説明

廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化工法

【課題】安定化に要する期間を短縮することができると共に、必要な動力を効率よく自給できる廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化工法を提供する。
【解決手段】廃棄物堆積層4に通気管5を設けた廃棄物処分場における安定化促進装置において、通気管5に圧縮空気製造装置11を接続し、圧縮空気製造装置11の駆動源が太陽電池12である。太陽電池12により発生した電力により圧縮空気製造装置11が駆動し、圧縮空気製造装置11から通気管5に送られた空気が廃棄物堆積層4に送られ、廃棄物堆積層4中において好気的分解が促進され、早期の安定化が可能となる。そして、廃棄物処分場1は、広大な未利用平面を有しており、多数の太陽電池パネル12Pの設置を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法に関する。
【背景技術】
【0002】
管理型の廃棄物最終処分場は、埋立てが完了しても廃棄物の分解が継続しているため、浸出水処理施設等はその後も処理場の廃止まで運転管理しなければならない。閉鎖から廃止に至る期間は数十年を要すと言われており、廃止までの期間を短縮するため廃棄物の安定化対策が求められている。
【0003】
そこで、底面地盤に遮水シートを敷設する廃棄物最終処分場において遮水シートの上方に布設する浸出水集水パイプを送気設備に連通させ、さらに浸出水集水パイプからガス抜き管を立ち上げ、送気設備からこの汚水集水パイプを介して曝気して埋立廃棄物に好気的条件を満たす空気を供給し、分解に伴って発生するガスは前記ガス抜き管を利用して大気に拡散する廃棄物最終処分場の埋立廃棄物の早期安定化法(例えば特許文献1)や、廃棄物処分場の底部に透水性材料からなる保護土層を形成するとともに、該保護土層内に有孔管を埋設配管し、該有孔管の一端を気水分離手段を介して真空ポンプに接続し、該真空ポンプの駆動により処分場内部に滞留する浸出水およびガスを吸引し、気水分離されたガスおよび浸出水をそれぞれ排気装置、浸出水処理施設に導くことを特徴とする廃棄物処分方法(例えば特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−323317号公報
【特許文献2】特開2003−93994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記前者従来技術では、送気設備からこの汚水集水パイプを介して曝気して埋立廃棄物に好気的条件を満たす空気を供給し、分解に伴って発生するガスは前記ガス抜き管を利用して大気拡散することにより、好気的分解を促進することができ、また、上記後者従来技術では、処分場内部を強制換気することで、早期かつ均一に廃棄物の安定化を図ることができる。
【0006】
上記両者従来技術では、空気供給又は強制換気により安定化処理時間を従来よりも短縮することができるが、廃棄物が安定化して最終処分場が廃止されるまでにはかなりの年月が必要となる。そして、期間中、空気供給又は強制換気を行うには、維持管理費と共に、装置を駆動するための電力費が掛かるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、安定化に要する期間を短縮することができると共に、必要な動力を効率よく自給できる廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、廃棄物堆積層に通気管を設けた廃棄物処分場における安定化促進装置において、前記通気管に送気手段を接続し、前記送気手段の駆動源が太陽電池であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記送気手段は、シリンダとピストンとを有する圧縮空気製造部により圧縮空気を作り出す空気圧縮機と、前記太陽電池の出力により駆動する前記空気圧縮機の駆動モータと、前記空気圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記空気圧縮機が前記圧縮空気製造部を複数有する多気筒型であり、前記制御手段は、前記太陽光線の照度の変化により圧縮空気を作り出す前記圧縮空気製造部の数を変更するように制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記太陽電池により発生した余剰電力を、売電、廃棄物処分場の他の設備の駆動源又は蓄電のいずれかに用いることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1又は2記載の安定化促進装置を用いた安定化処理方法において、廃棄物処分場の廃棄物堆積層に掘削ロッドを用いて廃棄物を排出することなく掘削孔を形成した後、前記掘削ロッドを引き抜いた掘削孔に、複数の通気孔を有する前記通気管を立て込み、この通気管に前記送気手段を接続することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、前記掘削ロッドは、ロッド外周から掘削径までのコテ面を備えた圧密翼部を複数周設していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、前記掘削孔を形成した後、この掘削孔に該掘削孔より外径の小さい前記通気管を挿入し、この通気管と前記掘削孔の内面との間に砕石を投入して砕石充填部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の構成によれば、太陽電池により発生した電力により送気手段が駆動し、送気手段から通気管に送られた空気が廃棄物堆積層に送られ、好気的分解が促進され、早期の安定化が可能となる。そして、廃棄物処分場は、広大な未利用平面を有しており、多数の太陽電池パネルの設置を容易に行うことができる。
