説明

建具

【課題】利便性や清掃性、意匠性を高めるとともに薄型化や軽量化を図ることができる建具を提供すること。
【解決手段】戸先側の縦枠6における見込み面部6Fの裏側である中空部6E内部に閉鎖維持装置20の受け体22を設けたことで、見込み面部6Fの表面をフラットに形成することができ、出入りの際に衣服等の引っ掛かりがなく利便性を高めるとともに、意匠性や清掃性も向上させることができる。また、障子10における戸先側の縦框14に装置本体21を内蔵するとともに、障子10の開放時に移動部24が縦框14内部に没入するようにしたことで、障子10の開放状態で縦框14から部材が突出しないようにでき、さらに利便性および清掃性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に開閉自在に支持された面材の閉鎖状態を維持する維持装置を有した建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の開閉形式で面材が開閉される建具において、閉鎖した面材を枠体に対して係止することで面材の閉鎖状態を維持するラッチ装置が利用されている。このようなラッチ装置としては、ばねで付勢されたラッチ部材などがラッチ受けの孔等に機械的に係合する形式であって、面材を閉じた際にラッチ部材がラッチ受けに自動的に係合し、ハンドル操作によってラッチ装置の係合を解除してから面材を開放するものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のラッチ装置は、開き戸(ドア)の戸先框にラッチ本体が設けられるとともに内外のハンドルと接続され、縦枠の見込み面から突出してラッチ受けが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−350952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のラッチ装置では、戸先框からラッチ部材が突出して設けられるとともに、縦枠の見込み面から突出してラッチ受けが取り付けられていることから、面材を開放して出入りする際にラッチ部材やラッチ受けに衣服などが引っ掛かる可能性がある。さらに、ラッチ部材やラッチ受けなどの凹凸があることで、建具の清掃性が低下したり、意匠性が低下するなどの不都合とともに、閉鎖状態から開放する際に、ハンドル操作によってラッチ部材を縦框に没入させる必要があり、利便性の面でも劣ってしまうという不都合がある。また、ラッチ本体におけるラッチ部材の突没の機構に加えて、ラッチ本体とハンドルとを接続する必要があり、このラッチ本体を収納する縦框の寸法、特に見込み寸法が大きくなってしまい、面材の薄型化や軽量化を十分に図ることができないという不都合もある。
【0005】
本発明の目的は、利便性や清掃性、意匠性を高めるとともに薄型化や軽量化を図ることができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、枠体と、この枠体に開閉自在に支持される面材と、この面材の閉鎖状態を維持する閉鎖維持装置とを備えた建具であって、前記枠体は、上枠、下枠および左右の縦枠を有し、前記面材は、前記左右の縦枠の一方と対向して閉じる戸先側の縦框を少なくとも有して構成され、前記閉鎖維持装置は、前記戸先側の縦框に内蔵される第1部材と、前記一方の縦枠、上枠または下枠の少なくとも1つに設けられる第2部材とを備え、前記面材の閉鎖状態において、前記第1および第2の部材が互いに吸引し合うことで、当該面材の閉鎖状態を維持可能に構成され、前記一方の縦枠、上枠および下枠は、見込み方向に延びて前記戸先側の縦框と対向可能な見込み面部を有し、この見込み面部の裏側に前記第2部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の建具としては、出入り口に用いられるドアや開き窓のように面材が回動開閉自在に支持されたものでもよいし、引戸や引違い窓、片引き窓のように面材がスライド開閉自在に支持されたものでもよく、面材の開閉形式は特に限定されるものではない。すなわち、面材が開閉される際に枠体との間で互いに離間、接近する位置に閉鎖維持装置が設けられていればよく、このような互いに離間、接近する一方としての縦框に第1部材が設けられ、他方としての縦枠、上枠および下枠の少なくとも1つに第2部材が設けられていればよい。また、面材の閉鎖状態において、第1および第2の部材が互いに吸引し合う機構としては、互いに磁力で吸引されるものでもよいし、その他の吸引手段を用いたものでもよい。
【0008】
