説明

廃棄物処理設備の運転方法、保温装置および廃棄物処理設備

【課題】消費エネルギを小さく抑えつつ集塵装置を保温することのできる廃棄物処理設備の運転方法を提供する。
【解決手段】同時稼動工程では、各焼却炉13,23から排出された排ガスを焼却炉システム10,20毎に集塵装置15,25および排ガス通路16,26を介して互いに独立して炉外に排出し、片系稼動工程では、停止側の焼却炉システムにおいて、その焼却炉とその集塵装置との間のガスの流通およびその集塵装置とその排ガス通路との間のガスの流通を遮断する排ガス遮断工程と、稼動側の焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を稼働側の排ガス通路から停止側の集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給するとともに、この停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の排ガスを稼動側の排ガス通路に戻す熱エネルギ供給工程とを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を熱分解処理する焼却炉と焼却炉から排出された排ガス中のダストを除去するための集塵装置とを有する焼却炉システムを備えた廃棄物処理設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却炉から排出された排ガス中のダストを除去するために焼却炉の下流に集塵装置が設けられた焼却炉装置では、前記焼却炉の運転停止時において前記集塵装置が低温腐食等するのを抑えるべくこの集塵装置を保温することが行なわれている。すなわち、焼却炉の稼動時は焼却炉から排出された高温の排ガスが流入することで集塵装置内は高温に維持されているが、焼却炉の運転停止時は前記高温の排ガスの流入の停止に伴い集塵装置内の温度が低下して発生した水滴により集塵装置が低温腐食する、あるいは、この水滴を介して灰がろ布に付着してろ布が目詰まりするため、焼却炉の運転停止時にはこの集塵装置を保温することが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、焼却炉と、この焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置(特許文献1ではバグフィルタ)とを有する焼却炉装置が開示されている。この焼却炉装置では、前記集塵装置の上流側部分と下流側部分とが循環ダクトにより接続されており、この循環ダクトの途中にファンおよびヒータとが設けられている。そして、前記焼却炉の運転の停止時に、前記集塵装置から排出された排ガスを前記ファンにより前記循環ダクト内に吸引して前記ヒータにより加熱し、この加熱された排ガスを前記集塵装置に戻すことで前記集塵装置を保温している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3209913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の方法では、集塵装置に流入するガスをヒータで加熱することで集塵装置を保温しており、集塵装置内を水が蒸発可能な温度以上に保温するためにこのヒータで大きな電力が消費されるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、消費エネルギを小さく抑えつつ集塵装置を保温することのできる焼却炉システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備の運転方法であって、特定の同時稼動期間中、前記第1焼却炉と第2焼却炉とを同時に稼動する同時稼動工程と、前記同時稼動期間以外の片系稼動期間中、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方を停止して他方を稼動する片系稼動工程とを含み、前記同時稼動工程では、第1焼却炉から排出された排ガスを第1集塵装置および第1排ガス通路を介して炉外に排出するとともに、第2焼却炉から排出された排ガスを第2集塵装置および第2排ガス通路を介して炉外に排出し、前記片系稼動工程では、停止側の焼却炉システムにおいて、その焼却炉とその集塵装置との間のガスの流通およびその集塵装置とその排ガス通路との間のガスの流通を遮断する排ガス遮断工程と、稼動側の焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を当該稼働側の排ガス通路の特定の分岐部から停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給するとともに、この停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の前記排ガスを稼動側の排ガス通路のうち前記分岐部よりも下流側の戻し部に戻す熱エネルギ供給工程とを実施することを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法を提供する。
【0008】
この方法によれば、同時稼動期間に加えて片系稼動期間中においても、消費エネルギを小さく抑えつつ各集塵装置を適切に保温することができる。
【0009】
すなわち、この方法では、同時稼動期間中は各焼却炉から排出された高温の排ガスにより各集塵装置が保温され、片系稼動期間中は、稼働中の焼却炉から排出されて稼動側の集塵装置を通過した後の高温の排ガスの熱エネルギが停止側の集塵装置内に供給されて、この排ガスの熱エネルギにより稼動側の集塵装置に加えて停止側の集塵装置が加熱されるので、前記同時稼動期間および片系稼動期間において、ヒータ等の加熱手段を用いることなく、あるいは、この加熱手段での消費エネルギを小さく抑えつつ、各集塵装置を適切に保温することができる。
【0010】
特に、片系稼動工程において前記排ガス遮断工程が実施されることで停止中の焼却炉あるいは停止側の焼却炉システムの排ガス通路から温度の低いガスが停止側の焼却炉システムの集塵装置内に流入するのが回避されているので、この停止側の集塵装置を効率よく保温することができる。
【0011】
また、停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の排ガスは稼働側の排ガス通路に戻されており、停止側の焼却炉システムの排ガス通路およびこの排ガス通路に設けられて排ガスを炉外に排出するための各種装置を稼動することなく前記排ガスを炉外に排出することができる。
【0012】
ここで、前記廃棄物処理設備に設けられる焼却炉システムは2つに限られず、3つ以上設けられてもよい。
【0013】
例えば、3つ以上の焼却炉システムが設けられる場合には、稼動側の少なくとも一の焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を当該稼働側の排ガス通路の特定の分岐部から停止側の集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給すればよい。すなわち、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムを備えた廃棄物処理設備の運転法であって、特定の同時稼動期間中、全ての前記焼却炉システムの焼却炉を同時に稼動する同時稼動工程と、前記同時稼動期間以外の片系稼動期間中、特定の焼却炉システムの焼却炉を停止して他の焼却炉システムの焼却炉を稼動する片系稼動工程とを含み、前記同時稼動工程では、各焼却炉から排出された排ガスを焼却炉システム毎にその集塵装置およびその排ガス通路を介して互いに独立して炉外に排出し、前記片系稼動工程では、停止側の焼却炉システムにおいて、その焼却炉とその集塵装置との間のガスの流通およびその集塵装置とその排ガス通路との間のガスの流通を遮断する排ガス遮断工程と、稼動側の少なくとも一つの焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を当該稼働側の排ガス通路の特定の分岐部から停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給するとともに、この停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の前記排ガスを稼動側の排ガス通路のうち前記分岐部よりも下流側の戻し部に戻す熱エネルギ供給工程とを実施することを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法を提供する(請求項2)。
【0014】
また、本発明において、前記同時稼動期間および前記片系稼動期間以外の同時停止期間中、前記各焼却炉システムの焼却炉を同時に停止する同時停止工程を含み、前記同時停止工程では、焼却炉システム毎に前記集塵装置と加熱手段との間でそれぞれ独立してガスを循環させるとともに、前記加熱手段により前記循環するガスを加熱するのが好ましい(請求項3)。
【0015】
このようにすれば、前記同時稼動期間および片系稼動期間において消費エネルギを小さく抑えつつこれら期間に加えて同時停止期間においても各集塵装置を適切に保温することができる。
【0016】
また、本発明において、前記排ガス遮断工程と前記熱エネルギ供給工程とは、前記停止側の焼却炉システムの焼却炉の停止後であって当該停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度が予め設定された基準温度以下に低下した後に、開始されるのが好ましい(請求項4)。
【0017】
このようにすれば、前記集塵装置を適切に保温しつつ、熱エネルギ供給工程において稼動側の排ガス通路から停止側の集塵装置に排ガスを分岐させる、あるいは、この分岐した排ガスを稼動側の排ガス通路に戻すのに必要なエネルギの消費を小さく抑えることができる。
【0018】
また、本発明において、前記熱エネルギ供給工程では、前記分岐部で前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させた前記排ガスを当該停止側の集塵装置を通過させた後、前記稼動側の焼却炉システムの戻し部に戻すのが好ましい(請求項5)。
【0019】
この方法では、稼働側の集塵装置から排出された排ガスが直接停止側の集塵装置に流入するので、前記排ガスの熱エネルギを効率よく停止側の集塵装置に供給してこの集塵装置を効率よく加熱することができる。
【0020】
ここで、前記停止側の集塵装置に流入する排ガスは前記稼働側の集塵装置を通過してこの集塵装置でダストが除去された排ガスであるので、停止側の集塵装置へのダストの流入により集塵装置が目詰まり等するのが抑制される。
【0021】
前記方法において、前記熱エネルギ供給工程は、前記停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度に応じて、前記稼動側の焼却炉システムの分岐部で前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させる排ガスの量を調整する工程を含むのが好ましい(請求項6)。
【0022】
このようにすれば、停止側の集塵装置を適切に保温しつつ、この停止側の集塵装置へ排ガスを分岐させる、あるいは、この分岐した排ガスを稼動側の排ガス通路に戻すのに必要なエネルギの消費を小さく抑えることができる。
【0023】
また、本発明において、前記熱エネルギ供給工程では、停止側の焼却炉システムの集塵装置と熱交換器との間でガスを循環させ、かつ、前記稼動側の焼却炉システムの分岐部で当該稼動側の焼却炉システムの排ガス通路から前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐した前記排ガスの一部を前記熱交換器に流入させた後前記稼動側の焼却炉システムの戻し部に戻すとともに、前記熱交換器において、前記停止側の集塵装置と前記熱交換器との間で循環するガスと前記分岐部で分岐した前記排ガスとを非接触の状態で熱交換させるのが好ましい(請求項7)。
【0024】
この方法では、稼働側の集塵装置から排出された排ガスが直接停止側の集塵装置に流入せずに前記熱交換器を介してこの排ガスの熱エネルギのみが停止側の集塵装置に流入するので、停止側の集塵装置をより適切に保温しつつ、前記排ガスに含まれる酸性ガスが停止側の集塵装置に流入するのに伴いこの集塵装置が腐食等するのがより確実に抑制される。
【0025】
ここで、前記熱交換器に流入する排ガスは、前記稼働側の集塵装置を通過してこの集塵装置でダストが除去された排ガスであるので、前記熱交換器へのダストの流入は抑制され、このダストによる熱交換器の目詰まり等が抑制される。
【0026】
前記熱交換器を用いる方法において、前記熱エネルギ供給工程では、前記停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度あるいは前記熱交換器の温度に応じて、前記分岐部で前記稼動側の焼却炉システムの排ガス通路から前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させる排ガスの量を調整する工程を含むのが好ましい(請求項8)。
【0027】
このようにすれば、停止側の集塵装置を適切に保温しつつ、この停止側の集塵装置へ排ガスを分岐させる、あるいは、この分岐した排ガスを稼動側の排ガス通路に戻すのに必要なエネルギの消費を小さく抑えることができる。
【0028】
また、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方の焼却炉が停止したときに、その停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部と前記第2集塵装置とを連通する第1分岐通路と、前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部と前記第1集塵装置とを連通する第2分岐通路と、前記第1排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第1戻し部と前記第2集塵装置とを連通する第1戻し通路と、前記第2排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第2戻し部と前記第1集塵装置とを連通する第2戻し通路と、前記第1排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第1分岐通路を通じて前記第2集塵装置に流入した後前記第1戻し通路を通じて前記第1排ガス通路に戻るように、前記第1分岐通路内に吸引可能な第1吸引手段と、前記第2排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第2分岐通路を通じて前記第1集塵装置に流入した後前記第2戻し通路を通じて前記第2排ガス通路に戻るように、前記第2分岐通路内に吸引可能な第2吸引手段と、前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置を含む(請求項9)。
