説明

廃棄物の処理方法および埋立処分場の排水処理方法

【課題】埋立処分をした一般廃棄物の焼却残渣である焼却灰などを短期間にそのpHを低下させて土地還元するとともに、埋立処分地の廃水を容易に廃水処理することができる処理方法を提供すること。
【解決手段】この発明によって、焼却灰などの一般廃棄物と、アルカリ耐性であって、酸を産生する細菌の栄養源を含む栄養有機物質とを混合することによって、該焼却一般廃棄物のpHを低下させて焼却埋立一般廃棄物を処理するとともに、埋立処分地の廃水を容易に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼却埋立一般廃棄物、特に焼却灰の処理方法および埋立処分場の排水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物の焼却炉から排出される焼却灰は、全国で約780万トンに上り、埋立廃棄物量全体の約6割に相当する。しかし、今後、焼却灰の埋め立て処分場を増設または新設するのが極めて難しくなっている。また、かかる焼却灰は、無機塩類を多量に含んでいるところから、高アルカリ性であり、微生物が豊富に生存している一般土壌とは極めて異質になっている。このような焼却灰を埋め立てた場所を短期間に還元化して、微生物が生存できる一般還元化する試みも行われているが、短期間に土壌還元ができていないのが現状である。
【0003】
土壌還元化の1つとして、焼却灰に下水汚泥コンポストを混合する試みがなされている(非特許文献1)。この試みによれば、焼却灰に下水汚泥コンポストを混合することによって、当初pH13近くあった焼却灰のpHが6ヶ月位経過した段階でpH8〜9近くになったと報告している。このpH低下の原因として、細菌数が増加して要因として、定期的に細菌の栄養源を供給したことと、また細菌が多いことによる細菌の生育によって炭酸ガスが発生したことが考えられる、などと報告されている。この報告では、細菌数の増加については調べられているが、その細菌の構成については何ら言及されていないし、示唆さえもされていないと言える。
【0004】
また、高アルカリ性の焼却灰を埋立すると、長期間高アルカリ性が持続して、焼却埋立灰から排出される廃水も高アルカリ性を長期間保持されることになる。したがって、このような高アルカリ性の廃水をそのまま排水することができないので、かかる廃水を更に処理して排水しなければならない。埋立地の廃水処理も大きな問題である。そこで、埋め立て地からの廃水が短期間で排水できる程度にpHが低下することは、排水するための廃水処理が不要となるか、または必要としても安価にかつ簡単にすることができることになることから、焼却灰などの土地還元化は大いに要請されている。
【0005】
なお、本明細書においては、単に「焼却灰」または関連する用語は、特段の記載がない限り、埋立処分される一般廃棄物をも意味して使用されているものと、また、本明細書で用いられる「栄養有機物質」という用語は、この発明に関与する細菌が乳酸などの酸や、代謝物質として酸性を呈するその他の物質を産生するために栄養源となる有機物質を意味するものと理解すべきである。同様に、単に「コンポスト」または関連する用語も、特段の記載がない限り、この発明に使用される、アルカリ耐性であって、酸を産生する細菌の栄養源となるまたはかかる栄養源を含む栄養有機物質を意味して使用されているものと理解すべきである。
【非特許文献1】谷村年基他:「焼却残査の土壌還元化への有機系コンポストの添加効果に関する研究」平成16年度土木学会西部支部研究発表会講演要論文集(CD−ROM)2006年2月25日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、文献記載の方法である焼却灰に下水汚泥コンポストを混合して焼却灰を還元化する方法よりも短時間で焼却灰を還元化できる方法について鋭意検討・研究した結果、驚いたことに、焼却灰に生ゴミ由来コンポストを混合することによって、極めて短時間に焼却灰のpHを中性近くに還元できることを見出した。
【0007】
かかる知見に基づいて、本発明者らは、焼却灰のpHを極めて短時間に中性近くまで還元する原因を解明すべく更に検討・研究した結果、コンポストなどによって供給される栄養有機物質を栄養源とする細菌群が大きな機能を果たしていることを見出した。そこで、その細菌群の構成を解析することによって、この発明を完成するに至った。
【0008】
