説明

建物設備制御システム

【課題】建物の屋内エリアや周辺エリアについて異常の発生状況を適正に把握し、ひいてはそれらエリアの環境を好適な状態に維持することができる建物設備制御システムを提供する。
【解決手段】建物10においては建物設備制御システムが構築されており、その建物設備制御システムの監視対象エリアに和室13が設定されている。和室13には、温度センサ、赤外線カメラ、湿度センサが設けられており、それらセンサはコントローラと電気的に接続されている。コントローラは、各センサの検出信号を環境情報として取得時の時間情報に関連付けて記憶部に記憶させる。そして、記憶部に記憶されている過去の環境情報である過去情報を読み出すとともに、その過去情報と現時点の環境情報である現在情報とを対比し、その対比結果に基づいて和室13における異常の発生状況を判定し、さらに、異常有りと判定された場合には正常化処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物設備制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物においては火災やガス漏れ等、各種の異常が発生することが想定される。そこで、建物に異常検出用のセンサを設け、該センサの検出結果に基づいて異常の有無を判定するとともに、異常の発生時にはその旨を住人や警備会社に通報する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、異常判定として具体的には、熱感知センサにより熱を感知し、その感知結果から異常(火災)の発生を判定するものや、ガス検知センサにより建物内における燃料ガス等の存在を検知し、その検知結果から異常(ガス漏れ)を判定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−132768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、異常の発生を正しく把握できない事態が生じ得る。つまり、例えば、火災の発生を熱感知センサの感知結果から判定する場合、その検出対象となるエリア内においてストーブやアイロン等の熱機器が使用されていると、その熱機器による発熱を火災熱と誤判定してしまうことが考えられる。また、異常発生時においてその異常の発生状況は都度異なることが考えられ、異常の発生が分かったとしても、都度の異常に見合う好適な対処を実施できないことも考えられる。要するに、異常検出センサの検出結果を単に監視するだけでは、異常発生の判定を好適に実施できないことがあると考えられる。
【0005】
本発明は、建物の屋内エリアや周辺エリアについて異常の発生状況を適正に把握し、ひいてはそれらエリアの環境を好適な状態に維持することができる建物設備制御システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明の建物設備制御システムは、建物の屋内エリア及び該建物の周辺エリアの少なくともいずれかを監視対象エリアとして環境情報取得手段により環境情報を取得し、該取得した環境情報に基づいて、前記建物に設置されている建物設備の状態を制御する建物設備制御システムであって、前記環境情報取得手段により取得した環境情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部に記憶させる記憶実行手段と、前記記憶部に記憶されている過去の環境情報である過去情報を読み出す情報読出し手段と、前記環境情報取得手段により取得した現時点の環境情報である現在情報と、前記情報読出し手段により読み出した前記過去情報とを対比し、その対比結果に基づいて前記監視対象エリアにおける異常の発生状況を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段により異常有りと判定された場合に、前記建物設備を用い、前記異常を正常化するための正常化処理を実施する建物設備制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、建物の屋内エリアや周辺エリアに関して環境情報の現在情報と過去情報との対比結果に基づく異常判定を実施するため、上記各エリアについて異常の発生状況を好適に把握できる。例えば、現在の環境状況が一見不良であるとしてもそれが許容されるものであることを、現在情報と過去情報との対比により判定でき、異常の有無を正しく把握できる。ゆえに、異常を正常化するための正常化処理を適正に実施することができる。
【0008】
また、現在情報と過去情報とを対比することでそれら両者の差が分かれば、異常の発生に加えて異常の程度を判定することも可能となる。つまり、現在情報と過去情報とを同様に対比する場合であっても(例えば各情報の取得タイミングの時間差を毎回同じにする場合であっても)、異常の程度が異なるとそれら両情報の差が相違することが考えられ、これを考慮することで異常の程度を判定することが可能となる。そして、都度の異常の程度を把握できることで、正常化処理として、その異常の程度に見合う対処を実施できる。以上により、建物の屋内エリアや周辺エリアについて異常の発生状況を適正に把握し、ひいてはそれらエリアの環境を好適な状態に維持できることとなる。
【0009】
なお、「環境情報」とは、建物の屋内エリアや周辺エリアにおいて時間の経過に伴い逐次変化し得る環境に関する情報であって、屋内又は屋外での温度(熱)検知や湿度検知、ガス検知等に関する情報を含む。
【0010】
第2の発明では、前記監視対象エリアにおける人の有無を判定する在否判定手段を備え、前記建物設備制御手段は、前記異常判定手段により異常有りと判定された場合に、前記在否判定手段により判定された人の有無に応じて前記正常化処理を設定し、該正常化処理を実施する。
【0011】
第2の発明によれば、監視対象エリアで異常が発生していると判定された場合に、監視対象エリアにおける人の有無に応じて建物設備を適正に動作させることができる。つまり、人の有無に応じて監視対象エリアを好適な状態に維持することができる。
