説明

建築板用梱包体

【課題】本発明は、建築板において、梱包工程、保管工程等で外部湿度の影響や梱包時の条件によって梱包中の建築板の含水率が変化し、寸法変化や形態の変化が生ずるのを防止する建築板用梱包体を提供することをその課題とするものである。
【解決手段】外面全面を撥水処理して撥水層4とし内面に吸放湿層5を設けて段ボール製梱包材3を形成し、該段ボール製梱包材3の吸放湿層5である内面を内側にして梱包箱とし、梱包箱内に床板、壁板等の建築板6を梱包してなる建築板用梱包体1であり、外部環境の影響を受けないために建築板用梱包体1内側の湿度の調整を段ボール製梱包材3の吸放湿層5で行うことができるもので、建築板用梱包体1内の建築板6の含水率を適切な範囲に維持できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板用梱包体に関するもので、特に、木質系建築板において、梱包工程、保管工程等で周囲湿度の影響や梱包時の条件によって建築板の含水率が変化し、梱包中における寸法変化や形態の変化を防止する建築板用梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から梱包体内部に周囲環境の変化で梱包体内部に湿度を呼び込んだり、乾燥したりすることにより梱包体内部の建築板の寸法変化、反り等の品質が低下することを防止するために建築板を合成樹脂製シートで覆ったり、シュリンク包装したりすることは行われている。また、段ボール製箱のような小空間を温度変化に伴う湿度の変動を調整するために用いる調湿用シートは特許文献1に示される如く従来から知られている。
【0003】
しかしながら、前者は梱包体内部の建築板を合成樹脂製シートで覆ったり、シュリンク包装したりして建築板とそれ以外の空間とを遮断するものであり、建築板を温度が高い状態や湿度の高い状態において合成樹脂製シートで覆ったり、シュリンク包装したりすると外部温度が低下するにつれ合成樹脂製シート内やシュリンク包装内の湿度は高くなり、梱包体内部の建築板の含水率は高くなって結果的に梱包体内部の建築板の寸法変化、反り、品質の低下が生ずることがあった。また、下記の特許文献1に示される調湿用シートを用いた段ボール製梱包材を用いた梱包体においては梱包体内部の湿度を調整する効果はあったとしても梱包体外部の湿度の変化が梱包体内部に影響を及ぼすことについての配慮がなされていないものであった。このために、長期間湿度の高い外部環境に放置された梱包体は梱包体内部の湿度を調整する機能をはたすことが出来ないことがあり、梱包体内部の建築板の寸法変化、反り、品質の低下を防止できないことがあった。
【特許文献1】特開2000―42345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、建築板において、梱包工程、保管工程等で周囲湿度の影響や梱包時の条件によって梱包中の建築板の含水率が変化し、寸法変化や形態の変化を防止する建築板用梱包体を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る建築板用梱包体は、請求項1においては、外面全面を撥水処理して撥水層とし内面に吸放湿層を設けて段ボール製梱包材を形成し、該段ボール製梱包材の吸放湿層である内面を内側にして梱包箱とし、梱包箱内に床板、壁板等の建築板を梱包してなる建築板用梱包体であり、請求項2においては、内面に設けた吸放湿層を建築板の木口部に当接梱包してなる請求項1記載の建築板用梱包体である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の建築板用梱包体は、段ボール製梱包材が外面全面を撥水処理して撥水層とし内面に吸放湿層を設けてなるために外部の湿度の影響を受けないものであり、さらに建築板用梱包体内側の湿度を内面に設けた吸放湿層により調整するために大きく変動することが少ないものである。即ち、段ボール製梱包材が外面全面を撥水処理(水、湿気の侵入防止処理)しているために建築板用梱包体内側に水や湿気が侵入しないものであり、建築板用梱包体内面の吸放湿層は建築板用梱包体内側の湿度が高いときは湿気を吸収し湿度が低いときは湿気を放出するためにするために建築板用梱包体内側の湿度は一定の範囲に保たれるものである。
【0007】
