説明

廊下灯の取付構造

【課題】 施工しやすく、また容易に外すことのできない廊下灯の取付構造を提供する。
【解決手段】 壁掛金具3は、廊下灯ハウジング1を引っ掛ける爪片12と、廊下灯ハウジング1をビス止めするためのビス螺入孔14とを有し、廊下灯ハウジング1は、前面が部屋番号表示領域E1と、患者表示領域E2と、復旧ボタンが配設されるボタン領域E3とから構成され、部屋番号表示領域E1の部屋番号表示カバー5を取り外した部位に壁掛金具3のビス螺入孔14に対応したビス挿通孔10aを設けた。また、ビス11には、テーパ状コイルバネ18を巻装した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコール装置における廊下灯の取付構造に関し、特に壁掛金具を用いて取り付ける廊下灯の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ナースコール装置の廊下灯は、通常、壁面に埋設されたスイッチボックスを利用して取り付けられる。この場合、壁掛金具がスイッチボックスの前面を覆うように配置され、スイッチボックスにネジ止め固定される。こうして壁面に固定した壁掛金具に廊下灯ハウジングの背部を構成するケース下をビス止めした後、ケース上を組み付けて廊下灯を取り付けたり、スイッチボックスに直接ケース下をビス止めして取り付けていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−69242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の取付構造は、廊下灯ハウジングを壁面にビス止めして固定している。これは、患者等がいたずらで機器を外したり、或いは持っていくのを防止するためであり、廊下灯ハウジングのうちケース下を壁掛金具或いは直接壁面に固定するのは、廊下灯ハウジングの前面からビス止めしたのでは見栄えが悪くなるためで、そのために施工が面倒であった。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、施工がしやすく、また容易に外すことのできない廊下灯の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、ナースコール装置の廊下灯を、壁面に取り付けられた壁掛金具に装着する廊下灯の取付構造であって、壁掛金具は、廊下灯ハウジングを引っ掛ける引っ掛け爪と、廊下灯ハウジングをビス止めするためのビス螺入孔とを有し、廊下灯ハウジングは、前面が部屋番号が表示される部屋番号表示領域と、患者情報が表示される患者表示領域と、復旧ボタンが配設されるボタン領域とから構成され、部屋番号表示領域の表示カバーを取り外した部位及びボタン領域の復旧ボタンを取り外した部位のうち少なくとも一方にビス螺入孔に対応したビス挿通孔を備えたことを特徴とする。
この構成により、廊下灯ハウジングは壁掛金具に引っ掛けて保持した後、廊下灯前面から壁掛金具にビス止めされるので、施工し易いし、いたずら等による機器の取り外しを防ぐことができる。また、部屋番号表示カバーや復旧ボタンにより、ビスを隠すことができ、前面からビス止めしても見栄えが悪くなることがない。
更に、患者表示領域以外の部分で壁掛金具にビス止めするので、患者名等の表示の邪魔になることがないし、患者表示領域が液晶の場合であっても容易に対応できる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ビス挿通孔からビス螺入孔に螺入するビスは、一方に拡径したテーパ状コイルバネを巻装して成ることを特徴とする。
この構成により、ビスを緩めればテーパ状コイルバネの弾性力によりビスは浮き上がるので、外れたのを認識し易く、廊下灯の取り外しやメンテナンスがし易い。また、テーパ状コイルバネは一方に拡径した形状なため、バネ圧縮時の厚みを薄くでき、ビス止め状態でビス頭部の突出量を小さくできる。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、ビスは、その軸部の径に比べてネジ部の径が大きく、且つ廊下灯ハウジングのビス挿通孔は、ネジ部の径に略等しい径で形成され、壁掛金具への螺着を解除した状態でもビスが抜け難いことを特徴とする。
