説明

建物の構造余裕度表示装置、及び建物の構造余裕度表示方法

【課題】建物の部材部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証可能にすることを目的とする。
【解決手段】建物を構成する複数の部位において採用可能な複数の仕様のうち、採用する仕様を部位毎に入力する仕様プラン変更条件入力部12と、積雪条件、地震の発生状況、風圧の状況等に関する情報を入力する外力条件入力部14と、採用可能な仕様の情報や各部材のコスト等を予め記憶する記憶部16と、入力された各条件に対応する情報を記憶部16から取得するデータ取得部18と、取得した各条件に対応する情報及び予め定めた構造基準値に基づいて、建物の各部位毎に構造余裕度を算出する構造余裕度算出部20と、算出された各部位毎の構造余裕度をディスプレイ等に表示する表示部22と、を備えることにより、入力する条件を変更するだけで、建物の各部位毎の構造余裕度の算出結果を表示部22に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の構造余裕度表示装置、及び建物の構造余裕度表示方法にかかり、特に、建築時の設計変更や、リフォーム、今後想定される建築基準法改正や各基準類の改正等に対して構造余裕度を事前にシミュレーションして表示可能な建物の構造余裕度表示装置、及び建物の構造余裕度表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の構造余裕度を設定する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、建物の構造設計時に予め設定される構造計算決定値に対して所定の構造余裕度を設定する構造余裕度設定部と、建物の構造計算により算出された同一決定項目内における最大検定値が構造余裕度設定部により設定された構造余裕度を考慮した所定の構造計算検定値を超えるか否かを判別する構造余裕度判別部と、該構造余裕度判別部により建物の構造計算により算出された同一検定項目内における最大検定値が構造余裕度設定部により設定された構造余裕度を考慮した所定の構造計算検定値を超えると判別された場合にその旨を表示する表示部とを有することが提案されている。
【0003】
また、特許文献1に記載の技術では、構造計算検定値が「1」以下になるように、部材の配置変更や追加等を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−250704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、構造余裕度が足りない場合(構造余裕度を考慮した構造計算検定値を超えると判別された場合)にその旨を表示して、自動的に構造余裕度が所定の条件を満たすように部材等の配置変更や追加等を行うようにしているが、自動的に強度アップするように部材等の配置変更や追加等を行うため、過剰設計になる可能性があり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、建物の部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の建物の構造余裕度表示装置は、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様の情報を前記部位毎に記憶する記憶手段と、前記採用可能な仕様のうち採用する仕様を前記複数の部位毎に入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された仕様に対応する前記仕様の情報を前記記憶手段から取得し、取得した前記仕様の情報、及び前記入力手段によって入力された仕様の部材性能を表す予め定めた構造基準値に基づいて、前記部位毎の構造余裕度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記構造余裕度を前記部位毎に表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、記憶手段には、建物を構成する複数の部位において採用可能な使用の情報が部位毎に記憶され、入力手段では、複数の仕様のうち採用する仕様が複数の部位毎に入力される。
【0009】
また、算出手段では、入力手段によって入力された仕様に対応する仕様の情報が記憶手段から取得され、取得された仕様の情報、及び入力手段によって入力された仕様の部材性能を表す予め定めた構造基準値に基づいて、部位毎の構造余裕度が算出される。構造余裕度は、例えば、建物が持つ許容値を鉛直荷重や外力で除算することで算出してもよいし、除算の分母と分子を逆としたものを構造余裕度としてもよい。なお、構造基準値は、記憶手段に記憶しておいて入力手段によって入力された仕様に対応する構造基準値を読み出して入力するようにしてもよい。
【0010】
そして、表示手段では、算出手段によって算出された建物の各部位毎の構造余裕度が表示される。すなわち、構造余裕度が部位毎に表示されるので、基準を満たさない部位があるか否かを表示内容から判断することができる。また、基準を満たさない部位が存在する場合や、構造余裕度が大きすぎると思われる場合には、入力手段で入力する仕様を変更するだけで、建物の各部位毎の構造余裕度の算出結果を表示することができるので、初期仕様状態からのプラン変更やリフォーム等による構造余裕度の効果を明示的に検証することができる。従って、建物の部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証することができる。
