説明

廃棄物、特に廃水浄化を由来とするスラッジの処理方法

本発明の廃棄物の処理方法は、以下の各段階を含む:流入する廃棄物(装入材料)を、酸による酸化的加水分解に掛ける段階;該酸による酸化的加水分解段階由来の流出物の塊を、アルカリによる酸化的加水分解に掛ける段階;該アルカリによる酸化的加水分解段階由来の流出物の塊を、酸試薬の添加により、化学的に状態調節する段階;およびあらゆる溶解しなかった残渣を分離する段階。既に知られており、また実用化されている他の方法および技術と比較して、この方法は、以下のような利点を持つことを特徴とする:該廃棄物の質量を減じる上での優れた有効性;優れた経済性;生態学、環境、保健及び衛生上の諸問題点を全く示さず;該方法を実施するプラントにおいて使役されている人々に対して全く安全であり;該処理の終了時点において存在する可能性のあるあらゆる排出残渣の、農業上の利用に係る改善を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物、特に廃水浄化を由来とするスラッジの処理方法に関する。
より詳しくは、本発明は、廃棄物を実質上完全に排除するまで、化学的手段により、廃棄物、特に廃水浄化を由来とするスラッジを処理する方法に関するものである。該処理の終了時点において残留する可能性のあるあらゆる排出スラッジは、例えば天然の生物肥料として、耕種学的分野において使用するための、全ての物理的、化学的、感覚的並びに微生物学的諸特徴を持つ。
【背景技術】
【0002】
通常、あらゆる型の廃棄物の管理された処理は、構成員である各国が、その各領内に組入れ、かつ適用すべき義務を負う、EUによる指示および規則によって規制されている。通常の法律に従えば、廃棄物は、以下の型に分類される:(i) 固体都市(またはこれに匹敵する)廃棄物;および(ii) 特殊廃棄物。後者の特殊廃棄物は、更に危険でない特殊廃棄物および危険な特殊廃棄物に分割される。特別な化学的、物理的および/または感覚的組成の故に、危険な廃棄物として分類された廃棄物は、区別された処理工程に掛ける必要がある。
【0003】
最も古くかつ世界中の各国において廃棄物処理のために今日まで一般的に実施されている主な方法は、埋立地に搬送することであり、その理由は、この方法が、その有機構成成分の自然な分解をもたらし、また極めて長い時間的な規模(約25年間)にも及ぶが、最大の酸化段階にまで酸化される有機炭素画分、および窒素、リンおよび水素等のその他の基本的な成分両者を、自然な酸化発酵工程によって、完全に分解並びに石化にまで至らしめることを可能とするからである。埋立地への廃棄は、全世界を通して利用されている、極めて初期の方法である。というのは、この方法が簡単で、実用的であり、しかも(古来より)安価であったからである。しかし、一般的には、使用中の埋立用地のかなり迅速な枯渇の故に、また負の生態学上、健康上及び環境上の副作用の故に、人々は、これに代わる技術、例えばファーティリゲーション(fertirrigation)、バイオ-コンポスティングおよび他の代替迅速処理技術(バイオガス化、熱破壊、廃棄物-エネルギープロセス、熱分解等)の開発に対する必要性に気付きつつある。
【0004】
しかし、経済的には、埋立地における処理という上記伝統的な方法および時代と共に埋立てに対する代替法として進歩し、またかなりの低コストにて、より良好な結果を約束する、迅速処理技術両者は、次第に利益の乏しい処理であることが示されつつあり、その直接および間接的なコストの総和が、極めて高額であり、必ずしも妥当なものではなく、また対応する最終的な有効性が、一般に失われるという結果をもたらした。
現在まで長年に及び行われてきた、これら代替迅速処理技術各々は、周囲環境(作物、土壌、牧草地、地下水面等)およびヒトの健康(内部の従業員、周辺地域に住まいする住民等)両者に関して、並びに植物を食することにより生きている動物および、最終的な分析結果では、全体としての食物連鎖に関して、まぎれもなく負の副作用を示しつつある。
【0005】
ファーティリゲーションに関連して、これは本来的に、無害な特殊廃棄物に対してのみ適用される方法であって、廃棄物を受入れるのに適した土壌に、制御された用量にてこれを直接散布することからなる。一方で、この技術は、適度な構成および比較的単純な作業を必要とし、極めて低い経済的な投資および中乃至低稼働コストを持つに過ぎないが、他方において、その欠点はかなりのものであり、このことは、その極めて高い微生物量(microbial charge)を考慮すれば、作業者にとって、およびその悪臭及び有害物の発散、表層土壌の汚染、恐らくは深部までの帯水地下水面の汚染、および生物毒性のあるかつ潜在的に発癌性の重金属の植物中への蓄積(食物連鎖)等の故に、環境にとって有害な手順の一つとなっている。その上、該土壌は、昆虫、鳥類および齧歯目動物の宝庫となっており、更に上記手順は、一年の内の特定期間においてのみ、また処理すべき領域に応じた使用濃度にて、実施できるに過ぎない。
【0006】
バイオコンポスティング法に関連して、この方法は、予め無毒化されている無害なものとして分類された特殊廃棄物に対して必要とされる。これは、低い肥沃化作用並びに改善作用を持つ、有機-生物学的コンポストを製造することにあり、また使用に先立って、約70%の良好な性能の植物物質(一般的には、セルロース誘導体)と混合する必要がある。一方において、この方法は、相対的に技術、操作および組織化の点における単純性によって特徴付けられるが、他方において、これは、排他的に生物起源の、主要な植物物質の良好な利用性を必要とする。更に、良好な利益は、該得られるコンポストが、ニッチェ製品として市販された場合においてのみ得られる。このコンポストは、更に伝統的な肥料にとって代わり得るものではなく、低い全体としての肥料価値を与えるものであり、またこれに由来する実際の性能に比して、高い市販価格を持ち、その上伝統的な肥料との組合せで使用する必要がある。
【0007】
伝統的な燃焼法に関連して、これは、無害な特殊廃棄物に対する方法とは逆の処理であり、焼却工程からなり、その際の燃焼ガスは、その周辺環境中に直接放出される。一方では、この技術はかなり単純であるが、他方において、燃焼によって生成された全ての揮発性物質が大気中に直接放出されることから、無効な、かつ利用されない技術でもある。ここで、該燃焼によって生成された揮発性物質は、事実上環境、食物連鎖およびヒトの健康にとって有害な物質を含む。この技術は、更に有毒かつ有害なスラグを生成するが、該スラグは、埋立地に棄却される必要があり、またこれは追加の経費を必要とする。最後に、運転コストが高く、その理由は、該熱エネルギーを回収することができず、しかも生成するスラグを、埋立地に廃棄する必要があることにある。
【0008】
廃棄物-エネルギー、即ち部分的なエネルギーの回収を伴う廃棄物の焼却方法に関連して、この方法は、無害な特殊廃棄物に対して適用できるが、固形都市廃棄物の処理に対してより必要とされる方法である。この技術と関連する問題点の一つは、周辺環境に放出される燃焼ガスが、催奇性または発癌性物質として分類されている揮発性物質、即ち揮発性重金属、ダイオキシン、フラン、多環式芳香族炭化水素(PAHs)およびポリクロロビフェニル(PCBs)を担持するという事実である。また、これら物質が、放出源を取巻く領域に戻されることから、これらがヒトおよび動物の食物連鎖に介入してくるとの、実験的並びに実際上の証拠がある。このことは、またこれに関与する住民において、呼吸上の不快さを引起す恐れがある。また、有毒かつ有害なスラグが、熱的燃焼処理中に生成され、該スラグは、何れにしろ、制御された埋立地に棄却される必要があり、これは更なる経費を必要とする。該操業コストは、上記エネルギーの回収にも拘らず、高くなるものと考えられ、またその固定投下資本コストは、その構造が大きな寸法を持つ故に極めて高いものとなる。
【0009】
