建築板の塗装方法
【課題】溝部を有する建築板に対して、自然で立体感のある溝塗装を容易に行うことができる塗装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした建築板の塗装方法とする。
【解決手段】建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした建築板の塗装方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板特に軽量気泡コンクリート(以下、ALCと呼ぶ)板の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、タイル柄のような凹凸模様を有する建築板に対しては、立体感を持たせるため、溝部(目地部)と意匠部の凸部にそれぞれ色の異なる塗料で塗装を施し、色の差によって立体感を出す等の工夫がなされている。その場合の一般的な塗装方法としては、例えば、初めにスプレー法により、建築板表面に目地色で全面塗装を施し乾燥した後、ロールコート法により凸部塗装が施される。(特許文献1:特開昭63−35471号公報)
しかし上記従来技術では、凹凸を有する基材上にロールコータにより塗料を塗布していくだけであるので、凹部(又は目地部)の傾斜面に塗布される色は凹部の最底部に施される色と同じになってしまい、結果的に凸部と凹部の各部の塗装色がはっきりと塗り分けられてしまうこととなり、自然な立体感が得られない、という問題があった。
【0003】
また、セメント板基材の意匠面の全面にスプレー法によって下塗り層を形成し、加熱乾燥させた後に、溝部に対してインクジェット印刷を施してインクジェット層を形成し、凸部に対してインクジェットフルカラー印刷を施してインクジェット塗装層を形成し、最後に意匠面の全面にスプレー法によってクリア塗装を施してクリア塗装層を形成する方法(特許文献2:特開2004−60241号公報)が開示されているが、インクジェット印刷により塗装層を形成させる方法は、生産性が低い、溝部の塗装層が直線的であり、自然な形状を有する溝部には適さない、等の課題を抱えている。
一方、溝部をスプレー法により、塗装すると塗装性、液だれ、生産性の問題があり、自然で立体感のある溝塗装を容易に得られない、という問題があった。
【特許文献1】特開昭63−35471号公報
【特許文献2】特開2004−60241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決する為に創案されたもので、溝部を有する建築板特にALC板に対して、自然で立体感のある意匠性を容易に付与するための塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は上記の課題を達成したものであり、それは次の通りである。
(1)建築板の溝部の塗装方法において、該建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした建築板の塗装方法。
(2)建築板が軽量気泡コンクリート板であることを特徴とした(1)記載の塗装方法。
(3)該微細噴霧ノズルに、塗料シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーが装備されていることを特徴とした(1)又は(2)記載の塗装方法。
(4)塗料循環中に発生する循環配管の残圧を除去した後に、塗装を開始することを特徴とした(1)又は(2)記載の塗装方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塗装方法によれば溝部を有する建築板特にALC板に対して、自然で立体感のある溝塗装を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の例を図1〜図3に示す。
本発明の下地に用いる建築板とは、タイル調、レンガ調、古レンガ調、砂岩調、岩肌調、等の意匠性を有したセメント板やALC板等の基材をいい、該基材の表面に、下塗り塗膜を形成させたもの、又は、該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜まで形成させたもの、等をいう。
また、本発明の下地に用いるALCとは、石灰質原料、珪酸質原料、水、発泡剤等を原料として、オートクレーブ養生により製造されたものをいう。該ALC板は、上記セメント板同様、タイル調、レンガ調、古レンガ調、砂岩調、岩肌調、等の意匠性を有したものをいい、表面に、下塗り塗膜を形成させたもの、又は、該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜まで形成させたもの、等をいう。
【0008】
本発明に用いる微細噴霧ノズル10とは、スプレーパターンを構成する個々のスプレー粒子のサイズ(スプレー粒子径)が小さく、液体を均一散布出来るものであれば良く、一般的には、スプレー注入、巻き取り紙へのスプレー、加湿及び給湿、離型剤噴霧、等に使われているものであれば良い。