この構成により、ビスを緩めても抜け落ち難くでき、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、廊下灯ハウジングは、壁掛金具に引っ掛けて保持した後、廊下灯前面から壁掛金具にビス止めされるので、施工し易いし、いたずら等による機器の取り外しを防ぐことができる。また、部屋番号表示カバーや復旧ボタンにより、ビスを隠すことができ、前面からビス止めしても見栄えが悪くなることがない。
更に、患者表示領域以外の部分で壁掛金具にビス止めするので、患者名等の表示の邪魔になることがないし、患者表示領域が液晶の場合であっても容易に対応できる。
また、テーパ状コイルバネをビスに巻装することで、廊下灯の取り外しやメンテナンスがし易いし、バネ圧縮時の厚みを薄くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る廊下灯の取付構造の実施形態の一例を示す廊下灯の分解斜視図であり、1aはケース上、1bはケース下、2はハウジング内に配置され、電子部品が搭載される基板、3は壁掛金具を示している。ケース上1aとケース下1bとで廊下灯ハウジング1を構成している。
【0009】
廊下灯ハウジング1の前面であるケース上1aの前面は、部屋番号が表示されている部屋番号表示領域E1、病室内の個々の患者氏名等を表示する患者表示領域E2、患者からの呼び出し動作等をリセットするための復旧ボタンを設けたボタン領域E3から構成され、上部から、部屋番号表示領域E1、患者表示領域E2、ボタン領域E3と配置されている。部屋番号表示領域E1は、取り外し可能な部屋番号表示カバー5を有し、このカバー5に部屋番号が付されている。そして、カバー5を外した内面に各種設定をするための設定部6が設けられ、この内面の下部中央に壁掛金具3にビス止めするためのビス挿通孔10aが形成され、11は挿通するビスを示している。
また、ボタン領域E3は、平面状の復旧ボタン7が取り外し可能に設けられ、押圧操作で動作するスイッチ(図示せず)が内面に設けられている。
【0010】
基板2は、部屋番号表示領域E1、患者表示領域E2、ボタン領域E3の全体に亘る大きさを有し、中央上部にビス挿通孔10bが形成されている。この基板2は、ビス8によりケース上1aにビス止め固定される。また、ケース下1bの上部中央にもビス挿通孔10cが形成されている。
【0011】
一方、壁掛金具3は、廊下灯ハウジング1を引っ掛けて保持する爪片12を左右端部に2箇所づつ有し、中央に大きな配線挿通口13が形成されている。そして、上部中央に廊下灯ハウジング1をビス止め固定するためのビス螺入孔14が形成されている。
【0012】
次に、廊下灯を壁面へ取り付ける手順を説明する。まず、壁掛金具3を壁面にビス止めして固定する。この際、図示しない壁面内のスイッチボックスへ固定する場合は、配線挿通口13の上下部位に形成された長孔16がビス止めに使用され、壁面に直接取り付ける場合は4隅に穿設した丸孔17が使用される。
【0013】
そして、部屋番号表示カバー5を取り外した状態のケース上1aに基板2を組み付けると共に、ビス8によりケース下1bを嵌め合わせて廊下灯ハウジング1を製品状態にする。このとき、ケース上1aのビス挿通孔10aと、基板2のビス挿通孔10bと、ケース下1bのビス挿通孔10cは合致して重ね合わさる。
こうして一体化した廊下灯ハウジング1を、壁掛金具2の爪片12に引っ掛けて保持させ、廊下灯ハウジング1前方からビス挿通孔10aにテーパ状コイルバネ18を装着したビス11を挿入する。尚、ケース下1bの背面には爪片12に対応した位置に嵌合溝が形成されている。
【0014】
テーパ状コイルバネ18は、一方に拡径して三角錐形状を成すコイルバネであって、圧縮時にコイル自体で互いに重ならない角度で拡径され、圧縮状態ではほぼコイルの線径分の厚みとなるものが使用されている。
3つのビス挿通孔10a,10b,10cに一気に挿入されたビス11は、壁掛金具3のビス螺入孔14に達し、螺入操作により廊下灯ハウジング1は壁掛金具3にビス止めされる。
【0015】
こうして、ビス止めした状態を図2に示す。図2は、ビス止め部の断面を示している。この図2に示すように、ビス11は先端のネジ部11aが軸部11bより大きな径で形成され、ケース上1aに形成されたビス挿通孔10aは、最も細い部位がネジ部11aにほぼ等しい径で形成されている。また、前方から後部にかけて(図面上から下に向けて)窄めて形成され、ビス11が、廊下灯ハウジング1から外れ難い構成となっている。
