説明

座標入力装置

【課題】消費電力が少なく、かつ、周囲の環境の変化に影響されることなく適正に座標入力できる座標入力装置を提供すること。
【解決手段】操作時に加えられる圧力を電圧変化として検出する抵抗からなる圧力センサ3a、3b、3c、3d、3eを有する座標入力装置21であって、前記圧力センサ3a、3b、3c、3d、3eに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子23、31を前記圧力センサ3a、3b、3c、3d、3eの電源側に設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標入力装置に係り、特に圧力センサを用いた座標入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より圧力センサを用いた座標入力装置は、コンピュータ等の入力装置として多用されている。
【0003】
このような座標入力装置としては各種の構成のものが提案されており、本出願人は感度のよく入力できる座標入力装置を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
図6から図8は本出願人の提案に基づく座標入力装置の1例を示している。
【0005】
図6から図8の座標入力装置は、二次元(X−Y)の入力ができるように形成されており、図6および図7は機械的構成を示し、図8は検出回路の構成を示している。この座標入力装置を説明すると、コンピュータ等に固着される基板1の中央の略円形状の載置部1a上に、フレキシブル基板2の抵抗体からなる4個の矩形状の圧力センサ3a、3b、3c、3dを備えた略十字形状のセンサ部3を載置し、そのセンサ部3の上に合成樹脂等の成型品からなる柔軟性を有する平円板状の基板部材4を載置し、載置部1aの外周部に90度間隔に起立形成した4個のクリップ5を図7に示すように基板部材4の上に折り曲げて基板1、フレキシブル基板2および基板部材4を互いに固定する。基板部材4の上には略円形状の操作部材6が中心の下面に突設されている図示しない中心軸を基板部材4の中心孔4hおよびフレキシブル基板2の中心孔2hに緩く挿入させて載置され、図示しないカバー部材を操作部材6のフランジ部6aに被せて操作部材6の位置がずれないように形成されている。フレキシブル基板2の4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dは90度間隔に配置されており、基板部材4には各圧力センサ3a、3b、3c、3dの上部位置にそれぞれ可撓自在な梁部4a、4b、4c、4dが配置されている。これらの梁部4a、4b、4c、4dを隔てるために相互間に略く字形の孔7が穿設されている。これらの梁部4a、4b、4c、4dの上面にはそれぞれ突起8a、8b、8c、8dが形成されている。
【0006】
4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dは、図6および図8に示すように、中心を挟んで直径位置において対向している2組の圧力センサ3aと3bおよび3cと3dがそれぞれX軸入力およびY軸入力を出力するように回路配置されている。図8に示すように、全圧力センサ3a、3b、3c、3dには常に基準電圧源9より基準電圧が印加されている。そして、操作部材6を下方に押圧して操作した際に、押圧力に対応する突起8a、8b、8c、8dを介して梁部4a、4b、4c、4dが下方に押圧されて撓み、圧力センサ3a、3b、3c、3dに発生するそれぞれの電圧変化を信号処理IC10のチップ内に設けられたX軸入力部11およびY軸入力部12に出力して、座標入力が行なわれるようになっている。
【0007】
図9から図11は本出願人の提案に基づく座標入力装置の他の例を示している。
【0008】
図9から図11の座標入力装置は、三次元(X−Y−Z)の入力ができるように形成されており、図9および図10は異なる例の機械的構成を示し、図11は検出回路の構成を示している。
【0009】
図9の座標入力装置を図6および図7に示す例と相違する点を主として説明すると、フレキシブル基板2の4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dに加えて中心孔2h部分にZ軸用の圧力センサ3eを設け、操作部材6は下面に突設されている中心軸6hによって圧力センサ3eを押圧するように形成されている。操作部材6の外周位置には下面が基板部材4の4個の突起8a、8b、8c、8dと対面する輪状の外側操作部材13が内周部を操作部材6のフランジ6aに載せるようにして載置されている。外側操作部材13の外周部分には、カバー部材14を外側操作部材13のフランジ部13aに被せて外側操作部材13の位置がずれないように形成されている。その他の構成は図6および図7に示す座標入力装置と同様に形成されている。
【0010】
図10の座標入力装置は、図9の座標入力装置の4個の突起8a、8b、8c、8dを省き、変わりに外側操作部材13の下面に4個の突起15a、15b、15c、15dを設けたものである。
【0011】