該微細噴霧ノズル10のスプレーパターンは、フルコーン、フラットスプレー等が良く、フルコーンの場合は、円形、楕円形、四角形、等があるが、基材溝部の形状及び溝部の寸法に合わせたものを選択して使用するのが良い。
該微細噴霧ノズル10の口径は、0.3〜3.0mmの範囲であれば良いが、好ましくは0.5〜2.0mmが良い。口径が0.5mm未満の場合は、ノズル先端部で塗料が固化し易くなる、塗料中に含まれる原材料の粒子がノズル穴に詰まり易くなる、等の問題がある。また、ノズル口径が2.0mmを超えると、スプレーパターンが大き過ぎて溝部の寸法に合わなくなる、噴霧時の抵抗が小さ過ぎて均一なスプレーパターンが得られ難い、等の問題がある。
【0009】
該微細噴霧ノズル10に供給するアトマイズエアーの圧力は、0.02〜0.3mPaの範囲であれば良いが、好ましくは0.03〜0.1mPaが良い。該エアー圧力は、塗料粘度、塗料流量、溝部への塗装面積、溝部底面からノズル先端部までの距離、等により決定される。該エアー圧力は、0.03mPa未満だと圧力が低過ぎて均一なスプレーパターンは得られ難く、0.1mPaを超えると、スプレーパターンの幅が広すぎて、一般的な形状の溝部の塗装には適さなくなる。
本発明の塗装方法においては、溝部底面9から微細噴霧ノズル10の先端部までの距離(以下、hと呼ぶ)は、3〜30mmの範囲であれば良いが、該微細噴霧ノズル10の使用条件が上記の場合は、5〜15mmが好ましい。スプレーパターンの特性から、一般的には、hを小さくすると細い模様塗膜が得られ、hを大きくすると太い模様塗膜が得られる。hが5mm未満だと、ノズル先端部と基材表面が接触する可能性があるため実用的ではなく、また、hが15mmを超えると、模様塗膜が太くなり過ぎて溝部の寸法に合わなくなる、等の問題が発生するためである。
【0010】
該微細噴霧ノズル10の塗料シャットオフニードル19、エアー駆動シリンダー20は、該ニードル19がノズル内で動作することによって、塗料11の噴霧を開始させたり、停止させたり出来るものである。建築板の場合、タイル柄やレンガ柄等の意匠性を表現したものが多いため、長辺方向の溝部又は短辺方向の溝部は、必ずしも連続した長さのものばかりではなく、ある一定の長さで断続的に存在するものも多く見られる。こういった場合、該ニードル19、エアー駆動シリンダー20を微細噴霧ノズル10に装備することによって、長さの短い断続溝等に対しても、本発明の塗装が可能になる。
【0011】
本発明の溝部塗装に用いる塗料11とは、例えば、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・シリコーン樹脂、等の塗料用バインダーを、水に分散してエマルションとした樹脂溶液に、二酸化チタン、黒色酸化鉄、ベンガラ、クロムグリーン、カーボンブラック、銅フタロシアニン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、等の無機もしくは有機顔料、及び分散剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、成膜助剤、防カビ剤、等の添加剤を必要量添加し、混合及び分散させたものをいう。
【0012】
該塗料11の粘度は、2,000〜30,000mPa・sの範囲であれば良いが、好ましくは5,000〜15,000mPa・sの範囲が良い。これは、塗料粘度が5,000mPa・s未満だと、スプレー粒子径が小さ過ぎて、塗装部と未塗装部の境界がぼやけて見え、外観上良好な溝模様が得られ難いためであり、また、15,000mPa・sを超えると、スプレー粒子径が大き過ぎて、均一なスプレーパターンが得られ難いためである。
該塗料11の塗布量は、溝模様として目視で認識できる膜厚を確保していること、建物の外壁として使用する場合、性能上問題の無い塗膜が形成されること、等が条件となるが、塗布量は、塗料流量、アトマイズエアーの流量又は圧力、該微細噴霧ノズル10又は基材1の走行速度、等によってコントロールすることが出来る。
【0013】
本発明の塗装に用いるポンプは、粘度2,000〜30,000mPa・sの塗料を定量移送出来るものであれば良いが、低粘度型ポンプや脈動を生じ易いポンプ等は塗料流量安定性、模様塗膜の寸法精度、等に影響を与えるため、使用が難しい。例えば、無脈動で定量移送出来るモーノポンプ等が適している。
本発明に用いる塗装装置は図2、3に示す通り、該微細噴霧ノズル10、塗料供給配管14、塗料循環配管17、エアー配管、塗料ホッパー13、塗料送液ポンプ12、塗料制御用バルブ16、等から成る装置であれば良い。
該塗装装置には、「循環」と「スプレー塗装」の2つの状態がある。
【0014】
「循環」とは、図2に示す通り、塗料ホッパー13の中にある塗料11が塗料送液ポンプ12により塗料供給配管14を通って微細噴霧ノズル10の内部まで送られ、その後、塗料循環配管17を通って再び塗料ホッパー13に戻ってくる状態をいう。
