説明

建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステム

【課題】建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステムを実現する。
【解決手段】POS店舗システムと、トイレが使用中か否かの信号を出力するセンサと、客が指示した品目の注文を受け付けるとともに、トイレ確認電文をPOS店舗システムに出力して返送されてきた電文に基づいてトイレの「使用中」「空き」を表示する電子メニュー装置とを備え、POS店舗システムは、センサの出力信号を受信するとともに、電子メニュー装置からトイレ確認電文を受信するとトイレ情報を含む電文を返送する。トイレ情報は、センサが使用中信号を出力しているとき、または「空き」の旨の電文を電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるときに「使用中」となり、センサが空き信号を出力しているとともに「空き」のトイレ状況電文を電子メニュー装置に送信してから所定時間以上経過している場合には「空き」となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、客が操作して飲食物を注文できる電子メニュー装置を備えたセルフオーダーPOSシステムを利用して、店舗において共同利用されるトイレの使用状況を通知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの空き状況を知らせるための技術としては、航空機や列車などに、トイレの扉の施錠状態に応じて点灯するランプを客室や客車に設置し、トイレの空き状況を乗客に知らせるものがよく知られている。また、特許2867592号公報には、トイレの施錠状態に加え、便座に着座しているか否かの状態を検出することで、鍵を掛蹴られていない状態でトイレが使用されていてもトイレが満室であることを利用者に知らせることができる衛生設備室の利用状況確認装置が開示されている。また、この利用状況確認装置によれば、トイレのフラッシュ動作を検出し、トイレがじきに空くことも知らせることができる。
【0003】
本発明が対象とするセルフオーダーPOSシステムは、レストランや居酒屋などにおいて、入店した客にコンピュータ端末(電子メニュー注文装置)を預け、客がメニューを見て商品を選ぶ行為と、選んだ商品をお店に注文する行為とを、客自身が電子メニュー注文装置(客席端末とかオーダー端末などと呼ばれている)を操作して行う方式のPOSシステムである。このセルフオーダーPOSシステムとしては、以下に例示するような多くの先行技術が存在する。
【0004】
《先行技術例1:特許文献1参照:特開昭58−137076号》「食堂管理装置」
レジスタ端末装置、厨房用表示装置、配膳用表示装置、テーブルごとの注文用端末装置を備え、これらを中央処理装置で制御することにより注文・配膳・精算などの業務を正確かつ高能率に行えるようにした。
《実開昭63−179557号》「タッチセンサー付・ビジュアルメニューオーダーシステム」
ビデオディスクプレーヤでメニュー映像を再生してパソコンのタッチパネル付モニターテレビに表示し、客がタッチ入力した飲食物の注文情報をPOSレジスタと厨房プリンタに無線伝送して注文伝票を印刷するとともに会計処理を行う。
《特開平2−156372号》「オーダエントリ装置」
オーダエントリ端末を店舗内の各テーブルに埋め込み、画像情報をメニューとして表示し、客に直接オーダエントリさせる。
《特開平5−314149号》「料理オーダー装置」
客がテーブルに座って切り換えスイッチを切り替えると、テレビ番組などを映していたタッチパネル表示装置にメニュービデオ装置で再生される料理メニューが表示される。画面の各料理には文字スーパーインポーズによって値段も同時に表示される。
《特開平10−74218号》「電子メニュー装置及び電子オーダーリングシステム」
メニューの変更を行うにあたって、電子スチルカメラで商品を撮影してメニューデータ記憶部に格納するだけで良いため、通常のメニューのように写真の現像や印刷を待つ必要がなく、手軽に行うことができる。
《特開平11−296747号》「個人別会計機能を有するPOSシステム」
飲食物をセルフオーダーするごとに注文する客のIDを入力することで、グループ客の合計額と一人一人の客の会計金額の両方を自動的に集計し、精算を客ごとに行えるようにした。
【0005】
===カラオケ多用途端末===
周知のように最近のカラオケ店では、分厚いカラオケ目次本に代わり、タブレットコンピュータにより構成され、デンモク、キョクNAVI、ナビカラといった商品名が付いたカラオケ多用途端末(以下、客室端末)が普及している。タブレットコンピュータの持つ演算能力・記憶能力・通信能力はきわめて大きいので、この種の客室端末をカラオケに関連したさまざまな用途に供する開発が進められ、非特許文献1に説明されているように客室端末を電子メニュー注文装置としても機能させるセルフオーダーPOSシステムが実用化された。
【非特許文献1】株式会社エクシング、「オーダーエントリーシステム」、[online]、平成17年11月9日、[平成17年12月20日検索]、インターネット<URL:http://www.xing.co.jp/news/news051109.html>
【発明の開示】
【0006】
===発明の趣旨===
旅客機や列車などでは、客室や1つの客車にいる乗客全員がトイレの使用状況をランプで知ることができる。そのため、ある乗客が空きを確認してトイレに行こうと思ったとき、別の乗客が先に席を立ってトイレに行くのを見れば、そこで、トイレに行くことを止めて再度トイレが空くのを自席で待つことができる。しかしながら、複数の客室を備えたカラオケ店舗(カラオケボックス)などでは、各客室に空き確認用のランプを設けたとしても、利用者は他の客室にいる利用者の動向を把握できず、自室で空きを確認して実際にトイレまで行っても、他の客室利用者が先にトイレに入っていて、すぐにトイレに入れない、という事態が生じる。
