説明

廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置

【課題】吸込みフードを上下に調整することなく、建設廃棄物の中から不要なゴミを効率よく吸い込んで除去する。
【解決手段】吸込み調整装置23は、建設廃棄物W(廃材)を破砕して再利用すべく破砕された廃材Wを吸込みフード25に対して相対的に一方向へ移動せしめて前記吸込みフード25により前記廃材Wの中からゴミを吸い取る廃材ゴミ取り装置19に設けられる。すなわち、吸込みフード25の前方側には前方フラップ55がアジャストフード53の前方壁面53Aのほぼ延長線上で吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けられており、しかも前方フラップ55は前記原位置へ常時付勢されている。また、吸込みフード25の後方側には後方フラップ57がアジャストフード53の後方壁面53Bのほぼ延長線上で吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置に関し、特に建設廃棄物を破砕して再利用する破砕設備に使用される廃材ゴミ取り装置において、建設廃棄物の中から不要なゴミを効率よく吸い込んで除去するために吸込み状態を調整する吸込み調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設廃棄物(以下、単に「廃材」という)としての例えばアスファルト・コンクリート、コンクリート塊は、リサイクル法の指定副産物に指定され、再生利用を促進するように定められているが、前記廃材を再生利用する場合、廃材を破砕して路盤材等に使用されるのが一般的である。また、アスファルト・コンクリートの場合には、路盤材以外にアスファルト合材として加熱されるのが一般的である。
【0003】
しかし、上記のアスファルト・コンクリート、コンクリート塊等の廃材が各現場より工場の破砕設備(破砕プラント)に入荷される場合、廃材の中に木屑、ビニール袋、軍手、鉄屑等のゴミが混入されている場合が多く、このゴミが廃材を再生利用する際に問題となり、再生利用の妨げとなっている。
【0004】
例えば、廃材の中に混入しているゴミは、そのまま(混入したまま)破砕設備を通過して廃材と一緒に破砕された後、ベルトコンベアで搬送される。この搬送の際に、例えばベルトコンベア上で作業者の目視によりゴミを除去するか、または破砕された後、オーバサイズの篩で除去されている。さらに、除去されずに残ったゴミは、破砕設備の途中に設けられた水力選別機または複数の廃材ゴミ取り装置によって製品と分別されている。
【0005】
上記の廃材ゴミ取り装置においては、例えば吸込みブロア、ゴミ回収装置やバグフィルタに吸引ダクトを介して連通する吸込みフードにより振動篩いのスクリーン(網)上のゴミが風力選別で捕集され、この捕集されたゴミは吸引ダクトを流れてその途中のゴミ回収装置で捕集され、一方、細粒分はバグフィルタなどにより集塵されて再使用され、バグフィルタを通過してきれいになったエアが吸込みブロアの排気口から排出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、昨今では、破砕プラント(破砕設備)の簡略化によって設備投資を押さえる傾向がある。例えば、従来であれば破砕装置自体も、一次クラッシャ、二次クラッシャに分けてそれぞれ、ロールクラッシャ、インパクトが設置されているが、今日では、二次クラッシャのインパクトクラッシャのみで破砕プラントを構成できるようにしたものや、篩い分けるためのスクリーン(網)を備えた振動篩いも1台で、オーバサイズから製品の篩い分けまでこなせるように構成された破砕プラントが多くでている。
【0007】
図8及び図9(A),(B)を参照するに、従来の廃材ゴミ取り装置101は、振動篩い103のスクリーン105(網)の上方に設けられており、スクリーン105上を流れてくる廃材Wの中からゴミを風力選別で捕集する場合、ゴミはスクリーン105の下方からスクリーン105を通り抜けて吸い上げられる吸上げエア力によって浮き上がり、この浮き上がったゴミが吸込みフード107から吸い込まれることになる。
【0008】
上記の吸上げエア力がゴミを浮き上がらせるための重要な要素であるので、従来の吸込みフード107には、図8及び図9(A),(B)に示されているように、ゴミを効率よく補足するために廃材Wの流れ方向(図8において矢印方向)に対して吸込みフード107の後方側に後方フラップ109が設けられている。なお、後方フラップ109がない単なる吸込みフード107では、吸込みフード107の下端とスクリーン105との間で真横方向からの余計な風(エア)により上記の吸上げエア力が半減してしまう。
【0009】
