建具
【課題】上部ピボットヒンジの軸受けを上枠に簡単に取り付け、取り外しできると共に、その軸受が目視されずに見栄えが良い建具とする。
【解決手段】扉体2を枠体1に面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジ3の軸受け3aを、上枠10の上面に軸受け取付部材6とともに第1の位置と第2の位置に亘って面内方向に移動自在に設け、その軸受け取付部材6が第1の位置のときには上枠10の下面側からピボット軸3bを軸受け3aに嵌合、抜け出しでき、第2の位置のときには上枠10の下面側から軸受け3aを軸受け取付部6に取り付け、取り外しできるようにすることで、軸受けを簡単に取り付け、取り外しできるようにすると共に、軸受け、軸受け取付部材が目視されずに見栄えが良い建具とする。
【解決手段】扉体2を枠体1に面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジ3の軸受け3aを、上枠10の上面に軸受け取付部材6とともに第1の位置と第2の位置に亘って面内方向に移動自在に設け、その軸受け取付部材6が第1の位置のときには上枠10の下面側からピボット軸3bを軸受け3aに嵌合、抜け出しでき、第2の位置のときには上枠10の下面側から軸受け3aを軸受け取付部6に取り付け、取り外しできるようにすることで、軸受けを簡単に取り付け、取り外しできるようにすると共に、軸受け、軸受け取付部材が目視されずに見栄えが良い建具とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に扉体を、ピボットヒンジを用いて閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体に扉体を、ピボットヒンジを用いて閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具が種々提案されている。
例えば、特許文献1、特許文献2に開示したように、扉体の吊元側の上・下部に上部ピボット軸、下部軸受けをそれぞれ取り付けると共に、上枠の一方の縦枠寄りに上部軸受けを取り付け、下枠の一方の縦枠寄りに下部ピボット軸を取り付け、上部ピボット軸を上部軸受けに回動自在に挿入し、下部ピボット軸を下部軸受けに回動自在に挿入することで、扉体を枠体に、上部・下部ピボットヒンジで閉じ位置と開き位置に亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−198028号公報
【特許文献2】特開2010−222962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の建具においては、長期間の使用等により上部ピボットヒンジの軸受けが異常に摩耗したり、損傷することがあるので、定期的に、その軸受けを取り外して点検し、異常摩耗、損傷している場合には新しい軸受けを取り付け、そうでない場合には、その軸受を再び取り付けることがあるから、上部ピボットヒンジの軸受けを簡単に取り付け、取り外しできるようにしている。
例えば、上枠の下面に軸受けをビスで固着して取り付け、そのビスを弛めることで取り外しできるようにしている。
【0005】
このために、上枠の下面に軸受けが露出し、その軸受けが目立つので、外観の見栄えが悪い。
【0006】
本発明の目的は、上部ピボットヒンジの軸受けを簡単に取り付け、取り外しできると共に、その軸受けが目視されずに外観の見栄えが良い建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、扉体を枠体に閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジを、上枠の上面に設けた軸受けと、扉体の吊元側に設けたピボット軸を回動自在に連結したものとし、
前記上枠の上面に軸受け取付部材を第1の位置と第2の位置とに亘って面内方向に移動できるように設け、
前記軸受け取付部材が第2の位置のときには、上枠の下面側から軸受けを軸受け取付部材に着脱自在とし、かつ前記軸受けを取付けた状態で前記軸受け取付部材を第1の位置に移動可能とし、
前記軸受け取付部材が第1の位置のときには、前記軸受けを上枠の上面で支持し、かつ上枠の下面側からピボット軸を軸受けに嵌合、抜き出し自在としたことを特徴とする建具である。
【0008】
本発明においては、前記軸受け取付部材には前記軸受けを挿入する軸受け挿入口が設けられ、前記上枠には、前記ピボット軸が挿通するが前記軸受けは挿通しない第1孔と、前記軸受けが挿通する第2孔とが、その中心が面内方向に離隔して形成されており、
前記軸受け取付部材の前記第1の位置は、軸受け挿入口が第1孔と重なる位置であり、前記第2の位置は、軸受け挿入口が第2孔と重なる位置であるようにできる。
このようにすれば、軸受け取付部材を第1の位置とすることで、第1孔からピボット軸を軸受けに嵌合したり、抜き出しできるから、扉体の吊元側上部を上枠に取り付け、取り外しできる。
また、軸受け取付部材を第2の位置とすることで、第2孔から軸受けを抜き出したり、挿入でき、上枠の下面側から軸受けを簡単に取り付け、取り外しできる。
【0009】
本発明においては、前記軸受けは、ピボット軸が回転自在に嵌合する軸孔を有する本体部と、この本体部の外周面よりも張り出した張り出し部を有し、
前記軸受け取付部材が第1の位置では、前記軸受けの軸孔が前記上枠の第1孔と重なり、かつ前記軸受けの前記張り出し部が上枠の上面で支持されるようにできる。
このようにすれば、軸受け取付部材が第1の位置のときに、軸受けは軸受け挿入穴と上枠の上面とで支持されると共に、第1孔を通して本体部の軸孔にピボット軸を嵌合、抜き出しできるから、軸受けをガタついたりしないように支持して扉体を開閉する際に扉体が動いたりしないようにできると共に、扉体の吊元側上部を上枠に簡単に取り付け、取り外しできる。
また、軸受け取付部材が第2の位置のときには、軸受けを第2孔を通して軸受け挿入穴に挿入、抜き出しできるから、軸受けを上枠に簡単に取り付け、取り外しできる。
【0010】
本発明においては、前記上枠には、 その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス挿通孔が形成されていると共に、前記軸受け取付部材には、その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス孔が形成され、
前記ビス挿通孔の中心間寸法とビス孔の中心間寸法が異なるように形成し、
ビス挿通孔から固定ビスをビス孔に螺合することで、前記軸受け取付部材の第1の位置を調整して固定可能とした固定手段を有する。
このようにすれば、固定ビスを挿入するビス挿通孔、螺合するビス孔を変えることで、軸受け取付部材が軸受けとともに面内方向に移動するから、軸受けを面内方向に移動して扉体の戸先チリを調整できる。
しかも、固定ビスはビス挿通孔に隙間なく嵌合するようにできるので、その固定ビスが弛んでも軸受け取付部材が振動などで面内方向に動くことがなく、扉体が開閉時にガタついたり、軸受けが上枠から外れることがない。
【0011】
本発明においては、前記軸受け取付部材の吊元寄りに軸受けを設けると共に、戸先寄りに固定手段を設け、扉体を開き位置に向けて回動した状態で前記軸受け取付部材の固定及び固定解除が可能であるようにできる。
このようにすれば、扉体を枠体に取り付けた状態で、戸先チリの調整を簡単にできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸受け、軸受け取付部材は上枠の上面に設けられて上枠の下面側からは目視されないので見栄えが良い。
また、軸受け取付部材を第2の位置とすることで、上枠の下面側から軸受けを簡単に取り出し、取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態を示す建具の概略外観図である。
【図2】図1のA−A拡大詳細縦断面図である。
【図3】図2のB−B横断面図である。
【図4】上枠と一方の縦枠の連結部分の斜視図である。
