説明

廃棄物流の回収方法及び装置

ジアリールカーボネート製造工程における廃棄物流から生成混合物を回収する方法は、廃棄物流をアルキルアルコールと反応させて反応混合物を形成し、その反応混合物から生成混合物を分離することからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアリールカーボネート製造工程で生成した廃棄物から価値のある化合物を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートは、ポリカーボネート樹脂の生産において重要な反応体である。ポリカーボネート樹脂の用途が増大するにつれて、ジアリールカーボネートの効率的な生産がより重要になってきた。ジアリールカーボネートを生産するエステル交換法は2つの反応段階を含んでいる。まず、エステル交換触媒の存在下でジアルキルカーボネートを芳香族アルコールと反応させてアルキルアリールカーボネートとアルキルアルコールを生成させる。次に、2分子のアルキルアリールカーボネートを不均化反応させて1分子のジアリールカーボネートと1分子のジアルキルカーボネートを生成させる。ジアリールカーボネートはフェノールをホスゲンと反応させることによって生産することもできる。
【0003】
このジアリールカーボネート製造工程の廃棄物流は処分に特殊な取扱いが必要とされる。この廃棄物流はジアリールカーボネート、芳香族アルコール、芳香族サリチレート、ポリカーボネートオリゴマー、エステル交換触媒及びその他の高沸点化合物のような多様な化合物を含んでいる可能性がある。現在のところ、これらの化合物を廃棄物流から効率的に回収する方法はない。
【0004】
ポリカーボネートスクラップ(すなわち、製造工程から出るポリカーボネート廃棄物)をアルコールと反応させてモノマーを回収することができる。芳香族アルコールは、芳香族サリチレートをアルコールと反応させることによって芳香族サリチレートから回収し得る。いずれの回収工程の生成物も、他の合成に再使用するためにはさらに精製する必要がある。
【特許文献1】米国特許第4012406号明細書
【特許文献2】米国特許第4789730号明細書
【特許文献3】米国特許第5026817号明細書
【特許文献4】米国特許第5236959号明細書
【特許文献5】米国特許第5266716号明細書
【特許文献6】米国特許第5334742号明細書
【特許文献7】米国特許第5440066号明細書
【特許文献8】米国特許第5602271号明細書
【特許文献9】米国特許第5747609号明細書
【特許文献10】米国特許第5980445号明細書
【特許文献11】米国特許第6175017号明細書
【特許文献12】米国特許第6184334号明細書
【特許文献13】米国特許第6262210号明細書
【特許文献14】米国特許第6294684号明細書
【特許文献15】米国特許第6323304号明細書
【特許文献16】米国特許第6339138号明細書
【特許文献17】米国特許第6395862号明細書
【特許文献18】米国特許第6403754号明細書
【特許文献19】米国特許第6479689号明細書
【特許文献20】米国特許第6506871号明細書
【特許文献21】特開2002−212335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の方法は、ジアリールカーボネート工程の廃棄物流から化合物を回収するものとは異なる。従って、ジアリールカーボネート製造廃棄物流から価値のある化合物を回収することができる廃棄物取扱い法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、ジアリールカーボネート製造廃棄物流から生成混合物を回収するために、廃棄物流をアルキルアルコールと反応させて反応混合物を形成し、この反応混合物から生成混合物を分離することを含んでなる方法が開示される。
【0007】
上記方法は、反応器、分離装置、処理装置、並びに反応体流及び生成物流を輸送する複数の流路を含んでなる装置で実施することができる。反応器は第1の移送流路によって分離装置に連結されている。分離装置は第2の移送流路と生成混合物流路を有している。生成混合物流は分離装置からジアリールカーボネート製造工程へと送られ、第2の移送流路は分離装置の底部から処理装置へ通じている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書には、ジアリールカーボネート製造廃棄物流から価値のある化合物を回収する方法が開示されている。この方法は、廃棄物流をアルキルアルコールと反応させて反応混合物を形成し、この反応混合物から生成混合物を分離することを含んでいる。廃棄物流とは、生成混合物を回収するために処理する価値がある一定量のジアリールカーボネートと、最終的に処分される1種以上の廃棄物成分とを含む流れと定義される。この廃棄物流は通例、1種以上の触媒、ジアリールカーボネート、及びジアリールカーボネートより高い沸点を有する化合物を含んでいる。一つの実施形態においては、廃棄物流がエステル交換触媒、ジアリールカーボネート、場合により存在する芳香族サリチレート、及び場合により存在するポリカーボネートオリゴマーからなり、反応混合物はジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアルコール、ビスフェノール、アルキルサリチレート、及び未反応の廃棄物からなる。この実施形態において、生成混合物はジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアルコールからなる。
【0009】
ジアリールカーボネート製造廃棄物流から価値のある化合物を回収する本方法では、廃棄物流をアルキルアルコールと反応させる。廃棄物流中に存在するジアリールカーボネートがアルキルアルコールと反応して、アルキルアリールカーボネートと芳香族アルコールを生成する。このアルキルアリールカーボネートはさらにアルキルアルコールと反応してジアルキルカーボネートと芳香族アルコールを生成する。廃棄物流中のポリカーボネートオリゴマーは、存在する場合、アルキルアルコールと反応してジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びビスフェノールを生成する。廃棄物流中の芳香族サリチレートは、存在する場合、アルキルアルコールと反応して芳香族アルコールとアルキルサリチレートを生成する。廃棄物の回収及びリサイクル工程がない場合、廃棄物中に存在するジアリールカーボネート、芳香族サリチレート及びポリカーボネートオリゴマーのような価値のある化合物が失われる。以上の反応は全て、極めて有利な平衡定数を有している。
【0010】
これらの反応はエステル交換触媒の存在下で行われるが、エステル交換触媒が必要ないこともある。反応は、ほぼ大気圧〜約5000000Paの圧力、さらに好ましくは約500000〜約2000000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内の圧力で行われる。本明細書中に記載する圧力は全て絶対圧力である。高めの圧力がアルキルアルコールを液相に維持するのに役立つ。理論に縛られることはないが、現在のところ、触媒反応はエステル交換触媒の存在下液相中で起こり、非触媒反応は気相と液相で起こり得ると考えられる。
【0011】
上述の反応の幾つかの反応パラメーターは温度、反応時間及びアルキルアルコールと処理する廃棄物との比である。反応は約80〜約250℃の温度、さらに好ましくは約140〜約180℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内で行われる。廃棄物処理反応に必要とされる滞留時間は約120分以下とすることができる。滞留時間とは、反応が起こる条件の反応器中に廃棄物が留まる時間と定義される。廃棄物処理反応は回分式又は連続モードで実施することができる。
【0012】
アルキルアルコールと廃棄物流の重量比は約0.05〜約100、好ましくは約0.1〜約40、最も好ましくは約0.2〜約1.5、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内に維持する。アルキルアルコールの利用可能性(availability)により、廃棄物流から価値のある化合物への変換が最大になる。アルキルアルコールと廃棄物流の重量比が低いと、反応時間と温度に関係なく、価値のある物質の収量が低くなる。廃棄物処理に関与するこれらの反応は発熱反応である。
