説明

廃材樹脂のリサイクル方法、及び樹脂積層材の成形方法

【課題】塩化ビニル系廃材樹脂の粉砕物の選別処理を不要とする又は大幅に簡略化することが可能で低コストのリサイクル方法、及び、樹脂積層材の生産性良い成形方法を提供する。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形し、リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材を形成する廃材樹脂のリサイクル方法であり、また、予めリサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)を測定し、得られた色差から成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として積層押出成形を行う樹脂積層材の成形方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル系廃材樹脂のリサイクル方法、及び塩化ビニル系樹脂積層材の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓サッシ用の枠材や框材(かまちざい)等の各種建材に、塩化ビニル系樹脂製の積層樹脂押出材が広く用いられている。この積層樹脂押出材は、基材用の塩化ビニル系樹脂材料と表面層用の樹脂材料とを積層押出成形して製造されている。また、これらの樹脂製建材は、リサイクル性が要請されており、積層樹脂押出材の廃材を使用することにより、産業廃棄物の削減と低コスト化が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、保護フイルムやアクリル系樹脂被覆層を除去するという煩雑な操作をすることなしに塩化ビニル系樹脂製窓材の廃材を再利用して、強度、耐候性、及び美観といった性能の点で未使用樹脂を用いて製造した製品と遜色のない合成樹脂製窓材を効率よく製造するために、リサイクルパウダーとバージンパウダーを別々に共押出して異形押出成形する合成樹脂製窓材の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、異なる樹脂の積層材のリサイクル方法であって、それぞれ樹脂の融点及び粘度が近似した樹脂積層材の廃材を粉砕し、得られた粉砕物を混練し、外表面に表出しない部分として押出成形するに際して、表出する部分に用いる他の樹脂と共に共押出して成形する樹脂積層材のリサイクル方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、任意の色調からなる廃材のリサイクル方法において、廃材の色調と共押出材の表面厚さ及び表面層樹脂材の色調の関係については明確ではなく、廃材をリサイクル使用する場合、廃材の色調規制を行わざるを得なかった。或いは、表面層厚さを必要以上に厚く設定して、表面層の隠避力を確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-303,743号公報
【特許文献2】特開2000-343,579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、塩化ビニル系廃材樹脂のリサイクル方法において、塩化ビニル系廃材樹脂の粉砕物の選別処理を不要とする又は大幅に簡略化することが可能で、低コストのリサイクル方法を提供ことにある。
また、本発明の他の目的は、上記の廃材樹脂のリサイクル方法により得られたリサイクル樹脂を使用して、生産性良く低コストで製造できる樹脂積層材の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の廃材樹脂のリサイクル方法は、塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形し、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材を形成する廃材樹脂のリサイクル方法において、
予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、これら各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これらの結果から前記色差(△E1*)と前記未使用樹脂の表面層厚さとの関係を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を、前記の色差(△E1*)と表面層厚さとの関係に照らして、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない未使用樹脂の表面層の厚さとして色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層厚さ(以下、この未使用樹脂の表面層の厚さを「リサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さ」という。)を算出し、
その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の樹脂積層材の成形方法は、塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形する、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材の成形方法において、予め前記リサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)を測定し、得られた色差(△E1*)から成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、予め前記リサイクル樹脂と前記未使用樹脂との間の色差(△E1*)に対する、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さのテーブルを準備し、前記リサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)を測定し、得られた色差(△E1*)から、このテーブルに基づいて成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことが好ましい。