【0029】
この装置を用いれば、同時稼動期間に加えて片系稼動期間中においても、消費エネルギを小さく抑えつつ各集塵装置を適切に保温することができる。
【0030】
すなわち、この装置では、同時稼動期間中に、焼却炉システム毎に焼却炉から排出された高温の排ガスを集塵装置に流入させて各集塵装置を各排ガスにより保温することができる。そして、片系稼動期間中において、稼働中の焼却炉から排出されて稼動側の集塵装置を通過した後の高温の排ガスを停止側の集塵装置内に流入させて、この排ガスの熱エネルギにより稼動側の集塵装置に加えて停止側の集塵装置を加熱することができる。従って、少なくとも一方の焼却炉が稼動している場合において、ヒータ等の加熱手段を用いることなく、あるいは、この加熱手段での消費エネルギを小さく抑えつつ、各集塵装置を適切に保温することができる。
【0031】
具体的には、同時稼動期間中は、前記第1および第2排ガス遮断手段により各焼却炉と各集塵装置間のガス流路および各集塵装置と各排ガス通路間のガス流路を開通する状態とする一方、前記第1および第2分岐通路開閉手段により前記第1および第2分岐通路と第1および第2戻し通路を閉鎖された状態とすることで、各焼却炉から排出された排ガスを各集塵装置に流入させることができる。
【0032】
そして、第1焼却炉のみが稼動している場合には、前記第2排ガス遮断手段により第2焼却炉と第2集塵装置間および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガス流路を閉鎖された状態にし、かつ、前記第1分岐通路開閉手段により前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態にする一方、前記第2分岐通路開閉手段により前記第2分岐通路および第2戻し通路を閉鎖された状態にするとともに、前記第1吸引手段により前記第1排ガス通路内の排ガスを前記第1分岐通路側に吸引させることで、第1焼却炉から排出された高温の排ガスを第2集塵装置に流入させることができる。また、第2焼却炉のみが稼動している場合には、各排ガス遮断手段および各分岐通路開閉手段により各流路あるいは通路の開閉状態を前記第1焼却炉のみが稼動している場合と反対の状態に切り替えるとともに、前記第2吸引手段により前記第2排ガス通路内の排ガスを前記第2分岐通路側に吸引させることで、第2焼却炉から排出された高温の排ガスを第1集塵装置に流入させることができる。
【0033】
ここで、前記保温装置は焼却炉システムが3つ以設けられた廃棄物処理設備に適用されてもよい。すなわち、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記複数の焼却炉システムの少なくとも一つの焼却炉が停止したときに当該停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、各焼却炉システムにそれぞれ個別に設けられて、前記焼却炉と前記集塵装置間のガスの流路および前記集塵装置と前記排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な排ガス遮断手段と、各焼却炉システムの排ガス通路の特定の分岐部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する分岐通路と、各焼却炉システムの排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の戻し部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する戻し通路と、前記各焼却炉システムの排ガス通路内のガスの一部を、当該排ガスが前記分岐通路を通じて他の焼却炉システムの集塵装置に流入した後前記戻し通路を通じて各焼却炉システムの排ガス通路に戻るように、前記分岐通路内にそれぞれ吸引可能な吸引手段と、前記各分岐通路および各戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とにそれぞれ切り替え可能な分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置を含む(請求項10)。
【0034】
また、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方の焼却炉が停止したときに、その停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、2つの流体を非接触状態で熱交換させる熱交換器と、前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、前記第1焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第1流入部と、前記第2焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第2流入部と、前記第1流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第1焼却炉システム側に排出するための第1流出部と、前記第2流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第2焼却炉システム側に排出するための第2流出部と、前記第1流入部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流出通路と、前記第2流入部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流出通路と、前記第1流出部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流入通路と、前記第2流出部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流入通路と、前記第1流入部と前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部とを連通する第1分岐通路と、前記第2流入部と前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部とを連通する第2分岐通路と、前記第1流出部と前記第1排ガス通路の前記第1分岐部よりも下流側の第1戻し部とを連通する第1戻し通路と、前記第2流出部と前記第2排ガス通路の前記第2分岐部よりも下流側の第2戻し部とを連通する第2戻し通路と、前記第1流入部から前記熱交換器を介して前記第1流出部にガスが流れるように当該第1流入部あるいは第1流出部内のガスを吸引する第1吸引手段と、前記第2流入部から前記熱交換器を介して前記第2流出部にガスが流れるように当該第2流入部あるいは第2流出部内のガスを吸引する第2吸引手段と、前記第1保温ガス流入通路および第1保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1保温ガス通路開閉手段と、前記第2保温ガス流入通路および第2保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2保温ガス通路開閉手段と、前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置を含む(請求項11)。
【0035】
この装置を用いれば、同時稼動期間に加えて片系稼動期間中においても、消費エネルギを小さく抑えつつ各集塵装置を適切に保温することができる。
【0036】
すなわち、この装置では、同時稼動期間中に、焼却炉システム毎に焼却炉から排出された高温の排ガスを集塵装置に流入させて各集塵装置を各排ガスにより保温することができる。そして、片系稼動期間中において、稼働中の焼却炉から排出されて稼動側の集塵装置を通過した後の高温の排ガスを停止側の集塵装置内に流入させて、この排ガスの熱エネルギにより稼動側の集塵装置に加えて停止側の集塵装置を加熱することができる。従って、少なくとも一方の焼却炉が稼動している場合において、ヒータ等の加熱手段を用いることなく、あるいは、この加熱手段での消費エネルギを小さく抑えつつ、各集塵装置を適切に保温することができる。
【0037】
特に、稼働側の集塵装置から排出された排ガスが直接停止側の集塵装置に流入せずに前記熱交換器を介してこの排ガスの熱エネルギのみが停止側の集塵装置に流入するので、停止側の集塵装置を適切に保温しつつ、この排ガスに含まれる酸性ガスが停止側の集塵装置に流入するのに伴いこの集塵装置が腐蝕等するのを抑制することができる。
【0038】
具体的には、両方の焼却炉が稼動している場合には、前記各排ガス遮断手段により各焼却炉と各集塵装置間のガス流路および各集塵装置と各排ガス通路間のガス流路を開通する状態とする一方、前記各分岐通路開閉手段と各保温ガス通路開閉手段とにより前記各分岐通路と各戻し通路とを閉鎖された状態とすることで、各焼却炉から排出された排ガスを各集塵装置に流入させることができる。
【0039】
一方、第1焼却炉のみが稼動している場合には、前記各排ガス遮断手段により第2焼却炉と第2集塵装置間および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガス流路を閉鎖された状態にする一方第1焼却炉と第1集塵装置間および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガス流路を開通された状態にし、前記各分岐通路開閉手段により前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通された状態にする一方前記第2分岐通路および第2戻し通路を閉鎖された状態にし、かつ、前記各保温ガス通路開閉手段により前記第1保温ガス流入通路および第1保温ガス流出通路を閉鎖された状態にする一方前記第2保温ガス流入通路および第2保温ガス流出通路を開通する状態にするとともに、各吸引手段により各流入部あるいは各流出部内のガスを吸引する。
【0040】
これにより、第2集塵装置と熱交換器との間でガスを循環させつつ第1焼却炉から排出された高温の排ガスを熱交換器に流入させて、これらガスどうしを熱交換させることができる。すなわち、第2集塵装置に流入するガスを前記高温の排ガスにより加熱してこのガスにより第2集塵装置を保温することができる。また、前記第2焼却炉のみが稼動している場合には、各排ガス遮断手段、各保温ガス通路開閉手段および各分岐通路開閉手段により各流路あるいは通路の開閉状態を前記第1焼却炉のみが稼動している場合と反対の状態に切り替えることで、第1集塵装置と熱交換器との間でガスを循環させつつ第2焼却炉から排出された高温の排ガスを熱交換器に流入させて、これらガスどうしを熱交換させることができる。
【0041】
また、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムと、前記第1集塵装置および前記第2集塵装置を保温するための保温装置とを備え、前記保温装置は、前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部と前記第2集塵装置とを連通する第1分岐通路と、前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部と前記第1集塵装置とを連通する第2分岐通路と、前記第1排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第1戻し部と前記第2集塵装置とを連通する第1戻し通路と、前記第2排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第2戻し部と前記第1集塵装置とを連通する第2戻し通路と、前記第1排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第1分岐通路を通じて前記第2集塵装置に流入した後前記第1戻し通路を通じて前記第1排ガス通路に戻るように、前記第1分岐通路内に吸引可能な第1吸引手段と、前記第2排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第2分岐通路を通じて前記第1集塵装置に流入した後前記第2戻し通路を通じて前記第2排ガス通路に戻るように、前記第2分岐通路内に吸引可能な第2吸引手段と、前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備を含む(請求項12)。
【0042】
また、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムと、前記複数の焼却炉システムの少なくとも一つの焼却炉が停止したときに当該停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置とを備え、前記保温装置は、各焼却炉システムにそれぞれ個別に設けられて、前記焼却炉と前記集塵装置間のガスの流路および前記集塵装置と前記排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な排ガス遮断手段と、各焼却炉システムの排ガス通路の特定の分岐部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する分岐通路と、各焼却炉システムの排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の戻し部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する戻し通路と、前記各焼却炉システムの排ガス通路内のガスの一部を、当該排ガスが前記分岐通路を通じて他の焼却炉システムの集塵装置に流入した後前記戻し通路を通じて各焼却炉システムの排ガス通路に戻るように、前記分岐通路内にそれぞれ吸引可能な吸引手段と、前記各分岐通路および各戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とにそれぞれ切り替え可能な分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備を含む(請求項13)。
【0043】