また、上記のスクリーン105の上面から吸込みフード107の端面までの高さLが上記の吸上げエア力の性能に非常に大きな影響を与えるので、経験から通常では上記の高さLを100〜120mm前後とするように設計されている。なお、吸込みフード107は図9(A),(B)に示されているように、吸引ダクト111のほぼ断面円形状からスクリーン105の幅方向に長い長方形状に徐々に広がる断面形状であり、吸込みフード107の下部断面はほぼ一定の長方形となっている。さらに、吸込みフード107の下部にはアジャストフード113が重ね合わされて調整幅Aで上下方向にスライド自在となっており、スクリーン105の上面から吸込みフード107の端面までの高さLを調整できるように構成されている。
【特許文献1】特開11−104566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の廃材ゴミ取り装置101においては、前述した吸上げエア力が強すぎると、細かいサイズの破砕材がゴミと一緒に多量に吸い上げられてしまうので再生利用可能な材料の損失となる。一方、上記の吸上げエア力が弱すぎると、廃材Wの中にゴミが残ってしまう。そのために、ゴミを吸い上げる風量(吸上げエア力)が常時適正な状態に調整される必要がある。
【0011】
ところが、スクリーン105上には、□150〜200mm前後の大きな塊の廃材Wが流れてくることがあるので、その際に吸込みフード107が大きな塊の廃材Wを邪魔しないようにするために、当初に予定しているスクリーン105の上面から吸込みフード107までの高さLを200mmまで上げる必要があった。しかし、高さLを200mmまで上げると、上述したように吸上げエア力の所定の能力が出なくなってしまうという問題点があった。
【0012】
さらに、たとえ吸込みフード107の後方側に後方フラップ109が設けられていても、吸込みフード107の前方側はスクリーン105の上面から吸込みフード107の前方側の下端までの高さLが200mmとなるので、この間で真横方向からの余計なエアが流れてくるために吸上げエア力が低下するという問題点があった。
【0013】
この発明は上述の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置は、建設廃棄物を再生利用すべく破砕された建設廃棄物を、振動篩いのスクリーン上に載置された状態で吸込みフードに対して相対的に一方向へ移動せしめて前記吸込みフードにより前記建設廃棄物の中からゴミを吸い取ると共に前記吸込みフードの吸込み力を調整する廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置において、
前記吸込みフードの前方側に、吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けると共に前記原位置へ常時付勢されている前方フラップと、
前記吸込みフードの後方側に、吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けた後方フラップと、
を備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
この発明の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置は、前記廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置において、前記前方フラップが前記吸込みフードの前方壁面のほぼ延長線上に配置され、前記後方フラップが前記吸込みフードの後方壁面のほぼ延長線上に配置されていることが好ましい。
【0016】
この発明の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置は、前記廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置において、前記前方フラップが幅方向へ配列された複数の前方フラップ片からなり、前記後方フラップが幅方向へ配列された複数の後方フラップ片からなることが好ましい。
【0017】
この発明の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置は、前記廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置において、前記吸込みフードに、前記前方フラップと後方フラップとの間の幅方向両側の開口部を塞ぐためのサイドカバーを備えてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、時たま、大きな塊の廃材がスクリーン上に流れてきても、前方フラップが後方側に回動自在に設けられているので大きな塊の廃材を回避することができる。また、スクリーン面から吸込みフードの端面までの高さが高いので大きな塊の廃材が吸込みフードにぶつからずに後方へ通過した後、前方フラップが付勢力により吸込みフードの吸上げエア力に抗して原位置に復帰する。
【0019】
一方、後方フラップも同様に後方側に回動自在に設けられているので大きな塊の廃材を回避でき、大きな塊の廃材が後方へ通過後、後方フラップが原位置に復帰する。
【0020】