【0010】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、ある1種のリサイクル樹脂と未使用樹脂とを用いて表面層の厚さが異なる複数の積層体を成形し、各厚さにおける表面層の全光線透過率(%)を測定すると共に各積層体の色度(L*値)を測定し、これらの結果から表面層の厚さと全光線透過率(%)との関係及び表面層の厚さと色差(△E2*)との関係をそれぞれ求め、更に、各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これら色差(△E1*)と色差(△E2*)1.5以下を達成する未使用樹脂の表面層厚さ及びその全光線透過率(%)との間の「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」に照らして、未使用樹脂とこの未使用樹脂で表面層が形成された樹脂積層材との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さ(以下、この未使用樹脂の表面層の厚さについても「リサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さ」という。)を算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、予めリサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)及び未使用樹脂の全光線透過率に対する、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さのテーブルを準備し、前記リサイクル樹脂と前記未使用樹脂との間の色差(△E1*)及び前記未使用樹脂の全光線透過率を測定し、得られた色差(△E1*)及び全光線透過率から、このテーブルに基づいて成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことが好ましい。
【0012】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、得られた色差(△E1*)が10未満の場合に、前記表面層の厚さの目標値を0.1〜0.3mmとして前記積層押出成形を行うことが好ましい。
【0013】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、前記塩化ビニル系樹脂が、スチレン系樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、及び木粉充填材のうち少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
【0014】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、前記表面層となる未使用樹脂が、未使用の塩化ビニル系樹脂若しくは未使用のスチレン系樹脂、又はそれらに木粉、若しくは色調の異なる着色顔料が添加された未使用樹脂からなるシード材が充填された未使用樹脂であることが好ましい。
【0015】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、前記表面層となる未使用樹脂と前記未使用樹脂で表面層が形成された樹脂積層材との間の色差(△E2*)を1.5以下とするこが好ましい。
【0016】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、主押出機と、共押出機と、その主押出機の先端に配設され、主押出機からリサイクル樹脂の供給を受けるリサイクル層用ダイス及び共押出機から未使用樹脂の供給を受ける表面層用ダイスからなる共押出金型とを備えた積層押出成型機を用いて、リサイクル樹脂を主押出機からリサイクル層用ダイスに供給してリサイクル層に成形すると共に、未使用樹脂を共押出機から表面層用ダイスに供給してリサイクル層の表面に積層しつつ表面層に成形することが好ましい。
【0017】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、前記表面層用ダイスが表面層形成部を有し、表面層形成部の深さを表面層の厚さの目標値相当に調整することが好ましい。表面層形成部の深さが樹脂積層材の表面層の厚さと等しくなる条件で積層押出成形することもでき、また、表面層形成部の深さを変更することなく表面層樹脂の吐出圧を調整して樹脂積層材の表面層厚さを調整することもできる。
【0018】
本発明において、樹脂積層材の「基材」に用いるリサイクル樹脂としては、樹脂押出材の加工工場から出る切断端材、プレス加工屑材、加工等の不良材等の塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕して用いることができ、また、リサイクルマーク(∞)シールの貼付された、塩化ビニル系樹脂サッシや塩化ビニル系樹脂とアルミニウムとの複合サッシ等の廃棄材を粉砕して用いることもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、塩化ビニル系樹脂の押出材の廃材からなる基材と未使用樹脂からなる表面層とからなる樹脂積層材を成形するに際して、予め測定した、廃材の粉砕混練物からなる樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)から表面層の厚さを調整することにより、押出材の廃材の粉砕物の選別処理を不要とする又は大幅に簡略化することが可能となり、低コストのリサイクル方法を実現するとともに、これにより得られる樹脂積層材においてその表面層の厚さを比較的薄くして、かつその外観品質の安定を図ることができ、樹脂積層材を生産性良く低コストで製造できた。
【0020】
また、本発明によれば、予め測定した前記廃材の粉砕混練物からなる樹脂と前記未使用樹脂との間の色差(△E1*)、及び、表面層となる未使用樹脂の全光線透過率から、前記表面層の厚さを調整することにより、表面層の厚さを比較的薄く設定した上で、得られる樹脂積層材の外観品質をより安定化することができ、樹脂積層材をより生産性良く低コストで製造することができる。
【0021】
更に、本発明によれば、少なくとも一部が表面に表出しない部分を廃材とし、表面層には未使用樹脂を使用することにより、樹脂積層材において良好な外観を得ることができる。表面層の着色剤及び充填剤を選択することにより多様な色彩のリサイクル樹脂を利用した樹脂積層材を得ることができる。表面層の樹脂として、スチレン系樹脂(例えば、AAS樹脂、ASA樹脂)を選択することによりリサイクル樹脂を利用した樹脂積層材の高耐久化、特に耐候性の強化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法においては、樹脂積層材の表面層の樹脂として、未使用のスチレン系樹脂を用いることで、塩化ビニル樹脂を主体とするリサイクル樹脂からなる基材の外表面をリサイクル樹脂より優れた耐候性のスチレン系樹脂で被覆した樹脂積層材が得られる点で好ましい。特に、AAS樹脂(アクリルニトリル・アクリルラバー・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリルニトリル)、AES樹脂(アクリルニトリル・エチレンプロピレン・スチレン樹脂)等の未使用のスチレン系樹脂が好ましい。