したがって、この発明は、その主な態様として、焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性酸産生細菌の栄養源を含む栄養有機物質とを混合して、該焼却一般廃棄物のpHを低下させることによって焼却埋立一般廃棄物を処理することからなる焼却埋立一般廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明は、上記焼却埋立一般廃棄物の処理方法によって、焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性酸産生細菌の栄養源を含む栄養有機物質とを混合して埋立処分場に処分した上記焼却埋立一般廃棄物のpHを低下させることからなる埋立処分場の排水処理方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、この発明は、その主な態様として、焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性酸産生細菌の栄養源を含む栄養有機物質を混合して該焼却一般廃棄物のpHを低下させることによって焼却埋立一般廃棄物を処理することからなる焼却埋立一般廃棄物の処理方法を提供する。
【0011】
この発明は、その別の態様として、埋立処分場の上記焼却埋立一般廃棄物のpHを低下させることからなる埋立処分場の排水処理方法を提供する。
【0012】
また、この発明は、それらの好ましい態様として、上記栄養有機物質が、上記アルカリ耐性酸産生細菌の栄養源となり、かつ、生ゴミ残渣または生ゴミ由来コンポストであることからなる一般焼却廃棄物の処理方法および埋立処分場の排水処理方法を提供する。
【0013】
また、この発明は、それらの好ましい態様として、上記焼却埋立一般廃棄物が高アルカリ性の焼却灰であることからなる一般焼却廃棄物の処理方法および埋立処分場の排水処理方法を提供する。
【0014】
さらにまた、この発明は、上記アルカリ耐性酸産生細菌が特に乳酸産生細菌群に属する細菌であることからなる焼却埋立一般廃棄物の処理方法および埋立処分場の排水処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る焼却埋立一般廃棄物の処理方法は、高アルカリ性であって、長期間土地還元ができない焼却埋立灰などの焼却埋立一般廃棄物を短期間に土地還元が可能な程度のpHにまで低下させることができるという大きな効果がある。
【0016】
また、この発明は、短期間に高アルカリ性であって、長期間土地還元ができない焼却埋立灰などの焼却埋立一般廃棄物を、そのpHを非常に短期間に中性近辺にまで低下させることができることから、埋立処分地での排水処理が極めて容易に行うことができるという別の大きな効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明に係る焼却埋立一般廃棄物の処理方法は、長期間土地還元ができない高アルカリ性の焼却埋立灰などの焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性酸産生細菌を含むコンポストなどの栄養有機物質とを混合して、この混合物を埋立処分地に埋立放置することからなっている。この発明の方法によって、埋立焼却灰などの高アルカリ性が短期間で中性付近にまでpHが低下し、埋立処分地の土地を還元することができるとともに、埋立処分地の廃水処理も容易に行うことができる。
【0018】
この発明において使用される焼却埋立一般廃棄物としては、特に限定されるものではないが、埋立処分される焼却灰などを使用するのがよい。他方、かかる焼却埋立一般廃棄物と混合されるアルカリ耐性酸産生細菌を含むコンポストなどの栄養有機物質としても、特に限定されるものではなく、かかる細菌が生育する栄養源を含む環境を有するコンポストなどの有機混合物などが使用される。このような栄養有機物質としては、特に生ゴミ残渣または生ゴミ由来コンポストなどが挙げられる。栄養有機物質がかかる細菌を十分に含んでいない場合とか、必要に応じて、かかる細菌群から適切と考えられる細菌群を選択して添加することもできる。なお、例えば、文献記載の下水汚泥コンポストや屎尿汚泥コンポストなどのように、コンポストの種類によっては、アルカリ耐性酸産生細菌が含まれてなく、またはその含有量が少なくて、あまり効果が期待できないものもある。このような場合でも、これらのコンポストが、この発明の方法に使用することができるアルカリ耐性酸産生細菌群を生育できる環境であれば、かかる細菌を添加することにより、同様な効果が得られるものと期待される。
【0019】
この発明の方法において使用されるアルカリ耐性酸産生細菌としては、埋め立て処分する焼却灰などの焼却埋立一般廃棄物の高いアルカリ性に対して耐性であるとともに、塩類に対しても耐性であり、その高いアルカリ性を中和する酸であって、代謝産物として酸性を呈する物質、例えば乳酸、酢酸、酪酸などを産生する細菌を使用するのがよい。