【0011】
なお、表示手段は、請求項2に記載の発明のように、算出手段によって算出された建物の各部位毎の構造余裕度のうち、予め定めた基準を満たさない部位について、予め定めた表示方法(例えば、点滅や表示色を他とは別の色にする等)で構造余裕度を表示するようにしてもよい。また、予め定めた表示方法としては、予め定めた基準を満たすか否かの量的判断が可能なように表示してもよい。
【0012】
また、入力手段及び算出手段は、請求項3に記載の発明のように、入力手段が、少なくとも一部の部位において入力される仕様の少なくとも一部の代わりに実荷重の測定結果を更に入力可能とし、算出手段が、入力手段によって入力された測定結果を反映した構造余裕度を算出するようにしてもよい。すなわち、実荷重の測定結果を反映した構造余裕度を算出して表示することができるので、耐震補強工事やリフォーム等の検討を行うことも可能となる。
【0013】
また、記憶手段は、請求項4に記載の発明のように、記憶手段が複数の仕様のそれぞれのコスト情報を更に記憶して、入力手段によって入力された仕様に対応するコスト情報を取得して表示するコスト表示手段を更に備えるようにしてもよい。これによってコスト変動も表示することが可能となり、コストを考慮した部材変更の検討が可能となる。
【0014】
また、記憶手段は、請求項5に記載の発明のように、表示手段が表示した構造余裕度の算出時に入力手段によって入力された仕様、及び建物を識別するための識別情報を履歴として更に記憶するようにしてもよい。これによって記憶された履歴を利用してリフォームなどの構造余裕度の検討を行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の建物の構造余裕度シミュレーション方法は、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様のうち採用する仕様を前記複数の部位毎に入力する入力ステップと、前記入力ステップで入力した仕様に対応する前記仕様の情報を、前記採用可能な仕様の情報を前記部位毎に記憶する記憶手段から取得し、取得した前記仕様の情報、及び前記入力ステップで入力した仕様の部材性能を表す予め定めた構造余裕度に基づいて、前記部位毎の構造余裕度を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出した前記構造余裕度を前記部位毎に表示手段に表示する表示ステップと、を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、入力ステップでは、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様のうち採用する仕様を複数の部位毎に入力する。
【0017】
また、算出手段では、入力ステップで入力した仕様に対応する仕様の情報を、採用可能な仕様の情報を部位毎に記憶する記憶手段から取得し、取得した仕様の情報、及び入力ステップで入力した仕様の部材性能を表す予め定めた構造余裕度に基づいて、部位毎の構造余裕度を算出する。構造余裕度は、例えば、建物が持つ許容値を鉛直荷重や外力で除算することで算出してもよいし、除算の分母と分子を逆としたものを構造余裕度としてもよい。
【0018】
そして、表示ステップでは、算出ステップで算出した建物の各部位毎の構造余裕度を部位毎にディスプレイ等の表示手段に各々表示する。すなわち、構造余裕度が部位毎に表示されるので、基準を満たさない部位があるか否かを表示内容から判断することができる。また、基準を満たさない部位が存在する場合や、構造余裕度が大きすぎると思われる場合には、入力手段で入力する仕様を変更するだけで、建物の各部位毎の構造余裕度の算出結果を表示することができるので、初期仕様状態からのプラン変更やリフォーム等による構造余裕度の効果を明示的に検証することができる。従って、建物の部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証することができる。
【0019】
なお、本発明の建物の構造余裕度シミュレーション方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、構造余裕度を算出して建物の各部位毎に表示することにより、基準を満たさない部位があるか否かを表示内容から判断することができ、基準を満たさない部位が存在する場合や、構造余裕度が大きすぎると思われる場合には、入力する仕様を変更するだけで、建物の各部位毎の構造余裕度の算出結果を表示することができるので、建物の部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証可能にすることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】(A)はDBに記憶される情報の一例を示し、(B)はユニットの各面に使用する部材の設定例を示し、(C)はラーメン構造で使用する部材の情報内容のルールの一例を示し、(D)は建物を構成する各ユニットのラーメン構造の部材を指定した例を示す。