【0015】
また、請求項2の構成によれば、太陽光の日射が小さくなり、照度が低下すると、太陽電池12の出力電流が低下し、直流モータを駆動するために必要な電力が得られなくなるので、制御手段は、例えば太陽電池の出力が所定値以下になると、圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部の数を減らすように変更することにより、直流モータの負荷が軽減され、安定した駆動を継続することができる。尚、太陽電池の出力が増加して前記所定値を超えたら、圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部の数を増やして日射を効率よく圧縮空気の製造に用いることができる。
【0016】
また、請求項3の構成によれば、前記太陽電池により発生した余剰電力を有効利用することできる。
【0017】
また、請求項4の構成によれば、廃棄物堆積層の廃棄物を排出することなく掘削孔を形成するから、掘削時に発生する廃棄物の処理が不要となる。
【0018】
また、請求項5の構成によれば、掘削ロッドが回転すると、掘削された廃棄物がコテ面により掘削孔の内面に押し付けられ、掘削孔内面が圧密され、これにより掘削した廃棄物を地表に排出する必要がなくなる。
【0019】
また、請求項6の構成によれば、掘削孔内面が圧密されているから、掘削孔より小さい通気管を挿入しても、掘削孔が崩れることがなく、その掘削孔と通気管の間に砕石を充填して砕石充填部を形成することができ、この砕石充填部により通気管の通気性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1を示す廃棄物処分場の平面説明図である。
【図2】同上、圧送手段の全体ブロック図である。
【図3】同上、要部のブロック図である。
【図4】同上、太陽電池における電圧と電流の関係を示すグラフ図である。
【図5】同上、直流モータの出力と日射強度の関係を示すグラフ図である。
【図6】同上、空気圧縮機の正面図である。
【図7】同上、日射強度に対応した空気圧縮機の駆動方法を示す説明図である。
【図8】同上、クランク装置の基本構造の正面断面図である。
【図9】同上、クランク装置の基本構造の側面断面図である。
【図10】同上、クランク装置の基本構造の各構成部品の寸法関係を説明する概略構成図である。
【図11】同上、クランク装置の基本構造の各構成部品の質量配分を説明する概略構成図である。
【図12】同上、クランク装置の基本構造におけるクランク軸の回転角度とピストンのストロークとの関係を示す線図である
【図13】同上、通気管の施工方法を示す断面図である。
【図14】同上、施工中の掘削孔の平断面説明図である。
【図15】同上、廃棄物処分場の概略説明図である。
【図16】本発明の実施例2を示す通気管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法を採用することにより、従来にない廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法が得られ、その廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法を夫々記述する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の廃棄物処分場における安定化促進装置と安定化処理工法を添付図面を参照して説明する。図1〜図15は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、廃棄物処分場1は、その底面2及び側面にゴムシート、合成樹脂シートなどにより遮水層3を設け、廃棄物を埋め立てて廃棄物堆積層4が形成されている。
【0023】
本発明では埋立てが完了した廃棄物堆積層4の安定化処理を行うため、その廃棄物堆積層4内に複数の通気管5を設ける。この通気管5は、鋼管や合成樹脂製の管などからなり、多数の通気孔6を有し、底部が閉塞すると共に、上部が地上に開口し、図1などに示すように、升目の交差位置に配置され、例えば、隣合う通気管5の間隔は10〜20mが好ましい。尚、後述するように通気管5は掘削孔7内に建て込まれる。
【0024】
前記通気管5には、送気手段たる圧縮空気製造装置11が接続されている。この圧縮空気製造装置11は、図2に示すように、太陽光線を電気エネルギーに変換する太陽電池12を動力源とする。また、前記圧縮空気製造装置11は、前記太陽電池12の出力電力(電圧×電流)が常に最大となるように制御する最大出力追尾制御(MPPT:Maximum Power Point Tracker)装置13と、入力電圧一定制御手段14と、駆動モータたる直流モータ15と、この直流モータ15により駆動する空気圧縮機16とを備え、前記入力電圧一定制御手段14は、太陽電池12の出力電力が、空気圧縮機16の直流モータ15の定格出力を超えた場合、直流モータ15への直流電圧を定格出力に対応した一定電圧に保つように制御する。
【0025】
図3に示すように、前記太陽電池12の出力により前記空気圧縮機16を駆動する制御手段17を備え、この制御手段17は、前記最大出力追尾制御手段13と前記入力電圧一定制御手段14とを備える。