また、「スプレー塗装」とは、図3に示す通り、塗料ホッパー13の中にある塗料11が送液ポンプ12により塗料供給配管14を通って微細噴霧ノズル10の内部まで送られ、ノズル先端部より塗料11が噴霧する状態をいう。
【0015】
ここで、「循環」状態における圧力損失を△P1、「スプレー塗装」状態における圧力損失を△P2とする。この場合、△P1=△P2とするのが、本発明の模様塗膜を均一に形成させるための理想条件となる。例えば、△P1>△P2の条件でスプレー塗装を開始した場合は、循環時の残圧(△P1−△P2>0)がスプレーパターンに影響するため、塗装開始部分の模様塗膜は大きな楕円型になり易く、溝部の寸法に適さない場合がある。また、△P1<△P2の条件でスプレー塗装を開始した場合は、循環時の残圧は存在しないものの、スプレー塗装されるまでに時間を要する等の応答遅れが生じ、結果的には、塗装開始部分の模様塗膜が細くなる、模様塗膜が短くなる、等の問題が生じる。
【0016】
これらの問題点を解決するために創案したのが、初めに△P1>△P2の条件で装置を組み、塗料循環中に発生する循環配管の残圧(△P1−△P2)を除去した後に、塗装を開始する方法である。例えば、基材溝部7に対してスプレー塗装を開始する前に、微細噴霧ノズル10から塗料11を基材1から離れた場所で捨て吹きして塗料配管内の圧力を低下させ、△P2とほぼ同じ値になった状態からスプレー塗装を開始する方法、又は、塗料循環配管17に予め圧力調節弁やバイパス配管等を取り付けておき、スプレー塗装開始前に、圧力調節弁を開放、または、圧力損失の小さいバイパス配管に切り替えることによって塗料配管内の圧力を低下させ、△P2とほぼ同じ値になった状態からスプレー塗装を開始する方法、等が挙げられる。
また、本発明の塗装方法は、基材1を固定し、微細噴霧ノズル10を直接移動させながら塗装する方法でも良く、微細噴霧ノズル10を固定し、基材1移動させながら塗装する方法でも良い。前者の場合は、該微細噴霧ノズルをアームロボット等に連結して塗装する方法、後者の場合は、門型に該微細噴霧ノズルを必要な数量だけ列設して塗装する方法、等が挙げられる。
【0017】
本発明の塗装方法における建築板の塗膜の層構成は、下塗りによって基材を全面塗装した後、溝部に模様塗膜を形成させたもの、さらに上記に、クリアー塗膜を形成させたもの、または、下塗り、中塗りによって基材を全面塗装した後、溝部に模様塗膜を形成させたもの、さらに、上記に、クリアー塗膜を形成させたもの、等が一般的である。
下塗り塗料、中塗り塗料、溝部用塗料、クリアー塗料の乾燥は、自然乾燥、強制乾燥のどちらを選択しても良い。生産性を重視する場合は、熱風循環式乾燥機、赤外線ランプ、ジェットゾーン乾燥機、等を選択するのが良いが、使用する塗料の種類、水希釈率、粘度、塗布量等に適した乾燥条件(乾燥温度、風速、乾燥時間)にするのが良い。また自然乾燥の場合は、室温10〜30℃程度の乾燥室で生産するのが一般的であるが、生産条件(生産量、塗装室の面積)または、使用する塗料の種類、水希釈率、粘度、塗布量等に適した乾燥条件(乾燥温度、風速、湿度、乾燥時間)にするのが望ましい。
【実施例】
【0018】
次に、実施例、比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例1〜2、比較例1〜7において使用した基材は、セメント板、又は、ALCに下塗り塗装を施したものとした。また、参考例1、比較例1〜7は、溝模様塗膜の形状を平面的に評価出来るように、平らなパネルを用い、実施例1〜2は、溝模様塗膜を形成させたパネルの意匠性を評価出来るように、溝部を有するパネルを用いた。
【0019】
[参考例1]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.2mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図5を作製した。結果を表−1に示す。
【0020】
[実施例1]
図7に示すようなタイル調セメント板の溝部に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.05mPaの微細噴霧ノズルを用い、該ALC溝部底面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度1,000mm/secの条件で、粘度10,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図8を作製した。結果を表−1に示す。
【0021】
[実施例2]