【0012】
第3の発明では、前記建物設備は、前記監視対象エリアでの異常発生を通報する通報手段を含み、前記建物設備制御手段は、前記異常判定手段により異常有りと判定され、かつ前記在否判定手段により前記監視対象エリアに人がいると判定された場合に、前記正常化処理として前記通報手段による異常通報処理を実施する。
【0013】
第3の発明によれば、監視対象エリアで異常が発生していると判定され、かつ監視対象エリアに人がいると判定された場合に、正常化処理として異常通報処理が実施されるため、監視対象エリアにいる人にとっては、その異常をいち早く把握でき、異常状態を解消するための処置を早期に実施できる。
【0014】
第4の発明では、前記環境情報取得手段は、前記環境情報として、前記監視対象エリア内で高熱となっている高熱箇所の大きさの情報を取得するものであり、前記異常判定手段は、前記高熱箇所について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて前記監視対象エリアにおける異常の発生状況を判定し、前記建物設備制御手段は、異常有りと判定された場合に、前記正常化処理として前記高熱箇所を無くすための処理を実施する。
【0015】
例えば、屋内エリアでストーブを使用したりアイロンを使用したりする場合、その屋内エリアでは局所的に過高温(例えば100℃以上)となる高熱箇所が存在することになる。かかる場合、本来の目的でストーブやアイロンを単に使用するだけであれば、高熱箇所はその範囲が限られるが、これら使用中のストーブやアイロンが熱源になって他の部位も高熱になると、火災の危険性が生じると考えられる。
【0016】
この点、第4の発明によれば、環境情報として高熱箇所の大きさ(面積等)の情報が取得され、さらにその高熱箇所について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて監視対象エリアにおける異常の発生状況が判定されるため、仮に使用中のストーブやアイロンが熱源になって他の部位が高熱になった場合、すなわち高熱箇所が拡がった場合(高熱箇所の面積が大きくなった場合)には、それを異常として把握できる。このとき、ストーブやアイロンの使用により屋内エリア内に高熱箇所が存在していてもいいことを認識可能とする一方、そのストーブやアイロンの使用に伴う異常の発生を好適に把握できる。また、異常有りと判定された場合には、正常化処理として高熱箇所を無くすための処理が実施されるため、異常発生時には好適な対処が可能となる。
【0017】
なお、高熱箇所の大きさ(面積等)の情報を取得する手法としては、監視カメラの画像を解析したり、熱感知センサにより高温箇所を検出したりするとよい。また、異常発生時には、使用中(電源オン状態)のストーブやアイロンについて電源を遮断したり、住人や外部の警備者等に通報を行ったりすることで、高熱箇所を無くすための処理を実施するとよい。
【0018】
第5の発明では、前記環境情報取得手段は、前記監視対象エリア内における変化速度が互いに異なる複数の種別の環境情報をそれぞれ取得するものであり、前記情報読出し手段は、前記環境情報の種別に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記過去情報について現時点からどれだけ過去の情報を読み出すかを可変に設定するものである。
【0019】
監視対象エリア内における環境情報としては、温度や湿度等に関する情報があり、また特に温度に関する環境情報としては、人間の生活温度範囲(例えば0〜40℃)での環境情報や、ストーブ等の熱機器による高熱温度範囲(例えば100℃〜数100℃)での環境情報がある。これらの監視対象エリア内における各環境情報は状況変化時における変化速度が互いに異なる。例えば、生活温度範囲での温度情報の変化速度は比較的小さく、高熱温度範囲での温度情報の変化速度は比較的大きい。これを鑑みると、例えば、変化速度の大きい環境情報は比較的近い過去情報と現在情報とを対比することが望ましいのに対し、変化速度の小さい環境情報は比較的遠い過去情報と現在情報とを対比することが望ましいと考えられる。この点、第5の発明によれば、環境情報の種別に基づいて、現時点からどれだけ過去の過去情報を読み出すかを可変に設定するため、その都度望ましい時間幅(遡り時間)で環境情報の対比を実施できる。
【0020】
第6の発明では、前記複数の種別の環境情報について各々に、前記現在情報と対比される前記過去情報が、現在情報に対してどれだけの時間前の情報となるかの関係をあらかじめ定めておき、前記情報読出し手段は、前記関係を用い、異常判定に用いられる前記環境情報の種別に基づいて前記過去情報の読み出しを実施する。
【0021】
第6の発明によれば、監視対象エリア内において環境情報の種別に応じて該環境情報の変化速度が相違しても容易に対処できる。
【0022】
第7の発明では、前記環境情報として、前記建物の住人の健康に関する健康環境情報と、前記建物の防災に関する防災環境情報とを含み、前記建物設備として、前記住人の健康管理に用いる健康管理設備と、前記防災に用いる防災設備とを備え、前記健康環境情報に基づいて前記健康管理設備の状態を制御するとともに、前記防災環境情報に基づいて前記防災設備の状態を制御する建物設備制御システムであって、前記情報読出し手段は、前記異常判定手段により前記防災環境情報について現在情報と過去情報とを対比する場合には、同じく前記異常判定手段により前記健康環境情報について現在情報と過去情報とを対比する場合に比べて、前記記憶部から読み出す前記過去情報として現時点に近い過去情報を読み出す。
【0023】
健康環境情報に基づいて健康管理設備の状態を制御する健康管理制御機能と、防災環境情報に基づいて防災設備の状態を制御する防災制御機能とを備える建物設備制御システムでは、環境情報として健康管理制御用の情報と防災制御用の情報とが取り扱われ、それら各環境情報は各々種別が異なると考えられる。また、それら各環境情報に基づいて監視対象エリア(建物の屋内エリアや周辺エリア)での異常判定を実施することを考えると、健康環境情報に基づく異常判定と、防災環境情報に基づく異常判定とでは異常発生時における対処の緊急度が相違し、前者に比べて後者の方が、対処の緊急度が高いと考えられる。