【0020】
上記のような細菌または細菌群としては、例えば、ロイコノストック属(Genus Leuconostoc)、ペデイオコッカス属(Genus Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Genus Streptococcus)、ラクトバチルス属(Genus Lactobacillus)、メリスコッカス属(Genus Melisscoccus)、エンテロコッカス属(Genus Enterococcus)、ラクトコッカス属(Genus Lactococcus)、ガルノバクテリウム属(Genus Carnobacterium)、バゴコッカス属(Genus Vagococcus)、テトラゲノコッカス属(Genus Tetragenocossus)、アトポビウム属(Genus Atopobium)、ワイセラ属(Genus Weissella)、ラクトスファエラ属(Genus Lactosphaera)、オエノコッカス属(Genus Oenococcus)、アビオトロフィア属(Genus Abiotrophia)、パララクトバチルス属(Genus Paralactobacillus)、グラニュリカテラ属(Genus Granulicatella)、アトポバクター属(Genus Atopobactor)、アルカリバクテリウム属(Genus Alkalibacterium)、オルセネラ属(Genus Olsenella)等の乳酸菌や、またはアセトバクター属(Genus Acetobacter)等などの酢酸菌または(Genus Clostridium)等の酪酸菌などの代謝産物として酸性を呈する物質を産生する細菌などが挙げられる。これらの酸産生菌のうち、アルカリバクテリウム属の細菌が特に好ましい。
【0021】
この発明において、例えば、焼却灰と栄養有機物質との混合割合は、アルカリ耐性酸産生菌が、その混合物の環境中において生存することができる程度であれば特に限定されるものではないが、例えば、焼却灰に対して、栄養有機物質が1/4〜2倍程度、好ましくは1/2〜1.5倍程度であるのがよい。したがって、場合によっては、焼却灰に対する栄養有機物質の混合割合を適宜増減することができる。なお、生ゴミ残渣や生ゴミ由来コンポストなどの栄養有機物質は、腐敗に伴って悪臭を発することから、悪臭を伴わないコンポストなどの栄養有機物質と混合することによって、その悪臭を相当程度低減させることができる。この場合の混合量は、特に限定されるものではなく、混合後の悪臭の程度によって適宜混合割合を増減するのがよい。
【0022】
この発明においては、コンポストなどの栄養有機物質は、焼却灰の埋立処分前にまたは埋立処分後に、混合することができるが、埋立処分前に混合するのが、手間がかからないので好ましい。埋立処分後は、特に撒水などの処理を施すことなく自然放置をするだけでよい。埋立処分期間は、例えば、埋立焼却灰のpHが中性近くに低下する期間であれば十分であり、そのように土地還元した処分地の土壌は、pHも一般土壌と変わらずかつ土壌微生物が豊富であることから一般土壌として有効利用することもできる。
【0023】
この発明によれば、特に驚いたことに、焼却灰をコンポストなどの栄養有機物質と混合して埋め立てて、1ヶ月以内にpHが低下していることが判明した。ただし、埋立処分地に埋立処分された焼却灰などの焼却埋立一般廃棄物は、このように極めて短期間にpHが低下するが、一般土壌などとして再利用する場合には、かかる焼却灰であっても埋立処分地に十分な期間保管しておくのがよい。
【0024】
この発明によって埋立処分地で土地還元された焼却灰などの焼却埋立一般廃棄物は、有効利用するために埋立処分地から搬出することができる。これによって、埋立処分地に新たに焼却灰などの焼却埋立一般廃棄物を埋立処分することができ、埋立処分地を循環して有効利用することも可能になり、非常に有利である。
【0025】
この発明によって処理された焼却灰などの焼却埋立一般廃棄物は、埋立処分地に埋立処分されている極めて短期間にpHが低下するので、その埋立処分地から排出される廃水を極めて短期間にかつ簡単に処理することができる。
【実施例1】
【0026】
まず、食物残査由来コンポスト(完成品)について下記のように16SrDNA配列分析を行なって、そのコンポストの菌叢解析を行った。
【0027】
(DNAの抽出)
