説明

建具

【課題】ガラリのような飾り構成部を備え、安価で、かつ、安全性の高い戸等の建具を提供する。
【解決手段】面同士が互いに離れて平行に対向する前面パネル5及び後面パネル8と、これら前面パネル及び後面パネルを貫通するように形成されたパネル開口9と、前面パネルと後面パネルとの間に設置されてパネル開口を塞ぐ飾り構成部(ガラリ10)とを備えた建具において、飾り構成部が、飾り部(ガラリ本体11)と、飾り部の周囲を囲んで飾り部を支持する支持枠部12とを備え、支持枠部12の枠内周縁20が、パネル開口9のパネル開口縁21に沿ってパネル開口縁21よりもパネル開口9の中心C側に位置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飾り構成部を備え、安価で、かつ、安全性の高い建具に関する。
【背景技術】
【0002】
図5;6に示すように、矩形形状の枠体2と、枠体2を介して面同士が互いに離れて平行に対向する前面パネル5及び後面パネル8と、前面パネル5及び後面パネル8を貫通するように形成されたパネル開口9Aと、当該パネル開口9Aを塞ぐ飾り構成部としてのガラリ10Aとを備えた戸1Aが知られている(例えば、特許文献1等参照)。前面パネル5は、枠体2の前開口3を塞ぐように枠体2の前縁面4に取付けられ、後面パネル8は、枠体2の後開口6を塞ぐように枠体2の後縁面7に取付けられる。ガラリ10Aは、パネル開口9Aを塞ぐように、前面パネル5と後面パネル8とに挟み込まれて設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−291525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、図4乃至図6に示すように、ガラリ10Aの羽根41Aを支持する支持枠部12Aの中心とパネル開口9Aの中心とを一致させて、前面パネル5と後面パネル8とでガラリ10Aを挟み込む構造の戸1Aの場合、支持枠部12Aの外周径をパネル開口9Aよりも大きく形成するため(図5(b)参照)、パネル開口9Aのパネル開口縁21A(小口)が支持枠部12Aの内周縁12aよりもパネル開口9Aの中心C側に突出する。この構成のガラリ付き戸1Aは、支持枠部12Aの内周縁12aよりもパネル開口9の中心C側に突出するパネル開口縁21Aが、例えば板厚の薄い金属板材をプレス加工でくり貫いて形成されたような場合等においては、線状の鋭利なパネル開口縁21Aが突出することになる。従って、図4(b)に示すように、線状のパネル開口縁21Aで手H等を切ったりする可能性があった。また、図示しないが、ガラリを前後に分割して、前側ガラリをパネル開口の前側からパネル開口に嵌め込んで前側ガラリの枠でパネル開口の前側パネル開口縁を覆い、かつ、後側ガラリをパネル開口の後側からパネル開口に嵌め込んで後側ガラリの枠でパネル開口の後側パネル開口縁を覆い、このようにパネル開口に嵌め込まれた前側ガラリの枠と後側ガラリの枠とを連結ねじで連結した構成とした場合、パネル開口の前後側のパネル開口縁が露出しないので、当該開口縁で手等を切ったりすることはなくなると考えられる。しかしながら、このような前側ガラリ及び後側ガラリを用いる構造の場合、構造が複雑となり、コスト高となるといった問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、ガラリのような飾り構成部を備え、安価で、かつ、安全性の高い戸等の建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る建具は、面同士が互いに離れて平行に対向する前面パネル及び後面パネルと、これら前面パネル及び後面パネルを貫通するように形成されたパネル開口と、前面パネルと後面パネルとの間に設置されてパネル開口を塞ぐ飾り構成部とを備えた建具において、飾り構成部が、飾り部と、飾り部の周囲を囲んで飾り部を支持する支持枠部とを備え、支持枠部の枠内周縁が、パネル開口のパネル開口縁に沿ってパネル開口縁よりもパネル開口の中心側に位置されたので、飾り構成部を備えた安価で安全性の高い建具が得られる。
支持枠部が、上記飾り部の周囲を囲んで飾り部を支持する支持枠体と、上記枠内周縁を有して上記支持枠体の前面縁に取付けられて上記前面パネルと接触する前枠面と、上記枠内周縁を有して上記支持枠体の後面縁に取付けられて上記後面パネルと接触する後枠面とを備え、上記前枠面と後枠面とがMDFにより形成されたので、軽量化した建具を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】(a)は図2(a)のA−A断面図、(b)は図2(a)のB−B断面図。