【図5】上枠と軸受けと軸受け取付部材の分解斜視図である。
【図6】図3において軸受け取付部材を第2の位置に移動した説明図である。
【図7】図3のC−C拡大断面図である。
【図8】図3において軸受け取付部材を戸先チリ調整移動した説明図である。
【図9】図8のD−D拡大断面図である。
【図10】図3のE−E拡大断面図である。
【図11】固定手段の第2の実施の形態を示す横断面図である。
【図12】図11のF−F拡大断面図である。
【図13】固定手段の第3の実施の形態を示す横断面図である。
【図14】図13のG−G拡大断面図である。
【図15】固定手段の第4の実施の形態を示す横断面図である。
【図16】戸先チリを調整した状態の説明図である。
【図17】固定手段の第5の実施の形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、枠体1と扉体2で建具としてある。
枠体1は、上枠10と下枠11と一方の縦枠12と他方の縦枠13で方形状である。
扉体2の吊元側2aの上部が上枠10の一方の縦枠12寄りに上部ピボットヒンジ3で面外方向に回動自在に支持され、この扉体2の吊元側2aの下部が下枠11の一方の縦枠12寄りに下部ピボットヒンジ4で面外方向に回動自在に支持され、扉体2は閉じ位置と開き位置に亘って面外方向に回動自在で、扉体2の戸先側2bに把手20が取り付けてあると共に、他方の縦枠13と対向する。
【0015】
上部ピボットヒンジ3は、上枠10に設けた軸受け3aと、扉体2の吊元側2aの上部に取り付けたピボット軸3bを回動自在に嵌合して連結してある。
下部ピボットヒンジ4は、扉体2の吊元側2aの下部に取り付けた軸受け4aと、下枠11に取り付けたピボット軸4bを回動自在に嵌合して連結してある。
【0016】
次に、上部ピボットヒンジ3の詳細を説明する。なお、図1に示す上部ピボットヒンジ3は概略的に図示してあるので、形状、寸法などが異なる。
【0017】
図2に示すように、上枠10は、面外方向(屋内外側方向)に向かう板状の本体14と、この本体14の面外方向の屋外側寄りに上方に向けて設けた取付片15と、本体14の面外方向の屋内側寄りに上方に向けて設けた立上り片16と、取付片15の上下方向の中間部と本体14の面外方向の中間部とに亘って設けた鉤状の連結片17を備え、この連結片17と取付片15と本体14とで中空部10aを形成している。
取付片15の本体14寄りに屋内側に向かう突片15aを有し、この突片15aと本体14の上面14bとで長手方向に連続し、屋内側に向かう凹溝15bを形成している。
連結片17の本体14寄りに屋外側に向かう突片17aを有し、この突片17aと本体14の上面14bとで長手方向に連続し、屋外側に向かう凹溝17bを形成している。
この凹溝17bと凹溝15bが面外方向に相対向して後述する軸受け取付部材を上枠10の長手方向に移動自在に支承するガイドを形成している。
【0018】
本体14の屋外寄りと取付片15の上部とに亘ってカバー18が取り付けてある。
上枠10は、中空部10aを有した屋外側部材と屋内側部材をアルミ押出形材により作製し、その屋外側部材と屋内側部材を断熱材で連結した断熱形材としてある。
この上枠10は、図3、図4に示すように本体14の下面14a(上枠10の下面10b)を縦枠12,13の長手方向の上端面に接して連結される。
【0019】
そして、取付片15を建物躯体5の屋外側面5aに接して固着具で固着すると共に、本体14を開口部5b内に挿入し、連結片17と立上り片16を開口部5bの上内面に接し、本体14を固着具で建物躯体5に固着して上枠10を取り付ける。
なお、上枠10の形状、縦枠12,13との連結、建物躯体5への取り付け、材質などは前述のものに限ることはなく、任意のものとすることができる。
【0020】
上部ピボットヒンジ3の軸受け3aは、図2に示すように、上枠10の中空部10a内において本体14の上面14b(つまり、上枠10の上面10c)に面内方向に移動自在に設けた軸受け取付部材6で設けてある。
上部ピボットヒンジ3のピボット軸3bは、図2に示すように扉体2の内部にブラケット21で取り付けられ、このピボット軸3bは扉体2の上面2cより上方に突出し、上枠10の本体14を貫通して軸受け3aに回動自在に嵌合している。
【0021】
このように、軸受け3a、軸受け取付部材6は上枠10の本体14の上面14bに設けてあるから、その軸受け3a、軸受け取付部材6が本体14の下面側から目視されることがなく、外観の見栄えが良い。
【0022】
図2〜図5に示すように、軸受け3aは、ピボット軸3bが回動自在に嵌合する軸孔30を有する本体部31と、この本体部31の下部に設けられ、その本体部31の外周面31aよりも張り出した張り出し部32を有している。例えば、鍔付きの円筒としてある。
この軸受3aは上枠10の本体14の上面14bに、その上枠10の長手方向に移動可能に載置されている。
【0023】
上枠10の本体14には、ピボット軸3bが挿通するが軸受け3aは挿通しない第1孔40と、軸受け3aが挿通する第2孔41が、その中心40a,41aが上枠10の長手方向(つまり、面内方向)に離隔して形成してある。
例えば、ピボット軸3b(軸孔30)と同一径の第1孔40と、軸受け3aの張り出し部32(鍔)よりも大径の第2孔41が、その中心40a,41aが面内方向に離隔し、かつ第1孔40の一部分と第2孔41の一部分が連続し、ほぼだるま形状に形成してある。
この第1孔40と第2孔41は連続せずに面内方向に離隔して形成しても良い。
【0024】
このようであるから、軸受け3aを本体14の下面側から第2孔41を通して本体14の上面14b側に挿入したり、下面14a側に引き出したりできるので、軸受け3aを上枠10の下面側から、その上枠10に取り付けたり、取り外したりできる。
また、軸受け3aを第1孔40と同心状の位置(合致した位置)とすることで、その軸受け3a(張り出し部32)が本体14の上面14bに接して落下しないように支持できると共に、その第1孔40からピボット軸3bを軸受け3aの軸孔30に嵌合したり、抜き出したりすることができるので、扉体2の上部を上枠10に回動自在に支承したり、上枠10から取り外したりすることができる。
【0025】
軸受け取付部材6は、上枠10の本体14の上面14bに沿って面内方向に移動自在に取り付けてある。例えば、軸受け取付部材6の面外方向両側端部を前述した凹溝15b,17bに、上枠10の長手方向端部からスライドして挿入して取り付けることで、その凹溝15b,17b(つまり、ガイド)に沿って面内方向に移動自在で、面外方向には動かないように取り付けてある。
前述した軸受け3aは、この軸受け取付部材6に下面側から着脱自在に設けられ、軸受け3aは軸受け取付部材6とともに面内方向に移動自在である。
そして、軸受け取付部材6は、軸受け3aが前述した第1孔40と合致した第1の位置と、軸受け3aが第2孔41と合致した第2の位置とに亘って面内方向に移動できるようにしてある。
【0026】
軸受け取付部材6が第2の位置のときには、軸受け3aを第2孔41から挿入、抜き出しできるので、軸受け3aを上枠10に取り付け、取り外しできる。
軸受け取付部材6が第1の位置のときには軸受け3aを、上枠10の本体14の上面14bと軸受け取付部材6とで倒れたり、ガタついたりしないように支持するので、ピボット軸3b(扉体2の吊元側2aの上部)を面外方向に回動自在に支承する。
【0027】
この実施の形態では、軸受け取付部材6は、その下面6aに開口した軸受け挿入穴60を有する。この軸受け挿入穴60は、軸受け3aの本体部31が挿入され、かつ上面6bに開口した上部穴61と、軸受け3aの張り出し部32が挿入され、上部穴61と連続し、かつ下面6aに開口した下部穴62を有した段付き穴で、その下部穴62と上部穴61との段差63で張り出し部32を上枠10の本体14の上面14bに押しつけて軸受け3aを支持している。
このようにすれば、軸受け3a(本体部31)が軸受け取付部材6の上面6bよりも上方に突出すると共に、ピボット軸3bも軸受け取付部材6の上面6bよりも上方に突出することができるので、軸受け取付部材6を薄い板状のコンパクトなものにできる。
