説明

建具およびその製造方法

【課題】製造加工が容易であり、前面、背面および両側面が化粧されるとともに、それらの面が非平面状になりにくい、建具およびその製造方法を提供する。
【解決手段】支持体14の前面に固定された前面板20と、背面に固定された背面板120とを備え、前面板20及び背面板120は、基板22と、基板22の表面に貼着された化粧シート24とにより構成され、前面板20は、前面を形成する主面部26と、前記主面部26の両側の隅部を介して連設された側面部30とを有し、且つ、背面板120は、背面を形成する主面部126と、前記主面部126の両側の隅部120aを介して連設された側面部とを有し、前面板20の側面部30と背面板120の側面部130とは、先端が断面鋭角状に形成され、前面板20の側面部30と背面板120の側面部130とは表面の化粧シート24が表面側において接するように突き合わせられ且つ裏面側において支持体たる框14との間に空間部40が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建具およびその製造方法に関し、特に框と框の前面を覆う前面板と框の背面を覆う背面板とを有し、たとえば扉などに用いられる、建具およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−283487公報には、この発明の背景となる従来の建具の一例として、表面に化粧材を貼り付け、裏面に折曲用のVカット加工又はくし歯加工を施してなる同一形状の二枚の化粧パネルを、建具の内部芯組を構成する基材に貼り付け、前記基材の角部で折曲させるとともに、前記二枚の化粧パネルの両端部を折曲させ、かつ前記両端部の折曲させた部位を前記基材の両側面において接合させてなる建具が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている建具は、ドア等の建具の表面化粧において、意匠性等に優れ、表裏面及び両側面全体を隙間なく容易に化粧することのできる建具を提供することを目的として考え出されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283487公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されている建具では、二枚の化粧パネルにおいて両端部の折曲させた部位は、それらの対向した側面同士を突き合わした状態で接合されるので、化粧パネルの折曲させた部位などの寸法をある程度正確に形成しなければならなく、化粧パネルの折曲させた部位などの寸法が長すぎると、化粧パネルにおいて両端部の折曲させた部位を接合するためにそれら対向した側面同士を突き合わした場合に、化粧パネルが建具の内部芯組を構成する基材から部分的に浮き上がったり全体的に波打ったりして平面状にならない場合がある。そのため、このような建具は、製造加工が非常に困難である。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、製造加工が容易であり、前面、背面および両側面が化粧されるとともに、それらの面が非平面状になりにくい、建具およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる建具は、支持体の前面に固定された前面板と、支持体の背面に固定された背面板とを備え、前面板及び背面板は、基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成され、前面板は、前面を形成する主面部と、前記主面部の両側の隅部を介して連設された側面部とを有し、且つ、背面板は、背面を形成する主面部と、前記主面部の両側の隅部を介して連設された側面部とを有し、前面板の側面部と背面板の側面部とは、先端が断面鋭角状に形成され、前面板の側面部と背面板の側面部とは表面の化粧シートが表面側において接するように突き合わせられ且つ裏面側において支持体との間に空間部が形成された、建具である。
この発明の請求項2にかかる建具は、前記支持体の側面は、天から地に亘って平面状の同一形状であり、前記前面板の側面部及び背面板の側面部は、それぞれの裏面が、前記支持体の側面に密着するように天から地に亘って平面状の同一形状であり、支持体の側面を被覆して建具の側面を構成する、請求項1に記載の建具である。
この発明の請求項3にかかる建具は、前記前面板の側面部と背面板の側面部とは、天から地に亘ってどの部分を切っても同じ断面形状である、請求項1又は請求項2に記載の建具である。
この発明の請求項4にかかる建具は、前記空間部は、天から地に亘ってどの部分を切っても底面と同じ面を形成する三角柱状である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の建具である。