ガス化技術に関連して、この技術は、特別な廃物に対して適用することができるが、但し該廃物は有害ではなく、有機炭素の低酸素醗酵により生成される、メタンおよび二酸化炭素の生成へと導くものであることを条件とする。この技術は、有機炭素の高い力価における、スクラップ状の木質性植物物質および集約的な農業由来の動物排泄物の処理にとって、より適している。更に、この方法は、限られた経常費用で、スクラップ物質及び廃棄物からも、他のエネルギー(メタン)の大量生産を可能とするが、他方では、この技術は、理論的に単純であるというだけであって、その作業においては問題が多く、供給元により申告された値よりもかなり低い、変動する収率をもたらす。事実、これらの結果に影響を及ぼす多くのファクタがあり、それは、例えば原料物質の品位、および更には外気温度における季節に依存する変動等を含む。更に、この技術は、高い初期投下資本および大量の処理すべき有機物質供給の継続性を必要とし、また該技術は、高レベルの低熱動力(LCP)を持ち、好ましくは高い有機炭素含有率を持つ植物物質を含む、良好な品位のバイオマスを使用することを要する。使用可能ではあるが、この技術は、余分の生物学的スラッジの処理に対して、確実に適したものとはいえない。その上、該技術は、低酸素処理に起因する有害なスラグを生成し、ここで該スラグは、何れにしても該サイクルの終了時点において埋立地に廃棄されるべきであり、これは追加のコストを必要とする。
【0010】
余分の生物学的スラッジの処理に対してのみ使用し得る技術である、カニバリゼーション(cannibalization)は、生物学的酸化処理タンクと、低酸素活性を持つ外部装置との間で再循環される該余分のスラッジについて行われる、交互酸化/低酸素生物学的処理である。一方において、これは、環境並びに健康上の観点からクリーンな技術であるものと考えられ、更にその場所におけるオンラインプロセスであるが、他方では、該技術は、余分のスラッジ内で比較的穏やかな(40%)還元を可能とする。達成された結果に関連して、どうあろうとも、該処理のコストは高いものであり、また該技術の実施は、特に必要とされる高い固定投下資本をも考慮した場合には、明らかに過重な要求が科せられる。
最後に、オゾン分解法は、余分の生物学的スラッジに対してのみ利用し得る技術であり、またオゾン(O3)を使用して行われる強力な酸化作用からなり、該オゾンは、空気または気化された液体酸素に対して作用する、適当なアーク式オゾン発生装置から、その場において生成される。一方において、この技術は、環境および健康との関連からクリーンであり、また現地においてオンラインで実施し得るが、他方において、この場合にも、達成される余分のスラッジにおける還元は、比較的穏やか(40%)であり、更に何れにしても、達成される結果との関連で、特に必要とされる高い固定投下資本をも考慮した場合には、該処理のコストは高いものとなる。
【0011】
結論として、上述の迅速廃棄処理全ての持つ可能性のある上記負の副作用は、基本的には、大気中に放出された後、経時に伴い、有害性、突然変異誘発性、催奇形成性または直接的発癌性であることが見出されている、副生成物が生成されることに帰せられる。なぜならは、該副生成物が、最終的な濾過装置により僅かに部分的にのみ捕獲されるに過ぎないからである。最も重度の原因物質としては、以下に列挙するものが挙げられる:多環式芳香族炭化水素(PAHs)、様々な組成を持つダイオキシン、ポリクロロビフェニル(PCBs)、フラン(TE)および有毒であることが立証されている重金属(カドミウム、鉛、スズ、亜鉛およびその他)で構成される、揮発性無機微細汚染物質。周辺の住民に対する上記負の効果は、疑う余地のないものであり、また該効果は、廃棄物処理の実施地域の住民およびその周辺地域に関して、イタリアおよびその他の国において行われた、厳密な疫学的研究によって明らかにされている。
【0012】
最後に、生態学的-環境的考察に対して、前記迅速処理プロセスが、該プロセスの副生成物として、有害なものとして分類し得る特殊な廃棄物を放出することの、当然の重要性を付与すべきであり、その理由は、該副生成物が、クロム、マンガン、ニッケル、銅および他の遷移元素等の重金属の無機塩およびその複雑な誘導体で構成されており、現時点において、埋立以外に安全な他の処理方法が知られていないからである。
更に、大量の有機-生物学的派生物としての廃棄物の主な部分を生産するもう一つの領域である、都市廃棄物(SUW)は、都市並びに工業起源両者の、汚染水(廃水)の処理に由来するものである。事実、これらのプロセスにおいては、かなりの量の廃棄物または余分の生物学的および/または化学-生物学的スラッジが生成され、該スラッジの生成は固有の、また克服不可能な問題であり、その定性的かつ定量的な組成は、様々に変動し、該スラッジの由来となる浄化プロセスに依存している。事実、該処理の各型、および更には採用される各技術は、様々な性質および量の、余分なスラッジを生成する可能性がある。
【0013】
該化学的-物理的浄化プロセスは、有機-無機型の余分なスラッジを生成し、該スラッジは、本質的に、凝集-沈降相を改善する目的で添加された、少量の無機一次凝集剤(鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム塩等)および有機高分子電解質と共に、水和石灰で構成される。これらプロセスにより生成されるスラッジの平均的な量は、処理された廃水1立方メートル当たり、乾燥質量として4-10kgなる範囲にあるが、幾つかの特別な地域(例えば、紙、脂肪、洗浄剤)においては、20kg/m3にも達する可能性がある。
該浄化の生物学的プロセスは、生物学的-有機的に余分なスラッジを、極めて複雑な組成で生成し、その一部は、一般的には配糖体単位(糖タンパク質)および脂質(リポタンパク質)と結合した、様々な分子量を持つかなりのタンパク質画分によって代表され、生成される該画分の平均の量は、流入する有機装入材料に直接比例し(BOD)、また平均して浄化された廃水の4kg/m3に相当するものと見積もられる。
【0014】
混合プロセス(化学的-物理的+生物学的またはその逆)は、少数の場合に、具体的には該流入する有機装入材料が特に多量の場合、または該廃水中に存在する汚染物が、低い生分解性を持つ場合に、また生成される型および量が著しく変動し、結果として分類できない場合に適用される。
一般的な規定によれば特別な廃棄物として分類される上記余分のスラッジは、そこに存在する有毒または有害なものとして分類される要素の含有率に依存して、更に以下の如く:(i) 該スラッジ中に存在する有毒物質に関して、その最大許容閾値を越える場合に相当する、有害な特殊廃棄物、または(ii) 該スラッジ中に存在する有毒物質に関して、その最大許容閾値を越えない場合に相当する、無害な特殊廃棄物に分類される。
【0015】
廃棄を可能とするためには、廃水の浄化に伴って生成される該スラッジを、予備的増粘/濃縮処理、およびその後の濾過手段による脱水処理に付す必要があり、これらの処理両者は、全固形分含有率(TS)を高め、またその結果として該スラッジの容積および質量を減じるという、最終的な目標を持つ。これら処理の後に、該スラッジは、他のあらゆる廃棄物と同様に、最終的に管理された廃棄に付される。
最良の技術的知見の現状において、この余分なスラッジを再利用するための、経済的に有利な如何なる方法も、未だ見出されていないので、如何なるシステムまたは技術が一般的に利用されたとしても、埋立地への投棄を含む、実際に行われている管理制度におけるその不可避的な投棄は、その作業者に対する、かなりの受動的な経済的コスト増に相当する。様々な選択肢の中で、埋立地における廃棄は、今日では、経済的に最も不利な選択に相当するが、それにも拘らず、他の技術/廃棄の型に伴う、該廃棄物の処理に由来する残留有害廃棄物を投棄する必要がある場合、および代替技術によっては扱えない、様々な領域における廃棄物の投棄を可能とする必要がある場合両者においては、その殆どにおいて、埋立地における廃棄は、義務としてなすべきことである。
【0016】
通常使用されている様々な廃棄処理技術の有効性および効力とは無関係に、管理された埋立地における廃棄処理法は、今日においてさえ、この方法が最も安価ではないにも拘らず、依然として主な解決策に相当する。
廃水および下水の浄化法における上記余分なスラッジの廃棄は、経済的な影響の点で、全サイクルにおける最大の欠点を表し、事実、この廃棄コストは、該浄化プロセスの全コストの50-55%を越える割合を占める。