【0028】
前述した軸受け挿入穴60は、軸受け3aの張り出し部32が挿入し、かつ下面6aにのみ開口した穴とし、その軸受け挿入穴60の底面が本体部31の上端面に接して張り出し部32を上枠10の本体14の上面14bに押しつけるようにしても良い。
【0029】
図3に示すように、上枠10の本体14における軸受け取付部材6よりも吊元側寄り(一方の縦枠12寄り)には、一対のビス19を螺合してストッパとしてある。
つまり、第1孔40の中心40aは第2孔41の中心41aよりも戸先側寄りで、軸受け取付部材6を第2の位置に移動したときに、図6に示すように軸受け取付部材6がビス19に当接して位置決めし、軸受け3aの中心が第2孔41の中心41aに正しく合致するようにしてある。
【0030】
図2と図4に示すように、上枠10の本体14の下方から、固定ビス7を本体14を貫通して軸受け取付部材6に螺合することで、その軸受け取付部材6を前述した第1の位置で固定し、軸受け取付部材6の固定手段としてある。
【0031】
このようであるから、扉体2とともにピボット軸3bを軸受け3aから抜き出して扉体2を枠体1から取り外した状態で、前述した固定ビス7を弛めて軸受け取付部材6を上枠10の面内方向に移動可能な状態とする。
この状態で、第1孔40、第2孔41にドライバーなどの工具を挿入し、その工具を軸受け3aの軸孔30に挿入して斜めの姿勢に動かすことで軸受け取付部材6を第1の位置から第2の位置に向けて面内方向に移動し、軸受け取付部材6がビス19に当接することで第2の位置で停止する。
この第2の位置とは、軸受け挿入穴60が第2孔41と重なる位置である。
つまり、軸受け取付部材6は本体14の下面側(上枠10の下面側)から第1の位置と第2の位置に移動できるようにしてある。
そして、軸受け3aを第2孔41から抜き出すことで上枠10から取り外しできる。
なお、軸受け取付部材6に摘みを設け、本体14には面内方向のスリットを形成し、その摘みをスリットに挿入することで、本体14の下面側から摘みを持って面内方向に移動するようにしても良い。
【0032】
軸受け3aを再び上枠10に取り付けたり、新しい軸受け3aを上枠10に取り付ける場合には、軸受け3aを第2孔41から軸受け取付部材6の軸受け挿入穴60内に挿入し、前述のように工具を用いて軸受け3aとともに軸受け取付部材6を第1の位置に向けて移動する。
この第1の位置は、軸受け挿入穴60が第1孔40と重なる位置である。
そして、固定ビス7を再び軸受け取付部材6に螺合して第1の位置で固定することで軸受け3aを上枠10に取り付ける。
【0033】
このようであるから、軸受け3aを上枠10に簡単に取り付け、取り外しすることができる。
【0034】
前述した建具においては、扉体2の戸先チリを調整できるようにしてある。
下部ピボットヒンジ4を固定した状態で、上部ピボットヒンジ3の軸受け3aを面内方向に移動することで、ピボット軸3bとともに扉体2の吊元側2aの上部を面内方向に移動して戸先チリを調整するようにしてある。
【0035】
次に、軸受け3aを戸先チリ調整のために移動する構成を説明する。
図3、図5に示すように、上枠10の本体14には一対の第1ビス挿通孔70,70が面外方向に離隔して形成されていると共に、一対の第2ビス挿通孔71,71が面外方向に離隔して形成されている。
第1ビス挿通孔70の中心70aと第2ビス挿通孔71の中心71aは面内方向に離隔し、第1ビス挿通孔70の中心70aよりも第2ビス挿通孔71の中心71aが吊元側に位置していると共に、第1・第2ビス挿通孔70,71よりも前述の第1孔40、第2孔41が吊元側に位置している。
上枠10の本体14における第1孔40、第2孔41と面外方向に隣接した位置に長孔72が形成されている。この長孔72は上枠10の面内方向に長い長孔である。
【0036】
軸受け取付部材6には、一対の第1ビス孔64,64が面外方向に離隔して形成されていると共に、一対の第2ビス孔65,65が面外方向に離隔し形成されている。
第1ビス孔64の中心64aと第2ビス孔65の中心65aは面内方向に離隔し、第1ビス孔64の中心64aよりも第2ビス孔65の中心65aが吊元側に位置していると共に、第1・第2ビス孔64,65よりも前述の軸受け挿入穴60が吊元側に位置している。
【0037】
一対の第1ビス挿入孔70の中心70a間の面外方向寸法L1と一対の第2ビス挿入孔71の中心71a間の面外方向寸法L1は同一で、一対の第1ビス孔64の中心64a間の面外方向寸法L2と一対の第2ビス孔65の中心65a間の面外方向寸法L2は同一である。
そして、前記各面外方向寸法L1,L2は同一である。
【0038】
図7に示すように、第1ビス挿入孔70の中心70aと第2ビス挿入孔71の中心71aの面内方向寸法L3と、第1ビス孔64の中心64aと第2ビス孔65の中心65aの面内方向寸法L4は異なる。例えば、面内方向寸法L3よりも面内方向寸法L4が2mm小さい。
【0039】
このようであるから、図3、図7に示すように、第1ビス挿通孔70の中心70aと第1ビス孔64の中心64aが一致したときには第2ビス挿通孔71と第2ビス孔65が連通するが、中心71aと中心65aが2mmずれる。
図8、図9に示すように、第2ビス挿通孔71の中心71aと第2ビス孔65の中心65aが一致したときには第1ビス挿通孔70と第1ビス孔65が連通するが、中心が2mmずれる。
【0040】
したがって、図3、図7に示すように、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第1ビス孔64に螺号した状態から、図8、図9に示すように、固定ビス7を第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した状態とすると、軸受け取付部材6は面内方向の吊元側に2mm移動するから、軸受け3aを面内方向に2mm移動して戸先チリを調整できる。
この軸受け3aの面内方向の移動量は2mmに限ることはなく、適宜の移動量として戸先チリの調整寸法を適宜設定できる。
【0041】
このように、上枠10(本体14)に形成した第1ビス挿通孔70と第2ビス挿通孔71の中心間の寸法と、軸受け取付部材6に形成した第1ビス孔64と第2ビス孔65の中心間の寸法を異ならせ、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第2ビス孔64に螺合した場合と、第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した場合とで軸受け取付部材6を、前述の中心間の寸法の差だけ面内方向に移動して軸受け3aを移動するようにしたので、第1・第2ビス挿通孔70,71を丸穴(つまり、固定ビス7が隙間なく嵌合する形状)とすることができる。
したがって、固定ビス7が若干弛んでも軸受け取付部材6が振動などで面内方向に動くことがなく、軸受け3aが面内方向に動いて扉体2が開閉時にガタついたりすることがないと共に、軸受け3aが上枠10から外れることがない。
【0042】
前述のように、固定ビス7を第1又は第2ビス挿通孔70,71から抜き出したときに、軸受け取付部材6が面内方向に自由に動いて第1ビス挿通孔70と第1ビス孔64及び第2ビス挿通孔71と第2ビス孔65がそれぞれ連通しなくなり、固定ビス7を挿入できなくなる恐れがあるので、図3、図10に示すように、前述した上枠10の本体14に形成した長孔72から段付きビス8を軸受け取付部材6に形成したビス孔66に螺合し、この段付きビス8の大径軸80の端面81を軸受け取付部材6の下面6aに接し、その大径軸80と長孔72とで軸受け取付部材6の面内方向の移動量(距離)を前述の戸先チリ調整量(2mm)に規制している。つまり、軸受け取付部材6の面内方向移動量を規制する手段としてある。
【0043】
このようにすることで、固定ビス7を抜き出したときに軸受け取付部材6の最大移動量は2mmであるから、固定ビス7を挿入できなくなることがない。
【0044】
