説明

廃プラスチックの再生装置

【課題】 廃プラスチックと集塵灰とを材料として人工砕石等を製造するにあたり、材料の品質管理、配合比管理を正確に行う。
【解決手段】 廃プラスチックを保存する第1の保存部、集塵灰を保存する第2の保存部、押出し機、及び第1の保存部及び第2の保存部と押出し機の材料投入口とを連結するスクリューコンベアとを備えてなり、スクリューコンベアは筒状のケース内をスクリューが回転することにより、第1の保存部から供給される廃プラスチック材料と第2の保存部から供給される集塵灰とを、外部から遮断した環境の下で、混合しながら搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃プラスチックの再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックから人工砕石やブロック体を再生する技術が特許文献1に記載されている。
この技術では、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック及び石炭灰を所定の比率で混合し、これを押出し機で溶融しながら押出し所定の塊を形成する。そして、この塊を粉砕ないし切断して人工砕石を得る。また、押出し機で型内へ溶融物を注入することによりブロック体を得ることができる。
【特許文献1】特許第3423302号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献には人工砕石等を製造する技術が記載されているものの、実験室レベル乃至パイロットプラント程度の製造規模しか考慮されていない。
本発明者は、実際の廃棄物処理プラントとして稼動させられる規模で廃プラスチックを利用した人工砕石等を製造すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、次の解決すべき課題に気が付いた。
(1) 安定した品質の人工砕石等を製造するには、原料となる廃プラスチックや石炭灰の品質管理、及び配合比管理が必要である。
(2) 廃棄物処理プラントして出来る限り省スペースを達成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題の少なくとも一つを解決するものであり、その構成は次の通り規定される。即ち、
廃プラスチックを保存する第1の保存部、集塵灰を保存する第2の保存部、押出し機、及び前記第1の保存部及び前記第2の保存部と前記押出し機の材料投入口とを連結するスクリューコンベアとを備えてなり、
前記スクリューコンベアは筒状のケース内をスクリューが回転することにより、前記第1の保存部から供給される廃プラスチック材料と前記第2の保存部から供給される集塵灰とを、外部から遮断した環境の下で、混合しながら搬送する ことを特徴とする廃プラスチックの再生装置。
【0005】
このように構成されたこの発明の再生装置によれば、廃プラスチックの材料と集塵灰とがスクリューコンベアにより、外部から遮断した環境の下で、混合されながら搬送されて押出し機の材料投入口に供給される。ここに、2種の原材料の混合搬送が外部から遮断された環境で行われるので、外部から異物が混入することがない。また、原材料の混合比は第1の保持部、第2の保持部からスクリューコンベアへ投入する割合のみを管理すればよいので、その混合比管理が容易にかつ正確に行える。
【0006】
スクリューコンベアを用いて廃プラスチックと集塵灰とを均一に混合するには、スクリューコンベアが所定の長さを有するものとする。
このように長いスクリューコンベアを採用すると、装置全体が大型化する。そこでこの発明では、スクリューコンベアの材料搬送方向(軸方向)と押出し機の材料押出し方向(軸方向)とが、平面からみたとき、直角になるようにする。これにより、再生装置がコンパクト化される。
また、このようにスクリューコンベアと押出し機とが直交配置されたとき、当該2つの装置で挟まれた部分に他の装置を配置することが出来る。そこでこの発明の他の局面では、前記押出し機と前記スクリューコンベアとで挟まれる位置に廃プラスチックの破砕装置が配置され、
第1の保存部は破砕装置とともにスクリューコンベに沿って配置され、かつ押出し機からみて破砕装置の外側に配置され、
前記第2の保存部は、スクリューコンベアを挟んで、第1の保存部に対向して配置され、
破砕装置で破砕された廃プラスチックは第1の保存部へ管路を介して供給される。
【0007】
このように構成された装置によれば、スクリューコンベアと押出し機で囲まれたスペースが有効利用されることとなり、プラントの省スペース化の要望に合致するものとなる。
【0008】
以下、この発明の要素について詳細に説明する。
(第1の保存部)
第1の保存部には廃プラスチックが保存される。
廃プラスチックには熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックとの2種類を所定の比率(例えば2〜3:1(重量比))で混合することが好ましい。熱可塑性プラスチックには難燃性プラスチックを採用することが好ましい。
当該2種のプラスチックは予め混合された状態で第1の保存部に保存することができる。
第1の保存部として、熱可塑性プラスチックを保存する熱可塑性プラスチック保存部と熱硬化性プラスチックを保存する熱硬化性プラスチック保存部とを別箇に設けることもできる。
廃プラスチックはスクリューコンベアで搬送できるように細かく粉砕されているものとする。