従って、研究の興味を、今日、主として以下のような局面に集中すべきことは、全く正常なことである:(i) 処理の単位コストの節減;(ii) 該浄化プロセスにおいて生成されるスラッジの量の最小化;(iii) 平行した生態学的、環境的、社会的および健康上の諸問題点の最小化/排除。
【発明の概要】
【0017】
上記論点に照らして、上に示された要件の全てを満たすことを可能とし、かつ極めて効果的であるのみならず、学術的および技術的両観点、および生態学的、健康的および経済的な観点から、改善を可能とする方法を入手し、その結果として、既知の迅速廃棄処理技術の、経時に伴って明らかとなってきた上記の重大な問題点を排除する必要があることは明白である。
これが、本発明による解決策が適合する状況であり、該解決策は、技術的、生態学的および経済的観点から、他の既知のおよび通常利用されている技術を越える改善をもたらす、代替法を提案するものであり、比較によれば、以下のような付随的かつ改善された諸特徴を持つ:
【0018】
・該方法の優れた低コスト性;
・周辺の環境、居住する住民、動物または植物に対して引起され、またその結果として食物連鎖自体に対して引起される、生態学上、環境上、衛生上および健康上の諸問題点を全く示さない点;
・プラントにおいて雇用されている人々の完全な安全性;
・該処理の終了時点において存在し得る、あらゆる排出される残渣の耕種学的増強。
特に、本発明の方法は、有機化学、生態学、環境保全、汚染地域の復旧、復興、廃棄物処理、および化学的構造の破壊、溶解(部分的であれ)および/または改善およびより高い生分解性を持つ単純な分子の獲得が、有用または有利であるものと立証し得る任意の他の場合における、多くの分野において利用し得る。
【0019】
上において我々が論じた、迅速熱的破壊(単純な熱的燃焼および廃棄物-エネルギー回収法)、または比較的長期間(約30日間)に渡る、有機炭素含有物質(バイオマス)のバイオ-ガス化の何れかに基いている、促進された破壊的技術とは異なり、本発明の課題とする方法は、以下のような固有の局面により、上記従来法とは異なるものである:
a) 本発明の方法は、処理すべき廃棄物の量および型に依存して、乾燥物質として25%〜40%なる範囲で変動する、該廃棄物中の有機炭素の無視できない画分を、CO2に化学的に酸化する;
b) 該処理の終了時点において生成する、該残留画分を構造的に改善する。ここで、該構造的改善は、水性環境内、即ち本質的に、透明な水性溶液中に完全に溶解した、迅速かつ完全に生分解性の溶質を含む溶出液中で起る;
【0020】
c) 該方法の終了時点において、本質的に(土壌、植物セルロース、不溶性食物画分、一般的には植物性の他の不溶性物質)中に引込まれた、不活性な植物物質からなる、存在し得る不溶性物体の形状にある、該残留物質は、単なる濾過または沈降もしくは機械的な圧搾によって排除することができる;
d) 耕種学的利用を律する法律を参照すると、該方法において残される可能性のある上記排出物質は、「無害な特殊廃棄物」として同定されており、これは、堆肥として利用可能な廃棄物について該規則が指定しているものに応じた諸特性を持つ。即ち、該物質は、耕種学的目的にとって十分に有用な生成物である。
従って、本発明の目的の一つは、上記既知の技術による解決策の限界を克服し、また上記のような技術的結果を得ることを可能とする方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更なる目的は、事業開始コストおよび稼働コスト両者に関して、実質的に抑制されたコストにて、上記方法を実施することにある。
言うまでもないが(not the least of)、本発明の目的は、実質的に簡単で、安全かつ信頼性のある方法を作りさすことである。
従って、本発明の第一の局面によれば、本発明は、廃棄物を処理する方法に係り、該方法は以下の段階を含む:
・流入する廃棄物(装入材料(charge))を、酸による酸化的加水分解に掛ける段階;
・該酸による酸化的加水分解段階由来の流出物の塊(outgoing mass)を、アルカリによる酸化的加水分解に掛ける段階;
・該アルカリによる酸化的加水分解段階由来の流出物の塊を、酸試薬の添加により、化学的に状態調節(conditioning)する段階;および
・溶解しなかった残渣全てを分離する段階。
【0022】
本発明の方法の更なる特徴は、本説明に添付された連続する従属請求項において特定されている。
本発明の方法の効力は、明らかである。即ち、本発明の方法は、しばしば複雑な、有機物起源および無機物起源両者および/または混合物起源および更には天然、人工または合成起源の、特殊な廃棄物として分類されている、膨大な数のスクラップおよび/または廃棄物および/または余分な固体および液体物質の破壊的または還元的な処理において、特に有効であることが示されている。
【0023】
本発明の方法は、特殊廃棄物および特に廃水浄化に由来するスラッジの処理にとって特に適しているが、膨大な範囲の廃棄物、例えば非-限定的な例として、固形都市廃棄物(OFSUN)の有機画分;工業プロセス由来の水;食品加工由来の有機スクラップおよびトリミング屑;粉砕工程由来の植物起源の水;ブドウ圧搾プロセス、アセティフィケーション(acetification)プロセスおよび醗酵およびアルコール蒸留プロセス由来のスクラップ;埋立地浸出液;チーズ製造プロセス由来の乳清、乳漿;沈殿物、澱;汚水溜め由来の下水;更には他の技術、例えば有機画分の低酸素醗酵により得られるバイオマスの製造、SUWの焼却、有機画分の熱分解等を利用して行われた廃棄物処理由来の残留廃棄物等の処理に適用することができる。
【0024】
本発明の方法は、これら特殊な廃棄物を、好ましくはこれらが生成される場所と同一の場所にて、首尾よく破砕し、化学的に破壊し、構造的に変換し、溶解し、最終的にはその重量を、幾つかの場合には、これらを完全に排除する点にまで減じるという、新規な利点をもたらす。特に、廃水浄化由来のスラッジを廃棄処理する場合、本発明の方法は、有利なことに、連続的に実施することができ、また該場所において処理される一次廃水と同一の浄化サイクルに組込むことができる。このようにして、かかる廃棄物の生成を伴う習慣的な作業、即ち取扱い、内部での移動、輸送、貯蔵、廃棄等に関連するコストおよびリスクを排除することを可能とする。あるいはまた、本発明の方法は、該処理すべき廃棄物が他の生成地域からもたらされる、特別な処理場にて実施することができる。
本発明の方法は、単純で、効果的な、生態学的、保健衛生的、および経済的な様式で、該処理を受ける該廃棄物の質量および容積両者を顕著に低下させることを可能とする。
【0025】
本発明の方法は、更に、程度の低い生分解性(BOD)を持つ下水または廃棄物、殆どまたは全く生分解性を示さない、所謂「硬質」と呼ばれる極ありふれた特徴を持つ(即ち、生物学的に抵抗性の)合成または半-合成物質を処理する必要がある場合に、特に有用かつ有利である。
特に、公知であり、かつ既に利用されている他の全ての技術と比較して、本発明の方法は、該方法を実施するプラントが閉じたサイクルであることから、如何なる型の発散物をも生成せず、またこのような発散物を大気中に放出することがない。
【0026】
更に、該処理すべき廃棄物の型およびその起源に依存して、該処理方法の終了時点において、適度な量の排出固体生成物が残される可能性があり、これは、更に還元することができず、「無害な特殊廃棄物」として分類され、5/2/98付けの環境大臣布告令(Decree of the Minister of the Environment of 5/2/98)、大臣布告令(Ministerial Decree)第186/06号および立法府布告令(Legislative Decree)第99/92号、付則(Annexes) 1A-1および判例(decisions) 2001/118/EC、2001/119/ECおよび2001/573/ECによる、堆肥として指定されているものに適合する諸特性を持つ。