また、本発明は、廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路を有する第2焼却炉システムと、前記第1集塵装置および前記第2集塵装置を保温するための保温装置とを備え、前記保温装置は、2つの流体を非接触状態で熱交換させる熱交換器と、前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、前記第1焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第1流入部と、前記第2焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第2流入部と、前記第1流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第1焼却炉システム側に排出するための第1流出部と、前記第2流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第2焼却炉システム側に排出するための第2流出部と、前記第1流入部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流出通路と、前記第2流入部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流出通路と、前記第1流出部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流入通路と、前記第2流出部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流入通路と、前記第1流入部と前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部とを連通する第1分岐通路と、前記第2流入部と前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部とを連通する第2分岐通路と、前記第1流出部と前記第1排ガス通路の前記第1分岐部よりも下流側の第1戻し部とを連通する第1戻し通路と、前記第2流出部と前記第2排ガス通路の前記第2分岐部よりも下流側の第2戻し部とを連通する第2戻し通路と、前記第1流入部から前記熱交換器を介して前記第1流出部にガスが流れるように当該第1流入部あるいは第1流出部内のガスを吸引する第1吸引手段と、前記第2流入部から前記熱交換器を介して前記第2流出部にガスが流れるように当該第2流入部あるいは第2流出部内のガスを吸引する第2吸引手段と、前記第1保温ガス流入通路および第1保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1保温ガス通路開閉手段と、前記第2保温ガス流入通路および第2保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2保温ガス通路開閉手段と、前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備を含む(請求項14)。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、消費エネルギを小さく抑えつつ集塵装置を保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄物処理設備の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る廃棄物処理設備の保温装置付近の構成を示す概略図である。
【図3】図2に示す保温装置において第1焼却炉が停止された場合の操作手順およびガスの流れを説明するための図である。
【図4】図2に示す保温装置において第1焼却炉および第2焼却炉が停止された場合の操作手順およびガス流れを説明するための図である。
【図5】図2に示す保温装置の操作手順を説明するための図である。
【図6】図2に示す保温装置の操作手順を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る廃棄物処理設備の保温装置付近の構成を示す概略図である。
【図8】図7に示す保温装置において第1焼却炉が停止された場合の操作手順およびガス流れを説明するための図である。
【図9】図7に示す保温装置において第1焼却炉および第2焼却炉が停止された場合の操作手順およびガス流れを説明するための図である。
【図10】図7に示す保温装置の操作手順を説明するための図である。
【図11】図7に示す保温装置の操作手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の好ましい第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0047】
図1は2つの焼却炉システム10,20(第1焼却炉システム10、第2焼却炉システム20)と保温装置60とを含む第1の実施形態にかかる廃棄物処理設備1の全体構成を示した概略図である。図2は、廃棄物処理設備1の前記保温装置60付近の構成を示した図である。
【0048】
前記第1焼却炉システム10は、上流側から順に、第1ごみピット11と、第1給塵機12と、第1焼却炉13と、第1上流側排ガス通路14と、第1バグフィルタ(第1集塵装置)15と、第1排ガス通路16と、第1誘引ファン18と、第1煙突19とを有している。
【0049】
前記第2焼却炉システム20は、前記第1焼却炉システム10と同様の構造を有しており、上流側から順に、第2ごみピット21と、第2給塵機22と、第2焼却炉23と、第2上流側排ガス通路24と、第2バグフィルタ(第2集塵装置)25と、第2排ガス通路26と、第2誘引ファン28と、第2煙突29とを有している。
【0050】
前記各焼却炉13,23は、廃棄物等の被処理物を熱分解により処理するための装置である。これら焼却炉13,23としては、例えば、流動床燃焼炉、灰溶融炉、ガス化溶融炉、ストーカ炉等が挙げられる。前記各焼却炉13,23には、各ごみピット11,21に貯留された廃棄物が各給塵機12,22を介して定量的に供給される。各焼却炉13,23はこの給塵機12,22により供給された廃棄物を熱分解処理する。前記焼却炉13,23からは廃棄物の熱分解処理に伴い亜流酸ガス等の酸性ガスおよび灰等のダストを含む高温の排ガスが排出される。
【0051】
前記焼却炉13,23は、点検等のために適宜その運転が停止される。この焼却炉13,23の停止は、一方の焼却炉のみが停止される場合もあれば、両方の焼却炉が同時に停止される場合もある。すなわち、本廃棄物処理設備1では、同時稼動期間中第1焼却炉13および第2焼却炉23の両方が同時に稼動している同時稼動工程と、第1焼却炉13と第2焼却炉23の一方のみが稼動している片系稼動工程と、第1焼却炉13および第2焼却炉23の両方が停止している同時停止工程とが、適宜実施される。
【0052】
前記各バグフィルタ15,25は、前記焼却炉13,23から排出された排ガス中の灰等のダストを除去するための装置である。これらバグフィルタ15,25の内側にダストを吸着可能なろ布が設けられており、前記ダストはこのろ布に吸着されて排ガスから除去される。
【0053】
前記第1バグフィルタ15は前記第1上流側排ガス通路14を介して前記第1焼却炉13と連通しており、この第1焼却炉13から排出された排ガス中のダストを除去する。前記第2バグフィルタ25は前記第2上流側排ガス通路24を介して前記第2焼却炉23と連通しており、この第2焼却炉23から排出された排ガス中のダストを除去する。
【0054】
前記誘引ファン18,28は、前記各排ガス通路16,26内の排ガスを前記各煙突19,29側に吸引するためのものである。この誘引ファン18,28により吸引された排ガスは各煙突19、29から炉外に排出される。
【0055】
ここで、前記各バグフィルタ15,25内には、排ガス中のダストの除去に伴い灰等のダストが蓄積されている。そのため、このバグフィルタ15,25内の温度が露点以下となると、水を介して灰等のダストが固着してバグフィルタ15,25のろ布が目詰まりする、あるいは、バグフィルタ15、25内に残存している酸性ガスによりバグフィルタ内の金属部分が低温腐食するおそれがある。前記保温装置60は、このようなバグフィルタ15,25の低温腐食等を抑制するべく、これらバグフィルタ15,25を保温するための装置である。
【0056】
前記保温装置60の詳細について次に説明する。
【0057】
前記保温装置60は、第1分岐通路61と、第1戻し通路62と、第1ファン(第1吸引手段)63と、第1バイパス通路64と、第1ヒータ(加熱手段)65とを有している。また、前記保温装置60は、第2分岐通路71と、第2戻し通路72と、第2ファン(第2吸引手段)73と、第2バイパス通路74と、第2ヒータ(加熱手段)75とを有している。
【0058】
また、前記保温装置60は、各通路を開閉する、すなわち、各通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替えるためのダンパとして、第1上流側メインダンパ(第1排ガス遮断手段)14aと、第1下流側メインダンパ(第1排ガス遮断手段)16aと、第1通路側分岐ダンパ(第1分岐通路開閉手段)61aと、第1フィルタ側分岐ダンパ(第1分岐通路開閉手段)61bと、第1通路側戻しダンパ(第1分岐通路開閉手段)62aと、第1フィルタ側戻しダンパ(第1分岐通路開閉手段)62bと、第1上流側バイパスダンパ64aと、第1下流側バイパスダンパ64bと、第2上流側メインダンパ(第2排ガス遮断手段)24aと、第2下流側メインダンパ(第2排ガス遮断手段)26aと、第2通路側分岐ダンパ(第2分岐通路開閉手段)71aと、第2フィルタ側分岐ダンパ(第2分岐通路開閉手段)71bと、第2通路側戻しダンパ(第2分岐通路開閉手段)72aと、第2フィルタ側戻しダンパ(第2分岐通路開閉手段)72bと、第2上流側バイパスダンパ74aと、第2下流側バイパスダンパ74bとを備えている。
【0059】
以下において、ダンパの操作手順として、対応する通路を開通する状態にすることをダンパを開くといい、対応する通路を閉鎖された状態にすることをダンパを閉じるという。
【0060】
前記第1分岐通路61は、第1排ガス通路16の所定の第1分岐部16bと第2バグフィルタ25とを連通する通路である。前記第1戻し通路62は、第1排ガス通路16の前記第1分岐部16bよりも下流側の第1戻し部16cと第2バグフィルタ25とを連通する通路である。これら第1分岐通路61と第1戻し通路62とは、第2バグフィルタ25のうち互いに離間した部分に接続されている。本実施形態では、前記第1分岐通路61は、第2バグフィルタ25の上流端付近であって前記第2上流側排ガス通路24の接続部分とは異なる部分に接続されている。また、前記第1戻し通路62は、第2バグフィルタ25の下流端付近であって前記第2排ガス通路26の接続部分とは異なる部分に接続されている。なお、ここでいうバグフィルタの上流端付近とはバグフィルタのろ布の上流側であり、バグフィルタの下流端付近とはバグフィルタのろ布の下流側である。
【0061】
前記第1上流側メインダンパ14aは、前記第1上流側排ガス通路14に設けられており、この第1上流側排ガス通路14を開閉する。前記第1下流側メインダンパ16aは、前記第1排ガス通路16に設けられており、この第1排ガス通路16を開閉する。
【0062】
前記第1通路側分岐ダンパ61aおよび第1フィルタ側分岐ダンパ61bは、それぞれ前記第1分岐通路61を開閉する。前記第1通路側分岐ダンパ61aは、第1分岐通路61のうち第1排ガス通路16の接続部分付近に設けられている。前記第1フィルタ側分岐ダンパ61bは、第1分岐通路61のうち第2バグフィルタ25の接続部分付近に設けられている。
【0063】
前記第1通路側戻しダンパ62aおよび第1フィルタ側戻しダンパ62bは、それぞれ前記第1戻し通路62を開閉する。前記第1通路側戻しダンパ62aは、第1戻し通路62のうち第1排ガス通路16の接続部分付近に設けられている。前記第1フィルタ側戻しダンパ62bは、第1戻し通路62のうち第2バグフィルタ25の接続部分付近に設けられている。
【0064】
前記第1バイパス通路64は、前記第1分岐通路61と前記第1戻し通路62とを連通する通路である。この第1バイパス通路64は、第1分岐通路61のうち第1通路側分岐ダンパ61aと第1フィルタ側分岐ダンパ61bとの間の部分と、第1戻し通路62のうち第1通路側戻しダンパ62aと第1フィルタ側戻しダンパ62bとの間の部分とを連通している。前記第1ヒータ65は、この第1バイパス通路64の途中に設けられており、この第1バイパス通路64を通過するガスを加熱するためのものである。
【0065】
前記第1上流側バイパスダンパ64aおよび第1下流側バイパスダンパ64bは、それぞれ前記第1バイパス通路64を開閉する。前記第1上流側バイパスダンパ64aは、第1バイパス通路64のうち第1分岐通路61の接続部分と第1ヒータ65との間に設けられている。前記第1下流側バイパスダンパ64bは、前記第1バイパス通路64のうち第1戻し通路62の接続部分と第1ヒータ65との間に設けられている。
【0066】
前記第1ファン63は、前記第1戻し通路62内のガスを第2バグフィルタ25側から第1排ガス通路16側に吸引するためのものである。この第1ファン63は、第1戻し通路62のうち第1バイパス通路64の接続部分と第1フィルタ側戻しダンパ62bとの間に設けられている。
【0067】
前記第2分岐通路71は、第2排ガス通路26の所定の第2分岐部26bと第1バグフィルタ15とを連通する通路である。前記第2戻し通路72は、第2排ガス通路26の前記第2分岐部26bよりも下流側の第2戻し部26cと第1バグフィルタ15とを連通する通路である。これら第2分岐通路71と第2戻し通路72とは、第1バグフィルタ15のうち互いに離間した部分に接続されている。本実施形態では、前記第2分岐通路71は、第1バグフィルタ15の上流端付近であって前記第1上流側排ガス通路14の接続部分とは異なる部分に接続されている。また、前記第2戻し通路72は、第1バグフィルタ15の下流端付近であって前記第1排ガス通路16の接続部分とは異なる部分に接続されている。
【0068】
前記第2上流側メインダンパ24aは、前記第2上流側排ガス通路24に設けられており、この第2上流側排ガス通路24を開閉する。前記第2下流側メインダンパ26aは、前記第2排ガス通路26に設けられており、この第2排ガス通路26を開閉する。
【0069】
前記第2通路側分岐ダンパ71aおよび第2フィルタ側分岐ダンパ71bは、それぞれ前記第2分岐通路71を開閉する。前記第2通路側分岐ダンパ71aは、第2分岐通路71のうち第2排ガス通路26の接続部分付近に設けられている。前記第2フィルタ側分岐ダンパ71bは、第2分岐通路71のうち第1バグフィルタ15の接続部分付近に設けられている。