【0013】
エステル交換合成工程を使用する場合、廃棄物処理反応で廃棄物流をアルキルアルコールと反応させたときに生成する反応混合物は、アルキルアルコール、芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート、アルキルサリチレート、ビスフェノール、エステル交換触媒、未反応廃棄物、場合によりアルキルアリールカーボネートを含んでいる。アルキルアリールカーボネートはジアリールカーボネートがアルキルアルコールと反応するときの中間生成物であるので、反応混合物中のアルキルアリールカーボネートの濃度は滞留時間に依存する。滞留時間が長めであると、全てのアルキルアリールカーボネートがアルコールとさらに反応してジアルキルカーボネートと芳香族アルコールを形成する。アルキルアリールカーボネートはまた、ジアリールカーボネートがジアルキルカーボネートと反応するときにも形成され得る。アルキルアルコールとジアルキルカーボネートの混合物を廃棄物流と反応させると、ジアルキルカーボネートが廃棄物流中に存在するジアリールカーボネートと反応してアルキルアリールカーボネートを形成し得、これがさらにアルキルアルコールと反応してジアルキルカーボネートと芳香族アルコールを生成し得る。
【0014】
これらの化合物の各々の沸点には差があるので、アルキルアルコール、芳香族アルコール及びジアルキルカーボネートのような低めの沸点を有する化合物を含む生成混合物は分離装置で分離することができる。反応混合物中に存在するアルキルサリチレートも生成混合物と共に回収することができ、この生成混合物をさらに精製してアルキルサリチレートを回収し得る。さらにビスフェノールも回収し、適当な精製の後ポリカーボネート重合装置その他の合成系にリサイクルして戻し得る。アルキルアルコール、芳香族アルコール及びジアルキルカーボネートを含む生成混合物の回収後、ビスフェノール、エステル交換触媒及び未反応廃棄物を含む残りの混合物は非常に粘稠である。この粘稠な混合物の容易な取扱いを助長するためには、分離装置を、芳香族アルコールの一部がビスフェノール、エステル交換触媒及び未反応廃棄物を含む混合物中に残存するように設計するとよい。芳香族アルコールが存在すると、この混合物の粘度が低下し、取扱いが容易になる。
【0015】
廃棄物処理は、アルキルアルコールか、又はアルキルアルコールとジアルキルカーボネートの混合物のいずれかと廃棄物流とを反応させることによって達成することができる。混合物中のアルキルアルコールの濃度は約1〜約99重量%であり得る。一つの実施形態において、アルキルアルコールとジアルキルカーボネートの混合物は、ジアリールカーボネート製造工程中に形成された共沸混合物であり得る。
【0016】
アルキルアルコールは脂肪族C1−30モノアルコール、好ましくはメタノール、エタノール及びブタノールからなる。適切な芳香族アルコールとしては、限定されることはないが、フェノール及びクレゾール、キシレノール、トリメチル−フェノール、テトラメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ジエチルフェノール、メチルエチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノールのようなアルキルフェノール、並びにメトキシフェノール及びエトキシフェノールのようなアルコキシフェノールがある。本反応に有用である適切なジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ペンチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ヘキシルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ヘプチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、オクチルノニルカーボネート、ジノニルカーボネート、ノニルデシルカーボネート、及びジデシルカーボネートがある。2種以上の芳香族アルコール及び/又はジアルキルカーボネートの組合せを使用することも可能である。
【0017】
好ましい部類のエステル交換触媒としては、チタンテトラフェノキシド(Ti(OPh))、及び四塩化チタンのようなチタン化合物、有機スズ化合物、鉛化合物、銅族金属の化合物、亜鉛錯体、鉄族金属の化合物、及びジルコニウム錯体がある。
【0018】
本明細書には、ジアリールカーボネート製造工程で生成した廃棄物流から化合物を回収する方法が開示されている。ジアリールカーボネートの生産は様々なジアルキルカーボネートと様々な芳香族アルコールを用いて行うことができることが当業者には認識されよう。産業上使用される最も一般的な反応体はジメチルカーボネートとフェノールであり、これらは反応してジフェニルカーボネートを生成する。ジアリールカーボネートは、エネルギー効率の良い一連の質量及びエネルギー統合反応蒸留塔及び蒸留塔で製造される。この工程により、ジアリールカーボネートの高い生産速度が可能になり、またジアリールカーボネート製造工程内にリサイクルしたりジアルキルカーボネートの製造のような併発反応に利用したりするための未反応の出発材料及び副反応生成物の便利な回収が容易になる。
【0019】
図1は、ジアリールカーボネートを製造するための模範的な装置の概略図である。この装置は、5つの塔110、124、138、116及び146と、数字100〜148で示されている様々な供給原料流路、生成物流路及びリサイクル流路とを有している。
【0020】
塔110、124及び138は反応蒸留塔である。すなわち、これらの塔は各々が、化学反応が起こる下部反応セクションと、上部精留セクションとを有している。このタイプの塔の構成は当技術分野で公知である。一般に、塔の反応セクション及び精留セクションは配列パッキン(arranged packing)、ダンプパッキン(dumped packing)又は固定内在物(fixed internal)を備えている。塔110は約l0〜約80、さらに好ましくは約15〜約60、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段数を提供する。
【0021】
塔116及び146は精留塔である。これらの塔は、同時に起こる化学反応を推進することなく、沸点に基づいて物質の分離を行うためのものである。このタイプの塔の構成は当技術分野で公知である。
【0022】
図1に示した5つの塔は一連の流路によって相互に連結されている。各流路に対する流れの方向は図1に示されている。この設計を個々の設備に適合させる際には様々なバルブ、ヒーター、及びその他の付属品を含ませることができ、かかる部品を含ませることは当技術分野における技術常識の範囲内である。
【0023】
図1に示した装置を利用してジアリールカーボネートを製造することができる。出発材料は流路106及び108を介して塔110に導入される。流れ106は、主として芳香族アルコール(新たなもの又はリサイクルされたもの)を含む流れ100と、芳香族アルコール及びエステル交換触媒を含む流れ102との組合せである。場合により、流れ106はまた、反応蒸留塔138から流路144を介してリサイクルされたアルキルアルコール、アルキルカーボネート及び副反応生成物も含んでいることができる。流れ100は新たなエステル交換触媒流によってさらに増強することができ、この新たなエステル交換触媒は必要に応じて添加し得る。
【0024】
流れ108は、アルキルアルコールとジアルキルカーボネートを含む流れ104と、精留塔116の底部から回収されたジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及び副反応生成物を含むリサイクル流132との混合物である。
【0025】