以上の本発明によれば、一方の縦枠、上枠および下枠のうちの少なくとも1つにおける見込み面部の裏側(見付け方向外側)に第2部材を設けたことで、見込み面部の表面(見付け方向内側の面であり、意匠面)をフラットに形成することができる。これにより、衣服等の引っ掛かりがなく利便性を高めるとともに、意匠性や清掃性も向上させることができる。また、面材における戸先側の縦框に第1部材を内蔵したことで、面材の開放状態で第1部材を突出させないようにでき、出入り等の際に引っ掛かりを防止して利便性を向上させることができる。また、第1および第2の部材間の吸引力によって面材の閉鎖状態を維持することで、縦框と枠体の見込み面部との間に従来のラッチ装置のような機械的に係合する部材を設ける必要がないことから、開閉する際の衝撃音の発生や振動を抑制することができる。さらに、面材を開放する際にもハンドル操作を不要にして、ハンドルと第1部材とを接続しなくてもよいことから、第1部材を収納する縦框の寸法(特に、見込み寸法)を小さくすることができ、面材の薄型化や軽量化を実現することができる。
【0009】
この際、本発明の建具では、前記面材における前記戸先側の縦框と反対側の吊り元側が前記枠体に軸支された開き戸であるか、または前記面材が一対で構成されて互いに折れ曲がり自在に連結されるとともに、一方の面材における前記戸先側の縦框が前記枠体に回動自在かつスライド自在に支持され、他方の面材における吊り元側が前記枠体に軸支された折れ戸であることが好ましい。
このような構成によれば、開き戸と折れ戸とで、戸先側の縦框と一方の縦枠、上枠または下枠とにおける閉鎖維持装置の部品や取り付けの納まりを共通化することができる。さらに、面材を交換することで、開き戸から折れ戸に、または折れ戸から開き戸にと、開閉形式を変更することができる。なお、本発明の建具は、開き戸や折れ戸に限らず、枠体における面材の支持構造を工夫する、例えば、レール等を別体のアタッチメントとして取り付けたり取り外して交換したりすることで、引き戸などにも変更することができる。
【0010】
さらに、本発明の建具では、前記吊り元側の縦框は、その上下端部に設けられたヒンジ部材を介して前記上枠および下枠に回動自在に支持され、前記ヒンジ部材の回動軸は、当該吊り元側の縦框の見込み方向略中央に位置して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、開き戸と折れ戸とにおいて、吊り元側の縦框と他方の縦枠、上枠および下枠との納まりも共通化することができる。さらに、吊り元側の縦框の見込み方向略中央に回動軸を設けることで、面材を開閉する際の吊り元側の縦框の回動軌跡を最小の範囲に限定することができ、他方の縦枠との距離変動(隙間)を一定にして指詰め等可能性を回避することができる。
【0011】
また、本発明の建具では、前記戸先側の縦框における見付け方向外側の面には、前記一方の縦枠の見込み面部と非平行で、かつ前記面材の開放側に向かって当該見込み面部から離れる方向に傾斜した非平行面部が形成されていることが好ましい。
ここで、非平行面部としては、平面で構成されてもよいし、円弧状や楕円状などの曲面で構成されてもよく、さらには複数の平面を組み合わせた多角形状や、平面と曲面とを組み合わせた形状で構成されてもよい。
このような構成によれば、面材の開放側に向かって見込み面部から離れる方向に傾斜した非平行面部を戸先側の縦框に形成することで、縦枠と縦框との隙間からの排水性を高めるとともに清掃具が入り込みやすくできるとともに、框自体も清掃しやすくなることから清掃性をさらに向上させることができる。また、従来のラッチ装置を設ける必要がないため、縦框に任意形状の非平行面を形成できるとともに、第1部材を設ける戸先側の縦框と他の框との意匠が統一できるなど、縦框および面材の意匠性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す正面図である。
【図2】前記建具を示す縦断面図である。
【図3】前記建具を示す横断面図である。
【図4】前記建具の面材を構成する縦框を示す横断面図である。
【図5】前記縦框の変形例を示す横断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る建具を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1〜図3において、本実施形態に係る建具である浴室出入り口用のドア1は、図示しない浴室壁や浴室床(防水パン)P、脱衣室の床F、額縁G等に固定される枠体としての建具枠2と、この建具枠2に開閉自在に支持される面材としての障子10とを備えて構成されている。建具枠2は、それぞれアルミ形材製の上枠3、下枠4および左右の縦枠5,6を四周枠組みして構成されている。障子10は、それぞれアルミ形材製の上框11、下框12および左右の縦框13,14を四周框組みした内部に樹脂パネル15を嵌め込んで構成されている。この障子10は、図1の右側であり図3の左側である吊元側の縦框13の上下端部がヒンジ部材であるピボットヒンジ16を介して上枠3および下枠4に回動自在に支持され、反対側である戸先側の縦框14が浴室側に開くように支持されている。また、障子10を閉じた際に戸先側の縦框14が縦枠6と対向し、これらの縦框14および縦枠6には、閉鎖状態を維持する閉鎖維持装置20が設けられている。
