説明

廃グリセリンの燃料処理装置および方法

【課題】高エネルギーを含んでいる廃グリセリンを無駄に廃棄処分することなく、燃料エネルギーに簡単に、安全に有効に利用する。
【解決手段】 加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナー10に廃グリセリン噴射用の二流体ノズル11と燃料油噴射用のノズル18とを併設する。前記廃グリセリン噴射用の二流体ノズル11には所定圧力の空気とともに廃グリセリンを供給する一方、燃料油噴射用のノズル18には燃料油を供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させる。廃グリセリンの供給割合は、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対し30〜70%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料処理分野における、廃グリセリンの燃料処理装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇化から、植物性油を利用したバイオエネルギーの利用の研究開発が行われている。しかし、植物性油脂を原料としてバイオディーゼル燃料を製造するにあたり、油脂とアルコールのエステル化反応で廃出物としてグリセリンが副生される。
【0003】
副生される廃グリセリンを高純度のグリセリンに精製して再利用することも考えられているが、相当な手間と時間がかかるとともに、コスト高になる。そのため、処理しきれない廃グリセリンは、廃棄物として処分されている。
【0004】
本出願人らは、副生される廃グリセリンのもつ高いエネルギーに注視し、安価に得られる廃グリセリンを利用してボイラーやドライヤー等の燃料に利用をはかるべく鋭意研究開発している。
【0005】
廃グリセリンの利用について、特開2009−298619号公報や特開2009−280761号公報のようにグリセリンを改質して有価ガスに転換したり、乳化分散剤と廃グリセリンを添加した水分散液と燃料油を混合したエマルジョン燃料とすることが提案されている。
【0006】
しかし、前者では改質反応が数百℃といった高温で進行するため、酸化反応が暴発するなどの危険性を伴うものであり、後者では廃グリセリンと燃料油を混合したエマルジョン燃料であるが、このエマルジョン燃料を直接的にボイラーやドライヤーのバーナーに供給しても、上手く燃焼できないものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高エネルギーを含んでいる廃グリセリンを無駄に廃棄処分することなく、燃料エネルギーに簡単に、安全に有効に利用することが課題である。
【0008】
本発明は8上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、請求項1のように、廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、前記廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記各ノズルに廃グリセリンと燃料油とを所定量ずつ供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させるようにしたことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置を提供するにある。
【0009】
また、請求項2のように、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を30〜70%としてバーナーで燃焼するようにしたことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置を提供するにある。
【0010】
さらに、請求項3のように、廃グリセリンを貯蔵タンクに貯蔵して燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンを30〜100℃に加熱するプレヒータを配設し、上記プレヒータで加熱した廃グリセリンを所定の圧力の空気とともに二流体ノズルに吹き込んで該二流体ノズルから噴射するように形成したことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置を提供するにある。
【0011】
さらに、請求項4のように、廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する供給ポンプに軸動力計を配設し、この軸動力計を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置を提供するにある。
【0012】
さらにまた、請求項5のように、廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンの粘度を検出する粘度センサーを配設し、この粘度センサーを介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置を提供するにある。
【0013】
さらにまた、請求項6のように、廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記燃料油噴射用のノズルには所定量の燃料油を供給する一方、廃グリセリン噴射用の二流体ノズルには30〜100℃に予熱した廃グリセリンを廃グリセリンと燃料油の総供給量に対して30〜70%の供給割合にて供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させることを特徴とする廃グリセリンの燃料処理方法を提供するにある。
【0014】
またさらに、請求項7のように、バーナーで燃焼して排出した排出ガス中のCO濃度をCO濃度センサーで検出し、所定のCO濃度となるように廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を加減するようにフィードバックしてバーナーで燃焼することを特徴とする廃グリセリンの燃料処理方法を提供するにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、請求項1に記載のとおり、廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、前記廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記各ノズルに廃グリセリンと燃料油とを所定量ずつ供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させるようにしたことによって、従来の大量に無駄に廃棄処分される廃グリセリンを容易に、かつ安全にバーナーに供給して燃焼処理でき、高エネルギー保有の廃グリセリンを有益に利用できる。
