廃液処理装置
【課題】フィルタユニットの交換忘れを防止する廃液処理装置を提供する。
【解決手段】廃液タンク4と、廃液タンク4に収容された加工廃液を送給する送給ポンプ6と、加工廃液を濾過する濾過手段44と、該濾過手段44で生成された清水を排出する清水排出口40とを備えた廃液処理装置であって、該濾過手段44は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニット8a,8bと、加工廃液の送給先を該第1フィルタユニット8aと該第2フィルタユニット8bとの間で選択的に切り替える切替手段46と、第1圧力検出手段48aと、第2圧力検出手段48bとを含み、圧力検出手段48a,48bで検出した圧力が該所定値を超えた際に各フィルタユニットの詰まりと判定する判定部58を有する制御手段56と、警告手段62と、フィルタユニット8a、8bを新品に交換した後、各フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段60を具備した。
【解決手段】廃液タンク4と、廃液タンク4に収容された加工廃液を送給する送給ポンプ6と、加工廃液を濾過する濾過手段44と、該濾過手段44で生成された清水を排出する清水排出口40とを備えた廃液処理装置であって、該濾過手段44は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニット8a,8bと、加工廃液の送給先を該第1フィルタユニット8aと該第2フィルタユニット8bとの間で選択的に切り替える切替手段46と、第1圧力検出手段48aと、第2圧力検出手段48bとを含み、圧力検出手段48a,48bで検出した圧力が該所定値を超えた際に各フィルタユニットの詰まりと判定する判定部58を有する制御手段56と、警告手段62と、フィルタユニット8a、8bを新品に交換した後、各フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段60を具備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工装置に付設され、加工で生じた加工廃液を処理する廃液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスでは、半導体ウエーハの表面にICやLSI等の回路素子を複数形成した後、ウエーハの裏面を研削装置で研削して所定の厚みへと薄化し、薄化したウエーハを切削装置で切削することで個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
これらの研削装置や切削装置では、加工によって生じる加工屑を除去する目的や、加工で生じた加工熱を冷却する目的等のために、加工水を供給しつつ加工が遂行される。半導体デバイス上にごく微量でも不純物が残っていると半導体デバイスの品質に重大な影響を及ぼす。そのため、これらの研削装置や切削装置でも純水が加工水として用いられている。
【0004】
純水は、市水をフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換樹脂や逆浸透膜に通過させることで生成され、例えば特開平9−29245号公報で開示されるような純水製造装置を用いて生成される。
【0005】
一般に純水は高価であるため、加工装置等で使用された使用後の純水は回収されリサイクルされて使用されている。ところが、加工装置で使用された使用後の純水には大量の加工屑が混入しており、これらの加工屑を除去して再度純水を生成しようとすると、純水製造装置のフィルタやイオン交換樹脂、逆浸透膜等がすぐに詰まってしまうという問題がある。
【0006】
そこで本出願人は、これらの純水製造装置における純水の生成を補助するために、加工によって生じた加工廃液をフィルタで濾過して加工廃液から加工屑を除去する加工廃液処理装置を特開2009−95941号公報で提案した。
【0007】
この加工廃液処理装置は2つのフィルタを備え、一方のフィルタが詰まってしまった場合でも他方のフィルタへ加工廃液を送給することで、連続的に濾過作業を行える構成となっている。詰まったフィルタは作業者が新品へと交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−95941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、一方のフィルタが詰まった後に、異なる作業者に交代した場合等では、フィルタを交換したか否かが分からなくなってしまう場合がある。フィルタの交換を忘れたまま、他方のフィルタが詰まると加工廃液処理装置の稼動を止めて2つのフィルタを同時に交換しなくてはならず、効率が非常に悪いという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタの交換忘れを防止する廃液処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、加工装置で発生した加工廃液を収容する廃液タンクと、該廃液タンクに収容された加工廃液を送給する送給ポンプと、該送給ポンプで送給された加工廃液を濾過する濾過手段と、該濾過手段で生成された清水を排出する清水排出口とを備えた廃液処理装置であって、該濾過手段は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニットと、該送給ポンプで送給する加工廃液の送給先を該第1フィルタユニットと該第2フィルタユニットとの間で選択的に切り替える切替手段と、該第1フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段と、該第2フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段とを含み、該第1圧力検出手段で検出した圧力が所定値を超えた際に該第1フィルタユニットの詰まりと判定し、該第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を超えた際に該第2フィルタユニットの詰まりと判定する判定部を有する制御手段と、該判定部で詰まりと判定した際に警告を発する警告手段と、該第1フィルタユニットを新品に交換した後該第1フィルタユニットが新品であることを検出するとともに、該第2フィルタユニットを新品に交換した後該第2フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段と、を具備したことを特徴とする廃液処理装置が提供される。
【0012】
好ましくは、前記新品検出手段は前記制御手段で兼用され、該制御手段は前記切替手段を制御する切替制御部を有し、前記判定部で前記第1フィルタユニットの詰まりと判定されると、該切替制御部は、加工廃液が前記第2フィルタユニットへ向かうように前記切替手段を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液が該第1フィルタユニットへ向かうように該切替手段を切り替え、前記判定部は、前記第1圧力検出手段で検出した圧力が前記所定値を下回る際に該第1フィルタユニットが新品であると判定し、前記第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を下回る際に該第2フィルタユニットが新品であると判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の廃液処理装置は、フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段を備えているため、フィルタユニットの交換忘れが防止され、廃液処理装置の稼動を止めて2つのフィルタユニットを同時に交換するという作業効率の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】廃液処理装置の外観斜視図である。
【図2】廃液処理装置の分解斜視図である。
【図3】廃液処理装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る廃液処理装置2の外観斜視図が示されている。図2は図1の廃液処理装置の分解斜視図である。
【0016】
廃液処理装置2は、加工廃液を収容する廃液タンク4と、廃液タンク4に収容された加工廃液を送給するポンプ6と、ポンプ6によって送給された加工廃液を濾過するための濾過手段44を備えている。
【0017】
廃液タンク4は、端壁に廃液流入口10を備えており、廃液流入口10が図示しない切削装置等の加工装置の加工廃液送出口に接続される。廃液タンク4の上壁に加工廃液を送給するポンプ6が配設されている。このように構成された廃液タンク4は、支持基台12の上面に配設される。
【0018】
濾過手段44は、ポンプ6によって送給された加工廃液を濾過するための第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bを具備している。第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bは、それぞれ筒状に形成された濾紙14と、濾紙14の外周を覆う筒体16と、筒状の濾紙14の下端を閉塞する底板18と、筒状の濾紙14の上端を閉塞する天板20とからなっている。
【0019】
筒状の濾紙14は、放射状に複数折りたたまれて形成され、濾過面積が増大するように構成されている。尚、筒状の濾紙14は、例えば粒径が0.3〜0.4μm以下の粒子が通過することのできるメッシュサイズの大きい比較的安価な濾紙が用いられている。
【0020】
この筒状の濾紙14の外周を覆う筒体16は、側面に複数の開口17が形成されている。筒状の濾紙14の上端を閉塞する天板20には、中央部に廃液導入口22が設けられている。
【0021】
このように構成された第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bは、支持基台12に配設された廃液タンク4の上側に配置されたフィルタラック24上に配設される。
【0022】
フィルタラック24は、矩形状に形成された底壁26と、底壁26の両側面から立設された側壁28,30と、底壁26の両端縁から立設された端壁32,34から構成されており、4本の支柱36によって支持され、支持基台12に配設された廃液タンク4の上側に配置されている。
【0023】
フィルタラック24は、底壁26と、側壁28,30と、端壁32,34とによって第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bによって加工屑が分離された濾過済みの加工液(清水)を収容する加工液貯留槽(清水貯留槽)38を形成している。
【0024】