【0026】
図4に示すように、太陽電池12は、日射強度によって出力が変化し、十分な日射があっても得られる電流、電圧が適当でないと、十分な出力が得られない性質を有するため、前記最大出力追尾制御手段13を用いる。
【0027】
そして、図3に示すように、前記太陽電池12と直流モータ15との間には、前記太陽電池12からの出力電圧を前記直流モータ15の直流回路部分に供給するための電力制御手段21を設け、また、前記太陽電池12と制御手段17の間には太陽電池12の出力電力を検出する電力検出手段12Aが設けられており、前記最大出力追尾制御手段13は、前記電力検出手段12Aにより求めた前記太陽電池12の出力電圧および出力電流に応じて、その出力電力が最大となる制御電圧を演算する演算手段22を備え、太陽電池12の出力電圧が直流モータ15の定格出力に基く基準電圧以下の場合、演算手段22により太陽電池12の出力電圧が最大となるように制御(追尾制御)する。
【0028】
また、前記入力電圧一定制御手段14は、前記基準電圧と電気制御手段21の出力電圧との誤差電圧を検出する誤差電圧検出手段23を備え、太陽電池12の出力電圧が直流モータ15の定格出力に基く基準電圧を超えた場合、誤差電圧検出手段23から出力された誤差電圧の大きさに応じて直流モータ15を定格出力で駆動するように制御(定電圧制御)し、定格出力を超えた余剰電力は、商用電源側に供給(売電)したり、他の場内設備の駆動源に利用したり、蓄電に利用されたりする。この場合、余剰電力の利用を前記制御手段17により制御することができ、例えば、圧縮空気製造装置11が所定の空気を圧送するに必要な電力を超えて太陽電池12の発電が行われた場合、これを制御手段17が検出し、必要な電力を超えて余剰電力を、上述したいずれかに利用するように制御手段17が制御する。
【0029】
また、前記制御手段17は、直流モータ15などに異常が発生した場合、直流モータ15を停止するようにも制御するものであり、装置11に過電流が発生したり、直流モータ15に回転異常が発生したりしたら、直流モータ15を停止する。また、上述した各制御は、電圧/電流のそれぞれの入力をアナログ/デジタル変換してコンピュータによるソフトウエア処理により行うようにしてもよい。
【0030】
前記空気圧縮機16は、多気筒である2気筒水平対向型であって、直流モータ15を駆動源として回転速度により空気吐出量が変化する回転軸入力ピストン形であり、図6に示すように、シリンダ31とピストン32とを有する圧縮空気製造部33を複数(2つ)備え、さらに、圧縮空気製造部33は、前記ピストン32のシリンダ31内での往復運動で吸入弁を介してシリンダ31内に空気を吸入する吸入部34と、吐出弁を介してエアタンク35などに圧縮空気を吐き出す吐出部36と、シリンダ31内と外部とを連通し、ピストン32の往復運動を無負荷状態として、圧縮空気製造部33における圧縮空気の製造を停止するアンロード弁37とをそれぞれ備える。
【0031】
さらに、前記制御手段17はアンロード弁制御手段24を備え、このアンロード弁制御手段14は、日射が小さくなり、太陽電池12の出力電圧が予め設定した直流モータ15の設定出力より低くなったら、アンロード弁駆動部25により一方の圧縮空気製造部33のアンロード弁37を開成し、その一方の圧縮空気製造部33を無負荷状態とし、また、この状態から、日射が大きくなり、太陽電池12の出力電圧が直流モータ15の前記設定出力を超えたら、アンロード弁駆動部25により前記アンロード弁37を閉成して、再び2つの圧縮空気製造部33において圧縮空気を製造するように空気圧縮機16を制御する。前記予め設定した設定電力は、前記定格電力と略同じでもそれ以下でもよい。
【0032】
尚、制御手段17に、太陽電池12における太陽光線の照度を検出する照度センサ18を設け、この照度センサ18で検出した照度が所定値以下になったら、一方の圧縮空気製造部33のアンロード弁37を開成し、その一方の圧縮空気製造部33を無負荷状態とし、また、この状態から、前記照度が所定値を超えたら、前記アンロード弁37を閉成して再び2つの圧縮空気製造部33において圧縮空気を製造するように制御してもよい。
【0033】
前記直流モータ5により得られる回転運動は、クランク装置101により、前記ピストン22の往復動作に変換される。前記クランク装置101は、クランク軸102、連接棒(コンロッド)103、およびこれらクランク軸102と連接棒103間に介装される遊星機構104を備えてなり、前記連接棒103が前記圧縮空気製造部33に連結される構造とされている。なお、図8〜図12においては、機械駆動系統における概略構成のみ示されて、他の周辺構成例えば吸入排気系統の動弁機構等の構成は図示省略されている。
【0034】
クランク軸102は回転側に連結される部分で、主軸110、クランクアーム111およびクランクピン112が一体的に構成されてなり、主軸110が軸受113を介してクランクケース114に回転可能に軸支されるとともに、この主軸110とクランクピン112の軸心が平行とされている。そして、前記主軸110が前記直流モータ5により回転する。2つの圧縮空気製造部33,33にはそれぞれクランク装置101,101が設けられ、これら2つのクランク装置101,101は、共通する前記主軸110の回転により駆動する。
【0035】
連接棒103は往復運動側である前記圧縮空気製造部33の前記ピストン32に連結される部分で、具体的にはこのピストン115と一体成形されてなる。連接棒103は図示のごとく全長にわたってほぼ同一太さの細い棒状とされるとともに、ピストン32も薄肉の円板状とされて、従来の一般周知の構造におけるようなスカート部はなく、これら往復運動部の軽量化が図られている。