図9に示すような古レンガ調ALCの溝部に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該ALC溝部底面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度10,000mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図10を作製した。尚、実施例2は、シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーを装備した微細噴霧ノズルをアームロボットに連結し、△P1>△P2の条件で装置を組み、塗料循環中に発生する回収配管の残圧(△P1−△P2)を除去してから塗装を開始する方法で実施した。結果を表−1に示す。
【0022】
[比較例1]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径0.2mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0023】
[比較例2]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径3.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0024】
[比較例3]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.01mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0025】
[比較例4]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.4mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0026】
[比較例5]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度1,500mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0027】
[比較例6]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度35,000mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0028】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、建築板の塗装方法として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の塗装方法で建築板の溝部を塗装している様子を表す断面図である。
【図2】本発明の塗装方法に用いる塗装装置の「循環」状態を模式的に表す図面である。
【図3】本発明の塗装方法に用いる塗装装置の「スプレー塗装」状態を模式的に表す図面である。
【図4】参考例1、比較例1〜6に用いた平らなセメント板を示す断面図である。
【図5】参考例1で作製した溝模様塗膜を形成させた平らなセメント板を示す平面図である。
【図6】参考例1で作製した溝模様塗膜を形成させた平らなセメント板を示す断面図である。
【図7】実施例1で作製した溝模様塗膜を形成させたタイル調セメント板を示す平面図である。
【図8】実施例1で作製した溝模様塗膜を形成させたタイル調セメント板を示す断面図である。
【図9】実施例2で作製した溝模様塗膜を形成させた古レンガ調ALCを示す平面図である。
【図10】実施例2で作製した溝模様塗膜を形成させた古レンガ調ALCを示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 平らなセメント板
2 下塗り塗膜
3 溝模様塗膜
4 溝模様塗膜の幅
5 タイル調セメント板
6 意匠部
7 溝部
8 溝部斜面
9 溝部底面
10 微細噴霧ノズル
11 塗料
12 塗料送液ポンプ
13 塗料ホッパー
14 塗料供給配管
15 圧力計
16 塗料制御用バルブ
17 塗料循環配管
18 ノズル開閉エアー
19 塗料シャットオフニードル
20 エアー駆動シリンダー
21 微細噴霧ノズルを移動させる方向
22 基材を移動させる方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板特に軽量気泡コンクリート(以下、ALCと呼ぶ)板の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、タイル柄のような凹凸模様を有する建築板に対しては、立体感を持たせるため、溝部(目地部)と意匠部の凸部にそれぞれ色の異なる塗料で塗装を施し、色の差によって立体感を出す等の工夫がなされている。その場合の一般的な塗装方法としては、例えば、初めにスプレー法により、建築板表面に目地色で全面塗装を施し乾燥した後、ロールコート法により凸部塗装が施される。(特許文献1:特開昭63−35471号公報)
しかし上記従来技術では、凹凸を有する基材上にロールコータにより塗料を塗布していくだけであるので、凹部(又は目地部)の傾斜面に塗布される色は凹部の最底部に施される色と同じになってしまい、結果的に凸部と凹部の各部の塗装色がはっきりと塗り分けられてしまうこととなり、自然な立体感が得られない、という問題があった。