【0016】
また、請求項2に記載のとおり、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を30〜70%としてバーナーで燃焼するようにしたことによって、廃グリセリンを30〜70%のかなり高い割合で再利用でき、それによって廃グリセリンを有効に大量処理できるとともに燃料油の供給量を減らせ、経済的効果の高いものとすることができる。
【0017】
また、請7項3に記載のとおり、廃グリセリンを貯蔵タンクに貯蔵して燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンを30〜100℃に加熱するプレヒータを配設し、上記プレヒータで加熱した廃グリセリンを所定の圧力の空気とともに二流体ノズルに吹き込んで該二流体ノズルから噴射するように形成したことによって、廃グリセリンをプレヒータで円滑に流動可能な状態の粘性流体にでき、バーナーの二流体ノズルから所定圧の空気を介して霧状に噴射できて、エネルギー効率よく燃焼できる。
【0018】
さらに、8求項4に記載のとおり、廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する供給ポンプに軸動力計を配設し、この軸動力計を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことによって、供給ポンプの軸動力計とプレヒータを介して廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナーの二流体ノズルに供給できる。
【0019】
さらに、請求項5に記載のとおり、廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンの粘度を検出する粘度センサーを配設し、この粘度センサーを介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことによって、粘度センサーとプレヒータを介して廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナーの二流体ノズルに供給できる。
【0020】
さらにまた、請求項6に記載のとおり、廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記燃料油噴射用のノズルには所定量の燃料油を供給する一方、廃グリセリン噴射用の二流体ノズルには30〜100℃に予熱した廃グリセリンを廃グリセリンと燃料油の総供給量に対して30〜70%の供給割合にて供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させることによって、上記のように廃グリセリンを30〜100℃に加熱して30〜70%のかなり高い割合で再利用でき、それによって廃グリセリンを有効に大量処理できるとともに燃料油の供給量を減らせ、経済的効果の高いものとすることができる。
【0021】
またさらに、請求項7に記載のとおり、バーナーで燃焼して排出した排出ガス中のCO濃度をCO濃度センサーで検出し、所定のCO濃度となるように廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を加減するようにフィードバックしてバーナーで燃焼することによって、廃グリセリンを白煙等の出ない安定した状態で燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例の概要説明用系統図、
【図2】同上の廃グリセリンと重油との供給割合の燃焼状態説明用図、
【図3】同上のバーナー部の説明用図、
【図4】同上の他の実施例の廃グリセリンの供給ポンプ部の制御説明用図、
【図5】同上の他の実施例の廃グリセリンの供給ポンプ部の制御説明用図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の廃グリセリンの燃料処理装置および方法は、廃食油の燃料処理時に生成される廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、前記廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記各ノズルに廃グリセリンと燃料油とを所定量ずつ供給してバーナーにて燃焼するようにしたことを特徴としている。
【0024】
廃グリセリンの燃料処理装置1は、図1のように所定容量の貯蔵タンク2に廃食油のバイオディーゼル燃料を生成する際等に副生される廃グリセリンを貯蔵し、開閉弁3等を介して送り出し用の供給ポンプ4を配設し、途中の配管5にプレヒータ6、フィルター7、開閉弁8、流量計9等を適宜に配管接続して、ボイラーやドライヤー等の加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナー10に設けた二流体ノズル11に供給するようにしている。
【0025】
廃グリセ5ンは、食品工場や家庭などから廃棄される動植物油からバイオディーゼル燃料を製造する際にエステル化反応で副生されるもので、近年のバイオディーゼル燃料の製造量の増加に伴い大量に発生してその処分に困るものである。
【0026】
貯蔵タンク2は、たとえば10000〜30000リットル容量等として十分な量の廃グリセリンを貯蔵でき、その容量はプラントの処理能力に対応でき、その底部に必要により防爆用のヒータを内装して、後続のプレヒータ6で所要の温度に迅速に適宜な流動状態に保温するようにすることが好ましい。
【0027】
また、送り出し用の供給ポンプ4は、インバータ駆動制御等とした1〜5リットル/分の適宜量の供給量のギヤーポンプ等とし、配管5の途中に接続したプレヒータ6は防爆型のものとして、廃グリセリンの温度と粘性の関係図から廃グリセリンを30〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度範囲に加熱制御して、粘度を好ましくは数cst〜20cstの円滑に流動可能な状態としてボイラーやドライヤー等の燃焼用のバーナー10の二流体ノズル11に供給可能とするとともに、コンプレッサー12等での圧縮空気をレギュレータ13等を介して前記二流体ノズル11に送って廃グリセリンを燃焼しやすい霧状に噴霧するようにしている。供給ポンプ4等の容量も、プラントの処理能力に対応できるものとしている。