【0070】
前記第2通路側戻しダンパ72aおよび第2フィルタ側戻しダンパ72bは、それぞれ前記第2戻し通路72を開閉する。前記第2通路側戻しダンパ72aは、第2戻し通路72のうち第2排ガス通路26の接続部分付近に設けられている。前記第2フィルタ側戻しダンパ72bは、第2分岐通路71のうち第1バグフィルタ15の接続部分付近に設けられている。
【0071】
前記第2バイパス通路74は、前記第2分岐通路71と前記第2戻し通路72とを連通する通路である。この第2バイパス通路74は、第2分岐通路71のうち第2通路側分岐ダンパ71aと第2フィルタ側分岐ダンパ71bとの間の部分と、第2戻し通路72のうち第2通路側戻しダンパ72aと第2フィルタ側戻しダンパ72bとの間の部分とを連通している。前記第2ヒータ75は、この第2バイパス通路74の途中に設けられており、この第2バイパス通路74を通過するガスを加熱するためのものである。
【0072】
前記第2上流側バイパスダンパ74aおよび第2下流側バイパスダンパ74bは、それぞれ前記第2バイパス通路74を開閉する。前記第2上流側バイパスダンパ74aは、第2バイパス通路74のうち第2分岐通路71の接続部分と第2ヒータ75との間に設けられている。前記第2下流側バイパスダンパ74bは、前記第2バイパス通路74のうち第2戻し通路72の接続部分と第2ヒータ75との間に設けられている。
【0073】
前記第2ファン73は、前記第2戻し通路72内のガスを第1バグフィルタ15側から第2排ガス通路26側に吸引するためのものである。この第2ファン73は、第2戻し通路72のうち第2バイパス通路74の接続部分と第2フィルタ側戻しダンパ72bとの間に設けられている。
【0074】
次に、前記同時稼動工程、片系稼動工程、同時停止工程における前記保温装置60の操作手順を説明する。図5は、各工程における前記各ダンパの操作状態を示したものである。この図5において、○印はダンパが開操作されることを示し、×印はダンパが閉操作されることを示す。図6は、各ファンの稼動状態および各ヒータの稼動状態を示したものである。ここでは、前記保温装置60がオペレータにより操作されるものとする。
【0075】
(1)同時稼動工程
この同時稼動工程が実施される同時稼動期間中は、各焼却炉13,23から排出された高温のガスを、独立して各バグフィルタ15,25に流入させるとともに各排ガス通路16、26を介して独立して炉外に排出する。
【0076】
具体的には、前記第1上流側メインダンパ14a、第1下流側メインダンパ16a、第2上流側メインダンパ24aおよび第2下流側メインダンパ26aを開き、各焼却炉13,23から各バグフィルタ15,16へのガスの流入および各バグフィルタ15,16から各排ガス通路16,17へのガスの流入を可能とする。
【0077】
一方、前記第1通路側分岐ダンパ61a、第1通路側戻しダンパ62a、第2通路側分岐ダンパ71a、第2通路側戻しダンパ72aを閉じて、各排ガス通路16,26から各分岐通路61、71および各戻し通路62,72へのガスの流入を禁止する。
【0078】
また、前記第1フィルタ側分岐ダンパ61b、第1フィルタ側戻しダンパ62b、第2フィルタ側分岐ダンパ71b、第2フィルタ側戻しダンパ72bを閉じて、各バグフィルタ15、25から各分岐通路61,71および各戻し通路62,72へのガスの流入を禁止する。
【0079】
そして、前記第1誘引ファン18および第2誘引ファン28を稼動させる。ここで、この同時稼動工程では、前記第1ファン63および第2ファン73と第1ヒータ65および第2ヒータ75とは停止しておく。
【0080】
以上の操作により、第1焼却炉13から排出された高温の排ガスは、第1バグフィルタ15に流入した後、第1分岐通路61および第1戻し通路62に流入することなく、第1排ガス通路16を通って第1煙突19から炉外に排出される。同様に、第2焼却炉23から排出された高温の排ガスは第2バグフィルタ25に流入した後、第2分岐通路71および第2戻し通路72に流入することなく第2排ガス通路26を通って第2煙突29から炉外に排出される。この同時稼動工程における排ガスの流れを図2の破線で示す。
【0081】
このように、同時稼動工程では、各焼却炉13,23から排出された高温のガスが独立して各バグフィルタ15,25に流入するとともに各排ガス通路16,26を介して独立して炉外に排出されており、各バグフィルタ15,25を各焼却炉13,23から排出された高温のガスによって高温に保ちつつ前記高温のガスを効率よく炉外に排出することができる。また、各分岐通路61,71に設けられた第1ファン63および第2ファン73への排ガスの流入が回避されており、これらファン63,74が排ガス中の灰の付着等に伴い早期に損傷するのが抑制される。なお、稼動している焼却炉からバグフィルタ内に流入する排ガスの温度は約150℃以上である。
【0082】
なお、図2および図5では、各バイパスダンパ64a,64b,74a,74bが閉操作されている場合を示しているが、この同時稼動工程では、前記各バイパスダンパ64a,64b,74a,74bの開閉状態は問わない。
【0083】
(2)片系稼動工程
この片系稼動工程が実施される片系稼動期間中は、停止している焼却炉および排ガス通路から停止側のバグフィルタへのガスの流入を停止する(排ガス遮断工程)。そして、稼動している焼却炉から排出されて稼動側のバグフィルタを通過した後の高温の排ガスの一部を停止側のバグフィルタに流入させるとともに、この停止側のバグフィルタを通過した排ガスを稼動側の排ガス通路に戻して、稼動側のバグフィルタから排出された他の排ガスとともに稼動側の煙突から炉外に排出する(熱エネルギ供給工程)。
【0084】
前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程は、前記片系稼動期間中のうち一方の焼却炉が停止した後、停止側のバグフィルタ内の温度が予め設定された基準温度以下に低下した後に開始される。焼却炉の停止直後は、焼却炉の温度は高温に維持されており、この焼却炉からは高温のガスが排出される。そのため、前記焼却炉の停止直後は、前記同時稼動工程時と同様に、各焼却炉から排出された高温のガスによって各フィルタを保温する。これにより、後述するように前記熱エネルギ供給工程での第1ファン63あるいは第2ファン73を稼動させる時間を短くしてこのファンでの消費エネルギを小さく抑えることができる。前記基準温度は、例えば120℃である。ここで、各バグフィルタ15、25には、これらの内部の温度を測定するための温度センサ(不図示)がそれぞれ取り付けられており、前記オペレータは、これらの温度センサの値に応じて前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程を実施する。
【0085】
前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程における前記保温装置60の具体的な操作手順を(2−1)前記第1焼却炉13が停止して第2焼却炉23のみが稼動している場合と、(2−2)前記第2焼却炉23が停止して第1焼却炉13のみが稼動している場合とに分けて説明する。
【0086】
(2−1)第1焼却炉が停止している場合
この場合には、前記第1上流側メインダンパ14aおよび第1下流側メインダンパ16aを閉じて、停止している第1焼却炉13および第1排ガス通路16から第1バグフィルタ15内へのガスの流入を禁止する。一方、前記第2上流側メインダンパ24aおよび第2下流側メインダンパ26aを開き、第2焼却炉23から第2バグフィルタ25へのガスの流入および第2バグフィルタ25から第2排ガス通路26へのガスの流入を可能とする。
【0087】
また、前記第2通路側分岐ダンパ71a、前記第2フィルタ側分岐ダンパ71b、第2通路側戻しダンパ72a、第2フィルタ側戻しダンパ72bを開き、前記第2分岐通路71および第2戻し通路72を介した第2排ガス通路26と第1バグフィルタ15との間のガスの流通を可能とする。このとき、前記第2上流側バイパスダンパ74aと第2下流側バイパスダンパ74bは閉じておき、第2分岐通路71と第2戻し通路72との間で第2バイパス通路74を介してガスがバイパスしないようにしておく。
【0088】
また、前記第1フィルタ側分岐ダンパ61bおよび第1フィルタ側戻しダンパ62bを閉じて、第2バグフィルタ25から前記第1分岐通路61および第1戻し通路62へのガスの流入を禁止する。
【0089】
そして、前記第2ファン73を稼動させて、前記第2戻し通路72内のガスを前記第1バグフィルタ15側から第2排ガス通路26側へ吸引する。また、前記第2誘引ファン28を稼動する。一方、前記第1誘引ファン18、第1ファン63、第1ヒータ65、第2ヒータ75は停止しておく。
【0090】
前記第2ファン73の回転数は、前記温度センサで検出された第1バグフィルタ15内の温度に応じて変更される。具体的には、オペレータは、前記温度センサの検出値が予め設定された保温温度(例えば120℃)未満の場合には第2ファン73の回転数を上昇させ、前記検出値が前記保温温度以上の場合には前記第2ファン73の回転数を低下させる。
【0091】
以上の操作により、稼動している第2焼却炉23から排出された高温の排ガスは第2バグフィルタ25を通過した後、第2排ガス通路26に排出される。ここで、前記第2通路側分岐ダンパ71a、第2フィルタ側分岐ダンパ71b、第2フィルタ側戻しダンパ72b、第2通路側戻しダンパ72aの開操作に伴い、第2分岐通路71と第2戻し通路72を介した第2排ガス通路26と第1バグフィルタ15との間のガスの流通は可能となっている。従って、前記第2ファン73の吸引力は、第2戻し通路72、第1バグフィルタ15および第2分岐通路71を介して第2排ガス通路26内のガスに及び、この第2ファン73の稼動に伴い、第2排ガス通路26内の高温の排ガスの一部は前記第2分岐部26bにおいて第2分岐通路71内に分岐する。そして、この分岐した高温の排ガスは、第1バグフィルタ15内をその上流端から下流端に向かって流れた後、第2戻し通路72を通って第2排ガス通路26の第2戻し部26cに戻る。この第1バグフィルタ15を通過した排ガスは、第2バグフィルタ25から排出されて第2分岐通路71に分岐しなかった他の排ガスと合流して、前記第2誘引ファン28の吸引力により前記第2煙突29から排出される。
【0092】
前述のように、第1焼却炉13および第1排ガス通路16から第1バグフィルタ15内へのガスの流入は停止されている。従って、第1バグフィルタ15には、停止に伴いその温度が低下している第1焼却炉13および炉外と連通している第1排ガス通路16内の低温のガスは流入せず、前記第2焼却炉23から排出された高温の排ガスの一部のみが流入する。
【0093】
この第1焼却炉15が停止して片系稼動工程が実施された場合のガスの流れを図3の破線で示す。
【0094】
なお、図3および図5では、この第1焼却炉15が停止して片系稼動工程が実施された場合として、第1通路側分岐ダンパ61a、第1通路側戻しダンパ62a、第1上流側バイパスダンパ64a、第1下流側バイパスダンパ64bが閉操作されている場合を示しているが、この場合において、これらダンパ61a,62a,ダンパ64a,ダンパ64bの開閉状態は問わない。
【0095】
(2−2)第2焼却炉が停止している場合
この場合には、前記第2上流側メインダンパ24aおよび第2下流側メインダンパ26aを閉じて、停止している第2焼却炉23および第2排ガス通路26から第2バグフィルタ25内へのガスの流入を禁止する。一方、前記第1上流側メインダンパ14aおよび第1下流側メインダンパ16aを開き、第1焼却炉13から第1バグフィルタ15へのガスの流入および第1バグフィルタ15から第1排ガス通路16へのガスの流入を可能とする。
【0096】
また、前記第1通路側分岐ダンパ61a、前記第1フィルタ側分岐ダンパ61b、第1通路側戻しダンパ62a、第1フィルタ側戻しダンパ62bを開き、前記第1分岐通路61および第1戻し通路62を介した第1排ガス通路16と第2バグフィルタ25との間のガスの流通を可能とする。このとき、前記第1上流側バイパスダンパ64aと第1下流側バイパスダンパ64bは閉じておき、第1分岐通路61と第1戻し通路62との間で第1バイパス通路64を介してガスがバイパスしないようにしておく。
【0097】
また、前記第2フィルタ側分岐ダンパ71bおよび第2フィルタ側戻しダンパ72bを閉じて、第1バグフィルタ15から前記第2分岐通路71および第2戻し通路72へのガスの流入を禁止する。
【0098】
そして、前記第1ファン63を稼動させて、前記第1戻し通路62内のガスを前記第2バグフィルタ25側から第1排ガス通路16側へ吸引する。また、前記第1誘引ファン18を稼動する。一方、前記第2誘引ファン28、第2ファン73、第1ヒータ65、第2ヒータ75は停止しておく。前記第1ファン63の回転数は、前記第1焼却炉13が停止している場合と同様に、前記温度センサで検出された第2バグフィルタ25内の温度に応じて変更される。
【0099】
以上の操作により、稼動している第1焼却炉13から排出された高温の排ガスは第1バグフィルタ15を通過した後、第1排ガス通路16に排出される。そして、第1ファン63の稼動に伴い、第1排ガス通路16内の高温の排ガスの一部は前記第1分岐部16bにおいて第1分岐通路61内に分岐する。そして、この分岐した高温の排ガスは、第2バグフィルタ25内をその上流端から下流端に向かって流れた後、第1戻し通路62を通って第1排ガス通路16の第1戻し部16cに戻る。この第2バグフィルタ25を通過した排ガスは、第1バグフィルタ15から排出されて第1分岐通路61に分岐しなかった他の排ガスと合流して、前記第1誘引ファン18の吸引力により前記第1煙突19から排出される。
【0100】
前述のように、第2焼却炉23および第2排ガス通路26から第2バグフィルタ25内へのガスの流入は停止されている。従って、第2バグフィルタ25には、停止に伴いその温度が低下している第2焼却炉23および炉外と連通している第2排ガス通路26内の低温のガスは流入せず、前記第1焼却炉13から排出された高温の排ガスの一部のみが流入する。
【0101】
なお、図5では、この第2焼却炉25が停止して片系稼動工程が実施された場合として、第2通路側分岐ダンパ71a、第2通路側戻しダンパ72a、第2上流側バイパスダンパ74a、第2下流側バイパスダンパ74bが閉操作されている場合を示しているが、この場合において、これらダンパ71a,72a,ダンパ74a,ダンパ74bの開閉状態は問わない。
【0102】