流れ108は塔110の底部セクション、好ましくはリボイラーに供給される。この流れは使用するリボイラーのタイプに応じて液体でも蒸気でもよい。例えば、外部リボイラー、例えば、ケトルリボイラーを使用する場合、流れ108は蒸気として塔110に入る。流れ106は液体として塔110の中央セクションで反応蒸留セクションの頂部付近の位置に供給される。流れ106及び108の供給速度は、ジアルキルカーボネートの芳香族アルコールに対するモル比が約0.1〜約l0、好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約1〜約3、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内になるようにする。流れ108を介してジアルキルカーボネートを過剰に供給するのが特に有利である。というのは、ジアルキルカーボネートは反応体及びストリッピング剤の両方の役目をし、エステル交換反応で生成したアルキルアルコールの除去を促進するからである。この除去により、塔110におけるアルキルアリールカーボネートの生成速度が増大する。塔110でのエステル交換反応は、約100〜約300℃、好ましくは約130〜約250℃、最も好ましくは約140〜約220℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内の温度で実施する。塔110の作動圧力は約5000〜約2000000Pa、好ましくは約50000〜約1000000Pa、最も好ましくは約300000〜約700000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内である。
【0026】
反応生成物と未反応の出発材料は、塔110から流路112及び114を介して取り出される。塔110の頭部から取り出された流れ112は、未反応のジアルキルカーボネートと芳香族アルコール、及びエステル交換反応で生成したアルキルアルコールを含んでいる。一つの実施形態において、流れ112は、ジアリールカーボネートエステル交換反応の副生物であるアルキルアリールエーテルも含有し得る。この流れは加工処理及び回収のために精留塔116に送られる。
【0027】
塔110の底部付近から取り出された流れ114は、塔110で生成したアルキルアリールカーボネート、芳香族サリチレート及びジアリールカーボネートと、未反応の出発材料及びエステル交換触媒を含んでいる。流れ114は第2の反応蒸留塔124に送られる。
【0028】
塔124は下部反応セクションと上部精留セクションとを有する。この塔はアルキルアリールカーボネートからジアリールカーボネートとジアルキルカーボネートへの不均化を促進し、同時に反応混合物からジアルキルカーボネートを分離する。
【0029】
塔124の反応セクションと精留セクションは各々が配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて約1〜約50、好ましくは約5〜約20、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段数を提供する。塔124の温度は約50〜約300℃、好ましくは約60〜約280℃、最も好ましくは約l00〜約250℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内である。
【0030】
塔124内の圧力は、約5000〜約l000000Pa、好ましくは約20000〜約500000Pa、最も好ましくは約100000〜約300000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲内に維持する。塔124の圧力を塔110の圧力より低く維持するのが好ましい。この結果、流れ114の断熱フラッシュ(flash)が生じ、従って塔124内における反応混合物からのジアルキルカーボネートの分離が促進される。
【0031】
塔124は、流路114を介してこの塔に入るジアルキルカーボネートが反応混合物から分離され、従って反応セクションで起こる不均化反応の速度が増大するように作動させる。塔124はまた塔116のリボイラーとして利用することもでき、この場合これら2つの塔は図1に示されているように流路120及び122により連結される。この場合、この配置にある塔116へのアルキルアリールカーボネートのキャリーオーバー(持ち込み)を避けるように注意しなければならない。というのは、流路132を介してアルキルアリールカーボネートの塔110へのリサイクルが起こり得るからである。アルキルアリールカーボネートとアルキルアルコールのリサイクルは塔110内の組成を出発材料の方に移動させ、従って塔110におけるアルキルアリールカーボネートの正味の生産速度を低下させるであろう。そのため、塔124及び116は、流れ120が存在する場合、これが精留塔116から逆流するジアルキルカーボネートを液相中に含むように作動させる。一つの実施形態において、流れ120はアルキルアリールエーテルと芳香族アルコールも含んでいることがある。
【0032】
流れ122が存在する場合、この流れはジアルキルカーボネートと不要な副生物であるアルキルアリールエーテル(例えばアニソール)を気相中に含んでいる。これにより、塔116で起こる分離工程を推進するエネルギーが得られる。従って、流路120及び122を介して塔124及び116間で熱と質量の統合が有利に実現される。
【0033】
精留塔116は、この工程で生成したジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの混合物を含む頂部副生物流128を生じる。一つの実施形態において、この頂部副生物流128はジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの共沸混合物からなる。一つの実施形態において、流れ128は流れ130と流れ150に分割され得、この流れ150は凝縮し、さらに精製することなく補完ジアルキルカーボネート生産工程の供給原料流として再使用することができる。流れ130は、さらに精製することなく、ジアリールカーボネートを製造する工程で生成した廃棄物流から価値のある化合物を回収するための供給原料流として再使用することができる。
【0034】
塔116は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約3以上、好ましくは約5〜約50、又はこれらの間のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。塔116の温度は約l0〜約200℃、好ましくは約50〜約150℃、又はこれらの間のあらゆる部分範囲である。塔116内の圧力は約10000〜約l000000Pa、好ましくは約50000〜約200000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0035】
塔116と物質を相互に交換する流路120及び122とは別に、物質は流路134及び126を介して塔124を出て行く。ジアルキルカーボネート、アルキルアリールエーテル及び芳香族アルコールを含む流れ126は、好ましくは塔126から側流として、又は塔116の底部から引き出され、第2の精留塔146に供給される。
【0036】
塔146はアルキルアリールエーテルからジアルキルカーボネートを分離し、このジアルキルカーボネートを流路140を介して塔116に戻す。アルキルアリールエーテルは流路142を介して排出される。
【0037】
流れ134は塔124で生成したジアリールカーボネートを、未反応の出発材料、並びに幾らかのアルキルアリールカーボネート、芳香族サリチレート、エステル交換触媒及びアルキルアリールエーテルと共に含んでいる。流れ134は反応蒸留塔138に供給される。塔138は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えており、約5〜約80、さらに好ましくは約20〜約60、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。
【0038】
塔138は、目的とするジアリールカーボネート生成物に向けて反応をさらに推進しつつ、他の物質を、好ましくはリサイクルのために分離するように作動させる。2つの流れが塔138から取り出される。第1のものは塔底流148であり、ジアリールカーボネート、残留エステル交換触媒、アルキルアリールカーボネート及び高沸点副生物を含んでいる。好ましくはこの生成物流をさらに蒸留する。
【0039】