【0036】
なお、前記連接棒103とピストン32の一体構造は、後述するように、連接棒103が往復直線運動することから採用され得る構造であるが、もちろん、従来のピストン・ロッドのように、各構成部品の加工誤差や組付け誤差等を吸収する目的等から、連接棒103とピストン32がピストンピン(図示省略)を介して揺動可能に枢支連結されてもよい。
【0037】
遊星機構104は、前記クランク軸102と連接棒103を連結する部分で、太陽部材としての円環状の固定内歯車120と、この固定内歯車120に噛合する遊星部材としての遊星歯車121とから構成されている。
【0038】
前記固定内歯車120は上記クランクケース114に固定的に設けられるとともにその円筒内周の太陽歯車120aが上記クランク軸102の主軸110と同心状に配置されている。
【0039】
前記遊星歯車121は、上記太陽歯車120aに噛合しつつ、その軸心まわりに転動可能に設けられている。この遊星歯車121の一側面の回転中心には、前記クランク軸102のクランクピン112が軸受122を介して回転可能に枢支連結されるとともに、遊星歯車121の外周部他側面には歯車ピン124が突設され、この歯車ピン124に、前記連接棒103の一端103aが軸受125を介して回転可能に枢支連結されている。
【0040】
前記各構成部材の寸法関係は、図10に示すように、まず、上記遊星歯車121の外径(ピッチ円直径)D1が上記太陽歯車120aの内径(ピッチ円直径)D2の1/2に設定されている。換言すれば、上記遊星歯車121の外周長さが前記太陽歯車120aの外周長さの1/2に設定されている。
【0041】
また、上記クランク軸102のクランクアーム111の長さL1(主軸110の軸心からクランクピン112の軸心までの距離)と、前記遊星歯車121の回転中心O21(クランクピン112の軸心)から前記連接棒103の連結点O3(歯車ピン124の軸心)までの距離L2が等しく設定されている。図示の実施例においては、上記連結点O3は遊星歯車121のピッチ円上に配置されている。
【0042】
これにより、遊星歯車121が、2回転して太陽歯車120a上を1周転動するとともに、上記連結点O3が、この遊星歯車121の転動に伴って、前記クランク軸102の回転中心O2(主軸110の軸心)を通る直線上を往復移動するように設定されている。
【0043】
また、本実施例においては、連接棒103の他端103bがピストン32の下面中心位置に固定的に連結されているのに関連して、ピストン32の軸心X(シリンダ31の円筒内面31aの軸心に一致)が、前記クランク軸102の回転中心O2を通るとともに、遊星歯車121と太陽歯車120aとの周方向噛合位置も、前記連結点O3の移動軌跡がピストン32の軸心Xに一致するように設定されている。これより、遊星歯車121の転動に伴って、連接棒103はピストン32と完全に一体となって直線X上、つまりクランク軸102の回転中心O2を通る直線上を揺動する(横に振れる)ことなく往復直線運動することとなる。一方、クランク軸102も、前記遊星歯車121の転動に伴って回転中心O2まわりに回転する。
このクランク軸102の回転角度φと前記ピストン32のストロークSとの関係を示すと図12の実線に示すようなサインカーブの基本形で表される。(破線はクランクの動きを示す)。
【0044】
また、クランク装置101を構成する前記各構成部材の質量配分は、往復運動部と回転運動部の動的バランスがとれるように、上記クランク軸102の回転中心O2を中心とした動的バランスを考慮して設定されている。この場合、好ましくは、各構成部材に設けられるすべてのカウンタバランサが回転慣性力として働くように設定される。
【0045】
図示の実施例においては、図11において、遊星歯車121の回転中心O21を中心とした両側の質量配分が等しくなるように、また、前記クランク軸102の回転中心O2を中心とした両側の質量配分が等しくなるように設定されている。
【0046】
具体的には、往復運動部(ピストン22、連接棒103、歯車ピン124)の質量をW1、この往復運動部に対する釣合い重り(カウンタバランサ)130の質量をW2、遊星歯車121の回転中心O21から歯車ピン124および釣合い重り130の取付け位置までのそれぞれの距離をA,Bとし、また、回転運動部(上記往復運動部、遊星歯車121、釣合い重り130)の質量をW3、この回転運動部に対する釣合い重り131の質量をW4、クランク軸102の回転中心O2から遊星歯車121の回転中心O21および釣合い重り(カウンタバランサ)131の取付け位置までのそれぞれの距離をC,Dとすると、
1×A=W2×B ・・・・・(1)
3×C=W4×D ・・・・・(2)
上記(1)式および(2)式の関係が成り立つように設定されている。この場合、クランクアーム111などは、回転中心O2に対して予め両側の質量バランスがとられているものとする。
【0047】
しかして、以上のように構成されたクランク装置101と圧縮空気製造部33とを備えた空気圧縮機16においては、直流モータ15により主軸110を回転すると、遊星機構14が遊星運動してピストン32の連続往復運動に動力変換され、シリンダ31内において圧縮空気が製造される。
【0048】
この場合、上述したような構成とされていることにより、連接棒103は左右横方向へはほとんど揺動することなく、ピストン32と完全に一体となって、クランク軸102の回転中心O2を通る直線X(ピストン115の軸心)上を往復直線運動することとなり、安定した動的バランスが確保されている。