【0024】
この点、第7の発明によれば、緊急度の高い防災異常について迅速な対処が可能であり、ひいては好適な異常判定を実現できる。また、健康管理に関しては、防災制御と同じ時間幅で現在情報と過去情報とを対比すると、それら両情報の差異が少なく、異常発生を判定しづらくなるが、防災制御よりも大きい時間幅で現在情報と過去情報とを対比するため、やはり好適な異常判定を実現できる。
【0025】
第8の発明では、前記建物設備の運転状態においてエネルギ消費情報を取得するエネルギ情報取得手段を備え、前記記憶実行手段は、前記エネルギ情報取得手段により取得したエネルギ消費情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部に記憶し、前記情報読出し手段は、前記記憶部に記憶されている過去のエネルギ消費情報であるエネルギ過去情報を読み出し、前記異常判定手段は、前記エネルギ情報取得手段により取得した現時点のエネルギ消費情報であるエネルギ現在情報と、前記情報読出し手段により読み出した前記エネルギ過去情報とを対比し、その対比結果に基づいてエネルギ消費に関して異常の発生状況を判定する。
【0026】
第8の発明によれば、上記構成によれば、監視対象エリアにおける環境に関する異常に加えて、エネルギ消費に関しても異常の発生を判定できる。これにより、省エネルギ効果を得ることができるとともに、建物設備の故障等に伴う電力使用量の異常上昇を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】建物における一階部分の間取り図。
【図2】建物設備制御システムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】建物設備制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の建物設備制御システムを二階建て建物において具体化している。図1は建物10における一階部分の間取り図、図2は建物設備制御システム30の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、住宅等の建物10の一階部には、屋内空間として玄関11、廊下12、和室13、リビング14、ダイニング15、キッチン16、洗面室17、トイレ18、浴室19が設けられている。建物10の外壁21には複数の窓部22が設けられている。和室13の窓部22は掃き出し窓とされており、窓部22を通じて和室13から屋外への出入りが可能となっている。
【0030】
建物10においては、屋内空間の温度や湿度といった環境情報を取得するとともに、その環境情報に基づいて建物設備の動作制御を行う建物設備制御システム30が構築されている。建物設備制御システム30は、建物10内のいずれかの屋内空間を監視対象エリアに設定し、その監視対象エリアについて環境情報を取得する。本実施形態では、和室13を監視対象エリアに設定している。
【0031】
環境情報は、監視対象エリアとしての和室13で取得(検出)される環境に関する情報であり、温度情報や湿度情報等が含まれる。和室13には、温度情報を取得する手段として、和室13内の屋内温度を検出する温度センサ31と、和室13において局所的に高熱(過高温)となる高熱箇所の情報を取得する赤外線カメラ32とが設けられている。そして、温度センサ31により、人間の生活温度範囲(例えば0〜40℃)での環境情報が取得され、赤外線カメラ32により、ストーブやアイロン等の熱機器による高熱温度範囲(例えば100℃〜数100℃)での環境情報が取得される。この赤外線カメラ32によれば、和室13内において高熱箇所の大きさ(面積等)に関する情報が取得される。その他、和室13には、湿度情報を取得するための湿度センサ33が設けられている。
【0032】
建物設備制御システム30は、環境情報に加えてエネルギ消費情報に基づいて建物設備の動作制御を行う。エネルギ消費情報は、例えば和室13での電力使用量であり、この電力使用量を取得(検出)する手段として、電力センサ34が設けられている。和室13には、電気ヒータを有するアイロン35、暖房装置としての電気ストーブ36、冷房装置としてのエアコン37、室内の加湿を行う加湿器38、照明装置としての照明器具39等の家電機器が設けられており、電力センサ34はこれら家電機器のそれぞれに取り付けられ、各家電機器の電力使用量を個別に検出する。なお、電力センサ34は、配電盤等において電力ケーブルに対して取り付けられていてもよい。この場合、電力センサ34は和室13での電力使用量をまとめて検出することになる。
【0033】
次に、建物設備制御システム30に関する電気的な構成について説明する。
【0034】
図2に示すように、建物設備制御システム30は制御手段としてのコントローラ41を有している。コントローラ41は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば和室13の内壁面に取り付けられている。コントローラ41は、和室13に関する環境情報を記憶する記憶部42と、環境情報を記憶部42に記憶させる記憶実行部43とを有している。また、コントローラ41は、防災制御を行う防災制御部45と、健康管理制御を行う健康管理部46と、省エネ制御を行う省エネ制御部47とを有しており、これら防災制御部45、健康管理部46、省エネ制御部47は、例えばCPUにより実施される制御プログラムにより形成されている。
【0035】
コントローラ41には、温度センサ31、赤外線カメラ32、湿度センサ33、電力センサ34が接続されており、これら温度センサ31、赤外線カメラ32、湿度センサ33、電力センサ34は検出信号をコントローラ41に対して出力する。また、コントローラ41には、和室13において人を検出する人検出手段としての人感センサ51が接続されている。人感センサ51は、検出信号をコントローラ41に対して出力し、例えば和室13の内壁面に取り付けられている。