【図4】本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置のPCで構造余裕度シミュレーションプログラム(初期仕様状態の表示)を実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置のPCで構造余裕度シミュレーションプログラム(プラン変更)を実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】構造余裕度を算出する建物の一例を示す図である。
【図7】構造余裕度を表示する際のシミュレーションの概要を示す図である。
【図8】初期状態及びパターン1〜3について構造余裕度を算出した結果を示す一例である。
【図9】初期状態及びパターン3、3’について構造余裕度を算出した結果を示す一例である。
【図10】建物のリビングをインナーガレージに変更するリフォーム例を示す図である。
【図11】インナーガレージに変更するリフォームを行う場合のシミュレーションの概要を示す図である。
【図12】建物のリビングをインナーガレージに変更するリフォームを行った場合の構造余裕度のシミュレーションの結果の一例を示す図である。
【図13】DBに記憶する履歴の一例を示す図である。
【図14】建築基準法等の改正に伴った構造余裕度のシミュレーションの結果の一例を示す図である。
【図15】(A)はユニットID1〜7で使用する部材の一例を示す図であり、(B)はプラン変更やリフォーム等による部材変更後のユニットID1〜7で使用する部材の一例を示す図である。
【図16】(A)は梁の断面種を変更したことによるコスト変動を表示する一例を示す図であり、(B)は柱の断面種別を変更したことによるコスト変動を表示する一例を示す図であり、(C)は梁コストアップ、柱のコストアップの各コスト、及び合計を算出した結果を表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置10は、建物の構造余裕度を算出して建物の各部位毎に表示するものである。
【0025】
建物の構造余裕度表示装置10は、図1に示すように、仕様プラン変更条件入力部12、外力条件入力部14、記憶部16、データ取得部18、構造余裕度算出部20、及び表示部22を備えている。
【0026】
仕様プラン変更条件入力部12は、建物の構造余裕度を算出するための条件として、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様のうち、採用する仕様を部位毎に入力する。すなわち、建物の設計仕様等に基づく、建物の構造や、建物で使用する各部材の種類や数等を表す情報の入力を行う。例えば、建物の屋根、柱、梁、壁等の構造や、使用する各部材の種類や数等の仕様を入力する。
【0027】
外力条件入力部14は、外力を考慮した構造余裕度を算出するための条件として、例えば、積雪条件、地震の発生状況、風圧の状況等に関する情報を入力する。
【0028】
記憶部16には、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様の情報(例えば、建物の各部位毎の構造部材の重量、断面性能や許容力等のスペック)や、各部材のコスト等が仕様や部材毎に部材情報として記憶され、構造余裕度を算出するために記憶された部材情報が利用される。
【0029】
データ取得部18は、仕様プラン変更条件入力部12、及び外力条件入力部14によって入力された条件に対応する部材情報(上述の各部材の仕様の情報や各部材のコスト等)を記憶部16から取得すると共に、採用する仕様の部材性能を表す予め定めた構造基準値を取得して、仕様プラン変更条件入力部12及び外力条件入力部14によって入力された条件と共に、構造余裕度算出部20へ出力する。なお、構造基準値は、記憶部16に記憶しておいて、読み出すものとして説明するが、仕様プラン変更条件入力部12によって入力するようにしてもよい。
【0030】
構造余裕度算出部20は、データ取得部18から出力された部材情報、及び構造基準値に基づいて、建物の各部位毎に構造余裕度を算出する。構造余裕度の算出は、本実施の形態では、建物が持つ許容値を鉛直荷重や外力で除したものを構造余裕度として算出する。本実施の形態では、構造余裕度として算出された値が「1」以上の場合に、建物構造的に余裕度があるものとして説明するが、分母と分子を逆とした値を構造余裕度としてもよい。この場合には、「1」以下の場合に、建物構造的に余裕度があるものとなる。
【0031】
そして、表示部22では、構造余裕度算出部20によって算出された各部位毎の構造余裕度をディスプレイ等に表示する。このとき、表示部22では、予め定めた基準を満たすか否かが判断可能なように、各部位毎の構造余裕度が表示されるようになっている。例えば、予め基準を満たさない部位について、仕様や部材変更を促すことを表す予め定めた表示方法で各部位毎の構造余裕度を表示するようにしてもよい。また、予め定めた基準を満たすか否かが判断可能な表示としては、基準を満たすか否かの量的判断(数値判断等)が可能なように表示してもよい。
【0032】
すなわち、仕様プラン変更条件入力部12や外力条件入力部14で入力する条件を変更するだけで、建物の各部位毎の構造余裕度の算出結果を表示部22に表示することができ、初期仕様状態からのプラン変更やリフォーム等による構造余裕度の効果を明示的に検証することができる。従って、建物の部材変更や追加等による構造余裕度の効果を検証可能にすることができ、適切な部材の選択を行うことができる。
【0033】