【0023】
また、樹脂積層材の表面層に用いる未使用樹脂には木粉を充填することができ、又は、色調の異なる着色顔料が添加された未使用樹脂からなるシード材を充填することができる。未使用樹脂に木粉を充填することにより、得られる樹脂積層材の表面層に木の質感を出すことができ、未使用樹脂に色調の異なる着色顔料が添加された未使用樹脂からなるシード材を充填することにより、得られる樹脂積層材の表面層に木目模様を表出することができる。
【0024】
本発明の実施の形態を説明するに先立って、全光線透過率と色度の測定方法及び色差の計算方法を説明する。
【0025】
全光線透過率は、日本電色工業社製ヘイズメータ(光源はD65)を用いて測定した。
【0026】
色度の測定にあたっては、それぞれのサンプルについて、ミノルタ社製色差計CR400を用いて、それぞれのL*、a*、及びb*を測定した。樹脂の色度の測定にあたっては、厚さが2mm以上の板を成形し、これを測定サンプルとして測定した。また、樹脂積層材(又は積層体)の色度の測定に当たっては、樹脂積層材(又は積層体)そのものをサンプルとして表面層の側から測定した。
【0027】
すなわち、色差(△E1*)の測定にあたっては、廃材の粉砕混練物からなる樹脂、すなわちリサイクル材と、表面層材となる未使用樹脂のそれぞれの樹脂について、厚さが2mm以上の板を成形し、それぞれの板の色度L*、a*、及びb*を測定し、△E1* =[(△L*)2+(△a*)2+(△b*)21/2の計算式から色差(△E1*)を求めた。
【0028】
また、色差(△E2*)の測定にあたっては、樹脂積層材(又は積層体)そのものの色度L*、a*、及びb*を表面層の側から測定したうえで、表面層材となる未使用樹脂との色差(△E2*)を、△E2* =[(△L*)2+(△a*)2+(△b*)21/2の計算式から求めた。
【0029】
以下の予備実験、及び実施例、比較例において、未使用樹脂として、樹脂A、樹脂B、樹脂C及び樹脂D(いずれもスチレン系樹脂)を用いた。
【0030】
次に、本発明者らが実施した予備実験の結果について説明する。
【0031】
(予備実験1)
樹脂A(L*=91.57、a*=-1.11、b*=1.12)にて、0.13mm、0.34mm、0.41mm、1.00mm、1.60mmのフイルムを調製し、全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。厚さ0.30mmフイルムの全光線透過率は、およそ16%である。
【0032】
次に、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂(L*=20.61、a*=0.22、b*=0.36)を基材として、この基材に上記で調製したそれぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色度を測定して、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を求めた。結果を表1に示す。ここで、リサイクル樹脂と樹脂Aとの間の色差(△E1*)は、71.0である。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の結果から、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂を用いた場合において、基材となるリサイクル樹脂と表面層となる樹脂との間の色差(△E1*)が71.0のとき、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするためには、表面層の厚さは0.55mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は8.0%である。また、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするためには、表面層の厚さは0.37mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は11.5%である。
【0035】
同様にして、ブラウン色でL*値がおよそ30のリサイクル樹脂(L*=29.17、a*=0.96、b*=4.61)、こげ茶色でL*値がおよそ40のリサイクル樹脂(L*=40.92、a*=5.04、b*=21.92)、茶色でL*値がおよそ50のリサイクル樹脂(L*=51.09、a*=14.35、b*=33.68)、サテングレー色でL*値がおよそ60のリサイクル樹脂(L*=59.96、a*=0.10、b*=0.36)、茶色でL*値がおよそ70のリサイクル樹脂(L*=69.97、a*=8.36、b*=27.25)、クリーム色でL*値がおよそ80のリサイクル樹脂(L*=79.83、a*=7.00、b*=0.36)、及び白色でL*値がおよそ90のリサイクル樹脂(L*=91.61、a*=-0.54、b*=-0.24)をそれぞれ基材として、それぞれの基材に樹脂Aにて調製した上記それぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色度を測定して、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を求め、それぞれのリサイクル樹脂と樹脂Aとの間の色差(△E1*)と、更に、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率と、樹脂Aと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率とを求めると、表2の様な結果になった。
【0036】
【表2】

【0037】
(予備実験2)
樹脂B(L*=76.77、a*=4.95、b*=26.9)にて、0.13mm、0.35mm、0.57mm、0.90mm、1.50mmのフイルムを調製し、全光線透過率を測定した。結果を表3に示す。厚さ0.30mmフイルムの全光線透過率は、およそ3%である。
【0038】