【0036】
コントローラ41には、アイロン35、電気ストーブ36、エアコン37、加湿器38、照明器具39等の家電機器が接続されており、コントローラ41は指令信号を出力することでこれら家電機器の動作制御を行う。なお、アイロン35、電気ストーブ36、エアコン37、加湿器38、照明器具39は、自身の状態を検出する検出部をそれぞれ有しており、各検出部の検出信号をコントローラ41に対して出力する。
【0037】
アイロン35、電気ストーブ36及び加湿器38は、それぞれの接続プラグが和室13のコンセントに接続されることでコントローラ41と電気的に接続された状態となる。具体的には、建物10においては、電力線通信(PLC:Power Line Communication)を用いた建物内通信ネットワークが構築されており、アイロン35及び電気ストーブ36には、コントローラ41からの指令信号が電力線を通じて入力されるようになっている。
【0038】
コントローラ41には、音や画像による報知が可能な報知装置55と、無線通信が可能な通信装置56と、電力会社から供給される商用電力とは別に建物10に対して電力を供給する給電装置58とがアクチュエータとして接続されており、コントローラ41は指令信号を出力することにより、上述した家電機器に加えてこれらアクチュエータの動作制御を行う。なお、これらアクチュエータ及び家電機器が建物設備に相当する。
【0039】
報知装置55及び通信装置56は、和室13の内壁面に取り付けられている。報知装置55は、スピーカ及び表示モニタを含んで構成され、スピーカから報知音や音声を出力することや、表示モニタに報知画像を表示することが可能となっている。コントローラ41は、例えば温度センサ31や湿度センサ33、電力センサ34の検出結果を報知装置55の表示モニタに表示させる。特に、電力センサ34の検出結果を表示させることにより、住人等は電気製品のスイッチを電気製品ごとに個別に視認しなくても、表示モニタを視認することで各電気製品のON/OFF状態をまとめて知ることができる。
【0040】
通信装置56は、住人等が携帯する携帯電話やICチップ等の携帯機、及び消防署や警備会社等の外部施設との双方向通信が可能とされている。コントローラ41は、携帯機から通信装置56を通じてID情報を受信した場合に、そのID情報に基づいて認証処理を行い、携帯機の携帯者が登録者であるか否かの判定を行う。記憶部42には、ID情報に対応させて登録者の身体的特徴や嗜好などが記憶されている。また、通信装置56はインターネットへの接続が可能とされており、コントローラ41は通信装置56を通じてインターネットから天気情報や災害情報などを取得する。
【0041】
給電装置58は、バッテリ等の蓄電池や燃料電池を含んで構成され、電力線により建物10の配電盤と電気的に接続されており、電力会社から供給される商用電力が不足した場合などに配電盤を通じてコントローラ41などに電力を供給することが可能となっている。
【0042】
なお、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車(PHV)といった車両が電力ケーブルを介して給電装置58と電気的に接続され、その車両から給電装置58を通じて配電盤に電力が供給される構成とされていてもよい。この場合、給電装置58は蓄電池を有していなくてもよい。また、給電装置58には、車両ではなく発電機が電力ケーブルを介して接続されてもよい。
【0043】
ここで、防災制御部45、健康管理部46、省エネ制御部47により行われる各種制御処理について簡単に説明する。
【0044】
防災制御部45は、環境情報のうち、建物10における火災等の災害を防止するための防災環境情報を取得するとともに、その防災環境情報に基づいて建物設備のうち防災設備の動作制御を行う。ここで、防災環境情報には、赤外線カメラ32、アイロン35、電気ストーブ36、人感センサ51により検出された各情報が含まれており、防災設備には、アイロン35、電気ストーブ36、報知装置55、通信装置56が含まれている。
【0045】
健康管理部46は、環境情報のうち、建物10の住人の健康に関する健康環境情報を取得するとともに、その健康環境情報に基づいて建物設備のうち健康管理設備の動作制御を行う。ここで、健康環境情報には、温度センサ31、赤外線カメラ32、湿度センサ33、人感センサ51により検出された各情報が含まれており、健康管理設備には、エアコン37、加湿器38、報知装置55、通信装置56が含まれている。
【0046】
例えば、健康管理部46は、和室13に人がいて且つ和室13の湿度が所定湿度(例えば40%)よりも小さい場合に、加湿器38により加湿を行って和室13の湿度を上昇させることや、和室13内の空気が乾燥している旨を報知装置55により報知することが可能となっている。
【0047】
省エネ制御部47は、電力センサ34により検出されたエネルギ消費情報に基づいて、建物設備のうち省エネ設備の動作制御を行う。ここで、省エネ設備には、アイロン35、電気ストーブ36、エアコン37、加湿器38、照明器具39、人感センサ51、報知装置55、通信装置56、給電装置58が含まれている。
【0048】
例えば、省エネ制御部47は、和室13に人がいないにも関わらず和室13の消費エネルギが所定値(例えば照明器具39が点灯状態にある時の電力量)より大きい場合に、照明器具39を消灯させることや、通信装置56を通じて携帯機から住人等にその旨を報知することが可能となっている。また、赤外線カメラ32の画像を分析して和室13に人が複数いるという情報を取得した場合に、電力不足になる可能性があるとして、給電装置58を通じて蓄電池やPHV自動車からの給電を行わせることが可能となっている。
【0049】
コントローラ41は、和室13を監視対象エリアとした建物設備制御処理を行う。ここでは、和室13の建物設備制御処理について図3のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、コントローラ41は建物設備制御処理を所定周期で繰り返し実行する。