【0003】
また、セメント板基材の意匠面の全面にスプレー法によって下塗り層を形成し、加熱乾燥させた後に、溝部に対してインクジェット印刷を施してインクジェット層を形成し、凸部に対してインクジェットフルカラー印刷を施してインクジェット塗装層を形成し、最後に意匠面の全面にスプレー法によってクリア塗装を施してクリア塗装層を形成する方法(特許文献2:特開2004−60241号公報)が開示されているが、インクジェット印刷により塗装層を形成させる方法は、生産性が低い、溝部の塗装層が直線的であり、自然な形状を有する溝部には適さない、等の課題を抱えている。
一方、溝部をスプレー法により、塗装すると塗装性、液だれ、生産性の問題があり、自然で立体感のある溝塗装を容易に得られない、という問題があった。
【特許文献1】特開昭63−35471号公報
【特許文献2】特開2004−60241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決する為に創案されたもので、溝部を有する建築板特にALC板に対して、自然で立体感のある意匠性を容易に付与するための塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は上記の課題を達成したものであり、それは次の通りである。
(1)建築板の溝部の塗装方法において、該建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした建築板の塗装方法。
(2)建築板が軽量気泡コンクリート板であることを特徴とした(1)記載の塗装方法。
(3)該微細噴霧ノズルに、塗料シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーが装備されていることを特徴とした(1)又は(2)記載の塗装方法。
(4)塗料循環中に発生する循環配管の残圧を除去した後に、塗装を開始することを特徴とした(1)又は(2)記載の塗装方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塗装方法によれば溝部を有する建築板特にALC板に対して、自然で立体感のある溝塗装を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の例を図1〜図3に示す。
本発明の下地に用いる建築板とは、タイル調、レンガ調、古レンガ調、砂岩調、岩肌調、等の意匠性を有したセメント板やALC板等の基材をいい、該基材の表面に、下塗り塗膜を形成させたもの、又は、該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜まで形成させたもの、等をいう。
また、本発明の下地に用いるALCとは、石灰質原料、珪酸質原料、水、発泡剤等を原料として、オートクレーブ養生により製造されたものをいう。該ALC板は、上記セメント板同様、タイル調、レンガ調、古レンガ調、砂岩調、岩肌調、等の意匠性を有したものをいい、表面に、下塗り塗膜を形成させたもの、又は、該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜まで形成させたもの、等をいう。
【0008】
本発明に用いる微細噴霧ノズル10とは、スプレーパターンを構成する個々のスプレー粒子のサイズ(スプレー粒子径)が小さく、液体を均一散布出来るものであれば良く、一般的には、スプレー注入、巻き取り紙へのスプレー、加湿及び給湿、離型剤噴霧、等に使われているものであれば良い。
該微細噴霧ノズル10のスプレーパターンは、フルコーン、フラットスプレー等が良く、フルコーンの場合は、円形、楕円形、四角形、等があるが、基材溝部の形状及び溝部の寸法に合わせたものを選択して使用するのが良い。
該微細噴霧ノズル10の口径は、0.3〜3.0mmの範囲であれば良いが、好ましくは0.5〜2.0mmが良い。口径が0.5mm未満の場合は、ノズル先端部で塗料が固化し易くなる、塗料中に含まれる原材料の粒子がノズル穴に詰まり易くなる、等の問題がある。また、ノズル口径が2.0mmを超えると、スプレーパターンが大き過ぎて溝部の寸法に合わなくなる、噴霧時の抵抗が小さ過ぎて均一なスプレーパターンが得られ難い、等の問題がある。
【0009】
該微細噴霧ノズル10に供給するアトマイズエアーの圧力は、0.02〜0.3mPaの範囲であれば良いが、好ましくは0.03〜0.1mPaが良い。該エアー圧力は、塗料粘度、塗料流量、溝部への塗装面積、溝部底面からノズル先端部までの距離、等により決定される。該エアー圧力は、0.03mPa未満だと圧力が低過ぎて均一なスプレーパターンは得られ難く、0.1mPaを超えると、スプレーパターンの幅が広すぎて、一般的な形状の溝部の塗装には適さなくなる。