次に、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂(L*=20.61、a*=0.22、b*=0.36)を基材として、この基材にそれぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色調を測定して、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を求めた。結果を表3に示す。ここで、リサイクル樹脂と樹脂Bとの間の色差(△E1*)は、62.3である。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果から、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂を用いた場合において、基材となるリサイクル樹脂と表面層となる樹脂との間の色差(△E1*)が62.3のとき、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするためには、表面層の厚さは0.34mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は1.5%である。また、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするためには、表面層の厚さは0.30mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は3.0%である。
【0041】
予備実験1の場合と同様にして、ブラウン色でL*値がおよそ30のリサイクル樹脂(L*=29.17、a*=0.96、b*=4.61)、こげ茶色でL*値がおよそ40のリサイクル樹脂(L*=40.92、a*=5.04、b*=21.92)、茶色でL*値がおよそ50のリサイクル樹脂(L*=51.09、a*=14.35、b*=33.68)、サテングレー色でL*値がおよそ60のリサイクル樹脂(L*=59.96、a*=0.10、b*=0.36)、茶色でL*値がおよそ70のリサイクル樹脂(L*=69.97、a*=8.36、b*=27.25)、クリーム色でL*値がおよそ80のリサイクル樹脂(L*=79.83、a*=7.00、b*=0.36)、及び白色でL*値がおよそ90のリサイクル樹脂(L*=91.61、a*=-0.54、b*=-0.24)をそれぞれ基材として、それぞれの基材に樹脂Bにて調製した上記それぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色度を測定して、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を求め、それぞれのリサイクル樹脂と樹脂Bとの間の色差(△E1*)と、更に、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率と、樹脂Bと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率とを求めると、表4の様な結果になった。
【0042】
【表4】

【0043】
(予備実験3)
樹脂C(L*=62.71、a*=10.61、b*=36.42)にて、0.18mm、0.29mm、0.54mm、1.10mm、1.60mmのフイルムを調製し、全光線透過率を測定した。結果を表5に示す。厚さ0.30mmフイルムの全光線透過率は、およそ5%である。
【0044】
次に、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂(L*=20.61、a*=0.22、b*=0.36)を基材として、この基材にそれぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色調を測定して、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を求めた。結果を表5に示す。ここで、リサイクル樹脂と樹脂Cとの間の色差(△E1*)は、56.4である。
【0045】
【表5】

【0046】
表5の結果から、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂を用いた場合において、基材となるリサイクル樹脂と表面層となる樹脂との間の色差(△E1*)が56.4のとき、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするためには、表面層の厚さは0.42mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は2.0%である。また、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするためには、表面層の厚さは0.34mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は4.0%である。
【0047】
予備実験1の場合と同様にして、ブラウン色でL*値がおよそ30のリサイクル樹脂(L*=29.17、a*=0.96、b*=4.61)、こげ茶色でL*値がおよそ40のリサイクル樹脂(L*=40.92、a*=5.04、b*=21.92)、茶色でL*値がおよそ50のリサイクル樹脂(L*=51.09、a*=14.35、b*=33.68)、サテングレー色でL*値がおよそ60のリサイクル樹脂(L*=59.96、a*=0.10、b*=0.36)、茶色でL*値がおよそ70のリサイクル樹脂(L*=69.97、a*=8.36、b*=27.25)、クリーム色でL*値がおよそ80のリサイクル樹脂(L*=79.83、a*=7.00、b*=0.36)、及び白色でL*値がおよそ90のリサイクル樹脂(L*=91.61、a*=-0.54、b*=-0.24)をそれぞれ基材として、それぞれの基材に樹脂Cにて調製した上記それぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色度を測定して、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を求め、それぞれのリサイクル樹脂と樹脂Cとの間の色差(△E1*)と、更に、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率と、樹脂Cと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率とを求めると、表6の様な結果になった。
【0048】
【表6】

【0049】
(予備実験4)