そして、フィルタラック24の底壁26には、加工液貯留槽38に貯留された濾過済みの加工液(清水)を排出する清水排出口40が設けられている。清水排出口40は図示しない加工装置に装備された加工液供給手段に接続されるか、又は廃棄手段に接続されている。
【0025】
フィルタラック24の底壁26には、第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bを支持するための第1支持台42a及び第2支持台42bが配設されている。第1支持台42a上に第1フィルタユニット8aが載置され、第2支持台42b上に第2フィルタユニット8bが載置される。
【0026】
図3に示すように、濾過手段44は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニット8a,8bと、送給ポンプ6で加工廃液を送給する送給先を第1フィルタユニット8aと第2フィルタユニット8bとの間で選択的に切り替える切替弁(切替手段)46と、第1フィルタユニット8aへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段48aと、第2フィルタユニット8bへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段48bを含んでいる。
【0027】
切替弁46は電磁切替弁から構成され、切替弁46がオフの状態では配管50と、配管50a及び配管50bとの連通を遮断しており、一方の電磁コイル52aを励磁(オン)すると、配管50と配管50aが連通し、他方の電磁コイル52bを励磁(オン)すると、配管50と配管50bが連通する。
【0028】
配管50aには第1のフィルタユニット8aに送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段48aが配設され、配管50bには第2のフィルタユニット8bに送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段48bが配設されている。第1圧力検出手段48aで検出した圧力及び第2圧力検出手段48bで検出した圧力はコントローラ54の判定部58に送られる。
【0029】
以下、上述した廃液処理装置2の作用について説明する。廃液タンク4に収容された加工廃液を処理するに際しては、コントローラ54はまずポンプ6を作動するとともに、コントローラ54の切替制御部56は電磁切替弁46の一方の電磁コイル52aを励磁(オン)する。その結果、ポンプ6によって送給される加工廃液は、配管50、電磁切替弁46、配管50a及び廃液導入口22を介して第1フィルタユニット8aに導入される。
【0030】
第1フィルタユニット8aに導入された加工廃液は筒状の濾紙14によって濾過され、濾紙14の外周を覆う筒体16の側面に形成された複数の開口17を通してフィルタラック24の加工液貯留槽38に流出する。
【0031】
加工液貯留槽38に流出した濾過された加工液(清水)は、清水排出口40から排出されて、図示しない加工装置に装備された加工液供給手段によって再循環されるか、又は廃棄手段を介して廃棄される。
【0032】
以上のようにして第1フィルタユニット8aによる加工廃液の処理を実施していると、第1フィルタユニット8aの筒状の濾紙14の内側には加工屑が堆積する。濾紙14の内側に加工屑が堆積すると、加工液が筒状の濾紙14を通過し難くなり、フィルタとしての機能が失われる。
【0033】
筒状の濾紙14の内側に加工屑が堆積すると、筒状の濾紙14内の圧力、即ち配管50a内の圧力が上昇する。そこで、第1圧力検出手段48aで検出した配管50aの圧力が予め設定した所定値、例えば2気圧になると、コントローラ54の判定部58が第1フィルタユニット8aの詰まりと判定する。
【0034】
そして、コントローラ54の切替制御部56が電磁切替弁46の電磁コイル52bを励磁(オン)し、電磁切替弁46のスプールを左方向に移動して、配管50を配管50bに連通する。その結果、ポンプ6によって送給された加工廃液は、配管50、電磁切替弁46、配管50b及び加工廃液導入口22を介して第2フィルタユニット8bに導入される。
【0035】
判定部58で判定した配管50a内の圧力が所定値を超えた際には、コントローラ54に接続されている警告手段62が警告を発信し、作業者に第1フィルタユニット8aの交換を促す。この警告はランプの点灯又はブザー等により行うことができる。
【0036】
第2フィルタユニット8bで加工廃液を濾過している間に、作業者は第1フィルタユニット8aを新たなフィルタユニットに交換する。この間に加工廃液の処理は第2フィルタユニット8bによって実施されるので、加工装置の作業を中断する必要はない。
【0037】
本発明は、コントローラ54内に設けた切替制御部56と判定部58とから構成される新品検出手段60を設けた点に特徴を有している。即ち、本発明では、判定部58で第1フィルタユニット8aが詰まりと判定されると、切替制御部56は、加工廃液の送給先が第2フィルタユニット8bへと向かうように電磁切替弁46を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液の送給先を第1フィルタユニット8aへ向かうように電磁切替弁46を切り替える。
【0038】
そして、判定部58は、第1圧力検出手段48aで検出した圧力が所定値を下回る場合に、詰まりが発生した第1フィルタユニット8aが新品のフィルタユニットに交換されていると判定する。