【0007】
そこで本発明者らは、セルフオーダーPOSシステムをトイレの使用状況を検出するセンサと通信可能に接続し、各客室にある電子メニュー装置にトイレが使用中にあるか否かを表示すれば、トイレの使用状況をリアルタイムで客に通知できると考えた。そして、客がトイレに空きがあるかどうかを電子メニュー装置を操作して確認できるようにし、さらに、トイレの空きを確認した客がトイレに移動するまでの間は、その客用に一つのトイレを使用中として他の客に通知できれば、他の客室にいる人はトイレに行くことを躊躇し、ほかの客室の客同士がトイレで鉢合わせすることが少なくなると考えた。本発明者らは、このようなことを考えながら本発明を創作した。
【0008】
===発明の要旨===
本発明は上記課題に鑑み創作されたものであって、次の事項(1)〜(18)によって特定される建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステムである。
(1)複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備えること
(2)トイレ使用状態センサは、トイレの使用状況を検出して使用中信号または空き信号を出力すること
(3)電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備えること
(4)記憶手段は、メニューデータベースを記憶すること
(5)メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約すること
(6)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(7)入力手段は、客による操作入力を可能とすること
(8)制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行うこと
(9)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(10)注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力すること
(11)トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレ確認電文をPOS店舗システムに出力すること
(12)トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいてトイレが「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させること
(13)POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備えること
(14)センサ信号受信手段は、制御手段の制御により、トイレ使用状態センサが出力している信号を受信すること
(15)トイレ情報記憶手段は、制御手段の制御により、「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報を記憶すること
(16)受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行すること
(17)トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されているトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送すること
(18)トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段が使用中信号を受信しているとき、あるいは「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるときは「使用中」のトイレ情報をトイレ情報記憶手段に記憶させ、センサ信号取得手段が空き信号を受信しているとともに「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に送信してから所定時間以上経過している場合には「空き」のトイレ情報をトイレ記憶手段に記憶させること
【0009】
また、本発明は、次の事項(21)〜(38)によって特定される共用トイレの使用状況が確認できるセルフオーダーPOSシステムとしてもよい。
(21)複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備えること
(22)トイレ使用状態センサは、複数のトイレのそれぞれについて、使用状況を検出して使用中信号または空き信号を出力すること
(23)電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備えること
(24)記憶手段は、メニューデータベースを記憶すること
(25)メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約すること
(26)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(27)入力手段は、客による操作入力を可能とすること
(28)制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行うこと
(29)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(30)注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力すること
(31)トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレ確認電文をPOS店舗システムに出力すること