前述した図3と図6に示すように軸受け取付部材6を第1の位置と第2の位置とに移動する際には、その移動量が前述した戸先チリ調整時の移動量よりも大きいので、前述した固定ビス7及び段付きビス8を弛めて取り外しする。
そして、図6に示すように、軸受け取付部材6がストッパ(ビス19)に当接する第2の位置に移動したら、段付きビス8を長孔72から軸受け取付部材6に形成した補助ビス孔67に螺合し、軸受け取付部材6の戸先側への移動を規制する。
つまり、補助ビス孔67はビス孔66よりも戸先側寄りに、前述した第1孔40と第2孔41の中心間寸法だけ離隔して形成してある。
【0045】
このようであるから、上枠10から軸受け3aを取り外したり、取り付けるときに軸受け取付部材6を第2の位置に保持することができる。
【0046】
前述したように、軸受け取付部材6の面内方向移動量を戸先チリ調整量に規制する手段は、段付きビス8を長孔72からビス孔66に螺合するのに限ることはない。
例えば、上枠10の本体14に規制用ビスを螺合し、その規制用ビスの先端を軸受け取付部材6に形成した面内方向の長穴に挿入することで、この長孔の長手方向両端部が規制用ビスの先端部に当接することによって面内方向移動量を戸先チリ調整量に規制するようにしても良い。
【0047】
前述した軸受け取付部材6を第1の位置で固定、固定解除する固定手段は、ビス挿通孔とビス孔を2つとしたが、これに限ることはなく、3つ以上としても良い。
このように、ビス挿通孔、ビス孔を3つ以上とすれば、扉体6の戸先チリ調整量を大きくすることができる。
なお、ビス挿通孔、ビス孔を3つ以上として戸先チリ調整量を大きくした場合には、前述の規制手段の最大面内方向移動量も大きくする。例えば、長孔72の面内方向の長さを長くする。
【0048】
図11と図12に示すように、上枠10の本体14に第1・第2・第3ビス挿通孔70,71,73を形成し、軸受け取付部材6に第1・第2・第3ビス孔64,65,68を形成する。
そして、第2ビス孔65の中心65aと第3ビス孔68の中心68aとの面内方向の寸法L5を、第1ビス孔64と第2ビス孔65の中心64a,65a間の寸法L4よりも小さくする。例えば、2mm小さくする。
【0049】
このようにすれば、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第1ビス64に螺合した場合、固定ビス7を第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した場合、固定ビス7を第3ビス挿通孔73から第3ビス孔68に螺合した場合で、軸受け取付部材6の面内方向の位置を3段階に調整できる。
【0050】
図13と図14に示すように、上枠10の本体14に第1・第2・第3・第4・第5ビス挿通孔70,71,73,74,75を形成し、軸受け取付部材6に第1・第2・第3・第4・第5ビス孔64,65,68,69,69aを形成する。
この場合には、隣接したビス挿通孔を一部連続すると共に、隣接したビス孔を一部連続し、中心がずれるようにする。
【0051】
第1〜第5ビス挿通孔のいずれか1つの中心と第1〜第5ビス孔のいずれか1つの中心が一致したときには、他のビス挿通孔の中心と他のビス孔の中心がずれるようにする。
そして、中心が一致したビス挿通孔から固定ビス7をビス孔に螺合して軸受け取付部材6を固定する。
【0052】
前述した固定手段は、ビス挿通孔、ビス孔を面内方向に間隔を置いて形成したが、ビス挿通孔を面内方向に斜めの長孔とし、複数のビス孔を面内方向に同一位置で面外方向に間隔を置いて形成し、長孔から固定ビス7を1つのビス孔に螺合するようにしても良い。
【0053】
例えば、図15と図16に示すように、上枠10の本体14に面外方向一対の長孔76を面内方向に斜めで、面外方向一端部と面外方向他端部が面内方向に位置がずれるようにそれぞれ形成してビス挿通孔とする。
この長孔76の幅は固定ビス7の径と同一で、この長孔76に固定ビス7が挿通した状態では、固定ビス7が面内方向に動かないようにしてある。
軸受け取付部材6の面外方向両端寄りに第1ビス孔64と第2ビス孔65を、面内方向に同一位置で、面外方向に間隔を置いてそれぞれ形成する。
【0054】
図15に示すように、固定ビス7を第1ビス孔64に螺合したときには、その固定ビス7は長孔75の面外方向一端76aに接する。
図16に示すように、固定ビス7を第2ビス孔65に螺合したときには、その固定ビス7は長孔76の面外方向他端76bに接する。
このようであるから、長孔76の面外方向一端76aと面外方向他端76bの面内方向の位置のずれだけ、軸受け取付部材6を面内方向に移動して戸先チリ調整できる。
【0055】
また、固定ビス7が弛んだ場合に、その固定ビス7は長孔76に対して面内方向に動くことができないので、軸受け取付部材6が振動などで面内方向に動くことがなく、扉体2が開閉時にガタつくことがないし、軸受け3aが上枠10から外れることがない。
【0056】
図17に示すように、長孔76を長くすると共に、第1・第2・第3ビス孔64,65,68を長孔76の面外方向の範囲に位置して形成する。
このようにすれば、固定ビス7を第1ビス孔64に螺合した場合、第2ビス孔65に螺合した場合、第3ビス孔68に螺合した場合で、軸受け取付部材6を面内方向に3つの位置に移動することができる。
【0057】
前述したいずれの固定手段は、軸受け取付部材6の戸先寄りに設けられ、軸受け3aは吊元寄りに設けてあるので、扉体2を開き位置に向けて回動することで、固定ビス7を締め付け、弛める工具(ドライバー)が、その扉体2と干渉しないようにしてある。
このようであるから、扉体2を枠体1に取り付けた状態で戸先チリ調整操作がやり易い。
【0058】
前述したように、ビス挿通孔を複数形成した場合には、本体14の下面14aにテープ等を貼着してビス挿通孔を閉塞することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…枠体、2…扉体、3…上部ピボットヒンジ、3a…軸受け、3b…ピボット軸、6…軸受け取付部材、7…固定ビス、10…上枠、14…本体、30…軸孔、31…本体部、32…張り出し部、40…第1孔、41…第2孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に扉体を、ピボットヒンジを用いて閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体に扉体を、ピボットヒンジを用いて閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具が種々提案されている。
例えば、特許文献1、特許文献2に開示したように、扉体の吊元側の上・下部に上部ピボット軸、下部軸受けをそれぞれ取り付けると共に、上枠の一方の縦枠寄りに上部軸受けを取り付け、下枠の一方の縦枠寄りに下部ピボット軸を取り付け、上部ピボット軸を上部軸受けに回動自在に挿入し、下部ピボット軸を下部軸受けに回動自在に挿入することで、扉体を枠体に、上部・下部ピボットヒンジで閉じ位置と開き位置に亘って面外方向に回動自在に取り付けた建具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−198028号公報
【特許文献2】特開2010−222962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の建具においては、長期間の使用等により上部ピボットヒンジの軸受けが異常に摩耗したり、損傷することがあるので、定期的に、その軸受けを取り外して点検し、異常摩耗、損傷している場合には新しい軸受けを取り付け、そうでない場合には、その軸受を再び取り付けることがあるから、上部ピボットヒンジの軸受けを簡単に取り付け、取り外しできるようにしている。
例えば、上枠の下面に軸受けをビスで固着して取り付け、そのビスを弛めることで取り外しできるようにしている。
【0005】
このために、上枠の下面に軸受けが露出し、その軸受けが目立つので、外観の見栄えが悪い。
【0006】