また、ビス11はフランジ部11cを有し、フランジ部11cによりテーパ状コイルバネ18を無理なく押さえ込み、ビス止め時のテーパ状コイルバネ18の厚みをその1本の線径分に抑えている。そして、ビス11による固定が終了したら、部屋番号表示カバー5を爪などの所定の手段により固定してビス11を覆い隠す。
【0016】
廊下灯ハウジング1を壁掛金具3から取り外す場合には、部屋番号表示カバー5を外し、ビス11を緩める。このとき、テーパ状コイルバネ18の弾性力により螺着が解除されるとビス11は浮き上がるので、容易に壁掛金具3から分離したことが判る。更に、いったん外れたビス11が浮き上がることで、廊下灯ハウジング1を取り外す作業中に壁掛金具3にビス11が係合して外れ難くなるのを防ぐことができる。
【0017】
このように、廊下灯ハウジングは壁掛金具に引っ掛けて保持した後、廊下灯前面から壁掛金具にビス止めされるので、施工し易いし、いたずら等による機器の取り外しを防ぐことができる。また、部屋番号表示カバーによりビスを隠すことができ、前面からビス止めしても見栄えが悪くなることがない。
更に、患者表示領域以外の部分で壁掛金具にビス止めするので、患者名等の表示の邪魔になることがないし、患者表示領域が液晶の場合であっても容易に対応できる。
また、ビスを緩めればテーパ状コイルバネの弾性力によりビスは浮き上がるので、外れたのを認識し易く、廊下灯の取り外しやメンテナンスがし易いし、テーパ状コイルバネを用いることで、ビス止め状態でビスの突出量を小さくできる。
また、ケース上のビス挿通孔の径はビスに対して余裕が無いので、螺着が解除されたビスがテーパ状コイルバネの付勢により浮き上がっても、抜け落ちるような事がなく、作業し易い。
【0018】
尚、上記実施形態では、ビス止め部を部屋番号表示領域E1に設けたが、ボタン領域E3に設けてもよく、復旧ボタンによりビスを隠すことができる。また、部屋番号表示領域E1とボタン領域E3の双方に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る廊下灯の取付構造の実施形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】ビス止め構造の断面説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・廊下灯ハウジング、1a・・ケース上、1b・・ケース下、3・・壁掛金具、5・・部屋番号表示カバー、7・・復旧ボタン、10a,10b,10c・・ビス挿通孔、11・・ビス、11a・・ネジ部、11b・・軸部、12・・爪片、14・・ビス螺入孔、18・・テーパ状コイルバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール装置の廊下灯を、壁面に取り付けられた壁掛金具に装着する廊下灯の取付構造であって、
前記壁掛金具は、廊下灯ハウジングを引っ掛ける引っ掛け爪と、前記廊下灯ハウジングをビス止めするためのビス螺入孔とを有し、前記廊下灯ハウジングは、前面が部屋番号が表示される部屋番号表示領域と、患者情報が表示される患者表示領域と、復旧ボタンが配設されるボタン領域とから構成され、前記部屋番号表示領域の表示カバーを取り外した部位及び前記ボタン領域の前記復旧ボタンを取り外した部位のうち少なくとも一方に前記ビス螺入孔に対応したビス挿通孔を備えたことを特徴とする廊下灯の取付構造。
【請求項2】
前記ビス挿通孔から前記ビス螺入孔に螺入するビスは、一方に拡径したテーパ状コイルバネを巻装して成ることを特徴とする請求項1記載の廊下灯の取付構造。
【請求項3】
前記ビスは、その軸部の径に比べてネジ部の径が大きく、且つ前記廊下灯ハウジングのビス挿通孔の挿入端部は、前記ネジ部の径に略等しい径で形成され、前記壁掛金具への螺着を解除した状態でもビスが抜け難いことを特徴とする請求項2に記載の廊下灯の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−263099(P2006−263099A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84572(P2005−84572)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】