【0039】
一方、第1圧力検出手段48aで検出した圧力が所定値を上回る場合には、詰まりが発生した第1フィルタユニット8aが新品のフィルタユニットに交換されていないと判定し、コントローラ54に接続されている警告手段62が警告を発信し、作業者に第1フィルタユニット8aの交換を再度促す。
【0040】
上述した実施形態では、新品検出手段60をプログラム処理によりソフト的に構成しているが、本発明の新品検出手段はこれに限定されるものではない。例えば、自動/手動で点灯するランプ(フィルタユニット交換後、点灯することで新品であることを表示する。又は、作業者がフィルタユニット交換後、押すことで点灯させる)等でもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 廃液処理装置
4 廃液タンク
6 ポンプ
8a 第1フィルタユニット
8b 第2フィルタユニット
14 筒状の濾紙
24 フィルタラック
44 濾過手段
46 電磁切替弁
48a 第1圧力検出手段
48b 第2圧力検出手段
54 コントローラ
56 切替制御部
58 判定部
60 新品検出手段
62 警告手段
【技術分野】
【0001】
本発明は加工装置に付設され、加工で生じた加工廃液を処理する廃液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスでは、半導体ウエーハの表面にICやLSI等の回路素子を複数形成した後、ウエーハの裏面を研削装置で研削して所定の厚みへと薄化し、薄化したウエーハを切削装置で切削することで個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
これらの研削装置や切削装置では、加工によって生じる加工屑を除去する目的や、加工で生じた加工熱を冷却する目的等のために、加工水を供給しつつ加工が遂行される。半導体デバイス上にごく微量でも不純物が残っていると半導体デバイスの品質に重大な影響を及ぼす。そのため、これらの研削装置や切削装置でも純水が加工水として用いられている。
【0004】
純水は、市水をフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換樹脂や逆浸透膜に通過させることで生成され、例えば特開平9−29245号公報で開示されるような純水製造装置を用いて生成される。
【0005】
一般に純水は高価であるため、加工装置等で使用された使用後の純水は回収されリサイクルされて使用されている。ところが、加工装置で使用された使用後の純水には大量の加工屑が混入しており、これらの加工屑を除去して再度純水を生成しようとすると、純水製造装置のフィルタやイオン交換樹脂、逆浸透膜等がすぐに詰まってしまうという問題がある。
【0006】
そこで本出願人は、これらの純水製造装置における純水の生成を補助するために、加工によって生じた加工廃液をフィルタで濾過して加工廃液から加工屑を除去する加工廃液処理装置を特開2009−95941号公報で提案した。
【0007】
この加工廃液処理装置は2つのフィルタを備え、一方のフィルタが詰まってしまった場合でも他方のフィルタへ加工廃液を送給することで、連続的に濾過作業を行える構成となっている。詰まったフィルタは作業者が新品へと交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−95941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、一方のフィルタが詰まった後に、異なる作業者に交代した場合等では、フィルタを交換したか否かが分からなくなってしまう場合がある。フィルタの交換を忘れたまま、他方のフィルタが詰まると加工廃液処理装置の稼動を止めて2つのフィルタを同時に交換しなくてはならず、効率が非常に悪いという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタの交換忘れを防止する廃液処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、加工装置で発生した加工廃液を収容する廃液タンクと、該廃液タンクに収容された加工廃液を送給する送給ポンプと、該送給ポンプで送給された加工廃液を濾過する濾過手段と、該濾過手段で生成された清水を排出する清水排出口とを備えた廃液処理装置であって、該濾過手段は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニットと、該送給ポンプで送給する加工廃液の送給先を該第1フィルタユニットと該第2フィルタユニットとの間で選択的に切り替える切替手段と、該第1フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段と、該第2フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段とを含み、該第1圧力検出手段で検出した圧力が所定値を超えた際に該第1フィルタユニットの詰まりと判定し、該第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を超えた際に該第2フィルタユニットの詰まりと判定する判定部を有する制御手段と、該判定部で詰まりと判定した際に警告を発する警告手段と、該第1フィルタユニットを新品に交換した後該第1フィルタユニットが新品であることを検出するとともに、該第2フィルタユニットを新品に交換した後該第2フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段と、を具備したことを特徴とする廃液処理装置が提供される。