本発明の目的は、上部ピボットヒンジの軸受けを簡単に取り付け、取り外しできると共に、その軸受けが目視されずに外観の見栄えが良い建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、扉体を枠体に閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジを、上枠の上面に設けた軸受けと、扉体の吊元側に設けたピボット軸を回動自在に連結したものとし、
前記上枠の上面に軸受け取付部材を第1の位置と第2の位置とに亘って面内方向に移動できるように設け、
前記軸受け取付部材が第2の位置のときには、上枠の下面側から軸受けを軸受け取付部材に着脱自在とし、かつ前記軸受けを取付けた状態で前記軸受け取付部材を第1の位置に移動可能とし、
前記軸受け取付部材が第1の位置のときには、前記軸受けを上枠の上面で支持し、かつ上枠の下面側からピボット軸を軸受けに嵌合、抜き出し自在としたことを特徴とする建具である。
【0008】
本発明においては、前記軸受け取付部材には前記軸受けを挿入する軸受け挿入口が設けられ、前記上枠には、前記ピボット軸が挿通するが前記軸受けは挿通しない第1孔と、前記軸受けが挿通する第2孔とが、その中心が面内方向に離隔して形成されており、
前記軸受け取付部材の前記第1の位置は、軸受け挿入口が第1孔と重なる位置であり、前記第2の位置は、軸受け挿入口が第2孔と重なる位置であるようにできる。
このようにすれば、軸受け取付部材を第1の位置とすることで、第1孔からピボット軸を軸受けに嵌合したり、抜き出しできるから、扉体の吊元側上部を上枠に取り付け、取り外しできる。
また、軸受け取付部材を第2の位置とすることで、第2孔から軸受けを抜き出したり、挿入でき、上枠の下面側から軸受けを簡単に取り付け、取り外しできる。
【0009】
本発明においては、前記軸受けは、ピボット軸が回転自在に嵌合する軸孔を有する本体部と、この本体部の外周面よりも張り出した張り出し部を有し、
前記軸受け取付部材が第1の位置では、前記軸受けの軸孔が前記上枠の第1孔と重なり、かつ前記軸受けの前記張り出し部が上枠の上面で支持されるようにできる。
このようにすれば、軸受け取付部材が第1の位置のときに、軸受けは軸受け挿入穴と上枠の上面とで支持されると共に、第1孔を通して本体部の軸孔にピボット軸を嵌合、抜き出しできるから、軸受けをガタついたりしないように支持して扉体を開閉する際に扉体が動いたりしないようにできると共に、扉体の吊元側上部を上枠に簡単に取り付け、取り外しできる。
また、軸受け取付部材が第2の位置のときには、軸受けを第2孔を通して軸受け挿入穴に挿入、抜き出しできるから、軸受けを上枠に簡単に取り付け、取り外しできる。
【0010】
本発明においては、前記上枠には、 その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス挿通孔が形成されていると共に、前記軸受け取付部材には、その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス孔が形成され、
前記ビス挿通孔の中心間寸法とビス孔の中心間寸法が異なるように形成し、
ビス挿通孔から固定ビスをビス孔に螺合することで、前記軸受け取付部材の第1の位置を調整して固定可能とした固定手段を有する。
このようにすれば、固定ビスを挿入するビス挿通孔、螺合するビス孔を変えることで、軸受け取付部材が軸受けとともに面内方向に移動するから、軸受けを面内方向に移動して扉体の戸先チリを調整できる。
しかも、固定ビスはビス挿通孔に隙間なく嵌合するようにできるので、その固定ビスが弛んでも軸受け取付部材が振動などで面内方向に動くことがなく、扉体が開閉時にガタついたり、軸受けが上枠から外れることがない。
【0011】
本発明においては、前記軸受け取付部材の吊元寄りに軸受けを設けると共に、戸先寄りに固定手段を設け、扉体を開き位置に向けて回動した状態で前記軸受け取付部材の固定及び固定解除が可能であるようにできる。
このようにすれば、扉体を枠体に取り付けた状態で、戸先チリの調整を簡単にできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸受け、軸受け取付部材は上枠の上面に設けられて上枠の下面側からは目視されないので見栄えが良い。
また、軸受け取付部材を第2の位置とすることで、上枠の下面側から軸受けを簡単に取り出し、取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態を示す建具の概略外観図である。
【図2】図1のA−A拡大詳細縦断面図である。
【図3】図2のB−B横断面図である。
【図4】上枠と一方の縦枠の連結部分の斜視図である。
【図5】上枠と軸受けと軸受け取付部材の分解斜視図である。
【図6】図3において軸受け取付部材を第2の位置に移動した説明図である。
【図7】図3のC−C拡大断面図である。
【図8】図3において軸受け取付部材を戸先チリ調整移動した説明図である。
【図9】図8のD−D拡大断面図である。
【図10】図3のE−E拡大断面図である。
【図11】固定手段の第2の実施の形態を示す横断面図である。
【図12】図11のF−F拡大断面図である。
【図13】固定手段の第3の実施の形態を示す横断面図である。
【図14】図13のG−G拡大断面図である。
【図15】固定手段の第4の実施の形態を示す横断面図である。
【図16】戸先チリを調整した状態の説明図である。
【図17】固定手段の第5の実施の形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、枠体1と扉体2で建具としてある。
枠体1は、上枠10と下枠11と一方の縦枠12と他方の縦枠13で方形状である。
扉体2の吊元側2aの上部が上枠10の一方の縦枠12寄りに上部ピボットヒンジ3で面外方向に回動自在に支持され、この扉体2の吊元側2aの下部が下枠11の一方の縦枠12寄りに下部ピボットヒンジ4で面外方向に回動自在に支持され、扉体2は閉じ位置と開き位置に亘って面外方向に回動自在で、扉体2の戸先側2bに把手20が取り付けてあると共に、他方の縦枠13と対向する。
【0015】
上部ピボットヒンジ3は、上枠10に設けた軸受け3aと、扉体2の吊元側2aの上部に取り付けたピボット軸3bを回動自在に嵌合して連結してある。
下部ピボットヒンジ4は、扉体2の吊元側2aの下部に取り付けた軸受け4aと、下枠11に取り付けたピボット軸4bを回動自在に嵌合して連結してある。
【0016】
次に、上部ピボットヒンジ3の詳細を説明する。なお、図1に示す上部ピボットヒンジ3は概略的に図示してあるので、形状、寸法などが異なる。
【0017】
図2に示すように、上枠10は、面外方向(屋内外側方向)に向かう板状の本体14と、この本体14の面外方向の屋外側寄りに上方に向けて設けた取付片15と、本体14の面外方向の屋内側寄りに上方に向けて設けた立上り片16と、取付片15の上下方向の中間部と本体14の面外方向の中間部とに亘って設けた鉤状の連結片17を備え、この連結片17と取付片15と本体14とで中空部10aを形成している。
取付片15の本体14寄りに屋内側に向かう突片15aを有し、この突片15aと本体14の上面14bとで長手方向に連続し、屋内側に向かう凹溝15bを形成している。
連結片17の本体14寄りに屋外側に向かう突片17aを有し、この突片17aと本体14の上面14bとで長手方向に連続し、屋外側に向かう凹溝17bを形成している。
この凹溝17bと凹溝15bが面外方向に相対向して後述する軸受け取付部材を上枠10の長手方向に移動自在に支承するガイドを形成している。
【0018】
本体14の屋外寄りと取付片15の上部とに亘ってカバー18が取り付けてある。
上枠10は、中空部10aを有した屋外側部材と屋内側部材をアルミ押出形材により作製し、その屋外側部材と屋内側部材を断熱材で連結した断熱形材としてある。
この上枠10は、図3、図4に示すように本体14の下面14a(上枠10の下面10b)を縦枠12,13の長手方向の上端面に接して連結される。
【0019】