請求項2に記載の建築板用梱包体は、内面に設けた吸放湿層を建築板の木口部に当接梱包してなる請求項1記載の建築板用梱包体であり、建築板が主に吸放湿する木口部に内面に設けた吸放湿層を当接梱包することにより、効率的に吸放湿層を働かせようとするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の建築板用梱包体の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明における建築板用梱包体の実施例の斜視図、図2は図1に示す実施例のX−X断面図である。図1及び図2において、1は建築板用梱包体、2は結束紐である。段ボール製梱包材3は外面全面に撥水処理した撥水層4を有し、内面に吸放湿層5を形成してなるものである。撥水層4は油性塗料を段ボール製梱包材3の外面全面に塗布或いは含浸させて形成しても良く、外面全面に合成樹脂フイルムを溶着して形成しても良いものである。撥水層4は湿気、水分が建築板用梱包体1内側に外部より侵入することを防止するもので、建築板用梱包体1内側の湿度の調整に外部の湿度の影響を受けないようにしたものである。
【0009】
段ボール製梱包材3の内面に形成された吸放湿層5はポリアクリル酸ソーダ繊維、ゼオライト、シリカゲル等で形成されるもので、吸湿性と放湿性を兼ね備えたものであり、湿度の高い環境では吸湿性を発揮し、湿度の低い環境では放湿性を発揮するもので湿度を調整する機能を有するものである。吸放湿層5を形成する物質を例示したがこれらの物質に限定されるものでないことは当然である。この吸放湿層5は建築板用梱包体1内側の湿度が高くなると吸湿性を発揮し、建築板用梱包体1内側の湿度が低くなると放湿性を発揮するので建築板用梱包体1内側の湿度は調整されることになるのである。この場合、撥水層4は湿気、水分を建築板用梱包体1内側に外部より侵入することを防止しているために建築板用梱包体1内側の吸放湿層5による湿度の調整は充分に行えるものである。
【0010】
建築板用梱包体1内側の湿度が変動するのは建築板用梱包体1内側に収納されている建築板6(例えば木質系床材)が吸放湿するからである。建築板6が吸放湿する理由は、高湿度の環境で製造された建築板6が常温に冷却され乾燥された状態になる前に梱包され建築板用梱包体1を構成すると、建築板用梱包体1内側で冷却される過程で建築板6から放湿されるのである。この建築板6からの吸放湿により建築板用梱包体1内側の湿度が適正な範囲をこえた状態が続くと建築板6は寸法変化や形態変化を生じ、施工現場で開梱した際に使用できないものとなる場合がある。特に建築板6が木質系床材である場合、床材は長尺であるために、寸法変化や形態変化が現れやすいものであるがこの建築板用梱包体1においては建築板用梱包体1内側の湿度を適正な範囲に維持することができるもので、建築板6の寸法変化や形態変化を防止することができるものである。
【0011】
図2において、建築板6の木口部7が吸放湿層5に当接梱包しているのは建築板6の吸放湿が主として木口部7から行われるためである。このために、吸放湿層5による吸放湿が効率的に行われるものである。また、このように、建築板用梱包体1が建築板6の木口部7のみを覆う形状(断面略コ字状)であると、梱包資材の削減が図られながら、木口部7からの吸放湿は支障なく行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明における建築板用梱包体の実施例の斜視図。
【図2】図1に示す実施例のX−X断面図。
【符号の説明】
【0013】
1 建築板用梱包体
2 結束紐
3 段ボール製梱包材
4 撥水層
5 吸放湿層
6 建築板
7 木口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面全面を撥水処理して撥水層とし内面に吸放湿層を設けて段ボール製梱包材を形成し、該段ボール製梱包材の吸放湿層である内面を内側にして梱包箱とし、梱包箱内に床板、壁板等の建築板を梱包してなる建築板用梱包体。
【請求項2】
内面に設けた吸放湿層を建築板の木口部に当接梱包してなる請求項1記載の建築板用梱包体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−280083(P2008−280083A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127869(P2007−127869)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】