【0012】
好ましくは、前記新品検出手段は前記制御手段で兼用され、該制御手段は前記切替手段を制御する切替制御部を有し、前記判定部で前記第1フィルタユニットの詰まりと判定されると、該切替制御部は、加工廃液が前記第2フィルタユニットへ向かうように前記切替手段を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液が該第1フィルタユニットへ向かうように該切替手段を切り替え、前記判定部は、前記第1圧力検出手段で検出した圧力が前記所定値を下回る際に該第1フィルタユニットが新品であると判定し、前記第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を下回る際に該第2フィルタユニットが新品であると判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の廃液処理装置は、フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段を備えているため、フィルタユニットの交換忘れが防止され、廃液処理装置の稼動を止めて2つのフィルタユニットを同時に交換するという作業効率の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】廃液処理装置の外観斜視図である。
【図2】廃液処理装置の分解斜視図である。
【図3】廃液処理装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る廃液処理装置2の外観斜視図が示されている。図2は図1の廃液処理装置の分解斜視図である。
【0016】
廃液処理装置2は、加工廃液を収容する廃液タンク4と、廃液タンク4に収容された加工廃液を送給するポンプ6と、ポンプ6によって送給された加工廃液を濾過するための濾過手段44を備えている。
【0017】
廃液タンク4は、端壁に廃液流入口10を備えており、廃液流入口10が図示しない切削装置等の加工装置の加工廃液送出口に接続される。廃液タンク4の上壁に加工廃液を送給するポンプ6が配設されている。このように構成された廃液タンク4は、支持基台12の上面に配設される。
【0018】
濾過手段44は、ポンプ6によって送給された加工廃液を濾過するための第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bを具備している。第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bは、それぞれ筒状に形成された濾紙14と、濾紙14の外周を覆う筒体16と、筒状の濾紙14の下端を閉塞する底板18と、筒状の濾紙14の上端を閉塞する天板20とからなっている。
【0019】
筒状の濾紙14は、放射状に複数折りたたまれて形成され、濾過面積が増大するように構成されている。尚、筒状の濾紙14は、例えば粒径が0.3〜0.4μm以下の粒子が通過することのできるメッシュサイズの大きい比較的安価な濾紙が用いられている。
【0020】
この筒状の濾紙14の外周を覆う筒体16は、側面に複数の開口17が形成されている。筒状の濾紙14の上端を閉塞する天板20には、中央部に廃液導入口22が設けられている。
【0021】
このように構成された第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bは、支持基台12に配設された廃液タンク4の上側に配置されたフィルタラック24上に配設される。
【0022】
フィルタラック24は、矩形状に形成された底壁26と、底壁26の両側面から立設された側壁28,30と、底壁26の両端縁から立設された端壁32,34から構成されており、4本の支柱36によって支持され、支持基台12に配設された廃液タンク4の上側に配置されている。
【0023】
フィルタラック24は、底壁26と、側壁28,30と、端壁32,34とによって第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bによって加工屑が分離された濾過済みの加工液(清水)を収容する加工液貯留槽(清水貯留槽)38を形成している。
【0024】
そして、フィルタラック24の底壁26には、加工液貯留槽38に貯留された濾過済みの加工液(清水)を排出する清水排出口40が設けられている。清水排出口40は図示しない加工装置に装備された加工液供給手段に接続されるか、又は廃棄手段に接続されている。
【0025】
フィルタラック24の底壁26には、第1フィルタユニット8a及び第2フィルタユニット8bを支持するための第1支持台42a及び第2支持台42bが配設されている。第1支持台42a上に第1フィルタユニット8aが載置され、第2支持台42b上に第2フィルタユニット8bが載置される。
【0026】
図3に示すように、濾過手段44は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニット8a,8bと、送給ポンプ6で加工廃液を送給する送給先を第1フィルタユニット8aと第2フィルタユニット8bとの間で選択的に切り替える切替弁(切替手段)46と、第1フィルタユニット8aへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段48aと、第2フィルタユニット8bへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段48bを含んでいる。