【0050】
図3においてステップS101では、各種の環境情報やエネルギ消費情報を取得する。具体的には、温度センサ31により検出された和室13の温度を、人間の生活温度範囲での環境情報J1として取得するとともに、赤外線カメラ32により検出された和室13の高熱箇所についてその大きさ(面積)を、熱機器により発生した高熱温度範囲での環境情報J2として取得する。また、電力センサ34により検出された情報を電力使用量J3として取得する。このステップS101で取得される各種の環境情報が現在情報に相当する。
【0051】
ステップS102では、取得した環境情報やエネルギ消費情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部42に記憶する。この場合、以前の処理で記憶された環境情報は記憶部42に蓄積し、所定期間(例えば24時間)だけ消去せずに記憶部42にて保管する。なお、環境情報の取得タイミングを計時する計時手段は、本建物設備制御処理の処理回数をカウントするカウンタとされている。
【0052】
その後、ステップS103では、記憶部42に記憶されている環境情報やエネルギ消費情報についての過去情報(過去値)を読み出す。このとき、例えば、生活温度範囲(例えば0〜40℃)及び高熱温度範囲(例えば100℃〜数100℃)での環境情報J1,J2や、電力使用量J3を比べると、それぞれ状況変化時における変化速度が互いに異なるものとなっており、それら各情報について個別に設定された過去遡り時間に応じて環境情報J1,J2、電力使用量J3の過去情報が読み出される。ここで、過去遡り時間は、現在時刻に対して過去に遡る時間幅であり、上記の環境情報J1,J2、電力使用量J3についてそれぞれ過去遡り時間との関係があらかじめ定められており、その関係を用いて過去情報の読み出しが実施されるようになっている。
【0053】
例えば、生活温度範囲での環境情報J1と、高熱温度範囲での環境情報J2とについて言えば、環境情報J1に関して生活温度範囲での温度変化速度は比較的小さく、環境情報J2に関して高熱温度範囲での温度変化速度は比較的大きいとみなすことができ、その関係に基づいて過去遡り時間が定められている。このとき、変化速度の小さい環境情報J1は、比較的遠い過去情報が現在情報と対比されることになるように、過去遡り時間として比較的大きい時間が設定されるのに対し、変化速度の大きい環境情報J2は、比較的近い過去情報が現在情報と対比されることになるように、過去遡り時間として比較的小さい時間が設定される。
【0054】
本実施形態では、生活温度範囲での環境情報J1については、例えば5分前の過去情報を読み出し、高熱温度範囲での環境情報J2については、例えば30秒前の過去情報を読み出す。また、電力使用量J3については、例えば3分前の過去情報を読み出す。
【0055】
なお、生活温度範囲での環境情報J1は、建物の住人の健康に関する健康環境情報に相当し、高熱温度範囲での環境情報J2は、建物の防災に関する防災環境情報に相当するものであり、この観点から言えば、高熱温度範囲での環境情報J2(防災環境情報)について現在情報と過去情報とを対比する場合には、生活温度範囲での環境情報J1(健康環境情報)について現在情報と過去情報とを対比する場合に比べて、記憶部42から読み出す過去情報として現時点に近い過去情報が読み出されるようになっている。
【0056】
その後、ステップS104では、ステップS101で取得した現在情報と、ステップS103で読み出した過去情報とを対比し、その対比結果に基づいて監視対象エリアである和室13における異常の発生状況を判定する。このとき、上記の各情報について各々現在情報と過去情報との差を算出するとともに、その差に基づいて異常の有無を判定する。
【0057】
異常判定について具体的には、生活温度範囲(例えば0〜40℃)での環境情報J1の場合は、現在情報としての和室13の屋内温度と、過去情報としての所定の過去遡り時間前の屋内温度との差を算出する。そして、和室13の屋内温度の現在値が生活温度範囲外(例えば0℃以下又は40℃以上)であり、かつその屋内温度の現在値と過去値との差が所定以下であれば、異常発生している旨を判定する。つまり、和室13の屋内温度の現在値が生活温度範囲外(例えば0℃以下又は40℃以上)である場合に、その異常温度になっていることだけでなく、現在値と過去値との比較に基づいて異常判定を実施する。
【0058】
また、高熱温度範囲(例えば100℃〜数100℃)での環境情報J2の場合、現在情報として和室13内において高熱箇所が存在しており、かつその高熱箇所の大きさ(面積)が過去情報に比べて拡がっていれば、異常(火災発生の可能性のある異常)が発生している旨を判定する。つまり、高熱箇所の面積について現在値と過去値との差(=現在値−過去値)を算出し、その差が所定以上であれば、異常発生している旨を判定する。このとき、例えば使用中の電気ストーブ36やアイロン35が熱源になって他の部位が高熱になり高熱箇所が拡がった場合に、異常(火災発生の可能性のある異常)が発生している旨を判定する。
【0059】
また、エネルギ消費情報としての電力使用量J3の場合は、現在情報としての和室13での電力使用量と、過去情報としての所定の過去遡り時間前の同和室13での電力使用量との差を算出する。そして、和室13の電力使用量の現在値が所定の異常判定値であり、かつその電力使用量の現在値と過去値との差が所定以下であれば、異常発生している旨を判定する。つまり、和室13の電力使用量の現在値が異常判定値以上である場合に、その電力使用量が過多になっていることだけでなく、現在値と過去値との比較に基づいて異常判定を実施する。
【0060】
その後、ステップS105では、上記の各情報に基づいて異常判定が実施された結果として、異常有りとする判定結果が含まれているか否かを判定する。異常有りとする判定結果が含まれていない場合、そのまま本処理を終了する。また、異常有りとする判定結果が含まれている場合、後続のステップS106に進む。
【0061】