したがって、スクリーン面から吸込みフードの端面までの高さを調整することなく、廃材が吸込みフードにぶつからないように回避でき、しかもスクリーンの下方からの吸上げエア力が低下しないので、廃材の中からゴミを効率よく補足して吸い上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図6を参照するに、ここでは破砕プラント1における廃材処理の全体的な流れが示されている。原石Sは原石ホッパ3に投入された後、振動グリズリフィーダ5に送られる。この振動グリズリフィーダ5にて例えば粒径が40〜50mmより小さいものと大きいものとに分けられて、40〜50mmより小さい粒径の原石Sはベルトコンベア7Aを経て製品としてストックされる。
【0023】
一方、前記振動グリズリフィーダ5にて分けられた40〜50mmより大きい粒径の原石Sはベルトコンベア7Bにて一次クラッシャ9へ搬送されて投入され、一次クラッシャ9で一次破砕される。この一次クラッシャ9で破砕された砕石はベルトコンベア7Cで二次クラッシャ11に送られる。
【0024】
一方、アスファルト・コンクリートの廃材からなる切削材Gは切削材ホッパ13に投入された後、ベルトコンベア7Dにて一次クラッシャ9と二次クラッシャ11との間のベルトコンベア7Cへ送られる。
【0025】
したがって、切削材Gと一次クラッシャ9で破砕された砕石が合流されて二次クラッシャ11に送られ、この二次クラッシャ11で細粒分に破砕された後、ベルトコンベア7Eにて搬送されて図4に示されているような振動篩い15のスクリーン17(網)へ投入される。
【0026】
なお、この場合は、廃材Wは一次クラッシャ9と二次クラッシャ11で破砕された後に振動篩い15へ投入されるので、スクリーン17上には50mm位の塊粒が流れる。さらに、一次クラッシャ9と二次クラッシャ11の羽根が摩耗すると破砕された塊粒の大きさは大きくなるが100mm以下であるので、スクリーン17上には100mm以下の塊粒が流れることになる。
【0027】
なお、上記の振動篩い15の構成は特開平6−198210号公報に記載されているものとほぼ同じものなので詳細な説明を省略する。この振動篩い15のスクリーン17で一定の大きさに振るい分けられ、一定の大きさより細かい細粒分が段階的に分別されてベルトコンベア7F及びベルトコンベア7Gを経てそれぞれ製品としてストックされる。これらのストックされた製品は、アスファルト再生プラント、又は路盤材として使用される。
【0028】
一方、前記振動篩い15で振るい分けられた一定の大きさより大きい細粒分はベルトコンベア7Hを経て前記ベルトコンベア7Cに搬送され、再度二次クラッシャ11へ送られて破砕される。
【0029】
また、上記の振動篩い15のスクリーン17(網)の廃材Wの流れ方向の後方側には、廃材Wの中から微細又は軽量なゴミを吸込んで除去するためのこの発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置19が設けられている。
【0030】
次に、他の破砕プラント21における廃材処理の全体的な流れについて図7を参照して説明する。なお、図6の破砕プラント1と同様の部分は同符号を付して図6と異なるのみを説明する。
【0031】
図7の破砕プラント21の廃材処理において前述した図6と異なる点は、一次クラッシャ9で破砕された砕石がベルトコンベア7Iで搬送されて振動篩い15のスクリーン17(網)へ投入され、振動篩い15で振るい分けられ、一定の大きさより細かい細粒分が段階的に分別されてベルトコンベア7F及びベルトコンベア7Gを経てそれぞれ製品としてストックされる。一方、一定の大きさより大きい細粒分はオーバーシュート7Jを経て二次クラッシャ11へ送られて二次破砕され、この二次破砕された破砕物はベルトコンベア7Kを経て前記ベルトコンベア7Iに搬送され、再度振動篩い15へ送られて選別される。
【0032】
なお、この場合は、廃材Wは一次クラッシャ9で破砕された後に振動篩い15へ投入されるので、振動篩い15のスクリーン17上には150mm位の塊粒が流れる。さらに、一次クラッシャ9の羽根が摩耗すると、スクリーン17上には200mm位の塊粒が流れることになる。
【0033】
その他は図6と同様であり、上記の振動篩い15のスクリーン17(網)の廃材Wの流れ方向の後方側には、廃材Wの中から微細又は軽量なゴミを吸込んで除去するためのこの発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置19が設けられている。
【0034】
次に、この発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置19における吸込み調整装置23について説明する。
【0035】
図1乃至は図5を参照するに、この実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置19は、廃材Wの中から微細又は軽量なゴミを吸込むための吸込みフード25が振動篩い15のスクリーン17のほぼ中央位置より下流側上方に設けられている。
【0036】