(32)トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいてトイレが「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させること
(33)POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備えること
(34)センサ信号受信手段は、制御手段の制御により、トイレ使用状態センサが出力している信号を受信すること
(35)トイレ情報記憶手段は、トイレの総数を記憶するとともに、制御手段の制御により「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報を記憶すること
(36)受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行すること
(37)トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されているトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送すること
(38)トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段がある一つのトイレについての使用中信号を受信しているとき、あるいは「空き」の旨を含むトイレ状況電文をある一つの電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるときに「使用中」のトイレが一つであるとカウントし、使用中のトイレとしてカウントされたトイレの数がトイレの総数以上であれば「使用中」の旨を、総数より少なければ「空き」の旨をトイレ情報記憶手段に記憶させること
【0010】
次の事項(41)〜(58)によって特定される共用トイレの使用状況が確認できるセルフオーダーPOSシステム模本発明の範囲である。
(41)複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備えること
(42)トイレ使用状態センサは、複数のトイレのそれぞれについて、使用中信号または空き信号と、トイレの種別情報とを出力すること
(43)電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備えること
(44)記憶手段は、メニューデータベースを記憶すること
(45)メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約すること
(46)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(47)入力手段は、客による操作入力を可能とすること
(48)制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行うこと
(49)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(50)注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力すること
(51)トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレの種別情報を含むトイレ確認電文をPOS店舗システムに出力すること
(52)トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいて、トイレの種別ごとに「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させること
(53)POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備えること
(54)センサ信号受信手段は、トイレ使用状態センサが出力している信号と種別情報とを受信すること
(55)トイレ情報記憶手段は、トイレの総数をトイレの種別ごとに記憶するとともに、制御手段の制御により「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報をトイレの種別ごとに記憶すること
(56)受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行すること
(57)トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されている種別ごとのトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送すること
(58)トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段がある種別のトイレについて使用中信号を受信しているとき、あるいは当該種別の情報を含むトイレ確認電文に対して「空き」の旨を含むトイレ状況電文をある一つの電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるとき、当該種別のトイレの一つが「使用中」であるとカウントし、使用中であるとカウントされた当該種別のトイレの数が当該種別のトイレの総数以上であれば、当該種別について「使用中」の旨を、総数より少なければ「空き」の旨をトイレ情報記憶手段に記憶させること
【0011】
なお、上記いずれかに記載のセルフオーダーPOSシステムにおいて、POS店舗システムは、電子メニュー装置ごとに時間を記憶し、トイレ情報更新手段は、「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に返送する際、当該メニュー装置に対応する時間を所定時間として設定することとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
===システム構成===