【図2】(a)はガラリ付き戸の斜視図、(b)はガラリ付き戸の正面図。
【図3】ガラリ付き戸の分解斜視図。
【図4】(a)は図5(a)のD−D断面図、(b)は図5(a)のE−E断面図(従来)。
【図5】(a)はガラリ付き戸の斜視図、(b)はガラリ付き戸の正面図(従来)。
【図6】ガラリ付き戸の分解斜視図(従来)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2;3に示すように、建具としてのガラリ付き戸1は、戸1の上下の端面及び左右の側面を形成する部材であって前後に所定厚さaを有した矩形形状の枠体2と、枠体2の前開口3を塞ぐように枠体2の前縁面4に取付けられる前面パネル(板)5と、枠体2の後開口6を塞ぐように枠体2の後縁面7に取付けられる後面パネル(板)8と、これら前面パネル5及び後面パネル8を貫通するように形成されたパネル開口9と、前面パネル5と後面パネル8との間に設置されてパネル開口9を塞ぐ飾り構成部としてのガラリ10とを備える。パネル開口9は、前面パネル5に形成された前面パネル開口9aと、後面パネル8に形成された後面パネル開口9bとにより形成される。即ち、互いに同形で同じ中心Cを有した前面パネル開口9aと後面パネル開口9bとによりパネル開口9が形成される。
【0008】
枠体2は、例えば、板厚0.5mm程度の軽量鋼板、アルミ板のような金属板材を枠組みして形成される。前面パネル5、後面パネル8は、例えば、板厚0.5mm程度の軽量鋼板、アルミ板のような金属板材により形成される。
【0009】
ガラリ10は、飾り部としてのガラリ本体11と、ガラリ本体11の周囲を囲んで支持する支持枠部12とを備える。
【0010】
支持枠部12は、前後に所定厚さbを有した矩形形状の支持枠体13と、支持枠体13の前開口14の前縁面15に取付けられる前枠面16と、支持枠体13の後開口17の後縁面18に取付けられる後枠面19とを備える。前枠面16の枠内周縁(支持枠部12の枠内周縁)20aが、前面パネル開口9aのパネル開口縁21aに沿ってパネル開口縁21aよりも前面パネル開口9aの中心C側に位置される。後枠面19の枠内周縁(支持枠部12の枠内周縁)20bが、後面パネル開口9bのパネル開口縁21bに沿ってパネル開口縁21bよりも後面パネル開口9bの中心C側に位置される。言い換えれば、パネル開口9の開口寸法が支持枠部12の開口寸法よりも大きく形成され、パネル開口9の中心Cに対して、パネル開口9のパネル開口縁21が、支持枠部12の開口31の開口縁20である前後の枠面16;19の枠内周縁20a;20bよりも外側に位置された構成を備える。即ち、パネル開口9の中心と支持枠部12の開口31の中心とを一致させた場合において、開口径の大きさの関係は、支持枠部12の開口31<パネル開口9である。前枠面16や後枠面19の枠内周縁20a;20bである支持枠部12の開口31の開口縁20とパネル開口9のパネル開口縁21との間の長さ寸法は1.5mm程度に形成される。
また、パネル開口9の中心Cに対して、前後の枠面16;19の枠外周縁32a;32bが、パネル開口9のパネル開口縁21よりも外側に位置された構成を備える。
例えば、支持枠体13が木材により形成され、前枠面16及び後枠面19は、例えば、MDF(Midium density Fiberboad(中密度圧縮合板))により形成される。
【0011】
ガラリ本体11は、複数個の羽根41により形成される。羽根41は、左右両端が支持枠体13の左右の側板に固定又は回転可能に支持される。複数個の羽根41は、上下方向に間隔を隔てて互いに平行に配置される。ガラリ本体11の種類としては、横に細長い板からなる羽根の板面が傾斜するように設置された片流れガラリ、横に細長い断面山形の板からなる羽根が上下に間隔を隔てて設置された山形ガラリ等がある。ガラリ本体11は、例えば、アルミ板のような金属板材により形成される。
【0012】
例えば、ガラリ10のガラリ本体11の中心とパネル開口9の中心とが一致するように、ガラリ10が前面パネル5と後面パネル8との間に配置された状態において、前枠面16と前面パネル5とが接着剤等の固定手段によって結合され、後枠面19と後面パネル8とが接着剤等の固定手段によって結合され、さらに、枠体2の前縁面4と前面パネル5とが接着剤等の固定手段によって結合され、枠体2の後縁面7と後面パネル8とが接着剤等の固定手段によって結合される。
