建物
【課題】一定のルールの中で自由設計を可能とし、顧客の多様なニーズに応えられるようにしつつも、設計の効率性を高めた建物を提供する。
【解決手段】構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定する。耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定する。耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成する。
【解決手段】構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定する。耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定する。耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関し、さらに詳しくは、一定のルールの中で自由設計を可能とし、顧客の多様なニーズに応えられるようにしつつも、設計の効率性を高めた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、「注文住宅」や「フリープラン住宅」などと呼ばれる、外観や間取りを自由に選べる建物が提供されており、これらの中には「工業化住宅」などと呼ばれるものもある。
また、「規格化住宅」などと呼ばれる、外観や間取りがあらかじめ決められている建物も提供されている。
【特許文献1】特開2003−239548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
「注文住宅」や「フリープラン住宅」などと呼ばれる建物では、顧客の多様なニーズに応えることはできるものの、外観や間取りが異なるといったように躯体の構造が異なれば一軒毎に構造計算を行わなければならないなど、効率的な設計が困難であり、また、工業化住宅のようにシステムとして一定のルールの中で構造計算が不要とされている建物においても、躯体の構造が異なれば使用する部材も一軒毎に異なることから、量産ができずにコストが規格化住宅よりも高くつき、さらに、躯体の構造や使用する部材が一軒毎に異なれば、施工に熟練を要する。
一方、「規格化住宅」などと呼ばれる建物では、躯体の構造が同一であれば構造計算が一度で済むため、効率的な設計が可能であり、また、躯体の構造が同一であれば同一の部材を各戸共通で使用できるため、量産によるコスト削減効果が見込め、さらに、躯体の構造や使用する部材が各戸共通であれば、施工が注文住宅やフリープラン住宅よりも容易であるものの、どの建物も外観や間取りが同じようになってしまい、顧客の多様なニーズに応えることができない。
【0004】
そこで、本発明は、一定のルールの中で自由設計を可能とし、顧客の多様なニーズに応えられるようにしつつも、設計の効率性を高めた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、建物に係るものであって、構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
ここで、「構造計算の結果に基づき」とは、現実かつ具体的に行われた構造計算の結果に基づくことと、法規に定められたルールに基づくこととを含むものである。
【0006】
また、「耐力壁必須設置位置」は、耐力壁の設置が必須とされる位置をいう。つまり、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の必須の設置位置をいう。また、耐力壁必須設置位置は、一のみ設定してもよく、また、複数設定してもよい。具体的には、例えば、平面視矩形とされた外周部分の各辺にそれぞれ耐力壁必須設置位置を設定することができる。つまり、例えば、第1耐力壁必須設置位置、第2耐力壁必須設置位置、第3耐力壁必須設置位置、および第4耐力壁必須設置位置の4つを設定することができる。
また、「耐力壁選択設置領域」は、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる領域をいう。また、耐力壁選択設置領域は、一のみ設定してもよく、また、複数設定してもよい。具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域、第2耐力壁選択設置領域、および第3耐力壁選択設置領域の3つを設定することができる。
【0007】
また、耐力壁選択設置領域内には、複数の耐力壁設置候補位置が設定される。具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、および耐力壁設置候補位置Cの3つを設定することができる。
また、耐力壁選択設置領域を複数設定した場合にあっては、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置が設定される。具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つを設定し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つを設定し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つを設定することができる。
【0008】
また、「耐力壁設置候補位置」とは、耐力壁の設置の候補とされる位置をいう。つまり、耐力壁設置候補位置とは、耐力壁の選択的な設置位置をいう。上述したように、耐力壁設置候補位置は、一の耐力壁選択設置領域内に複数設定されるものである。逆に言えば、複数の耐力壁設置候補位置から、一の耐力壁選択設置領域が構成される。
また、一の耐力壁選択設置領域内に設定される複数の耐力壁設置候補位置は、互いに隣り合うように連続して設定してもよく、また、一定の間隔をあけて互いに離して設定してもよい。具体的には、例えば、横並びに連続して設定した3つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成してもよく、また、一定の間隔をあけて設定した3つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成してもよい。また、例えば、一定の間隔をあけて設定した2つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成する場合にあっては、一方の耐力壁設置候補位置と他方の耐力壁設置候補位置との間に、耐力壁必須設置位置や耐力壁非設置位置を設定してもよい。つまり、一定の間隔をあけて設定した2つの耐力壁設置候補位置の間に、耐力壁必須設置位置や耐力壁非設置位置を設定してもよい。なお、この場合、各耐力壁設置候補位置は、耐力壁の配置のバランスが構造計算によって確かめられている位置に設定されるものである。
【0009】
また、「耐力壁非設置位置」とは、耐力壁を設置しなくてもいい位置をいう。つまり、耐力壁非設置位置とは、耐力壁の設置が必須ではない位置をいう。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置であって、耐力壁を設置してはいけない位置ではない。したがって、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設置してもよい。
また、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分に、あらかじめ設定されている。
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置する。
【0010】
また、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すればよく、したがって、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、および耐力壁設置候補位置Cの3つが設定されている場合にあっては、耐力壁設置候補位置Aにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Bにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Cにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Bとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Cとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Bと耐力壁設置候補位置Cとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Bと耐力壁設置候補位置Cとの3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0011】
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。また、例えば、施主の希望により、建築基準法を上回る耐震性能を発揮するように、耐力壁必須設置位置や耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁の倍率を設定することができるし、また、複数の耐力壁設置候補位置の中から2以上を選択してこれらに耐力壁を設置することもできる。
逆に言えば、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。また、例えば、施主の希望により、建築基準法を上回る耐震性能を発揮するように、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定することもできる。
【0012】
本発明によれば、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定しており、そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてあるので、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、本発明によれば、一定の範囲内ではあるものの、耐力壁の設置位置を選択できることから、外観や間取りや開口部の配置等の点において、顧客の多様なニーズに応えることができる。
【0013】
また、本発明によれば、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁については各戸共通で使用でき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても各戸共通で用意しておいてそれを適宜選択して使用すればよいので、量産によるコスト削減効果が見込める。
また、本発明によれば、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁の施工方法を各戸共通にでき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても施工方法を各戸共通にできるので、注文住宅やフリープラン住宅よりも施工を容易にできる。
【0014】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、建物に係るものであって、構造計算の結果に基づき、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
【0015】
ここで、本発明は、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とを設定するようにしたものである。つまり、本発明は、建物の外周部分のみならず、内壁設置想定部分にも、耐力壁必須設置位置と、耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とを設定するようにしたものであり、それ以外の点については、請求項1記載の発明と同様である。
またここで、「内壁設置想定部分」は、内壁の設置を想定した部分をいう。
そして、本発明では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。
【0016】
また、内壁設置想定部分には、例えば、耐力壁必須設置位置のみを設定してもよく、また、耐力壁選択設置領域のみを設定してもよく、また、耐力壁非設置位置のみを設定してもよく、また、耐力壁必須設置位置と耐力壁選択設置領域との2つを設定してもよく、耐力壁必須設置位置と耐力壁非設置位置との2つを設定してもよく、耐力壁選択設置領域と耐力壁非設置位置との2つを設定してもよく、耐力壁必須設置位置と耐力壁選択設置領域と耐力壁非設置位置とのすべてを設定してもよい。
また、例えば、一の耐力壁選択設置領域を、外周部分と内壁設置想定部分とに跨って設定してもよい。具体的には、例えば、一の耐力壁選択設置領域内に、2つの耐力壁設置候補位置を設定し、一方を外周部分に、他方を内壁設置想定部分に配置してもよい。逆に言えば、外周部分に設定した耐力壁設置候補位置と、内壁設置想定部分に設定した耐力壁設置候補位置とから、一の耐力壁選択設置領域を構成してもよい。なお、この場合、各耐力壁設置候補位置は、耐力壁の配置のバランスが構造計算によって確かめられている位置に設定されるものである。
【0017】
本発明によれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明を限定したものであって、耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するように形成したことを特徴とする。
【0018】
具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域、第2耐力壁選択設置領域、および第3耐力壁選択設置領域の3つを設定するとともに、第1耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つを設定し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つを設定し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つを設定することができる。
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、第1耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置する。そうすると、建築基準法上十分な耐震性能またはそれ以上の耐震性能を発揮するようにしてある。
【0019】
本発明によれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の発明を限定したものであって、水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つが設定されている場合にあっては、通常は、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つの中から1つを選択してそこに耐力壁を設置すれば強度的に足りるが、積雪量が多い地域であったり、地震の危険度が高い地域であれば、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つの中から2つ、3つ、あるいは4つすべてを選択してこれらに耐力壁を設置する。そうすると、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(いわゆる「品確法」)上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることもできる。
【0020】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の発明を限定したものであって、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする。
複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにすれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項6)
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の発明を限定したものであって、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする。
【0021】
ここで、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにすれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
なお、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設けるようにすれば、従来の建物よりも容易に強度を上げることができるし、また、品確法上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
(請求項7)
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明を限定したものであって、建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定したことを特徴とする。
【0022】
建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定すれば、耐力壁や開口部などの施工を容易にできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一定のルールの中で自由設計を可能とすることができ、これにより、顧客の多様なニーズに応えられる上に、設計の効率性が高い建物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
