説明

廃棄物の破砕分別装置

【課題】幅広い保形性や大きさの廃棄物を処理でき、廃棄物の回転羽根に対する絡みつきや、廃棄物の回転羽根とケーシング内壁面との間での詰まりを防止できる破砕分別装置を提供すること。
【解決手段】廃棄物の破砕分別装置は、一端部に廃棄物の投入口2を有すると共に他端部に処理済み廃棄物の排出口4を有し、下部に廃棄物から分離された分離物を排出する機構を備えた横長のケーシング1と、ケーシング1内に回転可能に軸承された回転軸20と、回転軸20の周囲に取り付けられ、投入された廃棄物を排出口4側へ進行させるように捩って配設された複数の回転羽根21と、ケーシング1内の下側部に上記回転羽根21の回転経路を部分的に取り囲むように配設されたスクリーン13とを備える。ケーシング1内の上側部に、回転羽根21の通過領域に隣接し、処理中の廃棄物を受け入れ可能な第1の余裕空間S1を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば賞味期限切れのパック入り飲料や、袋詰めの生ゴミ等のような水分を内包した廃棄物を破砕して流動物と固形物とに分別し、固形物の洗浄を行う廃棄物の破砕分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への取り組みが盛んになるにつれ、廃プラスチックや古紙等の廃棄物を回収し、有用な資源として再生利用する技術が種々開発されている。廃棄物を再生利用する技術では、一般的に、回収された廃棄物がまず小片に破砕され、その後、廃棄物に付着した汚れやゴミが洗浄除去される処理が行われる。
【0003】
かかる廃棄物の処理技術に関連して、特許第4121510号には、破砕された後の廃プラスチックを洗浄脱水する洗浄脱水装置が開示されている。この洗浄脱水装置では、ケーシング内に軸承された回転軸に取り付けられた複数のパドルにより、投入されたプラスチック片に対して、投入口側から排出口側にほぼ一定の送りがかけられることで、不均一な滞留個所の発生が防止されつつ、遠心力で効果的に洗浄や脱水が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4121510号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の洗浄脱水装置は、前処理として廃棄物を破砕する必要があるので破砕装置が必要であり、したがって、廃棄物の再生のために必要な装置構成が大型化する問題がある。また、廃棄物の破砕寸法が比較的大きい場合、投入された廃棄物がパドルや回転軸に絡みつき、パドルの回転を停止させるおそれがある。さらに、廃棄物が処理空間の壁面とパドルとの間に詰まり、パドルの回転を妨げるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、前処理を行うことなく廃棄物を投入でき、しかも、絡みつきや詰まりを伴わずに、廃棄物の破砕と分別と洗浄を行うことができる廃棄物の破砕分別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の廃棄物の破砕分別装置は、一端部に廃棄物の投入口を有すると共に他端部に処理済み廃棄物の排出口を有し、下部に廃棄物から分離された分離物を排出する排出機構を備えた横長のケーシングと、
上記ケーシング内に回転可能に軸承された横長の回転軸と、
上記回転軸に取り付けられ、上記投入口から投入された廃棄物を破砕する複数の回転刃と、
上記回転軸に、上記回転刃よりも排出口側に取り付けられた複数の回転羽根であって、それぞれ、その回転に伴い、上記回転刃で破砕された廃棄物を投入口側から排出口側へ進行させるように捩って配設された回転羽根と、
上記ケーシング内の下側部に配置され、上記回転羽根の回転経路の一部を取り囲む多孔部材と、