【0015】
縦枠5,6は、図3に示すように、断面角筒状の縦枠本体5A,6Aと、この縦枠本体5A,6Aの脱衣室側に延びる固定片部5B,6Bと、縦枠本体5A,6Aの脱衣室側位置から見付け方向内側に突出する気密材保持部5C,6Cとを有して形成されている。固定片部5B,6Bは、脱衣室側の額縁Gに固定され、気密材保持部5C,6Cには、閉じた障子10の縦框13,14に当接可能な気密材5D,6Dが保持されている。また、縦枠本体5A,6Aは、その内部に中空部5E,6Eを有するとともに、見付け方向内側の側面が見込み方向に延びて閉じた障子10の縦框13,14と対向可能な見込み面部5F,6Fとされている。
【0016】
縦框13,14は、図4(A)にも示すように、断面中空状に形成され、脱衣室側の第1見付け面部131,141と、浴室側の第2見付け面部132,142と、第1見付け面部131,141の見付け方向内端に連続して浴室側に延びる内側面部133,143と、第1および第2の見付け面部131,132,141,142の見付け方向外端を連結して円弧状に形成される非平行面部である外側面部134,144と、第2見付け面部132,142と内側面部133,143とを連結する屈曲部135,145とを有して形成されている。さらに、縦框13,14には、第2見付け面部132,142の先端部と屈曲部135,145とで三方を囲まれて見付け方向内側に開口したパネル保持溝136,146が形成され、このパネル保持溝136,146によって樹脂パネル15の側端縁が保持され、図示しない接着テープ等によってパネル保持溝136,146内部に樹脂パネル15が固定されている。
【0017】
吊元側の縦框13には、その上下端部にピボットヒンジ16が取り付けられ、このピボットヒンジ16の回動軸Oは、外側面部134の円弧形状の中心と略一致した位置に設けられている。すなわち、回動軸Oは、吊り元側の縦框13の見込み方向略中央に位置して設けられている。従って、図3に仮想線(二点鎖線)で示すように、障子10を開放した際に縦框13の外側面部134および第2見付け面部132と、これらに対向する縦枠5の見込み面部5Fとの距離が一定に維持されるとともに、第1見付け面部131および外側面部134と気密材5Dとの当接状態も維持されるようになっている。
戸先側の縦框14には、内側面部143に脱衣室側の把手17が固定され、第2見付け面部142に浴室側の把手18が固定されている。また、縦框14の上下端部近傍には、閉鎖維持装置20の装置本体21が内蔵され、外側面部144には、装置本体21の移動部24を挿通させる開口144Aが形成されている。
【0018】
閉鎖維持装置20は、戸先側の縦框14に内蔵される第1部材としての装置本体21と、縦枠6の中空部6E(つまり、見込み面部6Fの裏側)に設けられる第2部材としての受け体22とを備えて構成されている。装置本体21は、縦框14内部に固定される支持部23と、この支持部23に移動自在に支持される移動部24と、この移動部24を吸引する吸引部25とを有して構成されている。移動部24は、その内部に設けられる磁石26を有して構成され、この磁石26の磁力によって移動部24が吸引部25に吸引されるようになっている。受け体22は、鉄等の被磁着体または有磁体を有し、障子10を閉じた際に移動部24の磁石26を磁力で吸引可能に構成され、吸引部25による吸引力よりも強い磁力で移動部24を吸引することで、縦框14から移動部24を突出させ、縦枠6の見込み面部6Fを介して移動部24と受け体22とが吸着することで、障子10の閉鎖状態が維持されるようになっている。一方、障子10を開放した開放状態において、受け体22から装置本体21が離隔されることで、受け体22による吸引が解除された移動部24は、吸引部25に吸引されて縦框14内部に没入し、第2見付け面部142から移動部24が突出しないようになっている。
【0019】
以上のような閉鎖維持装置20の装置本体21を内蔵する戸先側の縦框14、これと同一断面を有した吊り元側の縦框13において、各部寸法は、図4(A)に示すように、見付け寸法L1が20mm〜40mm程度であり、見込み寸法L2が20mm〜30mm程度であり、パネル保持溝136,146の見込み方向の外形寸法L3が6mm〜8mm程度、見付け方向の外形寸法L4が8mm程度に設定されている。また、閉鎖維持装置20における磁石26の見込み方向幅寸法は10mm〜15mm程度に設定されており、この程度のサイズの磁石26を用いても障子10の閉鎖状態を十分に維持できることが確認されている。