図1ないし図6は、本発明の第1の実施の形態を示すものである。
図1は、第1の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図、図2は、第1の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図、図3は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−1を示す平面図、図4は、第1の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例1−1を示す平面図、図5は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図、図6は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図である。
【0025】
(建物)
第1の実施の形態に係る建物は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とがあらかじめ設定されているとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置があらかじめ設定されているものである。そして、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしているものである。
【0026】
逆に言えば、第1の実施の形態に係る建物は、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮することとなるように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定し、さらに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定しているものである。
【0027】
また、第1の実施の形態では、図1および図2に示すような基本プランがあらかじめ設定されている。そして、この基本プランに基づいて、耐力壁の配置を決定し、この決定に従って、耐力壁を設置するものである。
(1階の基本プラン)
まずは、図1に基づいて、1階の基本プランについて説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)があらかじめ設定されている。また、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の設置が必須とされる位置をいう。つまり、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の必須の設置位置をいう。そして、第1の実施の形態では、1階の外周部分については、第1から第10までの10の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0028】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域(20-1)、および第2耐力壁選択設置領域(20-2)の2つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁選択設置領域は、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる領域をいう。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁設置候補位置は、耐力壁の設置の候補とされる位置をいう。つまり、耐力壁設置候補位置は、耐力壁の選択的な設置位置をいう。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図1に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)との2つから、第1耐力壁選択設置領域(20-1)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0029】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図1に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)との2つから、第2耐力壁選択設置領域(20-2)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0030】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第1耐力壁非設置位置(30-1)、第2耐力壁非設置位置(30-2)、第3耐力壁非設置位置(30-3)、第4耐力壁非設置位置(30-4)、第5耐力壁非設置位置(30-5)、第6耐力壁非設置位置(30-6)、第7耐力壁非設置位置(30-7)、および第8耐力壁非設置位置(30-8)の8つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置をいう。つまり、耐力壁非設置位置は、耐力壁の設置が必須ではない位置をいう。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置であって、耐力壁を設置してはいけない位置ではない。したがって、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設置してもよい。もちろん、耐力壁非設置位置に、非耐力壁や開口部を設けてもよい。
【0031】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分を、平面視矩形としている。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。
【0032】
また、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分の一辺と基準線との間の距離は、1850mmとしてある。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。
さらに、図1に示すように、第1の実施の形態では、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。
そして、第1の実施の形態では、基準線(40)に沿って大梁を設置し、この大梁の両端を、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ設置した2本の柱で支持させるとともに、この大梁の途中を、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で支持させるようにしている。
【0033】
(2階の基本プラン)
次に、図2に基づいて、2階の基本プランについて説明する。
図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、第18耐力壁必須設置位置(10-18)、および第19耐力壁必須設置位置(10-19)の9つがあらかじめ設定されている。そして、第1の実施の形態では、2階の外周部分については、第11から第19までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0034】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第3耐力壁選択設置領域(20-3)、および第4耐力壁選択設置領域(20-4)の2つがあらかじめ設定されている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)、および耐力壁設置候補位置3C(20-3c)の3つがあらかじめ設定されている。また、図2に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されているが、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)とについては、一定の間隔をあけて互いに離して設定されている。そして、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との間には、第9耐力壁非設置位置(30-9)および第10耐力壁非設置位置(30-10)の2つが設定されている。つまり、図2に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置3A(20-3a)および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と、これらとは一定の間隔をあけて設定した耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との3つから、第3耐力壁選択設置領域(20-3)が構成されている。そして、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との間に、第9耐力壁非設置位置(30-9)と第10耐力壁非設置位置(30-10)とを設定している。そして、第1の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)、および耐力壁設置候補位置3C(20-3c)の3つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3C(20-3c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0035】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)、および耐力壁設置候補位置4D(20-4d)の4つがあらかじめ設定されている。また、図2に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図2に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設けた耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つから、第4耐力壁選択設置領域(20-4)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)、および耐力壁設置候補位置4D(20-4d)の4つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つの中からいずれか2つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つの中からいずれか3つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0036】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第9耐力壁非設置位置(30-9)、第10耐力壁非設置位置(30-10)、第11耐力壁非設置位置(30-11)、第12耐力壁非設置位置(30-12)、第13耐力壁非設置位置(30-13)、第14耐力壁非設置位置(30-14)、および第15耐力壁非設置位置(30-15)の7つがあらかじめ設定されている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0037】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分を、平面視矩形としている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、1階と同じ位置に、具体的には、建物の外周部分の一辺から1850mmの距離の位置に、基準線(40)を設定している。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。上述したように、基準線(40)に沿って大梁が設置されるが、2階の室内に設置されるこれら2本の柱は、大梁の上に設置されるものである。
【0038】
さらに、第1の実施の形態では、基準線(40)に沿って、小屋梁を設置することができる。そして、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で、小屋梁を支持させることができる。
(プラン例1−1)
(1階の間取り)
図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
【0039】
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)に、開口部としての窓を設けている。
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例1−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)に、開口部としての玄関ドアを設けている。
【0040】
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間に小さな非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての窓を設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には非耐力壁を設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、非耐力壁を設けている。
【0041】
また、図示していないが、プラン例1−1では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−1では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図3に示すように、プラン例1−1では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図3に示すように、第1耐力壁必須設置位置(10-1)および第1耐力壁非設置位置(30-1)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第1耐力壁非設置位置(30-1)および第2耐力壁必須設置位置(10-2)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0042】
(2階の間取り)
図4に示すように、プラン例1−1では、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、第18耐力壁必須設置位置(10-18)、および第19耐力壁必須設置位置(10-19)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3C(20-3c)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、耐力壁を設置しておらず、窓と非耐力壁とを設けている。また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例1−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3C(20-1c)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にも、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0043】
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にも、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にも、開口部としての窓を設けている。
【0044】
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第9耐力壁非設置位置(30-9)には、非耐力壁を設け、また、第10耐力壁非設置位置(30-10)には、開口部としての窓を設け、また、第11耐力壁非設置位置(30-11)には、非耐力壁を設け、また、第12耐力壁非設置位置(30-12)には、非耐力壁を設け、また、第13耐力壁非設置位置(30-13)には、開口部としての窓を設け、また、第14耐力壁非設置位置(30-14)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には小さな非耐力壁を設け、また、第15耐力壁非設置位置(30-15)には、中央に開口部としての窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ非耐力壁を設けている。
【0045】
(プラン例1−2)
図5は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図である。
プラン例1−2は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内および第2耐力壁選択設置領域(20-2)内における耐力壁の設置位置、並びに1階の間取りが、プラン例1−1とは異なるものである。
また、プラン例1−2は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例1−1と同様である。
【0046】
(1階の間取り)
図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、開口部としての窓を設けている。
【0047】
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側には小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例1−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0048】