図9および図10に示す座標入力装置においては、5個の圧力センサ3a、3b、3c、3d、3eは、図11に示すように、回路配置されている。図11に示すように、基準電圧源9にマルチプレクサ15を介して4個のX−Y軸出力用の圧力センサ3a、3b、3c、3dと1個のZ軸出力用の圧力センサ3eとに切替通電できるように形成されている。マルチプレクサ15は信号処理IC10から出力されるマルチプレクサ切替信号を受けることにより接点15aが2個の端子15b、15cを切替自在に形成されている。一方の端子15bには1個のZ軸出力用の圧力センサ3eと4個のX−Y軸出力用の圧力センサ3a、3b、3c、3dとが直列に接続されており、他方の端子15CにはZ軸出力用の圧力センサ3eと4個のX−Y軸出力用の圧力センサ3a、3b、3c、3dとの接続点に接続されている。この接続点からは信号処理IC10のチップ内に設けられたZ軸入力部16に出力するように形成されている。その他は図8に示す回路と同様に形成されている。
【0012】
【特許文献1】特開2004−048121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図8および図11に示す従来の座標入力装置においては、圧力センサ3a、3b、3c、3d、3eに対して常時基準電圧源9から通電しているために、消費電力が多くなり、例えば、バッテリを電源とするパソコンにおいてはバッテリの消費速度が早くなるという不都合があった。
【0014】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、消費電力が少ない座標入力装置を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、消費電力が少なく、かつ、周囲の環境の変化に影響されることなく適正に座標入力できる座標入力装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明に係る座標入力装置は、操作時に加えられる圧力を電圧変化として検出する抵抗からなる圧力センサを有する座標入力装置であって、前記圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子を前記圧力センサの電源側に設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の座標入力装置によれば、スイッチング素子によって圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御することにより、座標入力装置の消費電力を大きく低減することができる。
【0018】
また、本発明に係る座標入力装置は、操作時に加えられる圧力を電圧変化として検出する抵抗からなる圧力センサを有する座標入力装置であって、前記圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子を前記圧力センサの電源側に設け、前記スイッチング素子の特性が周辺の環境変化により変化した場合にその変化を相殺する相殺手段を前記圧力センサの接地側に設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明の座標入力装置によれば、スイッチング素子によって圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御することにより、座標入力装置の消費電力を大きく低減することができ、更に、前記スイッチング素子の特性が周辺の環境変化により変化した場合においても相殺手段がその変化を相殺するので、前記圧力センサの検出出力は常に適正なものとなる。
【0020】
また、本発明に係る座標入力装置は、前記スイッチング素子と相殺手段とが、同一のICチップ内に互いに近接して配置されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の座標入力装置によれば、前記スイッチング素子と相殺手段とがほぼ同一の環境変化を受けることとなり、相殺手段による相殺作用が適正に作用して、前記圧力センサの検出出力が常に適正なものとなる。
【0022】
また、本発明に係る座標入力装置は、前記相殺手段が、スイッチング素子と同一物により形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の座標入力装置によれば、前記相殺手段とスイッチング素子とが同一物であるので、両者は同一の環境変化の影響を受けて同一に変化するものであり、前記圧力センサへの影響はなくなり、圧力センサの検出出力がより適正なものとなる。
【0024】
また、本発明に係る座標入力装置は、前記スイッチング素子が、FETにより形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の座標入力装置によれば、前記スイッチング素子がFETであるために、前記の各作用がより適正に発揮されることとなる。
【0026】
また、本発明に係る座標入力装置は、前記圧力センサの電源側に設けられた前記スイッチング素子はP型に形成されており、前記圧力センサの接地側に設けられた前記スイッチング素子はN型に形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明の座標入力装置によれば、P型とN型の2個のFETが同一の環境変化の影響を受けて同一に変化するものであり、前記圧力センサへの影響は更になくなり、圧力センサの検出出力がより適正なものとなる。