以上のように、片系稼動工程中では、前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程の実施に伴い、稼動している焼却炉から排出された高温の排ガスが稼動側のバグフィルタおよび停止側のバグフィルタに流入しており、この高温の排ガスにより両方のバグフィルタが加熱、保温される。そのため、停止側のバグフィルタを保温するためにヒータを用いる場合に比べて、消費エネルギを小さく抑えることができる。
【0103】
なお、前記方法では、稼動側の焼却炉から排出された高温の排ガスを停止側のバグフィルタに分岐させるためにファンを稼動させているが、ファンの消費エネルギはヒータの消費エネルギに比べて十分に小さい(例えば、ヒータを用いた場合に保温に必要な消費電力は数十〜数百KW程度すなわち少なくとも10kW以上であるのに対してファンの消費電力は数kWすなわち10kW未満程度である)。特に、本方法では、稼動側の焼却炉から排出された高温の排ガスの一部のみを停止側のバグフィルタに分岐させており、前記排ガスの全量を分岐させる場合に比べてファンでの消費エネルギを小さく抑えることができる。また、前記ファンの回転数が停止側のバグフィルタ内の温度に応じて変更されており、バグフィルタを適切に保温しつつファンでの消費エネルギを抑えることができる。
【0104】
また、停止側のバグフィルタに分岐された排ガスはこのバグフィルタを通過した後稼動側の排ガス通路に戻されており、稼動側の焼却炉から排出された排ガスは全て稼動側の排ガス通路を通って炉外に排出される。そのため、この排ガスを炉外に排出するために停止側の誘引ファンを稼動させる必要がなく、この誘引ファンでの消費エネルギを小さく抑えることができる。
【0105】
さらに、停止側のバグフィルタに流入するガスは稼動側のバグフィルタを通過して、この稼動側のバグフィルタにおいてダストが除去された後の排ガスである。そのため、停止側のバグフィルタが前記ダスト等により目詰まりするのを抑制しつつ各バグフィルタを保温することができる。
【0106】
(3)同時停止工程
この同時停止工程が実施される同時停止期間中は、各バグフィルタ13,23と各ヒータ65,75との間でガスを循環させて、各ヒータ65,75により加熱されたガスを各バグフィルタ13,23に流入させる。
【0107】
具体的には、前記第1上流側メインダンパ14a、第1下流側メインダンパ16a、第2上流側メインダンパ24a、第2下流側メインダンパ26aを閉じて、各焼却炉13、23から各バグフィルタ15,25へのガスの流入および各排ガス通路16,26から各バグフィルタ15,25へのガスの流入を禁止する。
【0108】
また、前記第1通路側分岐ダンパ61a、第1通路側戻しダンパ62a、第2通路側分岐ダンパ71a、第2通路側戻しダンパ72aを閉じて、第1排ガス通路16と第1分岐通路61および第1戻し通路62との間のガスの流通と、第2排ガス通路26と第2分岐通路71および第2戻し通路72との間のガスの流通とを禁止する。一方、前記第1フィルタ側分岐ダンパ61b、第1フィルタ側戻しダンパ62b、前記第2フィルタ側分岐ダンパ71b、第2フィルタ側戻しダンパ72bを開いて、第2バグフィルタ25と第1分岐通路61および第1戻し通路62との間のガスの流通と、第1バグフィルタ15と第2分岐通路71および第2戻し通路72との間のガスの流通を可能とする。
【0109】
また、前記第1上流側バイパスダンパ64a、第1下流側バイパスダンパ64b、第2上流側バイパスダンパ74a、第2下流側バイパスダンパ74bを開いて、第1バイパス通路64と第1分岐通路61および第1戻し通路62との間のガスの流通と、第2バイパス通路74と第2分岐通路71および第2戻し通路72との間のガスの流通を可能とする。
【0110】
そして、前記第1ファン63および第2ファン73を稼動させるとともに、前記第1ヒータ65および第2ヒータ75を稼動させる。これら第1ファン63および第2ファン73の回転数は、前記片系稼動工程時と同様に、前記第1バグフィルタ15内および第2バグフィルタ25内の温度に応じて変更される。また、前記第1誘引ファン18、第2誘引ファン28を停止する。
【0111】
ここで、前記各ダンパの操作、各ファンの稼動あるいは停止および各ヒータの稼動は、両方の焼却炉が停止した後、各バグフィルタ内の温度が前記基準温度以下に低下した後に開始する。
【0112】
以上の操作により、前記第1戻し通路62、第1バイパス通路64、第1分岐通路61を介して、前記第2バグフィルタ25と第1ヒータ65との間でガスが循環する。すなわち、第2バグフィルタ25内のガスは第1ファン63の吸引力によって第1戻し通路62に流入し、第1バイパス通路64を通って第1ヒータ65により加熱された後、第1分岐通路61を通って第2バグフィルタ25に戻る。また、前記第2戻し通路72、第2バイパス通路74、第2分岐通路71を介して、前記第1バグフィルタ15と第2ヒータ75との間でガスが循環する。すなわち、第1バグフィルタ15内のガスは第2ファン73の吸引力によって第2戻し通路72に流入し、第2バイパス通路74を通って第2ヒータ75により加熱された後、第2分岐通路71を通って第1バグフィルタ15に戻る。このようにして、同時停止工程では、各バグフィルタ15,25に各ヒータ65,75で加熱されたガスが流入することで、各バグフィルタ15,25が高温に維持される。この同時停止工程におけるガスの流れを図4の破線で示す。
【0113】
ここで、各バグフィルタ15,25と各ヒータ65,75を循環するガスは、各バグフィルタ15,25内に残存している排ガスであってもよいし、炉外から導入した大気であってもよい。前記大気を導入する場合は、例えば、前記第1分岐通路61と第1戻し通路62と第1バイパス通路64のいずれかの通路、および、前記第2分岐通路71と第2戻し通路72と第2バイパス通路74のいずれかの通路に大気を導入するための導入口を設けるとともにこの導入口を開閉するダンパを設け、前記第1ファン63、第2ファン63の開始時等にこれらのダンパを開いて、前記通路内に大気を導入し、所定時間後にこれらのダンパを閉じるようにすればよい。大気を用いる場合は、各バグフィルタ15,25内に残存している排ガスを用いる場合に比べて、各バグフィルタ15,25に流入するガスの水分をより少なく抑えて、これらバグフィルタ15,25へのダストの付着をより確実に抑制することができる。
【0114】
以上のように、本廃棄物処理設備1では、同時稼動工程、片系稼動工程、同時停止工程において、各バグフィルタ15,25を適切に保温して、これらバグフィルタ15、25の低温腐食や目詰まりを抑制することができる。特に、片系稼動工程では、稼動している焼却炉から排出された高温のガスを稼動側のバグフィルタを通過させた後停止側のバグフィルタに流入させており、簡単な構成で、消費エネルギを小さく抑えつつこれらバグフィルタを保温することができる。
【0115】
ここで、前記実施形態では焼却炉システムが2つ設けられている場合について説明したが、焼却炉システムは3つ以上設けられていてもよい。この場合には、前記保温装置として、各焼却炉システムのバグフィルタと各焼却炉システムの排ガス通路とをそれぞれ連通する分岐通路および戻し通路を有するものを用いる。例えば、第1焼却炉システム、第2焼却炉システムに加えて第3焼却炉システムが設けられている場合には、第1焼却炉システムのバグフィルタと第2焼却炉システムおよび第3焼却炉システムの排ガス通路とをそれぞれ接続し、第2焼却炉システムのバグフィルタと第1焼却炉システムおよび第3焼却炉システムの排ガス通路とをそれぞれ接続して、第3焼却炉システムのバグフィルタと第1焼却炉システムおよび第2焼却炉システムの排ガス通路とを接続する。そして、稼動している焼却炉から排出された高温のガスを、分岐通路を通じて焼却炉が停止している焼却炉システムのバグフィルタに流入させた後、戻し通路を通じて元の焼却炉システムの排ガス通路に戻せばよい。なお、停止側の焼却炉システムのバグフィルタには、稼働中の複数の焼却炉から排出された高温のガスが流入してもよいし、これらのうち一の焼却炉から排出された高温のガスのみが流入するようにしてもよい。
【0116】
次に、本発明の第2の実施形態に係る廃棄物処理設備101およびバグフィルタの保温方法について説明する。図7に、この廃棄物処理設備101の保温装置160付近の構成の拡大図を示す。この第2の実施形態では、各バグフィルタを保温するための保温装置の構成が前記第1の実施形態と異なるとともにこの保温装置の操作手順が第1の実施形態と異なる。ここでは、第2の実施形態に係る廃棄物処理設備101の保温装置160とこの保温装置160の操作手順についてのみ説明する。
【0117】
第2の実施形態に係る保温装置160は、前記第1の実施形態に係る保温装置60と同様の構成および機能を有する第1上流側メインダンパ14aと、第1下流側メインダンパ16aと、第2上流側メインダンパ24aと、第2下流側メインダンパ26aとを有している。
【0118】
また、前記保温装置160は、熱交換器180と、第1流入通路(第1流入部)181と、第1流出通路(第1流出部)182と、第2流入通路(第2流入部)183と、第2流出通路(第2流出部)184とを有している。また、前記保温装置160は、第1分岐通路161と、第1戻し通路162と、第1保温ガス流入通路166と、第1保温ガス流出通路167と、第1ファン(第1吸引手段)163と、第1ヒータ(加熱手段)165を有している。また、前記保温装置160は、第2分岐通路171と、第2戻し通路172と、第2保温ガス流入通路176と、第2保温ガス流出通路177と、第2ファン(第2吸引手段)173と、第2ヒータ(加熱手段)175とを有している。
【0119】
さらに、前記保温装置160は、各通路を開閉するためのダンパとして、第1分岐ダンパ(第1分岐通路開閉手段)161aと、第1戻しダンパ(第1分岐通路開閉手段)162aと、第1保温ガス流入ダンパ(第1保温ガス通路開閉手段)166aと、第1保温ガス流出ダンパ(第1保温ガス通路開閉手段)167aと、第2分岐ダンパ(第2分岐通路開閉手段)171aと、第2戻しダンパ(第2分岐通路開閉手段)172aと、第2保温ガス流入ダンパ(第2保温ガス通路開閉手段)176aと、第2保温ガス流出ダンパ(第2保温ガス通路開閉手段)177aとを有している。
【0120】
前記熱交換器180は、ガスどうしを非接触状態で熱交換させる間接式の熱交換器である。この熱交換器としては通常のプレート熱交換器のような一般的な熱交換器を使用してもよく、媒体を介してガスどうしを非接触状態で熱交換させる間接式の熱交換器を使用してもよい。前記媒体としては、油や蓄熱材が挙げられる。
【0121】
前記第1流入通路181は、第1焼却炉システム10側から熱交換器180にガスを流入させるための通路である。前記第1流出通路182は、第1流入通路181から熱交換器180に流入したガスを第1焼却炉システム10側に戻すための通路である。これら第1流入通路181、第1流出通路182は、熱交換器180から第1焼却炉システム10側に延びている。
【0122】
前記第1分岐通路161は、第1排ガス通路16の第1分岐部16bと第1流入通路181とを連通する通路である。前記第1保温ガス流出通路167は、第1バグフィルタ15と第1流入通路181とを連通する通路である。すなわち、第1流入通路181は、熱交換器180との接続部分と反対側において、第1分岐通路161と第1保温ガス流出通路167とに分岐している。
【0123】
前記第1戻し通路162は、第1排ガス通路16の第1戻し部16cと第1流出通路182とを連通する通路である。前記第1保温ガス流入通路166は、第1バグフィルタ15と第1流出通路182とを連通する通路である。すなわち、第1流出通路182は、熱交換器180との接続部分と反対側において、第1戻し通路162と第1保温ガス流入通路166とに分岐している。
【0124】
前記第1保温ガス流入通路166と第1保温ガス流出通路167とは、この第1保温ガス流入通路166から第1バグフィルタ15に流入したガスが、第1バグフィルタ15内のほぼ全体を通過した後、第1保温ガス流出通路167から排出されるように、互いに離間した位置において第1バグフィルタ15に接続されている。本実施形態では、第1保温ガス流入通路166は、第1バグフィルタ15の上流端付近であって第1上流側排ガス通路14の接続部分とは異なる部分に接続されている。また、第1保温ガス流出通路167は、第1バグフィルタ15の下流端付近であって第1排ガス通路16の接続部分とは異なる部分に接続されている。
【0125】
前記第1分岐ダンパ161aは、前記第1分岐通路161に設けられており、この第1分岐通路161を開閉する。前記第1戻しダンパ162aは、前記第1戻し通路162に設けられており、この第1戻し通路162を開閉する。前記第1保温ガス流入ダンパ166aは、前記第1保温ガス流入通路166に設けられており、この第1保温ガス流入通路166を開閉する。前記第1保温ガス流出ダンパ167aは、前記第1保温ガス流出通路167に設けられており、この第1保温ガス流出通路167を開閉する。
【0126】
前記第1ファン163は、熱交換器180を介して前記第1流入通路181から第1流出通路182側にガスを吸引するためのものである。本実施形態では、この第1ファン163は、第1流出通路182に設けられている。
【0127】
前記第1ヒータ165は、前記第1保温ガス流入通路166に配置されており、この第1保温ガス流入通路166を通過するガスを加熱する。
【0128】
前記第2流入通路183は、第2焼却炉システム20側から熱交換器180にガスを流入させるための通路である。前記第2流出通路184は、第2流入通路183から熱交換器180に流入したガスを第2焼却炉システム20側に戻すための通路である。これら第2流入通路183、第2流出通路184は、熱交換器180から第2焼却炉システム20側に延びている。
【0129】
前記第2分岐通路171は、第2排ガス通路26の第2分岐部26bと第2流入通路183とを連通する通路である。前記第2保温ガス流出通路177は、第2バグフィルタ25と第2流入通路183とを連通する通路である。すなわち、第2流入通路183は、熱交換器180との接続部分と反対側において、第2分岐通路171と第2保温ガス流出通路177とに分岐している。
【0130】
前記第2戻し通路172は、第2排ガス通路26の第2戻し部26cと第2流出通路184とを連通する通路である。前記第2保温ガス流入通路176は、第2バグフィルタ25と第2流出通路184とを連通する通路である。すなわち、第2流出通路184は、熱交換器180との接続部分と反対側において、第2戻し通路172と第2保温ガス流入通路176とに分岐している。
【0131】