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0049】
また、図示していないが、プラン例1−2では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−2では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図5に示すように、プラン例1−2では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図5に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0050】
(プラン例1−3)
図6は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図である。
プラン例1−3は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内および第2耐力壁選択設置領域(20-2)内における耐力壁の設置位置については、プラン例1−1と同じで、1階の間取りのみが、プラン例1−1とは異なるものである。
また、プラン例1−3は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例1−1と同様である。
【0051】
(1階の間取り)
図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−3では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−3では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、開口部としての窓を設けている。
【0052】
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例1−3では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−3では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、開口部としての玄関ドアを設けている。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0053】
また、図示していないが、プラン例1−3では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−3では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図6に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)および第3耐力壁非設置位置(30-3)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)および耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置している。
【0054】
以上説明したように、第1の実施の形態では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。このため、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、第1の実施の形態では、一定の範囲内ではあるものの、耐力壁の設置位置を選択できることから、外観や間取りや開口部の配置等の点において、顧客の多様なニーズに応えることができる。
【0055】
また、第1の実施の形態では、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁については各戸共通で使用でき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても各戸共通で用意しておいてそれを適宜選択して使用すればよいので、量産によるコスト削減効果が見込める。
また、第1の実施の形態では、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁の施工方法を各戸共通にでき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても施工方法を各戸共通にできるので、注文住宅やフリープラン住宅よりも施工を容易にできる。
【0056】
また、第1の実施の形態では、耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
また、第1の実施の形態では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
【0057】
また、第1の実施の形態では、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
また、第1の実施の形態では、建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。このため、耐力壁や開口部などの施工が容易である。
また、第1の実施の形態では、建物の外周部分を、平面視矩形としている。また、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。さらに、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。そして、これらの柱に両端を支持させた大梁を基準線(40)に沿って設置している。このため、大梁で2階の床や屋根などを支えやすく、また、大梁の下に間仕切り壁を設置しやすく、また、水周りや階段などの位置を決めやすく、さらに、大梁によって建物全体の強度がより一層高められる。
【0058】
また、第1の実施の形態では、階段の桁部材の上端部を大梁に支持させるようにしている。このため、階段の設置が容易である。
また、第1の実施の形態では、外周部分の一辺と基準線(40)とで囲まれる空間に、ユニットバスや洗面スペースやトイレなどの水周りを設置するようにしている。このため、水周りの設置が容易であり、また、建物内部の空間を有効に利用できる。
なお、水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するようにしてもよい。積雪量が多い地域であったり、地震の危険度が高い地域であれば、複数の耐力壁設置候補位置の中から、1のみではなく、2以上を選択して、これらに所定倍率の耐力壁を設置することができる。
【0059】
具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域(20-1)について、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に、所定倍率の耐力壁を設置してもよい。そうすると、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(いわゆる「品確法」)上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
また、耐力壁非設置位置に、非耐力壁や開口部ではなく、耐力壁を設けてもよい。このようにしても、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、品確法上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図7ないし図11は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。
図7は、第2の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図、図8は、第2の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図、図9は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−1を示す平面図、図10は、第2の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例2−1を示す平面図、図11は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図である。
(建物)
第2の実施の形態に係る建物は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とがあらかじめ設定されているとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置があらかじめ設定されているものである。そして、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしているものである。
【0061】
逆に言えば、第2の実施の形態に係る建物は、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮することとなるように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定し、さらに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定しているものである。
【0062】
また、第2の実施の形態では、図7および図8に示すような基本プランがあらかじめ設定されている。そして、この基本プランに基づいて、耐力壁の配置を決定し、この決定に従って、耐力壁を設置するものである。
(1階の基本プラン)
まずは、図7に基づいて、1階の基本プランについて説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)があらかじめ設定されている。そして、第2の実施の形態では、1階の外周部分については、第1から第9までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0063】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分、および内壁設置想定部分には、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域(20-1)、第2耐力壁選択設置領域(20-2)、および第3耐力壁選択設置領域(20-3)の3つがあらかじめ設定されている。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)との2つから、第1耐力壁選択設置領域(20-1)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0064】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)との2つから、第2耐力壁選択設置領域(20-2)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0065】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)は、外周部分と内壁設置想定部分とに跨って設定されており、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)は、内壁設置想定部分に、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)は、外周部分に配置されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、内壁設置想定部分に設定した耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と、外周部分に設定した耐力壁設置候補位置3B(20-3b)とから、第3耐力壁選択設置領域(20-3)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0066】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第1耐力壁非設置位置(30-1)、第2耐力壁非設置位置(30-2)、第3耐力壁非設置位置(30-3)、第4耐力壁非設置位置(30-4)、第5耐力壁非設置位置(30-5)、第6耐力壁非設置位置(30-6)、第7耐力壁非設置位置(30-7)、および第8耐力壁非設置位置(30-8)の8つがあらかじめ設定されている。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0067】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分を、平面視矩形としている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。
また、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分の一辺と基準線との間の距離は、1850mmとしてある。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。
【0068】
さらに、図7に示すように、第2の実施の形態では、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。
そして、第2の実施の形態では、基準線(40)に沿って大梁を設置し、この大梁の両端を、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ設置した2本の柱で支持させるとともに、この大梁の途中を、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で支持させるようにしている。
(2階の基本プラン)
次に、図8に基づいて、2階の基本プランについて説明する。
【0069】
図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第10耐力壁必須設置位置(10-10)、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、および第18耐力壁必須設置位置(10-18)の9つがあらかじめ設定されている。そして、第2の実施の形態では、2階の外周部分については、第10から第18までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0070】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第4耐力壁選択設置領域(20-4)、および第5耐力壁選択設置領域(20-5)の2つがあらかじめ設定されている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、および耐力壁設置候補位置4C(20-4c)の3つがあらかじめ設定されている。また、図8に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されているが、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)とについては、一定の間隔をあけて互いに離して設定されている。そして、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との間には、第9耐力壁非設置位置(30-9)および第10耐力壁非設置位置(30-10)の2つが設定されている。つまり、図8に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置4A(20-4a)および耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と、これらとは一定の間隔をあけて設定した耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との3つから、第4耐力壁選択設置領域(20-4)が構成されている。そして、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との間に、第9耐力壁非設置位置(30-9)と第10耐力壁非設置位置(30-10)とを設定している。そして、第2の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、および耐力壁設置候補位置4C(20-4c)の3つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0071】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)、および耐力壁設置候補位置5D(20-5d)の4つがあらかじめ設定されている。また、図8に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図8に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設けた耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つから、第5耐力壁選択設置領域(20-5)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)、および耐力壁設置候補位置5D(20-5d)の4つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つの中からいずれか2つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つの中からいずれか3つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0072】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第9耐力壁非設置位置(30-9)、第10耐力壁非設置位置(30-10)、第11耐力壁非設置位置(30-11)、第12耐力壁非設置位置(30-12)、第13耐力壁非設置位置(30-13)、第14耐力壁非設置位置(30-14)、および第15耐力壁非設置位置(30-15)の7つがあらかじめ設定されている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0073】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分を、平面視矩形としている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、1階と同じ位置に、具体的には、建物の外周部分の一辺から1850mmの距離の位置に、基準線(40)を設定している。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。上述したように、基準線(40)に沿って大梁が設置されるが、2階の室内に設置されるこれら2本の柱は、大梁の上に設置されるものである。