【発明の効果】
【0028】
以上述べたように、本発明に係る座標入力装置によれば、消費電力が少なく、また更に、周囲の環境の変化に影響されることなく適正に座標入力することができるという優れた効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る座標入力装置の実施形態を図により説明する。
【0030】
[第一実施形態]
図1は本発明の第一実施形態の回路構成を示す。本実施形態は二次元(X−Y)の入力ができるように形成されており、従来と同一部分には同一符号を付してある。
【0031】
本実施形態の座標入力装置21においては、信号処理IC10のチップの外部に4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dが配置されている。即ち、2組の圧力センサ3aと3bおよび3cと3dがそれぞれX軸入力およびY軸入力を出力するように並列接続されており、1端部が接地され、他端部が信号処理IC10のチップの基準電力の出力端子22に接続されている。その基準電圧源9と出力端子22との間に圧力センサ3a、3b、3c、3dに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子の1例としてFET23が形成されている。このFET23はP型であり、基準電源印加オン・オフ信号がゲートに供給されてオン・オフ制御される。また、2組の圧力センサ3aと3bおよび3cと3dとの接続点はそれぞれ信号処理IC10のチップの入力端子24、25に接続されており、増幅器26、27を介してX軸出力部11、Y軸出力部12へ検出電圧を出力するように形成されている。
【0032】
次ぎに、本第一実施形態の作用を説明する。
【0033】
本実施形態においては、座標入力を行なう場合には、FET23のゲートに基準電源印加オン信号が供給され、FET23がオンとされて基準電圧源9より基準電圧VDDが4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dに印加される。この状態で操作部材6のを下方に押圧して操作した際に、押圧力に対応する突起8a、8b、8c、8dを介して梁部4a、4b、4c、4dが下方に押圧されて撓み、圧力センサ3a、3b、3c、3dに発生するそれぞれの電圧変化、具体的には2組の圧力センサ3aと3bおよび3cと3dにおける電圧の分圧比の変化が出力され、増幅器26、27によって増幅されてX軸出力部11、Y軸出力部12へ入力されて、座標入力が行なわれる。
【0034】
また、座標入力を行なわない場合には、FET23のゲートに基準電源印加オフ信号が供給され、FET23がオフとされて基準電圧源9からの基準電圧VDDの印加が阻止される。
【0035】
このように本実施形態によれば、スイッチング素子であるFET23によって4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dに付与する電圧をオン・オフ制御することができるために、座標入力装置21の消費電力を大きく低減することができる。また、スイッチング素子としてFET23を用いているので、信号処理IC10のチップ内に一体成形することができる。
【0036】
[第二実施形態]
図2は本発明の第二実施形態の回路構成を示す。本実施形態は二次元(X−Y)の入力ができるように形成されており、第一実施形態における4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dの接地側にスイッチング素子としてのN型のFET28を設けたものである。その他の構成は第一実施形態と同一に形成されている。
【0037】
更に説明すると、FET28は信号処理IC10のチップの入力端子29と出力端子30との間に信号処理IC10のチップ内に一体成形されており、そのゲートに常に基準電圧が印加されてオンとされている。4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dの接地側の端部は入力端子29に接続され、出力端子30は接地されている。
【0038】
次ぎに、本第二実施形態の作用を説明する。
【0039】
本実施形態においては、座標入力を行なう場合には、FET23のゲートに基準電源印加オン信号が供給され、FET23がオンとされて基準電圧源9より基準電圧VDDが4個の圧力センサ3a、3b、3c、3d、FET28に順に印加される。この状態で操作部材6のを下方に押圧して操作した際に、押圧力に対応する突起8a、8b、8c、8dを介して梁部4a、4b、4c、4dが下方に押圧されて撓み、圧力センサ3a、3b、3c、3dに発生するそれぞれの電圧変化、具体的には2組の圧力センサ3aと3bおよび3cと3dにおける電圧の分圧比の変化が出力され、増幅器26、27によって増幅されてX軸出力部11、Y軸出力部12へ入力されて、座標入力が行なわれる。
【0040】
また、座標入力を行なわない場合には、FET23のゲートに基準電源印加オフ信号が供給され、FET23がオフとされて基準電圧源9からの基準電圧VDDの印加が阻止される。
【0041】