従って、該処理の終了時点において固形残渣が残されていたとしても、この残渣は、前記立法府布告令第99/92号、付則1A-1により確立された布告令に従って、ファーティリゲーションにより直接土壌に散布し得る、土壌改良剤/肥沃化剤として、あるいはバイオ-コンポストの製造に適した製品、都市廃棄物に匹敵する廃棄物として廃棄し得る製品として使用することができる。
【0027】
以下、本発明を、添付した図を特別に参照しつつ、非-限定的な例としての好ましい態様に従って説明する。ここで、上記流入する廃棄物は、廃水の浄化由来のスラッジ(所謂「余分なスラッジ」)からなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の方法の様々な段階を例証するブロック図を示すものである。
【図2】図2は、本発明の方法の前記酸による酸化的加水分解段階における、70℃なる一定温度での、分単位で表した反応時間対pH値の関係を示す図である。
【図3】図3は、本発明の方法の前記アルカリによる酸化的加水分解段階における、70℃なる一定温度での、分単位で表した反応時間対pH値の関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の方法の前記酸による酸化的加水分解段階(pH=3)における、分単位で表した反応時間対70℃なる温度の関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明の方法の前記アルカリによる酸化的加水分解段階(pH=11)における、分単位で表した反応時間対70℃なる温度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の方法は、公知の熱分解処理に関する全時間に匹敵する、促進された許容時間内での、廃棄物および特に余分なスラッジの還元処理を可能とする。
以下の詳細な説明において述べられる本発明の方法のプロセス条件は、具体的には余分なスラッジの処理を引合いとしているものの、一般的に廃棄物の処理に対して適用できるものである。平均的な技術者の経験に基いて、また処理すべき特別な廃棄物に依存して、これら条件の幾分かの変更を行うことが可能である。
図1を参照すると、本発明による処理工程の一般的な組立ては、概して、予備的機械的破砕という第一段階を含み、これは該流入する余分なスラッジに対して直接行われ、該スラッジを激しく細断して、堅牢な一体性を持つ該物質を解繊し/引裂き、しかも該バイオマスを細胞的レベルにまで引裂いて、得られる細胞内物質を漏出させるものである。しかし、この段階は、常に厳密に必要とされるものではなく、この段階は、とりわけ小規模のプラントにおいては、以降の段階の実施時間を減じ、および/またはより高い効率を達成することを可能とする。
【0030】
これに続く次の段階は、酸による酸化的加水分解であり、この段階は、上記の既に解繊されたスラッジについて行われる。この段階は、上記プロセス条件において酸化され易い全ての物質を、二酸化炭素にまで直接酸化することを目的とし、更には、酸化されなかった残留物質を化学的に変性することを目的としており、ここで該残留物質は、一般に、エーテル結合を加水分解し、また結合しているアグリコンを遊離するための、酸による加水分解によって更に短い鎖を持つ生成物にまで加水分解され易い、構造化されたポリサッカライド化合物、例えば中および高分子量のセルロース誘導体(結晶性および/またはアモルファスセルロース)、栄養分起源の消化されなかった植物性セルロース(青物、果実および同様なもの)、他の低級ポリサッカライド、例えばグリコシド系化合物;一般的には栄養分起源(脂肪およびオイル)の長鎖脂肪酸からなり、1またはそれ以上の基R(ここで、R>C6)を持つグリセロールと結合した、グリセライドおよび他のエステル、更には直鎖および/または分岐した様々な起源を由来とする簡単なエステル、特に魚類-食物連鎖および合成潤滑剤;複合タンパク質、特に糖タンパク質、リポタンパク質、リン脂質、アミノ糖、スルホタンパク質;硫酸化物質、特にサルフィテーテッド(sulphitated)(R-OSO2-R')、硫酸化(R-OSO3-R')およびスルフォン化(R-SO3-R')化合物(ここで、Rは一般的な有機基であり、またR'は水素原子(H)、金属(M)または任意の他の有機および/または無機基であり得る);チオ誘導体型有機化合物、チオアルコール、チオエーテル、メルカプタン、スルホキシド、スルホン等;無機還元性化合物、例えば元素状硫黄、硫化物、スルフィット、チオ硫酸塩、テトラ-イオネート、ヒドロスルフィット等;還元作用を持つ他の物質、ヒドラジンおよびその誘導体、ヒドロキシラミンおよびその誘導体、ホスフィンおよびその誘導体、フェノールおよびポリフェノール系誘導体、上記反応環境においてより高い原子価状態まで酸化され易い、低原子価の遷移金属(所謂重金属)およびあらゆる他の還元性を持つ化合物;酸化作用を持つ物質、即ち活性なゼロ原子価をもつハロゲン原子(例えば、活性塩素)およびその有機誘導体(クロラミン)および無機誘導体(次亜塩素酸塩、過酸化塩素等);窒素、リンおよび硫黄の酸化性化合物並びに高い原子価をもち、酸化特性を有するマンガン、クロムおよび他の重質遷移金属の酸化性化合物;酸化性を有し、またバイオマスの正常な活性を妨害し得る他の全ての有機および/または無機化合物;フミン酸およびフルボ酸;前記反応環境内で変性され易い、既知および未知の他の全ての化合物からなっている。
【0031】
上記段階に続いて、アルカリによる酸化的加水分解段階が行われ、該段階は、鹸化により、一般的には、例として以下に示されるような部類に属する、複雑な物質、特に前の酸による加水分解段階において遊離されたアグリコンを加水分解し、しかも一般的に水酸化物が、水性環境において溶解度の低い、またその結果として凝集、沈降および濾過により分離される、重金属(遷移金属)を沈殿させる。ここで、該複雑な物質は、アミド結合(-CO-NH-)を持つ有機化合物、複雑な細胞タンパク質、簡単なタンパク質(ペプトース(peptose)、ペプトン)(ここで、該反応は、遊離アミノ酸が得られ、また最終的に遊離アンモニアが得られるまで継続される(これは処理時間が、過度に長い場合に起る))、合成化合物を含む他のアミド化合物;エステル結合(-COOR)を持つ鹸化性の有機化合物;前の酸による加水分解段階において加水分解されなかった、または部分的にのみ加水分解された、植物および動物油脂のトリグリセライド、様々な硝化された末端基および/または様々な脂肪基を持つ植物および動物性ホスファチド、有機リン酸化、ホスホン化、ホスファテーテッド(phosphatated)化合物および同様なものを含み;またグルコシドおよびグリコシド化合物のアルカリ酸化が行われ、β-アルコキシの除去を利用して、即座に低分子量を持つカルボン酸系分子、特にイソ-およびメタ-サッカリン酸に酸化される、セルロース誘導体の末端グルコシド鎖の段階的な剥ぎ取りを達成し;該処理時間を延長し、あるいはアルカリ試薬の濃度を高める(pHを高める)ことによって、該反応を継続して、制御困難な、様々な可能な再配列を伴って生成される、該グルコシド化合物を破壊することが可能となり;更に、該段階は、既知または未知の、該反応環境に置いて変性され易い、あらゆる他の化合物をも加水分解する。
【0032】
以下においてより一層詳しく説明される如く、場合によっては、該段階の液相から分離されている可能性のある、任意の不溶性金属水酸化物が除去されている、該アルカリによる酸化的加水分解段階から流出する装入材料は、次いで化学的な状態調節段階に掛けられる。実際に、該アルカリによる酸化的加水分解段階の終了時点における約11.0〜12.0なる範囲の値から、3.5〜5.5なる範囲の値への該液相のpH値の低下は、該凝結/凝集段階および最終的に流出する、即ち未反応の残渣の沈降速度両者を、顕著に改善することが認められた。従って、該不溶性金属水酸化物の除去後に、該溶出液のpHを、不揮発性の酸試薬、好ましくは硫酸の添加によって、3.5〜5.5なる範囲の所望の値に調節する。
【0033】