前記第2保温ガス流入通路176と第2保温ガス流出通路177とは、この第2保温ガス流入通路176から第2バグフィルタ25に流入したガスが、第2バグフィルタ25内のほぼ全体を通過した後、第2保温ガス流出通路177から排出されるように、互いに離間した位置において第2バグフィルタ25に接続されている。本実施形態では、第2保温ガス流入通路176は、第2バグフィルタ25の上流端付近であって第2上流側排ガス通路24の接続部分とは異なる部分に接続されている。また、第2保温ガス流出通路177は、第2バグフィルタ25の下流端付近であって第2排ガス通路26の接続部分とは異なる部分に接続されている。
【0132】
前記第2分岐ダンパ171aは、前記第2分岐通路171に設けられており、この第2分岐通路171を開閉する。前記第2戻しダンパ172aは、前記第2戻し通路172に設けられており、この第2戻し通路172を開閉する。前記第2保温ガス流入ダンパ176aは、前記第2保温ガス流入通路176に設けられており、この第2保温ガス流入通路176を開閉する。前記第2保温ガス流出ダンパ177aは、前記第2保温ガス流出通路177に設けられており、この第2保温ガス流出通路177を開閉する。
【0133】
前記第2ファン173は、熱交換器180を介して前記第2流入通路183から第2流出通路184側にガスを吸引するためのものである。本実施形態では、この第2ファン173は、第2流出通路184に設けられている。
【0134】
前記第2ヒータ175は、前記第2保温ガス流入通路176に配置されており、この第2保温ガス流入通路176を通過するガスを加熱する。
【0135】
以上のように構成された保温装置160の操作手順について、図10および図11を用いて説明する。図10は、前記同時稼動工程等における各ダンパの操作状態を示したものである。この図10において、○印はダンパが開操作されることを示し、×印はダンパが閉操作されることを示す。図11は、前記同時稼動工程等における各ファンの稼動状態および各ヒータの稼動状態を示したものである。ここでは、前記保温装置160がオペレータにより操作されるものとする。
【0136】
(1)同時稼動工程
この同時稼動工程では、前記第1の実施形態と同様に、前記各焼却炉13,23から排出された高温のガスを、独立して各バグフィルタ15,25に流入させるとともに各排ガス通路16,26を介して独立して炉外に排出する。
【0137】
具体的には、前記第1上流側メインダンパ14a、第1下流側メインダンパ16a、第2上流側メインダンパ24a、第2下流側メインダンパ26aを開き、各焼却炉13,23から各バグフィルタ15,16へのガスの流入および各バグフィルタ15,16から各排ガス通路16,17へのガスの流入を可能とする。
【0138】
一方、前記各分岐ダンパ161a,171a、各戻しダンパ162a,172a、各保温ガス流入ダンパ166a,176a、各保温ガス流出ダンパ167a,177aを閉じて、各排ガス通路16,26および各バグフィルタ15,25と熱交換器180との間のガスの流通を禁止する。
【0139】
そして、前記第1誘引ファン18および第2誘引ファン28を稼動させる。ここで、この同時稼動工程では、前記第1ファン163および第2ファン173と第1ヒータ165および第2ヒータ175とは停止しておく。
【0140】
以上の操作により、第1焼却炉13から排出された高温の排ガスは第1バグフィルタ15に流入した後、第1保温ガス流入通路166、第1保温ガス流出通路167、第1分岐通路161、第1戻し通路162を介して熱交換器180内に流入することなく、第1排ガス通路16を通って第1煙突19から炉外に排出される。同様に、第2焼却炉23から排出された高温の排ガスは、第2バグフィルタ25に流入した後、第2保温ガス流入通路176、第2保温ガス流出通路177、第2分岐通路171、第2戻し通路172を介して熱交換器180内に流入することなく、第2排ガス通路26を通って第2煙突29から炉外に排出される。この同時稼動工程における排ガスの流れを図7の破線で示す。
【0141】
このように、第2の実施形態においても、前記同時稼動工程では、各焼却炉13,23から排出された高温のガスが独立して各バグフィルタ15,25に流入するとともに各排ガス通路16,26を介して独立して炉外に排出されており、各バグフィルタ15,25を高温に維持しつつ前記高温のガスを効率よく排出することができる。また、前記第1流出通路182、第2流出通路184に設けられた第1ファン163および第2ファン173への排ガスの流入が回避されて、これらファンが排ガス中の灰の付着等に伴い早期に損傷するのが抑制される。
【0142】
(2)片系稼動工程
この片系稼動工程では、前記第1の実施形態と同様に、停止している焼却炉および排ガス通路から停止側のバグフィルタへのガスの流入を停止する(排ガス遮断工程)。一方、この第2の実施形態では前記第1の実施形態と異なり、稼動している焼却炉から排出されて稼動側のバグフィルタを通過した後の高温の排ガスの一部を前記熱交換器180に流入させるとともに、停止側のバグフィルタと熱交換器180との間でガスを循環させて、前記高温の排ガスの熱エネルギのみを停止側のバグフィルタ内に供給する。そして、前記熱交換器180に流入した高温の排ガスを稼動側の排ガス通路に戻して稼動側のバグフィルタから排出された他の排ガスとともに稼動側の煙突から炉外に排出する(熱エネルギ供給工程)。
【0143】
本第2の実施形態においても、前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程は、一方の焼却炉が停止した後、停止側のバグフィルタ内の温度が前記基準温度以下に低下した後に開始される。
【0144】
次に、排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程における前記保温装置160の具体的な操作手順を(2−1)前記第1焼却炉13が停止して第2焼却炉23のみが稼動している場合と、(2−2)前記第2焼却炉23が停止して第1焼却炉13のみが稼動している場合とに分けて説明する。
【0145】
(2−1)第1焼却炉が停止している場合
この場合には、前記第1上流側メインダンパ14aおよび第1下流側メインダンパ16aを閉じて、停止している第1焼却炉13および第1排ガス通路16から第1バグフィルタ15内へのガスの流入を禁止する。一方、前記第2上流側メインダンパ24aおよび第2下流側メインダンパ26aを開き、第2焼却炉23から第2バグフィルタ25へのガスの流入および第2バグフィルタ25から第2排ガス通路26へのガスの流入を可能とする。
【0146】
また、前記第2分岐ダンパ171aと第2戻しダンパ172aとを開き、第2分岐通路171および第2流入通路183を介した第2排ガス通路26から熱交換器180へのガスの流入と、第2流出通路184および第2戻し通路172を介した熱交換器180から第2排ガス通路26へのガスの流出を可能にする。一方、前記第2保温ガス流入ダンパ176aと第2保温ガス流出ダンパ177aとは閉じて、第2バグフィルタ25と熱交換器180との間のガスの流通は禁止する。
【0147】
また、前記第1保温ガス流入ダンパ166aと第1保温ガス流出ダンパ167aとを開いて、第1保温ガス流出通路167および第1流入通路181を介した第1バグフィルタ15から熱交換器180へのガスの流入と、第1流出通路182および第1保温ガス流入通路166を介した熱交換器180から第1バグフィルタ15へのガスの流出を可能にする。一方、前記第1分岐ダンパ161aと第1戻しダンパ162aとは閉じて、第1排ガス通路16と熱交換器180との間のガスの流通は禁止する。
【0148】
そして、前記第1ファン163を稼動して、第1流入通路181内のガスを熱交換器180を通過させて第1流出通路182側へ吸引するとともに、第2ファン173を稼動して、第2流入通路183内のガスを熱交換器180を通過させて第2流出通路184側へ吸引する。この第2ファン173の回転数は、前記温度センサで検出された前記第1バグフィルタ15内の温度に応じて変更される。具体的には、オペレータは、前記温度センサの検出値が前記保温温度未満の場合には第2ファン173の回転数を上昇させ、前記検出値が保温温度以上の場合には前記第2ファン173の回転数を低下させる。
【0149】
なお、第2ファン173の回転数を上昇もしくは低下させる代わりに、温度センサの検出値に基づいて、第1ファン163の回転数を上昇又は低下させてもよいし、第1ファン163及び第2ファン173のそれぞれの回転数を上昇又は低下させて保温対象となるバグフィルタ(前記実施例では第1バグフィルタ15)内の温度を前記保温温度に維持するようにしてもよい。
【0150】
そして、前記第2誘引ファン28を稼動させる一方、前記第1誘引ファン18、第1ヒータ165、第2ヒータ175を停止させておく。
【0151】
以上の操作により、稼動している第2焼却炉23から排出された高温の排ガスは第2バグフィルタ25を通過した後、第2排ガス通路26に排出される。ここで、前記第2分岐ダンパ171aと第2戻しダンパ172aの開操作に伴い、第2分岐通路171、第2流入通路183、第2流出通路184、第2戻し通路172を介した第2排ガス通路26と熱交換器180との間のガスの流通が可能となっている。従って、前記第2ファン173の稼動に伴い、第2排ガス通路26内の高温の排ガスの一部は前記第2分岐部26bにおいて第2分岐通路171内に分岐する。そして、この分岐した高温の排ガスは、熱交換器180を通過した後、第2戻し通路172を通って第2排ガス通路26の第2戻し部26cに戻る。この熱交換器180を通過した排ガスは、第2バグフィルタ25から排出されて第2分岐通路171に分岐しなかった他の排ガスと合流して、前記第2誘引ファン28の吸引力により前記第2煙突29から排出される。
【0152】
一方、前記第1保温ガス流入ダンパ166aと第1保温ガス流出ダンパ167aの開操作に伴い、第1保温ガス流出通路167、第1流入通路181、第1流出通路182、第1保温ガス流入通路166を介して第1バグフィルタ15と熱交換器180との間でのガスの循環が可能となっている。また、第1焼却炉13および第1排ガス通路16から第1バグフィルタ15内へのガスの流入は停止されている。従って、前記第1ファン163の稼動に伴い、第1バグフィルタ15内のガスは第1保温ガス流出通路167を通って熱交換器180に流入し、熱交換器180を通過後、第1保温ガス流入通路166を通って第1バグフィルタ15に戻る。
【0153】
このようにして、前記熱交換器180内には熱交換器180と第1バグフィルタ15との間で循環するガスと前記第2バグフィルタ25を通過した高温の排ガスの一部とが流入し、熱交換器180においてこれらガス間で熱交換が行われる結果、第1バグフィルタ15には、前記高温の排ガスにより加熱されたガスが流入する。
【0154】
この第1焼却炉15が停止して片系稼動工程が実施された場合のガスの流れを図8の破線で示す。
【0155】
(2−2)第2焼却炉が停止している場合
この場合には、前記第2上流側メインダンパ24aおよび第2下流側メインダンパ26aを閉じて、停止している第2焼却炉23および第2排ガス通路26から第2バグフィルタ25内へのガスの流入を禁止する。一方、前記第1上流側メインダンパ14aおよび第1下流側メインダンパ16aを開き、第1焼却炉13から第1バグフィルタ15へのガスの流入および第1バグフィルタ15から第1排ガス通路16へのガスの流入を可能とする。
【0156】
また、前記第1分岐ダンパ161aと第1戻しダンパ162aとを開き、第1分岐通路161および第1流入通路181を介した第1排ガス通路16から熱交換器180へのガスの流入と、第1流出通路182および第1戻し通路162を介した熱交換器180から第1排ガス通路16へのガスの流出を可能にする。一方、前記第1保温ガス流入ダンパ166aと第1保温ガス流出ダンパ167aとは閉じて、第1バグフィルタ15と熱交換器180との間のガスの流通は禁止する。
【0157】
また、前記第2保温ガス流入ダンパ176aと第2保温ガス流出ダンパ177aとを開いて、第2保温ガス流出通路177および第2流入通路183を介した第2バグフィルタ25から熱交換器180へのガスの流入と、第2流出通路184および第2保温ガス流入通路176を介した熱交換器180から第2バグフィルタ25へのガスの流出を可能にする。一方、前記第2分岐ダンパ171aと第2戻しダンパ172aとは閉じて、第2排ガス通路26と熱交換器180との間のガスの流通は禁止する。
【0158】
そして、前記第2ファン173を稼動して、第2流入通路183内のガスを熱交換器180を通過させて第2流出通路184側へ吸引するとともに、第1ファン163を稼動して、第1流入通路181内のガスを熱交換器180を通過させて第1流出通路182側へ吸引する。この第1ファン163の回転数は、前記第1焼却炉13が停止している場合と同様に、前記温度センサで検出された前記第2バグフィルタ25内の温度に応じて変更される。
【0159】
そして、前記第1誘引ファン18を稼動する一方、前記第2誘引ファン28、第1ヒータ65、第2ヒータ75を停止させておく。
【0160】
以上の操作により、稼動している第1焼却炉13から排出された高温の排ガスは第1バグフィルタ15を通過した後、第1排ガス通路16に排出される。ここで、前記第1分岐ダンパ161aと第1戻しダンパ162aの開操作に伴い、第1分岐通路161、第1流入通路181、第1流出通路182、第1戻し通路162を介した第1排ガス通路16と熱交換器180との間のガスの流通が可能となっている。従って、前記第1ファン163の稼動に伴い、第1排ガス通路16内の高温の排ガスの一部は前記第1分岐部16bにおいて第1分岐通路161内に分岐する。そして、この分岐した高温の排ガスは、熱交換器180を通過した後、第1戻し通路162を通って第1排ガス通路16の第1戻し部16cに戻る。この熱交換器180を通過した排ガスは、第1バグフィルタ15から排出されて第1分岐通路161に分岐しなかった他の排ガスと合流して、前記第1誘引ファン18の吸引力により前記第1煙突19から排出される。
【0161】
一方、前記第2保温ガス流入ダンパ176aと第2保温ガス流出ダンパ177aの開操作に伴い、第2保温ガス流出通路177、第2流入通路183、第2流出通路184、第2保温ガス流入通路176を介して第2バグフィルタ25と熱交換器180との間でのガスの循環が可能となっている。また、第2焼却炉23および第2排ガス通路26から第2バグフィルタ25内へのガスの流入は停止されている。従って、前記第2ファン173の稼動に伴い、第2バグフィルタ25内のガスは第2保温ガス流出通路177を通って熱交換器180に流入し、熱交換器180を通過後、第2保温ガス流入通路176を通って第2バグフィルタ25に戻る。
【0162】