また、記憶部16は、構造余裕度算出部20によって算出され表示された建物の各部位毎の構造余裕度を履歴として更に記憶する。このとき、構造余裕度の算出条件(仕様プラン変更条件入力部12や外力入力部14によって入力された情報)と、建物を識別するための識別情報を対応して記憶する。これによって、リフォームや建築基準法改正等によって構造余裕度を算出する際に、履歴を利用して構造余裕度を算出することができる。
【0034】
ここで、本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置10の具体的な構成の一例について説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置10の具体的な構成例を示すブロック図である。
【0036】
建物の構造余裕度表示装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)30を含んで構成されている。PC30は、CPU32、ROM34、RAM36、及び入出力ポート38を備えている。これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等の各種バスを介して互いに接続されている。入出力ポート38には、各種の入出力機器として、ディスプレイ40、マウス42、キーボード44、ハードディスク(HD)46、及び各種ディスク(例えば、CD−ROMやDVD等)48から情報の読み出しを行うディスクドライブ50が各々接続されている。
【0037】
また、入出力ポート38には、ネットワーク52が接続されており、ネットワーク52に接続された各種機器と情報の授受が可能とされている。本実施の形態では、ネットワーク52には、データベース(DB)54が接続されたデータサーバ56が接続されており、DB54に対して情報の授受が可能とされている。
【0038】
DB54には、建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様の情報(例えば、建物の各部位毎の構造部材の重量、断面性能や許容力等のスペック)や、各部材のコスト等の情報が部位毎に部材情報として予め記憶される。DB54への情報の記憶は、PC30やデータサーバ56によって登録してもよいし、ネットワーク52に接続された他の機器によって登録するようにしてもよい。
【0039】
また、DB54には、外力に関する情報も記憶される。外力に関する情報としては、例えば、積雪、地震、風圧等の外力条件に関する情報が記憶され、記憶された情報に基づいて、外力に対する構造余裕度の算出が可能とされている。
【0040】
さらに、DB54には、初期仕様状態の構造余裕度の算出時の算出条件や構造余裕度算出結果結果、プラン変更やリフォーム時の構造余裕度の算出結果、地震等による影響を調べるために算出した構造余裕度の算出結果等の履歴が記憶される。このとき、構造余裕度の算出時の算出条件や建物を識別するための識別情報を対応して記憶する。また、この場合のDB54への情報の記憶についても、PC30やデータサーバ56によって登録するようにしてもよし、ネットワーク52に接続された他の機器によって登録するようにしてもよい。
【0041】
なお、ディスプレイ40は上述の表示部22として機能し、PC30が上述のデータ取得部18及び構造余裕度算出部20として機能し、マウス42やキーボード44は上述の仕様プラン変更条件入力部12及び外力条件入力部14として機能し、データサーバ56及びDB54は、上述の記憶部16として機能する。また、本実施の形態では、データサーバ56に接続されたDB54に、建物で使用する複数種類の部材の仕様の情報(例えば、重量、断面性能や許容力等のスペック)や、各部材のコスト等の情報が部位毎に部材情報として記憶されるものとして説明するが、パーソナルコンピュータ30に内蔵されたHDD46や外付けのハードディスク等にDB54の情報を記憶するようにしてもよい。
【0042】
PC30のHDD46には、後述する建物の構造余裕度をシミュレーションするための構造余裕度シミュレーションプラグラムがインストールされている。本実施の形態の構造余裕度シミュレーションプログラムをPC30にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、構造余裕度シミュレーションプログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROMやDVD等に記憶しておき、ディスクドライブ50にディスクをセットし、CPU32に対してセットアッププログラムを実行することによりHDD46に構造余裕度シミュレーションプログラムをインストールするようにしてもよいし、公衆電話回線やネットワーク52を介してPC30と接続される他の情報処理機器と通信することで、HDD46に構造余裕度シミュレーションプログラムをインストールするようにしてもよい。
【0043】
続いて、構造余裕度シミュレーションプログラムで使用される部材情報等の情報を記憶するDB54に記憶される具体的な情報と、該情報の利用方法の一例について説明する。図3(A)は、DB54に予め記憶される情報の一例を示す図である。
【0044】
本実施の形態では、ユニット住宅を想定した場合を例として説明するが、ユニット住宅に限定されるものではない。また、本実施の形態では、建物を構成する各ユニットは、ラーメン構造で構成される場合を説明するが、これに限るものではなく、他の構造を適用してもよい。例えば、他の構造としては、各部材の接合箇所がピン接合されたトラス、部材を線ではなく面と捉える壁式構造、曲げモーメントを圧縮力に変換するアート構造等の構造が挙げられる。