ステップS106では、建物設備を用い、異常を正常化するための正常化処理を実施する。正常化処理として具体的には、例えば、高熱温度範囲での環境情報J2に基づいて防災(火災)に関して異常有りと判定されている場合には、使用中(電源オン状態)の電気ストーブ36やアイロン35について電源を遮断したり、住人や外部の警備者等に通報を行ったりするという高熱箇所を無くすための処理を実施する。なお、人感センサ51により住人の在室が取得された場合には報知装置55から建物10内での報知を行い、住人の不在が取得された場合には外部への通報を行う。ここで、例えば高熱箇所の拡張部分の面積が所定の判定値よりも大きい場合には、火災発生の可能性が極めて高いとしてその旨を報知や通報し、高熱箇所の拡張部分の面積が所定の判定値よりも小さい場合には、火災発生の疑いがあるという程度の報知や通報を行う。
【0062】
生活温度範囲での環境情報J1に基づいて人間のための健康環境に関して異常有りと判定されている場合には、電気ストーブ36やエアコン37を運転させて和室13の暖房や冷房を行ったり、エアコン37や加湿器38を運転させて和室13の加湿や除湿を行ったりするという、人間の健康を維持できる環境を保つための処理を実施する。なお、人感センサ51により住人の在室が取得された場合には、暖房や冷房、加湿、除湿を推奨するための報知処理を実施し、住人の不在が取得された場合には、電気ストーブ36やアイロン35を電源OFFにする処理や、エアコン例えば換気扇を運転させて和室13の温度や湿度を好適に保つ処理を行う。
【0063】
さらに、電力使用量J3に関して異常ありと判定されている場合には、使用中(電源オン状態)のアイロン35、電気ストーブ36、エアコン37、加湿器38、照明器具39について電源を遮断したり、家電機器の使用を控える旨を報知するという電力使用量J3を低減させるための処理を実施する。なお、電源を遮断する処理は、人感センサ51により住人の不在が取得された場合に行い、報知処理は住人の在室が取得された場合に行う。
【0064】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0065】
建物10の和室13に関して環境情報の現在情報と過去情報との対比結果に基づく異常判定が実施されるため、和室13について異常の発生状況を好適に把握できる。例えば和室13について、屋内温度の現在値が生活温度範囲外にある場合や高温箇所が存在している場合など、現在の環境状況が一見不良であるとしてもそれが許容されるものであることを、現在情報と過去情報との対比により判定でき、異常の有無を正しく把握できる。このため、異常を正常化するための正常化処理を適正に実施することができる。
【0066】
また、現在情報と過去情報とを対比することでそれら両者の差が分かれば、異常の発生に加えて異常の程度を判定することも可能となる。つまり、現在情報と過去情報とを同様に対比しても、異常の程度が異なるとそれら両情報の差が相違することが考えられ、これを考慮することで異常の程度を判定することが可能となる。そして、都度の異常の程度を把握できることで、正常化処理として、その異常の程度に見合う対処を実施できる。以上により、屋内エリアとしての和室13について異常の発生状況を適正に把握し、ひいては和室13の環境を好適な状態に維持できることとなる。
【0067】
和室13で異常が発生していると判定され、且つ和室13に人がいると判定された場合に、正常化処理として異常通報処理が実施されるため、和室13にいる人にとっては、その異常をいち早く把握でき、異常状態を解消するための処置を早期に実施できる。
【0068】
和室13においては、環境情報として高熱箇所の大きさが赤外線カメラ32により取得され、その高熱箇所について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて異常の発生状況が判定されるため、仮に使用中の電気ストーブ36やアイロン35が熱源になって他の部位が高熱になっても、すなわち発火や延焼により高熱箇所が拡がってもそれを異常として把握できる。この場合、電気ストーブ36やアイロン35の使用により和室13内に高熱箇所が存在していてもいいことを認識しつつも、その電気ストーブ36やアイロン35の使用に伴う異常発生を好適に把握できる。また、異常有りと判定された場合には、正常化処理として高熱箇所をなくすための処理が実施されるため、異常発生時には好適な対処が可能となる。
【0069】
環境情報について過去情報が読み出される場合に、その環境情報の種別に基づいて、現時点からどれだけ遡った時点の情報を過去情報とするかが可変に設定されるため、その都度望ましい時間幅で環境情報の対比を実施できる。したがって、生活温度範囲での環境情報J1と、高熱温度範囲での環境情報J2とで変化速度が相違しても、環境情報J2についての遡り時間を環境情報J1よりも小さくすることにより、緊急性の高い防災処理を速やかに行うことを可能にしている。
【0070】
環境情報J1が健康環境情報に相当し、環境情報J2が防災環境情報に相当するため、環境情報J2についての異常判定を行うことで、緊急度の高い防災異常について迅速な対処が可能となる。また、健康管理のための環境情報J2に関しては、環境情報J1と同じ時間幅で現在情報と過去情報とを対比すると、それら両情報の差異が少なく、異常発生を判定しづらくなるが、防災制御よりも大きい時間幅で現在情報と過去情報とが対比されるため、やはり好適な異常判定を実現できる。
【0071】
エネルギ消費情報としての電力使用量J3について、現在情報と過去情報との対比結果に基づいて異常判定が行われるため、和室13における環境に関する異常に加えて、エネルギ消費に関しても異常の発生を判定できる。これにより、省エネルギ効果を得ることができるとともに、建物設備の故障等に伴う電力使用量の異常上昇を判定することができる。
【0072】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0073】