本発明の塗装方法においては、溝部底面9から微細噴霧ノズル10の先端部までの距離(以下、hと呼ぶ)は、3〜30mmの範囲であれば良いが、該微細噴霧ノズル10の使用条件が上記の場合は、5〜15mmが好ましい。スプレーパターンの特性から、一般的には、hを小さくすると細い模様塗膜が得られ、hを大きくすると太い模様塗膜が得られる。hが5mm未満だと、ノズル先端部と基材表面が接触する可能性があるため実用的ではなく、また、hが15mmを超えると、模様塗膜が太くなり過ぎて溝部の寸法に合わなくなる、等の問題が発生するためである。
【0010】
該微細噴霧ノズル10の塗料シャットオフニードル19、エアー駆動シリンダー20は、該ニードル19がノズル内で動作することによって、塗料11の噴霧を開始させたり、停止させたり出来るものである。建築板の場合、タイル柄やレンガ柄等の意匠性を表現したものが多いため、長辺方向の溝部又は短辺方向の溝部は、必ずしも連続した長さのものばかりではなく、ある一定の長さで断続的に存在するものも多く見られる。こういった場合、該ニードル19、エアー駆動シリンダー20を微細噴霧ノズル10に装備することによって、長さの短い断続溝等に対しても、本発明の塗装が可能になる。
【0011】
本発明の溝部塗装に用いる塗料11とは、例えば、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・シリコーン樹脂、等の塗料用バインダーを、水に分散してエマルションとした樹脂溶液に、二酸化チタン、黒色酸化鉄、ベンガラ、クロムグリーン、カーボンブラック、銅フタロシアニン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、等の無機もしくは有機顔料、及び分散剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、成膜助剤、防カビ剤、等の添加剤を必要量添加し、混合及び分散させたものをいう。
【0012】
該塗料11の粘度は、2,000〜30,000mPa・sの範囲であれば良いが、好ましくは5,000〜15,000mPa・sの範囲が良い。これは、塗料粘度が5,000mPa・s未満だと、スプレー粒子径が小さ過ぎて、塗装部と未塗装部の境界がぼやけて見え、外観上良好な溝模様が得られ難いためであり、また、15,000mPa・sを超えると、スプレー粒子径が大き過ぎて、均一なスプレーパターンが得られ難いためである。
該塗料11の塗布量は、溝模様として目視で認識できる膜厚を確保していること、建物の外壁として使用する場合、性能上問題の無い塗膜が形成されること、等が条件となるが、塗布量は、塗料流量、アトマイズエアーの流量又は圧力、該微細噴霧ノズル10又は基材1の走行速度、等によってコントロールすることが出来る。
【0013】
本発明の塗装に用いるポンプは、粘度2,000〜30,000mPa・sの塗料を定量移送出来るものであれば良いが、低粘度型ポンプや脈動を生じ易いポンプ等は塗料流量安定性、模様塗膜の寸法精度、等に影響を与えるため、使用が難しい。例えば、無脈動で定量移送出来るモーノポンプ等が適している。
本発明に用いる塗装装置は図2、3に示す通り、該微細噴霧ノズル10、塗料供給配管14、塗料循環配管17、エアー配管、塗料ホッパー13、塗料送液ポンプ12、塗料制御用バルブ16、等から成る装置であれば良い。
該塗装装置には、「循環」と「スプレー塗装」の2つの状態がある。
【0014】
「循環」とは、図2に示す通り、塗料ホッパー13の中にある塗料11が塗料送液ポンプ12により塗料供給配管14を通って微細噴霧ノズル10の内部まで送られ、その後、塗料循環配管17を通って再び塗料ホッパー13に戻ってくる状態をいう。
また、「スプレー塗装」とは、図3に示す通り、塗料ホッパー13の中にある塗料11が送液ポンプ12により塗料供給配管14を通って微細噴霧ノズル10の内部まで送られ、ノズル先端部より塗料11が噴霧する状態をいう。
【0015】
ここで、「循環」状態における圧力損失を△P1、「スプレー塗装」状態における圧力損失を△P2とする。この場合、△P1=△P2とするのが、本発明の模様塗膜を均一に形成させるための理想条件となる。例えば、△P1>△P2の条件でスプレー塗装を開始した場合は、循環時の残圧(△P1−△P2>0)がスプレーパターンに影響するため、塗装開始部分の模様塗膜は大きな楕円型になり易く、溝部の寸法に適さない場合がある。また、△P1<△P2の条件でスプレー塗装を開始した場合は、循環時の残圧は存在しないものの、スプレー塗装されるまでに時間を要する等の応答遅れが生じ、結果的には、塗装開始部分の模様塗膜が細くなる、模様塗膜が短くなる、等の問題が生じる。
【0016】
これらの問題点を解決するために創案したのが、初めに△P1>△P2の条件で装置を組み、塗料循環中に発生する循環配管の残圧(△P1−△P2)を除去した後に、塗装を開始する方法である。例えば、基材溝部7に対してスプレー塗装を開始する前に、微細噴霧ノズル10から塗料11を基材1から離れた場所で捨て吹きして塗料配管内の圧力を低下させ、△P2とほぼ同じ値になった状態からスプレー塗装を開始する方法、又は、塗料循環配管17に予め圧力調節弁やバイパス配管等を取り付けておき、スプレー塗装開始前に、圧力調節弁を開放、または、圧力損失の小さいバイパス配管に切り替えることによって塗料配管内の圧力を低下させ、△P2とほぼ同じ値になった状態からスプレー塗装を開始する方法、等が挙げられる。