【0074】
さらに、第2の実施の形態では、基準線(40)に沿って、小屋梁を設置することができる。そして、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で、小屋梁を支持させることができる。
(プラン例2−1)
(1階の間取り)
図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
【0075】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1A(20-1a)に、開口部としての窓を設けている。
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、耐力壁を設置しておらず、非耐力壁と窓とを設けている。つまり、プラン例2−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0076】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、耐力壁を設置しておらず、開口部を設けている。つまり、プラン例2−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、開口部を設けている。さらに、図9に示すように、プラン例2−1では、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)との間に、風除室を設けている。そして、この風除室に面するように、玄関ドアを設けている。
【0077】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての窓を設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0078】
また、図示していないが、プラン例2−1では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例2−1では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図9に示すように、プラン例2−1では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図9に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0079】
(2階の間取り)
図10に示すように、プラン例2−1では、第10耐力壁必須設置位置(10-10)、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、および第18耐力壁必須設置位置(10-18)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)には、耐力壁を設置しておらず、非耐力壁と窓とを設けている。また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例2−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4A(20-4a)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にも、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0080】
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−1では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5B(20-5b)には、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にも、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にも、開口部としての窓を設けている。
【0081】
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第9耐力壁非設置位置(30-9)には、非耐力壁を設け、また、第10耐力壁非設置位置(30-10)には、開口部としての窓を設け、また、第11耐力壁非設置位置(30-11)には、非耐力壁を設け、また、第12耐力壁非設置位置(30-12)には、非耐力壁を設け、また、第13耐力壁非設置位置(30-13)には、開口部としての窓を設け、また、第14耐力壁非設置位置(30-14)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には小さな非耐力壁を設け、また、第15耐力壁非設置位置(30-15)には、中央に開口部としての窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ非耐力壁を設けている。
【0082】
(プラン例2−2)
図11は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図である。
プラン例2−2は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内、および第3耐力壁選択設置領域(20-3)内における耐力壁の設置位置、並びに1階の間取りが、プラン例2−1とは異なるものである。
また、プラン例2−2は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例2−1と同様である。
【0083】
(1階の間取り)
図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、開口部としての窓を設けている。
【0084】
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例2−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、開口部としての玄関ドアを設けている。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、耐力壁を設置していない。つまり、プラン例2−2では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、何も設けていない。
【0085】
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0086】
また、図示していないが、プラン例2−2では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例2−2では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図11に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)および第3耐力壁非設置位置(30-3)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)および耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置している。
【0087】
以上説明したように、第2の実施の形態では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。このため、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、他の作用・効果については、第1の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−1を示す平面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例1−1を示す平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−1を示す平面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例2−1を示す平面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図。
【符号の説明】
【0089】
10-1 第1耐力壁必須設置位置 10-2 第2耐力壁必須設置位置
10-3 第3耐力壁必須設置位置 10-4 第4耐力壁必須設置位置
10-5 第5耐力壁必須設置位置 10-6 第6耐力壁必須設置位置
10-7 第7耐力壁必須設置位置 10-8 第8耐力壁必須設置位置
10-9 第9耐力壁必須設置位置 10-10 第10耐力壁必須設置位置
10-11 第11耐力壁必須設置位置 10-12 第12耐力壁必須設置位置
10-13 第13耐力壁必須設置位置 10-14 第14耐力壁必須設置位置
10-15 第15耐力壁必須設置位置 10-16 第16耐力壁必須設置位置
10-17 第17耐力壁必須設置位置 10-18 第18耐力壁必須設置位置
10-19 第19耐力壁必須設置位置
20-1 第1耐力壁選択設置領域 20-2 第2耐力壁選択設置領域
20-3 第3耐力壁選択設置領域 20-4 第4耐力壁選択設置領域
20-5 第5耐力壁選択設置領域
20-1a 耐力壁設置候補位置1A 20-1b 耐力壁設置候補位置1B
20-2a 耐力壁設置候補位置2A 20-2b 耐力壁設置候補位置2B
20-3a 耐力壁設置候補位置3A 20-3b 耐力壁設置候補位置3B
20-3c 耐力壁設置候補位置3C 20-4a 耐力壁設置候補位置4A
20-4b 耐力壁設置候補位置4B 20-4c 耐力壁設置候補位置4C
20-4d 耐力壁設置候補位置4D 20-5a 耐力壁設置候補位置5A
20-5b 耐力壁設置候補位置5B 20-5c 耐力壁設置候補位置5C
20-5d 耐力壁設置候補位置5D
30-1 第1耐力壁非設置位置 30-2 第2耐力壁非設置位置
30-3 第3耐力壁非設置位置 30-4 第4耐力壁非設置位置
30-5 第5耐力壁非設置位置 30-6 第6耐力壁非設置位置
30-7 第7耐力壁非設置位置 30-8 第8耐力壁非設置位置
30-9 第9耐力壁非設置位置 30-10 第10耐力壁非設置位置
30-11 第11耐力壁非設置位置 30-12 第12耐力壁非設置位置
30-13 第13耐力壁非設置位置 30-14 第14耐力壁非設置位置
30-15 第15耐力壁非設置位置
40 基準線
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関し、さらに詳しくは、一定のルールの中で自由設計を可能とし、顧客の多様なニーズに応えられるようにしつつも、設計の効率性を高めた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、「注文住宅」や「フリープラン住宅」などと呼ばれる、外観や間取りを自由に選べる建物が提供されており、これらの中には「工業化住宅」などと呼ばれるものもある。
また、「規格化住宅」などと呼ばれる、外観や間取りがあらかじめ決められている建物も提供されている。
【特許文献1】特開2003−239548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
「注文住宅」や「フリープラン住宅」などと呼ばれる建物では、顧客の多様なニーズに応えることはできるものの、外観や間取りが異なるといったように躯体の構造が異なれば一軒毎に構造計算を行わなければならないなど、効率的な設計が困難であり、また、工業化住宅のようにシステムとして一定のルールの中で構造計算が不要とされている建物においても、躯体の構造が異なれば使用する部材も一軒毎に異なることから、量産ができずにコストが規格化住宅よりも高くつき、さらに、躯体の構造や使用する部材が一軒毎に異なれば、施工に熟練を要する。
一方、「規格化住宅」などと呼ばれる建物では、躯体の構造が同一であれば構造計算が一度で済むため、効率的な設計が可能であり、また、躯体の構造が同一であれば同一の部材を各戸共通で使用できるため、量産によるコスト削減効果が見込め、さらに、躯体の構造や使用する部材が各戸共通であれば、施工が注文住宅やフリープラン住宅よりも容易であるものの、どの建物も外観や間取りが同じようになってしまい、顧客の多様なニーズに応えることができない。
【0004】
そこで、本発明は、一定のルールの中で自由設計を可能とし、顧客の多様なニーズに応えられるようにしつつも、設計の効率性を高めた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、建物に係るものであって、構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
ここで、「構造計算の結果に基づき」とは、現実かつ具体的に行われた構造計算の結果に基づくことと、法規に定められたルールに基づくこととを含むものである。
【0006】
また、「耐力壁必須設置位置」は、耐力壁の設置が必須とされる位置をいう。つまり、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の必須の設置位置をいう。また、耐力壁必須設置位置は、一のみ設定してもよく、また、複数設定してもよい。具体的には、例えば、平面視矩形とされた外周部分の各辺にそれぞれ耐力壁必須設置位置を設定することができる。つまり、例えば、第1耐力壁必須設置位置、第2耐力壁必須設置位置、第3耐力壁必須設置位置、および第4耐力壁必須設置位置の4つを設定することができる。
また、「耐力壁選択設置領域」は、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる領域をいう。また、耐力壁選択設置領域は、一のみ設定してもよく、また、複数設定してもよい。具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域、第2耐力壁選択設置領域、および第3耐力壁選択設置領域の3つを設定することができる。
【0007】
また、耐力壁選択設置領域内には、複数の耐力壁設置候補位置が設定される。具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、および耐力壁設置候補位置Cの3つを設定することができる。
また、耐力壁選択設置領域を複数設定した場合にあっては、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置が設定される。具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つを設定し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つを設定し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つを設定することができる。
【0008】
また、「耐力壁設置候補位置」とは、耐力壁の設置の候補とされる位置をいう。つまり、耐力壁設置候補位置とは、耐力壁の選択的な設置位置をいう。上述したように、耐力壁設置候補位置は、一の耐力壁選択設置領域内に複数設定されるものである。逆に言えば、複数の耐力壁設置候補位置から、一の耐力壁選択設置領域が構成される。
また、一の耐力壁選択設置領域内に設定される複数の耐力壁設置候補位置は、互いに隣り合うように連続して設定してもよく、また、一定の間隔をあけて互いに離して設定してもよい。具体的には、例えば、横並びに連続して設定した3つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成してもよく、また、一定の間隔をあけて設定した3つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成してもよい。また、例えば、一定の間隔をあけて設定した2つの耐力壁設置候補位置から一の耐力壁選択設置領域を構成する場合にあっては、一方の耐力壁設置候補位置と他方の耐力壁設置候補位置との間に、耐力壁必須設置位置や耐力壁非設置位置を設定してもよい。つまり、一定の間隔をあけて設定した2つの耐力壁設置候補位置の間に、耐力壁必須設置位置や耐力壁非設置位置を設定してもよい。なお、この場合、各耐力壁設置候補位置は、耐力壁の配置のバランスが構造計算によって確かめられている位置に設定されるものである。
【0009】
また、「耐力壁非設置位置」とは、耐力壁を設置しなくてもいい位置をいう。つまり、耐力壁非設置位置とは、耐力壁の設置が必須ではない位置をいう。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置であって、耐力壁を設置してはいけない位置ではない。したがって、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設置してもよい。
また、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分に、あらかじめ設定されている。
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置する。
【0010】
また、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すればよく、したがって、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、および耐力壁設置候補位置Cの3つが設定されている場合にあっては、耐力壁設置候補位置Aにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Bにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Cにのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Bとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Cとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Bと耐力壁設置候補位置Cとの2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置Aと耐力壁設置候補位置Bと耐力壁設置候補位置Cとの3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0011】
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。また、例えば、施主の希望により、建築基準法を上回る耐震性能を発揮するように、耐力壁必須設置位置や耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁の倍率を設定することができるし、また、複数の耐力壁設置候補位置の中から2以上を選択してこれらに耐力壁を設置することもできる。
逆に言えば、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。また、例えば、施主の希望により、建築基準法を上回る耐震性能を発揮するように、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定することもできる。
【0012】
本発明によれば、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定しており、そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてあるので、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、本発明によれば、一定の範囲内ではあるものの、耐力壁の設置位置を選択できることから、外観や間取りや開口部の配置等の点において、顧客の多様なニーズに応えることができる。
【0013】
また、本発明によれば、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁については各戸共通で使用でき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても各戸共通で用意しておいてそれを適宜選択して使用すればよいので、量産によるコスト削減効果が見込める。
また、本発明によれば、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁の施工方法を各戸共通にでき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても施工方法を各戸共通にできるので、注文住宅やフリープラン住宅よりも施工を容易にできる。
【0014】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、建物に係るものであって、構造計算の結果に基づき、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
【0015】
ここで、本発明は、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とを設定するようにしたものである。つまり、本発明は、建物の外周部分のみならず、内壁設置想定部分にも、耐力壁必須設置位置と、耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とを設定するようにしたものであり、それ以外の点については、請求項1記載の発明と同様である。
またここで、「内壁設置想定部分」は、内壁の設置を想定した部分をいう。
そして、本発明では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。
【0016】
また、内壁設置想定部分には、例えば、耐力壁必須設置位置のみを設定してもよく、また、耐力壁選択設置領域のみを設定してもよく、また、耐力壁非設置位置のみを設定してもよく、また、耐力壁必須設置位置と耐力壁選択設置領域との2つを設定してもよく、耐力壁必須設置位置と耐力壁非設置位置との2つを設定してもよく、耐力壁選択設置領域と耐力壁非設置位置との2つを設定してもよく、耐力壁必須設置位置と耐力壁選択設置領域と耐力壁非設置位置とのすべてを設定してもよい。
また、例えば、一の耐力壁選択設置領域を、外周部分と内壁設置想定部分とに跨って設定してもよい。具体的には、例えば、一の耐力壁選択設置領域内に、2つの耐力壁設置候補位置を設定し、一方を外周部分に、他方を内壁設置想定部分に配置してもよい。逆に言えば、外周部分に設定した耐力壁設置候補位置と、内壁設置想定部分に設定した耐力壁設置候補位置とから、一の耐力壁選択設置領域を構成してもよい。なお、この場合、各耐力壁設置候補位置は、耐力壁の配置のバランスが構造計算によって確かめられている位置に設定されるものである。
【0017】
本発明によれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明を限定したものであって、耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するように形成したことを特徴とする。
【0018】
具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域、第2耐力壁選択設置領域、および第3耐力壁選択設置領域の3つを設定するとともに、第1耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つを設定し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つを設定し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内には、耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つを設定することができる。
そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、第1耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置1A、耐力壁設置候補位置1B、および耐力壁設置候補位置1Cの3つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置し、かつ、第2耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置2A、および耐力壁設置候補位置2Bの2つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置し、かつ、第3耐力壁選択設置領域内に設定した耐力壁設置候補位置3A、耐力壁設置候補位置3B、耐力壁設置候補位置3C、および耐力壁設置候補位置3Dの4つの耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置する。そうすると、建築基準法上十分な耐震性能またはそれ以上の耐震性能を発揮するようにしてある。
【0019】
本発明によれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の発明を限定したものであって、水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする。
具体的には、例えば、耐力壁選択設置領域内に、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つが設定されている場合にあっては、通常は、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つの中から1つを選択してそこに耐力壁を設置すれば強度的に足りるが、積雪量が多い地域であったり、地震の危険度が高い地域であれば、耐力壁設置候補位置A、耐力壁設置候補位置B、耐力壁設置候補位置C、および耐力壁設置候補位置Dの4つの中から2つ、3つ、あるいは4つすべてを選択してこれらに耐力壁を設置する。そうすると、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(いわゆる「品確法」)上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることもできる。
【0020】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の発明を限定したものであって、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする。
複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにすれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
(請求項6)
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の発明を限定したものであって、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする。
【0021】
ここで、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにすれば、バリエーションをより一層豊富にできる。
なお、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設けるようにすれば、従来の建物よりも容易に強度を上げることができるし、また、品確法上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
(請求項7)
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明を限定したものであって、建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定したことを特徴とする。
【0022】
建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定すれば、耐力壁や開口部などの施工を容易にできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一定のルールの中で自由設計を可能とすることができ、これにより、顧客の多様なニーズに応えられる上に、設計の効率性が高い建物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
図1ないし図6は、本発明の第1の実施の形態を示すものである。
図1は、第1の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図、図2は、第1の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図、図3は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−1を示す平面図、図4は、第1の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例1−1を示す平面図、図5は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図、図6は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図である。
【0025】
(建物)
第1の実施の形態に係る建物は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とがあらかじめ設定されているとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置があらかじめ設定されているものである。そして、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしているものである。
【0026】
逆に言えば、第1の実施の形態に係る建物は、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮することとなるように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定し、さらに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定しているものである。
【0027】
また、第1の実施の形態では、図1および図2に示すような基本プランがあらかじめ設定されている。そして、この基本プランに基づいて、耐力壁の配置を決定し、この決定に従って、耐力壁を設置するものである。
(1階の基本プラン)
まずは、図1に基づいて、1階の基本プランについて説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)があらかじめ設定されている。また、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の設置が必須とされる位置をいう。つまり、耐力壁必須設置位置は、耐力壁の必須の設置位置をいう。そして、第1の実施の形態では、1階の外周部分については、第1から第10までの10の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0028】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域(20-1)、および第2耐力壁選択設置領域(20-2)の2つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁選択設置領域は、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる領域をいう。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁設置候補位置は、耐力壁の設置の候補とされる位置をいう。つまり、耐力壁設置候補位置は、耐力壁の選択的な設置位置をいう。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図1に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)との2つから、第1耐力壁選択設置領域(20-1)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0029】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図1に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)との2つから、第2耐力壁選択設置領域(20-2)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0030】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第1耐力壁非設置位置(30-1)、第2耐力壁非設置位置(30-2)、第3耐力壁非設置位置(30-3)、第4耐力壁非設置位置(30-4)、第5耐力壁非設置位置(30-5)、第6耐力壁非設置位置(30-6)、第7耐力壁非設置位置(30-7)、および第8耐力壁非設置位置(30-8)の8つがあらかじめ設定されている。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置をいう。つまり、耐力壁非設置位置は、耐力壁の設置が必須ではない位置をいう。また、耐力壁非設置位置は、耐力壁を設置しなくてもいい位置であって、耐力壁を設置してはいけない位置ではない。したがって、耐力壁非設置位置に、耐力壁を設置してもよい。もちろん、耐力壁非設置位置に、非耐力壁や開口部を設けてもよい。
【0031】
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分を、平面視矩形としている。また、図1に示すように、第1の実施の形態では、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。
【0032】
また、第1の実施の形態では、建物の1階の外周部分の一辺と基準線との間の距離は、1850mmとしてある。
また、図1に示すように、第1の実施の形態では、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。
さらに、図1に示すように、第1の実施の形態では、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。
そして、第1の実施の形態では、基準線(40)に沿って大梁を設置し、この大梁の両端を、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ設置した2本の柱で支持させるとともに、この大梁の途中を、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で支持させるようにしている。
【0033】
(2階の基本プラン)
次に、図2に基づいて、2階の基本プランについて説明する。
図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、第18耐力壁必須設置位置(10-18)、および第19耐力壁必須設置位置(10-19)の9つがあらかじめ設定されている。そして、第1の実施の形態では、2階の外周部分については、第11から第19までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0034】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第3耐力壁選択設置領域(20-3)、および第4耐力壁選択設置領域(20-4)の2つがあらかじめ設定されている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)、および耐力壁設置候補位置3C(20-3c)の3つがあらかじめ設定されている。また、図2に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されているが、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)とについては、一定の間隔をあけて互いに離して設定されている。そして、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との間には、第9耐力壁非設置位置(30-9)および第10耐力壁非設置位置(30-10)の2つが設定されている。つまり、図2に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置3A(20-3a)および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と、これらとは一定の間隔をあけて設定した耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との3つから、第3耐力壁選択設置領域(20-3)が構成されている。そして、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との間に、第9耐力壁非設置位置(30-9)と第10耐力壁非設置位置(30-10)とを設定している。そして、第1の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)、および耐力壁設置候補位置3C(20-3c)の3つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3C(20-3c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)と耐力壁設置候補位置3C(20-3c)との3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0035】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)、および耐力壁設置候補位置4D(20-4d)の4つがあらかじめ設定されている。また、図2に示すように、第1の実施の形態では、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図2に示すように、第1の実施の形態では、横並びに連続して設けた耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つから、第4耐力壁選択設置領域(20-4)が構成されている。そして、第1の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)、および耐力壁設置候補位置4D(20-4d)の4つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つの中からいずれか2つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つの中からいずれか3つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)から耐力壁設置候補位置4D(20-4d)までの4つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0036】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第9耐力壁非設置位置(30-9)、第10耐力壁非設置位置(30-10)、第11耐力壁非設置位置(30-11)、第12耐力壁非設置位置(30-12)、第13耐力壁非設置位置(30-13)、第14耐力壁非設置位置(30-14)、および第15耐力壁非設置位置(30-15)の7つがあらかじめ設定されている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0037】
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、建物の2階の外周部分を、平面視矩形としている。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、1階と同じ位置に、具体的には、建物の外周部分の一辺から1850mmの距離の位置に、基準線(40)を設定している。
また、図2に示すように、第1の実施の形態では、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。上述したように、基準線(40)に沿って大梁が設置されるが、2階の室内に設置されるこれら2本の柱は、大梁の上に設置されるものである。
【0038】
さらに、第1の実施の形態では、基準線(40)に沿って、小屋梁を設置することができる。そして、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で、小屋梁を支持させることができる。
(プラン例1−1)
(1階の間取り)
図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
【0039】
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)に、開口部としての窓を設けている。
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例1−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)に、開口部としての玄関ドアを設けている。
【0040】
また、図3に示すように、プラン例1−1では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間に小さな非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての窓を設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には非耐力壁を設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、非耐力壁を設けている。
【0041】
また、図示していないが、プラン例1−1では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−1では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図3に示すように、プラン例1−1では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図3に示すように、第1耐力壁必須設置位置(10-1)および第1耐力壁非設置位置(30-1)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第1耐力壁非設置位置(30-1)および第2耐力壁必須設置位置(10-2)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0042】
(2階の間取り)
図4に示すように、プラン例1−1では、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、第18耐力壁必須設置位置(10-18)、および第19耐力壁必須設置位置(10-19)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3C(20-3c)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、耐力壁を設置しておらず、窓と非耐力壁とを設けている。また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例1−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3C(20-1c)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にも、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0043】
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にも、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4D(20-4d)にも、開口部としての窓を設けている。
【0044】
また、図4に示すように、プラン例1−1では、第9耐力壁非設置位置(30-9)には、非耐力壁を設け、また、第10耐力壁非設置位置(30-10)には、開口部としての窓を設け、また、第11耐力壁非設置位置(30-11)には、非耐力壁を設け、また、第12耐力壁非設置位置(30-12)には、非耐力壁を設け、また、第13耐力壁非設置位置(30-13)には、開口部としての窓を設け、また、第14耐力壁非設置位置(30-14)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には小さな非耐力壁を設け、また、第15耐力壁非設置位置(30-15)には、中央に開口部としての窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ非耐力壁を設けている。
【0045】
(プラン例1−2)
図5は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図である。
プラン例1−2は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内および第2耐力壁選択設置領域(20-2)内における耐力壁の設置位置、並びに1階の間取りが、プラン例1−1とは異なるものである。
また、プラン例1−2は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例1−1と同様である。
【0046】
(1階の間取り)
図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、開口部としての窓を設けている。
【0047】
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側には小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例1−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0048】
また、図5に示すように、プラン例1−2では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0049】
また、図示していないが、プラン例1−2では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−2では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図5に示すように、プラン例1−2では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図5に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0050】
(プラン例1−3)
図6は、第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図である。
プラン例1−3は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内および第2耐力壁選択設置領域(20-2)内における耐力壁の設置位置については、プラン例1−1と同じで、1階の間取りのみが、プラン例1−1とは異なるものである。
また、プラン例1−3は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例1−1と同様である。
【0051】
(1階の間取り)
図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、第9耐力壁必須設置位置(10-9)、および第10耐力壁必須設置位置(10-10)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例1−3では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−3では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、開口部としての窓を設けている。
【0052】
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例1−3では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例1−3では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、開口部としての玄関ドアを設けている。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0053】
また、図示していないが、プラン例1−3では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例1−3では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図6に示すように、プラン例1−3では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図6に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)および第3耐力壁非設置位置(30-3)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)および耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置している。
【0054】
以上説明したように、第1の実施の形態では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。このため、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、第1の実施の形態では、一定の範囲内ではあるものの、耐力壁の設置位置を選択できることから、外観や間取りや開口部の配置等の点において、顧客の多様なニーズに応えることができる。
【0055】
また、第1の実施の形態では、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁については各戸共通で使用でき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても各戸共通で用意しておいてそれを適宜選択して使用すればよいので、量産によるコスト削減効果が見込める。
また、第1の実施の形態では、耐力壁必須設置位置に設置する耐力壁の施工方法を各戸共通にでき、また、耐力壁選択設置領域内の耐力壁設置候補位置に設置する耐力壁についても施工方法を各戸共通にできるので、注文住宅やフリープラン住宅よりも施工を容易にできる。
【0056】
また、第1の実施の形態では、耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
また、第1の実施の形態では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
【0057】
また、第1の実施の形態では、耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けるようにしている。このため、バリエーションが豊富である。
また、第1の実施の形態では、建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。このため、耐力壁や開口部などの施工が容易である。
また、第1の実施の形態では、建物の外周部分を、平面視矩形としている。また、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。さらに、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。そして、これらの柱に両端を支持させた大梁を基準線(40)に沿って設置している。このため、大梁で2階の床や屋根などを支えやすく、また、大梁の下に間仕切り壁を設置しやすく、また、水周りや階段などの位置を決めやすく、さらに、大梁によって建物全体の強度がより一層高められる。
【0058】
また、第1の実施の形態では、階段の桁部材の上端部を大梁に支持させるようにしている。このため、階段の設置が容易である。
また、第1の実施の形態では、外周部分の一辺と基準線(40)とで囲まれる空間に、ユニットバスや洗面スペースやトイレなどの水周りを設置するようにしている。このため、水周りの設置が容易であり、また、建物内部の空間を有効に利用できる。
なお、水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するようにしてもよい。積雪量が多い地域であったり、地震の危険度が高い地域であれば、複数の耐力壁設置候補位置の中から、1のみではなく、2以上を選択して、これらに所定倍率の耐力壁を設置することができる。
【0059】
具体的には、例えば、第1耐力壁選択設置領域(20-1)について、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に、所定倍率の耐力壁を設置してもよい。そうすると、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(いわゆる「品確法」)上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
また、耐力壁非設置位置に、非耐力壁や開口部ではなく、耐力壁を設けてもよい。このようにしても、従来の建物よりも容易に強度を上げることができる。また、品確法上の耐震等級や耐風等級や耐積雪等級についても、従来の建物よりも容易に上げることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図7ないし図11は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。
図7は、第2の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図、図8は、第2の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図、図9は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−1を示す平面図、図10は、第2の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例2−1を示す平面図、図11は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図である。
(建物)
第2の実施の形態に係る建物は、構造計算の結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とがあらかじめ設定されているとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置があらかじめ設定されているものである。そして、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしているものである。
【0061】
逆に言えば、第2の実施の形態に係る建物は、複数の耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮することとなるように、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、複数の耐力壁必須設置位置と、複数の耐力壁選択設置領域と、複数の耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定し、さらに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定しているものである。
【0062】
また、第2の実施の形態では、図7および図8に示すような基本プランがあらかじめ設定されている。そして、この基本プランに基づいて、耐力壁の配置を決定し、この決定に従って、耐力壁を設置するものである。
(1階の基本プラン)
まずは、図7に基づいて、1階の基本プランについて説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)があらかじめ設定されている。そして、第2の実施の形態では、1階の外周部分については、第1から第9までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0063】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分、および内壁設置想定部分には、耐力壁選択設置領域として、第1耐力壁選択設置領域(20-1)、第2耐力壁選択設置領域(20-2)、および第3耐力壁選択設置領域(20-3)の3つがあらかじめ設定されている。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と耐力壁設置候補位置1B(20-1b)との2つから、第1耐力壁選択設置領域(20-1)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)、および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0064】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置2A(20-2a)と耐力壁設置候補位置2B(20-2b)との2つから、第2耐力壁選択設置領域(20-2)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)、および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)および耐力壁設置候補位置2B(20-2b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0065】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の2つがあらかじめ設定されている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)は、外周部分と内壁設置想定部分とに跨って設定されており、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)は、内壁設置想定部分に、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)は、外周部分に配置されている。つまり、図7に示すように、第2の実施の形態では、内壁設置想定部分に設定した耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と、外周部分に設定した耐力壁設置候補位置3B(20-3b)とから、第3耐力壁選択設置領域(20-3)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)、および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の2つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)および耐力壁設置候補位置3B(20-3b)の双方に耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0066】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第1耐力壁非設置位置(30-1)、第2耐力壁非設置位置(30-2)、第3耐力壁非設置位置(30-3)、第4耐力壁非設置位置(30-4)、第5耐力壁非設置位置(30-5)、第6耐力壁非設置位置(30-6)、第7耐力壁非設置位置(30-7)、および第8耐力壁非設置位置(30-8)の8つがあらかじめ設定されている。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0067】
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分を、平面視矩形としている。また、図7に示すように、第2の実施の形態では、外周部分のいずれかの対向する二辺と平行に、かつ、外周部分の内側を二分するように、基準線(40)を設定している。
また、第2の実施の形態では、建物の1階の外周部分の一辺と基準線との間の距離は、1850mmとしてある。
また、図7に示すように、第2の実施の形態では、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。
【0068】
さらに、図7に示すように、第2の実施の形態では、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ柱を設置し、これらの柱が耐力壁必須設置位置に隣接する柱となるように、耐力壁必須設置位置を設定している。
そして、第2の実施の形態では、基準線(40)に沿って大梁を設置し、この大梁の両端を、外周部分と基準線(40)との両交点にそれぞれ設置した2本の柱で支持させるとともに、この大梁の途中を、1階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で支持させるようにしている。
(2階の基本プラン)
次に、図8に基づいて、2階の基本プランについて説明する。
【0069】
図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁必須設置位置として、第10耐力壁必須設置位置(10-10)、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、および第18耐力壁必須設置位置(10-18)の9つがあらかじめ設定されている。そして、第2の実施の形態では、2階の外周部分については、第10から第18までの9つの耐力壁必須設置位置の各々に所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置することとされている。
【0070】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁選択設置領域として、第4耐力壁選択設置領域(20-4)、および第5耐力壁選択設置領域(20-5)の2つがあらかじめ設定されている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、および耐力壁設置候補位置4C(20-4c)の3つがあらかじめ設定されている。また、図8に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)とは、互いに隣り合うように連続して設定されているが、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)とについては、一定の間隔をあけて互いに離して設定されている。そして、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との間には、第9耐力壁非設置位置(30-9)および第10耐力壁非設置位置(30-10)の2つが設定されている。つまり、図8に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設定した耐力壁設置候補位置4A(20-4a)および耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と、これらとは一定の間隔をあけて設定した耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との3つから、第4耐力壁選択設置領域(20-4)が構成されている。そして、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との間に、第9耐力壁非設置位置(30-9)と第10耐力壁非設置位置(30-10)とを設定している。そして、第2の実施の形態では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)、および耐力壁設置候補位置4C(20-4c)の3つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との2つに耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)と耐力壁設置候補位置4B(20-4b)と耐力壁設置候補位置4C(20-4c)との3つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0071】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)内には、耐力壁設置候補位置として、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)、および耐力壁設置候補位置5D(20-5d)の4つがあらかじめ設定されている。また、図8に示すように、第2の実施の形態では、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つは、互いに隣り合うように連続して設定されている。つまり、図8に示すように、第2の実施の形態では、横並びに連続して設けた耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つから、第5耐力壁選択設置領域(20-5)が構成されている。そして、第2の実施の形態では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)、および耐力壁設置候補位置5D(20-5d)の4つの中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置することとされている。したがって、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよく、また、耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にのみ耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つの中からいずれか2つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つの中からいずれか3つを選択してこれらに耐力壁を設置するようにしてもよい。また、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)から耐力壁設置候補位置5D(20-5d)までの4つすべてに耐力壁を設置するようにしてもよい。
【0072】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、耐力壁非設置位置として、第9耐力壁非設置位置(30-9)、第10耐力壁非設置位置(30-10)、第11耐力壁非設置位置(30-11)、第12耐力壁非設置位置(30-12)、第13耐力壁非設置位置(30-13)、第14耐力壁非設置位置(30-14)、および第15耐力壁非設置位置(30-15)の7つがあらかじめ設定されている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分には、複数の柱を設置している。そして、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定している。
【0073】
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、建物の2階の外周部分を、平面視矩形としている。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、1階と同じ位置に、具体的には、建物の外周部分の一辺から1850mmの距離の位置に、基準線(40)を設定している。
また、図8に示すように、第2の実施の形態では、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に、2本の柱を設置している。上述したように、基準線(40)に沿って大梁が設置されるが、2階の室内に設置されるこれら2本の柱は、大梁の上に設置されるものである。
【0074】
さらに、第2の実施の形態では、基準線(40)に沿って、小屋梁を設置することができる。そして、2階の室内における基準線(40)上の所定位置に設置した2本の柱で、小屋梁を支持させることができる。
(プラン例2−1)
(1階の間取り)
図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
【0075】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−1では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1A(20-1a)に、開口部としての窓を設けている。
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、耐力壁を設置しておらず、非耐力壁と窓とを設けている。つまり、プラン例2−1では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2B(20-2b)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0076】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、耐力壁を設置しておらず、開口部を設けている。つまり、プラン例2−1では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3B(20-3b)には、開口部を設けている。さらに、図9に示すように、プラン例2−1では、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)と耐力壁設置候補位置3B(20-3b)との間に、風除室を設けている。そして、この風除室に面するように、玄関ドアを設けている。
【0077】
また、図9に示すように、プラン例2−1では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての窓を設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0078】
また、図示していないが、プラン例2−1では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例2−1では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図9に示すように、プラン例2−1では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図9に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置し、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)および耐力壁設置候補位置1B(20-1b)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置している。
【0079】
(2階の間取り)
図10に示すように、プラン例2−1では、第10耐力壁必須設置位置(10-10)、第11耐力壁必須設置位置(10-11)、第12耐力壁必須設置位置(10-12)、第13耐力壁必須設置位置(10-13)、第14耐力壁必須設置位置(10-14)、第15耐力壁必須設置位置(10-15)、第16耐力壁必須設置位置(10-16)、第17耐力壁必須設置位置(10-17)、および第18耐力壁必須設置位置(10-18)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置4A(20-4a)には、耐力壁を設置しておらず、非耐力壁と窓とを設けている。また、耐力壁設置候補位置4B(20-4b)には、耐力壁を設置しておらず、中央に窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ小さな非耐力壁を設けている。つまり、プラン例2−1では、第4耐力壁選択設置領域(20-4)については、耐力壁設置候補位置4C(20-4c)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4A(20-4a)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置4B(20-4b)にも、非耐力壁と開口部としての窓とを設けている。
【0080】
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置5B(20-5b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けており、また、耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にも、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−1では、第5耐力壁選択設置領域(20-5)については、耐力壁設置候補位置5A(20-5a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−1では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5B(20-5b)には、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5C(20-5c)にも、開口部としての窓を設けており、また、同じく耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置5D(20-5d)にも、開口部としての窓を設けている。
【0081】
また、図10に示すように、プラン例2−1では、第9耐力壁非設置位置(30-9)には、非耐力壁を設け、また、第10耐力壁非設置位置(30-10)には、開口部としての窓を設け、また、第11耐力壁非設置位置(30-11)には、非耐力壁を設け、また、第12耐力壁非設置位置(30-12)には、非耐力壁を設け、また、第13耐力壁非設置位置(30-13)には、開口部としての窓を設け、また、第14耐力壁非設置位置(30-14)には、開口部としての2つの窓を設けるとともに、これら2つの窓の間には小さな非耐力壁を設け、また、第15耐力壁非設置位置(30-15)には、中央に開口部としての窓を設けるとともに、この窓の両側にはそれぞれ非耐力壁を設けている。
【0082】
(プラン例2−2)
図11は、第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図である。
プラン例2−2は、第1耐力壁選択設置領域(20-1)内、第2耐力壁選択設置領域(20-2)内、および第3耐力壁選択設置領域(20-3)内における耐力壁の設置位置、並びに1階の間取りが、プラン例2−1とは異なるものである。
また、プラン例2−2は、1階の基本プラン、2階の基本プラン、および2階の間取りについては、プラン例2−1と同様である。
【0083】
(1階の間取り)
図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁必須設置位置(10-1)、第2耐力壁必須設置位置(10-2)、第3耐力壁必須設置位置(10-3)、第4耐力壁必須設置位置(10-4)、第5耐力壁必須設置位置(10-5)、第6耐力壁必須設置位置(10-6)、第7耐力壁必須設置位置(10-7)、第8耐力壁必須設置位置(10-8)、および第9耐力壁必須設置位置(10-9)の各々に、所定倍率の耐力壁をそれぞれ設置している。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、耐力壁を設置しておらず、窓を設けている。つまり、プラン例2−2では、第1耐力壁選択設置領域(20-1)については、耐力壁設置候補位置1A(20-1a)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置1B(20-1b)には、開口部としての窓を設けている。
【0084】
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、耐力壁を設置しておらず、玄関ドアを設けている。つまり、プラン例2−2では、第2耐力壁選択設置領域(20-2)については、耐力壁設置候補位置2B(20-2b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置2A(20-2a)には、開口部としての玄関ドアを設けている。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)を選択して、そこに所定倍率の耐力壁を設置している。また、耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、耐力壁を設置していない。つまり、プラン例2−2では、第3耐力壁選択設置領域(20-3)については、耐力壁設置候補位置3B(20-3b)にのみ、耐力壁を設置している。そして、プラン例2−2では、複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった耐力壁設置候補位置3A(20-3a)には、何も設けていない。
【0085】
また、図11に示すように、プラン例2−2では、第1耐力壁非設置位置(30-1)には、非耐力壁を設け、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第3耐力壁非設置位置(30-3)には、開口部としての窓を設け、また、第4耐力壁非設置位置(30-4)には、開口部としての玄関ドアを設け、また、第5耐力壁非設置位置(30-5)には、大きな開口部を設けるとともに、この開口部を開閉する扉を設け、また、第6耐力壁非設置位置(30-6)には、開口部としての窓を設け、また、第7耐力壁非設置位置(30-7)には、非耐力壁と開口部としての窓とを設け、また、第8耐力壁非設置位置(30-8)には、開口部としての窓を設けている。
【0086】
また、図示していないが、プラン例2−2では、基準線(40)に沿って大梁を設置している。
また、図示していないが、プラン例2−2では、階段の桁部材の上端部を、大梁に支持させている。
また、図11に示すように、プラン例2−2では、外周部分の一辺と基準線とで囲まれる空間に、水周りを設置している。具体的には、図11に示すように、第2耐力壁非設置位置(30-2)と基準線(40)との間に、水周りとしてのトイレを設置し、また、第2耐力壁非設置位置(30-2)および第3耐力壁非設置位置(30-3)と基準線(40)との間に、水周りとしての洗面スペースを設置し、また、耐力壁設置候補位置1B(20-1b)および耐力壁設置候補位置1A(20-1a)と基準線(40)との間に、水周りとしてのユニットバスを設置している。
【0087】
以上説明したように、第2の実施の形態では、あらかじめ構造計算を行い、その結果に基づいて、建物の外周部分、および内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置、耐力壁選択設置領域、耐力壁非設置位置、および耐力壁選択設置領域内における複数の耐力壁設置候補位置を設定している。そして、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置すると、建築基準法上十分な耐震性能を発揮するようにしてある。このため、外観や間取りや開口部の設置位置が一軒毎に異なっても、効率的な設計が可能である。
また、他の作用・効果については、第1の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−1を示す平面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例1−1を示す平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−2を示す平面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例1−3を示す平面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の基本プランを示す平面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る建物の2階の基本プランを示す平面図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−1を示す平面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る建物の2階の間取りのプラン例2−1を示す平面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る建物の1階の間取りのプラン例2−2を示す平面図。
【符号の説明】
【0089】
10-1 第1耐力壁必須設置位置 10-2 第2耐力壁必須設置位置
10-3 第3耐力壁必須設置位置 10-4 第4耐力壁必須設置位置
10-5 第5耐力壁必須設置位置 10-6 第6耐力壁必須設置位置
10-7 第7耐力壁必須設置位置 10-8 第8耐力壁必須設置位置
10-9 第9耐力壁必須設置位置 10-10 第10耐力壁必須設置位置
10-11 第11耐力壁必須設置位置 10-12 第12耐力壁必須設置位置
10-13 第13耐力壁必須設置位置 10-14 第14耐力壁必須設置位置
10-15 第15耐力壁必須設置位置 10-16 第16耐力壁必須設置位置
10-17 第17耐力壁必須設置位置 10-18 第18耐力壁必須設置位置
10-19 第19耐力壁必須設置位置
20-1 第1耐力壁選択設置領域 20-2 第2耐力壁選択設置領域
20-3 第3耐力壁選択設置領域 20-4 第4耐力壁選択設置領域
20-5 第5耐力壁選択設置領域
20-1a 耐力壁設置候補位置1A 20-1b 耐力壁設置候補位置1B
20-2a 耐力壁設置候補位置2A 20-2b 耐力壁設置候補位置2B
20-3a 耐力壁設置候補位置3A 20-3b 耐力壁設置候補位置3B
20-3c 耐力壁設置候補位置3C 20-4a 耐力壁設置候補位置4A
20-4b 耐力壁設置候補位置4B 20-4c 耐力壁設置候補位置4C
20-4d 耐力壁設置候補位置4D 20-5a 耐力壁設置候補位置5A
20-5b 耐力壁設置候補位置5B 20-5c 耐力壁設置候補位置5C
20-5d 耐力壁設置候補位置5D
30-1 第1耐力壁非設置位置 30-2 第2耐力壁非設置位置
30-3 第3耐力壁非設置位置 30-4 第4耐力壁非設置位置
30-5 第5耐力壁非設置位置 30-6 第6耐力壁非設置位置
30-7 第7耐力壁非設置位置 30-8 第8耐力壁非設置位置
30-9 第9耐力壁非設置位置 30-10 第10耐力壁非設置位置
30-11 第11耐力壁非設置位置 30-12 第12耐力壁非設置位置
30-13 第13耐力壁非設置位置 30-14 第14耐力壁非設置位置
30-15 第15耐力壁非設置位置
40 基準線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする建物。
【請求項2】
構造計算の結果に基づき、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする建物。
【請求項3】
耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するように形成したことを特徴とする請求項1または2記載の建物。
【請求項4】
水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする請求項1、2または3記載の建物。
【請求項5】
複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の建物。
【請求項6】
耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の建物。
【請求項7】
建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の建物。
【請求項1】
構造計算の結果に基づき、建物の外周部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする建物。
【請求項2】
構造計算の結果に基づき、建物の外周部分、および内壁の設置を想定した部分である内壁設置想定部分に、耐力壁必須設置位置と、耐力壁の設置位置を複数の中から選択できる耐力壁選択設置領域と、耐力壁非設置位置とをあらかじめ設定するとともに、耐力壁選択設置領域内に、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つを選択してそこに耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする建物。
【請求項3】
耐力壁選択設置領域を複数設定するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置をあらかじめ設定し、耐力壁必須設置位置に耐力壁を設置するとともに、複数の耐力壁選択設置領域の各々について、複数の耐力壁設置候補位置の中から少なくとも一つをそれぞれ選択してこれらに耐力壁をそれぞれ設置するように形成したことを特徴とする請求項1または2記載の建物。
【請求項4】
水平荷重または垂直荷重に応じて、耐力壁選択設置領域内から選択する耐力壁設置候補位置の数を増加させ、選択した各耐力壁設置候補位置にそれぞれ耐力壁を設置するように形成したことを特徴とする請求項1、2または3記載の建物。
【請求項5】
複数の耐力壁設置候補位置のうち、耐力壁を設置しなかった位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の建物。
【請求項6】
耐力壁非設置位置に、非耐力壁または開口部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の建物。
【請求項7】
建物の外周部分に複数の柱を設置するとともに、建物の外周部分における隣り合う二本の柱の間の各々を、耐力壁必須設置位置、耐力壁設置候補位置、または耐力壁非設置位置のいずれかとして設定したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の建物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−144547(P2008−144547A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335901(P2006−335901)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(592190969)株式会社アールシーコア (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(592190969)株式会社アールシーコア (21)
【Fターム(参考)】
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