また、第1の保存部は、スクリューコンベアに対する放出口と、原料補充口のほかは、密閉されている。これにより、異物の混入が防止できるとともに原材料としての廃プラスチックの品質の維持管理が容易になる。スクリューコンベアに対する材料放出口には放出量調整装置が配設され、これにより廃プラスチックの配合量が調整可能となる。放出量調整装置として実施例では回転数可変のスクリューコンベを採用したが、可変バルブを用いることもできる。
【0009】
(第2の保存部)
第2の保存部には集塵灰が保存される。
集塵灰は、工場等の集塵装置で捕獲された塵埃であり、石灰灰もこの集塵灰に含まれる。
第2の保存部は、スクリューコンベアに対する放出口と、原料補充口のほかは、密閉されている。これにより、異物の混入が防止できるとともに原材料としての集塵灰の品質に維持管理が容易になる。スクリューコンベアに対する放出口には放出量調整装置が配設され、これにより集塵灰の配合量が調整可能となる。放出量調整装置として実施例では回転数可変のスクリューコンベを採用したが、可変バルブを用いることもできる。
【0010】
(押出し機)
押出し機は加熱筒と当該加熱筒内で回転するスクリューとを備え、廃プラスチックと集塵灰との混合物は加熱筒の元側にある材料投入口から当該加熱筒内に投入される。投入された材料はここで溶融混練され、加熱筒の先端より連続的に押出される。
かかる押出し機には、プラスチックの汎用的な押出し成形機を用いることができる。
押出し機から押出された材料は昇温状態にあるので、これを冷却する。冷却された材料の塊を粉砕若しくは切断して人工砕石とする。
また、押出し機から押出された材料を型へ注入することによりブロック等の型成形体を形成することもできる。
【0011】
(スクリューコンベア)
スクリューコンベアは第1の保存部及び第2の保存部からそれぞれ供給された廃プラスチックと集塵灰とを混合ながら押出し機の材料投入口まで搬送するものである。
この発明では、スクリューコンベアとして筒状のケース内にスクリューを挿入し、ケース内において外部から遮断した環境下で材料の混合及び搬送を行う。これにより、外部からの異物混入や、原料の投入間違いを防ぐことができる。よって、原料の品質管理を的確に行うことができる。
廃プラスチックと集塵灰とを均一に混合するには、スクリューコンベアにある程度の長さが必要となる。スクリューのピッチや径、更には原料の粒径などにも影響されるが、スクリューコンベアの長さは3〜15mとすることが好ましい。更に好ましくは5〜12mである。
【実施例】
【0012】
以下、この発明の実施例の廃プラスチック再生装置1について説明をする(図1〜図6参照)。
この再生装置1は、材料保存部10、押出し機20、スクリューコンベア30、及び粉砕部40から大略構成される。
材料保存部10は廃プラスチック材料を保存する第1の保存部11と集塵灰を保存する第2の保存部12からなる。
第1の保存部11に保存される廃プラスチックは熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックとを約1:1の重量比で混合したものである。熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックとの廃材は所定の重量比で粉砕機15へ投入され、チップ状に粉砕、混合される。チップ状の混合プラスチック材料は配管16を介して、外部から遮断された環境の下で、第1の保存部11のホッパに投入される。第1の保存部11は外からの影響を受けないように気密に保たれている。第1の保存部11には第1のスクリューコンベア13が付設されてその内容物がスクリューコンベア30へ供給される。この第1のスクリューコンベア12は筒状のケース内をスクリューが回転する構成であり、スクリュー内の材料は外界から遮断される。このスクリューコンベアの回転数を調節することにより、廃プラスチック材料の供給量を調節可能である。
【0013】
第2の保存部12には集塵灰が保存される。第2の保存部12には第2のスクリューコンベア14が付設されてその内容物がスクリューコンベア30へ供給される。この第2のスクリューコンベア14は筒状のケース内をスクリューが回転する構成であり、スクリュー内の材料は外界から遮断される。このスクリューコンベアの回転数を調節することにより、集塵灰の供給量が調節可能である。
【0014】
スクリューコンベア30も筒状のケース内をスクリューが回転する構成であり、スクリュー内の材料は外界から遮断される。このスクリューコンベア30として長さ10m、直径25cmのものを採用している。一方の端部に材料受入口31が形成されており、第1のスクリューコンベア13及び第2のスクリューコンベア14からの材料を受け入れる。スクリューコンベア30の他端には材料放出口33が形成されており、押出し機20の材料投入口21に対向している。
スクリューコンベア30において廃プラスチックの投入位置より下流側に集塵灰の投入位置を設けることが好ましい。
【0015】
押出し機20は、材料投入口21から入れられた材料を加熱筒23内で溶融しながら混合する。加熱筒23内にはモータ25で回転されるスクリューが挿入されている。
加熱筒23から押出される材料は塊状となって、冷却プール41へ落とし込まれ、ここで冷却されつつネットコンベア42で搬送される。冷却された塊状の材料はラインコンベア43で粉砕機45へ送られ、これで粉砕され、人工砕石となる。この人工砕石はラインコンベア47で搬送されて保管ピット50に集積される。
【0016】