食物残査由来コンポスト0.1gにDNA抽出溶液(組成:0.25M:EDTA、100mM:Tris−HCl(pH8.0)、100mM:NaCl)0.9mlを加えた。100mg/mlリゾチーム溶液を40μl(終濃度4.0mg/ml)、30%SDS溶液を60μl(終濃度1.8%)加え、全量を1000μlになるように調製し、0.5gのガラスビーズを加え約20分間激しく振とうした。その後、12000rpm、3分の遠心分離を行ない、上清(約1ml)にフェノール25:クロロホルム24:イソアミルアルコール1の混合溶液(PCI)を0.6ml加え、よく攪拌し12,000rpm、10分、20□で遠心分離した。遠心後、上清0.8mlを新たなエッペンドルフチューブに入れた。残渣は同様にDNA抽出溶液、リゾチーム、SDS溶液を加え、更に2回抽出操作を行なった。合計3回分のPCI処理済上清(約2.4ml)を約60μlに濃縮し、粗DNA溶液とした。調製した粗DNA溶液をQIAEX II Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて精製した。
【0028】
(16SrDNAの増幅)
上記の方法で抽出したDNAをテンプレートとして、(フォワード)細菌(大腸菌の341−357)5’−CCTACGGGAGGCAGCAG−3(リバース)、全生物(907−926)5’−CCGTCAATTC(A/C)TTT(A/G)AGTTT−3’のプライマーセットを用いてPCRを行った。
PCR反応液は、DNA溶液1μl、各プライマーを0.1μM、10×PCR緩衝液2.5μl、AmpliTaq−Gold DNAポリメラーゼ1.25U(PERKIN ELMER社)、dNTPs0.2mMおよび滅菌蒸留水を加え、全量を25μlとした。サーマルサイクラー(ABI社、GeneAmp PCR System9700)を用い、96℃、30秒間熱変性、55℃、30秒間アニーリング、72℃、60秒間伸長の各反応を30、35、40回繰り返した。PCR産物5μlを2%アガロースゲルで電気泳動し、約560bpの増幅産物の有無を確認した。PCR産物100μlは、精製後20μlに濃縮した。得られたPCR産物をTOPO TAクローニングキット(インビトロジェン社)を用いてクローニングを行った。形質転換した大腸菌は、100μl/mlアンピシリンを含むLB液体培地を80μl加えた96穴のマイクロプレートに接種し、18時間培養した。グリセリンの終濃度が25%になるように滅菌グリセリンを加え、−80℃で凍結保存した。
【0029】
(塩基配列の決定)
クローニングした形質転換大腸菌溶液1μlをテンプレートにし、M13プライマーセット(フォアード、リバース)を用いて上記と同様にPCR反応を行った。ExoSAP−IT(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて残存プライマーを除去した後、2%アガロースゲルで電気泳動を行い、約700bpの増幅産物を確認した。
このPCR産物1.5μlをテンプレートとして、M13フォワードプライマー及びBigDye Terminator v3.1Cycle sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社)を用いてシークエンス反応を行った。エタノール沈澱法で精製を行って、アナライザーで塩基配列を決定した。
【0030】
(16SrDNA塩基配列に基づく細菌叢解析)
決定した塩基配列をPhredによる精度検定を行った。moving average window size10、シークエンスの5’−末端のquality value(QV)が10、3’−末端を25で設定し、高精度な波形領域が550bp以下のデータについては削除した。また、Phredによる波形クオリティーチェックをクリアしたデータは、PCR反応に用いたプライマーの配列でトリミングを行ない、ベクターとプライマーの配列を削除した。
精度検定及びトリミングをパスした塩基配列のみを用いて、細菌の基準株の16SrDNAデータベースに対する相同性検索(BLAST)を行った。
BLAST検索の条件は、オーバーラップ長(Overlap length)が400bp以上でかつマッチング率(matching%)が80%以上の相同性が得られた配列は既知の菌種との類似性を認め、反対にこの条件を満たさない配列(マッチング率が80%未満のデータ)については分類不可とした。
投入した塩基配列に対してBLAST検索で最も高い相同性を示した生物種の階層分類表(門、綱、目、科、属、種)を作成した。菌叢解析結果は図1に示す。
【実施例2】
【0031】
実施例1で使用した食物残査由来コンポストよりも粒径が大きい食物残査由来コンポストについて、実施例1と実質的に同様にして16SrDNA配列分析を行なって、そのコンポストの菌叢解析を行った。その菌叢解析結果を図2に示す。
【実施例3】
【0032】