更に、樹脂D(L*=66.30、a*=10.01、b*=38.42)にて、0.11mm、0.37mm、0.48mm、1.00mm、1.50mmのフイルムを調製し、全光線透過率を測定した。結果を表7に示す。厚さ0.30mmフイルムの全光線透過率は、およそ7%である。
【0050】
次に、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂(L*=20.61、a*=0.22、b*=0.36)を基材として、この基材にそれぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色調を測定して、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を求めた。結果を表7に示す。ここで、リサイクル樹脂と樹脂Dとの間の色差(△E1*)は、60.27である。
【0051】
【表7】

【0052】
表7の結果から、黒色でL*値がおよそ20のリサイクル樹脂を用いた場合において、基材となるリサイクル樹脂と表面層となる樹脂との間の色差(△E1*)が60.27のとき、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするためには、表面層の厚さは0.36mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は3.0%である。また、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするためには、表面層の厚さは0.32mm以上とする必要があり、この厚さのときの表面層の全光線透過率は5.0%である。
【0053】
予備実験1の場合と同様にして、ブラウン色でL*値がおよそ30のリサイクル樹脂(L*=29.17、a*=0.96、b*=4.61)、こげ茶色でL*値がおよそ40のリサイクル樹脂(L*=40.92、a*=5.04、b*=21.92)、茶色でL*値がおよそ50のリサイクル樹脂(L*=51.09、a*=14.35、b*=33.68)、サテングレー色でL*値がおよそ60のリサイクル樹脂(L*=59.96、a*=0.10、b*=0.36)、茶色でL*値がおよそ70のリサイクル樹脂(L*=69.97、a*=8.36、b*=27.25)、クリーム色でL*値がおよそ80のリサイクル樹脂(L*=79.83、a*=7.00、b*=0.36)、及び白色でL*値がおよそ90のリサイクル樹脂(L*=91.61、a*=-0.54、b*=-0.24)をそれぞれ基材として、それぞれの基材に樹脂Dにて調製した上記それぞれのフイルムを重ねたときの、フイルム側からこの積層体の色度を測定して、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を求め、それぞれのリサイクル樹脂と樹脂Dとの間の色差(△E1*)と、更に、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を1.0以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率と、樹脂Dと積層体との間の色差(△E2*)を1.5以下とするための表面層の厚さと、この厚さのときの表面層の全光線透過率とを求めると、表8の様な結果になった。
【0054】
【表8】

【0055】
以上の予備実験で、色差△E2*が1.5を超えると、表面層樹脂と積層体との色差は感知しうる程に異なり、色差△E2*が3.0を超えると著しく異なって感知された。樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けないためには、表面層となる未使用樹脂と未使用樹脂で表面層が形成される樹脂積層材との間の色差(△E2*)は1.5以下とすることが好ましく、1.0以下とすることがより好ましいことが分かる。
【0056】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0057】
図1は、本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材120の成形方法に用いる積層押出成型機60の要部を示す概略断面図である。積層押出成型機60は、主押出機10と、共押出機20と、共押出金型50とを備えている。共押出金型50は、リサイクル層用ダイス30及び表面層用ダイス40からなり、主押出機10の先端に配設されている。リサイクル層用ダイス30は主押出機10からリサイクル樹脂の供給を受け、表面層用ダイス40は共押出機20から未使用樹脂の供給を受けるように構成されている。また、表面層用ダイス40は表面層形成部を有し、かつ、分割可能なダイスであって、表面層用ダイスの一部を交換することによって、表面層形成部の深さaを表面層の厚さの目標値相当に調整することができるようになっている。
【0058】
リサイクル樹脂を主押出機10からリサイクル層用ダイス30に供給してリサイクル層100に成形すると共に、未使用樹脂を共押出機20から表面層用ダイス40に供給してリサイクル層100の表面に積層しつつ表面層110に成形した(積層押出成形)。これにより得られる樹脂積層材120の概略断面図を図2に示す。
【実施例1】
【0059】
実施例1では、樹脂押出材の加工工場から出る切断端材等の塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕して得られた、色度がL*=61.55、a*=4.92、b*=22.68のリサイクル樹脂を基材に用い、表面層材には未使用樹脂として樹脂C(L*=61.71、a*=10.61、b*=36.42)を用いた。リサイクル樹脂と表面層材との色差(△E1*)は15、表面層材の0.3mm厚さにおける全光線透過率は5%であったので、前記の予備実験の結果から、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さとして0.3mmと算出し、これを表面層の厚さの目標値とするために、表面層用ダイス40の表面層形成部の深さaをこれと同じく0.3mmに設定した共押出金型50を用いて共押出して、樹脂積層材120を得た。この樹脂積層材120の色度を表面層側から測定するとL*=63.27、a*=10.25、b*=36.14であり、表面層材の樹脂Cとの色差(△E2*)は1.44であった。
【実施例2】
【0060】
実施例2では、図3のグラフで表現される様な、リサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)及び未使用樹脂の全光線透過率に対する、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さのテーブルを準備した。すなわち、得られた色差(△E1*)が10未満の場合には、表面層の厚さの目標値を0.2mmとし、得られた色差(△E1*)が10以上50未満であって、かつ、予め厚さ0.3mmのフイルムにて測定された未使用樹脂の全光線透過率が10〜20%の場合には、前記表面層の厚さの目標値を0.4mmとし、得られた色差(△E1*)が10以上50未満であって、かつ、予め厚さ0.3mmのフイルムにて測定された前記未使用樹脂の全光線透過率が10%末満の場合には、表面層の厚さの目標値を0.3mmとし、得られた色差(△E1*)が50以上であって、かつ、予め厚さ0.3mmのフイルムにて測定された未使用樹脂の全光線透過率が10〜20%の場合には、表面層の厚さの目標値を0.6mmとし、得られた色差(△E1*)が50以上であって、かつ、予め厚さ0.3mmのフイルムにて測定された未使用樹脂の全光線透過率が10%未満の場合には、表面層の厚さの目標値を0.5mmとして積層押出成形を行うこととした。
【0061】
樹脂押出材の加工工場から出る切断端材等の塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕して得られた、色度がL*=20.61、a*=0.22、b*=0.36のリサイクル樹脂を基材に用い、表面層材には未使用樹脂として樹脂C(L*=61.71、a*=10.61、b*=36.42)を用いて積層押出成形を行う。ここで、リサイクル樹脂と表面層材との色差(△E1*)は56、表面層材の0.3mm厚さにおける全光線透過率は5%であったので、表面層用ダイス40の表面層形成部の深さa0.5mmに設定した共押出金型50を用いて共押出して、樹脂積層材120を得た。この樹脂積層材120の色度を表面層から測定するとL*=63.39、a*=10.61、b*=35.12であり、表面層材の樹脂Cとの色差(△E2*)は1.47であった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の廃材樹脂のリサイクル方法及び樹脂積層材の成形方法に用いる積層押出成型機60の要部を示す概略断面図である。
【図2】図2は、樹脂積層材の概略断面図である。
【図3】図3は、リサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)及び未使用樹脂の全光線透過率に対する、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さのテーブルをグラフで示したものである。
【符号の説明】
【0063】
10:主押出機、20:共押出機、30:リサイクル層用ダイス、40:表面層用ダイス、50:共押出金型、60:積層押出成型機、100:リサイクル層、110:表面層、120:樹脂積層材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形し、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材を形成する廃材樹脂のリサイクル方法において、
予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、これら各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これらの結果から前記色差(△E1*)と前記未使用樹脂の表面層厚さとの関係を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を、前記の色差(△E1*)と表面層厚さとの関係に照らして、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない未使用樹脂の表面層の厚さとして色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層厚さを算出し、
その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする廃材樹脂のリサイクル方法。
【請求項2】
塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形し、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材を形成する廃材樹脂のリサイクル方法において、
予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、ある1種のリサイクル樹脂と未使用樹脂とを用いて表面層の厚さが異なる複数の積層体を成形し、各厚さにおける表面層の全光線透過率(%)を測定すると共に各積層体の色度(L*値)を測定し、これらの結果から表面層の厚さと全光線透過率(%)との関係及び表面層の厚さと色差(△E2*)との関係をそれぞれ求め、更に、各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これら色差(△E1*)と色差(△E2*)1.5以下を達成する未使用樹脂の表面層厚さ及びその全光線透過率(%)との間の「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」に照らして、未使用樹脂とこの未使用樹脂で表面層が形成された樹脂積層材との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを算出し、
その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする廃材樹脂のリサイクル方法。
【請求項3】
前記未使用樹脂は、厚さ0.3mmのフイルムにて測定される前記全光線透過率が20%以下であることを特徴とする請求項2に記載の廃材樹脂のリサイクル方法。
【請求項4】
塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形する、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材の成形方法において、
予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、これら各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これらの結果から前記色差(△E1*)と前記未使用樹脂の表面層厚さとの関係を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を、前記の色差(△E1*)と表面層厚さとの関係に照らして、成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない未使用樹脂の表面層の厚さとして色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層厚さを算出し、
その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする樹脂積層材の成形方法。
【請求項5】
色差(△E1*)と未使用樹脂の表面層厚さとの関係から色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層厚さのテーブルを準備し、前記リサイクル樹脂と未使用樹脂との間の色差(△E1*)を測定し、得られた色差(△E1*)から、このテーブルに基づいて成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする請求項4に記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項6】
塩化ビニル系樹脂の廃材を粉砕してリサイクル樹脂とし、このリサイクル樹脂を未使用樹脂と共に積層押出成形し、前記リサイクル樹脂で成形されて少なくとも一部が表面に表出しない部分となるリサイクル層と未使用樹脂で成形されて外表面となる表面層とを有する樹脂積層材を形成する廃材樹脂のリサイクル方法において、
予め色度(L*値)の異なる複数のリサイクル樹脂を用意して表面層として用いる未使用樹脂との間の色差(△E1*)を求め、また、ある1種のリサイクル樹脂と未使用樹脂とを用いて表面層の厚さが異なる複数の積層体を成形し、各厚さにおける表面層の全光線透過率(%)を測定すると共に各積層体の色度(L*値)を測定し、これらの結果から表面層の厚さと全光線透過率(%)との関係及び表面層の厚さと色差(△E2*)との関係をそれぞれ求め、更に、各リサイクル樹脂について表面層の厚さの異なる複数の樹脂積層材の試験片を作製して未使用樹脂と各試験片との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを求め、これら色差(△E1*)と色差(△E2*)1.5以下を達成する未使用樹脂の表面層厚さ及びその全光線透過率(%)との間の「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」を求め、廃材を粉砕して調製されたリサイクル樹脂の色度(L*値)を測定して求められた色差(△E1*)を「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」に照らして、未使用樹脂とこの未使用樹脂で表面層が形成された樹脂積層材との間の色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さを算出し、
その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする樹脂積層材の成形方法。
【請求項7】
「色差(△E1*)−全光線透過率(%)−表面層厚さの関係」から色差(△E2*)が1.5以下となる未使用樹脂の表面層の厚さのテーブルを準備し、前記リサイクル樹脂と前記未使用樹脂との間の色差(△E1*)及び前記未使用樹脂の全光線透過率を測定し、得られた色差(△E1*)及び全光線透過率から、このテーブルに基づいて成形後の樹脂積層材においてリサイクル層により色調に影響を受けない表面層の厚さを算出し、その算出された表面層厚さ計算値を表面層の厚さの目標値として前記積層押出成形を行うことを特徴とする請求項6に記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項8】
得られた色差(△E1*)が10未満の場合に、前記表面層の厚さの目標値を0.1〜0.3mmとして前記積層押出成形を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項9】
前記塩化ビニル系樹脂が、スチレン系樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、及び木粉充填材のうち少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項10】
前記未使用樹脂は、厚さ0.3mmのフイルムにて測定される前記全光線透過率が20%以下であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項11】
前記表面層となる未使用樹脂が、未使用の塩化ビニル系樹脂若しくは未使用のスチレン系樹脂、又はそれらに木粉、若しくは色調の異なる着色顔料が添加された未使用樹脂からなるシード材が充填された未使用樹脂であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項12】
前記表面層となる未使用樹脂と前記未使用樹脂で表面層が形成された樹脂積層材との間の色差(△E2*)を1.5以下とすることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項13】
主押出機と、共押出機と、その主押出機の先端に配設され、主押出機からリサイクル樹脂の供給を受けるリサイクル層用ダイス及び共押出機から未使用樹脂の供給を受ける表面層用ダイスからなる共押出金型とを備えた積層押出成型機を用いて、
リサイクル樹脂を主押出機からリサイクル層用ダイスに供給してリサイクル層に成形すると共に、未使用樹脂を共押出機から表面層用ダイスに供給してリサイクル層の表面に積層しつつ表面層に成形することを特徴とする請求項4〜12のいずれかに記載の樹脂積層材の成形方法。
【請求項14】
前記表面層用ダイスが表面層形成部を有し、表面層形成部の深さを表面層の厚さの目標値相当に調整することを特徴とする請求項13に記載の樹脂積層材の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−184498(P2010−184498A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96296(P2010−96296)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願2004−304278(P2004−304278)の分割
【原出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】