図1に本発明の実施例におけるセルフオーダーPOSシステムのネットワーク構成を示した。本実施例のセルフオーダーPOSシステムは、複数の客室120を備えたカラオケ店舗(カラオケボックス)100に設置されている。カラオケ店舗100には、各客室120に設置されているカラオケ装置10を相互接続するLAN110を主体としたカラオケシステムと、飲食物の注文に関わる各種業務を担う周知のPOS店舗システム70の2つのネットワークが併存している。カラオケシステムとPOS店舗システム70とはゲートウエイ60を介して接続され、カラオケシステムとPOS店舗システム70との相互通信を可能としている。
【0013】
カラオケ装置10に付属する客室端末20は、自身に実装されている所定規格の無線LANインタフェース(IEEE 802.11a,IEEE 802.11b,IEEE 802.11gなど)により、無線アクセスポイント30を介してカラオケシステムのLAN110に接続してカラオケ装置10と通信する。また客室端末20は、電子メニュー注文装置としても機能し、LAN110とゲートウエイ60とを経由してPOS店舗システム70に対して飲食物の品目や料金に関わる注文情報を送信する。
【0014】
POS店舗システム70は、店舗における売上を管理するオーダリングコントローラと呼ばれるコンピュータと、客室端末20からの注文情報を印刷して厨房に伝えるためのプリンタ、レジ精算時に価格計算やレシートの発行を行うPOS対応レジスタなどを含んで構成されている。そして、POS店舗システム70では、受け付けた注文情報に基づいて、例えば、厨房に設置されたプリンタに品目や配膳先の客室を印刷出力したり、カラオケ店舗100のフロントにおけるPOS対応レジスタに向けて出力したりするなど、適宜な伝票発行処理を実行する。
【0015】
カラオケ店舗100のトイレルームにある各便器(以下、トイレ)40には、それが使用されているか否かを検出するための使用状態センサ50が設置されている。使用状態センサ50としては、たとえば、個室トイレであれば扉の施錠に連動するセンサであってもよいし、洋式トイレであれば、便座への着座状態を検出するセンサであってもよい。男性の小便用便器であれば、便器に対面して立つ人までの距離に応じて使用状況を検出する超音波センサなどが考えられる。いずれにしても、使用状態センサ50は、各トイレ40のそれぞれについて個別に「使用中」または「空き」を検出して使用中信号、または空き信号のいずれかを出力し、POS店舗システム70はその信号出力状態を取得してトイレ40が実際に使用中か空いているのかを認知できればよい。
【0016】
本実施例のセルフオーダーPOSシステムは、各客室120に設置される電子メニュー装置として機能する客室端末20と、POS店舗システム70と、トイレ40に設置された使用状態センサ50とによって構成され、この構成により、トイレ40が使用されているか否かを店舗100内の客に通知するトイレ使用状況通知機能を備えている。
【0017】
===客室端末===
客室端末20の外部記憶には、注文可能な飲食物の品目についての品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)がメニューデータベースとして記憶されている。客室端末20は、各品目を品目IDによって識別し、各品目IDに品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)を対応付けして管理している。そして、所定の操作入力を受け付けると、メニューデータベースの各品目情報をタッチパネルに表示する。利用者が、その表示されている品目について、数量を指定した上で注文を確定させるための操作入力を行うと、客室端末20は、該当する品目IDとその数量、および配膳先となる客室を特定するための情報となる客室端末20のIDを含む注文情報をPOS店舗システム70に向けて出力する。POS店舗システム70は、受け付けた注文情報に基づいて上述したような適宜な伝票発行処理に移行する。
【0018】
===トイレ使用状況通知機能===
トイレ使用状況通知機能は、たとえば、オーダリングコントローラ、あるいはPOS店舗システム70を構成する他のコンピュータに実装されているプログラムの実行と、トイレ40が使用中か空いているのかを示すトイレ情報を記憶するための外部記憶とにより実現される。ここでは、店舗100にトイレルームが1カ所あり、その1カ所にトイレ40が一つだけある場合を想定して本発明の基本概念を説明する。
【0019】
図2に当該想定下におけるトイレ使用状況通知機能に関わる処理の流れを概略的に示した。また図3と図4に、当該処理の過程で客室端末20に表示される画面の遷移を示した。トイレ使用状態センサ50は自身が検出しているトイレ使用状態信号をPOS店舗システム70に向けて送信する。POS店舗システム70では、トイレ40が使用中あるいは空きのトイレ情報を外部記憶に逐次更新しながら記憶している。そして、トイレ使用状態信号を常時監視し、使用状態センサ50から使用中信号を受信すると、トイレ情報を「使用中」とする(s1,s2→s3)。また、客室端末20からトイレ40が使用中にあるか否かを問い合わせるためのトイレ使用確認電文を受け取ると、その電文を受信した時点において記憶しているトイレ情報に基づいて使用中か否かのトイレ状況電文を客室端末20に返送する。
【0020】
具体的には、客室端末20は、電子メニュー装置としての初期画面(図3,130)を含む全ての画面において、トイレ40の空き確認を行うためのトイレ確認ボタン131を常時表示し、トイレ40に行こうと思った客がこのボタン131を指示すると、トイレ40が使用中であるか否かを問い合わせるトイレ確認電文をPOS店舗システム70に送付する(s4→s5)。POS店舗システム70は、この確認電文を受信すると、その受信時点におけるトイレ情報を含むトイレ状況電文を客室端末20に返送する。
【0021】