上記ケーシング内の上側部に形成される空間であって、上記回転羽根の通過領域に隣接し、処理中の廃棄物を受け入れ可能な第1の余裕空間とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、例えば賞味期限切れのパック入り飲料や、袋詰めの生ゴミ等のような流動物を固形物に収容した廃棄物が、ケーシングの一端部の投入口から投入され、回転する回転刃により破砕される。これにより、例えばパック入り飲料はパックが破砕されて飲料が放出され、袋詰めの生ゴミは袋が破断されて生ゴミが放出される。破砕された廃棄物は、回転する回転羽根によって排出口側へ進行させられる。このとき、例えば飲料や生ゴミのような流動物が、回転する回転羽根から遠心力を受け、多孔部材を透過して分離される。この多孔部材を透過して分離された流動物は、排出機構によってケーシングから排出される。多孔部材を透過することなくケーシング内に残った固形物は、回転羽根からの遠心力によって、付着していた流動物が除去されることにより洗浄される。また、ケーシング内に残った固形物は、回転羽根からの遠心力によって、脱水される。なお、ここで、脱水とは、水に限らず、固形物に付着していた液体や土砂等の固体を水と共に固形物から分離することをいう。固形物に付着する水分が比較的少ない場合は、固形物が、回転羽根の回転によってケーシング内に生成される空気流により乾燥する。ケーシングの他端部に達した固形物は、排出口から排出される。このような処理が行われるケーシング内において、ケーシング内の上側部に第1の余裕空間を有するので、廃棄物が回転軸や回転羽根に絡み付く不都合や、廃棄物が回転羽根とケーシング内壁面との間に詰まる不都合が防止される。
【0009】
このように、本発明の破砕分別装置によれば、処理中の廃棄物の絡みつきや詰まりを防止しながら、廃棄物を流動物と固形物とに分別できるうえ、固形物を洗浄及び脱水できる。したがって、例えば賞味期限切れのパック入り飲料や、袋詰めの生ゴミ等のような水分を内包した廃棄物を、流動物である飲料や生ゴミと、固形物であるパックの破砕片や袋の破砕片とに安定して分別することができ、さらに、固形物を洗浄して脱水した状態で分別することができる。その結果、例えば再生燃料の材料等の再生資源として用いることができる固形物を、有効かつ効率良く得ることができる。
【0010】
ここで、本発明において、流動物とは、流動性を有して多孔部材の孔を透過可能なものをいい、液体やゲル状体等の流動物のほか、液体と共に流動する微小な固形物をも含む。一方、固形物とは、多孔孔を透過しない寸法を有し、プラスチックや金属やガラス等のように液体が実質的に浸透しないもののほか、例えば紙などのように、液体が浸透しても、形状を保つことによって多孔孔を透過しない寸法が保持されるものも含まれる。
【0011】
一実施形態の廃棄物の破砕分別装置は、上記回転羽根が、上記回転刃に対して上記回転軸の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されることで、上記回転刃と回転羽根との間に、第2の余裕空間が形成されている。
【0012】
上記実施形態によれば、上記第2の余裕空間が形成されることにより、破砕直後又は破砕途中の廃棄物が、上記回転羽根の作用を即座に受けることなく、第2の余裕空間を通過した後に回転させられる。したがって、例えば廃棄物が比較的大量に投入された場合にも、廃棄物の回転羽根に対する絡みつきや回転羽根とケーシング内壁面との間での詰まりを効果的に防止することができる。
【0013】
一実施形態の廃棄物の破砕分別装置は、上記第2の余裕空間は、上記複数の回転羽根が、上記回転軸の周方向に1つおきに、上記回転刃に対して上記回転軸の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されることで形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、上記第2の余裕空間が上記回転軸の周方向で1つおきに形成されることにより、廃棄物の回転羽根に対する絡みつきや回転羽根とケーシング内壁面との間での詰まりを防止できるうえに、廃棄物の滞留を抑制できて、十分な処理効率性を確保することができる。
【0015】
一実施形態の廃棄物の破砕分別装置は、上記第1の余裕空間を規定する上記ケーシングの内壁面に、複数のリブが、上記回転羽根の回転に伴い上記第1の余裕空間における廃棄物を排出口側に進行させるように方向付けられて形成されている。
【0016】
上記実施形態によれば、複数のリブにより、ケーシングを補強することができると共に、不均一な滞留個所の発生を防止しつつ廃棄物を排出口側に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄物の破砕分別装置及びその破砕分別装置へ廃棄物を定量供給する供給装置を模式的に示す側面図である。