第2の流れ144は塔138の頂部から取り出され、未反応の芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含んでいる。流れ144はリサイクルして流れ106の一部を構成するのが好ましい。
【0040】
塔138は約100〜約300℃、好ましくは約l00〜約250℃、最も好ましくは約140〜約200℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。この塔内の圧力は約l000〜約300000Pa、好ましくは約5000〜約100000Pa、最も好ましくは約10000〜約40000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0041】
上記工程の範囲内で、幾つかの変形が可能である。例えば、既に記載したように、塔116及び124を流路120及び122を介して相互に連結する。
【0042】
また、流れ134は、アルキルアリールカーボネートを含む流れを流路216を介して添加することにより増強して流れ136を形成してもよい。好ましくは、アルキルアリールカーボネートを含む流れ216はジアリールカーボネートの精製工程から回収される。
【0043】
図2は、2つの蒸発器200及び206、2つの塔214及び220、並びに数字200〜224で示されている様々な供給原料流路、生成物流路及びリサイクル流路を含む、ジアリールカーボネートを精製するための模範的な装置の概略図である。
【0044】
蒸発器200及び206は低めの沸点を有する軽めの成分を気化する。これらの成分を気化するための熱は高圧の蒸気によって供給される。これらの蒸発器は薄膜式蒸発器(wiped film evaporator)、流下膜式蒸発器又は両者の組合せとすることができる。塔214及び220は精留塔である。
【0045】
図2に示した2つの蒸発器と2つの塔は、反応体及び生成物を輸送する役目をする一連の供給原料/リサイクル流路によって相互に連結されている。かかる流路の各々の流れの方向は図2に示されている。この設計を個々の設備に適合させる際にはこれらの供給原料/リサイクル流路に様々なバルブ、ヒーター、及びその他の付属品を備えていてもよく、かかる部品を含ませることは当技術分野の技術常識内である。
【0046】
図2に示した装置を利用してジアリールカーボネートを精製することができる。ジアリールカーボネートを残留エステル交換触媒、芳香族アルコール、アルキルアリールカーボネート、芳香族サリチレート及び高沸点副生物と共に含む流れ148が蒸発器200に供給され、そこでジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアルコール及び芳香族アルコールが気化され、エステル交換触媒及び高沸点副生物から分離される。2つの流れが蒸発器200から取り出される。第1のものは、ジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、芳香族アルコール、アルキルサリチレート及び芳香族サリチレートを含む塔頂流202である。第2の流れはジアリールカーボネート、エステル交換触媒、芳香族アルコール及び高沸点副生物を含む塔底流204である。一つの実施形態において、流れ202は小量のエステル交換触媒を含有していてもよい。
【0047】
蒸発器200は約100〜約300℃、好ましくは約l50〜約250℃、最も好ましくは約180〜約230℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。この蒸発器の作動圧力は約1000〜約200000Pa、好ましくは約1500〜約8000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0048】
流れ204は、ジアリールカーボネートをエステル交換触媒及び高沸点副生物からさらに回収するために蒸発器206に供給される。2つの流れが蒸発器206から回収される。第1のものはジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート及びエステル交換触媒を含む塔頂流208であり、流れ202と混合することにより増強されて流れ210を形成する。このジアリールカーボネート、芳香族サリチレート、エステル交換触媒及び高沸点副生物を含む第2の流れ212は蒸発器206の底部から取り出される。流れ212は2つの流れ226と102に分割される。流れ102は塔110にリサイクルされ、流れ226は第1の廃棄物流としてパージされる。
【0049】
蒸発器206は約100〜約300℃、好ましくは約l50〜約250℃、最も好ましくは約180〜約230℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。この蒸発器内の作動圧力は約1000〜約200000Pa、好ましくは約1500〜約8000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0050】
流れ210は精留塔214に供給される。この塔はジアリールカーボネートと、芳香族アルコールやアルキルアリールカーボネートのような軽い成分との分離を促進する。精留塔214は芳香族アルコールとアルキルアリールカーボネートを含む塔頂流216を生じ、この塔頂流は反応蒸留塔138の供給原料を増強するためにリサイクルされ得る。一実施形態では、流れ216を反応蒸留塔124にリサイクルしてもよい。ジアリールカーボネート、ポリカーボネートオリゴマー、芳香族サリチレート及びエステル交換触媒を含む精留塔214の塔底流218は、ジアリールカーボネートの精製のため精留塔220に供給される。
【0051】
塔214は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約3以上、好ましくは約5〜約50、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。塔214は約100〜約300℃、好ましくは約l00〜約250℃、最も好ましくは約140〜約200℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。この塔内の作動圧力は約l000〜約300000Pa、好ましくは約2000〜約100000Pa、最も好ましくは約3000〜約8000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0052】
精留塔214の供給原料は、ポリカーボネート重合装置のオーバーヘッド(塔頂)から回収されたジアリールカーボネートをリサイクルすることによって増強することができる。このジアリールカーボネートとポリカーボネートのオリゴマーを含むリサイクル流412(図4に示す)は精留塔214の底部に導入し得る。
【0053】
流れ218はジアリールカーボネートをさらに精製するために精留塔220に供給される。塔220から回収される塔頂流222は純粋なジアリールカーボネートを含んでいる。流れ222中に存在するジアリールカーボネートの濃度は重量に対して約99.5%である。
【0054】
塔220は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約3以上、好ましくは約5〜約50、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。塔220は約100〜約300℃、好ましくは約l00〜約250℃、最も好ましくは約140〜約220℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。この塔内の作動圧力は約l00〜約300000Pa、好ましくは約100〜約100000Pa、最も好ましくは約100〜約3000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0055】
精留塔220の塔底流224はジアリールカーボネート、ポリカーボネートのオリゴマー、芳香族サリチレート、エステル交換触媒及び高沸点副生物を含んでいる。この流れは第2の廃棄物流としてジアリールカーボネート精製セクションからパージされる。
【0056】