【0027】
切替弁46は電磁切替弁から構成され、切替弁46がオフの状態では配管50と、配管50a及び配管50bとの連通を遮断しており、一方の電磁コイル52aを励磁(オン)すると、配管50と配管50aが連通し、他方の電磁コイル52bを励磁(オン)すると、配管50と配管50bが連通する。
【0028】
配管50aには第1のフィルタユニット8aに送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段48aが配設され、配管50bには第2のフィルタユニット8bに送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段48bが配設されている。第1圧力検出手段48aで検出した圧力及び第2圧力検出手段48bで検出した圧力はコントローラ54の判定部58に送られる。
【0029】
以下、上述した廃液処理装置2の作用について説明する。廃液タンク4に収容された加工廃液を処理するに際しては、コントローラ54はまずポンプ6を作動するとともに、コントローラ54の切替制御部56は電磁切替弁46の一方の電磁コイル52aを励磁(オン)する。その結果、ポンプ6によって送給される加工廃液は、配管50、電磁切替弁46、配管50a及び廃液導入口22を介して第1フィルタユニット8aに導入される。
【0030】
第1フィルタユニット8aに導入された加工廃液は筒状の濾紙14によって濾過され、濾紙14の外周を覆う筒体16の側面に形成された複数の開口17を通してフィルタラック24の加工液貯留槽38に流出する。
【0031】
加工液貯留槽38に流出した濾過された加工液(清水)は、清水排出口40から排出されて、図示しない加工装置に装備された加工液供給手段によって再循環されるか、又は廃棄手段を介して廃棄される。
【0032】
以上のようにして第1フィルタユニット8aによる加工廃液の処理を実施していると、第1フィルタユニット8aの筒状の濾紙14の内側には加工屑が堆積する。濾紙14の内側に加工屑が堆積すると、加工液が筒状の濾紙14を通過し難くなり、フィルタとしての機能が失われる。
【0033】
筒状の濾紙14の内側に加工屑が堆積すると、筒状の濾紙14内の圧力、即ち配管50a内の圧力が上昇する。そこで、第1圧力検出手段48aで検出した配管50aの圧力が予め設定した所定値、例えば2気圧になると、コントローラ54の判定部58が第1フィルタユニット8aの詰まりと判定する。
【0034】
そして、コントローラ54の切替制御部56が電磁切替弁46の電磁コイル52bを励磁(オン)し、電磁切替弁46のスプールを左方向に移動して、配管50を配管50bに連通する。その結果、ポンプ6によって送給された加工廃液は、配管50、電磁切替弁46、配管50b及び加工廃液導入口22を介して第2フィルタユニット8bに導入される。
【0035】
判定部58で判定した配管50a内の圧力が所定値を超えた際には、コントローラ54に接続されている警告手段62が警告を発信し、作業者に第1フィルタユニット8aの交換を促す。この警告はランプの点灯又はブザー等により行うことができる。
【0036】
第2フィルタユニット8bで加工廃液を濾過している間に、作業者は第1フィルタユニット8aを新たなフィルタユニットに交換する。この間に加工廃液の処理は第2フィルタユニット8bによって実施されるので、加工装置の作業を中断する必要はない。
【0037】
本発明は、コントローラ54内に設けた切替制御部56と判定部58とから構成される新品検出手段60を設けた点に特徴を有している。即ち、本発明では、判定部58で第1フィルタユニット8aが詰まりと判定されると、切替制御部56は、加工廃液の送給先が第2フィルタユニット8bへと向かうように電磁切替弁46を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液の送給先を第1フィルタユニット8aへ向かうように電磁切替弁46を切り替える。
【0038】
そして、判定部58は、第1圧力検出手段48aで検出した圧力が所定値を下回る場合に、詰まりが発生した第1フィルタユニット8aが新品のフィルタユニットに交換されていると判定する。
【0039】
一方、第1圧力検出手段48aで検出した圧力が所定値を上回る場合には、詰まりが発生した第1フィルタユニット8aが新品のフィルタユニットに交換されていないと判定し、コントローラ54に接続されている警告手段62が警告を発信し、作業者に第1フィルタユニット8aの交換を再度促す。
【0040】
上述した実施形態では、新品検出手段60をプログラム処理によりソフト的に構成しているが、本発明の新品検出手段はこれに限定されるものではない。例えば、自動/手動で点灯するランプ(フィルタユニット交換後、点灯することで新品であることを表示する。又は、作業者がフィルタユニット交換後、押すことで点灯させる)等でもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 廃液処理装置
4 廃液タンク
6 ポンプ
8a 第1フィルタユニット
8b 第2フィルタユニット
14 筒状の濾紙