この発明の請求項5にかかる建具は、前記前面板の側面部と背面板の側面部とは、表面と裏面とが平行であり、対向端面が斜交して、表面と対向端面が鋭角をなす、断面鋭角状の先端を形成する、請求項1ないし4のいずれかに記載の建具である。
【0008】
この発明にかかる建具の製造方法は、支持体の前面に固定された前面板と、支持体の背面に固定された背面板とを備えた、建具を製造する方法であって、基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成される前記前面板を形成する、前面板形成工程、基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成される前記背面板を形成する、背面板形成工程、前記前面板および前記背面板を支持体に固定する、前面板及び背面板固定工程を含み、前記前面板を形成する工程および前記背面板を形成する工程は、それぞれの基材を準備する基材準備工程、前記基材の一方主面に化粧シートを貼着する化粧シート貼着工程、前記基材の他方主面に化粧シートの裏面に達する溝を形成して、前面及び背面を形成する主面部と、前記主面部に隅部を介して連設された側面部とを形成する溝形成工程、前記化粧シートを前記溝で折り曲げて溝を閉じる折り曲げ工程、前面板の側面部の先端と背面板の側面部の先端とを、断面鋭角状に形成する、側面部の先端形成工程、前面板の側面部と背面板の側面部とは表面の化粧シートを接するように突き合わせ且つ裏面側において支持体との間に空間部を形成する、空間形成工程を含む、建具の製造方法である。
この発明の請求項7にかかる建具の製造方法は、側面部の先端形成工程は、前記基材および前記化粧シートの不要な部分を切断して、前面板の側面部の先端と背面板の側面部の先端とを、断面鋭角状に形成する、請求項6に記載の建具の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、製造加工が容易であり、前面、背面および両側面が化粧されるとともに、それらの面が非平面状になりにくい、建具およびその製造方法が得られる。
【0010】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明にかかる建具を用いた扉の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の線II−IIにおける断面図解図である。
【図3】(A)は、図1の線IIIA−IIIAにおける断面図解図であり、(B)は、その断面の要部拡大図である。
【図4】(A)は、図1に示す扉の前面板(背面板)を製造するために用いられる表面材を示す断面図解図であり、(B)は、その表面材の要部拡大図である。
【図5】図4に示す表面材の要部斜視図である。
【図6】先端部分の成形方法を示す断面図解図である。
【図7】図4および図5に示す表面材を隅部用折曲溝および端部用折曲溝で完全に折り曲げた図5に示す状態から不要な部分を取り除いて形成した前面板(背面板)の要部斜視図である。
【図8】図7に示す表面板(背面板)を框に接着した状態を示す要部斜視図である。
【図9】図4および図5に示す表面材を隅部用折曲溝および端部用折曲溝で少し折り曲げた状態を示す要部斜視図である。
【図10】図4および図5に示す表面材を隅部用折曲溝および端部用折曲溝で完全に折り曲げた状態を示す要部斜視図である。
【図11】図2図示建具の変形例たる建具の断面図解図であり、(A)は要部拡大断面図解図であり、(B)は製造過程を示す断面図解図である。
【図12】図2図示建具の変形例たる建具の正断面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す扉10は、たとえば高さが略2メートルで横幅が略1メートルである略4角形板状の扉部材12を含む。扉部材12は、その内部に支持体を構成するたとえば4角枠状の框14を有する。
【0013】
框14は、図2に示すように、2つの垂直部材16a、16bと、4つの水平部材18a、18b、18c、18dとからなる。2つの垂直部材16a、16bは、それぞれ長さが略2メートルである同じ大きさの4角柱状の木材からなる。2つの垂直部材16a、16bは、それらの外側の側面間の間隔が1メートルより若干狭くなるように、左右に間隔を隔てて平行に配置される。また、4つの水平部材18a〜18dは、それぞれ同じ大きさの4角柱状の木材からなる。4つの水平部材18a〜18dは、2つの垂直部材16a、16b間の最上部から最下部において、4つの水平部材18a、18b、18c、18dの順に等しい間隔を隔てて平行に配置される。さらに、4つの水平部材18a〜18dは、それぞれの長手方向における両端面が、2つの垂直部材16a、16bの対向する内側の側面に接着剤でそれぞれ接着される。そのため、框14は、2つの垂直部材16a、16bおよび最も上下にある2つの水平部材18a、18dによって、天から地に至る高さが略2メートルで、横幅が1メートルより若干狭い4角枠状に形成される。また、框14は、2つの垂直部材16a、16bの中間部分に接着されている中間の2つの水平部材18b、18cによって補強される。