(1)建物設備制御システム30において監視対象エリアは、和室13に代えて又は加えて、リビング14やキッチン16などの他の屋内エリアとされていてもよい。例えば、監視対象エリアがキッチン16とされている構成とする。この構成においても、コントローラ41は、赤外線カメラ32により、電気コンロ等の熱機器による高熱温度範囲での環境情報を取得し、その環境情報について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて、電気式コンロの電源を遮断したり、住人や外部の警備者等に通報を行ったりするという高熱箇所をなくすための処理を実施する。また、キッチン16にはガスコンロとガス漏れを検出するガスセンサとが設けられていてもよい。この場合、コントローラ41は、ガスセンサの検出信号を環境情報として取得し、その環境情報について現在情報と過去情報との対比結果に基づいてガス漏れに関して異常有りか否かを判定し、異常有りと判定した場合にガス栓を閉める等の正常化処理を行う。
【0074】
また、監視対象エリアが浴室19とされている構成とする。この場合、コントローラ41は、温度センサ31や湿度センサ33により浴室19の環境情報を取得し、その環境情報について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて、換気扇のON/OFFを行う。なお、浴室19の映像を撮影する浴室カメラが設けられていてもよい。この場合、コントローラ41は、浴室カメラの撮影画像に基づいて浴槽の蓋が開いているか否かを判定するとともに、浴室19に洗濯物が干してあるか否かを判定し、それぞれの判定結果を報知装置55により音声等で報知することが好ましい。
【0075】
(2)監視対象エリアは、屋外空間において建物10の周辺エリアとされていてもよい。例えば、温度センサ31、赤外線カメラ32、湿度センサ33の検出範囲が周辺エリアに設定され、その周辺エリアについて生活温度範囲での環境情報J1及び高熱温度範囲での環境情報J2が取得され、各環境情報J1、J2について現在情報と過去情報との対比が行われるとともに、その対比結果に基づいて異常判定が行われる構成とする。この構成では、生活温度範囲での環境情報J1について屋外での健康環境に関して異常有りと判定された場合、屋内空間を人間の健康を維持できる環境に保つための処理が実施される。例えば、窓部22を開放しないことを推奨する旨の報知が報知装置55により行われる。また、高熱温度範囲での環境情報J2について火災について異常有りと判定された場合、住人や外部の警備者等に通報を行うという高熱箇所をなくすための処理が実施される。
【0076】
なお、監視対象エリアは、建物10の屋内エリア及び建物10の周辺エリアのうち少なくとも一方とされていてもよい。
【0077】
(3)監視対象エリアにおける人の行動を検出する行動検出手段が設けられ、その行動検出手段により検出された行動に合わせて正常化処理が行われてもよい。例えば、和室13の映像を撮影する和室カメラが行動検出手段として設けられ、人が就寝状態にある場合には、人を覚醒させる覚醒処理が正常化処理に合わせて行われる構成とする。
【0078】
(4)監視対象エリアとしての和室13には、火災を検知する火災警報器が設けられていてもよい。火災警報器はコントローラ41と電気的に接続されており、火災を検知する検知部と、報知音を出力する報知部とを有し、火災発生時にはコントローラ41による動作制御に関係なく報知音を出力する。この構成では、コントローラ41の防災制御部45は、火災警報器により火災が検出された場合に、報知装置55から報知音を出力させることや、通信装置56を通じて外部施設に通報することが可能となっている。また、通信装置56を通じてインターネット等により地震発生などの災害情報を受信した場合に、災害状況や災害に対するアドバイスなどを報知装置55により報知することや、アイロン35及び電気ストーブ36を電源OFFにすることが可能となっている。
【0079】
(5)コントローラ41は、防犯制御を行う防犯制御部を有していてもよい。例えば、屋外空間において窓部22周辺や玄関11周辺の映像を撮影する屋外カメラが外壁面に取り付けられ、施錠可能な施錠装置が窓ガラスや玄関ドアに設けられ、コントローラ41に屋外カメラ及び施錠装置が電気的に接続された構成とする。この構成では、コントローラ41は、屋外カメラ及び施錠装置からの検出信号を防犯情報として取得し、都度の防犯情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部42に記憶させ、防犯情報について現在情報と過去情報との対比を行い、その対比結果に基づいて防犯に関する異常の発生状況を判定する。これにより、屋外空間において防犯に関しての異常発生を判定することができる。
【0080】
なお、コントローラ41は、屋外カメラの撮影画像に基づいて窓部22や玄関11の屋外側周辺に生き物がいるか否かを判定するとともに、その生き物が猫等の小動物であるか否かの判定や、生き物で人であればその人が住人であるか否かの判定、人が不審者であるか否かの判定を行う。
【0081】
(6)コントローラ41は、異常の発生状況を判定する際に、高熱温度範囲での環境情報J2についての異常判定を行い、環境情報J2に異常が発生していないことを条件に生活温度範囲での環境情報J1についての異常判定を行う構成としてもよい。つまり、防災判定が健康管理判定よりも優先して行われる構成としてもよい。また、この構成において、電力使用量J3についての異常判定は、生活温度範囲での環境情報J1に異常が発生していないことを条件として行われてもよい。さらに、(5)を適用し、防犯情報についての異常判定は、電力使用量J3に異常が発生していないことを条件として行われてもよい。つまり、防災判定、健康管理判定、省エネ判定、防犯判定の優先順で各判定が行われる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…建物、13…監視対象エリアとしての和室、30…建物設備制御システム、31…環境情報取得手段としての温度センサ、32…環境情報取得手段としての赤外線カメラ、33…環境情報取得手段としての湿度センサ、34…エネルギ情報取得手段としての電力センサ、35…建物設備としてのアイロン、36…建物設備としての電気ストーブ、37…建物設備としてのエアコン、38…建物設備としての加湿器、39…建物設備としての照明器具、41…記憶実行手段、情報読出し手段、異常判定手段、建物設備制御手段、在否判定手段としてのコントローラ、42…記憶部、43…記憶実行手段としての記憶実行部、51…在否比判定手段を構成する人感センサ、55…通報手段としての報知手段、56…通報手段としての通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋内エリア及び該建物の周辺エリアの少なくともいずれかを監視対象エリアとして環境情報取得手段により環境情報を取得し、該取得した環境情報に基づいて、前記建物に設置されている建物設備の状態を制御する建物設備制御システムであって、