図3は、廃棄物流から化合物を回収するための模範的な装置の概略図である。この装置は、混合装置302、反応器306、2つの分離装置310及び316、並びに処理装置322を含んでいる。様々な供給原料流路、生成物流路及びリサイクル流路が数字304〜320で示されている。
【0057】
図3に示した混合装置、反応器、2つの蒸発器及び処理装置は反応体及び生成物を輸送する役目をする一連の供給原料/リサイクル流路によって相互に連結されている。かかる流路の各々の流れの方向が図3に示されている。この設計を個々の設備に適合させる際にこれらの供給原料/リサイクル流路と共に様々なバルブ、ヒーター、及びその他の付属品を備えていてもよく、かかる部品を含ませることは当技術分野で技術常識の範囲内である。
【0058】
ジアリール精製セクションからの廃棄物流224及び226は、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの共沸混合物を含む流れ130と共に混合装置302に導入される。この混合装置はオンラインミキサーその他あらゆる慣用の混合容器とすることができる。混合された流れ304はアルキルアルコール、ジアリールカーボネート、芳香族サリチレート、エステル交換触媒、ポリカーボネートオリゴマー及びその他の高沸点副生物を含んでいる。流れ304は反応器306に供給される。
【0059】
廃棄物流と流れ130の混合は反応器内での反応を促進するために必要とされる。一実施形態では、流れ226、224及び130が直接反応器に供給され、そこで混合される。廃棄物処理に適当な反応器の選択に特に制限はない。プラグフロー反応器、連続撹拌槽反応器、気泡塔反応器若しくはこれら3種全ての組合せ又は多段撹拌槽反応器のような様々なタイプの慣用の反応器を使用することができる。混合装置がない場合、連続撹拌槽反応器を使用するときには反応器内の攪拌機が混合を助け、プラグフロー反応器を使用するときには反応器の最初の長さを混合に使用する。一実施形態では、反応器は反応蒸留塔であってもよい。
【0060】
2以上の反応器の組合せ又は多段反応器を使用してもよく、この場合アルキルアルコールは反応器の組合せでは各反応器の前又は多段反応器では段間で添加すればよい。反応器は、反応器内における混合流304の滞留時間を約120分以下として作動させる。滞留時間とは、流れが反応条件の反応器内に存在する時間と定義される。
【0061】
反応器内で廃棄物はアルキルアルコールと反応して、芳香族アルコール、ビスフェノール、アルキルサリチレート、未反応の廃棄物供給原料、未反応のアルキルアルコール、アルキルカーボネート及びエステル交換触媒を含む反応混合物を生成する。反応器306は、約80〜約250℃、好ましくは約140〜約180℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。反応器圧力はほぼ大気圧〜約5000000Pa、好ましくは約500000Pa〜約2000000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。廃棄物流226及び224の合計重量に対するアルキルアルコールの重量の比は約0.05〜約100、好ましくは約0.1〜約40、最も好ましくは約0.2〜約1.5、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲に維持する。
【0062】
廃棄物流中のエステル交換触媒濃度は通常、廃棄物とアルキルアルコールとの反応を行うのに充分なものである。エステル交換触媒の濃度は廃棄物供給原料の総重量を基準にして約0.0001%以上である。好ましくは、この濃度は、廃棄物供給原料の総重量を基準にして約0.1〜約10%、最も好ましくは約1〜約4%、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0063】
反応生成物流308は反応器306を出て、分離装置310に供給される。この分離装置はフラッシュドラム、蒸留塔、蒸発器、若しくはこれらの組合せ、又は沸点を基準にして成分を分離することが知られている任意の他の分離装置とすることができる。
【0064】
一実施形態では、分離装置310は蒸留塔である。この蒸留塔は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約3以上、好ましくは約5〜約50、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。この塔は、約80〜約250℃、好ましくは約100〜約225℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。塔内の作動圧力は約100〜約500000Pa、好ましくは約100〜約30000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0065】
一実施形態では、分離装置はフラッシュドラムである。フラッシュドラムは、約140〜約220℃、好ましくは約150〜約200℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の温度で作動させる。このフラッシュドラムは反応器306より低い圧力で作動し、そのため、流れ308をフラッシュドラム中にフラッシュすることによって軽めの成分の分離が可能になる。フラッシュドラムの作動圧力は約100〜約500000Pa、好ましくは約100〜約30000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。一実施形態では、フラッシュドラムは熱交換機に取り付けられており、フラッシュドラムからの底部生成物を気化させ、この気化した底部生成物の一部をリサイクルしてフラッシュドラム中に戻す。フラッシュドラム内における反応生成物流308の滞留時間は約2秒〜約120分、最も好ましくは約5〜約60分である。最も効率的な時間は、当業者が、収率やエネルギー入力のようなパラメーターを考慮することにより、過度の実験をすることなく決定することができる。
【0066】
2つの流れが分離装置310から回収される。第1の流れはアルキルアルコール、芳香族アルコール及びアルキルカーボネートを含む生成混合物流312である。生成混合物流312はリサイクルして供給原料として精留塔214に戻し得る。一実施形態では、生成混合物はアルキルアルコール、芳香族アルコール、アルキルカーボネート及びアルキルサリチレートを含んでおり、またこの生成混合物はリサイクルして精留塔214に戻す前にさらに精製してアルキルサリチレートを分離してもよい。この回収されたアルキルサリチレートは適当に精製して任意の他の合成に使用することができる。分離装置310からの塔底流314はビスフェノール、エステル交換触媒及び未反応廃棄物を含んでいる。この流れは処理装置に送られる。一実施形態では、処理装置は廃棄物流を焼却処分するためのバーナーである。
【0067】
一実施形態では、塔底流314はさらに処理してビスフェノールを含む流れ318を回収することができる。この場合、流れ314は第2の分離装置316に供給される。第2の分離装置316は蒸留塔若しくは蒸発器又は両者の組合せ、さらに又は蒸気圧の差に基づいて成分を分離することが知られている任意の他の分離装置とすることができる。第2の分離装置はまた、適当な溶媒の存在下での溶解度の差を基準にして選択することもできる。ビスフェノールのアルカリ塩の形成及び流れ314からのその回収も工程のオプションである。2つの流れが第2の分離装置316から回収され得る。第1の流れはビスフェノールを含む第2の生成混合物流318である。第2の生成混合物流318はリサイクルしてポリカーボネート重合装置に戻してもよいし、又は適当な精製の後任意の他の合成系に使用してもよい。エステル交換触媒と未反応廃棄物を含む塔底流320は処理装置に送ってもよい。
【0068】
上記工程の範囲内で、幾つかの変形が可能である。廃棄物流226及び224並びに流れ130のいずれか又は両者を直接反応器306に供給して価値のある化合物を回収することができる。分離装置310及び316のいずれかを、アルキルアルコール、ジアルキルカーボネートぉよび芳香族アルコールを含む生成混合物と、ビスフェノールを含む第2の生成混合物とが回収されるように作動させてもよい。ビスフェノールを回収する必要性がない場合には、流れ314を直接処理装置に送ることができる。流れ312を塔110、124,138、214、116及び402(図4に示す)のいずれかに送って、廃棄物処理装置をジアリールカーボネート生産及び精製装置に統合することができる。反応器306に対する供給原料として流れ130に代えて新たなアルキルアルコールを適切な量で使用して価値のある化合物の回収を達成することができる。
