説明

建具

【課題】屋内側及び躯対等に水が浸入しにくく、縦骨を下枠に強固に固定することが可能な建具を提供する。
【解決手段】屋内外を連通する開口に設けられる下枠と、前記下枠に固定される縦骨とを有する建具であって、前記下枠は、上方に開放された開放部を有する凹部を備え、前記凹部を形成する屋外側の部位に、見込み方向に貫通する固定具にて屋外側から固定される固定部材、を有し、前記縦骨は、前記固定部材を介して前記下枠に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内外を連通する開口に設けられた下枠に縦骨が固定される建具に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内外を連通する開口に設けられた下枠に固定される縦骨は、下枠が有する水平な部位に載置され、下枠の下方からビスを螺合させて固定されたり、見付け方向に貫通孔を備えた縦骨の下端部を下枠の凹部に上方から挿入し、縦骨の脇の凹部を覆う蓋板の端部に設けられた係止部材を、蓋板を取り付ける際に縦骨の貫通孔に嵌合して下枠に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平2−7176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、縦骨を下枠の下方からビスを螺合させて固定する場合には、ビス孔が上下方向に連通するように下枠に形成されるため、水密性に欠け屋内や躯体側に水が浸入する畏れがある。また、蓋板に設けられた係止部材を縦骨の貫通孔に嵌合させて取り付けるだけでは、十分な強度が得られない畏れがあるという課題がある。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、屋内側及び躯対等に水が浸入しにくく、縦骨を下枠に強固に固定することが可能な建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、屋内外を連通する開口に設けられる下枠と、前記下枠に固定される縦骨とを有する建具であって、前記下枠は、上方に開放された開放部を有する凹部を備え、前記凹部を形成する屋外側の部位に、見込み方向に貫通する固定具にて屋外側から固定される固定部材、を有し、前記縦骨は、前記固定部材を介して前記下枠に固定されることを特徴する建具である。
このような建具によれば、縦骨は下枠を貫通する固定具にて固定される固定部材を介して下枠に固定されているので、縦骨を下枠に強固に固定することが可能である。また、固定部材は、下枠の凹部を形成する屋外側の部位に見込み方向に貫通する固定具にて固定されているので、固定具が貫通するための孔から躯体や屋内側への水の浸入を抑えることが可能である。よって、縦骨を下枠に強固に固定しつつ、屋内側及び躯対等に水が浸入しにくい建具を提供することが可能である。
【0006】
かかる建具であって、前記開放部は、前記下枠の前記凹部を形成する屋内側壁部の上部から屋外側に向かって延出された屋内側延出部と、前記下枠の前記凹部を形成する屋外側壁部の上部から屋内側に向かって延出された屋外側延出部と、の間に形成されており、前記固定部材は、前記凹部に収容されて前記屋外側壁部に固定される下枠固定部材と、前記屋内側延出部と前記屋外側延出部との上に跨って配置され前記縦骨が固定される縦骨固定部材とを有し、前記縦骨固定部材は、前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部を挟持して前記下枠固定部材に固定されることが望ましい。
このような建具によれば、縦骨が固定される縦骨固定部材は、下枠に収容される下枠固定部材に、屋内側延出部と屋外側延出部とを挟持して固定されるので、縦骨固定部材が下枠固定部材に固定されると、凹部を形成する屋内側壁部と屋外側壁部とが繋がって、下枠があたかも中空構造体のような強度を有する。このため、縦骨固定部材と下枠固定部材とから構成される固定部材により縦骨をより強固に下枠に固定することが可能である。
【0007】
かかる建具であって、前記下枠固定部材は、前記開放部側に臨み前記縦骨固定部材が固定される座部と、前記凹部内に収容された際に、前記座部を前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部の下面に近接させて配置させるための脚部と、を有することが望ましい。
このような建具によれば、凹部に収容される下枠固定部材が脚部を有しているので、下枠固定部材を凹部内に収容させるだけで縦骨固定部材が固定される座部を屋内側延出部及び屋外側延出部の下面に近接させて配置させることが可能である。このため、下枠固定部材を固定する際に、下枠固定部材を支えることなく、座部を屋内側延出部及び屋外側延出部の下面の直ぐ下に配置させることが可能であり、縦骨固定部材を固定しやすい構成とすることが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記脚部は、前記座部の屋内側の縁部及び屋外側の縁部からそれぞれ垂設されており、前記下枠固定部材が前記凹部内に収容された際に、屋外側の前記脚部が前記屋外側壁部と、屋内側の前記脚部が前記屋内側壁部と近接した位置にて、それぞれ対面されることにより、前記下枠固定部材の見込み方向における位置が規制されることが望ましい。
このような建具によれば、下枠固定部材を凹部内に収容させるだけで、下枠固定部材の座部の屋内側及び屋外側の縁部からそれぞれ垂設された脚部を、屋外側壁部及び屋内側壁部と近接させて配置させることが可能である。このため、下枠固定部材を凹部内に収容させるだけ見込み方向に位置決めして配置することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記座部は、上方に突出して前記開放部に入り込む隆起部を有し、前記隆起部の頂面は、前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部の上面より低いことが望ましい。
このような建具によれば、座部から上方に突出して開放部に入り込む隆起部の頂面が屋内側延出部及び屋外側延出部の上面より低いので、縦骨固定部材を下枠固定部材に固定すると、縦骨固定部材と下枠固定部材との間に介在されている屋内側延出部及び屋外側延出部がより強固に挟持されることになる。このため、下枠固定部材と縦骨固定部材とをより強固に固定することが可能である。また、下枠固定部材に対して縦骨固定部材を固定する際に、屋内側延出部及び屋外側延出部に過度の力が作用して変形することがあっても、座部における隆起部の頂面が縦骨固定部材の下面に当接することで、屋内側延出部及び屋外側延出部の変形量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋内側及び躯対等に水が浸入しにくく、縦骨を下枠に強固に固定することが可能な建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態は、図1に示すような、建物の開口を部分的に閉塞し、ガラス3が嵌め付けられたFIX窓10と、FIX窓10にて閉塞されない部分を閉塞可能に設けられた移動可能な障子5とを備えた建具としての窓ユニット1を例に挙げて説明する。以下の説明においては、窓ユニット1を屋外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、屋内外方向(奥行き方向)を見込み方向として示す。
【0012】
本実施形態のFIX窓10は、図1および図2に示すように、例えば屋内外を連通する開口に設けられた矩形状の枠体11、FIX窓10にて閉塞される閉塞空間と障子5により閉塞される開閉空間とを仕切るための縦骨17とに取り付けられる面材としてのガラス3、枠体11および縦骨17とともにガラス3を挟み、ガラス3の屋外側からガラス3を押さえるための押縁20、を有している。本実施形態のガラスは、2枚のガラス板の周縁間にスペーサや封着剤を介在させて、互いに間隔を隔てて対面させた2層構造のガラス3を用いている。
【0013】
本実施形態では、枠体11を構成する上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15のうち、上枠12、下枠13、左側に位置する縦枠(以下、左縦枠という)14、および、上枠12と下枠13との間に設けられた縦骨17と4つの押縁20とにてガラス3が保持されてFIX窓10が構成されている。そして、枠体11の見込み方向においてほぼ中央より屋外側の領域にFIX窓10が設けられ、ほぼ中央より屋内側の領域は障子5が移動可能な領域となっている。
【0014】
FIX窓10を構成する縦骨17は、枠体11の見込み方向中央より屋外側の領域であって、下枠13が有する水平面13a上に立設されている。
【0015】
下枠13はアルミニウム製の押出成形部材であり、図3乃至図5に示すように縦骨17が立設されている下枠13の水平面13aには、見付け方向に沿ってスリット13bが設けられており、スリット13bの下方には溝状の凹部13cが形成されている。
【0016】
具体的には、凹部13cは、溝の底をなし見付け方向に沿う底部13dと、底部13dの見込み方向における屋外側及び屋内側の縁部から上方に立設された屋外側壁部13e及び屋内側壁部13fとを有している。屋外側壁部13eの上端縁には屋内側に向かって延出された屋外側延出部13gが、また、屋内側壁部13fの上端縁には屋外側に向かって延出された屋内側延出部13hが形成されている。そして、屋外側延出部13gと屋内側延出部13hとの上面が、縦骨17が立設される水平面13aであり、屋外側延出部13gの屋内側の縁部と屋内側延出部13hの屋外側の縁部とによって形成されるスリット13bが、凹部13cの上方に開放された開放部である。
【0017】
下枠13の、縦骨17が取り付けられる部位は、下側の押縁20を嵌合するために上方に突出している爪部13iが切り欠かれ、下側の押縁20とともにガラス3を挟持するガラス保持部材18が分断されている。また、スリット13bの見込み方向の幅が一部、屋外側延出部13gから屋内側延出部13hの領域まで広げられた拡幅部13jが設けられている。
【0018】
縦骨17は上下方向に連通する中空部17aを有するアルミニウム製の押出成形部材であり、中空部17aを形成する左側部17bの下端には、縦骨17を後述する固定部材30に固定するためのねじが貫通される貫通孔17cが設けられている。
【0019】
縦骨17は、下枠13の凹部13cに見付け方向の端部側から挿入される下枠固定部材32と、下枠13の水平面13a上に配置され下枠固定部材32に固定される縦骨固定部材34と、からなる固定部材30により下枠13に固定されている。また、縦骨17が下枠13に固定された状態では、拡幅部13jに、見付け方向に連通する凹部13cを見付け方向に遮断するためのスポンジ36が下枠固定部材32と隣接させて設けられている。さらに、下枠13の水平面13a上には、スポンジ36と下枠固定部材32とに跨るように配置され縦骨17の下端が当接される止水シート37が設けられている。
【0020】
下枠固定部材32は、スリット13b側に臨み縦骨固定部材34が固定される座部32aと、座部32aの屋外側の縁部及び屋内側の縁部からそれぞれ垂設された脚部32b、32cとを有している。座部32aは、見込み方向の幅が、凹部13cの屋外側壁部13eと屋内側壁部13fとの間隔より僅かに小さく形成され、見込み方向の中央部に上方に突出した隆起部32dが形成されている。隆起部32dには縦骨固定部材34を固定するためのねじ穴32hが形成されている。隆起部32dの見込み方向の幅は、スリット13bの見込み方向の幅より僅かに小さく形成されている。このため、下枠固定部材32が凹部13c内に収容された際には、屋外側の脚部32bが屋外側壁部13eと、屋内側の脚部32cが屋内側壁部13fとそれぞれ近接した位置にて対面される。また、脚部32b、32cは、凹部13cの底部13dと屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面との間隔より僅かに小さく形成されており、下枠固定部材32が凹部13c内に収容された際に、座部32aの上面が屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面に近接され、隆起部32dがスリット13bに入り込むように構成されている。
【0021】
このため、下枠固定部材32を下枠13の見付け方向の端部側から凹部13cに挿入する際には、屋外側の脚部32bと屋内側の脚部32cとが屋外側壁部13eと屋内側壁部13fとの間に配置されることにより見込みが位置決めされ、屋外側及び屋内側の脚部32b、32cが凹部13cの底部13dと屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面との間に配置されることにより、上下方向が位置決めされる。すなわち、下枠固定部材32が凹部13cに挿入された状態で、座部32aの上面が屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面と近接するとともに、座部32a上面の隆起部32dがスリット13bに入り込む。このとき、隆起部32dの頂面32eは、屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの上面より僅かに低くなるように(下方に没するように)隆起部32dは形成されている。そして、下枠固定部材32の右端32fを拡幅部13jの左側の縁部13kに位置させることにより、下枠13の屋外側壁部13eに設けられた貫通孔13lと、下枠固定部材32の屋外側の脚部32bに設けられたねじ穴32gとの位置がほぼ一致する。このため、下枠固定部材32を、右端32fが拡幅部13jの左側の縁部13kに位置するように配置させることにより、下枠固定部材32を下枠13に屋外側から容易にねじ止めすることが可能である。
【0022】
縦骨固定部材34は、スリット13bを挟んで屋外側延出部13gと屋内側延出部13hに架け渡されるように配置される平板状の基部34aと、基部34aの右端から上方に向かって設けられた板状の固定板部34bと、固定板部34bの上端にて見付け方向において基部34aとは反対側に延設された延設部34cとを有している。基部34aには、下枠固定部材32の隆起部32dに設けられたねじ穴32hに螺合されるねじが貫通される貫通孔34dが、また、固定板部34bには、縦骨17を固定するためのねじが螺合されるねじ穴34eが形成されている。
【0023】
下枠13に縦骨17を固定する際には、まず、下枠13の凹部13cに見付け方向の端部から下枠固定部材32を挿入して収容させておく。この状態で、下枠固定部材32の座部32aの上面が屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面と近接し、座部32a上面の隆起部32dがスリット13bに入り込んでいる。
【0024】
そして、下枠固定部材32を、その右端32fと拡幅部13jの左側の縁部13kとが揃う位置に配置する。このとき、屋外側壁部13eに設けられた貫通孔13lと屋外側の脚部32bに設けられたねじ穴32gとが見込み方向に重なっている。そして、屋外側壁部13eを貫通する固定具としてのねじ25を、貫通孔13lを貫通させるとともにねじ穴32gに螺合して、下枠13に下枠固定部材32を固定する。
下枠13に下枠固定部材32を固定した後に、下枠13の拡幅部13jからスポンジ36を凹部13c内に挿入し、下枠固定部材32と隣接させてスポンジ36を配置する。
【0025】
次に、縦骨固定部材34の基部34aが下枠固定部材32の上方にて屋外側延出部13gと屋内側延出部13hに架け渡されるように縦骨固定部材34を配置し、上方から基部34aの貫通孔34dを貫通させたねじを下枠固定部材32の隆起部32dに設けられたねじ穴32hに螺合して縦骨固定部材34を下枠固定部材32に固定する。このとき、屋外側延出部13g及び屋内側延出部13h上に載置された基部34aの下面と隆起部32dの頂面との間には僅かに間隙が設けられているが、ねじを締め込むことにより基部34aの下面と隆起部32dの頂面との間隔が狭くなるように力が作用する。このため、縦骨固定部材34と下枠固定部材32との間に配置されている屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hは、縦骨固定部材34と下枠固定部材32とに挟持され、下枠13、下枠固定部材32、縦骨固定部材34とが強固に固定される。特に、下枠13は単体の状態では凹部13cがスリット13bを備え上方に開放された形状であり、大きな力が作用した場合には屋外側壁部13e及び屋内側壁部13fが変形する畏れがあるが、屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hが縦骨固定部材34と下枠固定部材32とに挟持されることにより、開放部が連結されて中空部材と同様の剛性を備えるようになる。また、下枠固定部材32に対して縦骨固定部材34を固定する際に、屋内側延出部13h及び屋外側延出部13gに過度の力が作用して変形することがあっても、座部32aにおける隆起部32dの頂面32eが縦骨固定部材34の下面に当接することで、屋内側延出部13h及び屋外側延出部13gの変形量を抑えることができる。
【0026】
その後、下枠固定部材32の縦骨固定部材34と重なっていない部位とスポンジ36との上に止水シート37を配置する。ここで止水シート37は、ほぼ縦骨17水平断面と重なるような形状に形成されている。
【0027】
配置された止水シート37上に縦骨17を載置する。このとき、既に固定されている縦骨固定部材34の固定板部34b及び延設部34cが縦骨17の中空部17a内に入るように縦骨17を止水シート37上に上方から載置する。また、縦骨固定部材34の固定板部34bにおける見付け方向左側の面(延設部34cの突出方向とは逆方向側の面)を、縦骨17の左側部17bの内面に当接させる。そして、見付け方向左側から左側部17bの貫通孔17cを貫通させたねじを縦骨固定部材34の固定板部34bに設けられたねじ穴34eに螺合して縦骨17を縦骨固定部材34に固定することにより、下枠13に縦骨17が強固に固定される。
【0028】
このような窓ユニット1によれば、縦骨17が固定される縦骨固定部材34は、下枠13に収容される下枠固定部材32に、屋外側延出部13gと屋内側延出部13hとを挟持して固定されるので、縦骨固定部材34が下枠固定部材32に固定されると、凹部13cを形成する屋内側壁部13fと屋外側壁部13eとが繋がって、あたかも中空構造体のように剛性が高まる。特に、座部32aから上方に突出してスリット13bに入り込む隆起部32dの頂面32eが屋内側延出部13h及び屋外側延出部13gの上面より低いので、縦骨固定部材34を下枠固定部材32に固定すると、縦骨固定部材34と下枠固定部材32との間に介在されている屋内側延出部13h及び屋外側延出部13gがより強固に挟持されることになる。このため、下枠13と下枠固定部材32及び縦骨固定部材34とがより強固に固定され、縦骨固定部材34に固定される縦骨17をより強固に固定することが可能である。このため、縦骨固定部材34と下枠固定部材32とから構成される固定部材30により縦骨17をより強固に下枠13に固定することが可能である。
【0029】
また、固定部材30は、下枠13の凹部13cを形成する屋外側壁部13eのみに見込み方向に貫通するねじ25にて固定されているので、下枠13を貫通するねじ25にて固定するため貫通孔13lは凹部13cを形成する屋外側壁部13eのみに形成されているので、貫通孔13lから躯体や屋内側への水の浸入を抑えることが可能である。このため、縦骨17を下枠13に強固に固定しつつ、屋内側及び躯対等に水が浸入しにくい窓ユニット1を提供することが可能である。本実施形態においては、固定部材30を下枠13に固定するためのねじ25が下枠13を貫通する部位を屋外側壁部13eのみとした例について説明したが、ねじを貫通させる部位は例えば屋外側延出部13g及び屋内側延出部13h等、貫通孔を形成した際に、形成した貫通孔により屋内側及び躯体側等建物の内方側と連通されない部位であればこの限りではない。
【0030】
また、凹部13cに収容される下枠固定部材32が脚部32b、32cを有しているので、下枠固定部材32を凹部13c内に収容させるだけで縦骨固定部材34が固定される座部32aを屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面に近接させて配置させることが可能である。このため、下枠固定部材32を固定する際に、下枠固定部材32を支えることなく、屋外側延出部13g及び屋内側延出部13hの下面の直ぐ下に配置させることが可能であり、縦骨固定部材34を固定しやすい構成とすることが可能である。
【0031】
さらに、下枠固定部材32を凹部13c内に収容させるだけで、下枠固定部材32の脚部32b、32cを屋外側壁部13e及び屋内側壁部13fと近接させて、下枠固定部材32を配置させることが可能である。このため、下枠固定部材32を凹部13c内に収容させるだけ見込み方向に位置決めして下枠固定部材32を配置することが可能である。
【0032】
本実施形態においては、固定部材30を下枠固定部材32と縦骨固定部材34との二つの部材にて構成したが、下枠固定部材32の右端に固定板部34b相当の部位を設けて一部材にて構成しても良い。
【0033】
本実施形態においては、下枠13に縦骨17を固定する際には、まず、下枠13の凹部13cに見付け方向の端部から下枠固定部材32を挿入して収容させておき、下枠13に下枠固定部材32を固定した後に下枠13の拡幅部13jからスポンジ36を凹部13c内に挿入し、下枠固定部材32と隣接させてスポンジ36を配置したが、これに限ることなく、下枠13の拡幅部13jからスポンジ36を凹部13c内に挿入してスポンジ36を配置した後、下枠13の凹部13cに見付け方向の端部から下枠固定部材32を挿入してスポンジ36と隣接させて収容させてから下枠固定部材32を下枠13に対して固定してもよい。このような場合、下枠13に取り付けたスポンジ36に下枠固定部材32を当接するだけで下枠固定部材32の左右方向(見付け方向)の位置決めが簡単にできるため、スポンジ36に下枠固定部材32を当接した後に下枠固定部材32を下枠13に対して固定すればよい。
【0034】
また、本実施形態においては、ガラスを複層のガラスとしたが、これに限るものではなく、また、面材をガラスとしたが、面材はガラスに限るものではない。
【0035】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る窓ユニットを屋外側からみた外観図である。
【図2】窓ユニットの縦断面図である。
【図3】下枠に縦骨を固定する構造を説明するための斜視図である。
【図4】下枠に固定部材が固定された状態を説明するための斜視図である。
【図5】下枠に縦骨が固定された状態を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 窓ユニット、13 下枠、13b スリット、13c 凹部、13e 屋外側壁部
13f 屋内側壁部、13g 屋外側延出部、13h 屋内側延出部、17 縦骨、
25 ねじ、30 固定部材、32 下枠固定部材、32a 座部、32b 脚部、
32c 脚部、32d 隆起部、32e 頂面、34 縦骨固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内外を連通する開口に設けられる下枠と、前記下枠に固定される縦骨とを有する建具であって、
前記下枠は、上方に開放された開放部を有する凹部を備え、
前記凹部を形成する屋外側の部位に、見込み方向に貫通する固定具にて屋外側から固定される固定部材、を有し、
前記縦骨は、前記固定部材を介して前記下枠に固定されることを特徴する建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記開放部は、前記下枠の前記凹部を形成する屋内側壁部の上部から屋外側に向かって延出された屋内側延出部と、前記下枠の前記凹部を形成する屋外側壁部の上部から屋内側に向かって延出された屋外側延出部と、の間に形成されており、
前記固定部材は、前記凹部に収容されて前記屋外側壁部に固定される下枠固定部材と、前記屋内側延出部と前記屋外側延出部との上に跨って配置され前記縦骨が固定される縦骨固定部材とを有し、
前記縦骨固定部材は、前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部を挟持して前記下枠固定部材に固定されることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記下枠固定部材は、前記開放部側に臨み前記縦骨固定部材が固定される座部と、
前記凹部内に収容された際に、前記座部を前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部の下面に近接させて配置させるための脚部と、
を有することを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記脚部は、前記座部の屋内側の縁部及び屋外側の縁部からそれぞれ垂設されており、前記下枠固定部材が前記凹部内に収容された際に、屋外側の前記脚部が前記屋外側壁部と、屋内側の前記脚部が前記屋内側壁部と近接した位置にて、それぞれ対面されることにより、前記下枠固定部材の見込み方向における位置が規制されることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の建具であって、
前記座部は、上方に突出して前記開放部に入り込む隆起部を有し、
前記隆起部の頂面は、前記屋内側延出部及び前記屋外側延出部の上面より低いことを特徴とする建具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−248533(P2008−248533A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89464(P2007−89464)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】