POS店舗システム70におけるトイレ情報の更新処理は、トイレ使用状態センサ50から使用中信号を受信している際、あるいは「空き」の旨のトイレ使用状況電文を客室端20末に返送してから所定時間が経過していないときは、トイレ使用状況情報として「使用中」を記憶しており、このときトイレ確認電文を受信すれば、使用中の旨のトイレ状況電文を返送する(s10→s13→s6→s7)。使用状態センサ50から空き信号を受信しているとともに、空きの旨のトイレ使用状況電文を客室端末20に送信してから所定時間以上経過した場合にはトイレ空きとする(s11→s13→s1,s2→s6)。そして、このときトイレ確認電文を受信すれば、タイマーをセットし、使用中を記憶し、空きの旨のトイレ状況電文を返送する(s6→s9,s10,s11)。客室端末20は、使用中、あるいは空きの旨のトイレ状況電文を受け取るとその旨を適宜に表示する(図4)。本実施例では、確認ボタンが配設された画面130の中に子画面132を表示し、その子画面132の中に使用中、あるいは空きの旨を表示している。
【0022】
なお、POS店舗システム70における実際の処理では、常時繰り返し実行されるトイレ情報更新処理と、トイレ確認電文を受信した際に実行されるトイレ状況通知処理とを並行させている。図5の(A)と(B)に、トイレ情報更新処理とトイレ状況通知処理の流れを個別に示した。トイレ情報更新処理(A)はトイレの使用状態センサ50から状態信号を受信する前に、タイマーがカウント中であるか否かを判断する(s21)。このタイマーはトイレ状況通知処理により空きの旨のトイレ使用状況電文を客室端末20に送信した際に所定時間がセットされており、カウント中でない場合だけトイレの使用状態センサ50から状態信号を受信する(s22)。つまり、空きの旨のトイレ状況電文を送信してから所定時間以上経過するまでは、センサの状態に関わりなく「使用中」として記憶させておく(s21→s24)。タイマーがカウント中でない場合、つまり初期状態またはタイムアウト状態ならば、センサの状態をそのまま反映させた「使用中」または「空き」を記憶させる(s21→s23→s24、またはs21→s23→s25)。一方、トイレ確認電文を受信した際に実行されるトイレ状況通知処理(B)は、記憶されている「使用中」または「空き」にしたがって、その状況を電文にして返信する(s31→s34、またはs31→s32)。また、「使用中」を記憶していないときにトイレ確認電文を客室端末20から受信し、「空き」の旨のトイレ状況電文を返信したならば、タイマーをセットする(s33)。
【0023】
POS店舗システム70が計測する所定時間とは、ある客室端末20に対して「空き」の旨のトイレ確認電文を送付したら、その送付先の客室端末20がある客室120から客がトイレ40に赴くまでの時間を考慮して設定されたものである。すなわち、最初にトイレ40の使用状況を確認した利用者が優先的にトイレ40を使用できるようにしている。このように所定時間を設けることで、「空き」を確認した客がトイレ40に行くまでの時間を「使用中」とすることができる。そして、最初に空きを確認した客が所定時間以内に実際にトイレを使用すれば使用中センサが使用中信号を出力することになり、使用状態情報が「使用中」となる。所定時間以上経過してもトイレ使用状態信号が「空き」であれば、トイレ使用確認電文を送付した客が実際にはトイレに行かなかったものとして、トイレ使用状態情報を「空き」に設定し、次に空きを確認した客がトイレを優先的に使用できるようになる。
【0024】
なお、各客室120とトイレ40までの距離は一律ではないので、客室端末20ごとにそれらが設置されている客室120とトイレ40との距離に応じて所定時間を個別に設定しておいてもよい。具体的には、各客室端末20は、自身のIDを記憶し、トイレ確認電文に自身のIDを含ませるようにする。そしてPOS店舗システム70は、各客室端末20と所定時間とを対応付けしたテーブルを記憶し、通信相手の客室端末20を送付してきたIDに基づいて識別すればよい。
【0025】
===便器が複数ある場合===
普通、店舗には複数のトイレ40がある。そして、その複数のトイレ40の設置形態は様々である。男女別にトイレ40があったり、1カ所のトイレルームに複数のトイレ40があったりする。男性用のトイレルームでは、個室の大便用トイレと小便用トイレの2つの種別がある場合もある。本発明は、このような様々なトイレの設置形態にも対応することができる。基本的には、図5に示したPOS店舗システム70のトイレ情報更新処理を複数のトイレについて個別に実行し、トイレ状況通知処理では、複数のトイレについてのトイレ情報を総合し、客室端末からのトイレ確認電文に対して「空き」あるいは「使用中」の旨のトイレ使用状況電文を返送すればよい。
【0026】
たとえば、男女別のトイレ40がある場合、あるいは男性用に小便器と大便器がある場合など、種別の異なるトイレ40が店舗100に混在する場合、使用状態センサ50が種別についての情報をトイレ使用状態信号中に含ませて出力したり、POS店舗システム70が、各トイレ40のそれぞれに設置されているトイレ使用状態センサ50を識別するとともに、各センサ50と種別とを対応付けして管理したりするなどして、トイレ使用状態信号がどの種別のトイレに対応しているのかを認知できればよい。そして、種別毎にトレイ情報を記憶し、トイレ確認電文を受信したら、トイレ40の種別情報を含むトイレ状況電文を客室端末20に返送すればよい。
【0027】
図6に種別の異なるトイレが複数ある場合のトイレ情報の概略を示した。この図には、各トイレに関する使用状態センサの出力状態と、トイレ状況電文の通知件数と、トイレ情報(空きトイレの種類と数)との対応関係を例示した。この例では、女性用トイレ(個室)が6つと、男性用トイレとして小便器が4つと大便器(個室)が3つ、計12台のトイレがある場合を示している。また図7と図8に、このトイレ設置形態に対応した客室端末20における表示画像を例示した。ここでは、図6に示したトイレ情報記憶状態において、客室端末20がトイレ確認電文をPOS店舗システム70に送付した場合の画面を示している。