【0049】
この連接棒103の直線X上の往復運動(ピストン115の往復運動方向に対しての傾きθ=0)により、従来のクランク装置のような偏荷重が全く生じず、ピストン32には、従来のクランク装置におけるスラスト力は全く作用しない。このため、理論上は、従来のクランク装置を採用する機械装置におけるようなピストンスラップは生じず、シリンダ31の円筒内面31aに作用する力はピストン32との摩擦力のみとなり、振動・騒音・キャビテーション・摩擦損失などの障害が大幅に減少されて、動力伝達効率も従来のものに比較して大幅な向上が望める。
【0050】
また、遊星歯車121を太陽歯車120aが取り囲むように配置されて、遊星歯車121の回転慣性力が太陽歯車120aにより確実に受け止められるため、ギヤ効率が高く、この点からも安定した動的バランスが確保される。また、遊星歯車121の回転慣性力により、遊星歯車121と太陽歯車120aの密接な噛合状態も得られて、動力伝動効率も高い。
【0051】
さらに、上述したように、クランク装置101の各構成部材の質量配分が前記クランク軸102の回転中心O2を中心とした動的バランスを考慮して設定されているから、特に、図示の実施例においては、各構成部材に設けられる全てのカウンタバランサ130,131等が回転慣性力として働くように設定されているから、低速回転域から高速回転域まで均一で安定した運転が確保される。
【0052】
また、前記クランク装置101においては、以下に列挙するような種々の設計変更も可能である。
【0053】
(1)遊星歯車121の回転中心O21から連接棒103の連結点O3までの距離L2を適宜調整することにより、クランク軸102の回転角度φに対するピストン32のストロークSを調整して、図12のサインカーブを対象となる機械装置の運動特性等に最適な形状に設定することができる。この場合は、連接棒103とピストン32がピストンピン(図示省略)を介して揺動可能に枢支連結されて、連接棒103の運動軌跡も図示の実施例のような直線ではなく、この直線の近傍を通過する惰円等になる。
【0054】
例えば、距離L2を大きくすることにより、サインカーブの山部と谷部が立ち上がり急激な曲線になり(図12の一点鎖線参照)、逆に、距離L1を大きくすることにより、サインカーブの山部と谷部が低くなり穏やかな曲線になる(図示省略)。
【0055】
(2)上記遊星歯車121と太陽歯車120aとの周方向係合位置を調整可能として、上記ピストン32のストロークSが可変とすることもできる。
【0056】
具体的には、例えば固定内歯車120が、クランクケース114に周方向に調整回転可能に設けられて、太陽歯車120aの周方向位置が適宜調整可能な構成とすることにより、太陽歯車120aと遊星歯車121との噛合位置を相対的に調整可能となる。この場合も、上記(1)と同様、連接棒103とピストン22がピストンピン(図示省略)を介して揺動可能に枢支連結される。
【0057】
(3)図示の実施例においては、最も構造が簡単で、大きな動力伝達と高い伝達効率が得られ、遊星機構104が固定内歯車120と遊星歯車121とから構成されている。しかし、これに限定されることなく、同様の噛合機能を備える他の構造も採用可能である。
【0058】
図示しないが、例えば、円環状部材の円筒内周面にチェーンが全周にわたって設けられた太陽部材と、上記チェーンに噛合する遊星部材としてのスプロッケトホイールとの組合わせ、あるいは、円環状部材の円筒内周面に歯付きベルトが全周にわたって設けられた太陽部材と、上記歯付きベルト(タイミングベルト)に噛合する遊星部材としてのプーリとの組合わせなどが採用され得る。
【0059】
(4)さらに、上記(3)のように、太陽部材の円筒内周と遊星部材の円筒外周の係合が噛合とされる他、太陽部材の円筒内周と遊星部材の円筒外周の係合が相互に滑りのない摩擦係合とされてもよく、この構造は特に、軽負荷の動力伝達に有効である。具体的には、例えば、太陽部材と遊星部材の両者がまたはその係合面部がゴム製とされて、ゴム同士の摩擦係合が採用され得る。
【0060】
そして、本実施例では、空気圧縮機16に直流モータ15を用いるもので、太陽電池12からの出力である直流を直接的に電源として用いるため、直流/交流変換は必要としないため、変換ロスがない。また、経時的に変化する日射量に対して、最大電力点追尾することにより、太陽電池12の発電電力を常に最大にし、直流モータ15の出力を最大にできる。また、太陽電池12の出力と直流モータ15の出力は比例する関係であるため、運転中、太陽光の日射エネルギーが上昇した場合、直流モータ15の出力も大きくなるが、直流モータ15の定格出力を越えた場合、モータ15の発熱が過度に及び危険な状態となる。本実施例は、運転中のこのような状態を回避するため、モータ15への入力電圧に対して定電圧制御を行うことで、太陽光の日射エネルギーが過度に及ぶ場合、直流モータ15の定格出力を一定に保つように制御している。また、本実施例では、圧縮空気を製造する手段として、多気筒型の空気圧縮機16を採用している。この空気圧縮機16の負荷コントロールにより、太陽光の日射エネルギーの変動に対して、広範囲に運転を継続できる。例えば、太陽光の日射エネルギが小さくなった場合、すなわち、モータ15の出力電流が小さくなった場合、空気圧縮機16を運転するために必要な回転力(トルク)が得られず、回転速度の低下から、ひいては運転停止を招くことになるが、一方のアンロード弁27を開き、回転負荷を軽減することにより、回転を継続し、圧縮空気の製造を維持することができる。逆に、運転中に太陽光の日射エネルギが大きくなった場合は、開いたアンロード弁27を閉じて運転をすることができる。さらに、太陽光の日射エネルギが大きく、入力電圧一定制御により余剰エネルギが発生した場合、余剰エネルギー(電力)を他の動力源として利用できる。