【0069】
図4は、ポリカーボネート重合装置からの芳香族アルコールを精製しリサイクルするための2つの塔402及び408を含む模範的な装置の概略図である。様々な供給原料流路、生成物流路及びリサイクル流路が数字400〜412で示されている。図1に示されている流れ100は、ポリカーボネート重合工程から回収されリサイクルされた芳香族アルコールを添加することによって増強することができる。
【0070】
図4に示した2つの塔は一連の流路により相互に連結されている。各流路の流れの方向は図4に示されている。この設計を個々の設備に適合させる際に様々なバルブ、ヒーター、及びその他の付属品を備えていてもよく、かかる部品を含ませることは当技術分野における技術常識に属する。
【0071】
ポリカーボネートの重合中、芳香族アルコールが放出される。その放出された芳香族アルコールの一部は直接塔110に送られ、一部は流路400を介してリサイクルされ、精留塔402に供給される。流れ400は芳香族アルコール、ジアリールカーボネート、ビスフェノール、及びポリカーボネートオリゴマーを含んでいる。このポリカーボネートオリゴマーの分子量(重量平均)は約300〜約1500である。精留塔402は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約1〜約50、好ましくは約5〜約20、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。塔402内の温度は約50〜約300℃、好ましくは約60〜約280℃、最も好ましくは約l00〜約250℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0072】
塔402内の圧力は、約100〜約300000Pa、好ましくは約500〜約100000Pa、最も好ましくは約1000〜約10000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲に維持する。
【0073】
2つの流れが塔402から回収される。芳香族アルコールを含む塔頂流404はリサイクルしてジアリールカーボネート工程に戻され、図1に示されている流れ100を増強する。一実施形態では、404は、芳香族アルコールより軽い成分を排除するために塔402の側部から取り出される。塔402からの塔底流406は芳香族アルコール、ジアリールカーボネート、ビスフェノール及びポリカーボネートオリゴマーを含んでいる。
【0074】
流れ406は、この流れ406中に存在する芳香族アルコールを回収するために精留塔408に導入される。精留塔408は配列パッキン、ダンプパッキン又は固定内在物を備えていて、約1〜約50、好ましくは約5〜約20、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲の理論蒸留段数を提供する。塔408内の温度は約50〜約300℃、好ましくは約60〜約280℃、最も好ましくは約l00〜約250℃、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。
【0075】
塔408内の圧力は、約100〜約300000Pa、好ましくは約500〜約100000Pa、最も好ましくは約1000〜約10000Pa、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲に維持する。
【0076】
2つの流れが塔408から回収される。塔頂流410は芳香族アルコールを含んでおり、リサイクルしてジアリールカーボネート工程に戻して図1に示されている流れ100を増強することができる。ジアリールカーボネート及びポリカーボネートオリゴマーを含む塔底流412はジアリール精製工程にリサイクルし得る。一実施形態では、流れ412は図2に示されているように塔214の底部に供給され、流れ412中に存在するジアリールカーボネートが回収され精製される。
【0077】
ポリカーボネートオリゴマーは図4に示されている流路412を介して上記経路によりジアリールカーボネート工程にリサイクルされる。一実施形態では、オリゴマーを含有するリサイクル流はビスフェノールを含んでいる。別の実施形態において、ポリカーボネート重合器からのリサイクル流は直接アルキルアルコールで処理してジアルキルカーボネート及び芳香族アルコールを回収しリサイクルしてもよい。ポリカーボネートオリゴマーはポリカーボネート重合工程で生成する。ポリカーボネートは、1種以上のビスフェノール化合物、好ましくはビスフェノールAと、ジアリールカーボネート、好ましくはジフェニルカーボネートとのエステル交換によって製造される。このエステル交換反応は溶融体中で、そして1種以上のエステル交換触媒の存在下で行われる。
【0078】
エステル交換触媒は通例1種以上のアルカリ金属水酸化物のようなアルカリ金属化合物からなる。模範的なアルカリ金属化合物は水酸化ナトリウム(NaOH)である。
【0079】
エステル交換触媒に加えて、塩基性助触媒が存在し得る。適切な塩基性助触媒としては、限定されることはないが、第四アンモニウム化合物、第四ホスホニウム化合物及びこれらの混合物がある。第四アンモニウム化合物の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(以後、「TMAH」ということがある)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム及び水酸化トリメチルベンジルアンモニウムがある。第四ホスホニウム化合物の例としては、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム及び水酸化テトラ−n−ブチルホスホニウムがある。TMAHが通常好ましい。ジアリールカーボネート対ビスフェノール化合物のモル比は一般に約1.01〜1.20:1、好ましくは約1.05〜1.10:1、又はこれらの範囲内のあらゆる部分範囲である。エステル交換触媒の割合はビスフェノール化合物の合計量を基準にして約0.01〜1000、多くの場合約1モルppm(百万部当たりの部)である。助触媒の割合はビスフェノール化合物の合計量を基準にして約1〜10000モルppmである。
【0080】
ビスフェノール化合物の具体例としては、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]ベンゼン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンなどがある。
【0081】
当業者には了解されるように、上記様々な流路を塔の頂部、中央又は底部とする位置取りは必然的に相対的な用語である。というのは、物質が導入される位置はその塔内に維持される条件に依存するからである。例えば、塔の底部に入る流れは現実には排液貯め(sump)の二、三段上方に入ることがあり、塔の頂部に入る流れは頂部段より二、三段下方に入ることがある。にもかかわらず、これらの用語は様々な塔及び流路の概略の位置付けを定義するために用いられている。
【0082】
上記方法と装置により、ジアリールカーボネートを製造する工程の廃棄物流から価値のある化合物を効率的に工業規模で回収しリサイクルすることが可能になる。
【0083】
開示された方法は本明細書に記載した実施形態に限定されることはなく、任意の他の経路によるジアリールカーボネート製造工程の廃棄物から化合物を回収することができる。特に、開示された方法は、ジアリールカーボネートがジアルキルカーボネートを芳香族アルコールと反応させることによって製造され、そのジアルキルカーボネートがアルキルアルコールを尿素又はエチレングリコールカーボネート若しくは環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート)と反応させることによって製造されるジアリールカーボネート製造工程の廃棄物に応用することができる。また、開示された方法は、ジアリールカーボネートがホスゲンを芳香族アルコールと反応させることによって製造されるジアリールカーボネート製造工程の廃棄物にも応用することができる。