なお、縦框13,14の形状は、図4(A)のものに限らず、図4(B)に示すように、見付け寸法L1が50mm〜100mm程度であってもよく、このように見付け寸法L1を適宜に設定することで、見込み寸法L2を拡大しなくても縦框13,14の剛性および強度を高め、これにより障子10全体の剛性および強度を確保できるようになっている。
さらに、戸先側の縦框14の形状は、図5(A)〜(D)に示すように、浴室側の把手18に代えて把手18Aを一体に形成したものや、脱衣室側および浴室側の把手17,18に代えて把手17A,18Aを一体に形成したものでもよい。このように縦框14に把手17A,18Aを一体に形成することで縦框14の剛性および強度を高めるようにしてもよい。
【0020】
以上の本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、戸先側の縦枠6における見込み面部6Fの裏側である中空部6E内部に閉鎖維持装置20の受け体22を設けたことで、見込み面部6Fの表面(意匠面)をフラットに形成することができる。これにより、出入りの際に衣服等の引っ掛かりがなく利便性を高めるとともに、意匠性や清掃性も向上させることができる。また、障子10における戸先側の縦框14に装置本体21を内蔵するとともに、障子10の開放時に移動部24が縦框14内部に没入するようにしたことで、障子10の開放状態で縦框14から部材が突出しないようにでき、さらに利便性および清掃性を向上させることができる。また、従来のラッチ装置のような機械的に係合する部材が不要にできることから、障子10を開閉する際の衝撃音の発生や振動を抑制することができるとともに、障子10を開放する際にも係合を解除するためのハンドル操作を不要にして、ハンドルと装置本体21とを接続しなくてもよいことから、装置本体21を収納する縦框14の寸法(特に、見込み寸法L2)が小さくでき、障子10の薄型化や軽量化を実現することができる。
【0021】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るドア1Aについて、図6を参照して説明する。本実施形態のドア1Aは、前記第1実施形態の開き戸であるドア1と相違した折れ戸であるものの、建具枠2、障子10A,10Bの大半の部材、閉鎖維持装置20などにおいて部材が共通化されている。以下、相違点を詳しく説明する。
ドア1Aは、互いに折れ曲がり自在に連結される一対の障子10A,10Bを有し、一方の面材である障子10Aにおける戸先側の縦框14が建具枠2に回動自在かつスライド自在に支持され、他方の面材である障子10Bにおける吊り元側の縦框13が建具枠2に軸支された折れ戸であり、縦框13,14の構成は前記第1実施形態と同様である。一対の障子10A,10Bの連結部には、縦框13,14に代えて連結框19が設けられ、これらの連結框19同士が連結部材19Aによって回動自在に連結されている。
【0022】
本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、第1実施形態の開き戸であるドア1と第2実施形態の折れ戸であるドア1Aとで、建具枠2や障子10,10A,10Bの各部材(連結框19を除く)、ピボットヒンジ16、閉鎖維持装置20などの部品、各部の取り付けの納まりなどを共通化することができる。さらに、部品を共通化したことにより、障子10を障子10A,10Bに交換することで、開き戸から折れ戸に開閉形式を変更したり、または逆に折れ戸から開き戸に開閉形式を変更したりすることができる。
【0023】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、浴室出入り口用のドア1,1Aを例示して説明したが、本発明の建具としては、浴室出入り口用のものに限らず、部屋の入口などに設けられるドアであってもよいし、窓であってもよい。また、前記実施形態では、面材である障子10が回動開閉可能に設けられた開き戸と、一対の面材が折れ曲がって開閉可能に設けられた折れ戸とを例示したが、面材の開閉形式としては、引戸などのようにスライド開閉可能なものであってもよい。
【0024】