【図2】破砕分別装置の本体主要部の斜視図である。
【図3】破砕分別装置の本体主要部の内部を示す模式平面図である。
【図4】破砕分別装置の本体主要部の縦断面図である。
【図5】破砕分別装置の本体主要部の模式平面図である。
【図6】図4中のI−I線に沿った横断面図である。
【図7】破砕分別装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る廃棄物の破砕分別装置について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【0019】
図1は、廃棄物の破砕分別装置10及びその破砕分別装置へ廃棄物を定量供給する供給装置40を模式的に示す側面図である。また、図2は、破砕分別装置10の本体主要部の斜視図である。更に、図3は、破砕分別装置10の本体主要部の内部を示す模式平面図であり、図4は、破砕分別装置10の本体主要部の縦断面図であり、図5は、破砕分別装置10の本体主要部の模式平面図である。図6は、図4中のI−I線に沿った横断面図である。図7は、破砕分別装置10を排出口3側から見た背面図である。
【0020】
この破砕分別装置10は、固形物内に流動物を収容してなる廃棄物を、再生利用のために破砕及び洗浄し、脱水するものである。破砕分別装置10は、その基本構成として、その一端部に連続的に供給される廃棄物の投入口2を有すると共に、その他端部に処理済み廃棄物の排出口3を備えたケーシング1を有している。ケーシング1は、大略五角形の横断面を有する箱状の下部ケーシング1aと、半円筒状の上部ケーシング1bとで構成されている。上部ケーシング1bの正面側の端面に投入口2が形成されている一方、上部ケーシング1bの側面の背面に近い部分に排出口3が形成されている。排出口3には、図7に示すように、上部ケーシング1bの半円筒の接線方向に延びると共に先端が下方に屈曲したダクト31が連結されている。上部ケーシング1bは、下部ケーシング1aの上端にヒンジで開閉可能に連結されており、メンテナンスの際に内部が露出可能になっている。ケーシング1は、また、その下端に、廃棄物から分離された流動物や微小な固形物等の分離物を排出する機構として、スクリューコンベヤ9を備えている。
【0021】
更に、ケーシング1には回転軸20が回転可能に軸承されており、回転軸20のケーシング1内の部分の周面には、回転軸20の回転中に投入された廃棄物を投入口2側から排出口3側へ進行させる複数の回転羽根21が取り付けられている。回転羽根21は、回転軸20の周面に捩って配設されており、例えば、回転軸20の軸線Cに対する回転羽根21の角度α(図5参照)は、約15°に設定される。なお、回転羽根21の軸線Cに対する角度αは、3〜30°の範囲内に設定でき、好ましくは、10〜20°である。
【0022】
なお、図1に示すように、本実施形態では、破砕分別装置10に隣接して設置され、投入口2に対して廃棄物を供給する供給装置として、水平方向に配列された2軸のスクリュ42を備えた投入スクリュ装置40が採用されている。この投入スクリュ装置40は、2軸のスクリュ42,42を、上から見て互いの内側に向かって回転駆動し、これにより、スクリュ42,42の内側かつケーシング1側に押し込む力を廃棄物に作用させる。投入スクリュ装置40のスクリュ42は、モータからの駆動力が入力される回転軸42aと、回転軸42aの外周面に固定された螺旋羽根42bと、螺旋羽根42bの外縁に所定間隔を置いて固定された複数の切削刃43で概ね構成されている。この投入スクリュ装置40により、その投入口41から矢印Aに示すように投入された廃棄物が、ケーシング1側に連続的に押し出されて定量供給される。このとき、投入スクリュ装置40により、スクリュ42で連続的に押し出される過程で、廃棄物が切削刃43で破砕されて事前の破砕作用を受ける。また、2つのスクリュ42,42が回転するに伴い、一方のスクリュ42の切削刃43が他方のスクリュ42の回転軸42aに近接する位置を通過するので、他方の回転軸42aに廃棄物が巻き付く不都合を防止できる。投入スクリュ装置40の2軸のスクリュ42により事前に破砕された廃棄物は、投入口2からケーシング1内に押し出され、押し出された部分が、後述する回転刃24で切断される。なお、投入スクリュ装置40は、水平方向に配列された2軸のスクリュ42を備えるものに限らず、例えばスクリュ42を1軸のみ備えるもの等、投入された廃棄物をケーシング1内に定量供給できれば、どのような構造でもよい。また、スクリュ42は切削刃43を有しなくてもよい。