また、本発明の塗装方法は、基材1を固定し、微細噴霧ノズル10を直接移動させながら塗装する方法でも良く、微細噴霧ノズル10を固定し、基材1移動させながら塗装する方法でも良い。前者の場合は、該微細噴霧ノズルをアームロボット等に連結して塗装する方法、後者の場合は、門型に該微細噴霧ノズルを必要な数量だけ列設して塗装する方法、等が挙げられる。
【0017】
本発明の塗装方法における建築板の塗膜の層構成は、下塗りによって基材を全面塗装した後、溝部に模様塗膜を形成させたもの、さらに上記に、クリアー塗膜を形成させたもの、または、下塗り、中塗りによって基材を全面塗装した後、溝部に模様塗膜を形成させたもの、さらに、上記に、クリアー塗膜を形成させたもの、等が一般的である。
下塗り塗料、中塗り塗料、溝部用塗料、クリアー塗料の乾燥は、自然乾燥、強制乾燥のどちらを選択しても良い。生産性を重視する場合は、熱風循環式乾燥機、赤外線ランプ、ジェットゾーン乾燥機、等を選択するのが良いが、使用する塗料の種類、水希釈率、粘度、塗布量等に適した乾燥条件(乾燥温度、風速、乾燥時間)にするのが良い。また自然乾燥の場合は、室温10〜30℃程度の乾燥室で生産するのが一般的であるが、生産条件(生産量、塗装室の面積)または、使用する塗料の種類、水希釈率、粘度、塗布量等に適した乾燥条件(乾燥温度、風速、湿度、乾燥時間)にするのが望ましい。
【実施例】
【0018】
次に、実施例、比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例1〜2、比較例1〜7において使用した基材は、セメント板、又は、ALCに下塗り塗装を施したものとした。また、参考例1、比較例1〜7は、溝模様塗膜の形状を平面的に評価出来るように、平らなパネルを用い、実施例1〜2は、溝模様塗膜を形成させたパネルの意匠性を評価出来るように、溝部を有するパネルを用いた。
【0019】
[参考例1]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.2mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図5を作製した。結果を表−1に示す。
【0020】
[実施例1]
図7に示すようなタイル調セメント板の溝部に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.05mPaの微細噴霧ノズルを用い、該ALC溝部底面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度1,000mm/secの条件で、粘度10,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図8を作製した。結果を表−1に示す。
【0021】
[実施例2]
図9に示すような古レンガ調ALCの溝部に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該ALC溝部底面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度10,000mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧し、溝模様塗膜を形成させた図10を作製した。尚、実施例2は、シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーを装備した微細噴霧ノズルをアームロボットに連結し、△P1>△P2の条件で装置を組み、塗料循環中に発生する回収配管の残圧(△P1−△P2)を除去してから塗装を開始する方法で実施した。結果を表−1に示す。
【0022】
[比較例1]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径0.2mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0023】
[比較例2]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径3.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0024】
[比較例3]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.01mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0025】