この化学的な状態調節は、その後の溶解しなかった残渣の分離段階の完了後、得られた溶出液を上流側、即ち該スラッジの起源である前記浄化プロセスに再循環する場合にも、同様に有利であることに注目すべきである。事実、この状態調節段階なしには、該溶出液は、最終的に極めて高いアルカリpH(11.0〜12.0)を持つことになり、この高いアルカリpHは、中性近傍および一般的には7.0〜8.5なる範囲にある、より一層低いpH範囲にて操作される、上記生物学的処理のために使用されるタンクまたは装置に直接再循環するには不適当である。
【0034】
該状態調節段階後、該集合体は溶解しなかった残渣の分離段階に送られる。この段階は、例えば依然として残されているあらゆる不溶残渣を、デカンテーション法により分離することのできる静的沈降タンク内で実施することができる。カチオン性高分子電解質の添加は、このデカンテーション段階をさらに促進し、また該残渣中のフロックの構造およびサイズを著しく大きくすることができる。しかしながら、一般的に、本発明によるこの処理サイクルの終了時点において存在する残渣の量は極めて少量であるので、該静的沈降操作は、不要な段階であり得る。というのは、既に知られており、また既に利用されている濾過法によれば、該集合体を、簡単なバッグを用いた濾過またはその他の種類の濾過に付すことが、より単純で、より実際的でかつより経済的であるからである。
【0035】
最後に、上で既に説明した如く、前記スラッジが現場で処理される場合には、上記溶出液を前記本来の浄化プロセスに再循環する段階を伴ってもよい。該濾過された流出液、即ち残留する可溶化されなかったスラッジが除去された流出液は、一次廃水と同一の生物学的浄化プラント内に再循環され、そこで以下に述べる区画において該廃水と混合することができる。即ち、(i) 一次貯蔵/均等化タンク内;または(ii) 流入する一次廃水と共に、上記化学的状態調節装置内で;または(iii) 上記生物学的処理区画(活性スラッジ、バイオディスク(biodiscs)、パーコレータ、通気された池等)において混合し得る。
【実施例】
【0036】
実施例1:処理段階の詳細な分析
さて、本発明の方法の全段階をより詳しく吟味するために、上記予備的な機械的破壊段階は、細胞膜を機械的に引裂き、またはこれらを解繊して、細胞内液体の可能な最大量を抽出し、同時に前記余分なスラッジ内の前記植物性画分の接触面積をその最大値にまで増大する目的で行われ、結果として該スラッジを、処理の以降の段階にとってより良好なものとすることができる。例えば、低温条件下、または更に良好には高温条件下で実施することのできる、予備的な機械的叩解まで進めることができ、この処理は、65℃以内なる温度および好ましくは酸性pH条件下で最良となる。というのは、該酸性化されたスラッジが、顕著に流動性となる傾向を持ち、解繊における機械的な有効性がより高められ、また結果的に処理時間を短縮することを可能とするからである。この作業は、任意の公知のデバイス(ボールミル、叩解装置、歯車の使用等)を用いて実施することができ、また該作業は、使用する砕解機の回転速度および該処理すべきスラッジの物理的な硬さに依存して、数秒乃至数分間継続することができる。
【0037】
次の段階、即ち酸による酸化的加水分解段階は、既に解繊されている集合体を酸性環境内で加水分解する目的で行われる。この段階は、好ましくは0.1〜5.0なる範囲、より好ましくは2.5〜3.5なる範囲の酸性pHにて行われる。該装入材料は、幾分かの穏やかな機械的攪拌(70-125rpmで十分である)または単なるエアレーションを行いつつ、好ましくは35〜100℃なる範囲(より好ましくは60〜75℃なる範囲)にて加熱される。この段階は、該細胞内液体の完全な抽出および該植物性物質の完全な加水分解の達成を確実にするために、一般的には60〜90分間なる範囲であるが、好ましくはできる限り長期間に渡り継続することができる。
【0038】
該反応環境の酸性度は、普通に、十分な酸性化作用を持つ任意の無機および/または有機化合物によって与えることができ、該化合物としては、特に非-限定的な例として、以下に列挙するものを挙げることができる:二元ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸)、窒素、リン、硫黄、ハロゲンの三元酸素含有酸;可溶性アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸性硫酸塩およびリン酸塩;単純なおよび/または置換された有機酸、即ちシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマール酸、蟻酸、酢酸、およびハロゲン置換酢酸;安息香酸および/または1またはそれ以上の活性化基で置換された安息香酸;亜硝酸、硫酸、硫酸塩、カルボン酸、リン酸、ハロゲン化水素酸;アルキルベンゼン、アルキルフェノール、アルキルおよびナフタレンのスルホン化、サルファテーテッド(sulphatated)、サルフィテーテッド(sulphitated)、ホスホン化、ホスファテーテッド(phosphatated)およびホスフィテーテッド(phosphitated)有機酸;通常の活性化基で置換されたものを含む、フェノールおよびその誘導体。
【0039】
該酸化反応は、好ましくは該反応媒体中に、少なくとも1種の以下に列挙する酸化剤を含めることにより行われる。
a) 例えば、空気吹き入れによる分子状酸素。大型の処理プラントにおいて、空気吹き入れは、経済的な理由から、現場で再度気化される液状酸素の投入により置換えることができる。酸性環境における分子状酸素は、以下に示すような半-反応(semireaction)に従って、かなりの効力を持つレドックスセミペアを生じ、意図した時間内に、以下の還元反応により多くの物質を酸化することを可能とする:
O2 + 4H+ + 4e- -> 2H2O E0 = 1.229 V
【0040】
b) 有機および/または無機パーオキサイド型の酸化剤。その非-限定的な例としては、特に以下に列挙するものを挙げることはできる:
・無機パーオキシ化合物、即ちオゾン、ホウ素化合物(パーオキシホウ素酸塩)、炭素(パーオキシ炭酸塩)、尿素(パーオキシウレア)、硫黄(パーオキシモノサルフェートおよびパーオキシジサルフェート)、リン(パーオキシリン酸塩)、超酸化物、過酸化水素(H2O2)。これらパーオキサイド型化合物の酸性処理環境内での反応は、以下の反応に従って、アクセプタの特性に応じて、単純な酸化-還元経路または酸素原子付加経路の何れかに従う可能性がある:
H2O2 + 2H+ + 2e- -> 2H2O E0 = +1.776 V
H2O2 + 2H+ + 2e- -> 酸素付加反応
【0041】
・パーオキサイド特性を持つ有機化合物、即ち過酸(R-CO-OO-H)、モノ-アルキルパーオキサイド(R-OO-H)、ジアルキルパーオキサイド(R-OO-R')、アシルパーオキサイド(R-CO-OO-CO-R')、環状パーオキサイド、オゾナイド、任意の他のパーオキサイド;
・非-パーオキサイド型無機酸化性化合物、即ちマンガン、クロム、ヨウ素、フッ素、臭素、塩素、窒素、鉛、銀、コバルト、セリウム、キセノン、鉄、セレン;発生期の酸素、強力な酸化系、特にFe(II) + H2O2 (フェントン(Fenton's)反応)または銀塩によるパーサルフェートの活性化によりその場で発生するヒドロキシ基。
全反応時間は、以下のファクタにより顕著に制約される:(i) 使用する酸性化試薬の強さ;(ii) 使用する酸化試薬の強さ;(iii) 作業温度。これらファクタの反応効率に及ぼす影響は、図2および3に示されている。
【0042】
上記アルカリによる酸化的加水分解段階を参照すると、この処理は、穏やかな塩基性環境、好ましくは8.0〜12.0なる範囲のpHの下で行われる。好ましくは、本発明の方法は、穏やかな機械的攪拌下で、また該集合体を、40〜100℃なる範囲(より好ましくは60〜75℃なる範囲)の温度にて加熱しつつ行われる。該反応環境のアルカリ度は、普通に、強力な塩基性化反応を伴う任意の有機および/または無機化合物によって与えることができ、該化合物の純粋に例示的な例としては、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物;酸素含有三元塩、即ち炭酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩等;塩基性化反応を伴う有機化合物、即ちアルコレート等を挙げることができる。
アルカリ性環境における該酸化反応は、前記酸による酸化的加水分解について示されたものと同一の型の、酸化剤の共存によって与えられる。
【0043】
反応時間は、図4-5において示されているように、該環境のpH値および作業温度両者によって制約される。
重質の遷移金属が処理すべきスラッジ中に存在する場合、これらは、酸性環境において、水性環境に対して低い溶解度を持つ高い原子価状態にまで既に酸化されていて、高い毒性を持つので、水酸化物として存在する該重金属を分離することができる。モル濃度は、溶解度積(Ksp)から導かれるものであり、その値は、上記アルカリ性環境を発生するヒドロキシドイオン(OH-)のモル濃度の影響の結果として更に減じられる。これらの不溶性水酸化物は、沈殿、即ち底部に溜まるスラリーとして抽出され、また分別処理に送られる。
【0044】
次いで、前の処理を由来とする該集合体を、機械的な攪拌条件下で、酸試薬の添加により状態調節して、好ましくは3.5〜4.5なる範囲内のpH値を持つものとする。この範囲のpH値は、存在する場合には、あらゆる放出される、不溶性残渣の凝集および最終的な沈降を好ましいものとする。
この状態調節の後、該集合体を次の分離段階に送るが、この段階は、一般的に沈降または直接的な濾過によって行われる。この残渣の沈降をより一層促進することが望ましい場合、少量の高分子電解質水性溶液の添加に頼ることもできる。
【0045】
分離後、該残渣は、場合により可能な最大量の存在する水を分離するために、かつ耕種学的利用の目的で放出すべき、湿潤状態にある排出残渣を物理的に分離する目的で、通常のデバイスにより圧搾処理に掛けるか、あるいは最終的な量が少ないことから、バッグフィルタまたは他の同様なデバイスで適切に濾過することができる。前記圧搾および濾過両者により集められた全ての水は、以下においてより一層具体的に説明されるように、再循環可能な溶出液と併合される。
本発明の方法が、直接上記廃水の浄化を行うその現場にて、余分なスラッジに対して行われる場合、該溶出液は、有利には、混合することのできる、上記流入する一次廃水と同様な、廃水浄化処理プラント内に再循環することができ、あるいは該溶出液は、同一プラントの生物学的処理区画(活性スラッジ、パーコレーション、バイオディスク等)に、直接送ることもできる。
【0046】
実施例2:プロセス収率
本発明の方法は、以下の簡単な質量に係る式を用いて、以下のような収率、即ち該処理の入口と出口との間の、該余分なスラッジの乾燥物の質量減を達成することが立証されている:
R% = 100 (Pi -Ps)/Pi = 100 (Pc SST% - Ps)
ここで、R%は、該処理に付された余分なスラッジの全乾燥物の百分率表示での質量減を表し;
Piは、該初期乾燥物の質量であり;
Pcは、該処理テストに掛けられた該余分なスラッジサンプルの質量であり;
Psは、濾過され、洗浄されかつ一定質量となるまで110℃にて乾燥された、上記最終的な残渣固体の質量であり;
SST%は、平均的代表的サンプルを、一定質量となるまで乾燥することにより、該余分なスラッジについて決定された全乾燥物の百分率で表した割合であり、以下のように表される:
SST%=[(乾燥したサンプルの質量)/(初期サンプルの質量)]×100
【0047】
a) 該乾燥物の質量に帰せられる質量減:この減量は、最小値84%から100%まで変動する。
b)湿潤した、シャベルで掬うことのできる状態にある上記圧搾生成物に帰せられる質量減:該全乾燥物(TDM)の質量減を表すのではなく、該脱水されたシャベルで掬うことのできる状態にある湿潤した集合体(これは結局のところ、また実際には、廃棄すべき上記残留集合体である)における全質量減を表したい場合には、該元の余分なスラッジそのもの、即ち未処理のスラッジと比較して、該処理後の該放出される最終的な残渣の優れた排液能力(即ち、自由水の遊離能力)のために、上記最小化の効率は、前記最小値としての84%から92%まで上昇する。上記項目a)において述べた収率と比較して、該脱水されたスラッジに対して達成されるこのより高い収率は、もっぱら排液能力、即ち遊離される自由水のより高い単位量に帰せられ、結果として該乾燥物の含有率が、該処理後に著しく高いものとなる。
【0048】
これら結果は、バッチ式で行われた実験室テストにおいて、およびパイロットプラントおよび完全な規模のプラント両者について行われた、動的テストにおいて、同一の型のスラッジを使用して、繰り返し確認されており、実際のところ見出された値は、夫々の間において、最大のズレ±1%以内で、完全に一致している。
実際に、本発明による方法の収率は、分離可能な有機物質の含有率によって、無視できる程度に過ぎない影響を受けることが観測されているが、これに対して該収率は、処理される原料としての廃水中に初めから存在した不活性な残渣の量により影響を受ける。より正確には、この効果は、加水分解されないまたは部分的にのみ加水分解され得る物質の存在により、また引込まれた不活性物質、即ち、該方法の実施条件内で不溶性であることが明らかであり得る、土壌、植物残渣、不溶の栄養分セルロース、結晶性植物セルロース、植物の皮、葉および様々な他の外来物質の含有率によって制約される。
【0049】
c) 部分的な乾燥による、該残渣の可能な更なる質量減:これは、生成されるスラッジの量が多量である(大規模プラント)ことから、本発明の方法に従って処理することにより、出口において圧搾または濾過された該湿潤残渣が、場合により部分的乾燥によって、該浄化段階から出てくる残渣を、真空下で部分的に乾燥し、または他の公知技術による処理によって、該残渣の含水率を減じるための更なる段階に掛けることができる場合に対応する。これは、該処理を由来とし、そこから放出される排出残渣が、約65〜75℃なる範囲の温度にあり、この温度において、蒸発すべき水が、約2×103Pa(約200mBar)なる、無視しえない蒸気圧を持つことから、有利なものとなり得る。
【0050】
実施例3:本発明の方法の結果に影響を及ぼすパラメータ
pHの効果:図2および3を参照すると、以下のような傾向を観測することができる:
・前記酸による酸化的加水分解において、pH=4.0なる値は、約120分という反応時間を必要とし、一方でpH=2.5なる値は、同一の結果に対して僅かに60分という反応時間を必要とするに過ぎない;
・前記アルカリによる酸化的加水分解において、12.0を越えるpH値は、分解および/または前記酸性環境においては、グルコシド分子のサッカリン系化合物への転化という、一連のかかる迅速反応を引起し、結果として該反応および該試みの反復可能性の制御を極めて困難なものとする。その上、この環境においては、該細胞性タンパク質の分解が顕著であり、該タンパク質はペプトンのみならずアミノ酸にも加水分解され、後者は、その後のアミノ基(-NH2)の遊離にまで導くほどではないが、次に変性され、遊離アンモニアの生成を伴う。11.0〜12.0なる範囲のpHの使用は、良好な解決策であると思われる。というのは、必要とされる該反応時間は、依然として比較的短い(3時間未満)が、該反応および該テストの再現性の制御は、満足なものとなるからである。8〜11なる範囲の、より一層低いpH値に対して、必要とされる反応時間は、顕著に延長されるが、その代償として該反応の制御性が改善される。
【0051】
温度に関しては、図4および5を参照すると、以下のような傾向が観測し得る:
a) 該酸による酸化的加水分解において、一般的に高い温度値、特に70℃を越える温度値は、該反応の速度の改善を補助するが、これに対して60℃未満の温度は、より長い反応時間を必要とし、また80-85℃以上の温度は、前記溶出液の顕著な暗色化を促進する傾向があり、また、シッフ塩基の生成を伴い、該塩基は、溶液中で、サッカライドとタンパク質または遊離アミノ酸との間で生成される可能性がある;
b) 前記アルカリによる酸化的加水分解において、80℃を越える温度値は、迅速な分解を伴って、複雑な反応を引起し、(pHに関連して既に述べたような)反応の制御は困難であり、また同様な反復可能性は、制御困難であり、その結果65〜70℃なる範囲の温度の使用が、良好な解決策となる。というのは、該反応がより一層制御し易くなり、また必要とされる反応時間は、これが3時間以内にあることから、依然として技術的に許容し得るものとなり、またより一層低い温度に対しては、該反応時間は過度に延長される。
【0052】
前記酸およびアルカリ試薬の濃度に関連して、該濃度は、前記酸およびアルカリ領域両者において、作業に対して選択されたpHの直接的な関数である。しかし、前記酸化剤の量は、主として使用pHのみならず、上記処理すべきスラッジ中に含まれる酸化性物質の型および量の関数である。これら酸およびアルカリ試薬の消耗は、例えばレドックスメーター、即ちmV単位で表されたレドックス電位(E)の測定装置によって調節することができる。
本発明の方法が品位、量および経済性の点で最良の結果を得るためには、様々な処理段階の進行順序が、極めて重要であり、最良の結果は、以下の表1にまとめられた如き配列に従って得られた。
【0053】
【表1】

【0054】
本発明の方法の定量的および定性的効力に関連して、前記処理段階を実施する順序に係る、上に示された順序は、溶出液の最良の品位との組合せで、最高の質量-最小化結果を与えたものである。事実、この順序は、以下に説明するような場合に、顕著な質量-最小化および定量的結果における顕著な低下が確実であるという意味で、重大な臨界的特徴を表している。即ち、該処理段階の順序が、上に示したものと異なっている場合、および特に:
・該酸による酸化的加水分解において、該酸試薬が上記酸化剤との混合物として使用されてはいないが、以下の表2に示したものと同一の温度および反応時間に関する条件に対して、該酸試薬のみまたは該酸化剤のみ(これらの混合物ではなく)が使用された場合:
【0055】
【表2】

【0056】
・該アルカリによる酸化的加水分解段階において、該アルカリ試薬を、該酸化剤との混合物として使用せず、以下の表3に示したものと同一の温度および反応時間に関する条件に対して、該アルカリ試薬のみまたは該酸化剤のみ(これらの混合物ではなく)が使用された場合:
【0057】
【表3】

【0058】
・該酸による酸化的加水分解段階を、該アルカリによる酸化的加水分解段階に先立って実施せず、以下の表4に示されたように後者に引続き前者を実施する場合:
【0059】
【表4】

【0060】
補助的処理または仕上げ処理としての、その他の処理段階は、本発明の方法の全収率に対して有意な影響を与えない。
実施例4:前記溶出液の諸特徴
溶解した最終的な反応生成物を含む該溶出液を、同一の浄化プロセスに、オン-ラインにて再循環することができ、該浄化プロセスでは、該溶出液は上記原料としての一次廃水と混合することができ(均質化タンク、予備化学的状態調節処理)、あるいは上記生物学的区画(活性スラッジ、パーコレータ等)に送ることができる。
該テスト中に得られた溶出液の諸特徴は、以下の通りである:
【0061】
A - 官能的諸特性
外観:透明な液体;
色相:暗赤色がかった淡い琥珀色乃至中-暗色系の琥珀色;
臭気:ベーカリー様の軽快かつ爽快な臭い。
B - 典型的な定性的組成
タンパク質および/またはペプトンおよび/または遊離アミノ酸;オリゴサッカライドおよび低級ポリサッカライド;リン脂質;遊離脂肪酸;サルフェートアニオン;クロライドアニオン;アンモニア窒素
全生分解率: >95%
【0062】
更に、以下の化合物は存在しない:亜硝酸窒素;硝酸窒素;アルデヒド、ケトン(chetones)およびアルコール;芳香族有機化合物;塩素化有機化合物;エステル化油脂;合成界面活性剤;フェノールおよびポリフェノール。一方で、以下の成分は制限された量にて存在する:銅(<0.01mg/L)および他の遷移元素(<0.01mg/L)。
従って、該再循環される溶出液は、バイオマスに関する優れた栄養分であり、またこのことは、栄養分として添加されるあらゆる他の物質を排除することを可能とする。該溶出液中に含まれている該有機系溶質の生分解性は、更にBOD/COD比を改善する。
【0063】
実施例5:該再循環された溶出液によりもたらされる有機および水力学的過負荷
現地における上記生物学的浄化プラントへの該溶出液の再循環のために、該流入する廃水の流量(Qin)と該再循環される溶出液の流量(Qe)との間の比で表される、1:150という平均再循環係数を考慮すると、該浄化プラントには、以下の表5に示すように、通常過負荷状態をもたらす。
【0064】
【表5】

【0065】
このことから、我々は、該一次浄化プロセスに対する該有機物の過負荷が、全く無視できるものであり、また更には民間並びに工業分野両者において、該過負荷が、完全に、流入する廃水の通常の揺らぎの範囲内にあるものと考えることができるものと推論することができる。
上記水力学的過負荷に関連して、本発明の方法は、該処理すべきスラッジ自体内に既に存在する水分以外に、如何なる他の水をも使用しない。即ち、本発明の方法にとって、このことが、全くのところ十分であることが立証されている。その上、使用する上記試薬は、処理すべきスラッジの体積の約2%に等しい体積にて添加すべきである。結局、上記浄化サイクルに入る水性溶液の全量は、実際上従来型の生物学的浄化プロセスにおいて存在する量と同一であるが、その理由は、上記濃縮、脱水された余分なスラッジが、上記最終的な圧搾段階に直接送られ、また該圧搾物から遊離される液体が、該プロセスに再循環されることにある。
【0066】
実施例6:該プロセス由来の排出残渣の諸特性
公知でありかつ既に利用されている技術であって、そのプロセス残渣が、有害な特殊廃棄物として分類されている、他の全ての技術(これら技術とは同一の範疇に属さない、上記バイオコンポスティング法を除く)とは異なり、本発明の方法は、存在する場合には、改善剤/肥料として土壌に散布することのできる特性を持つ、残留スラッジを与える。
一例として、以下の表6は、化学-織物-染色工業の作業由来の濃縮された余分なスラッジに関する、本発明の方法による処理前後の比較実験を示す。
【0067】
【表6】

【0068】
単なる工業的スラッジではなく、織物-染色部門における化学工業由来の純粋に化学的な廃水の生物学的処理を由来とし、また結果として高い汚染物量(high pollutant charge)を持ち、生分解性に対して極めて抵抗性の汚染物を含むスラッジについて、上に再現したデータから明らかな如く、該処理由来の残渣は、優れた化学的および生物学的プロフィールを有し、このことは、該残渣を、堆肥として使用できる生成物として、および土壌改良剤/肥料両者として使用することを可能とし、また該残渣は、適用し得る法律の規定に従って、土壌に直接散布することができる。
【0069】
実施例7:該残渣の更なる微量化
圧搾処理後に、該処理後も残されたスラッジが存在する場合、該スラッジは、伝統的な未処理スラッジの外観とはかなり異なる肉眼的外観を有しており、従って該スラッジは、該未処理のスラッジよりも著しく優れたシャベルによる掬い取り性/脆弱性(肉眼的に容易に認知し得るのみならず、触れた場合にも容易に認知できる)を示し、これらを比較すると、該スラッジは、明らかに高い乾燥物の濃縮度、一般的には初期含有率の2倍もの濃縮度を持つ。本発明の方法に従う処理後に得られる、この新規な性能の残渣は、最終的な残渣に対して特に都合のよい諸特性を付与する。何となれば、該残渣は、無臭の、極めて脆弱な、しかも粘着傾向を示さない、不活性な排出物質であるからである。この残渣を、乾燥することにより、即ち該残渣中に残されている吸収された水分を部分的または完全に蒸発することによる、該乾燥物の更なる濃縮処理に掛けることが望ましい場合には、これらの物理的諸特性は、極めて好都合なものである。この作業は、熱の利用の可能性があることによって、更に好都合なものとなり、該熱は、該残渣が出口において既に有しているものであり、その温度は60-70℃なる範囲にある。
本発明に係る、二次的なものではない、幾つかの更なる利点を、以下に示す:
【0070】
生物毒性化合物の除去:
恐らくは現地での工業的プロセス由来の、低い生分解性を持ち、あるいは活性バイオマスに対する阻害活性を持つ、多数の残留する有機物質は、往々にして、上記生物学的プロセスによって首尾よく破壊されることがなく、そのために依然として存在し、また実際にこれらを含有する該余分なスラッジ中で濃縮される恐れがある。従って、これらは、顕著な生物毒性作用及ぼす恐れがあり、または何れにしても、該バイオマスの活性に対して阻害作用を持つ恐れがあり、また現地において使役されている人々に対して刺激および/または有害な作用を及ぼす恐れがある。これらの物質としては、以下に列挙するものが挙げられる:殺菌剤、静菌剤、抗-真菌薬、醗酵防止剤、酸化防止剤、蛾忌避剤および防黴性化合物、抗-隠花植物剤、駆虫薬、枯葉剤、ホルムアルデヒドおよびそのプリカーサ、単純なおよび複雑なフェノール類、ポリフェノールおよびその誘導体、多環式化合物、四級アンモニウム塩等。本発明の方法は、処理すべき大多数の場合において、これらの物質を完全に無害なものとすることを可能とする。というのは、該方法は、これら物質の化学的な構造を変更し、かつその有効性を無効にするからである。
【0071】
微生物量の低減:
余分なスラッジの取扱い、保存および利用に係る最も深刻な問題の一つは、細菌、微小植物および微小動物の極めて高いかつ変動性の量での存在であり、これらの幾つかは病原性のものであり、その濃度は、(とりわけ)新たな液状スラッジおよび湿潤状態にある圧搾されたスラッジ両者において、細胞分裂によって迅速に増大する傾向がある。これは、依然として著しく腐敗性である有機および無機物質(タンパク質、脂肪、ポリサッカライド、ホスホリル化物質および/またはアゾテート(azotates)、硫酸塩、亜硝酸塩および硝酸塩)が、該スラッジ内にかなりの量で存在するからであり、これらは、無尽蔵に存在する細菌を減らすことにより、アンモニア、亜硫酸塩、硫化物、ホスフィン、メタン、一酸化炭素等に還元することができる。進行中の生物醗酵の、即ち混入微生物の成長に係る重要な指標は、特徴的な腐敗臭によって確実に表され、該腐敗臭は、通常保存されているスラッジ、特に液体状態にある並びに脱水状態にあるスラッジにおいて発生する。本発明の方法は、全微生物量(微小植物および微小動物)の99.999%を越える量を破壊することができる。というのは、本発明の方法は、細胞内に含まれるものさえも分解できるからである。処理後の該残渣の微視的観察は、本発明の方法のこの能力を立証するのに十分なものである。
【0072】
該浄化プロセスの単純化
伝統的な生物学的浄化プロセスは、必ず、脱水処理に先立って、生成された上記余分のスラッジを予備的に濃縮することを必要とする。これは、該スラッジ中に有機物質が存在するためであり、該有機物質は、粘着性が高く、より腐敗性が高くまた圧搾に対してより機械的な抵抗性が高いものであり、これは、ごく最近まとめられた(the more recently it was formed)。事実、これらの物質は、バイオマス自体の内因性生成物であると考えられる、天然産バイオポリマーの高い含有率を持つことから、最終的な脱水プロセスを著しく妨害する物質と、極めて類似する物質である。
本発明の方法は、これらの物質を変性し、かつ抽出する上で、特に有効であることが示された。本発明の方法は、以下のような実際上の結果を持つ:
・該残渣の濾過性または最終的な圧搾性を改善する;
・より高い乾燥物含有率を持つ残渣を与える;
・また、予備的に濃縮処理されたスラッジについて得られた結果と同一の結果をもって、濃縮処理に付されていないが、生物学的沈降タンクから直接抜出された、ポンプで汲み上げることのできる余分なスラッジを直接処理することを可能とし、従って全濃縮段階を省くことを可能とする;
・上記したものと同様な方法で、しかも同一の結果をもって、湿潤状態にあり、圧搾された、シャベルで掬い取ることのできるスラッジの処理を可能とする。
【0073】
以上、本発明を、その好ましい態様に従って、非-限定的な例証によって説明してきたが、添付した特許請求の範囲により規定した、本発明の保護範囲を何等逸脱することなしに、当業者は様々な変更並びに改良を施すことができるものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する方法であって、
・流入する廃棄物(装入材料)を、酸による酸化的加水分解に掛ける段階;
・該酸による酸化的加水分解段階由来の流出物の塊を、アルカリによる酸化的加水分解に掛ける段階;
・該アルカリによる酸化的加水分解段階由来の流出物の塊を、酸試薬の添加により、化学的に状態調節する段階;および
・溶解しなかった残渣が存在する場合には、これを分離する段階;
を含むことを特徴とする、前記廃棄物を処理する方法。
【請求項2】
前記処理すべき廃棄物が、廃水浄化由来のスラッジである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
更に、前記流入する装入材料の由来となる前記浄化段階に、前記分離段階から得られる流出液を再循環する段階をも含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
更に、前記流入する装入材料を、機械的に破壊する予備段階をも含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記アルカリによる酸化的加水分解段階に引続き、不溶性金属水酸化物を分離する段階をも含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸による酸化的加水分解段階を、0.1〜5.0なる範囲、好ましくは2.5〜3.5なる範囲のpH値にて行う、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸による酸化的加水分解段階を、35〜100℃なる範囲、好ましくは60〜75℃なる範囲の温度にて行う、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸による酸化的加水分解段階を、分子状の酸素および/または有機または無機過酸化物酸化剤の塊に含めることにより行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリによる酸化的加水分解段階を、8.0〜12.0なる範囲のpH値の下で行う、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルカリによる酸化的加水分解段階を、40〜100℃なる範囲、好ましくは60〜75℃なる範囲の温度にて行う、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカリによる酸化的加水分解段階を、分子状の酸素および/または有機または無機過酸化物酸化剤の塊に含めることにより行う、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記化学的状態調節段階を、3.5〜4.5なる範囲のpH値となるように、酸試薬を添加することにより実施する、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記分離段階を、沈降または直接的な濾過により行う、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記分離段階の後に、前記残渣を脱水処理に掛ける、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505828(P2013−505828A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531510(P2012−531510)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002418
【国際公開番号】WO2011/036550
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512080169)ニューリシ ソチエタ ペル アチオニ (1)
【Fターム(参考)】