実施例1で使用した食物残査由来コンポストの発酵中のよりコンポストについて、実施例1と実質的に同様にして16SrDNA配列分析を行なって、そのコンポストの菌叢解析を行った。その菌叢解析結果を図3に示す。
【実施例4】
【0033】
実施例1、2、3にそれぞれ使用した食物残査由来コンポストをそれぞれ20%、15%、15%の割合で混合して混合コンポストを得、この混合コンポストと焼却灰とを重量比1対1の割合で混合した混合物を、試験処分場(直径15m、面積約176.6m)を2分割した2区画(A区画とB区画)にそれぞれ埋め立てた。各区画に埋め立てて直ぐに深さ2mの箇所からそれぞれサンプルAとサンプルBを採集した。
これらのサンプルAとサンプルBについて、実施例1と実質的に同様にして16SrDNA配列分析を行なって、その菌叢解析を行った。その菌叢解析結果をそれぞれ図4および図5に示す。
【実施例5】
【0034】
実施例4で埋め立てて3ヶ月経過後、サンプルAとサンプルBを採集した箇所からサンプルCとサンプルDを採集し、これらのサンプルについて、実施例1と実質的に同様にして16SrDNA配列分析を行なって、その菌叢解析を行った。その菌叢解析結果をそれぞれ図6および図7に示す。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明に係る焼却灰の処理方法は、埋め立て処分される高アルカリ性の焼却灰に生ごみなどの生活由来の廃棄物を混合することによって、短期間にpH濃度を中性付近にまで低下させることができることから、高アルカリ性の焼却灰を土地還元できるとともに、このような短期間でのpH低下により埋立処分地から排水される廃水の処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1で使用したコンポスト(完成品)の菌叢解析結果を示す図。
【図2】実施例2で使用したコンポスト(粒径が大きいもの)の菌叢解析結果を示す図。
【図3】実施例3で使用したコンポスト(発酵中のもの)の菌叢解析結果を示す図。
【図4】実施例4で使用したサンプルAの菌叢解析結果を示す図。
【図5】実施例4で使用したサンプルBの菌叢解析結果を示す図。
【図6】実施例5で使用したサンプルCの菌叢解析結果を示す図。
【図7】実施例5で使用したサンプルDの菌叢解析結果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性であって、酸産生菌の栄養源を含む栄養有機物質とを混合することによって、該焼却一般廃棄物のpHを低下させることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記栄養源および/または前記酸産生菌を前記栄養有機物質に添加することを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記焼却埋立一般廃棄物が焼却灰であることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記栄養有機物質が生ゴミ残渣または生ゴミ由来コンポストであることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記酸産生菌がアルカリ耐性ならびに高塩類濃度耐性であって、代謝産物として酸性を呈する物質を産生する細菌群に属する細菌であることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記酸性を呈する物質が乳酸、酢酸または酪酸であることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記細菌群が、ロイコノストック属(Genus Leuconostoc)、ペデイオコッカス属(Genus Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Genus Streptococcus)、ラクトバチルス属(Genus Lactobacillus)、メリスコッカス属(Genus Melisscoccus)、エンテロコッカス属(Genus Enterococcus)、ラクトコッカス属(Genus Lactococcus)、ガルノバクテリウム属(Genus Carnobacterium)、バゴコッカス属(Genus Vagococcus)、テトラゲノコッカス属(Genus Tetragenocossus)、アトポビウム属(Genus Atopobium)、ワイセラ属(Genus Weissella)、ラクトスファエラ属(Genus Lactosphaera)、オエノコッカス属(Genus Oenococcus)、アビオトロフィア属(Genus Abiotrophia)、パララクトバチルス属(Genus Paralactobacillus)、グラニュリカテラ属(Genus Granulicatella)、アトポバクター属(Genus Atopobactor)、アルカリバクテリウム属(Genus Alkalibacterium)、オルセネラ属(Genus Olsenella)等の乳酸菌またはアセトバクター属(Genus Acetobacter)等などの酢酸菌または(Genus Clostridium)等の酪酸菌などから選ばれる細菌群であることを特徴とする焼却埋立一般廃棄物の処理方法。