そして、取付片15を建物躯体5の屋外側面5aに接して固着具で固着すると共に、本体14を開口部5b内に挿入し、連結片17と立上り片16を開口部5bの上内面に接し、本体14を固着具で建物躯体5に固着して上枠10を取り付ける。
なお、上枠10の形状、縦枠12,13との連結、建物躯体5への取り付け、材質などは前述のものに限ることはなく、任意のものとすることができる。
【0020】
上部ピボットヒンジ3の軸受け3aは、図2に示すように、上枠10の中空部10a内において本体14の上面14b(つまり、上枠10の上面10c)に面内方向に移動自在に設けた軸受け取付部材6で設けてある。
上部ピボットヒンジ3のピボット軸3bは、図2に示すように扉体2の内部にブラケット21で取り付けられ、このピボット軸3bは扉体2の上面2cより上方に突出し、上枠10の本体14を貫通して軸受け3aに回動自在に嵌合している。
【0021】
このように、軸受け3a、軸受け取付部材6は上枠10の本体14の上面14bに設けてあるから、その軸受け3a、軸受け取付部材6が本体14の下面側から目視されることがなく、外観の見栄えが良い。
【0022】
図2〜図5に示すように、軸受け3aは、ピボット軸3bが回動自在に嵌合する軸孔30を有する本体部31と、この本体部31の下部に設けられ、その本体部31の外周面31aよりも張り出した張り出し部32を有している。例えば、鍔付きの円筒としてある。
この軸受3aは上枠10の本体14の上面14bに、その上枠10の長手方向に移動可能に載置されている。
【0023】
上枠10の本体14には、ピボット軸3bが挿通するが軸受け3aは挿通しない第1孔40と、軸受け3aが挿通する第2孔41が、その中心40a,41aが上枠10の長手方向(つまり、面内方向)に離隔して形成してある。
例えば、ピボット軸3b(軸孔30)と同一径の第1孔40と、軸受け3aの張り出し部32(鍔)よりも大径の第2孔41が、その中心40a,41aが面内方向に離隔し、かつ第1孔40の一部分と第2孔41の一部分が連続し、ほぼだるま形状に形成してある。
この第1孔40と第2孔41は連続せずに面内方向に離隔して形成しても良い。
【0024】
このようであるから、軸受け3aを本体14の下面側から第2孔41を通して本体14の上面14b側に挿入したり、下面14a側に引き出したりできるので、軸受け3aを上枠10の下面側から、その上枠10に取り付けたり、取り外したりできる。
また、軸受け3aを第1孔40と同心状の位置(合致した位置)とすることで、その軸受け3a(張り出し部32)が本体14の上面14bに接して落下しないように支持できると共に、その第1孔40からピボット軸3bを軸受け3aの軸孔30に嵌合したり、抜き出したりすることができるので、扉体2の上部を上枠10に回動自在に支承したり、上枠10から取り外したりすることができる。
【0025】
軸受け取付部材6は、上枠10の本体14の上面14bに沿って面内方向に移動自在に取り付けてある。例えば、軸受け取付部材6の面外方向両側端部を前述した凹溝15b,17bに、上枠10の長手方向端部からスライドして挿入して取り付けることで、その凹溝15b,17b(つまり、ガイド)に沿って面内方向に移動自在で、面外方向には動かないように取り付けてある。
前述した軸受け3aは、この軸受け取付部材6に下面側から着脱自在に設けられ、軸受け3aは軸受け取付部材6とともに面内方向に移動自在である。
そして、軸受け取付部材6は、軸受け3aが前述した第1孔40と合致した第1の位置と、軸受け3aが第2孔41と合致した第2の位置とに亘って面内方向に移動できるようにしてある。
【0026】
軸受け取付部材6が第2の位置のときには、軸受け3aを第2孔41から挿入、抜き出しできるので、軸受け3aを上枠10に取り付け、取り外しできる。
軸受け取付部材6が第1の位置のときには軸受け3aを、上枠10の本体14の上面14bと軸受け取付部材6とで倒れたり、ガタついたりしないように支持するので、ピボット軸3b(扉体2の吊元側2aの上部)を面外方向に回動自在に支承する。
【0027】
この実施の形態では、軸受け取付部材6は、その下面6aに開口した軸受け挿入穴60を有する。この軸受け挿入穴60は、軸受け3aの本体部31が挿入され、かつ上面6bに開口した上部穴61と、軸受け3aの張り出し部32が挿入され、上部穴61と連続し、かつ下面6aに開口した下部穴62を有した段付き穴で、その下部穴62と上部穴61との段差63で張り出し部32を上枠10の本体14の上面14bに押しつけて軸受け3aを支持している。
このようにすれば、軸受け3a(本体部31)が軸受け取付部材6の上面6bよりも上方に突出すると共に、ピボット軸3bも軸受け取付部材6の上面6bよりも上方に突出することができるので、軸受け取付部材6を薄い板状のコンパクトなものにできる。
【0028】
前述した軸受け挿入穴60は、軸受け3aの張り出し部32が挿入し、かつ下面6aにのみ開口した穴とし、その軸受け挿入穴60の底面が本体部31の上端面に接して張り出し部32を上枠10の本体14の上面14bに押しつけるようにしても良い。
【0029】
図3に示すように、上枠10の本体14における軸受け取付部材6よりも吊元側寄り(一方の縦枠12寄り)には、一対のビス19を螺合してストッパとしてある。
つまり、第1孔40の中心40aは第2孔41の中心41aよりも戸先側寄りで、軸受け取付部材6を第2の位置に移動したときに、図6に示すように軸受け取付部材6がビス19に当接して位置決めし、軸受け3aの中心が第2孔41の中心41aに正しく合致するようにしてある。
【0030】
図2と図4に示すように、上枠10の本体14の下方から、固定ビス7を本体14を貫通して軸受け取付部材6に螺合することで、その軸受け取付部材6を前述した第1の位置で固定し、軸受け取付部材6の固定手段としてある。
【0031】
このようであるから、扉体2とともにピボット軸3bを軸受け3aから抜き出して扉体2を枠体1から取り外した状態で、前述した固定ビス7を弛めて軸受け取付部材6を上枠10の面内方向に移動可能な状態とする。
この状態で、第1孔40、第2孔41にドライバーなどの工具を挿入し、その工具を軸受け3aの軸孔30に挿入して斜めの姿勢に動かすことで軸受け取付部材6を第1の位置から第2の位置に向けて面内方向に移動し、軸受け取付部材6がビス19に当接することで第2の位置で停止する。
この第2の位置とは、軸受け挿入穴60が第2孔41と重なる位置である。
つまり、軸受け取付部材6は本体14の下面側(上枠10の下面側)から第1の位置と第2の位置に移動できるようにしてある。
そして、軸受け3aを第2孔41から抜き出すことで上枠10から取り外しできる。
なお、軸受け取付部材6に摘みを設け、本体14には面内方向のスリットを形成し、その摘みをスリットに挿入することで、本体14の下面側から摘みを持って面内方向に移動するようにしても良い。
【0032】
軸受け3aを再び上枠10に取り付けたり、新しい軸受け3aを上枠10に取り付ける場合には、軸受け3aを第2孔41から軸受け取付部材6の軸受け挿入穴60内に挿入し、前述のように工具を用いて軸受け3aとともに軸受け取付部材6を第1の位置に向けて移動する。
この第1の位置は、軸受け挿入穴60が第1孔40と重なる位置である。
そして、固定ビス7を再び軸受け取付部材6に螺合して第1の位置で固定することで軸受け3aを上枠10に取り付ける。
【0033】
このようであるから、軸受け3aを上枠10に簡単に取り付け、取り外しすることができる。
【0034】
前述した建具においては、扉体2の戸先チリを調整できるようにしてある。
下部ピボットヒンジ4を固定した状態で、上部ピボットヒンジ3の軸受け3aを面内方向に移動することで、ピボット軸3bとともに扉体2の吊元側2aの上部を面内方向に移動して戸先チリを調整するようにしてある。
【0035】
次に、軸受け3aを戸先チリ調整のために移動する構成を説明する。
図3、図5に示すように、上枠10の本体14には一対の第1ビス挿通孔70,70が面外方向に離隔して形成されていると共に、一対の第2ビス挿通孔71,71が面外方向に離隔して形成されている。