【実施例】
【0084】
本明細書に開示された方法を、以下の非限定実施例によってさらに例証する。
【0085】
実施例1〜8
容積300mlの回分式オートクレーブを、反応用に選択したアルキルアルコールがメタノールである廃棄物流の反応にいろいろな条件で使用した。第2の廃棄物流は23重量パーセントのジフェニルカーボネート、1重量パーセントのフェニルサリチレート、及び76重量%の触媒+オリゴマー+その他の化合物からなっていた。反応を始める前に、3000000Paの圧力の窒素ガスを用いてオートクレーブ反応器の漏れを試験した。漏れ試験では、反応器を窒素で加圧した後入口と出口を閉じ、反応器内の圧力をモニターした。実施例1では、約100gの第2の廃棄物流を21.2gのメタノールと共にオートクレーブに入れた。このオートクレーブを、攪拌機を一定の550RPMで動かしながら180℃の温度に加熱した。反応時間終了時に反応混合物から液体試料を採取し、ガスクロマトグラフ(GC)で分析した。表1に、反応完了後の反応混合物中の化合物の重量%を示す。また、表1はジメチルカーボネート、フェノール及びビスフェノールAの収率も示す。収率は、仕込んだ廃棄物1kg当たりの生成化合物kgとして計算した。結果を表1に示す。
【0086】
【表1】

実施例9〜10
実施例1に記載したのと同じ装置を用い、表2に示す反応条件で実験9〜10を行った。実施例9〜10で反応用に取り上げた廃棄物は、ジフェニルカーボネート製造工程からの第1と第2の廃棄物流の混合物であった。第1と第2の廃棄物流の混合物の組成及び反応の結果を表2に示す。
【0087】
【表2】

実施例11〜29
プラグフロー反応器を使用して、メタノールを第2の廃棄物流と連続モードで反応させた。反応器の総容積は105.1mlであった。反応器の長さと直径は50cmと1.62cmであった。メタノールと第2の廃棄物流をミキサーで混合した。メタノールと廃棄物流の重量比(MeOH/WS)を表3に示す。メタノールと第2の廃棄物流の混合物を、ギアポンプを用いてプラグフロー反応器に送った。滞留時間(RT)を表3に示す。反応器を表3に摂氏で示す温度に加熱した。反応器内の圧力は3027211Paであった。反応器の出口から試料を取り出し、GCを用いて分析した。結果を表3に示す。この反応は60分続けた。
【0088】
【表3】

以上の実施例から分かるように、ジアリールカーボネートを製造する工程の廃棄物流をアルキルアルコールと反応させることができ、価値のある化合物を回収することができる。
【0089】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明して来たが、当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更をなすことができ、またその要素を等価物で置き換えることができる。さらに、個々の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正をなすことができる。従って、本発明は、本発明を実施する上で考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に入る全ての実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、ジアルキルカーボネートと芳香族アルコールからジアリールカーボネートを製造する工程を示す。
【図2】図2は、ジアリールカーボネートの精製と廃棄物流の生成の工程を示す。
【図3】図3は、廃棄物流から化合物を回収及びリサイクルする工程を示す。
【図4】図4は、重合工程から回収された芳香族アルコールを精製する工程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアリールカーボネート製造廃棄物流(304)から生成混合物を回収する方法であって、
廃棄物流をアルキルアルコールと反応させて、生成混合物及び1種以上の廃棄物成分を含む反応混合物を形成し、
生成混合物を反応混合物から分離する
ことを含んでなる、方法。
【請求項2】
反応を液相中又は液相及び気相の組合せ中回分式又は連続モードで行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応を80〜250℃の温度及び大気圧〜5000000Paの圧力で行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
アルキルアルコールと廃棄物流との重量比を0.05〜100に維持する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
廃棄物流がエステル交換触媒、ジアリールカーボネート、芳香族サリチレート及びポリカーボネートオリゴマーを含んでおり、生成混合物がジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルサリチレート及びアルキルアルコールを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
エステル交換触媒の濃度が廃棄物流に対して約0.0001〜約10重量%である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
廃棄物流がさらに第1の廃棄物流(226)及び第2の廃棄物流(224)を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1の廃棄物流(226)がエステル交換触媒、ジアリールカーボネート及び芳香族サリチレートを含んでおり、第2の廃棄物流(224)がジアリールカーボネート、ポリカーボネートオリゴマー、芳香族サリチレート及びエステル交換触媒を含んでいる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
廃棄物及びアルキルアルコールを反応させる前に混合する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
アルキルアルコール及びジアルキルカーボネートの混合物を用いて廃棄物流と反応させ、混合物中のアルキルアルコールの濃度が約1〜約99重量%である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ジアリールカーボネート製造工程における廃棄物流から生成混合物を回収する方法であって、
ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びエステル交換触媒を含む反応体流を第1の反応蒸留塔(110)に導入し、
第1の反応蒸留塔(110)から、ジアルキルカーボネート、アルキルアルコール、アルキルアリールエーテル及び芳香族アルコールを含む第1の塔頂流(112)、並びにアルキルアリールカーボネート、エステル交換触媒、ジアリールカーボネート及び芳香族サリチレートを含む第1の塔底流(114)を回収し、
第1の塔底流(114)を第2の反応蒸留塔(124)に導入してジアリールカーボネートを生成させ、
第2の反応蒸留塔(114)から、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアリールエーテルを含む第1の側流(126)、並びにジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、エステル交換触媒、芳香族サリチレート及びジアルキルカーボネートを含む第2の塔底流(134)を回収し、
第1の側流(126)を第2の精留塔(146)に導入して、アルキルアリールエーテル及び芳香族アルコールからジアルキルカーボネート流(140)を分離し、ジアルキルカーボネート流(140)を第1の精留塔(116)にリサイクルし、
第2の塔底流(134)を第3の反応蒸留塔(138)に導入し、
第3の反応蒸留塔(138)から、未反応の芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第2の塔頂流(144)を回収し、第2の塔頂流(144)を第1の反応蒸留塔(110)にリサイクルし、