【0014】
また、框14の2つの垂直部材16a、16bおよび4つの水平部材18a〜18dは、それぞれ同じ厚みに形成され、それらの部材の前面が1つの平面内すなわち框14の前面14a内で揃いかつそれらの部材の背面が他の1つの平面内すなわち框14の背面14b内で揃うように配置されている。そのため、框14の前面14aおよび背面14bは、それぞれ1つの平面内に平面状に形成される。また、2つの垂直部材16a及び垂直部材16bの外側の側面が、それぞれ平面状の略同一の形状であり、框14の両側の側面14c及び側面14dとなる。
【0015】
框14は、図3に示すように、その前面14aが断面略コ形の前面板20で覆われ、その背面14bが断面コ字形の背面板120で覆われ、さらに、その両側の側面14cおよび14dが前面板20および背面板120で覆われる。
【0016】
前面板20および背面板120は、天から地に亘ってどの部分で切り取っても略同一の断面形状であり、且つ表面及び裏面がそれぞれ略同一の形状であって、前面板20が框14の前面14a側に天から地に亘って接着剤で接着されるのに対して背面板120が框14の背面14b側に天から地に亘って接着剤で接着されるので、框14に接着される位置においては異なるが、互いに同じ構造なので、特に前面板20について詳しく説明する。
【0017】
前面板20は、框14の前面14aの天から地に亘る全体と、框14の天から地に亘る両側の側面14cおよび14dにおける前面側半分の部分とを覆うためのものであり、それらの裏面が框14の平面状の表面に密着するように、平面状に形成されている。
そのため、前面板20は、框14において前面板20で覆われる部分にほぼ対応する断面コ字形にかつ略2メートルの高さに形成される基板22を含む。基板22の外側の表面には、たとえば可撓性を有する合成樹脂からなる1枚の化粧シート24が接着剤で接着される。前面板20の基板22は、幅方向における中央に配置される1つの主面部26と、その主面部26の両側に配置される2つの面取り部28、28と、それらの面取り部28、28の両側に配置される2つの側面部30、30と、それらの側面部30、30の両側に配置される2つの端部32、32とからなる。
基板22は、幅1210mmのベニヤ板、繊維板などからなり、化粧シート24は、オレフィン樹脂、樹脂含浸紙などの可撓性を有するシート状物からなる。
【0018】
前面板20の基板22および化粧シート24については、左右に対称に形成されるので、特に中央の主面部26から一方の端部32にわたって説明する。
【0019】
基板22の主面部26は、断面長方形状に形成され、框14の前面14aの輪郭に対応する長方形状の2つの主面部26たる表面26aおよび裏面26bを有する。表面26aと裏面26bとは、平行な面を形成している。
主面部26の一方の主面たる表面26aには、化粧シート24が接着される。また、主面部26の他方の主面たる裏面26bは、框14の前面14aに接着剤で接着される。さらに、主面部26の2つの側面26cおよび26dは、それぞれ、主面26aおよび26bと直角に形成される。
【0020】
基板22の面取り部28は、断面直角2等辺3角形状に形成される。主面部26の表面26aに続く面取り部28の一番広い側面28aには、化粧シート24が接着される。また、面取り部28の他の2つの側面28b、28cは、それぞれ主面部26の側面26cと同じ大きさに形成され、1つの側面28bが主面部26の側面26cに接着剤で接着される。それによって、化粧シート24は、主面部26および面取り部28間で45度折り曲げられる。
【0021】
基板22の側面部30は、断面台形状に形成される。側面部30の一方の主面たる表面30aは、框14の一方の側面14cにおける前面側半分の部分とほぼ同じ大きさに形成される。この主面30aには、化粧シート24が接着される。側面部30の他方の主面たる裏面30bは、一方の主面30aと比べて背面側において若干短く形成される。この主面30bは、框14の一方の側面14cにおける前面側半分の部分において前面側に接着剤で接着される。この場合、側面部30の主面30bは、框14の一方の側面14cの幅方向における中央部分には接着されない。また、側面部30の一方の側面30cは、主面30aおよび30bとそれぞれ直角に形成されるとともに、面取り部28の側面28cと同じ大きさに形成される。この側面30cは、面取り部28の側面28cに接着剤で接着される。それによって、化粧シート24は、さらに、面取り部28および側面部30間で45度折り曲げられる。また、側面部30の他方の側面30dは、框14の側面14cに斜めに対向するように、斜めに形成される。この場合、側面部30の側面30dは、側面部30の主面30aおよび側面30d間の先端部分30eがたとえば断面30度になるように斜めに形成される。
【0022】
基板22の端部32は、その断面形状が30度の2つの角度を有する2等辺3角形状に形成される。端部32は、同じ大きさの2つの側面32a、32bと、側面部30の側面30dと同じ大きさの側面32cとを有する。側面部30の表面30aに続く端部32の1つの側面32aには、化粧シート24が接着される。また、端部32の他の1つの側面32bは、側面部30の裏面30bと平面状に連なり、框14の側面14cに接着剤で接着される。この場合、端部32の側面32bは、框14の側面14cにおける前面側部分において前面側の部分には接着されるが、框14の側面14cの幅方向における中央部分には接着されない。端部32のさらに他の側面32cは、側面部30の側面30dに接着剤で接着される。
この端部32は、側面32aおよび側面32c間の先端部分32dがたとえば断面30度になるように形成されている。
【0023】
このように、前面板20において、主面部26および側面部30間の隅部20aは、化粧シート24が面取り部28などによって45度ずつ2回折り曲げられた、いわゆる面取りされた形状に形成される。
また、前面板20において、外側の角部を有する先端部分20bは、外側が框14の側面14cと平行で、断面60度にすなわち断面鋭角状に形成される。また、その先端部分20bの表面にも、化粧シート24が接着されている。
さらに、前面板20において、先端部分20bの対向端面20cは、框14の側面14cとは、平行な外側表面と框14の側面14cとに斜交して、側面14cに対向するように、略くさび形に形成される。また、この先端部分20bの対向端面20cは、框14の側面14cなどの他の部分に接着されない。
【0024】
背面板120も、前面板20と同様に形成される。
前面板20は、前面を形成する主面部26と、前記主面部26の両側の隅部を介して連設された側面部30とを有し、且つ、背面板120は、背面を形成する主面部126と、前記主面部126の両側の隅部120aを介して連設された側面部とを有し、前面板20の側面部30と背面板120の側面部130とは、先端が断面鋭角状に形成され、前面板20の側面部30と背面板120の側面部130とは表面の化粧シート24が表面側において接するように突き合わせられ且つ裏面側において支持体たる框14との間に空間部40が形成されている。ただし、背面板120は、前面板20とは対称的に、框14の背面14b、側面14cおよび14dに接着剤で接着される。
【0025】
背面板120は、框14の前面14aの天から地に亘る全体と、框14の天から地に亘る両側の側面14cおよび14dにおける前面側半分の部分とを覆うためのものであり、それらの裏面が框14の平面状の表面に密着するように、平面状に形成されている。
そのため、背面板120は、框14において背面板120で覆われる部分にほぼ対応する断面コ字形にかつ略2メートルの高さに形成される基板122を含む。基板122の外側の表面には、たとえば可撓性を有する合成樹脂からなる1枚の化粧シート124が接着剤で接着される。背面板120の基板122は、幅方向における中央に配置される1つの主面部126と、その主面部126の両側に配置される2つの面取り部128、128と、それらの面取り部128、128の両側に配置される2つの側面部130、130と、それらの側面部130、130の両側に配置される2つの端部32、32とからなる。
基板122は、幅1210mmのベニヤ板、繊維板などからなり、化粧シート124は、オレフィン樹脂、樹脂含浸紙などの可撓性を有するシート状物からなる。
【0026】
背面板120の基板122および化粧シート124については、左右に対称に形成されるので、特に中央の主面部126から一方の端部132にわたって説明する。
【0027】
基板122の主面部126は、断面長方形状に形成され、框14の前面14aの輪郭に対応する長方形状の2つの主面部126たる表面126aおよび裏面126bを有する。表面126aと裏面126bとは、平行な面を形成している。
主面部126の一方の主面たる表面126aには、化粧シート124が接着される。また、主面部126の他方の主面たる裏面126bは、框14の前面14aに接着剤で接着される。さらに、主面部126の2つの側面126cおよび126dは、それぞれ、表面126aおよび裏面126bと直角に形成される。
【0028】
基板122の面取り部128は、断面直角2等辺3角形状に形成される。主面部126の表面126aに続く面取り部128の一番広い側面128aには、化粧シート124が接着される。また、面取り部128の他の2つの側面128b、128cは、それぞれ主面部126の側面126cと同じ大きさに形成され、1つの側面128bが主面部126の側面126cに接着剤で接着される。それによって、化粧シート124は、主面部126および面取り部128間で45度折り曲げられる。
【0029】
基板122の側面部130は、断面台形状に形成される。側面部130の一方の主面たる表面130aは、框14の一方の側面14cにおける前面側半分の部分とほぼ同じ大きさに形成される。この表面130aには、化粧シート124が接着される。側面部130の他方の主面たる裏面130bは、一方の主面130aと比べて背面側において若干短く形成される。この裏面130bは、框14の一方の側面14cにおける前面側半分の部分において前面側に接着剤で接着される。この場合、側面部130の裏面130bは、框14の一方の側面14cの幅方向における中央部分には接着されない。また、側面部130の一方の側面130cは、表面130aおよび裏面130bとそれぞれ直角に形成されるとともに、面取り部128の側面128cと同じ大きさに形成される。この側面130cは、面取り部128の側面128cに接着剤で接着される。それによって、化粧シート124は、さらに、面取り部128および側面部130間で45度折り曲げられる。また、側面部130の他方の側面130dは、框14の側面14cに斜めに対向するように、斜めに形成される。この場合、側面部130の側面30dは、側面部130の表面130aおよび側面130d間の先端部分130eがたとえば断面30度になるように斜めに形成される。
【0030】
基板122の端部132は、その断面形状が30度の2つの角度を有する2等辺3角形状に形成される。端部132は、同じ大きさの2つの側面132a、132bと、側面部130の側面130dと同じ大きさの側面132cとを有する。側面部130の表面130aに続く端部132の1つの側面132aには、化粧シート124が接着される。また、端部132の他の1つの側面132bは、側面部130の裏面130bと平面状に連なり、框14の側面14cに接着剤で接着される。この場合、端部132の側面132bは、框14の側面14cにおける前面側部分において前面側の部分には接着されるが、框14の側面14cの幅方向における中央部分には接着されない。端部132のさらに他の側面132cは、側面部130の側面130dに接着剤で接着される。
この端部132は、側面132aおよび側面132c間の先端部分132dがたとえば断面30度になるように形成されている。
【0031】
このように、背面板120において、主面部126および側面部30間の隅部120aは、化粧シート124が面取り部128などによって45度ずつ2回折り曲げられた、いわゆる面取りされた形状に形成される。
また、背面板120において、外側の角部を有する先端部分120bは、外側が框14の側面14cと平行で、断面60度にすなわち断面鋭角状に形成される。また、その先端部分120bの表面にも、化粧シート124が接着されている。
さらに、背面板120において、先端部分120bの対向端面120cは、框14の側面14cとは、平行な外側表面と框14の側面14cとに斜交して、側面14cに対向するように、略くさび形に形成される。また、この先端部分120bの対向端面120cは、框14の側面14cなどの他の部分に接着されない。
【0032】
また、前面板20の先端部分20bと背面板120の先端部分120bとは、それぞれの頂点において互いに当接される。それによって、扉部材12の前面、背面および両側の側面が、前面板20の化粧シート24と背面板120の化粧シート124とで完全に覆われる。また、框14と、前面板20の先端部分20bと、背面板120の先端部分120bとの間には、正三角柱状の空間部40が形成される。空間部40は、先端部分20bの対向端面20cと先端部分120bの対向端面120cと垂直部材16a及び垂直部材16bの側面とに囲まれて形成された三角柱状であり、天から地に亘ってどの部分を切っても底面と同じ面を形成する三角柱状である。
【0033】
上述の扉部材12には、図1に示すように、高さ方向におけるほぼ中央にかつ幅方向における一端側に、扉用のノブ50が扉部材12を貫通するように取り付けられる。
【0034】
次に、この扉10の製造方法の一例について説明する。
【0035】
まず、框14の2つの垂直部材16a、16bおよび4つの水平部材18a〜18dが形成される。そして、それらの垂直部材16a、16bおよび水平部材18a〜18dを4角枠状などに接着剤で接着することによって、框14が形成される。
【0036】
さらに、前面板20が形成される。前面板20を形成するためには、基板22の1つの主面部26、2つの面取り部28、28、2つの側面部30、30および2つの端部32、32を平板状に並べた大きさより幅が若干広い平板状の1枚の基材23が準備される。 基材23は、平面状表面及び平面状裏面を備え、表面と裏面が平行である。その基材23の一方主面には、化粧シート24より幅が若干広い化粧シート材25が接着剤で接着される。
それによって、基材23の一方主面に化粧シート材25を接着した表面材21が形成される。
表面材21は、平面状表面及び平面状裏面を備え、表面と裏面が平行であり、天から地の長さが略2メートルで、その幅が略1m20位である。
化粧シート材25は、平面状表面を備え、天から地の長さが略2メートルで、その幅が略1m20位の可撓性を有するシートである。
【0037】
そして、この表面材21の基材23には、図4に示すように、化粧シート材25が接着されている側とは反対側から、基材23の天から地に至る断面M字状の2つの隅部用折曲溝60、60が、左右に間隔を隔てて互いに平行に形成される。
さらに、表面材21の基材23には、2つの隅部用折曲溝60、60の外側に、基材23の天から地に至る断面120度の2つの端部用折曲溝62、62が、互いに平行に形成される。隅部用折曲溝60及び端部用折曲溝62は、基材23の裏面から化粧シート材25の裏面に達する深さに形成される。
隅部用折曲溝60は、図4および図5に示すように、断面45度の断面V字状の第1溝部60aと、断面45度の断面V字状の第2溝部60aとからなる。このようにして、2つの隅部用折曲溝60、60間には、基板22の主面部26が形成される。また、隅部用折曲溝60の第1溝部60aおよび第2溝部60b間には、基板22の面取り部28が形成される。さらに、隅部用折曲溝60および端部用折曲溝62間には、基板22の側面部30が形成される。また、端部用折曲溝62によって、基板22の端部32の側面32cおよび先端部分32dと基板22の端部32を含む端部33とが形成される。
【0038】
しかしながら、端部33、33および化粧シート材25は、側面部30、30の内面(主面30b)より内側に突き出している。端部33、33および化粧シート材25においてこれらの突き出している部分は、不要な部分である。
【0039】
そこで、次に、端部33、33および化粧シート材25においてこれらの突き出している部分が図6に示すように側面部30の内面(側面部30)に平面状に揃うように切断され、それによって、基板22の端部32、32が断面鋭角状で框14の側面14c及び14dに密着するように形成される。
【0040】
さらに、表面材21は、図7に示すように、化粧シート材25が外側になるように隅部用折曲溝60、60および端部用折曲溝62、62で完全に折り曲げられるとともに、隅部用折曲溝60の溝壁どおし及び端部用折曲溝62の溝壁どおしが突き合せられ、且つ主面部26、面取り部28、28、側面部30、30、端部33、33のそれぞれの側面が接着剤で接着される。この状態では、主面部26、面取り部28、28および側面部30、130が断面コ字形に形成されている。
【0041】
このようにして、前面板20が形成される。さらに、背面板120が前面板20と同様に形成される。前面板20の側面部30と背面板120の側面部とは表面の化粧シート24を接するように突き合わせ且つ裏面側において框14との間に空間部40を形成する。
【0042】
そして、框14の前面14a、背面14b、側面14cおよび14dには、図3、図4および図8に示すように、前面板20および背面板120の内面が接着剤で接着される。このようにして、扉部材12が形成される。
【0043】
最後に、扉部材12には、扉用のノブ50が取り付けられる。
【0044】
この扉10は、前面板20の先端部分20bと背面板120の先端部分120bとを当接すればよく、前面板20の先端部分20bの対向端面20cと背面板120の先端部分120bの対向端面120cとを突き合わせる必要がない。そのため、前面板20や背面板120の側面部30、30などの寸法が若干長く形成されても、その寸法誤差が前面板20の先端部分20bや背面板120の先端部分120bの化粧シート124で緩和されるので、前面板20および背面板120が框14から部分的に浮き上がったり全体的に波打ったりしにくい。そして、前面板20の先端部分20bと背面板120の先端部分120bとが鋭角状であるために、隙間があいたり浮き上がったりしにくい。そのために、この扉10は、製造工程が容易になる。
【0045】
さらに、この扉10では、扉部材12の前面、背面および両側の側面が、前面板20の化粧シート24と背面板120の化粧シート124とで完全に覆われるので、それらの面を化粧することができる。
【0046】
さらに、この扉10では、框14に補強用の水平部材18b、18cが設けられているので、強度が強い。
【0047】
また、この扉10では、扉部材12の4隅の稜線部分が面取りされているので、その部分が損傷されにくく、しかも、その部分によって他の物品を損傷しにくい。
【0048】
上述の製造方法にかえて、例えば、次のようにしてもよい。
表面材21は、図9に示すように、化粧シート材25が外側になるように隅部用折曲溝60、60および端部用折曲溝62、62で少し折り曲げられる。
【0049】
さらに、表面材21は、図10に示すように、化粧シート材25が外側になるように隅部用折曲溝60、60および端部用折曲溝62、62で完全に折り曲げられるとともに、隅部用折曲溝60の溝壁どおし及び端部用折曲溝62の溝壁どおしが突き合せられ、且つ主面部26、面取り部28、28、側面部30、30、端部33、33のそれぞれの側面が接着剤で接着される。この状態では、主面部26、面取り部28、28および側面部30、130が断面コ字形に形成されている。しかしながら、端部33、33および化粧シート材25は、側面部30、30の内面(主面30b)より内側に突き出している。端部33、33および化粧シート材25においてこれらの突き出している部分は、不要な部分である。
【0050】
そこで、次に、端部33、33および化粧シート材25においてこれらの突き出している部分が図7に示すように側面部30の内面(側面部30)に平面状に揃うように切断され、それによって、基板22の端部32、32が断面鋭角状で框14の側面14c及び14dに密着するように形成する。
【0051】
このようにして、前面板20が形成される。さらに、背面板120が前面板20と同様に形成される。前面板20の側面部30と背面板120の側面部とは表面の化粧シート24を接するように突き合わせ且つ裏面側において框14との間に空間部40を形成する。
【0052】
そして、框14の前面14a、背面14b、側面14cおよび14dには、図3、図4および図8に示すように、前面板20および背面板120の内面が接着剤で接着される。このようにして、扉部材12が形成される。
【0053】
また、上述の扉10では、前面板20の隅部20aが基板20の面取り部28などによって面取りされているが、隅部20aは、面取りされなくてもよい。すなわち、隅部用折曲溝60が断面90度の1つの断面V字状の溝のみで形成されるとともに、面取り部28が形成されずに、主面部26の側面と側面部30の側面とが直接的に接着されてもよい。
また、図11に示すように、面取り部材28aを小さな面取り部材28a’とし、面取り部材28a’の形状に対応して、側面部30の側面30c及び主面部26の側面26cの形状も面取り部材28a’の側面28c及び面取り部材28a’の側面28bと密着する溝壁側面30c1及び溝壁側面26c1として構成し、側面部30の側面30cと主面部26の側面26cとが密着する溝壁30c2及び溝壁26c2として構成してもよい。
【0054】
なお、上述の扉10では、框14が補強用の水平部材18b、18cを有する4角枠状に形成されているが、補強用の水平部材18b、18cは設けられなくてもよく、また、框14は4角板状に形成されてもよい。
また、図12に示すように、垂直部材16cを水平部材18aと水平部材18dの間に架設してもよい。
【0055】
さらに、上述の扉10では、前面板20の外側の先端部分20bが断面60度に形成されているが、先端部分20bは断面60度以外の断面鋭角状に形成されてもよい。そのため、空間部40も、正3角柱状以外の3角柱状などの柱状に形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明にかかる建具は、たとえば扉や壁などの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
10 扉
12 扉部材
14 框
14a 前面
14b 背面
14c、14d 側面
16a、16b 垂直部材
18a、18b、18c、18d 水平部材
20 前面板
20a 隅部
20b 先端部分
20c 対向端面
21 表面材
22 基板
23 基材
24 化粧シート
25 化粧シート材
26 主面部
26a表面
26b裏面
26c、26d 側面
28 面取り部
28a’ 面取り部材
28a、28b、28c 側面
30 側面部
30a 表面
30b 裏面
30c、30d 側面
30e 先端部分
32 端部
32a、32b、32c 側面
32d 先端部分
33 端部
40 空間部
50 ノブ
60 隅部用折曲溝
60a 第1溝部
60b 第2溝部
62 端部用折曲溝
120 背面板
120a 隅部
120b 先端部分
120c 対向端面
121 表面材
122 基板
123 基材
124 化粧シート
125 化粧シート材
126 主面部
126a表面
126b裏面
126c、126d 側面
128 面取り部
128a、128b、128c 側面
130 側面部
130a 表面
130b 裏面
130c、130d 側面
130e 先端部分
132 端部
132a、132b、132c 側面
132d 先端部分
133 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の前面に固定された前面板と、支持体の背面に固定された背面板とを備え、
前面板及び背面板は、基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成され、
前面板は、前面を形成する主面部と、前記主面部の両側の隅部を介して連設された側面部とを有し、且つ、背面板は、背面を形成する主面部と、前記主面部の両側の隅部を介して連設された側面部とを有し、
前面板の側面部と背面板の側面部とは、先端が断面鋭角状に形成され、前面板の側面部と背面板の側面部とは表面の化粧シートが表面側において接するように突き合わせられ且つ裏面側において支持体との間に空間部が形成された、建具。
【請求項2】
前記支持体の側面は、天から地に亘って平面状の同一形状であり、
前記前面板の側面部及び背面板の側面部は、それぞれの裏面が、前記支持体の側面に密着するように天から地に亘って平面状の同一形状であり、支持体の側面を被覆して建具の側面を構成する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記前面板の側面部と背面板の側面部とは、天から地に亘ってどの部分を切っても同じ断面形状である、請求項1又は請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記空間部は、天から地に亘ってどの部分を切っても底面と同じ面を形成する三角柱状である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記前面板の側面部と背面板の側面部とは、表面と裏面とが平行であり、対向端面が斜交して、表面と対向端面が鋭角をなす、断面鋭角状の先端を形成する、請求項1ないし4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
支持体の前面に固定された前面板と、支持体の背面に固定された背面板とを備えた、
建具を製造する方法であって、
基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成される前記前面板を形成する、前面板形成工程、
基板と、基板の表面に貼着された化粧シートとにより構成される前記背面板を形成する、背面板形成工程、
前記前面板および前記背面板を支持体に固定する、前面板及び背面板固定工程を含み、
前記前面板を形成する工程および前記背面板を形成する工程は、
それぞれの基材を準備する基材準備工程、
前記基材の一方主面に化粧シートを貼着する化粧シート貼着工程、
前記基材の他方主面に化粧シートの裏面に達する溝を形成して、前面及び背面を形成する主面部と、前記主面部に隅部を介して連設された側面部とを形成する溝形成工程、
前記化粧シートを前記溝で折り曲げて溝を閉じる折り曲げ工程、
前面板の側面部の先端と背面板の側面部の先端とを、断面鋭角状に形成する、側面部の先端形成工程、
前面板の側面部と背面板の側面部とは表面の化粧シートを接するように突き合わせ且つ裏面側において支持体との間に空間部を形成する、空間形成工程を含む、建具の製造方法。
【請求項7】
側面部の先端形成工程は、前記基材および前記化粧シートの不要な部分を切断して、前面板の側面部の先端と背面板の側面部の先端とを、断面鋭角状に形成する、請求項6に記載の建具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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