[比較例4]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.4mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度9,800mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0026】
[比較例5]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度1,500mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0027】
[比較例6]
図4に示すような平らなセメント板の表面に対して、口径1.5mm、アトマイズエアー圧力0.06mPaの微細噴霧ノズルを用い、該セメント板表面から該ノズル先端部までの距離(h)を10mm、該ノズル走行速度500mm/secの条件で、粘度35,000mPa・sに調整した塗料を0.14kg/m2の塗着量となるようにして噴霧した。結果を表−1に示す。
【0028】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、建築板の塗装方法として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の塗装方法で建築板の溝部を塗装している様子を表す断面図である。
【図2】本発明の塗装方法に用いる塗装装置の「循環」状態を模式的に表す図面である。
【図3】本発明の塗装方法に用いる塗装装置の「スプレー塗装」状態を模式的に表す図面である。
【図4】参考例1、比較例1〜6に用いた平らなセメント板を示す断面図である。
【図5】参考例1で作製した溝模様塗膜を形成させた平らなセメント板を示す平面図である。
【図6】参考例1で作製した溝模様塗膜を形成させた平らなセメント板を示す断面図である。
【図7】実施例1で作製した溝模様塗膜を形成させたタイル調セメント板を示す平面図である。
【図8】実施例1で作製した溝模様塗膜を形成させたタイル調セメント板を示す断面図である。
【図9】実施例2で作製した溝模様塗膜を形成させた古レンガ調ALCを示す平面図である。
【図10】実施例2で作製した溝模様塗膜を形成させた古レンガ調ALCを示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 平らなセメント板
2 下塗り塗膜
3 溝模様塗膜
4 溝模様塗膜の幅
5 タイル調セメント板
6 意匠部
7 溝部
8 溝部斜面
9 溝部底面
10 微細噴霧ノズル
11 塗料
12 塗料送液ポンプ
13 塗料ホッパー
14 塗料供給配管
15 圧力計
16 塗料制御用バルブ
17 塗料循環配管
18 ノズル開閉エアー
19 塗料シャットオフニードル
20 エアー駆動シリンダー
21 微細噴霧ノズルを移動させる方向
22 基材を移動させる方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築板の溝部の塗装方法において、該建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした塗装方法。
【請求項2】
建築板が軽量気泡コンクリート板であることを特徴とした請求項1記載の塗装方法。
【請求項3】
該微細噴霧ノズルに、塗料シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーが装備されていることを特徴とした請求項1又は2記載の塗装方法。
【請求項4】
塗料循環中に発生する循環配管の残圧を除去した後に、塗装を開始することを特徴とした請求項1又は2記載の塗装方法。
【請求項1】
建築板の溝部の塗装方法において、該建築板の溝部に対して、口径0.3〜3.0mm、アトマイズエアー圧力0.02〜0.3mPaの微細噴霧ノズルで、粘度2,000〜30,000mPa・sに調整した塗料を噴霧することにより、自然で立体感のある溝模様塗膜を形成させることを特徴とした塗装方法。
【請求項2】
建築板が軽量気泡コンクリート板であることを特徴とした請求項1記載の塗装方法。
【請求項3】
該微細噴霧ノズルに、塗料シャットオフニードル、エアー駆動シリンダーが装備されていることを特徴とした請求項1又は2記載の塗装方法。
【請求項4】
塗料循環中に発生する循環配管の残圧を除去した後に、塗装を開始することを特徴とした請求項1又は2記載の塗装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−95477(P2006−95477A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287273(P2004−287273)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
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