第1ビス挿通孔70の中心70aと第2ビス挿通孔71の中心71aは面内方向に離隔し、第1ビス挿通孔70の中心70aよりも第2ビス挿通孔71の中心71aが吊元側に位置していると共に、第1・第2ビス挿通孔70,71よりも前述の第1孔40、第2孔41が吊元側に位置している。
上枠10の本体14における第1孔40、第2孔41と面外方向に隣接した位置に長孔72が形成されている。この長孔72は上枠10の面内方向に長い長孔である。
【0036】
軸受け取付部材6には、一対の第1ビス孔64,64が面外方向に離隔して形成されていると共に、一対の第2ビス孔65,65が面外方向に離隔し形成されている。
第1ビス孔64の中心64aと第2ビス孔65の中心65aは面内方向に離隔し、第1ビス孔64の中心64aよりも第2ビス孔65の中心65aが吊元側に位置していると共に、第1・第2ビス孔64,65よりも前述の軸受け挿入穴60が吊元側に位置している。
【0037】
一対の第1ビス挿入孔70の中心70a間の面外方向寸法L1と一対の第2ビス挿入孔71の中心71a間の面外方向寸法L1は同一で、一対の第1ビス孔64の中心64a間の面外方向寸法L2と一対の第2ビス孔65の中心65a間の面外方向寸法L2は同一である。
そして、前記各面外方向寸法L1,L2は同一である。
【0038】
図7に示すように、第1ビス挿入孔70の中心70aと第2ビス挿入孔71の中心71aの面内方向寸法L3と、第1ビス孔64の中心64aと第2ビス孔65の中心65aの面内方向寸法L4は異なる。例えば、面内方向寸法L3よりも面内方向寸法L4が2mm小さい。
【0039】
このようであるから、図3、図7に示すように、第1ビス挿通孔70の中心70aと第1ビス孔64の中心64aが一致したときには第2ビス挿通孔71と第2ビス孔65が連通するが、中心71aと中心65aが2mmずれる。
図8、図9に示すように、第2ビス挿通孔71の中心71aと第2ビス孔65の中心65aが一致したときには第1ビス挿通孔70と第1ビス孔65が連通するが、中心が2mmずれる。
【0040】
したがって、図3、図7に示すように、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第1ビス孔64に螺号した状態から、図8、図9に示すように、固定ビス7を第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した状態とすると、軸受け取付部材6は面内方向の吊元側に2mm移動するから、軸受け3aを面内方向に2mm移動して戸先チリを調整できる。
この軸受け3aの面内方向の移動量は2mmに限ることはなく、適宜の移動量として戸先チリの調整寸法を適宜設定できる。
【0041】
このように、上枠10(本体14)に形成した第1ビス挿通孔70と第2ビス挿通孔71の中心間の寸法と、軸受け取付部材6に形成した第1ビス孔64と第2ビス孔65の中心間の寸法を異ならせ、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第2ビス孔64に螺合した場合と、第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した場合とで軸受け取付部材6を、前述の中心間の寸法の差だけ面内方向に移動して軸受け3aを移動するようにしたので、第1・第2ビス挿通孔70,71を丸穴(つまり、固定ビス7が隙間なく嵌合する形状)とすることができる。
したがって、固定ビス7が若干弛んでも軸受け取付部材6が振動などで面内方向に動くことがなく、軸受け3aが面内方向に動いて扉体2が開閉時にガタついたりすることがないと共に、軸受け3aが上枠10から外れることがない。
【0042】
前述のように、固定ビス7を第1又は第2ビス挿通孔70,71から抜き出したときに、軸受け取付部材6が面内方向に自由に動いて第1ビス挿通孔70と第1ビス孔64及び第2ビス挿通孔71と第2ビス孔65がそれぞれ連通しなくなり、固定ビス7を挿入できなくなる恐れがあるので、図3、図10に示すように、前述した上枠10の本体14に形成した長孔72から段付きビス8を軸受け取付部材6に形成したビス孔66に螺合し、この段付きビス8の大径軸80の端面81を軸受け取付部材6の下面6aに接し、その大径軸80と長孔72とで軸受け取付部材6の面内方向の移動量(距離)を前述の戸先チリ調整量(2mm)に規制している。つまり、軸受け取付部材6の面内方向移動量を規制する手段としてある。
【0043】
このようにすることで、固定ビス7を抜き出したときに軸受け取付部材6の最大移動量は2mmであるから、固定ビス7を挿入できなくなることがない。
【0044】
前述した図3と図6に示すように軸受け取付部材6を第1の位置と第2の位置とに移動する際には、その移動量が前述した戸先チリ調整時の移動量よりも大きいので、前述した固定ビス7及び段付きビス8を弛めて取り外しする。
そして、図6に示すように、軸受け取付部材6がストッパ(ビス19)に当接する第2の位置に移動したら、段付きビス8を長孔72から軸受け取付部材6に形成した補助ビス孔67に螺合し、軸受け取付部材6の戸先側への移動を規制する。
つまり、補助ビス孔67はビス孔66よりも戸先側寄りに、前述した第1孔40と第2孔41の中心間寸法だけ離隔して形成してある。
【0045】
このようであるから、上枠10から軸受け3aを取り外したり、取り付けるときに軸受け取付部材6を第2の位置に保持することができる。
【0046】
前述したように、軸受け取付部材6の面内方向移動量を戸先チリ調整量に規制する手段は、段付きビス8を長孔72からビス孔66に螺合するのに限ることはない。
例えば、上枠10の本体14に規制用ビスを螺合し、その規制用ビスの先端を軸受け取付部材6に形成した面内方向の長穴に挿入することで、この長孔の長手方向両端部が規制用ビスの先端部に当接することによって面内方向移動量を戸先チリ調整量に規制するようにしても良い。
【0047】
前述した軸受け取付部材6を第1の位置で固定、固定解除する固定手段は、ビス挿通孔とビス孔を2つとしたが、これに限ることはなく、3つ以上としても良い。
このように、ビス挿通孔、ビス孔を3つ以上とすれば、扉体6の戸先チリ調整量を大きくすることができる。
なお、ビス挿通孔、ビス孔を3つ以上として戸先チリ調整量を大きくした場合には、前述の規制手段の最大面内方向移動量も大きくする。例えば、長孔72の面内方向の長さを長くする。
【0048】
図11と図12に示すように、上枠10の本体14に第1・第2・第3ビス挿通孔70,71,73を形成し、軸受け取付部材6に第1・第2・第3ビス孔64,65,68を形成する。
そして、第2ビス孔65の中心65aと第3ビス孔68の中心68aとの面内方向の寸法L5を、第1ビス孔64と第2ビス孔65の中心64a,65a間の寸法L4よりも小さくする。例えば、2mm小さくする。
【0049】
このようにすれば、固定ビス7を第1ビス挿通孔70から第1ビス64に螺合した場合、固定ビス7を第2ビス挿通孔71から第2ビス孔65に螺合した場合、固定ビス7を第3ビス挿通孔73から第3ビス孔68に螺合した場合で、軸受け取付部材6の面内方向の位置を3段階に調整できる。
【0050】
図13と図14に示すように、上枠10の本体14に第1・第2・第3・第4・第5ビス挿通孔70,71,73,74,75を形成し、軸受け取付部材6に第1・第2・第3・第4・第5ビス孔64,65,68,69,69aを形成する。
この場合には、隣接したビス挿通孔を一部連続すると共に、隣接したビス孔を一部連続し、中心がずれるようにする。
【0051】
第1〜第5ビス挿通孔のいずれか1つの中心と第1〜第5ビス孔のいずれか1つの中心が一致したときには、他のビス挿通孔の中心と他のビス孔の中心がずれるようにする。
そして、中心が一致したビス挿通孔から固定ビス7をビス孔に螺合して軸受け取付部材6を固定する。
【0052】
前述した固定手段は、ビス挿通孔、ビス孔を面内方向に間隔を置いて形成したが、ビス挿通孔を面内方向に斜めの長孔とし、複数のビス孔を面内方向に同一位置で面外方向に間隔を置いて形成し、長孔から固定ビス7を1つのビス孔に螺合するようにしても良い。
【0053】
例えば、図15と図16に示すように、上枠10の本体14に面外方向一対の長孔76を面内方向に斜めで、面外方向一端部と面外方向他端部が面内方向に位置がずれるようにそれぞれ形成してビス挿通孔とする。
この長孔76の幅は固定ビス7の径と同一で、この長孔76に固定ビス7が挿通した状態では、固定ビス7が面内方向に動かないようにしてある。
軸受け取付部材6の面外方向両端寄りに第1ビス孔64と第2ビス孔65を、面内方向に同一位置で、面外方向に間隔を置いてそれぞれ形成する。
【0054】
図15に示すように、固定ビス7を第1ビス孔64に螺合したときには、その固定ビス7は長孔75の面外方向一端76aに接する。
図16に示すように、固定ビス7を第2ビス孔65に螺合したときには、その固定ビス7は長孔76の面外方向他端76bに接する。
このようであるから、長孔76の面外方向一端76aと面外方向他端76bの面内方向の位置のずれだけ、軸受け取付部材6を面内方向に移動して戸先チリ調整できる。
【0055】
また、固定ビス7が弛んだ場合に、その固定ビス7は長孔76に対して面内方向に動くことができないので、軸受け取付部材6が振動などで面内方向に動くことがなく、扉体2が開閉時にガタつくことがないし、軸受け3aが上枠10から外れることがない。
【0056】
図17に示すように、長孔76を長くすると共に、第1・第2・第3ビス孔64,65,68を長孔76の面外方向の範囲に位置して形成する。
このようにすれば、固定ビス7を第1ビス孔64に螺合した場合、第2ビス孔65に螺合した場合、第3ビス孔68に螺合した場合で、軸受け取付部材6を面内方向に3つの位置に移動することができる。
【0057】
前述したいずれの固定手段は、軸受け取付部材6の戸先寄りに設けられ、軸受け3aは吊元寄りに設けてあるので、扉体2を開き位置に向けて回動することで、固定ビス7を締め付け、弛める工具(ドライバー)が、その扉体2と干渉しないようにしてある。
このようであるから、扉体2を枠体1に取り付けた状態で戸先チリ調整操作がやり易い。
【0058】
前述したように、ビス挿通孔を複数形成した場合には、本体14の下面14aにテープ等を貼着してビス挿通孔を閉塞することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…枠体、2…扉体、3…上部ピボットヒンジ、3a…軸受け、3b…ピボット軸、6…軸受け取付部材、7…固定ビス、10…上枠、14…本体、30…軸孔、31…本体部、32…張り出し部、40…第1孔、41…第2孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体を枠体に閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジを、上枠の上面に設けた軸受けと、扉体の吊元側に設けたピボット軸を回動自在に連結したものとし、
前記上枠の上面に軸受け取付部材を第1の位置と第2の位置とに亘って面内方向に移動できるように設け、
前記軸受け取付部材が第2の位置のときには、上枠の下面側から軸受けを軸受け取付部材に着脱自在とし、かつ前記軸受けを取付けた状態で前記軸受け取付部材を第1の位置に移動可能とし、
前記軸受け取付部材が第1の位置のときには、前記軸受けを上枠の上面で支持し、かつ上枠の下面側からピボット軸を軸受けに嵌合、抜き出し自在としたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記軸受け取付部材には前記軸受けを挿入する軸受け挿入口が設けられ、
前記上枠には、前記ピボット軸が挿通するが前記軸受けは挿通しない第1孔と、前記軸受けが挿通する第2孔とが、その中心が面内方向に離隔して形成されており、
前記軸受け取付部材の前記第1の位置は、軸受け挿入口が第1孔と重なる位置であり、前記第2の位置は、軸受け挿入口が第2孔と重なる位置である請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記軸受けは、ピボット軸が回転自在に嵌合する軸孔を有する本体部と、この本体部の外周面よりも張り出した張り出し部を有し、
前記軸受け取付部材が第1の位置では、前記軸受けの軸孔が前記上枠の第1孔と重なり、かつ前記軸受けの前記張り出し部が上枠の上面で支持される請求項2記載の建具。
【請求項4】
前記上枠には、 その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス挿通孔が形成されていると共に、前記軸受け取付部材には、その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス孔が形成され、
前記ビス挿通孔の中心間寸法とビス孔の中心間寸法が異なるように形成し、
ビス挿通孔から固定ビスをビス孔に螺合することで、前記軸受け取付部材の第1の位置を調整して固定可能とした固定手段を有する請求項1〜3いずれか1項記載の建具。
【請求項5】
前記軸受け取付部材の吊元寄りに軸受けを設けると共に、戸先寄りに固定手段を設け、扉体を開き位置に向けて回動した状態で前記軸受け取付部材の固定及び固定解除が可能である請求項4記載の建具。
【請求項1】
扉体を枠体に閉じ位置と開き位置とに亘って面外方向に回動自在に取り付ける上部ピボットヒンジを、上枠の上面に設けた軸受けと、扉体の吊元側に設けたピボット軸を回動自在に連結したものとし、
前記上枠の上面に軸受け取付部材を第1の位置と第2の位置とに亘って面内方向に移動できるように設け、
前記軸受け取付部材が第2の位置のときには、上枠の下面側から軸受けを軸受け取付部材に着脱自在とし、かつ前記軸受けを取付けた状態で前記軸受け取付部材を第1の位置に移動可能とし、
前記軸受け取付部材が第1の位置のときには、前記軸受けを上枠の上面で支持し、かつ上枠の下面側からピボット軸を軸受けに嵌合、抜き出し自在としたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記軸受け取付部材には前記軸受けを挿入する軸受け挿入口が設けられ、
前記上枠には、前記ピボット軸が挿通するが前記軸受けは挿通しない第1孔と、前記軸受けが挿通する第2孔とが、その中心が面内方向に離隔して形成されており、
前記軸受け取付部材の前記第1の位置は、軸受け挿入口が第1孔と重なる位置であり、前記第2の位置は、軸受け挿入口が第2孔と重なる位置である請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記軸受けは、ピボット軸が回転自在に嵌合する軸孔を有する本体部と、この本体部の外周面よりも張り出した張り出し部を有し、
前記軸受け取付部材が第1の位置では、前記軸受けの軸孔が前記上枠の第1孔と重なり、かつ前記軸受けの前記張り出し部が上枠の上面で支持される請求項2記載の建具。
【請求項4】
前記上枠には、 その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス挿通孔が形成されていると共に、前記軸受け取付部材には、その中心が面内方向に間隔を置いて複数のビス孔が形成され、
前記ビス挿通孔の中心間寸法とビス孔の中心間寸法が異なるように形成し、
ビス挿通孔から固定ビスをビス孔に螺合することで、前記軸受け取付部材の第1の位置を調整して固定可能とした固定手段を有する請求項1〜3いずれか1項記載の建具。
【請求項5】
前記軸受け取付部材の吊元寄りに軸受けを設けると共に、戸先寄りに固定手段を設け、扉体を開き位置に向けて回動した状態で前記軸受け取付部材の固定及び固定解除が可能である請求項4記載の建具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−96062(P2013−96062A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236599(P2011−236599)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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