に並んでおり、
上記第2床用敷物における上記複数の単位領域は、上記第1の行数および列数とは異なる第2の行数および列数で複数行、複数列に並んでいることを特徴とする、床用敷物のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−122263(P2012−122263A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274279(P2010−274279)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000133928)株式会社テラモト (62)
【Fターム(参考)】