【請求項8】
焼却埋立一般廃棄物と、アルカリ耐性であって、酸産生細菌の栄養源を含む栄養有機物質とを混合して焼却埋立一般廃棄物を埋立処分場に埋立てて、該焼却埋立一般廃棄物のpHを低下させることによって、該埋立処分場からの排水を処理することを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の埋立処分場の排水処理方法において、前記栄養源および/または前記酸産生菌を前記栄養有機物質に添加することを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の埋立処分場の排水処理方法において、前記焼却埋立一般廃棄物が焼却灰であることを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の埋立処分場の排水処理方法において、前記栄養有機物質が生ゴミ残渣または生ゴミ由来コンポストであることを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれか1項に記載の埋立処分場の排水処理方法において、前記細菌がアルカリ耐性ならびに高塩類濃度耐性であって、代謝産物として酸性を呈する物質を産生する細菌であることを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれか1項に記載の焼却埋立一般廃棄物の処理方法において、前記酸性を呈する物質が乳酸、酢酸または酪酸であることを特徴とする埋立処分場の排水処理方法。
【請求項15】
請求項8ないし14のいずれか1項に記載の埋立処分場の排水処理方法において、前記細菌群が、ロイコノストック属(Genus Leuconostoc)、ペデイオコッカス属(Genus Pediococcus)、ストレプトコッカス属(Genus Streptococcus)、ラクトバチルス属(Genus Lactobacillus)、メリスコッカス属(Genus Melisscoccus)、エンテロコッカス属(Genus Enterococcus)、ラクトコッカス属(Genus Lactococcus)、ガルノバクテリウム属(Genus Carnobacterium)、バゴコッカス属(Genus Vagococcus)、テトラゲノコッカス属(Genus Tetragenocossus)、アトポビウム属(Genus Atopobium)、ワイセラ属(Genus Weissella)、ラクトスファエラ属(Genus Lactosphaera)、オエノコッカス属(Genus Oenococcus)、アビオトロフィア属(Genus Abitrophia)、パララクトバチルス属(Genus Paralactobacillus)、グラニュリカテラ属(Genus Granulicatella)、アトポバクター属(Genus Atopobactor)、アルカリバクテリウム属(Genus Alkalibacterium)、オルセネラ属(Genus Olsenella)等の乳酸菌またはアセトバクター属(Genus Acetobacter)等などの酢酸菌または(Genus Clostridium)等の酪酸菌などから選ばれる細菌群であることを特徴とする埋立処分場の排水処理方法または。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−80316(P2008−80316A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289236(P2006−289236)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(506357734)有限会社グローバル環境システム研究所 (3)
【出願人】(506087705)学校法人産業医科大学 (24)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100121371
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 和人
【Fターム(参考)】