このように本実施形態によれば、スイッチング素子であるFET23によって4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dに付与する電圧をオン・オフ制御することができるために、座標入力装置21の消費電力を大きく低減することができる。また、スイッチング素子としてFET23、28を用いているので、信号処理IC10のチップ内に一体成形することができる。
【0042】
更に本実施形態においては、圧力センサ3a、3b、3c、3dに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子としてのFET23を圧力センサ3a、3b、3c、3dの電源側に設け、スイッチング素子としてのFET23の特性が周辺の環境変化により変化した場合にその変化を相殺する相殺手段としてのFET28を圧力センサ3a、3b、3c、3dの接地側に設けているので、スイッチング素子としてのFET23の特性が周辺の環境変化により変化した場合においても相殺手段としてのFET28がその変化を相殺するので、圧力センサ3a、3b、3c、3dの検出出力は常に適正ものとなる。周辺の環境変化としては、基準電圧源VDDの変動や温度変化が挙げられる。このような環境変化が2個のスイッチング素子と相殺手段としてのFET23、28のオン抵抗に同じように作用するために互いに相殺することとなり、圧力センサ3a、3b、3c、3dからの出力(2つの抵抗で分圧された電圧)の変動は、図1の第一実施形態の場合と比較すると小さくなる。更に説明すると、例えば、スイッチング素子と相殺手段としてのFET23、28のオン抵抗は数Ωから数十Ωであるとすると、入力時における圧力センサ3a、3b、3c、3dの抵抗値の変化は数ミリΩから数十Ωである。このような関係において、相殺手段を設けないで一方のスイッチング素子としてのFET23のみを設けた場合には、一方のFET23のオン抵抗が電源電圧変化や温度変化により数十ミリΩから数十Ω変動すると、圧力センサ3a、3b、3c、3dの抵抗変化と見分けがつかないため、検出に誤動作が発生する可能性があるが、他方の相殺手段としてのFET28を設けることによりFET23のオン抵抗の変動を相殺することができる。
【0043】
更に、本実施形態のように、スイッチング素子23と相殺手段28とが、同一の信号処理IC10のチップ内互いに近接して配置されているので、スイッチング素子23と相殺手段28とがほぼ同一の環境変化を受けることとなり、相殺手段28による相殺作用が適正に作用して、圧力センサ3a、3b、3c、3dの検出出力が常に適正なものとなる。
【0044】
更に、本実施形態のように、相殺手段28がスイッチング素子23と同一物(本実施形態においてはFET)により形成されているので、両者23、28は同一の環境変化の影響を受けて同一に変化するものであり、圧力センサ3a、3b、3c、3dへの影響はなくなり、圧力センサ3a、3b、3c、3dの検出出力がより適正なものとなる。更に、スイッチング素子としてFET23を用いることにより、前記の各作用がより適正に発揮されることとなる。
【0045】
更に、本実施形態のように、圧力センサ3a、3b、3c、3dの電源側に設けられたスイッチング素子としてのFET23をP型に形成し、記圧力センサ3a、3b、3c、3dの接地側に設けられた相殺手段としてのFET28をN型に形成してあるので、P型とN型の2個のFET23、28が同一の環境変化の影響を受けて同一に変化するものであり、圧力センサ3a、3b、3c、3dへの影響は更になくなり、圧力センサ3a、3b、3c、3dの検出出力がより適正なものとなる。
【0046】
図3および図4は第一実施形態および第二実施形態の等価回路図である。
ここで各圧力センサ3a、3b、3c、3dのの抵抗値をRS、スイッチング素子および相殺手段のFET23、29のオン抵抗をrとする。
【0047】
図3の第1実施形態においては、センサ3a、3b、3c、3dの電源供給側にのみスイッチング素子としてのFET23があるため、抵抗で分圧されたICの入力電圧Viは
Vi={RS/(2RS+r)}×VDD
となる。
【0048】
ここでスイッチング素子としてのFET23のオン抵抗が+αΩ変化したとすると、入力電圧Vi’は
Vi’={RS/(2RS+r+α)}×VDD
となり、
電圧変動値△VI=(Vi−Vi’)は
△VI=(Vi−Vi’)={αRS/(2RS+r)(2RS+r+α)}
となる。
【0049】
これに対して、図4の第二実施形態において上記と同様に計算すると
Vi=(1/2)×VDD
Vi’=(1/2)×VDD
△VI=(Vi−Vi’)=0
となり、第二実施形態の圧力センサ3a、3b、3c、3dの電圧変動は小さく抑えられることとなる。
【0050】
なお、計算式の簡略化のためセンサ3a、3b、3c、3dの抵抗を全てRS、スイッチング素子のオン抵抗を全てrとしたが、実際にはばらつきがあり同じではないものである。
【0051】
[第三実施形態]
図5は本発明の第三実施形態の回路構成を示す。本実施形態は三次元(X−Y−Z)の入力ができるように形成されており、第二実施形態における4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dの基準電圧側に圧力センサ3eをスイッチング素子としてのFET31とを設けたものである。その他の構成は第二実施形態と同一に形成されている。
【0052】