【0023】
また、ケーシング1内の下側部には、回転羽根21の回転経路の下側部を取り囲むように、多孔部材としてのスクリーン13が配設されている。このスクリーン13は半円筒型のパンチングメタルを用いて形成され、このパンチングメタルの孔の径は直径が3〜6mmである。このスクリーン13は、孔の直径が3〜6mmであることにより、洗浄効果を維持しつつも、廃棄物の固形物の通過を抑制することができる。なお、スクリーン13の孔の大きさは、処理対象である廃棄物の寸法や、廃棄物から分離すべき流動物の構成物の寸法等に応じて適宜設定できる。また、多孔部材は、パンチングメタルの他に、金網又は格子若しくはそれらの組み合わせで構成されてもよい。また、多孔部材は、廃棄物からの流動物の除去の目的以外に、廃棄物の分別の目的に用いてもよい。
【0024】
廃棄物から分離した流動物は、スクリーン13を通過した後、ケーシング1の下部に集まる。このケーシング1の下部に集まった流動物は、スクリューコンベヤ9により搬送され、その排出口4から矢印Bで示すように排出される。
【0025】
上記回転軸20は、ケーシング1の前後に配置された軸受28、29によって水平に回転可能に支承されている。この回転軸20は、回転羽根21の周速度が25〜30m/秒になるように、図示しないモータによって、前方側すなわち上流側(図1中の右側)から見て時計廻りの方向に回転駆動される。なお、モータの駆動力は、軸受29からケーシング1外に延出した回転軸20の端部に設けられた図示しないプーリを介して、回転軸20に入力される。
【0026】
本実施形態では、回転軸20に対して、6枚の回転羽根21が回転軸20の周方向に60度ピッチで取り付けられている。また、各回転羽根21は、廃棄物に接触して遠心力を伝える作用面が回転羽根21に対してほぼ直交するように、ブラケット23によって支持されている。なお、図1乃至5では、ブラケット23の図示は省略している。各回転羽根21には、その回転が高速になるほど大きくなる空気抵抗の影響を抑制し、また、分離された固形物の乾燥を促進するために、円形の複数の貫通孔21aが設けられている。
【0027】
図6からよく分かるように、本実施形態では、上部ケーシング1bの内側に、回転羽根21の通過領域に隣接して、処理中の廃棄物を受け入れ可能な第1の余裕空間S1が形成されている。この第1の余裕空間S1に、廃棄物がケーシンング1の上方に持ち上げられるタイミングで、その廃棄物の少なくとも一部が受け入れられる。すなわち、廃棄物の第1の余裕空間S1への逃げが可能となる。したがって、廃棄物の回転羽根21に対する絡みつきや、回転羽根21とケーシング1の内壁面との間における廃棄物の詰まりを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態では、第1の余裕空間S1を規定するケーシング1の内壁面に、複数のリブ11が形成されている。図5には、複数のリブ11と、リブ11に対向する位置(最上位置)にある回転羽根21とが実線で示される。また、排出口3の平面図における投射位置が二点鎖線で示される。複数のリブ11は共に、回転羽根21の回転(すなわち矢印Dで示す方向への移動)に伴い、第1の余裕空間S1に受け入れられている廃棄物Wを矢印Eの方向に誘導して排出口3側に進行させるように、方向付けられている。すなわち、リブ11は、平面視において、回転羽根21の回転方向に向かうにつれて投入口2から排出口3に向かう側に、回転羽根21の回転軸20の径方向に対して傾斜している。このリブ11の回転軸20の径方向に対する傾斜角度は、15°に設定されている。なお、このリブ11の回転軸20の径方向に対する傾斜角度は、3〜30°の範囲内に設定でき、好ましくは、10〜20°である。このように、ケーシング1の内壁面にリブ11が形成された構成により、廃棄物の滞留個所の発生を防止しつつ、廃棄物を排出口3側に進行させることができる。また、リブ11により、このリブ11が固定された上部ケーシング1bの補強を行うことができる。