【0028】
なお、トイレ40が1つだけ設置されている上記実施例の形態における処理(図2参照)では、トイレ40の使用状況を確認した客が実際のどの種別のトイレ40を使用するのか、実際にトイレ40が使用されてトイレ使用状態センサ50が使用中信号を出力するまでわからない。そこでこの例では、客室端末20は、図3に示した確認ボタン131を指示すると、子画面を表示し(図7,133)、その子画面133にトイレの種別ごとに使用状況を確認するための種別ボタン134を配設する。客がある種別ボタン134を指示すると、その種別情報をトイレ確認電文に含ませてPOS店舗システム70に送信する。ここでは男性用の個室トイレについての使用状況を確認したものとする。POS店舗システム70は、指示された当該種別のトイレについて空きを記憶しており、その種別については、空きの旨を、その他の種別については記憶しているトイレ情報を含むトイレ状況電文を客室端末20に返送する。客室端末20は、返送されてきたトイレ状況電文に基づいて、種別ごとに「使用中」あるいは「空き」の旨を子画面133の内容を更新して表示する(図8,135)。またPOS店舗システム70は、客が指示した種別のトイレの一つを使用中にしてトイレ情報を更新する。図9に更新後のトイレ情報記憶状態を示した。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例におけるセルフオーダーPOSシステムを含むネットワーク構成図である。
【図2】上記セルフオーダーPOSシステムにおけるトイレ使用状況通知処理の基本概念を説明するための流れ図である。
【図3】上記セルフオーダーPOSシステムを構成する客室端末において、上記処理と連動して表示される画面の概略図である。
【図4】上記客室端末において、上記処理と連動して表示される画面の概略図である。
【図5】上記POS店舗システムにおけるトイレ情報更新処理と、トイレ使用状況通知処理の詳細を説明するための流れ図である。
【図6】本発明のその他の実施例として、複数のトイレに対応可能なセルフオーダーPOSシステムにて管理されるトイレ情報の概略図である。
【図7】上記その他の実施例において客室端末に表示される画面の概略図である。
【図8】上記その他の実施例において客室端末に表示される画面の概略図である。
【図9】その他の実施例における更新後の上記トイレ情報の概略図である。
【符号の説明】
【0030】
20 客室端末
40 トイレ
50 トイレ使用状態センサ
70 POS店舗システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備え、
トイレ使用状態センサは、トイレの使用状況を検出して使用中信号または空き信号を出力し、
電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備え、
記憶手段は、メニューデータベースを記憶し、
メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を可能とし、
制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行い、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力し、
トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレ確認電文をPOS店舗システムに出力し、
トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいてトイレが「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させ、
POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備え、
センサ信号受信手段は、制御手段の制御により、トイレ使用状態センサが出力している信号を受信し、
トイレ情報記憶手段は、制御手段の制御により、「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報を記憶し、
受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行し、
トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されているトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送し、
トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段が使用中信号を受信しているとき、あるいは「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるときは「使用中」のトイレ情報をトイレ情報記憶手段に記憶させ、センサ信号取得手段が空き信号を受信しているとともに「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に送信してから所定時間以上経過している場合には「空き」のトイレ情報をトイレ記憶手段に記憶させる。
建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステム。
【請求項2】
複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備え、
トイレ使用状態センサは、複数のトイレのそれぞれについて、使用状況を検出して使用中信号または空き信号を出力し、
電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備え、
記憶手段は、メニューデータベースを記憶し、
メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を可能とし、
制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行い、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力し、
トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレ確認電文をPOS店舗システムに出力し、
トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいてトイレが「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させ、
POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備え、
センサ信号受信手段は、制御手段の制御により、トイレ使用状態センサが出力している信号を受信し、
トイレ情報記憶手段は、トイレの総数を記憶するとともに、制御手段の制御により「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報を記憶し、
受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行し、
トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されているトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送し、
トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段がある一つのトイレについての使用中信号を受信しているとき、あるいは「空き」の旨を含むトイレ状況電文をある一つの電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるときに「使用中」のトイレが一つであるとカウントし、使用中のトイレとしてカウントされたトイレの数がトイレの総数以上であれば「使用中」の旨を、総数より少なければ「空き」の旨をトイレ情報記憶手段に記憶させる
建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステム。
【請求項3】
複数の電子メニュー装置とPOS店舗システムとトイレ使用状態センサとを備え、
トイレ使用状態センサは、複数のトイレのそれぞれについて、使用中信号または空き信号と、トイレの種別情報とを出力し、
電子メニュー注文装置は、記憶手段と、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備え、
記憶手段は、メニューデータベースを記憶し、
メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を可能とし、
制御手段は、メニュー処理と、注文処理と、トイレ確認処理と、トイレ状況表示処理とを行い、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
注文処理は、メニュー処理にて受け付けた品目のIDを含む注文情報をPOS店舗システムに出力し、
トイレ確認処理は、所定の利用者入力を受け付けて、トイレの種別情報を含むトイレ確認電文をPOS店舗システムに出力し、
トイレ状況表示処理は、トイレ確認電文に対してPOS店舗システムから返送されてきたトイレ状況電文に基づいて、トイレの種別ごとに「使用中」か「空き」かの旨を表示手段に表示させ、
POS店舗システムは、センサ信号取得手段と、トイレ情報記憶手段と、受注伝票発行手段と、トイレ状況通知手段と、トイレ情報更新手段とを備え、
センサ信号受信手段は、トイレ使用状態センサが出力している信号と種別情報とを受信し、
トイレ情報記憶手段は、トイレの総数をトイレの種別ごとに記憶するとともに、制御手段の制御により「使用中」または「空き」のいずれかのトイレ情報をトイレの種別ごとに記憶し、
受注伝票発行手段は、電子メニュー装置からの注文電文を受信した際、受注伝票を発行し、
トイレ状況通知手段は、電子メニュー装置からのトイレ確認電文を受信すると、トイレ情報記憶手段に記憶されている種別ごとのトイレ情報を含むトイレ状況電文を当該電子メニュー装置に返送し、
トイレ情報更新手段は、センサ信号取得手段がある種別のトイレについて使用中信号を受信しているとき、あるいは当該種別の情報を含むトイレ確認電文に対して「空き」の旨を含むトイレ状況電文をある一つの電子メニュー装置に返送してから所定時間以内であるとき、当該種別のトイレの一つが「使用中」であるとカウントし、使用中であるとカウントされた当該種別のトイレの数が当該種別のトイレの総数以上であれば、当該種別について「使用中」の旨を、総数より少なければ「空き」の旨をトイレ情報記憶手段に記憶させる
建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステム。
【請求項4】
POS店舗システムは、電子メニュー装置ごとに時間を記憶し、トイレ情報更新手段は、「空き」の旨を含むトイレ状況電文を電子メニュー装置に返送する際、当該メニュー装置に対応する時間を所定時間として設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の建物内で共同利用されるトイレの使用状況を利用者に通知するセルフオーダーPOSシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−293420(P2007−293420A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117804(P2006−117804)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】