より詳しくは、吸込みフード25は、図4に示されているように支持架台27に支持されている吸引ダクト29の下部に連結されており、前記吸引ダクト29は図5に示されているように途中にゴミ回収装置31とバグフィルタ33を経て吸込みブロア35に連通されている。
【0037】
上記のゴミ回収装置31は、扁平した円筒形状のケーシング部37と、このケーシング部37の内部でモータ39により回転駆動される回転回収体である網部材41と、この網部材41の回転接線方向下方に向けて前記ケーシング部37に連通するゴミ貯蔵部43と、このゴミ貯蔵部43の上方において前記網部材41に近接した位置に設けたゴミ除去用のエア吹出しノズル45と、から構成されている。なお、前記ケーシング部37の前面及び後面(図5中左右側面)には偏心した位置に吸引ダクト29が連通されており、前記エア吹出しノズル45はエア連通管47を介して吸込みブロア35の排気口49から吐出エアを取り出せるように連通している。
【0038】
したがって、吸込みブロア35が作動すると、吸込みフード25からエアが吸込まれ、このエアは吸引ダクト29を経て吸込みブロア35の排気口49から排気される。このとき、振動篩い15の振動により廃材Wの中から浮き上がった細粒分やゴミが吸込みフード25からエアと一緒に吸込まれて吸引ダクト29を通ってゴミ回収装置31に導かれる。
【0039】
吸込まれたエア内の所定の大きさよりも大きなゴミは、前記ゴミ回収装置31を通過する際に、回転している網部材41の前面(図5中右側面)に引っ掛かる。一方、エア吹出しノズル45から吐出エアが前記網部材41の後方から前方へ向かって吐出されているので、網部材41の前面に引っ掛かったゴミは、エア吹出しノズル45の吐出エアにより除去された後、ゴミ貯蔵部43内を落下して下部の開閉ゲート部51付近に貯留される。この貯留したゴミは開閉ゲート部51から排出される。
【0040】
一方、ゴミ回収装置31の網部材41を通過したエアは吸引ダクト29を通ってバグフィルタ33に至り、このバグフィルタ33により前記網部材41を通過した細かな細粒分が回収される。バグフィルタ33を通ったエアはほこり等が除去されてきれいになっており、吸込みブロア35の排気口49から排出される。
【0041】
また、上記の吸込みフード25は、図3(A),(B)及び図5に示されているように、吸引ダクト29のほぼ断面円形状からスクリーン17の幅方向に長い長方形状に徐々に広がる断面形状であり、吸込みフード25の下部はほぼ一定の長方形となっている。さらに、吸込みフード25の下部にはダクト形状のアジャストフード53が重ね合わされて調整幅Aで上下方向にスライド自在となっており、スクリーン17の上面から吸込みフード25の端面までの高さL2を調整できるように構成されている。なお、前記アジャストフード53は吸込みフード25の一部を構成するものである。
【0042】
この発明の実施の形態に係る吸込み調整装置23は、図1及び図3(A),(B)に示されているように、スクリーン17上の廃材Wの中からゴミを効率よく補足するために上記の吸込みフード25の下部、すなわちアジャストフード53に前方フラップ55と後方フラップ57が設けられている。
【0043】
上記の前方フラップ55は、廃材Wの流れ方向(図1において矢印方向)に対してアジャストフード53の前方側に位置してアジャストフード53の前方壁面53Aのほぼ延長線上でアジャストフード53の前方端縁(吸込みフード端縁)より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けられている。さらに加えて、上記の原位置へ常時付勢されるように構成されている。
【0044】
より詳しくは、上記の前方フラップ55は、図1に示されているように、アジャストフード53の幅方向[図1の紙面に垂直方向、図3(B)の左右方向]の両側とほぼ中央に設けた前方側支持ブラケット59にほぼ水平方向に長いヒンジ61が取り付けられており、このヒンジ61に複数の前方フラップ片63がそれぞれ独立して後方側へ回動自在に設けられている。なお、この実施の形態では図3(B)に示されているように、10枚の前方フラップ片63が設けられている。
【0045】
さらに、各前方フラップ片63は、図1において後方側へ断面く字状に折曲げられており、さらに各前方フラップ片63の下端は流れてくる廃材Wに干渉する部分としての折返し部65がスクリーン17の側へ折り曲げられている。各前方フラップ片63の後方側の面にはヒンジ61を挿通するフラップホルダ67とキックバネ調整片69が設けられている。
【0046】
図2を併せて参照するに、各前方フラップ片63は、ヒンジ61に巻回された2つのキックバネ71により図1において時計回り方向に常時付勢されている。すなわち、キックバネ71の上端は係止板73の下面に設けたキックバネ当て板75に当接し、キックバネ71の下端は前方フラップ片63の後方面に当接している。したがって、各前方フラップ片63の回動動作は、キックバネ71の付勢力により各前方フラップ片63の上端側がフラップホルダ67に取り付けられた係止板73に当接して図1に実線で示される原位置で停止し、各前方フラップ片63が廃材Wの流れる力によりキックバネ71の付勢力に抗して押されると、二点鎖線に示されているようにアジャストフード53の下端縁に当接する位置まで図1において反時計方向に回動できるように構成されている。