【0029】
更に、本実施形態では、回転羽根21の前方側すなわち上流側(図1中の右側)に、投入口2から投入された廃棄物を破砕するための複数の回転刃24が、回転羽根21と共に回転軸20まわりに回転可能に設けられている。具体的に、回転軸20に対して、3枚の回転刃24が回転軸20の周方向に120度ピッチで取り付けられている。他方、これらの回転刃24に対応して、図6に示すように、投入口2の近傍に、ケーシング1の内壁面から回転軸20に向かって延びる固定刃5が取り付けられている。回転軸20の回転に伴い、まず、投入スクリュ装置40によって投入口2からケーシング内に押し出された廃棄物を切断する。引き続いて、固定刃5に対して回転刃24が順次接離することにより、固定刃5と回転刃24が順次せん断作用を行って、廃棄物を順次破砕する。
【0030】
加えて、本実施形態では、回転羽根21が、回転刃24に対して回転軸20の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されることで、回転刃24と回転羽根21との間に、第2の余裕空間S2が形成されている。より具体的には、第2の余裕空間S2は、複数の回転羽根21が、回転軸20の周方向に1つおきに、回転刃24に対して回転軸20の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されて形成されている。すなわち、計6枚の回転羽根21が回転軸21に取り付けられる本実施形態では、周方向に1つおきの3枚の回転羽根21に対応して、3つの第2の余裕空間S2が形成されている。
【0031】
このような第2の余裕空間S2が形成された構成によれば、破砕直後又は破砕途中の廃棄物が、回転羽根21の作用を即座に受けることなく、第2の余裕空間S2に導かれ、その後に、回転羽根21から回転力を受けることになる。したがって、例えば廃棄物が比較的大量に投入された場合にも、廃棄物の回転羽根21に対する絡みつきや回転羽根21とケーシング1の内壁面との間での詰まりを効果的に防止することができる。また、第2の余裕空間S2が回転軸21の周方向で交互に形成されるため、廃棄物の滞留を抑制して十分な処理効率を確保することができる。
【0032】
更に、本実施形態では、各回転羽根21には、ケーシング1の内壁面に対向する縁端部に、ゴム製の可撓接触部材22が取り付けられている。回転羽根21は、この可撓接触部材22がケーシング1の内壁面及びスクリーン13の内周面に接触した状態で回動することで、回転羽根21とケーシング1の内壁面及びスクリーン13の内周面との間が接触した状態を保持し、廃棄物を効果的に搬送することができる。また、可撓接触部材22がケーシング1の内壁面に接触した状態で回転羽根21が回転することにより、回転羽根21とケーシング1の内壁面との間へ廃棄物が侵入して詰まりが生じる不都合を防止できる。なお、可撓接触部材22は、ケーシング1の内壁面に接触しながら摺動できる可撓性を有していればよく、ゴム以外の他の材料で形成されてもよい。
【0033】
更に、本実施形態では、廃棄物を洗浄する洗浄流体をケーシング1内に供給するための供給管14が、ケーシング1に接続されている。供給管14には調整バルブ15が介設されており、図示しないバルブ駆動装置により、調整バルブ15の開度が調整される。供給管14は、ケーシング1の投入スクリュ装置40が設けられた側の端面に接続されており、図6に示すように、供給管14の吐出口14aが投入口2の両側に開口している。供給管14には、洗浄流体としての水が供給され、調整バルブ15で調整された流量の水がケーシング1内に供給される。供給管14からケーシング1内に供給された洗浄流体により、廃棄物の流動物を固形物から洗い流して廃棄物を洗浄するようになっている。なお、洗浄流体は、水以外に、100℃以下の湯や、100℃以上の飽和蒸気又は過熱蒸気であってもよい。飽和蒸気又は過熱蒸気は、0.1Mpa以上0.2Mpaの圧力でケーシング1内に噴射するのが好ましい。洗浄流体の種類や流量は、廃棄物の種類に応じて適宜選択又は調整することができる。
【0034】