【0028】
また、図1のように重油や灯油等の燃料油は、燃料油タンク14に流量計15、開閉弁16等を介して供給用ポンプ17を配管接続し、上記したバーナー10に設けた他方のノズル18に配管接続して噴射自在としている。
【0029】
バーナー10は、バーナー部に廃グリセリン噴射用の二流体ノズル11と燃料油噴射用のノズル18とを並行状に配設して成る高粘度で難燃性の廃グリセリンを燃焼可能としたものであり、図1のように開閉量調節可能なオイルバルブ19、20を二流体ノズル11、及びノズル18にそれぞれ接続し、廃グリセリンと燃料油とを所定割合にて、例えば廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を30〜70%、好ましくは50〜70%として供給して燃焼できるようにしている。
【0030】
廃グリセリンは、単独では燃焼できなく、また表1、図2からも分かるように、燃料油とともに燃焼させるようにすれば、燃料油の燃焼を利用しながら一応燃焼可能とはなるものの、一流体ノズルでは白煙が発生して良好な燃焼ができない。一方、二流体ノズルであれば、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込むことで燃焼可能となり、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合が0〜50%では白煙も出ずに火炎状態もよく燃焼することができる。このように、廃グリセリン噴射用に二流体ノズルを採用することにより廃グリセリンの供給割合が50%程度であれば十分に燃焼できることが確認され、また90〜100%では燃焼が不十分であることから、70%位の供給割合までは十分に燃焼できると判断できる。なお、廃グリセリンの供給量が多い程、安価で大量発生する廃グリセリンを有効に大量処理できるとともに燃料油の供給量を減らせ、経済的効果も高く好ましいといえる。一方、廃グリセリンの供給割合が30%以下では、余り経済的効果も高くなく、好ましくないといえる。
【0031】
表1 廃グリセリンと重油との供給割合の燃焼状況説明表
【表1】


【0032】
このようなことから、図3のようにバーナー10で燃焼して排出したアスファルトプラントや発電プラント等のプラントの排熱供給ダクトや排出ダクト等の排出ガスダクト21等に電気化学式のCO濃度センサー22の濃度検出センサーを配設して排出ガス中のCO濃度が約800ppm 以上になったら、上記オイルバルブ19、20の開閉量を調節するようにフィードバック制御するようにして、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を適正に加減するようにフィードバックしてバーナー10で良好に燃焼できるようにしている。
【0033】
また、バーナー10は、バーナーファン23をインバータ制御等のファンモーター24で駆動自在とし、LPGボンベ25等でパイロットバーナー26にLPGガスを供給して、ノズル11、18から噴射された廃グリセリン、燃料油の霧状ガスに点火して燃焼するようにしている。
【0034】
また、図4のように、廃グリセリンを燃焼用のバーナー10へ供給する供給ポンプ4に電流検出等の軸動力計27を配設し、この軸動力計27を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータ6にフィードバックして加熱制御して、廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナー10の二流体ノズル11に供給するようにできる。
【0035】
またさらに、図5のように、廃グリセリンを燃焼用のバーナー10へ供給する配管の途中に廃グリセリンの粘度を検出する粘度センサー28を配設し、この粘度センサー28を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータ6にフィードバックして加熱制御して、廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナー10の二流体ノズル11に供給するなどとできる。
【実施例】
【0036】
図1は、本発明の一実施例を示すもので、廃グリセリンの燃料処理装置1は、図1のように30000リットル容量の貯蔵タンク2に廃食油のバイオディーゼル燃料を生成する際に副生される廃グリセリンを貯蔵し、インバータ駆動制御とした1〜5リットル/分供給量のギヤーポンプの供給ポンプ4で送り出し自在とし、途中の配管5にプレヒータ6、フィルター7、開閉弁8、流量計9等を適宜に配管接続して、ドライヤー等の乾燥装置の燃焼用のバーナー10に設けた二流体ノズル11に供給するようにしている。
【0037】
また、配管5の途中のプレヒータ6で、廃グリセリンを30〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度範囲に加熱制御して、粘度を好ましくは数cst〜20cstの円滑に流動可能な状態としてバーナー10の二流体ノズル11に供給可能とするとともに、コンプレッサー12での圧縮空気をレギュレータ13を介して前記二流体ノズル11に送って廃グリセリンを良好な燃焼が可能なように霧状に噴霧できるようにしている。
【0038】
バーナー10は、バーナー部に廃グリセリン噴射用の二流体ノズル11と燃料油噴射用のノズル18の2本のノズルを並行状に配設し、図1のように開閉量調節可能なオイルバルブ19、20を二流体ノズル11、及びノズル18にそれぞれ接続し、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を30〜70%、好ましくは50〜70%にて可変に供給して燃焼するようにしている。
【0039】
いろいろな条件で燃焼試験を行った結果、表1、図2のように廃グリセリン噴射用に二流体ノズルを採用すれば、廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合が0〜50%の供給割合では白煙も出ずに火炎状態もよく燃焼することができた。廃グリセリンは、50%の供給割合で十分に燃焼できたが、90〜100%では燃焼が不十分であることから、70%位の供給割合までは十分に燃焼できると判断できた。なお、廃グリセリンの供給量が多い程、安価で大量発生する廃グリセリンを有効に大量処理できるとともに燃料油の供給量を減らせ、経済的効果も高くて好ましいといえる。
【0040】
なお、例えばアスファルトプラントにおいては、バーナー10の加熱対象である骨材の含水量にばらつきがあり、一定の燃焼量では良好に加熱乾燥させることができないため、骨材の含水量に応じて変動する骨材温度や排ガス温度などに基づいてバーナー10の燃焼量を調整する必要がある。その場合、先ず燃料油側のオイルバルブ20の開閉量を調節して燃料油噴射用のノズル18からの燃料油の噴射量を制御してバーナー10の燃焼量を調整した後、その燃料油の供給量に応じて廃グリセリン側のオイルバルブ19の開閉量を調節して廃グリセリン噴射用の二流体ノズル11からの廃グリセリンの噴射量を制御してバーナー10の燃焼量を調整するとよい。
【0041】
図3は、本発明の他の実施例で、バーナー10で燃焼して排出したアスファルトプラントの排出ガスダクト21に電気化学式のCO濃度センサー22を配設し、排出ガス中のCO濃度が約800ppm 以上になったらオイルバルブ19、20の開閉量を調節するようにフィードバック制御したものである。このようにすると、廃グリセリンと燃料油の供給割合を適正に加減することができ、バーナー10で良好に燃焼することができる。
【0042】
また、図4は本発明の他の実施例で、廃グリセリンを燃焼用のバーナー10の二流体ノズル11へ供給する供給ポンプ4に軸動力計27を配設し、この軸動力計27を介して廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータ6にフィードバックして加熱制御し、廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナー10の二流体ノズル11に供給できる。
【0043】
また、図5は本発明のさらに他の実施例で、廃グリセリンを燃焼用のバーナー10へ供給する配管5の途中に廃グリセリンの粘度を検出する粘度センサー28を配設し、この粘度センサー28を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータ7にフィードバックして加熱制御し、廃グリセリンを所要の粘性流体にして円滑にバーナー10の二流体ノズル11に供給できる。
【0044】
なお、燃料油噴射用のノズル18は、燃料油が重油、灯油等の燃焼しやすいものであれば一流体ノズルを採用し、廃油等の低品質で難燃性のものでは二流体ノズルを採用すればよいなど、本発明の趣旨にもとづいて適宜な変形態様で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、燃料処理分野における、アスファルトプラント、発電プラント、製鉄プラント、冶金プラント等の加熱、乾燥システムの燃焼用に広く利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…燃料処理装置 2…貯蔵タンク 4…供給ポンプ 5…配管 6…プレヒータ10…バーナー 11…二流体ノズル 18…ノズル 27…軸動力計 28…粘度センサー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開2009−298619号公報
【特許文献2】特開2009−280761号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、前記廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記各ノズルに廃グリセリンと燃料油とを所定量ずつ供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させるようにしたことを特徴とする廃グリセリンの燃料処理装置。
【請求項2】
廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を30〜70%としてバーナーで燃焼するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の廃グリセリンの燃料処理装置。
【請求項3】
廃グリセリンを貯蔵タンクに貯蔵して燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンを30〜100℃に加熱するプレヒータを配設し、上記プレヒータで加熱した廃グリセリンを所定の圧力の空気とともに二流体ノズルに吹き込んで該二流体ノズルから噴射するように形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の廃グリセリンの燃料処理装置。
【請求項4】
廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する供給ポンプに軸動力計を配設し、この軸動力計を介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことを特徴とする請求項3に記載の廃グリセリンの燃料処理装置。
【請求項5】
廃グリセリンを燃焼用のバーナーの二流体ノズルへ供給する配管の途中に廃グリセリンの粘度を検出する粘度センサーを配設し、この粘度センサーを介して供給する廃グリセリンを所要の粘度範囲にするようにプレヒータにフィードバックして加熱制御するように形成したことを特徴とする請求項3に記載の廃グリセリンの燃料処理装置。
【請求項6】
廃食油の燃料処理時に生成される難燃性の廃グリセリンを加熱装置や乾燥装置の燃料用として利用するために、加熱装置や乾燥装置の燃焼用のバーナーに廃グリセリン噴射用のノズルと燃料油噴射用のノズルとを併設すると共に、廃グリセリン噴射用のノズルは所定圧力の空気とともに噴射する二流体ノズルとし、前記燃料油噴射用のノズルには所定量の燃料油を供給する一方、廃グリセリン噴射用の二流体ノズルには30〜100℃に予熱した廃グリセリンを廃グリセリンと燃料油の総供給量に対して30〜70%の供給割合にて供給し、難燃性の廃グリセリンを微粒化して燃料油の燃焼火炎中に吹き込んで燃焼させることを特徴とする廃グリセリンの燃料処理方法。
【請求項7】
バーナーで燃焼して排出した排出ガス中のCO濃度をCO濃度センサーで検出し、所定のCO濃度となるように廃グリセリンと燃料油の総供給量に対する廃グリセリンの供給割合を加減するようにフィードバックしてバーナーで燃焼することを特徴とする請求項6に記載の廃グリセリンの燃料処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−214734(P2011−214734A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80755(P2010−80755)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】