また、前面パネル5と後面パネル8と枠体2とで囲まれた内部空間には、図外の断熱材や、戸面を補強する図外の桟等が設けられる。
以上により、ガラリ付き戸1が形成される。
【0013】
尚、パネル開口9の形状が矩形形状又は円形状であれば、支持枠体13はパネル開口9よりも大きい矩形形状のものを用いる。前枠面16及び後枠面19は、支持枠体13の矩形形状の開口を塞ぐ大きさの矩形形状パネルの中央部にパネル開口9の径よりも小さい径の開口が形成されたものを用いる。当該開口の最小径は、複数個のそれぞれの羽根41の少なくとも一部が戸の外側から目視できるような寸法に設定される。
【0014】
また、羽根41が固定式の場合、図1(a)に示すように、最上部の羽根41の前面45と前枠面16とが接触し、最上部の羽根41の後面46と後枠面19とが接触するように形成され、かつ、最下部の羽根41の前面45と前枠面16とが接触し、最下部の羽根41の後面46と後枠面19とが接触するように形成されることによって、少なくとも最上部と最下部との間に位置する羽根41の前後面45;46がパネル開口9を介して外部から目視されるようになり、意匠性も確保される。
【0015】
本形態によれば、前面パネル5と後面パネル8とでガラリ10を挟み込むという簡単でかつ安価の構造のガラリ付き戸1において、パネル開口縁21が前枠面16や後枠面19の枠内周縁20a;20bである支持枠部12の開口31の開口縁20よりもパネル開口9の中心C側に突出しない構造としたので、手等がパネル開口縁21近辺における前後のパネルの内面25に接触することがなくなって、従来のように支持枠部12の枠内周縁20a;20bよりも線状に突出するパネル開口縁21が手等に線接触するようなことがなくなるので、パネル開口縁21で手等を切ったりすることがなくなり、安全性の高い戸が得られる。
また、前枠面16及び後枠面19をMDFにより形成したので、前枠面16及び後枠面19の軽量化が図れる。
【0016】
支持枠部12の全てをMDFにより形成してもよい。支持枠部12は、金属、合成樹脂等で形成してもよい。
前面パネル5、後面パネル8、枠体2、ガラリ10は、合成樹脂製、木製の板材を使用してもよい。
要するに、本願では、戸を構成する材料は、金属、合成樹脂、木等を使用すればよい。このように、構成材料を特に限定しなくても、パネル開口縁21が前枠面16や後枠面19の枠内周縁20a;20bである支持枠部12の開口31の開口縁20よりもパネル開口9の中心C側に突出しない構造とすれば、本願の所期の目的である、飾り構成部を備え、安価で、かつ、安全性の高い戸等の建具を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、開閉扉(ドア)、引き違い戸、嵌め戸、欄間等の建具に設けるガラリ10とパネル開口9との構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 ガラリ付き戸(建具)、5 前面パネル、8 後面パネル、9 パネル開口、
12 支持枠部、13 支持枠体、16 前枠面、19 後枠面、
20a,b 枠内周縁、21 パネル開口縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面同士が互いに離れて平行に対向する前面パネル及び後面パネルと、これら前面パネル及び後面パネルを貫通するように形成されたパネル開口と、前面パネルと後面パネルとの間に設置されてパネル開口を塞ぐ飾り構成部とを備えた建具において、飾り構成部が、飾り部と、飾り部の周囲を囲んで飾り部を支持する支持枠部とを備え、支持枠部の枠内周縁が、パネル開口のパネル開口縁に沿ってパネル開口縁よりもパネル開口の中心側に位置されたことを特徴とする建具。
【請求項2】
支持枠部が、上記飾り部の周囲を囲んで飾り部を支持する支持枠体と、上記枠内周縁を有して上記支持枠体の前縁面に取付けられて上記前面パネルと接触する前枠面と、上記枠内周縁を有して上記支持枠体の後縁面に取付けられて上記後面パネルと接触する後枠面とを備え、上記前枠面と後枠面とがMDFにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163808(P2010−163808A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7770(P2009−7770)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】