次に、上記構成の破砕分別装置10により、流動物としての生ゴミが固形物としての樹脂製の袋に収容されてなる廃棄物を処理する手順を説明する。まず、投入口41から投入スクリュ装置40に投入された廃棄物は、スクリュ42,42でケーシング1側に送られると共に切削刃43で事前に破砕され、ケーシングの投入口2からケーシング1内に押し出される。投入スクリュ装置40によって投入口2からケーシング1内に押し出されつつある廃棄物は、スクリュ42の先端で一部が保持された状態で、回転刃24により切断される。さらに、押し出された廃棄物や切断された廃棄物が、固定刃5及び回転刃24のせん断作用により破砕される。これにより、固形物の袋が破られて流動物の生ゴミが放出され、また、寸法の比較的大きい生ゴミが破砕される。こうして破砕された廃棄物は、付加的な第2の余裕空間S2を通過した後、回転羽根21により搬送される。
【0035】
この搬送の間に、破砕された廃棄物が回転羽根21と共に高速回転することで大きな遠心力が与えられると、流動性のある生ゴミがスクリーン13を透過して下部ケーシング1a側に追いやられ、廃棄物から流動物の生ゴミが効果的に分離させられる。また、供給管14を通してケーシング1内に供給された洗浄流体により、固形物である袋の破砕片に付着した流動物が洗われて分離する。こうして、廃棄物から流動物の生ゴミが分離することにより、固形物である樹脂製の袋の破砕片が洗浄される。また、回転羽根21から受ける遠心力により、樹脂製の袋の破砕片が効果的に脱水作用を受ける。さらに、廃棄物に含まれていた水分量が少ない場合、樹脂製の袋の破砕片は、回転羽根21の回転によってケーシング1内に生成される空気流により、効果的に乾燥する。特に、本実施形態では、回転羽根21に貫通孔21aが形成されているので、回転羽根21の回転に伴い、樹脂製の袋の破砕片が回転羽根21の貫通孔21aを通ってケーシング1内を流動し、これにより、効果的に空気流に接触して乾燥する。
【0036】
また、回転羽根21による廃棄物の搬送の間には、廃棄物の少なくとも一部が、ケーシンング1の上方に持ち上げられるタイミングで、第1の余裕空間S1に受け入れられる。この第1の余裕空間S1に受け入れられた廃棄物は、回転羽根21の回転に伴い、回転羽根21から受ける送り作用と、リブ11から受けるガイド作用により、排出口3側へ徐々に進行させられる。
【0037】
ケーシング1の下部に収集された流動物である生ゴミは、その後、スクリューコンベヤ9により搬送され、排出口4からケーシング1の外へ排出される。一方、スクリーン13を通過しないでケーシング1内に残留した固形物である袋の破砕片等は、回転羽根21から作用する遠心力により、排出口3から出てダクト31を通り、図7の矢印Fで示すように、ダクト31の先端の開口31aからケーシング1の外へ排出される。
【0038】
このように、本実施形態の破砕分別装置10によれば、流動物を固形物で収容してなる廃棄物を効果的に破砕し、流動物と固形物を効果的に分別して、流動物が付着していない洗浄かつ脱水した状態の固形物の破砕片を得ることができる。また、第1及び第2の余裕空間S1,S2により、廃棄物の回転羽根21に対する絡みつきや回転羽根21とケーシング1の内壁面との間での詰まりを防止でき、ひいては、回転羽根21の回転停止を確実に防止することができる。したがって、高い効率により、廃棄物を破砕し、分別して、洗浄な固形物の破砕片を得ることができ、よって、再生燃料の材料として有効に利用できる再生資源を効率的に得ることができる。また、本実施形態の破砕分別装置10は、流動物を固形物で収容してなる廃棄物に対して、単一の装置により、粉砕と分別と洗浄を行うことができるので、廃棄物の前処理が不要であり、したがって、装置構成を簡単にでき、また、処理行程を簡易にできる。
【0039】