更に説明すると、FET31は信号処理IC10のチップの出力端子31と基準電圧源9との間に信号処理IC10のチップ内に一体成形されており、そのゲートに基準電源印加オン・オフ信号が供給されてオン・オフ制御される。圧力センサ3eは信号処理IC10のチップの出力端子31と4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dの基準電圧側の端部に接続されている。
【0053】
次ぎに、本第三実施形態の作用を説明する。
【0054】
X−Y軸の二次元の動作は第二実施形態の場合と同様であるので、ここではZ軸の動作を説明する。
【0055】
本実施形態においては、Z軸の座標入力を行なう場合には、FET31のゲートに基準電源印加オン信号が供給され、FET31がオンとされて基準電圧源9より基準電圧VDDが圧力センサ3e、4個の圧力センサ3a、3b、3c、3d、FET28に順に印加される。他方のFET23はオフとされている。この状態で操作部材6を下方に押圧して圧力センサ3eに押圧力を作用させると、当該圧力センサ3eより発生する電圧変化が圧力センサ3eと4個の圧力センサ3a、3b、3c、3dとの接続点から出力され、出力端子22を通して信号処理IC10のチップ内に設けられたZ軸出力部16へ入力されて、座標入力が行なわれる。
【0056】
また、座標入力を行なわない場合には、FET31のゲートに基準電源印加オフ信号が供給され、FET31がオフとされて基準電圧源9からの基準電圧VDDの印加が阻止される。
【0057】
このようにして第三実施形態においては三次元の入力が極めて良好に行なわれる。
【0058】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0059】
例えば、スイッチング素子23、31および相殺手段28としてはFET以外のスイッチング素子を用いることができる。また、相殺手段28としては常にオン抵抗が存在すればよいので、抵抗体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の座標入力装置の第一実施形態を示す回路図
【図2】本発明の座標入力装置の第二実施形態を示す回路図
【図3】本発明の座標入力装置の第一実施形態の等価回路図
【図4】本発明の座標入力装置の第二実施形態の等価回路図
【図5】本発明の座標入力装置の第三実施形態を示す回路図
【図6】従来の座標入力装置の一例を示す分解斜視図
【図7】図6の従来例の組立斜視図
【図8】従来の座標入力装置の一例を示す回路図
【図9】従来の座標入力装置の他の例を示す半断斜視図
【図10】従来の座標入力装置の更に他の例を示す半断斜視図
【図11】従来の座標入力装置の他の例を示す回路図
【符号の説明】
【0061】
3a、3b、3c、3d、3e 圧力センサ
9 基準電圧源
10 信号処理IC
21 座標入力装置
23、31 スイッチング素子(FET)
28 相殺手段(FET)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作時に加えられる圧力を電圧変化として検出する抵抗からなる圧力センサを有する座標入力装置であって、前記圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子を前記圧力センサの電源側に設けたことを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】
操作時に加えられる圧力を電圧変化として検出する抵抗からなる圧力センサを有する座標入力装置であって、前記圧力センサに付与する電圧をオン・オフ制御するスイッチング素子を前記圧力センサの電源側に設け、前記スイッチング素子の特性が周辺の環境変化により変化した場合にその変化を相殺する相殺手段を前記圧力センサの接地側に設けたことを特徴とする座標入力装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子と相殺手段とは、同一のICチップ内に互いに近接して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の座標入力装置。
【請求項4】
前記相殺手段は、スイッチング素子と同一物により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の座標入力装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、FETにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の座標入力装置。
【請求項6】
前記圧力センサの電源側に設けられた前記スイッチング素子はP型に形成されており、前記圧力センサの接地側に設けられた前記スイッチング素子はN型に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の座標入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−41051(P2008−41051A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218328(P2006−218328)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】