【0061】
このようにして製造した圧縮空気を貯蔵し、緊急時に空気タービンなどの動力源として活用したり、或いは風力発電又は/及び水力発電等と組み合わせたハイブリッド型の動力源として用いることができる。
【0062】
前記太陽電池12は、太陽電池パネル12Pが用いられ、この太陽電池パネル12Pが前記廃棄物堆積層4の地表面に架台(図示せず)により複数配置される。この場合、廃棄物処分場1には広い設置空間があるため、設置が容易であり、架台と太陽電池パネル12Pにより前記廃棄物堆積層4の地表面の少なくとも一部を覆う屋根を構成し、この屋根により雨水を集水して廃棄物堆積層4に浸透する雨水の量を少なくすることができる。また、図14に示すように、廃棄物堆積層4の地表面に、太陽電池パネル12Pを前後左右に並べて前後左右隙間なく配置することができる。
【0063】
次に、前記通気管5の施行方法について説明する。施行に使用する掘削機は、重機に設けたリーダーを上下する回転駆動装置41を備え、この回転掘削装置41により掘削ロッド42を掘削方向に回転しながら圧入し、前記廃棄物堆積層4に掘削孔7を掘削する。
【0064】
掘削ロッド42は、その外周に複数の圧密翼部43を設け、その先端部に螺旋状の掘削羽根44を設け、この掘削羽根44の先端に複数の掘削ビット45を設け、その基端には継ぎ足しロッド46が連結され、継ぎ足しロッド46同士も連結可能であり、継ぎ足しロッド46と同体に掘削ロッド42が回転する。
【0065】
前記圧密翼部43は、円周方向略等間隔で複数箇所(3箇所)設けられ、長さ方向に間隔をおいて、螺旋状をなす位置に配置され、掘削方向に傾斜した取付斜板51,51を上下に配置し、これら上下の取付斜板51,51の外端に翼本体52を設け、この翼本体52の外面であるコテ面53は、回転方向先端が最大外周位置54にあり、この最大外周位置から徐々に内側に向かう湾曲状をなす。
【0066】
上述した通気管5は、前記掘削孔5より小さく、掘削孔5と通気管5との間には砕石8が投入される。
【0067】
次に本発明の掘削孔の施工方法について説明する。最初に掘削孔7の掘削を行うもので、掘削ロッド42を回転駆動装置41に装着し、掘削ロッド42を回転させながら廃棄物堆積層4の地表面から降下させる。
【0068】
掘削ロッド42の先端部に掘削羽根44により廃棄物堆積層4を掘削しながら降下し、一方、圧密翼部43のコテ面の回転方向前方において、廃棄物堆積層4の廃棄物は、掘削ロッド42の回転で、各コテ面53によって掘削孔7の内面に押し付けられ、掘削孔7内面の廃棄物が圧密され、これにより廃棄物堆積層4の廃棄物を排出することなく、掘削孔7を形成することができる。また、掘削孔7の深さにより継ぎ足しロッド46を用いて掘削を行う。
【0069】
所定深さまで掘削孔7を形成したら、掘削ロッド42を地上に引き上げ、掘削孔7の内部に通気管5を挿入し、通気管5の外周と掘削孔7との隙間に砕石8を充填する。このように通気管5の外周に砕石8からなる砕石充填部9を筒状に設けることにより、通気孔6の目詰まりを予防することができる。この場合は、通気管5の直径が350mm程度に対して、砕石充填部9の直径は650mm程度とし、このように砕石充填部9の直径を通気管5の直径の1.5倍以上、3倍以下にすることにより、通気管5と廃棄物体積層4との通気性を良好に確保することができる。この場合、3倍を超えても目詰まり防止効果は変わらず、逆に掘削孔7が必要以上に大きくなり、工費が嵩むため、3倍以下が好ましい。尚、砕石8としては、通気性を確保するため20〜60mmの単粒度砕石、好ましくは30〜50mmの単粒度砕石が用いられる。
【0070】
このようにして複数の通気管5を建て込み、複数の通気管5の全て又は一部を送気管61により前記圧縮空気製造装置11に接続する。この場合、送気管61をバルブ62を介して前記エアタンク35に接続する。
【0071】
そして、太陽電池12により前記圧縮空気製造装置11が駆動し、空気圧縮機16から通気管61に空気が圧送され、複数の通気孔6から廃棄物堆積層4内に空気が送り込まれ、好気的分解が促進され、廃棄物の安定化が図られる。この場合、複数の通気孔5に一部に前記圧縮空気製造装置11に接続した場合、前記圧縮空気製造装置11を接続していない通気管5は、排気管となり、好気的分解により発生したガスを排気することができる。
【0072】
このように本実施例では、廃棄物堆積層4に通気管5を設けた廃棄物処分場における安定化促進装置において、通気管5に送気手段たる圧縮空気製造装置11を接続し、圧縮空気製造装置11の駆動源が太陽電池12であるから、太陽電池12により発生した電力により圧縮空気製造装置11が駆動し、圧縮空気製造装置11から通気管5に送られた空気が廃棄物堆積層4に送られ、廃棄物堆積層4中において好気的分解が促進され、早期の安定化が可能となる。そして、廃棄物処分場1は、広大な未利用平面を有しており、多数の太陽電池パネルの設置を容易に行うことができる。
【0073】
また、このように本実施例では、太陽電池12により発生した余剰電力を、売電、廃棄物処分場の他の設備の駆動源又は蓄電のいずれかに用いるから、余剰電力を有効利用することができる。
【0074】