前記環境情報取得手段により取得した環境情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部に記憶させる記憶実行手段と、
前記記憶部に記憶されている過去の環境情報である過去情報を読み出す情報読出し手段と、
前記環境情報取得手段により取得した現時点の環境情報である現在情報と、前記情報読出し手段により読み出した前記過去情報とを対比し、その対比結果に基づいて前記監視対象エリアにおける異常の発生状況を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段により異常有りと判定された場合に、前記建物設備を用い、前記異常を正常化するための正常化処理を実施する建物設備制御手段と、
を備えることを特徴とする建物設備制御システム。
【請求項2】
前記監視対象エリアにおける人の有無を判定する在否判定手段を備え、
前記建物設備制御手段は、前記異常判定手段により異常有りと判定された場合に、前記在否判定手段により判定された人の有無に応じて前記正常化処理を設定し、該正常化処理を実施する請求項1に記載の建物設備制御システム。
【請求項3】
前記建物設備は、前記監視対象エリアでの異常発生を通報する通報手段を含み、
前記建物設備制御手段は、前記異常判定手段により異常有りと判定され、かつ前記在否判定手段により前記監視対象エリアに人がいると判定された場合に、前記正常化処理として前記通報手段による異常通報処理を実施する請求項2に記載の建物設備制御システム。
【請求項4】
前記環境情報取得手段は、前記環境情報として、前記監視対象エリア内で高熱となっている高熱箇所の大きさの情報を取得するものであり、
前記異常判定手段は、前記高熱箇所について現在情報と過去情報との対比結果に基づいて前記監視対象エリアにおける異常の発生状況を判定し、
前記建物設備制御手段は、異常有りと判定された場合に、前記正常化処理として前記高熱箇所を無くすための処理を実施する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物設備制御システム。
【請求項5】
前記環境情報取得手段は、前記監視対象エリア内における変化速度が互いに異なる複数の種別の環境情報をそれぞれ取得するものであり、
前記情報読出し手段は、前記環境情報の種別に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記過去情報について現時点からどれだけ過去の情報を読み出すかを可変に設定するものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物設備制御システム。
【請求項6】
前記複数の種別の環境情報について各々に、前記現在情報と対比される前記過去情報が、現在情報に対してどれだけの時間前の情報となるかの関係をあらかじめ定めておき、
前記情報読出し手段は、前記関係を用い、異常判定に用いられる前記環境情報の種別に基づいて前記過去情報の読み出しを実施する請求項5に記載の建物設備制御システム。
【請求項7】
前記環境情報として、前記建物の住人の健康に関する健康環境情報と、前記建物の防災に関する防災環境情報とを含み、前記建物設備として、前記住人の健康管理に用いる健康管理設備と、前記防災に用いる防災設備とを備え、前記健康環境情報に基づいて前記健康管理設備の状態を制御するとともに、前記防災環境情報に基づいて前記防災設備の状態を制御する建物設備制御システムであって、
前記情報読出し手段は、前記異常判定手段により前記防災環境情報について現在情報と過去情報とを対比する場合には、同じく前記異常判定手段により前記健康環境情報について現在情報と過去情報とを対比する場合に比べて、前記記憶部から読み出す前記過去情報として現時点に近い過去情報を読み出す請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物設備制御システム。
【請求項8】
前記建物設備の運転状態においてエネルギ消費情報を取得するエネルギ情報取得手段を備え、
前記記憶実行手段は、前記エネルギ情報取得手段により取得したエネルギ消費情報をその取得時の時間情報に関連付けて記憶部に記憶し、
前記情報読出し手段は、前記記憶部に記憶されている過去のエネルギ消費情報であるエネルギ過去情報を読み出し、
前記異常判定手段は、前記エネルギ情報取得手段により取得した現時点のエネルギ消費情報であるエネルギ現在情報と、前記情報読出し手段により読み出した前記エネルギ過去情報とを対比し、その対比結果に基づいてエネルギ消費に関して異常の発生状況を判定する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物設備制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−37600(P2013−37600A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174594(P2011−174594)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】