このようにして、前記熱交換器180内には熱交換器180と第2バグフィルタ25との間で循環するガスと前記第1バグフィルタ15を通過した高温の排ガスの一部とが流入し、熱交換器180においてこれらガス間で熱交換が行われる結果、第2バグフィルタ25には、前記高温の排ガスにより加熱されたガスが流入する。
【0163】
以上のように、片系稼動工程中では、前記排ガス遮断工程および熱エネルギ供給工程の実施に伴い、熱交換器180において、停止側のバグフィルタと熱交換器180との間を循環するガスが、稼動している焼却炉から排出されて稼動側のバグフィルタを通過した後の高温の排ガスにより加熱されており、この高温の排ガスにより両方のバグフィルタが加熱、保温される。そのため、停止側のバグフィルタを保温するためにヒータを用いる場合に比べて、消費エネルギを小さく抑えることができる。また、稼動している焼却炉から排出されて熱交換器180に分岐された排ガスは稼動側の排ガス通路に戻されており、稼動側の焼却炉から排出された排ガスは全て稼動側の排ガス通路を通って炉外に排出される。そのため、この排ガスを炉外に排出するために停止側の誘引ファンを稼動させる必要がなく、この誘引ファンでの消費エネルギを小さく抑えることができる。
【0164】
特に、この第2の実施形態では、稼動している焼却炉から排出された高温の排ガスを直接停止側のバグフィルタに流入させるのではなく、間接式の熱交換器180を用いて、前記高温の排ガスの熱エネルギのみを停止側のバグフィルタに供給しており、前記高温の排ガスを直接停止側のバグフィルタに流入させる場合に比べて、停止側のバグフィルタ内への酸性ガスの流入をより確実に抑制することができる。
【0165】
さらに、熱交換器180に流入するガスは、稼動側のバグフィルタを通過してこのバグフィルタにおいてダストが除去された後の排ガスであるため、熱交換器180が前記ダスト等により目詰まりするのを抑制しつつ各バグフィルタを保温することができる。
【0166】
ここで、各保温ガス流出通路167,177および各保温ガス流入通路166,176を通って各バグフィルタ15,25と熱交換器180との間を循環するガスは、各バグフィルタ15,25内に残存している排ガスであってもよいし、炉外から導入した大気であってもよい。前記大気を導入する場合は、例えば、各保温ガス流入通路166,176あるいは各保温ガス流出通路167,177に大気を導入するための導入口を設けるとともにこの導入口を開閉するダンパを設け、前記第1ファン163および第2ファン173の開始時にこれらのダンパを開いて前記通路内に大気を導入し、所定時間後これらのダンパを閉じるようにすればよい。大気を用いた場合には、各バグフィルタ15,25内に残存している排ガスを用いる場合に比べて、各バグフィルタ15,25に流入するガスの水分をより少なく抑えて、これらバグフィルタ15、25へのダストの付着をより確実に抑制することができる。
【0167】
(3)同時停止工程
この同時停止工程では、前記第1の実施形態と同様に、各バグフィルタ13,23と各ヒータ165,175との間でガスを循環させて、各ヒータ165,175により加熱されたガスを各バグフィルタ13,23に流入させる。
【0168】
具体的には、前記第1分岐ダンパ161a、第1戻しダンパ162a、第2分岐ダンパ171a、第2戻しダンパ172aを閉じて、各排ガス通路16,26と熱交換器180との間のガスの流通を禁止する。一方、前記第1保温ガス流入ダンパ166a、第1保温ガス流出ダンパ167a、第2保温ガス流入ダンパ176a、第2保温ガス流出ダンパ177aを開いて、各バグフィルタ15,25と各熱交換器180との間でのガスの循環を可能とする。
【0169】
そして、前記第1ファン163および第2ファン173を稼動させるとともに、前記第1ヒータ165および第2ヒータ175を稼動させる。また、前記第1誘引ファン18および第2誘引ファン28を停止する。
【0170】
ここで、各ダンパの操作、各ファンの稼動あるいは停止および各ヒータの稼動は、両方の焼却炉が停止した後、各バグフィルタ内の温度が前記基準温度以下に低下した後に開始する。
【0171】
以上の操作により、第1バグフィルタ15内のガスは、第1保温ガス流出通路167および第1流入通路181を通って熱交換器180に流入し、この熱交換器180を通過した後、第1ヒータ165が設けられた第1保温ガス流入通路166を通って第1バグフィルタ15に戻る。すなわち、第1バグフィルタ15と第1ヒータ165との間でガスが循環して、第1バグフィルタ15には第1ヒータ165で加熱されたガスが流入する。また、第2バグフィルタ25内のガスは、第2保温ガス流出通路177および第2流入通路183を通って熱交換器180に流入し、この熱交換器180を通過した後、第2ヒータ175が設けられた第2保温ガス流入通路176を通って第2バグフィルタ25に戻る。すなわち、第2バグフィルタ25と第2ヒータ175との間でガスが循環して、第2バグフィルタ25には第2ヒータ165で加熱されたガスが流入する。
【0172】
このようにして、同時停止工程では、各バグフィルタ15,25に各ヒータ165,175で加熱されたガスが流入することで、各バグフィルタ15,25が保温される。
【0173】
ここで、各バグフィルタ15,25と各ヒータ165,175すなわち各バグフィルタ15,25と熱交換器180との間を循環するガスは、前述のように、各バグフィルタ15,25内に残存している排ガスであってもよいし、炉外から導入した大気であってもよい。
【0174】
以上のように、この第2の実施形態に係る廃棄物処理設備101においても、同時稼動工程、片系稼動工程、同時停止工程において、各バグフィルタ15,25を適切に保温して、これらバグフィルタ15,25の低温腐食や目詰まりを抑制することができる。特に、稼働側のバグフィルタから排出された排ガスが直接停止側のバグフィルタに流入せずにこの排ガスの熱エネルギのみが停止側のバグフィルタに流入するので、停止側のバグフィルタを適切に保温しつつ、この排ガスに含まれるダストが停止側のバグフィルタに流入してこのバグフィルタが目詰まり等するのを抑制することができる。
【0175】
ここで、前記実施形態では焼却炉システムが2つ設けられている場合について説明したが、焼却炉システムは3つ以上設けられていてもよい。この場合には各焼却炉システムについて他の1つの焼却炉システムとの間に熱交換器をそれぞれ設けて、稼動している焼却炉システムの排ガスの熱エネルギを熱交換器を介して停止側の焼却炉システムに供給すればよい。あるいは、1つの熱交換器を用いて、この熱交換器と各焼却炉システムとを、この熱交換器を介した2つの焼却炉システム間での熱エネルギの交換が可能なように接続して、これらの焼却炉システム間で熱エネルギの授受を行なえばよい。
【0176】
また、前記第1の実施形態および第2の実施形態において、各分岐通路等内のガスを吸引するための手段として第1ファン63,163および第2ファン73,173を用いたが、前記ガスを吸引するための手段は前記ファンに限らない。
【符号の説明】
【0177】
1 廃棄物処理設備
10 第1焼却炉システム
13 第1焼却炉
15 第1バグフィルタ(第1集塵装置)
16 第1排ガス通路
20 第2焼却炉システム
23 第2焼却炉
25 第2バグフィルタ(第2集塵装置)
26 第2排ガス通路
60 保温装置
61 第1分岐通路
62 第1戻し通路
63 第1ファン(第1吸引手段)
65 第1加熱手段(加熱手段)
71 第2分岐通路
72 第2戻し通路
73 第2ファン(第2吸引手段)
75 第2加熱手段(加熱手段)
101 廃棄物処理設備
160 保温装置
161 第1分岐通路
162 第1戻し通路
166 第1保温ガス流入通路
167 第1保温ガス流出通路
171 第2分岐通路
172 第2戻し通路
176 第2保温ガス流入通路
177 第2保温ガス流出通路
180 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備の運転方法であって、
特定の同時稼動期間中、前記第1焼却炉と第2焼却炉とを同時に稼動する同時稼動工程と、前記同時稼動期間以外の片系稼動期間中、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方を停止して他方を稼動する片系稼動工程とを含み、
前記同時稼動工程では、第1焼却炉から排出された排ガスを第1集塵装置および第1排ガス通路を介して炉外に排出するとともに、第2焼却炉から排出された排ガスを第2集塵装置および第2排ガス通路を介して炉外に排出し、
前記片系稼動工程では、停止側の焼却炉システムにおいて、その焼却炉とその集塵装置との間のガスの流通およびその集塵装置とその排ガス通路との間のガスの流通を遮断する排ガス遮断工程と、稼動側の焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を当該稼働側の排ガス通路の特定の分岐部から停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給するとともに、この停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の前記排ガスを稼動側の排ガス通路のうち前記分岐部よりも下流側の戻し部に戻す熱エネルギ供給工程とを実施することを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項2】
廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムを備えた廃棄物処理設備の運転法であって、
特定の同時稼動期間中、全ての前記焼却炉システムの焼却炉を同時に稼動する同時稼動工程と、
前記同時稼動期間以外の片系稼動期間中、特定の焼却炉システムの焼却炉を停止して他の焼却炉システムの焼却炉を稼動する片系稼動工程とを含み、
前記同時稼動工程では、各焼却炉から排出された排ガスを焼却炉システム毎にその集塵装置およびその排ガス通路を介して互いに独立して炉外に排出し、
前記片系稼動工程では、停止側の焼却炉システムにおいて、その焼却炉とその集塵装置との間のガスの流通およびその集塵装置とその排ガス通路との間のガスの流通を遮断する排ガス遮断工程と、稼動側の少なくとも一つの焼却炉システムの排ガス通路内の排ガスの一部を当該稼働側の排ガス通路の特定の分岐部から停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させてこの排ガスの熱エネルギを停止側の集塵装置内に供給するとともに、この停止側の集塵装置内に熱エネルギを供給した後の前記排ガスを稼動側の排ガス通路のうち前記分岐部よりも下流側の戻し部に戻す熱エネルギ供給工程とを実施することを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記同時稼動期間および前記片系稼動期間以外の同時停止期間中、前記各焼却炉システムの焼却炉を同時に停止する同時停止工程を含み、
前記同時停止工程では、焼却炉システム毎に前記集塵装置と加熱手段との間でそれぞれ独立してガスを循環させるとともに、前記加熱手段により前記循環するガスを加熱することを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記排ガス遮断工程と前記熱エネルギ供給工程とは、前記停止側の焼却炉システムの焼却炉の停止後であって当該停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度が予め設定された基準温度以下に低下した後に、開始されることを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記熱エネルギ供給工程では、前記分岐部で前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させた前記排ガスを当該停止側の集塵装置を通過させた後、前記稼動側の焼却炉システムの戻し部に戻すことを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項6】
請求項5に記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記熱エネルギ供給工程は、前記停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度に応じて、前記稼動側の焼却炉システムの分岐部で前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させる排ガスの量を調整する工程を含むことを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記熱エネルギ供給工程では、停止側の焼却炉システムの集塵装置と熱交換器との間でガスを循環させ、かつ、前記稼動側の焼却炉システムの分岐部で当該稼動側の焼却炉システムの排ガス通路から前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐した前記排ガスの一部を前記熱交換器に流入させた後前記稼動側の焼却炉システムの戻し部に戻すとともに、前記熱交換器において、前記停止側の集塵装置と前記熱交換器との間で循環するガスと前記分岐部で分岐した前記排ガスとを非接触の状態で熱交換させることを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項8】
請求項7に記載の廃棄物処理設備の運転方法において、
前記熱エネルギ供給工程では、前記停止側の焼却炉システムの集塵装置内の温度あるいは前記熱交換器の温度に応じて、前記分岐部で前記稼動側の焼却炉システムの排ガス通路から前記停止側の焼却炉システムの集塵装置側に分岐させる排ガスの量を調整する工程を含むことを特徴とする廃棄物処理設備の運転方法。
【請求項9】
廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方の焼却炉が停止したときに、その停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、
前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、
前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、
前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部と前記第2集塵装置とを連通する第1分岐通路と、
前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部と前記第1集塵装置とを連通する第2分岐通路と、