また、このように本実施例では、送気手段たる圧縮空気製造装置11は、太陽光線を電気エネルギーに変換する太陽電池12と、シリンダ31とピストン32とを有する圧縮空気製造部33により圧縮空気を作り出す空気圧縮機16と、太陽電池12の出力により駆動する空気圧縮機16の駆動モータたる直流モータ15と、空気圧縮機16を駆動制御する制御手段17とを備えた圧縮空気製造装置において、空気圧縮機16が圧縮空気製造部33を複数有する多気筒型であり、制御手段17は、太陽光線の照度の変化により、例えば太陽電池12の出力が所定値以下になると、圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部33の数を変更するように制御するから、太陽光の日射が小さくなり、照度が低下すると、太陽電池12の出力電流が低下し、直流モータ15を駆動するために必要な電力が得られなくなるので、制御手段17は、例えば太陽電池12の出力が所定値以下になると、圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部33の数を減らすように変更することにより、直流モータ15の負荷が軽減され、安定した駆動を継続することができる。尚、太陽電池12の出力が増加して前記所定値を超えたら、圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部33の数を増やして日射を効率よく圧縮空気の製造に用いることができる。
【0075】
また、このように本実施例では、廃棄物処分場1の廃棄物堆積層4に掘削ロッド42を用いて廃棄物を排出することなく掘削孔7を形成した後、掘削ロッド42を引き抜いた掘削孔7に、複数の通気孔6を有する通気管5を立て込み、この通気管5に圧縮空気製造装置11を接続し、廃棄物堆積層4の廃棄物を排出することなく掘削孔7を形成するから、掘削時に発生する廃棄物の処理が不要となる。
【0076】
また、このように本実施例では、掘削ロッド42は、ロッド外周から掘削径までのコテ面53を備えた圧密翼部43を複数周設しているから、掘削ロッド42が回転すると、掘削された廃棄物がコテ面53により掘削孔7の内面に押し付けられ、掘削孔7内面が圧密され、これにより掘削した廃棄物を地表に排出する必要がなくなる。
【0077】
また、このように本実施例では、掘削孔7を形成した後、この掘削孔7に該掘削孔7より外径の小さい通気管5を挿入し、この通気管5と掘削孔7の内面との間に砕石8を投入して砕石充填部9を形成するから、掘削ロッド42により掘削孔7内面が圧密されているから、掘削孔7より小さい通気管5を挿入しても、掘削孔7が崩れることがなく、その掘削孔7と通気管5の間に砕石8を充填して砕石充填部9を形成することができ、この砕石充填部9により通気管5の通気性を確保することができる。
【0078】
以下、実施例上の効果として、通気管5は、前記掘削孔7より小さく、掘削孔7と通気管5との間には砕石8が投入したから、掘削孔7の周囲の砕石層により、通気孔6の目詰まりを防止できる。
【0079】
また、複数の通気管5を升目の交差位置に配置し、升目の縦横において、隣合う一方の通気管5を圧縮空気製造装置11を接続し、隣合う他方の通気管5を廃棄物堆積層4内のガスを外部に排出する排気管としたから、廃棄物堆積層4への空気の供給と発生したガスの排気を効率よく行うことができ、早期の安定化が可能となる。
【0080】
さらに、砕石充填部9の直径を通気管5の直径の1.5倍以上にすることにより、通気管5と廃棄物体積層4との通気性を良好に確保することができる。
【0081】
また、圧縮空気製造部33は無負荷運転用のアンロード弁37を有し、アンロード弁37を開いて前記圧縮空気を作り出す圧縮空気製造部33の数を変更するから、アンロード弁37を開いた圧縮空気製造部33は、無負荷運転となり、ピストン32の動作などを別個に停止することなく、直流モータ15の負荷を軽減することができる。
【0082】
また、駆動モータが直流モータ15であるから、太陽電池12の出力である直流電力を直流モータ15に直接的に供給できるため、直流/交流変換が不要となり、変換に伴う損失がなくなる。
【0083】
また、太陽電池12の出力の最大点を追尾する最大出力点追尾装置14を備えるから、日射により変化する太陽電池12の出力に対して、最大電力点を追尾することにより、太陽電池12の出力を最大に保つことができる。
【0084】
また、太陽電池12の出力が直流モータ15の定格出力を超えたら、該直流モータ15を定格出力で駆動するから、直流モータ15を定格出力で駆動することにより、定格出力を超えた場合の直流モータ15の過度の発熱などを防止でき、また、定格出力を超えた分は、充電などに利用できる。
【0085】
また、空気圧縮機16に用いるクランク装置101は、往復運動と回転運動の動力変換部分に適用される装置であって、回転側に連結されるクランク軸102と、往復運動側に連結される連接棒103と、これらクランク軸102および連接棒103間に介装される遊星機構104とを備えてなり、遊星機構104は、クランク軸102の回転中心O21と同心状かつ回転調節可能に配設された太陽部材たる固定内歯車120と、この固定内歯車120の内周に沿って転動する遊星部材たる遊星歯車121を備え、この遊星歯車121の外径D1が固定内歯車120の内径D2の1/2に設定され、遊星歯車121の一側面の回転中心O21に、クランク軸102のクランクピン112が回転可能に枢支連結されるとともに、遊星歯車121の外周部他側面に、連接棒103の一端103aがピンを介して回転可能に枢支連結され、該連接棒103の一端103aの往復動の軌跡がクランクピン112の円形回転軌跡を横断するようにされ、上記各構成部分の質量配分は、往復運動部と回転運動部の動的バランスがとれるように設定され、必要に応じて、遊星歯車121と固定内歯車120との周方向係合位置が固定内歯車120の回転調節によって調整可能とされているから、連接棒103は左右横方向へほとんど揺動することなく、ピストン32の往復動方向へピストン32と共にほぼ直線運動して、安定した動的バランスが確保される。