【0047】
なお、キックバネ71により原位置へ付勢する付勢力は、前方フラップ片63が常時原位置へ復帰できるようにするために、吸込みフード25から吸い込まれる吸上げエア力より強く構成されている。
【0048】
また、上記の後方フラップ57は、廃材Wの流れ方向(図1において矢印方向)に対してアジャストフード53の後方側に位置してアジャストフード53の後方壁面53Bのほぼ延長線上でアジャストフード53の後方端縁(吸込みフード端縁)より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けられている。
【0049】
より詳しくは、上記の後方フラップ57は、図1に示されているように、アジャストフード53の幅方向[図1の紙面に垂直方向、図3(B)の左右方向]の両側に設けた後方側支持ブラケット77にほぼ水平方向に長いヒンジ79が取り付けられており、このヒンジ79に複数の後方フラップ片81がそれぞれ独立して後方側へ回動自在に設けられている。なお、この実施の形態では図3(B)に示されているように、8枚の後方フラップ片81が設けられている。また、アジャストフード53の後部には自重で下方に向けて回動する複数の各後方フラップ片81を後方側に傾斜する原位置にとどめるためのストッパ板83が設けられている。
【0050】
また、アジャストフード53の幅方向の両側には、例えばゴム板からなるサイドカバー85が取り付けられており、前方フラップ55と後方フラップ57との間の幅方向両側の開口部が前記サイドカバー85によって塞がれている。
【0051】
上記構成により、前方フラップ55の複数の各前方フラップ片63と、後方フラップ57の複数の各後方フラップ片81は、それぞれ図1において実線の原位置に位置しており、スクリーン17の上面から前方フラップ55の各前方フラップ片63の下端までの高さL1は、100〜120mm前後となるように調整されている。このときのスクリーン17の上面から吸込みフード25の端面までの高さL2は200mm前後となっている。
【0052】
吸込みフード25の直下では、風速25〜30m/secの風が吸込みブロア35で吸い込まれており、スクリーン17の下方からのエアがスクリーン17を通り抜けて吸い上げられることになる。
【0053】
したがって、廃材Wがスクリーン17上を図1において左側から右側に向けて流れてくると、廃材Wの中のゴミはスクリーン17の下方からスクリーン17を通り抜けて吸い上げられる吸上げエア力によって浮き上がり、この浮き上がったゴミが吸込みフード25から吸い込まれることになる。前記吸上げエア力がゴミを浮き上がらせるための重要な要素であり、前述した高さL1が100〜120mm前後にされているのは、ゴミを効率よく補足するための経験値である。
【0054】
スクリーン17上には、通常はある程度均一な大きさの廃材Wが流れているが、時たま、□150〜200mm前後の大きな塊の廃材Wが流れてくることがある。このときは、上記の大きな塊の廃材Wが前方フラップ55のいずれかの前方フラップ片63にぶつかり、前記廃材Wの押圧力により前方フラップ片63が図1において反時計方向に回動して廃材Wを回避することができる。
【0055】
しかも、スクリーン17の上面から吸込みフード25の端面までの高さL2が200mm前後となっているので、大きな塊の廃材Wが吸込みフード25にぶつかることなく後方へ流れて通過すると、前方フラップ片63はキックバネ71の付勢力により再度原位置に復帰する。なお、前方フラップ片63は前記吸上げエア力によって吸込みフード25の側に吸い込まれる方向に力を受けるが、吸上げエア力より強いキックバネ71の付勢力により確実に原位置に復帰することができる。
【0056】
さらに、上記の大きな塊の廃材Wが後方へ流れていくと、後方フラップ57のいずれかの後方フラップ片81にぶつかり、前記廃材Wの押圧力により後方フラップ片81が図1において反時計方向に回動して大きな塊の廃材Wを回避することができる。なお、後方フラップ片81は、その配置構造上、吸込みフード25から外れる後方側へ回動するので吸込みフード25の吸込みエアに巻き込まれることはないので、前記廃材Wが通過した後は自重により確実に原位置に復帰することができる。
【0057】
したがって、時たま、□150〜200mm前後の大きな塊の廃材Wが流れてきても、従来のようにスクリーン17の上面から吸込みフード25の端面までの高さL2を調整することなく吸込みフード25にぶつからないように回避でき、しかもスクリーン17の下方からの吸上げエア力が低下しないので、廃材Wの中からゴミを効率よく補足して吸い上げることができる。
【0058】
また、前方フラップ55が幅方向へ複数の各前方フラップ片63から構成され、後方フラップ57が幅方向へ複数の各後方フラップ片81から構成されていることにより、大きな塊の廃材Wがぶつかった部分の前方フラップ片63と後方フラップ片81だけが後方側へ回動するので、吸込みフード25の吸上げエア力の低下を最小限に抑えることができる。
【0059】
また、前方フラップ55と後方フラップ57との間の幅方向両側の開口部がサイドカバー85によって塞がれているので、前記開口部から流れてくる真横方向からの余計なエアを防ぐことができ、吸込みフード25の吸上げエア力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置の部分的な断面図である。
【図2】図1の矢視II−II線の断面図である。
【図3】(A)は、この発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置の概略説明図で、(B)は(A)の左側面図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置が振動篩い(スクリーン)に設けられた概略的な側面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る廃材ゴミ取り装置の概略的な斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る破砕プラントの流れを示すフローチャート図である。
【図7】この発明の実施の形態に係る他の破砕プラントの流れを示すフローチャート図である。
【図8】従来の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置の部分的な断面図である。
【図9】(A)は、従来の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置の概略説明図で、(B)は(A)の左側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 破砕プラント
7A〜7H ベルトコンベア
9 一次クラッシャ
11 二次クラッシャ
15 振動篩い
17 スクリーン(網)
19 廃材ゴミ取り装置
21 破砕プラント
23 吸込み調整装置
25 吸込みフード
27 支持架台
29 吸引ダクト
31 ゴミ回収装置
33 バグフィルタ
35 吸込みブロア
53 アジャストフード
53A 前方壁面(アジャストフード53の)
53B 後方壁面(アジャストフード53の)
55 前方フラップ
57 後方フラップ
59 前方側支持ブラケット
61 ヒンジ
63 前方フラップ片
65 折返し部
67 フラップホルダ
71 キックバネ
73 係止板
77 後方側支持ブラケット
79 ヒンジ
81 後方フラップ片
83 ストッパ板
85 サイドカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設廃棄物を再生利用すべく破砕された建設廃棄物を、振動篩いのスクリーン上に載置された状態で吸込みフードに対して相対的に一方向へ移動せしめて前記吸込みフードにより前記建設廃棄物の中からゴミを吸い取ると共に前記吸込みフードの吸込み力を調整する廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置において、
前記吸込みフードの前方側に、吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けると共に前記原位置へ常時付勢されている前方フラップと、
前記吸込みフードの後方側に、吸込みフード端縁より下方に向けて配置した原位置から後方側へ回動自在に設けた後方フラップと、
を備えてなることを特徴とする廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置。
【請求項2】
前記前方フラップが前記吸込みフードの前方壁面のほぼ延長線上に配置され、前記後方フラップが前記吸込みフードの後方壁面のほぼ延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置。
【請求項3】
前記前方フラップが幅方向へ配列された複数の前方フラップ片からなり、前記後方フラップが幅方向へ配列された複数の後方フラップ片からなることを特徴とする請求項1又は2記載の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置。
【請求項4】
前記吸込みフードに、前記前方フラップと後方フラップとの間の幅方向両側の開口部を塞ぐためのサイドカバーを備えてなることを特徴とする請求項1、2又3記載の廃材ゴミ取り装置における吸込み調整装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−212481(P2006−212481A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25351(P2005−25351)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(592145811)ゼムコインタナショナル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】