【0045】
DB54には、図3(A)に示すように、ラーメン構造で使用する部材の情報を予め記憶しておくと共に、各部位毎にそれぞれの部材性能(重量や、断面性能、許容力等のスペック)を予め記憶する。また、部材変更等によるコスト変動をシミュレーションするために各部位毎のコストの情報についても予め記憶しておく。
【0046】
上述のラーメン構造で使用する各種部材は、予め定めたルールに従った情報内容としてDB54に記憶される。例えば、ユニットの北側、南側、西側、東側の各ラーメン構造を指定する場合には、図3(B)の例では、北面は「BB04CC」、南面は「BB04CC」、西面は「AB01CC」、東面は「AB01CC」のように指定する。
【0047】
ユニットの各面の記号のルールは、本実施の形態では、図3(C)に示すルールを適用する。図3(C)の場合には、左から1桁が梁断面バリエーションを表し、左から2桁が柱断面バリエーションを表し、左から3〜4桁がスパンバリエーションを表し、左から5〜6桁がラーメン形状バリエーションを表す。
【0048】
一例として、建物を構成する各ユニットのラーメン構造の部材を指定した例を図3(D)に示す。図3(D)では、ユニットID(U・UD:)が1〜7の7つのユニットで建物を構成する場合を示す。
【0049】
また、DB54には、上述したように外力条件に関する情報が記憶されるが、外力に関する情報としては、構造余裕度を算出しようとしている建物が立地された地域に対応する構造余裕度を算出するための条件等が記憶される。例えば、地域毎の積雪量、地域毎の地震の発生回数や震度、地域毎の風圧力等に対応して予め定めた係数等を外力に対する構造余裕度を算出するための情報として記憶しておき、地域設定等を行うことで、建物全体の構造余裕度に対して地域に対応して記憶した係数等を乗算することにより、外力を考慮した構造余裕度を算出することが可能となる。
【0050】
次に、PC30で構造余裕度シミュレーションプログラムを実行した場合の処理の流れについて説明する。
【0051】
本実施の形態では、構造余裕度プログラムは、初期仕様状態の構造余裕度の表示と、仕様変更やリフォーム等による構造余裕度のシミュレーションが可能とされている。
【0052】
まず、初期仕様状態の構造余裕度の表示を行う場合について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置10のPC30で構造余裕度シミュレーションプログラム(初期仕様状態の表示)を実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【0053】
ステップ100では、初期の設計仕様に基づいて建物を構成するユニットを設定するための予め定めたユニット設定画面がディスプレイ40に表示されてステップ102へ移行する。
【0054】
ステップ102では、ユニット設定の入力がキーボード44やマウス42によって行われたか否かがCPU32によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ104へ移行する。すなわち、建物を構成するユニット数や建物に対するユニットの配置などのユニットに関する設定が行われる。本実施の形態では、ユニット設定時には、邸宅を識別するための邸識別情報等も同時に入力する。これによって、後述するプラン変更等を行う場合には、当該邸識別情報に基づいて後述するプラン変更時の構造余裕度のシミュレーションを行うことが可能となる。なお、建物がユニット住宅以外の構造の場合には、適用する建物の構造に関する設定を当該ステップで行う。
【0055】
ステップ104では、各ユニットのラーメン構造を設定するための予め定めたラーメン設定画面がディスプレイ40に表示されてステップ106へ移行する。なお、ラーメン設定画面は、ラーメン構造で使用する部材の種類や部材の数等を設定する画面であり、設定は、例えば、図3(C)のルールに従って設定する。
【0056】
ステップ106では、各ユニット毎のラーメン構造の部材設定の入力がキーボード44やマウス42等によって行われたか否かがCPU32によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ108へ移行する。
【0057】
ステップ108では、積雪、地震、風圧等外力に関する条件を設定するための予め定めた外力設定画面がディスプレイ40に表示されてステップ110へ移行する。
【0058】
ステップ110では、外力設定の入力がキーボード44やマウス42によって行われたか否かがCPU32によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ112へ移行する。
【0059】
ステップ112では、設定されたラーメン構造の部材性能に関する情報(部材の重量や、断面性能、許容力等のスペック)がDB54からネットワーク52を介して取得されてステップ114へ移行する。
【0060】
ステップ114では、設定された外力条件に対応する情報がDB54からネットワーク52を介して取得されてステップ116へ移行する。
【0061】