このように構成された再生装置1においては、廃プラスチック材料は粉砕機15において粉砕された後は、配管16、第1の保存部11、第1のスクリューコンベア13及びスクリューコンベア30と外部から遮断された状態で搬送される。また、集塵灰も第2の保存部12から第2のスクリューコンベア14へ送られた後は外部から遮断された状態となり、スクリューコンベア30において廃プラスチック材料へ混合される。このように、材料を外部から遮断した環境の下で混合しながら搬送することにより、材料の品質管理及び配合比管理が正確に行えるようになる。
【0017】
この実施例ではスクリューコンベア30を10mの長さとしたので、廃プラスチックと集塵灰との均一混合が確保される。
このように長いスクリューコンベア30の材料搬送方向(軸方向)と押出し機の材料押出し方向(軸方向)とを、平面視において、直交させた。これにより、再生装置1を全体としてコンパクト化することができる。更に、この実施例では、スクリューコンベア30と押出し機20とで挟まれる位置に廃プラスチックの破砕装置15を配置することにより、更なるコンパクト化を図った。かかる配置構成を採用する場合、廃プラスチックを保存する第1の保存部11は破砕装置15とともにスクリューコンベア30にそって配置され、かつスクリューコンベア30の端部(押出し機20からみて破砕装置15の外側端部)に配置される。また、第2の保存部は第1の保存部12に対向して配置される。第1の保存部11と第2の保存部12とがスクリューコンベア30の端部に配置されるのは、スクリューコンベア30の材料受入口31に出来る限り近づけて配置するためであり、これにより、より一層の装置のコンパクト化が達成できる。
【0018】
図7及び図8は他の実施例の廃プラスチック再生装置100を示す。
この再生装置100では熱可塑性プラスチック保存部111、熱硬化性プラスチック保存部112及び集塵灰保存部113がスクリューコンベア130の先端から順に押出し機120側に配置される。第1の保存部111の材料は第1のスクリューコンベアでその供給量が調節されながらスクリューコンベア130へ送られる。同様に、第2の保存部112及び第3の保存部113の材料はそれぞれ第2及び第3のスクリューコンベアでその供給量が調節されながらスクリューコンベア130へ送られ、当該スクリューコンベア130で均一に混合されて押出し機130の材料投入口131へ送り込まれる。この実施例では押出し機130から押出された材料は成型金型140へ注入され、例えばブロック体が形成される。
この実施例においても各材料はスクリューコンベア130内において外部から遮断された環境で搬送・混合されるので、その品質管理及び配合比管理を正確に行うことができる。また、スクリューコンベア130が押出し機120に対して、平面視で、直角に配置されているので、再生装置としてコンパクト化されたものとなる。
【0019】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1はこの発明の実施例の廃プラスチック再生装置の平面図である。
【図2】図2は同じく廃プラスチック再生装置におけるスクリューコンベアを示す側面図である。
【図3】図3は同じく廃プラスチック再生装置における押出し機及び破砕部の一部の配置を示す。
【図4】図4は同じく廃プラスチック再生装置における破砕部の一部を示す。
【図5】図5は同じく廃プラスチック再生装置における保存部を示す正面図である。
【図6】図6は同じく廃プラスチック再生装置における破砕装置と第1の保存部の配置を示す。
【図7】図7は他の実施例の廃プラスチック再生装置の平面図である。
【図8】図8は同じく廃プラスチック再生装置の一部正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1、100 廃プラスチック再生装置
10 保存部
20、120 押出し機
30、130 スクリューコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを保存する第1の保存部、集塵灰を保存する第2の保存部、押出し機、及び前記第1の保存部及び前記第2の保存部と前記押出し機の材料投入口とを連結するスクリューコンベアとを備えてなり、
前記スクリューコンベアは筒状のケース内をスクリューが回転することにより、前記第1の保存部から供給される廃プラスチック材料と前記第2の保存部から供給される集塵灰とを、外部から遮断した環境の下で、混合しながら搬送することを特徴とする廃プラスチックの再生装置。
【請求項2】
前記押出し機の材料押出し方向と前記スクリューコンベアの搬送方向とが実質的に直交している、ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記押出し機と前記スクリューコンベアとで挟まれる位置に廃プラスチックの破砕装置が配置され、
前記第1の保存部は前記破砕装置とともに前記スクリューコンベに沿って配置され、かつ前記押出し機からみて前記破砕装置の外側に配置され、
前記第2の保存部は、前記スクリューコンベアを挟んで、前記第1の保存部に対向して配置され、
前記破砕装置で破砕された廃プラスチックは前記第1の保存部へ管路を介して、外部から遮断した環境の下で、供給される、
ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−289611(P2006−289611A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108857(P2005−108857)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(505124650)有限会社グローバルエコロジー (2)
【Fターム(参考)】