第1の塔頂流(112)を第1の精留塔(116)に導入し、
第1の精留塔(116)から、ジアルキルカーボネート/アルキルアルコール共沸混合物からなる第1の共沸塔頂流(130)、並びにジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第3の塔底流(118)を回収し、第3の塔底流を第1の反応蒸留塔にリサイクルし、
ジアリールカーボネートを含む第4の塔底流(148)を第3の反応蒸留塔(138)の底部から回収し、第4の塔底流(148)を第1の蒸発器(200)に導入し、
第1の蒸発器(200)から、ジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、芳香族アルコール、アルキルサリチレート及び芳香族サリチレートを含む第3の塔頂流(202)、並びにジアリールカーボネート、芳香族サリチレート及びエステル交換触媒を含む第5の塔底流(204)を回収し、第5の塔底流(204)を第2の蒸発器(206)に導入し、
第2の蒸発器(206)から、ジアリールカーボネートを含む第4の塔頂流(208)、並びにエステル交換触媒、ジアリールカーボネート及び芳香族サリチレートを含む第6の塔底流(212)を回収し、
第6の塔底流(212)を第1のリサイクル流(102)と第1の塔底廃棄物流(226)とに分割し、第1のリサイクル流(102)を第1の反応蒸留塔(110)にリサイクルし、
第3の塔頂流(202)及び第4の塔頂流(208)を第3の精留塔(214)に導入し、
第3の精留塔(214)から、アルキルアリールカーボネート及び芳香族アルコールを含む第5の塔頂流(216)、並びにジアリールカーボネート、ポリカーボネートオリゴマー、芳香族サリチレート及びエステル交換触媒を含む第7の塔底流(218)を回収し、
第5の塔頂流(216)を第3の反応蒸留(214)塔に導入し、第7の塔底流(218)を第4の精留塔(220)に導入し、
第4の精留塔(220)から、ジアリールカーボネートを含む第6の塔頂流(222)、並びにジアリールカーボネート、ポリカーボネートオリゴマー、芳香族サリチレート及びエステル交換触媒を含む第2の塔底廃棄物流(224)を回収し、
第2の塔底廃棄物流(224)、第1の塔底廃棄物流(226)及びアルキルアルコールを混合装置(302)に導入して廃棄物流を生成させ、
廃棄物流(304)を1以上の反応器に導入し、
廃棄物流(304)をアルキルアルコールと反応させて反応混合物を形成し、
反応混合物を分離装置(310)に導入し、
分離装置(310)から、生成混合物、並びにビスフェノール、エステル交換触媒及び未反応の廃棄物を含む第8の塔底流(314)を回収し、
第1の生成混合物を第3の精留塔(214)にリサイクルし、
第8の塔底流(314)を処理装置(322)に導入する
ことを含んでなり、
生成混合物がジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアルコールを含んでなり、廃棄物流(304)がエステル交換触媒、ジアリールカーボネート、芳香族サリチレート及びポリカーボネートオリゴマーを含んでなり、反応混合物がジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアルコール、ビスフェノール、アルキルサリチレート、及び未反応の廃棄物を含んでなる、方法。
【請求項12】
アルキルアルコールを直接反応器(306)に導入する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第1の共沸塔頂流(130)の一部を、廃棄物流と反応させるのに使用する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
第1の塔底廃棄物流(226)及び第2の廃棄物流(224)を直接反応器(306)に導入する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
反応器(306)内の滞留時間が約120分以下である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
分離装置(310)がフラッシュドラム、蒸留塔及び蒸発器からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項17】
分離装置が、100〜220℃の温度及び100〜500000Paの圧力に維持される蒸留塔である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
分離装置(310)が、約140〜約220℃の温度及び約100〜約500000Paの圧力に維持されるフラッシュドラムである、請求項記載の方法。
【請求項19】
生成混合物を、第1(110)、第2(124)及び第3(138)の反応蒸留塔並びに第1(116)及び第3(214)の精留塔からなる塔の群から選択される塔にリサイクルして戻す、請求項11記載の方法。
【請求項20】
第8の塔底流(314)をさらに精製してビスフェノールを回収する、請求項11記載の方法。
【請求項21】
生成混合物がさらにアルキルサリチレートを含んでおり、生成混合物をさらに精製してアルキルサリチレートを回収する、請求項11記載の方法。
【請求項22】
ジアリールカーボネート製造工程の廃棄物流から生成混合物を回収及びリサイクルする装置であって、
反応器(306)、分離装置(310)、処理装置(322)、並びに反応体及び生成物流を輸送する複数の流路を含んでなり、
反応器が、反応器(306)と分離装置(310)を連結する第1の移送流路(308)、及び入力流路(304)を有しており、
分離装置(310)が第2の移送流路(314)、及び生成混合物流路(312)を有しており、生成混合物流路(312)が分離装置(310)からジアリールカーボネート製造工程へ通じており、第2の移送流路(314)が分離装置(310)から処理装置(322)へ通じている、装置。
【請求項23】
さらに、入力流に連結されたミキサーを含んでいる、請求項22記載の装置。
【請求項24】
ジアリールカーボネート製造工程の廃棄物流から生成混合物を回収及びリサイクルする装置であって、
第1(110)、第2(124)及び第3(138)の反応蒸留塔、並びに第1(116)及び第2の精留塔(146)を有するジアリールカーボネート生産装置、
第1(200)及び第2(206)の蒸発器並びに第3(214)及び第4(320)の精留塔を有するジアリールカーボネート精製装置、並びに
反応器(306)、分離装置(310)、処理装置(322)並びに反応体及び生成物流を輸送する複数の流路を有する回収装置
を含んでなり、
反応器(306)は、第2の蒸発器(206)の底部からの第1の塔底廃棄物流(226)を導入し、かつ第4の精留塔(220)の底部からの第2の塔底廃棄物流(224)を導入するための入力流路(304)、並びに第1の移送流路(308)を有しており、第1の移送流路(308)は反応器(306)から分離装置(310)へ通じており、
分離装置(310)は第2(312)及び第3(314)の移送流路に連結されており、第2の移送流路(312)は分離装置(310)から第3の精留塔(214)に通じており、第3の移送流路(314)は分離装置(310)及び処理装置(322)を連結している、装置。
【請求項25】
1種以上のエステル交換触媒の存在下でジアリールカーボネートとビスフェノールを溶融反応させることを含んでなる、ポリカーボネートを製造する方法であって、ジアリールカーボネートが、請求項1記載の廃棄物流から回収された生成混合物を含んでなる供給原料から製造されたものである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528134(P2006−528134A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517270(P2006−517270)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/018956
【国際公開番号】WO2004/113264
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】