ステップ116では、構造余裕度がCPU32の演算によって算出されてステップ118へ移行する。すなわち、設定された各条件、及びDB54から取得された各部材の情報を用いて建物の予め定めた部位毎の構造余裕度が算出されると共に、外力(積雪条件、地震力、風圧力等)毎の構造余裕度が算出される。
【0062】
ステップ118では、算出された構造余裕度が各部位毎にディスプレイ40に表示されて一連の処理を終了する。本実施の形態では、算出された構造余裕度をディスプレイ40に表示する際に、算出した各部位の構造余裕度のうち、構造余裕度が不足している部位(構造余裕度が1より小さい部位)については、点滅したり、他の表示色とは異なる表示色で表示したりすることにより、構造余裕度が不足していることを判断可能なように表示する。すなわち、構造余裕度が不足している部位の部材変更を促すことを表す表示方法で構造余裕度が表示される。
【0063】
続いて、プラン変更が行われた場合の構造余裕度のシミュレーションを行う場合について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係わる建物の構造余裕度表示装置10のPC30で構造余裕度シミュレーションプログラム(プラン変更)を実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【0064】
ステップ200では、構造体の変更やラーメン構造に使用する部材変更等を入力するためのプラン変更条件設定画面がディスプレイ40に表示されてステップ202へ移行する。
【0065】
ステップ202では、条件変更入力がキーボード44やマウス42によって行われたか否かがCPU32によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ204へ移行する。なお、条件変更入力する際に、変更するプランに対応する邸識別情報を入力することにより、初期仕様状態の際に使用した算出条件や算出した各部位の構造余裕度を読み出して、条件変更入力を行う。また、初期仕様状態の際に使用した算出条件や算出した構造余裕度は、RAM36等に一時格納して後述のステップで使用する。
【0066】
ステップ204では、変更後の部材や外力条件に関する情報がDB54からネットワーク52を介して取得されてステップ206へ移行する。すなわち、入力された条件変更に対応する情報がDB54から読み出される。
【0067】
ステップ206では、変更後の構造余裕度がCPU32の演算によって算出されてステップ208へ移行する。すなわち、初期仕様状態の際に使用した算出条件、変更入力された算出条件、及びDB54から取得された条件変更に対応する情報(各部材のスペック等)を用いて各部位毎の構造余裕度が算出される。
【0068】
ステップ208では、変更前後の構造余裕度がディスプレイ40に表示されてステップ210へ移行する。すなわち、初期仕様状態の際に算出された構造余裕度と、条件変更を行うことによって算出された各部位毎の構造余裕度がディスプレイ40に表示される。また、本実施の形態では、算出された構造余裕度をディスプレイ40に表示する際に、算出した各部位の構造余裕度のうち、構造余裕度が不足している部位(構造余裕度が1より小さい部位)については、点滅したり他の表示色とは異なる表示色で表示したりすることにより、構造余裕度が不足していることを判断可能なように表示する。すなわち、構造余裕度が不足している部位の部材変更を促すことを表す表示方法で構造余裕度が表示される。
【0069】
ステップ210では、コスト変動を表示するか否かが判定される。該判定は、コスト変動表示の指示を表す操作がキーボード44やマウス42によって行われたか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ212へ移行し、否定された場合にはそのまま一連の処理を終了する。
【0070】
ステップ212では、各部材のコストに関する情報がDB54からネットワーク52を介して取得されてステップ214へ移行する。
【0071】
ステップ214では、取得したコストに関する情報を用いてコスト変動がCPU32の演算によって算出されてステップ216へ移行する。
【0072】
ステップ216では、コスト変動の算出結果がディスプレイ40に表示されて一連の処理を終了する。すなわち、コスト変動も表示されるので、コストを考慮した部材変更の検討が可能となる。
【0073】
なお、本実施の形態では、初期仕様状態の場合の構造余裕度の算出と、プラン変更の場合の構造余裕度の算出とを別の処理(図4、5)として説明したが、これに限るものではなく、複数のプランを条件設定して、それぞれのプランについて各部位毎の構造余裕度の算出を同時に行ってディスプレイ40に表示可能なように処理を行うようにしてもよい。
【0074】
続いて、上述の構造余裕度シミュレーションを行って算出された構造余裕度の算出結果の表示の一例について説明する。
【0075】
例えば、図6に示すな洋室、ホール、玄関、リビング、及びダイニング・キッチン等を含む建物の構造余裕度の算出結果を表示する例を説明する。
【0076】
図7は、構造余裕度を表示する際のシミュレーションの概要を示す図であり、図8、9は、初期状態及び各パターンについて構造余裕度を算出した結果を示す一例である。
【0077】
上述の構造余裕度シミュレーションプログラムを実行することにより、図8に示すように、鉛直荷重(屋根、外壁、床、及び積載荷重)の各部位毎に構造余裕度の算出結果がディスプレイ40に表示されると共に、外力(積雪条件、地震力、及び風圧力)に対する構造余裕度の算出結果がディスプレイ40に表示される。図8では、実線で示す結果が初期仕様状態の構造余裕度の算出結果を示す。