前記第1排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第1戻し部と前記第2集塵装置とを連通する第1戻し通路と、
前記第2排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第2戻し部と前記第1集塵装置とを連通する第2戻し通路と、
前記第1排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第1分岐通路を通じて前記第2集塵装置に流入した後前記第1戻し通路を通じて前記第1排ガス通路に戻るように、前記第1分岐通路内に吸引可能な第1吸引手段と、
前記第2排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第2分岐通路を通じて前記第1集塵装置に流入した後前記第2戻し通路を通じて前記第2排ガス通路に戻るように、前記第2分岐通路内に吸引可能な第2吸引手段と、
前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、
前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置。
【請求項10】
廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記複数の焼却炉システムの少なくとも一つの焼却炉が停止したときに当該停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、
各焼却炉システムにそれぞれ個別に設けられて、前記焼却炉と前記集塵装置間のガスの流路および前記集塵装置と前記排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な排ガス遮断手段と、
各焼却炉システムの排ガス通路の特定の分岐部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する分岐通路と、
各焼却炉システムの排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の戻し部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する戻し通路と、
前記各焼却炉システムの排ガス通路内のガスの一部を、当該排ガスが前記分岐通路を通じて他の焼却炉システムの集塵装置に流入した後前記戻し通路を通じて各焼却炉システムの排ガス通路に戻るように、前記分岐通路内にそれぞれ吸引可能な吸引手段と、
前記各分岐通路および各戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とにそれぞれ切り替え可能な分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置。
【請求項11】
廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムとを備えた廃棄物処理設備に設けられて、前記第1焼却炉と第2焼却炉の一方の焼却炉が停止したときに、その停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置であって、
2つの流体を非接触状態で熱交換させる熱交換器と、
前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、
前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、
前記第1焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第1流入部と、
前記第2焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第2流入部と、
前記第1流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第1焼却炉システム側に排出するための第1流出部と、
前記第2流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第2焼却炉システム側に排出するための第2流出部と、
前記第1流入部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流出通路と、
前記第2流入部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流出通路と、
前記第1流出部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流入通路と、
前記第2流出部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流入通路と、
前記第1流入部と前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部とを連通する第1分岐通路と、
前記第2流入部と前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部とを連通する第2分岐通路と、
前記第1流出部と前記第1排ガス通路の前記第1分岐部よりも下流側の第1戻し部とを連通する第1戻し通路と、
前記第2流出部と前記第2排ガス通路の前記第2分岐部よりも下流側の第2戻し部とを連通する第2戻し通路と、
前記第1流入部から前記熱交換器を介して前記第1流出部にガスが流れるように当該第1流入部あるいは第1流出部内のガスを吸引する第1吸引手段と、
前記第2流入部から前記熱交換器を介して前記第2流出部にガスが流れるように当該第2流入部あるいは第2流出部内のガスを吸引する第2吸引手段と、
前記第1保温ガス流入通路および第1保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1保温ガス通路開閉手段と、
前記第2保温ガス流入通路および第2保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2保温ガス通路開閉手段と、
前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、
前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする保温装置。
【請求項12】
廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、
廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路とを有する第2焼却炉システムと、
前記第1集塵装置および前記第2集塵装置を保温するための保温装置とを備え、
前記保温装置は、
前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、
前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、
前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部と前記第2集塵装置とを連通する第1分岐通路と、
前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部と前記第1集塵装置とを連通する第2分岐通路と、
前記第1排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第1戻し部と前記第2集塵装置とを連通する第1戻し通路と、
前記第2排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の第2戻し部と前記第1集塵装置とを連通する第2戻し通路と、
前記第1排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第1分岐通路を通じて前記第2集塵装置に流入した後前記第1戻し通路を通じて前記第1排ガス通路に戻るように、前記第1分岐通路内に吸引可能な第1吸引手段と、
前記第2排ガス通路内の排ガスの一部を、当該排ガスが前記第2分岐通路を通じて前記第1集塵装置に流入した後前記第2戻し通路を通じて前記第2排ガス通路に戻るように、前記第2分岐通路内に吸引可能な第2吸引手段と、
前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、
前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備。
【請求項13】
廃棄物を熱分解処理するための焼却炉と、当該焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための集塵装置と、当該集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための排ガス通路とをそれぞれ個別に有する複数の焼却炉システムと、
前記複数の焼却炉システムの少なくとも一つの焼却炉が停止したときに当該停止した焼却炉を含む焼却炉システムの集塵装置を保温するための保温装置とを備え、
前記保温装置は、
各焼却炉システムにそれぞれ個別に設けられて、前記焼却炉と前記集塵装置間のガスの流路および前記集塵装置と前記排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な排ガス遮断手段と、
各焼却炉システムの排ガス通路の特定の分岐部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する分岐通路と、
各焼却炉システムの排ガス通路の前記分岐部よりも下流側の戻し部と他の焼却炉システムの集塵装置とをそれぞれ連通する戻し通路と、
前記各焼却炉システムの排ガス通路内のガスの一部を、当該排ガスが前記分岐通路を通じて他の焼却炉システムの集塵装置に流入した後前記戻し通路を通じて各焼却炉システムの排ガス通路に戻るように、前記分岐通路内にそれぞれ吸引可能な吸引手段と、
前記各分岐通路および各戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とにそれぞれ切り替え可能な分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備。
【請求項14】
廃棄物を熱分解処理するための第1焼却炉と当該第1焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第1集塵装置と当該第1集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第1排ガス通路とを有する第1焼却炉システムと、
廃棄物を熱分解処理するための第2焼却炉と当該第2焼却炉から排出された排ガス中からダストを除去するための第2集塵装置と当該第2集塵装置を通過した排ガスを炉外に排出するための第2排ガス通路を有する第2焼却炉システムと、
前記第1集塵装置および前記第2集塵装置を保温するための保温装置とを備え、
前記保温装置は、
2つの流体を非接触状態で熱交換させる熱交換器と、
前記第1焼却炉と前記第1集塵装置間のガスの流路および第1集塵装置と第1排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1排ガス遮断手段と、
前記第2焼却炉と前記第2集塵装置間のガスの流路および第2集塵装置と第2排ガス通路間のガスの流路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2排ガス遮断手段と、
前記第1焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第1流入部と、
前記第2焼却炉システム側から前記熱交換器にガスを流入させるための第2流入部と、
前記第1流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第1焼却炉システム側に排出するための第1流出部と、
前記第2流入部から前記熱交換器に流入したガスを当該熱交換器から前記第2焼却炉システム側に排出するための第2流出部と、
前記第1流入部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流出通路と、
前記第2流入部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流出通路と、
前記第1流出部と前記第1集塵装置とを連通する第1保温ガス流入通路と、
前記第2流出部と前記第2集塵装置とを連通する第2保温ガス流入通路と、
前記第1流入部と前記第1排ガス通路の特定の第1分岐部とを連通する第1分岐通路と、
前記第2流入部と前記第2排ガス通路の特定の第2分岐部とを連通する第2分岐通路と、
前記第1流出部と前記第1排ガス通路の前記第1分岐部よりも下流側の第1戻し部とを連通する第1戻し通路と、
前記第2流出部と前記第2排ガス通路の前記第2分岐部よりも下流側の第2戻し部とを連通する第2戻し通路と、
前記第1流入部から前記熱交換器を介して前記第1流出部にガスが流れるように当該第1流入部あるいは第1流出部内のガスを吸引する第1吸引手段と、
前記第2流入部から前記熱交換器を介して前記第2流出部にガスが流れるように当該第2流入部あるいは第2流出部内のガスを吸引する第2吸引手段と、
前記第1保温ガス流入通路および第1保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1保温ガス通路開閉手段と、
前記第2保温ガス流入通路および第2保温ガス流出通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2保温ガス通路開閉手段と、
前記第1分岐通路および第1戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第1分岐通路開閉手段と、
前記第2分岐通路および第2戻し通路を開通する状態と閉鎖された状態とに切り替え可能な第2分岐通路開閉手段とを備えることを特徴とする廃棄物処理設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−42155(P2012−42155A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184896(P2010−184896)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】