【0086】
特に、クランク軸102のクランクアーム111長さL1と、遊星歯車121の回転中心O21から連接棒103の連結点までの距離L2が等しく設定されて、この連結点が、遊星歯車121の転動に伴って、クランク軸102の回転中心O2を通る直線上を移動するように設定されていれば、連接棒103の揺動は全くなくて横に振れないため、ピストン32のスラストが全くなくなる。
【0087】
しかも、遊星歯車121を固定内歯車120が取り囲むように配置されて、遊星歯車121の回転慣性力が固定内歯車120により確実に受け止められるため、この点からも、安定した動的バランスが確保されるとともに、これら両者間の密接な係合状態も得られて、動力伝動効率の向上も図られる。
【0088】
また、前記各構成部材の質量配分が、クランク軸102の回転中心を中心とした動的バランスを考慮して設定されているから、低速回転域から高速回転域まで均一で安定した運転が確保される。この場合、特に、各構成部材に設けられる全てのカウンタバランサが、回転慣性力として働くように設定されるのが好ましい。
【実施例2】
【0089】
図16は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、太陽電池パネル12Pを通気孔5の上部に配置し、その太陽電池パネル12Pにより通気孔5の上部を覆っている。また、太陽パネル12Pは太陽の方を向いて斜めに配置されている。
【0090】
したがって、降雨時にも、太陽電池パネル12Pにより雨水が通気孔5に直接侵入することなく、通気性を確保することができ、太陽電池パネル12Pに降った雨水は、太陽電池パネル12Pの傾斜に沿って通気孔5から離れた地表面に落下する。
【0091】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、圧縮空気製造装置をバルブを介して通気管に接続したが、バルブとエアタンクを用いずに、圧縮空気製造装置の空気圧縮機を送気管により通気管に接続してもよい。また、実施例では、2つの空気圧縮空気製造部を備えた空気圧縮機について説明したが、空気圧縮空気製造部を3つ以上としてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 廃棄物処分場
4 廃棄物堆積層
5 通気管
6 通気孔
7 掘削孔
11 圧縮空気製造装置(送気手段)
12 太陽電池
12A 電力検出手段
12P 太陽電池パネル
15 直流モータ(駆動モータ)
16 空気圧縮機
17 制御手段
33 圧縮空気製造部
41 回転駆動装置
42 掘削ロッド
43 圧密翼部
53 コテ面
61 送気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物堆積層に通気管を設けた廃棄物処分場における安定化促進装置において、前記通気管に送気手段を接続し、前記送気手段の駆動源が太陽電池であることを特徴とする廃棄物処分場における安定化促進装置。
【請求項2】
前記送気手段は、シリンダとピストンとを有する圧縮空気製造部により圧縮空気を作り出す空気圧縮機と、前記太陽電池の出力により駆動する前記空気圧縮機の駆動モータと、前記空気圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記空気圧縮機が前記圧縮空気製造部を複数有する多気筒型であり、前記制御手段は、前記太陽光線の照度の変化により圧縮空気を作り出す前記圧縮空気製造部の数を変更するように制御することを特徴とする請求項1記載の廃棄物処分場における安定化促進装置。
【請求項3】
前記太陽電池により発生した余剰電力を、売電、廃棄物処分場の他の設備の駆動源又は蓄電のいずれかに用いることを特徴とする請求項2記載の安定化処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の安定化促進装置を用いた安定化処理方法において、廃棄物処分場の廃棄物堆積層に掘削ロッドを用いて廃棄物を排出することなく掘削孔を形成した後、前記掘削ロッドを引き抜いた掘削孔に、複数の通気孔を有する前記通気管を立て込み、この通気管に前記送気手段を接続することを特徴とする廃棄物処分場における安定化工法。
【請求項5】
前記掘削ロッドは、ロッド外周から掘削径までのコテ面を備えた圧密翼部を複数周設していることを特徴とする請求項4記載の廃棄物処分場における安定化工法。
【請求項6】
前記掘削孔を形成した後、この掘削孔に該掘削孔より外径の小さい前記通気管を挿入し、この通気管と前記掘削孔の内面との間に砕石を投入して砕石充填部を形成することを特徴とする請求項5記載の廃棄物処分場における安定化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−5927(P2012−5927A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142008(P2010−142008)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000155034)株式会社本間組 (15)
【Fターム(参考)】