【0078】
ここで、図8の実線で示す初期仕様状態の場合には、各部位共に構造余裕度が2.0以上であり、構造的な余裕度が大きく、コスト削減の余地がある。そこで、各部位の部材の仕様を変更し、構造余裕度のシミュレーションを行う。
【0079】
変更の内容としては、図7中のパターン1は初期状態に対してハッチングで示した部分(「その他付属物」)の仕様を変更し、パターン2は初期状態に対してハッチングで示した部分(「葺き材」、「その他付属物」、「外板」、「下地+仕上材」、及び「積載荷重」)の仕様を変更し、パターン3は初期状態に対してハッチングで示した部分(「「葺き材」、「その他付属物」、「外板」、「下地+仕上材」、及び「積載荷重」)の仕様を変更した例を一例として示す。プラン変更を行った結果は、図8に示すようにパターン1〜3の構造余裕度の算出結果がディスプレイ40に表示される。なお、図8中の長点線がパターン1の構造余裕度の算出結果を示し、点線がパターン2の構造余裕度の算出結果を示し、一点鎖線がパターン3の構造余裕度の算出結果を示す。
【0080】
図8に示すように、初期状態、パターン1、2、3の順に構造余裕度が低くなり、パターン3では、地震力の構造余裕度が1以下となって構造余裕度が不足してしまう。ここで、構造余裕度が1より小さくなっている部位について点滅や表示色を変える等の表示が行われ、適正な部材に変更する旨をユーザに報知することができる。ユーザは、当該表示を確認して、例えば、パターン3に対してパターン3’のように構造体を変更し、構造余裕度のシミュレーションを行う。その結果、例えば、図9に示すように点線で示す各部位毎の構造余裕度の算出結果が表示される。すなわち、一点鎖線(パターン3)から点線(パターン3’)へプラン変更を行うことによって、全ての部位において構造余裕度が「1」以上となり、必要かつ十分な構造余裕度を得ることができ、過剰な余裕度となることを防止することができる。図9中のハッチングで示す部分が構造体を変更した場合の構造余裕度の発生を示す。なお、図9中の「●」は、パターン3’時の初期状態の構造余裕度の算出結果を示す。
【0081】
次に、図6に示した洋室、ホール、玄関、リビング、及びダイニング・キッチン等を含む建物のリビングを図10に示すようにインナーガレージに変更するリフォームを行う場合の構造余裕度の算出結果の表示について説明する。インナーガレージに変更するリフォームを行う場合のシミュレーションの概要は図11に示すパターン4となる。また、インナーガレージに変更するリフォームと上述のパターン2の仕様変更を行った場合をパターン2’として示す。
【0082】
図12は、初期仕様状態に対してインナーガレージに変更するリフォームを行った場合の構造余裕度の算出結果の表示例を点線として示し、インナーガレージに変更するリフォームとパターン2の仕様変更を行った場合の構造余裕度の算出結果の表示例を一点鎖線として示す。
【0083】
インナーガレージに変更するリフォームとパターン2を行った場合にはユニットの床梁等をカットすることによる建物の耐力が低下して構造余裕度が「1」より小さい部位が発生してしまうが、初期仕様状態に対してインナーガレージに変更するリフォームを行った場合にはユニットの床梁等をカットすることによる建物の耐力が低下しても構造余裕度としては「1」以上を確保することができることが分る。すなわち、これらのシミュレーションを検討することにより、リフォーム時の構造余裕度の検討を行うことができる。
【0084】
なお、所定期間経過後の実荷重を測定して、構造余裕度のシミュレーションを行うようにしてもよい。この場合には、構造余裕度シミュレーションプログラムを実行して、実荷重が変化している部分に対して実荷重の測定結果を反映した条件変更入力(ステップ202)を行うことにより、実荷重の測定結果を考慮した構造余裕度を算出することができるので、耐震補強工事やリフォーム等の検討を行うことも可能となる。なお、実荷重の測定結果を入力する場合には、全部位の測定結果を入力するのではなく、少なくとも1つの部位において入力される仕様の少なくとも一部の代わりに実荷重の測定結果を入力するようにしてもよい。
【0085】
そして、これらの構造余裕度のシミュレーション結果をDB54に履歴として記憶しておくことにより、その後の耐震補強工事やリフォームなどの検討に利用することができる。例えば、DB54に記憶する履歴の一例としては、図13に示すような履歴をDB54に記憶する。図13の例では、計算時(初期仕様状態)、建設時、建設後○年、△年(パターン1の仕様変更を行った場合)、□年(地震発生時の結果)、◇年の各構造余裕度のシミュレーション結果を履歴として記憶する例を示す。
【0086】
一方、建築基準法等の改正に伴った構造余裕度のシミュレーションを行うこともできる。例えば、上述の構造余裕度シミュレーションプログラムの際に、ステップ200でプラン変更条件設定画面において基準の変更等を可能なようにすることで、建築基準法改正等による構造余裕度の算出を行うことができ、例えば、図14に示す算出結果をディスプレイ40に表示することができる。
【0087】