24 フィルタラック
44 濾過手段
46 電磁切替弁
48a 第1圧力検出手段
48b 第2圧力検出手段
54 コントローラ
56 切替制御部
58 判定部
60 新品検出手段
62 警告手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置で発生した加工廃液を収容する廃液タンクと、該廃液タンクに収容された加工廃液を送給する送給ポンプと、該送給ポンプで送給された加工廃液を濾過する濾過手段と、該濾過手段で生成された清水を排出する清水排出口とを備えた廃液処理装置であって、
該濾過手段は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニットと、該送給ポンプで送給する加工廃液の送給先を該第1フィルタユニットと該第2フィルタユニットとの間で選択的に切り替える切替手段と、該第1フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段と、該第2フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段とを含み、
該第1圧力検出手段で検出した圧力が所定値を超えた際に該第1フィルタユニットの詰まりと判定し、該第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を超えた際に該第2フィルタユニットの詰まりと判定する判定部を有する制御手段と、
該判定部で詰まりと判定した際に警告を発する警告手段と、
該第1フィルタユニットを新品に交換した後該第1フィルタユニットが新品であることを検出するとともに、該第2フィルタユニットを新品に交換した後該第2フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段と、
を具備したことを特徴とする廃液処理装置。
【請求項2】
前記新品検出手段は前記制御手段で兼用され、
該制御手段は前記切替手段を制御する切替制御部を有し、
前記判定部で前記第1フィルタユニットの詰まりと判定されると、該切替制御部は、加工廃液が前記第2フィルタユニットへ向かうように前記切替手段を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液が該第1フィルタユニットへ向かうように該切替手段を切り替え、
前記判定部は、前記第1圧力検出手段で検出した圧力が前記所定値を下回る際に該第1フィルタユニットが新品であると判定し、前記第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を下回る際に該第2フィルタユニットが新品であると判定する請求項1記載の廃液処理装置。
【請求項1】
加工装置で発生した加工廃液を収容する廃液タンクと、該廃液タンクに収容された加工廃液を送給する送給ポンプと、該送給ポンプで送給された加工廃液を濾過する濾過手段と、該濾過手段で生成された清水を排出する清水排出口とを備えた廃液処理装置であって、
該濾過手段は、それぞれ着脱可能に配設された第1及び第2フィルタユニットと、該送給ポンプで送給する加工廃液の送給先を該第1フィルタユニットと該第2フィルタユニットとの間で選択的に切り替える切替手段と、該第1フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第1圧力検出手段と、該第2フィルタユニットへ送給される加工廃液の圧力を検出する第2圧力検出手段とを含み、
該第1圧力検出手段で検出した圧力が所定値を超えた際に該第1フィルタユニットの詰まりと判定し、該第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を超えた際に該第2フィルタユニットの詰まりと判定する判定部を有する制御手段と、
該判定部で詰まりと判定した際に警告を発する警告手段と、
該第1フィルタユニットを新品に交換した後該第1フィルタユニットが新品であることを検出するとともに、該第2フィルタユニットを新品に交換した後該第2フィルタユニットが新品であることを検出する新品検出手段と、
を具備したことを特徴とする廃液処理装置。
【請求項2】
前記新品検出手段は前記制御手段で兼用され、
該制御手段は前記切替手段を制御する切替制御部を有し、
前記判定部で前記第1フィルタユニットの詰まりと判定されると、該切替制御部は、加工廃液が前記第2フィルタユニットへ向かうように前記切替手段を切り替えるとともに、所定のタイミングで加工廃液が該第1フィルタユニットへ向かうように該切替手段を切り替え、
前記判定部は、前記第1圧力検出手段で検出した圧力が前記所定値を下回る際に該第1フィルタユニットが新品であると判定し、前記第2圧力検出手段で検出した圧力が該所定値を下回る際に該第2フィルタユニットが新品であると判定する請求項1記載の廃液処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2011−255471(P2011−255471A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133012(P2010−133012)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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