また、閉鎖維持装置20としては、前記実施形態のように、戸先側の縦框14の上下端部に装置本体21が設けられ、これと対向する縦枠6に受け体22が設けられたものに限らず、装置本体21が縦框14の中間部の1箇所または複数箇所に設けられて、これと対向する縦枠6に受け体22が設けられていてもよい。さらに、装置本体21が戸先側の縦框14の上端部および下端部の少なくとも一方、あるいは上框11および下框12の少なくとも一方に設けられて、その移動部24が上下に突没自在に設けられていてもよく、その場合には、装置本体21と対向する位置である上枠3および下枠4の少なくとも一方に受け体22が設けられていればよい。さらに、前記第2実施形態のように建具が折れ戸の場合には、連結框19の上下端部や連結部材19Aの上下端部と、これらと対向する上枠3や下枠4とに閉鎖維持装置20が設けられていてもよい。
【0025】
また、前記実施形態の閉鎖維持装置20では、装置本体21が障子10の縦框14に設けられるとともに受け体22が縦枠6に設けられていたが、これに限らず、面材に第1部材である受け体が設けられるとともに枠体に第2部材である装置本体が設けられていてもよい。さらに、閉鎖維持装置20では、移動部24が突没自在に設けられていたが、これに限らず、突没不能でかつ受け体との間で吸引可能に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、縦枠6が中空部6Eを有し、この中空部6E内部に第2部材である受け体22が設けられていたが、これに限らず、縦枠6が中空部6Eを有さない場合でも見込み面部6Fの裏側に第2部材が設けられていればよい。
また、前記実施形態では、縦框13,14が円弧状の外側面部134,144を有して形成されていたが、縦框における見付け方向外側の面(非平行面部)としては、円弧状の形態に限らず、適宜な傾斜面を有した多角形状に形成されていてもよいし、R形状の面取りを有して形成されていてもよい。
さらに、面材を回動自在に支持するヒンジ部材としては、吊元側の縦框13の上下端部に設けられたピボットヒンジ16に限らず、吊元側の縦框13と縦枠5とに渡って設けられる丁番であってもよい。
【0026】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
1,1A…ドア(建具)、2…建具枠(枠体)、3…上枠、4…下枠、5,6…縦枠、5F,6F…見込み面部、10…障子(面材)、13,14…縦框、16…ピボットヒンジ(ヒンジ部材)、20…閉鎖維持装置、21…装置本体(第1部材)、22…受け体(第2部材)、134,144…外側面部(非平行面部)、O…回動軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、この枠体に開閉自在に支持される面材と、この面材の閉鎖状態を維持する閉鎖維持装置とを備えた建具であって、
前記枠体は、上枠、下枠および左右の縦枠を有し、前記面材は、前記左右の縦枠の一方と対向して閉じる戸先側の縦框を少なくとも有して構成され、
前記閉鎖維持装置は、前記戸先側の縦框に内蔵される第1部材と、前記一方の縦枠、上枠または下枠の少なくとも1つに設けられる第2部材とを備え、前記面材の閉鎖状態において、前記第1および第2の部材が互いに吸引し合うことで、当該面材の閉鎖状態を維持可能に構成され、
前記一方の縦枠、上枠および下枠は、見込み方向に延びて前記戸先側の縦框と対向可能な見込み面部を有し、この見込み面部の裏側に前記第2部材が設けられている建具。
【請求項2】
前記面材における前記戸先側の縦框と反対側の吊り元側が前記枠体に軸支された開き戸であるか、
または
前記面材が一対で構成されて互いに折れ曲がり自在に連結されるとともに、一方の面材における前記戸先側の縦框が前記枠体に回動自在かつスライド自在に支持され、他方の面材における吊り元側が前記枠体に軸支された折れ戸である請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記吊り元側の縦框は、その上下端部に設けられたヒンジ部材を介して前記上枠および下枠に回動自在に支持され、前記ヒンジ部材の回動軸は、当該吊り元側の縦框の見込み方向略中央に位置して設けられている請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記戸先側の縦框における見付け方向外側の面には、前記一方の縦枠の見込み面部と非平行で、かつ前記面材の開放側に向かって当該見込み面部から離れる方向に傾斜した非平行面部が形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−117240(P2012−117240A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266471(P2010−266471)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】