なお、上記実施形態では、破砕分別装置10が、廃棄物として、生ゴミを収容した樹脂製の袋を処理し、袋の破砕片に付着した生ゴミを遠心力で分離させると共に、袋の破砕片に付着した流動物を洗浄流体で洗って分離させたが、洗浄流体を供給しないで回転羽根21の遠心力のみによって流動物を分離してもよい。また、固形物に油汚れがある場合は、洗浄流体として、洗剤を含む水を供給管14を通してケーシング1内に供給してもよい。また、回転体の遠心力による脱水のみならず、風による乾燥作用を強化するために、ケーシング1内に風を送る送風装置が追加されてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、破砕分別装置10が、廃棄物として生ゴミ及び樹脂製の袋を処理したが、流動物としての飲料が固形物としての紙パックや金属缶で収容されてなる廃棄物や、流動物としての食用油が固形物としてのプラスチックボトルや金属缶で収容されてなる廃棄物等を処理してもよい。また、使用済みの農業用樹脂製シートのように、土砂や堆肥が付着した樹脂製の廃棄物を処理してもよい。この場合、破砕分別装置10により、土砂や堆肥を効果的に分離して洗浄してなる樹脂シートの破砕片を得ることができる。また、使用済みの食品用梱包材や包装材のように、有機物が付着した樹脂製の廃棄物を処理してもよい。この場合、破砕分別装置10により、肉や魚介類の梱包材や包装材のような臭気の強い廃棄物を、臭気の原因である有機物を効果的に分離して洗浄し、臭気を除去して清浄な樹脂の破砕片を得ることができる。
【0041】
このように、本発明の破砕分別装置によれば、液体やゲル状体や微小な固体や有機物で形成された流動物と、紙やプラスチックや金属やガラス等の固形物とが混在する廃棄物を処理して、流動物が除去された清浄な固形物を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ケーシング
2 投入口
3 排出口
4 流動物の排出口
5 固定刃
9 スクリューコンベヤ
10 廃棄物の破砕分別装置
11 リブ
13 スクリーン
20 回転軸
21 回転羽根
21a 貫通孔
22 可撓接触部材
23 ブラケット
24 回転刃
C 軸線
S1 第1の余裕空間
S2 第2の余裕空間
W 廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に廃棄物の投入口を有すると共に他端部に処理済み廃棄物の排出口を有し、下部に廃棄物から分離された分離物を排出する機構を備えた横長のケーシングと、
上記ケーシング内に回転可能に軸承された横長の回転軸と、
上記回転軸に取り付けられ、上記投入口から投入された廃棄物を破砕する複数の回転刃と、
上記回転軸に、上記回転刃よりも排出口側に取り付けられた複数の回転羽根であって、それぞれ、その回転に伴い、上記回転刃で破砕された廃棄物を投入口側から排出口側へ進行させるように捩って配設された回転羽根と、
上記ケーシング内の下側部に配置され、上記回転羽根の回転経路の一部を取り囲む多孔部材と、
上記ケーシング内の上側部に形成される空間であって、上記回転羽根の通過領域に隣接し、処理中の廃棄物を受け入れ可能な第1の余裕空間と
を備えることを特徴とする廃棄物の破砕分別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物の破砕分別装置において、
上記回転羽根が、上記回転刃に対して上記回転軸の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されることで、上記回転刃と回転羽根との間に、第2の余裕空間が形成されていることを特徴とする廃棄物の破砕分別装置。
【請求項3】
請求項2に記載の廃棄物の破砕分別装置において、
上記第2の余裕空間は、上記複数の回転羽根が、上記回転軸の周方向に1つおきに、上記回転刃に対して上記回転軸の長さ方向に所定の間隔をおいて離間されることで形成されていることを特徴とする廃棄物の破砕分別装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の廃棄物の破砕分別装置において、
上記第1の余裕空間を規定する上記ケーシングの内壁面に、複数のリブが、上記回転羽根の回転に伴い該第1の余裕空間における廃棄物を排出口側に進行させるように方向付けられて形成されていることを特徴とする廃棄物の破砕分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−106185(P2012−106185A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257339(P2010−257339)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】