図14の例では、実線で示す初期仕様状態、長点線で示すパターン1、点線で示すパターン2のそれぞれについて建築基準法の改正があった場合の構造余裕度の算出結果を示す。図14中の太線で示す部分が建築基準法の改正により構造余裕度の変動が発生した部分を示す。このように、建築基準法等の改正が行われる場合においても構造余裕度のシミュレーションを行うことができ、結果を明示的に表示することができる。
【0088】
続いて、部材仕様の変更やリフォームによるコスト変動を表示する例について説明する。一例として、図3(D)の7ユニットで建物が構成されている場合のプラン変更によるコスト変動を表示する例について説明する。
【0089】
図15(A)は、ユニットID1〜7で使用する部材の一例を示す図であり、図15(B)は、プラン変更やリフォーム等による部材変更後のユニットID1〜7で使用する部材の一例を示す図である。すなわち、構造余裕度シミュレーションプログラム(初期仕様状態)の実行時に図15(A)の各ユニット及び各ユニットの各部材を設定入力し、構造余裕度シミュレーションプログラムにおいて、図15(B)の変更内容を設定入力したものである。図15(B)中のハッチングで示す部分が図15(A)に対して部材を変更した部分である。
【0090】
この場合には、梁の断面種を変更したことによるコスト変動と、柱の断面種別を変更したことによるコストアップ変動が生じるので、DB54から各部材のコストを読み出して、各ユニット毎の変動を算出してディスプレイ40に表示する(例えば、図16(A)〜(C))。
【0091】
図16(A)は、梁の断面種を変更したことによるコスト変動を表示する一例であり、この場合には、各ユニット毎に変更した柱の断面種、変更に伴うコスト変動、小計、及び梁コストアップの合計を算出して表示する一例を示す。
【0092】
また、図16(B)は、柱の断面種別を変更したことによるコスト変動を表示する一例であり、この場合には、各ユニット毎に変更した梁の断面種別、変更に伴うコスト変動、及び梁コストアップの合計を算出して表示する一例を示す。
【0093】
そして、梁コストアップ、柱のコストアップの各コスト、及び合計を算出した結果を表示する例を図16(C)に示す。
【0094】
なお、上記の各実施形態は、ディスプレイ40に表示する各種表示例を示したが、表示例は、表示する情報の配列や表示方法はこれに限るものではなく、適宜設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 建物の構造余裕度表示装置
12 仕様プラン変更条件入力部
14 外力条件入力部
16 記憶部
18 データ取得部
20 構造余裕度算出部
22 表示部
30 PC
40 ディスプレイ
42 マウス
44 キーボード
46 HDD
54 DB


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様の情報を前記部位毎に記憶する記憶手段と、
前記採用可能な仕様のうち採用する仕様を前記複数の部位毎に入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された仕様に対応する前記仕様の情報を前記記憶手段から取得し、取得した前記仕様の情報、及び前記入力手段によって入力された仕様の部材性能を表す予め定めた構造基準値に基づいて、前記部位毎の構造余裕度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記構造余裕度を前記部位毎に表示する表示手段と、
を備えた建物の構造余裕度表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記算出手段によって算出された建物の各部位毎の構造余裕度のうち、予め定めた基準を満たさない部位について、予め定めた表示方法で構造余裕度を表示する請求項1に記載の建物の構造余裕度表示装置。
【請求項3】
前記入力手段は、少なくとも1つの部位において入力される仕様の少なくとも一部の代わりに実荷重の測定結果を更に入力可能とし、前記算出手段が、前記入力手段によって入力された前記測定結果を反映した構造余裕度を算出する請求項1又は請求項2に記載の建物の構造余裕度表示装置。
【請求項4】
前記記憶手段が前記複数の仕様のそれぞれのコスト情報を更に記憶し、
前記入力手段によって入力された仕様に対応する前記コスト情報を取得して表示するコスト表示手段を更に備えた請求項1〜3の何れか1項に記載の建物の構造余裕度表示装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記表示手段が表示した構造余裕度の算出時に前記入力手段によって入力された前記仕様、及び建物を識別するための識別情報を履歴として更に記憶する請求項1〜4の何れか1項に記載の建物の構造余裕度表示装置。
【請求項6】
建物を構成する複数の部位において採用可能な仕様のうち採用する仕様を前記複数の部位毎に入力する入力ステップと、
前記入力ステップで入力した仕様に対応する前記仕様の情報を、前記採用可能な仕様の情報を前記部位毎に記憶する記憶手段から取得し、取得した前記仕様の情報、及び前記入力ステップで入力した仕様の部材性能を表す予め定めた構造余裕度に基づいて、前記部位毎の構造余裕度を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出した前記構造余裕度を前記部位毎に表示手段に表示する表示ステップと、
を備えた構造余裕度表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate