説明

建物のコーナ部構造

【課題】建物のコーナ部に対して容易かつ確実に外装材を取り付けることができるとともに、外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収できる建物のコーナ部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】コーナ部1に臨む一方の外装材3は、第1取付部材10を介して、壁面2に取り付けられており、他方の外装材4およびコーナ用外装材5は、第2取付部材20を介して、壁面2に取り付けられており、第1取付部材10は、この第1取付部材10を壁面2に固定する止着材11aを挿通させるための挿通孔11を備えており、この挿通孔11は、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔である。これにより、外装材を壁面に固定する際の釘止めをする必要が無くなるとともに、第1取付部材を、挿通孔の長さ方向に沿って移動させて、外装材の寸法誤差を吸収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のコーナ部を除く壁面全体に外装材が取り付けられ、前記コーナ部にコーナ用外装材が取り付けられる建物のコーナ部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の外壁を施工する場合、工場または現場で外壁の表面に外装材を取り付けることによって外壁の施工を行う方法がある。このような方法で外壁を施工する場合、外壁の平面部分に取り付けられる外装材同士を、上サネ部と下サネ部とによる実矧ぎによって互いに接合する技術が知られている。
そして、このような実矧ぎによる接合の場合は、隣接する上サネ部および下サネ部に係合する専用の外装材取付金具が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、建物のコーナ部には、断面L字状のコーナ用外装材が取り付けられるが、このコーナ用外装材と、上述の外装材とを実矧ぎによって接合しようとした場合に、例えば何れかの外装材の幅寸法に寸法誤差が生じていたとすると、この誤差による影響が、取付位置のずれ等としてコーナ用外装材の箇所に表れる場合がある。
このため、コーナ用外装材として両端部にサネを備えていない状態のものを用い、さらに釘止め等によって壁面に固定して、外装材の寸法誤差に関係なく、コーナ用外装材を壁面に固定することが行われている。
さらに、このようなコーナ用外装材を用いると、このコーナ用外装材に隣接する一方の外装材の上サネ部分は、上述のような実矧ぎによる接合を行うことができないため、釘止め等によって壁面に固定されるようになっている。
また、隣接する他方の外装材の下サネ部分は、他の外装材の表面よりも凹んだ部分となってしまうため、この他方の外装材として、下サネ部分を備えていない状態のものが用いられ、釘止め等によって壁面に固定されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−356024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述のような外装材やコーナ用外装材を釘止めする際に、これら外装材およびコーナ用外装材が破損してしまうと、破損部分を修復したり、外装材およびコーナ用外装材自体を取り替えたりする必要があり、手間である。また、釘の頭部が表面に露出してしまうため、見映えが良くない場合がある。このため、上述のような建物のコーナ部に臨む外装材およびコーナ用外装材を専用の取付部材等を用いて壁面に取り付けたいという要望があった。
しかしながら、このような要望を実現する上で、例えば上述のように、何れかの外装材の幅寸法に寸法誤差が生じてしまった場合は、この寸法誤差を吸収するために、外装材の取付位置や専用の取付金具の固定位置をいちいち調整しなければならず、手間である。
【0005】
本発明の課題は、建物のコーナ部に対して容易かつ確実に外装材を取り付けることができるとともに、外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収できる建物のコーナ部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、建物のコーナ部1を除く壁面2全体に外装材3,4が取り付けられ、前記コーナ部1にコーナ用外装材5が取り付けられる建物のコーナ部1構造において、
前記コーナ部1に臨む一方の外装材3は、この一方の外装材3の幅方向一端に係合するとともに前記壁面2に固定される第1取付部材10を介して、前記壁面2に取り付けられており、
前記コーナ部1に臨む他方の外装材4およびコーナ用外装材5は、これら他方の外装材4の幅方向他端およびコーナ用外装材5の両端部にそれぞれ係合するとともに前記壁面2に固定される第2取付部材20を介して、前記壁面2に取り付けられており、
前記第1取付部材10は、この第1取付部材10を前記壁面2に固定する止着材11aを挿通させるための挿通孔11を備えており、
この挿通孔11は、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔であることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記コーナ部1に臨む一方の外装材3は、前記第1取付部材10を介して、前記壁面2に取り付けられており、前記コーナ部1に臨む他方の外装材4およびコーナ用外装材5は、前記第2取付部材20を介して、前記壁面2に取り付けられていることから、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を前記壁面2に取り付けるにあたって、従来とは異なり、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を正面から釘止めをする必要が無くなり、外装材の破損部分を修復したり、外装材自体を取り替えたりする手間を省略することができるので、従来に比して、前記外装材3,4およびコーナ用外装材5を、建物のコーナ部1に対して容易かつ確実に取り付けることができる。
また、前記第1取付部材10の挿通孔11が、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔であることから、前記第1取付部材10を、前記挿通孔11の長さ方向に沿って移動させることができる。これによって、この一方の外装材3の取付位置をずらして調整することができるので、例えば前記壁面2に取り付けられる何れかの外装材に寸法誤差が生じていた際に、この外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜3に示すように、請求項1に記載の建物のコーナ部1構造において、
前記第1取付部材10の挿通孔11は、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6の底部に位置していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記第1取付部材10の挿通孔11は、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6の底部に位置しているので、この目地部6から工具を挿入して、前記止着材11aを締める作業や緩める作業を行うことができる。これによって、前記外装材3を前記壁面2に取り付け終わった後でも、前記一方の外装材3の取付位置を調整することができるので、例えば前記壁面2に取り付けられる何れかの外装材に寸法誤差が生じていた際に、この外装材の寸法誤差を、より容易かつ確実に吸収することができる。
また、このように前記第1取付部材10の挿通孔11が、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6の底部に位置しているので、例えばメンテナンスやリフォームを行う際に外装材3を取り外しやすい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1,図3および図4に示すように、請求項1または2に記載の建物のコーナ部1構造において、
前記第2取付部材20は、この第2取付部材20を前記壁面2に固定する止着材21aを挿通させるための挿通孔21を備えており、
この挿通孔21は、前記コーナ部1に臨む一方および他方の外装材3,4と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6,7の底部に位置していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記第2取付部材20の挿通孔21は、前記コーナ部1に臨む一方および他方の外装材3,4と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6,7の底部に位置しているので、これら目地部6,7から工具を挿入して、前記止着材21aを締める作業や緩める作業を行うことができる。これによって、例えばメンテナンスやリフォームを行う際に、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5を取り外しやすい。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜3に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物のコーナ部1構造において、
前記一方の外装材3の幅方向一端には、この一方の外装材3の高さ方向に沿って、側方に開口する溝部3aが形成されており、
前記第1取付部材10は、前記一方の外装材3の溝部3aに係合する溝係合部12を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記第1取付部材10は、前記一方の外装材3の溝部3aに係合する溝係合部12を備えているので、前記一方の外装材3の幅方向一端に、前記第1取付部材10を係合させておくことができる。これによって、前記一方の外装材3を、前記第1取付部材10を係合させたまま、持ち運びできるので、前記一方の外装材3の取り付け作業や取り外し作業を容易に行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1,図3および図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物のコーナ部1構造において、
前記他方の外装材4の幅方向他端には、前記第2取付部材20が固定される高さ位置に、側方に開口する補助溝部4aが複数形成されており、
前記コーナ用外装材5の両端部には、前記第2取付部材20が固定される高さ位置に、側方に開口する補助溝部5aが複数形成されており、
前記第2取付部材20は、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の補助溝部4a,5aに係合する溝係合部22を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記第2取付部材20は、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の補助溝部4a,5aに係合する溝係合部22を備えているので、前記他方の外装材4の幅方向他端およびコーナ用外装材5の両端部に、前記第2取付部材20を係合させておくことができる。これによって、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5を、前記第2取付部材20を係合させたまま、持ち運びできるので、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の取り付け作業や取り外し作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コーナ部に臨む一方の外装材は、第1取付部材を介して、壁面に取り付けられており、コーナ部に臨む他方の外装材およびコーナ用外装材は、第2取付部材を介して、壁面2に取り付けられていることから、これら外装材およびコーナ用外装材を壁面2に取り付けるにあたって、従来とは異なり、これら外装材およびコーナ用外装材を正面から釘止めをする必要が無くなり、外装材の破損部分を修復したり、外装材自体を取り替えたりする手間を省略することができるので、従来に比して、外装材およびコーナ用外装材を、建物のコーナ部に対して容易かつ確実に取り付けることができる。
また、第1取付部材の挿通孔が、一方の外装材とコーナ用外装材との並列方向に沿って長尺な長孔であることから、第1取付部材を、挿通孔の長さ方向に沿って移動させることができる。これによって、この一方の外装材の取付位置をずらして調整することができるので、例えば壁面に取り付けられる何れかの外装材に寸法誤差が生じていた際に、この外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本実施の形態の建物のコーナ部1構造は、図1〜4に示すように、建物のコーナ部1を除く壁面2全体に外装材3,4が取り付けられ、前記コーナ部1にコーナ用外装材5が取り付けられてなるものであり、
前記コーナ部1に臨む一方の外装材3は、この一方の外装材3の幅方向一端に係合するとともに前記壁面2に固定される第1取付部材10を介して、前記壁面2に取り付けられており、
前記コーナ部1に臨む他方の外装材4およびコーナ用外装材5は、これら他方の外装材4の幅方向他端およびコーナ用外装材5の両端部にそれぞれ係合するとともに前記壁面2に固定される第2取付部材20を介して、前記壁面2に取り付けられており、
前記第1取付部材10は、この第1取付部材10を前記壁面2に固定する止着材11aを挿通させるための挿通孔11を備えており、
この挿通孔11は、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔である。
【0019】
ここで、本実施の形態における壁面2は、図3および図4に示すように、壁パネル2aの表面を指している。
この壁パネル2aは、縦芯材と横芯材とが矩形枠状に組み立てられるとともに、この矩形枠の内部に補強芯材が縦横に組まれて枠体とされ、さらに、この枠体内にグラスウール等の断熱材が充填された状態で、前記枠体の表裏両面に合板等の面材が貼着されたものである。
【0020】
また、前記コーナ部1は、一方の壁パネル2aの端面に、角材の半割材による結合材1aが取り付けられており、これら一方の壁パネル2aの端部の側面および結合材1aの側面とに、他方の壁パネル2aの端部が突き合わせられて形成されている。
また、このコーナ部1の表面には、このコーナ部1の両側に、このコーナ部1の高さ方向に沿って長尺な胴縁1bがそれぞれ取り付けられており、これら胴縁1bを土台にして、後述する第1取付部材10および第2取付部材20が前記壁面2に固定されるようになっている。
【0021】
前記外装材3,4は、建物のコーナ部1を除く壁面2全体に取り付けられる外装材のうち、前記コーナ部1に臨む一方および他方の外装材3,4を指している。
また、図示はしないが、これら外装材3,4を除く外装材は、幅方向一端に上サネ部を、幅方向他端に下サネ部を備えており、これら上サネ部と下サネ部とによる実矧ぎによって互いに接合されている。また、このような実矧ぎによる接合の場合は、隣接する上サネ部および下サネ部に係合する専用の外装材取付金具が用いられている。
【0022】
前記一方の外装材3は、図示しない幅方向他端に下サネ部を備えており、隣接する外装材の上サネ部と実矧ぎによって互いに接合されている。
また、この一方の外装材3は、図1,図3および図4に示すように、幅方向一端に上サネ部3bを備えており、この上サネ部3bの下側において側方に開口する溝部3aが、この一方の外装材3の高さ方向に沿って形成されている。
さらに、前記上サネ部3bの下側に位置する溝部3aの更に下側に、前記一方の外装材3の高さ方向に沿って長尺な突条部3cが形成されており、この突条部3cには、後述する第1取付部材10の溝係合部12が係合するようになっている。
【0023】
そして、この一方の外装材3の上サネ部3bと、前記コーナ部1に取り付けられるコーナ用外装材5との間に目地部6が形成されている。
また、この目地部6は、前記コーナ部1を構成する他方の壁パネル2aの壁芯の延長線上に位置している。なお、前記コーナ部1を構成する一方の壁パネル2aと前記結合材1aとの接合面も、前記コーナ部1を構成する他方の壁パネル2aの壁芯の延長線に沿って設けられている。
【0024】
また、前記他方の外装材4は、図示しない幅方向一端に上サネ部を備えており、隣接する外装材の下サネ部と実矧ぎによって互いに接合されている。
また、この他方の外装材4の幅方向他端には、図3および図4に示すように、下サネ部が備えられておらず、この他方の外装材4の表面および裏面に直交する端面を備えた状態となっている。
【0025】
さらに、この他方の外装材4の幅方向他端に、この他方の外装材4の高さ方向に沿って所定の間隔をあけて複数の補助溝部4aが形成されている。なお、所定の間隔とは、後述する第2取付部材20が固定される高さ位置にそれぞれ前記補助溝部4aを形成した際の間隔である。
また、この補助溝部4aの下側に、前記他方の外装材4の高さ方向に沿って長尺な突条部4bが形成されており、この突条部4bには、後述する第2取付部材20の溝係合部22が係合するようになっている。
【0026】
そして、前記他方の外装材4の幅方向他端と、前記コーナ部1に取り付けられるコーナ用外装材5との間に目地部7が形成されている。
また、この目地部7は、前記コーナ部1を構成する一方の壁パネル2aの壁芯の延長線上に位置している。
【0027】
また、前記コーナ部1に取り付けられるコーナ用外装材5は、図1,図3および図4に示すように、両端部に、上サネ部および下サネ部のどちらも備えてはおらず、このコーナ用外装材5の両側において、表面および裏面に直交する端面をそれぞれ備えた状態となっている。
【0028】
さらに、このコーナ用外装材5の両端部に、このコーナ用外装材5の高さ方向に沿って所定の間隔をあけて複数の補助溝部5aが形成されている。なお、所定の間隔とは、後述する第2取付部材20が固定される高さ位置にそれぞれ前記補助溝部5aを形成した際の間隔である。
また、この補助溝部5aの下側に、前記コーナ用外装材5の高さ方向に沿って長尺な突条部5bが形成されており、この突条部5bには、後述する第2取付部材20の溝係合部22が係合するようになっている。
【0029】
一方、前記一方の外装材3の幅方向一端に係合する第1取付部材10は、図1〜図3に示すように、前記胴縁1bの表面に当接される本体部10aと、この本体部10aの中央部付近に形成されるとともに、当該第1取付部材10を前記壁面2に固定する止着材11aを挿通させるための挿通孔11と、前記本体部10aの幅方向他端に形成されるとともに、前記一方の外装材3の溝部3aに係合する溝係合部12とを備えている。
【0030】
前記挿通孔11は、上述のように、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔である。これによって、前記第1取付部材10を、前記挿通孔11の長さ方向に沿って移動させることができるので、この一方の外装材3の取付位置をずらして調整することができる。
【0031】
また、この挿通孔11は、前記目地部6の底部に位置している。したがって、この目地部6から工具を挿入して、前記止着材11aを締める作業や緩める作業を行うことができるようになっている。これによって、前記外装材3を前記壁面2に取り付け終わった後でも、前記一方の外装材3の取付位置を調整することができるので、例えば前記壁面2に取り付けられる何れかの外装材に寸法誤差が生じていた際に、この外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収することができる。
また、このように前記第1取付部材10の挿通孔11が、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との間に形成される目地部6の底部に位置しているので、例えばメンテナンスやリフォームを行う際に外装材3を取り外しやすい。
【0032】
また、前記溝係合部12は、図2(a),(b)に示すように、前記本体部10aから立ち上がるようにして設けられる脚部12aと、この脚部12aの先端から、前記本体部10aの中央部とは逆の方向に突出する係合片12bとを備えている。
このような溝係合部12は、図3に示すように、前記係合片12bを前記一方の外装材3の溝部3aに差し込むとともに、前記脚部12aを前記一方の外装材3の突条部3cの突端に当接させ、さらに、この突条部3cの下面に前記本体部10aを当接させるような形態で、前記一方の外装材3の溝部3aに係合している。
そして、前記第1取付部材10は、このような溝係合部12を備えているので、前記一方の外装材3の幅方向一端に、前記第1取付部材10を係合させておくことができ、前記一方の外装材3を、前記第1取付部材10を係合させたまま、持ち運びできる。これにより、前記一方の外装材3の取り付け作業や取り外し作業を容易に行うことができる。
【0033】
一方、前記他方の外装材4の幅方向他端および前記コーナ用外装材5の両端部に係合する第2取付部材20は、図1,図3および図4に示すように、前記胴縁1bの表面に当接される本体部20aと、この本体部20aの幅方向端部に形成されるとともに、当該第2取付部材20を前記壁面2に固定する止着材21aを挿通させるための挿通孔21と、前記本体部20aの幅方向他端に形成されるとともに、前記他方の外装材4の補助溝部4aおよび前記コーナ用外装材5の補助溝部5aに係合する溝係合部22とを備えている。
【0034】
前記挿通孔21は、前記目地部6,7の底部に位置している。したがって、これら目地部6,7から工具を挿入して、前記止着材21aを締める作業や緩める作業を行うことができる。これによって、例えばメンテナンスやリフォームを行う際に、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5を取り外しやすい。
【0035】
また、前記溝係合部22は、前記本体部20aから立ち上がるようにして設けられる脚部22aと、この脚部22aの先端から、前記本体部20aの中央部に向かう方向に突出する係合片22bとを備えている。
【0036】
このような溝係合部22は、図3に示すように、前記係合片22bを前記他方の外装材4の補助溝部4aに差し込むとともに、前記脚部22aを前記他方の外装材4の突条部4bの突端に当接させ、さらに、この突条部4bの下面に前記本体部20aを当接させるような形態で、前記他方の外装材4の補助溝部4aに係合している。
また、このような溝係合部22は、図4に示すように、前記係合片22bを前記コーナ用外装材5の補助溝部5aに差し込むとともに、前記脚部22aを前記コーナ用外装材5の突条部5bの突端に当接させ、さらに、この突条部5bの下面に前記本体部20aを当接させるような形態で、前記他方の外装材4の補助溝部4aに係合している。
【0037】
そして、前記第2取付部材20は、このような溝係合部22を備えているので、前記他方の外装材4の幅方向他端およびコーナ用外装材5の両端部に、前記第2取付部材20を係合させておくことができ、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5を、前記第2取付部材20を係合させたまま、持ち運びできる。これにより、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の取り付け作業や取り外し作業を容易に行うことができる。
【0038】
そして、以上のような第1取付部材10を介して、前記コーナ部1に臨む一方の外装材3が前記壁面2に取り付けられており、さらに、以上のような第2取付部材20を介して、前記コーナ部1に臨む他方の外装材4およびコーナ用外装材5が前記壁面2に取り付けられている。したがって、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を前記壁面2に取り付けるにあたって、従来とは異なり、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を正面から釘止めをする必要が無くなり、外装材の破損部分を修復したり、外装材自体を取り替えたりする手間を省略することができる。
【0039】
次に、前記第1取付部材10および第2取付部材20を用いて、前記外装材3,4およびコーナ用外装材5を前記壁面2に取り付ける方法について説明する。
【0040】
前記他方の外装材4は、前記一方の外装材3や、前記壁面2に取り付けられる図示しない他の外装材と同様に、幅方向一端に上サネ部を、幅方向他端に下サネ部を備えているものを加工して用いる。
すなわち、上述のように、この他方の外装材4の幅方向一端の上サネ部は、隣接する外装材の下サネ部と実矧ぎによって接合されるので、切除せずにしておく。一方、幅方向他端の下サネ部は、隣接するコーナ用外装材5とは実矧ぎによって接合されないので、切除する。この時、下サネ部のみを切除するのではなく、外装材4自体を余分に切除して、この他方の外装材4の幅方向他端面が、この他方の外装材4の表面および裏面に直交する面となるように構成する。
【0041】
また、前記コーナ用外装材5の両端部にも、上サネ部および下サネ部が設けられている場合があるので、その際は、前記他方の外装材4と同様に、上サネ部および下サネ部と、コーナ用外装材5自体を余分に切除して、両側の端面が、このコーナ用外装材5の表面および裏面に直交する面となるように構成する。
【0042】
続いて、前記他方の外装材4の幅方向他端面と、前記コーナ用外装材5の両側の端面とに、前記補助溝部4a,5aをそれぞれ形成する。
これら補助溝部4a,5aを形成する際は、例えば、図示しない丸カッターを、前記他方の外装材4の幅方向他端面および前記コーナ用外装材5の両側の端面に当て、所定の深さに切削し、図1に示すような半円状の溝を形成する。この溝が、補助溝部5a(補助溝部4aも同様の形状)となる。
【0043】
なお、以上のような前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の端部加工作業は、現場で行ってもよいし、工場で行ってもよいものとする。
【0044】
以上のように、前記他方の外装材4およびコーナ用外装材5の端部加工が終了した後、前記外装材3,4を含む全ての外装材を前記壁面2に取り付けていく。
この時、前記他方の外装材4の幅方向他端に形成された補助溝部4aに、前記第2取付部材20を係合させた状態で取付作業を行い、この第2取付部材20の挿通孔21が、前記目地部7の底部に位置するように、この他方の外装材4を前記壁面2に取り付ける。
また、前記第1取付部材10による前記一方の外装材3の取付位置の調整を行いながら、外装材を取り付けるようにする。そして、外装材の寸法誤差を吸収した後、前記止着材11aを締めて前記第1取付部材10を固定し、前記一方の外装材3の前記壁面2への取付位置を確定させる。
【0045】
そして、このように前記外装材3,4を含む全ての外装材を前記壁面2に取り付け後、前記コーナ用外装材5を前記コーナ部1に取り付ける。
なお、このコーナ用外装材5を前記コーナ部1に取り付ける際は、このコーナ用外装材5の両端部に形成された補助溝部5aに、前記第2取付部材20を係合させた状態で取付作業を行い、この第2取付部材20の挿通孔21が、前記目地部6,7の底部に位置するように、このコーナ用外装材5を前記コーナ部1に取り付ける。
【0046】
以上のようにして、前記第1取付部材10および第2取付部材20を用いて、前記外装材3,4およびコーナ用外装材5を前記壁面2に取り付ける。
【0047】
本実施の形態によれば、前記コーナ部1に臨む一方の外装材3は、前記第1取付部材10を介して、前記壁面2に取り付けられており、前記コーナ部1に臨む他方の外装材4およびコーナ用外装材5は、前記第2取付部材20を介して、前記壁面2に取り付けられていることから、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を前記壁面2に取り付けるにあたって、従来とは異なり、これら外装材3,4およびコーナ用外装材5を正面から釘止めをする必要が無くなり、外装材の破損部分を修復したり、外装材自体を取り替えたりする手間を省略することができるので、従来に比して、前記外装材3,4およびコーナ用外装材5を、建物のコーナ部1に対して容易かつ確実に取り付けることができる。
また、前記第1取付部材10の挿通孔11が、前記一方の外装材3と前記コーナ用外装材5との並列方向に沿って長尺な長孔であることから、前記第1取付部材10を、前記挿通孔11の長さ方向に沿って移動させることができる。これによって、この一方の外装材3の取付位置をずらして調整することができるので、例えば前記壁面2に取り付けられる何れかの外装材に寸法誤差が生じていた際に、この外装材の寸法誤差を容易かつ確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の建物のコーナ部構造を示す概要図である。
【図2】図1の建物のコーナ部構造に用いられる第1取付部材を示しており、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図3】図1の建物のコーナ部構造の一断面図である。
【図4】図1の建物のコーナ部構造の一断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 コーナ部
2 壁面
3 一方の外装材
4 他方の外装材
5 コーナ用外装材
10 第1取付部材
11 挿通孔
20 第2取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のコーナ部を除く壁面全体に外装材が取り付けられ、前記コーナ部にコーナ用外装材が取り付けられる建物のコーナ部構造において、
前記コーナ部に臨む一方の外装材は、この一方の外装材の幅方向一端に係合するとともに前記壁面に固定される第1取付部材を介して、前記壁面に取り付けられており、
前記コーナ部に臨む他方の外装材およびコーナ用外装材は、これら他方の外装材の幅方向他端およびコーナ用外装材の両端部にそれぞれ係合するとともに前記壁面に固定される第2取付部材を介して、前記壁面に取り付けられており、
前記第1取付部材は、この第1取付部材を前記壁面に固定する止着材を挿通させるための挿通孔を備えており、
この挿通孔は、前記一方の外装材と前記コーナ用外装材との並列方向に沿って長尺な長孔であることを特徴とする建物のコーナ部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物のコーナ部構造において、
前記第1取付部材の挿通孔は、前記一方の外装材と前記コーナ用外装材との間に形成される目地部の底部に位置していることを特徴とする建物のコーナ部構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建物のコーナ部構造において、
前記第2取付部材は、この第2取付部材を前記壁面に固定する止着材を挿通させるための挿通孔を備えており、
この挿通孔は、前記コーナ部に臨む一方および他方の外装材と前記コーナ用外装材との間に形成される目地部の底部に位置していることを特徴とする建物のコーナ部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物のコーナ部構造において、
前記一方の外装材の幅方向一端には、この一方の外装材の高さ方向に沿って、側方に開口する溝部が形成されており、
前記第1取付部材は、前記一方の外装材の溝部に係合する溝係合部を備えていることを特徴とする建物のコーナ部構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物のコーナ部構造において、
前記他方の外装材の幅方向他端には、前記第2取付部材が固定される高さ位置に、側方に開口する補助溝部が複数形成されており、
前記コーナ用外装材の両端部には、前記第2取付部材が固定される高さ位置に、側方に開口する補助溝部が複数形成されており、
前記第2取付部材は、前記他方の外装材およびコーナ用外装材の補助溝部に係合する溝係合部を備えていることを特徴とする建物のコーナ部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−221708(P2009−221708A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65903(P2008−65903)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】