説明

建築物積算見積システム及び建築物積算見積方法

【課題】取扱い部材数、商流の階層数が多い業界においても実効性のある建築物の見積りを可能とする。
【解決手段】見積依頼者端末1が意匠ベースの建築図面データ、見積条件、物件情報をネットワーク6を介して積算受託者端末2に送信し、積算受託者端末2が見積依頼者端末1から受信した建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成し、作成した積算データ、構造情報が追加された建築図面データ、見積条件、物件情報を、ネットワーク6を介して販売店端末3〜5に振り分け、販売店端末3〜5のそれそれが、自端末が扱う建材の見積データを作成して、ネットワーク6を介して見積依頼者端末1に送信し、見積依頼者端末1が、販売店端末3〜5の各々から受信した見積データに基づいて実行予算書及び施主10向けの見積書を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物積算見積システム及び建築物積算見積方法に関し、特に、建築物の見積りを依頼する見積依頼者端末と見積りを行う販売店端末との間に積算受託者端末を介在させ、ネットワークを介して、建築物の見積りを自動的に行う建築物積算見積システム及び建築物積算見積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の見積りの際には、工務店などのビルダー(施工業者)自身が見積りを行う方式を採っている。又は、ビルダーが各種の部材(建材)アイテムの販売店に見積りを依頼し、見積りの依頼を受けた販売店が自分が扱う建材のおおまかな見積りを行って、見積結果をビルダーに返す方式を採っている。
【0003】
なお、CAD(Computer Aided Design )データに基づいて建築物の見積りを行う技術として、例えば、下記の特許文献1に記載された住宅価格シミュレーションシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2002−157284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物の見積作業は、部材(建材)のアイテムが多く、大変な作業であり、実行予算の作成には、相当な工数を要している。ビルダー自身による見積りは、坪単価や標準単価を基準として、オプション工事に応じて見積りを行うといった、おおまかな見積りにとどまっていることが多い。また、見積作業を種々の部材アイテムの各販売店に依頼した場合、販売店によって同一の部材アイテムについての積算処理の仕方がまちまちで、客観性に欠ける面がある。
【0005】
一方、従来、建築物の見積りの際に、見積依頼者としてのビルダーと見積りを行う各販売店との他に、積算受託者としてメーカーが介在するシステムはなかった。これは、以下の理由による。
【0006】
例えば、メーカーが販売店4社に建材を2種類売り、それを各販売店がビルダー4社に建材ごとに2種類の仕様(つまり4種類の製品)にして出荷すると仮定する。この場合、各販売店は建材2種類×ビルダー4社×仕様2種類で16種類のデータを持っておけば良いが、メーカーは64種類のデータを持つ必要がある。つまり、商流(商取引の流れ即ち金銭の流れ)の上流に行けば行くほど膨大なデータを持つ必要があるので、システム的に不具合が生じるおそれがあるからである。従って、取扱い建材数、商流の階層数が多い建築業界において、実効性のある見積システムを構築することは困難であった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、取扱い部材数、商流の階層数が多い業界においても実効性のある建築物の見積りを可能とする建築物積算見積システムの提供を目的とする。
【0008】
また、本発明は、取扱い部材数、商流の階層数が多い業界においても実効性のある建築物の見積りを可能とする建築物積算見積方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明では、建築物の見積りの際に、見積依頼を行う見積依頼者端末と見積りを行う各販売店端末との間に、積算受託者端末を介在させ、以下のようにして建築物の見積りを行う。
(1)見積依頼者端末は、施主からの要望に基づいて、意匠ベースの建築図面データを作成し、作成した建築図面データと、物件情報、見積条件を、ネットワークを介して積算受託者端末に送信する。
(2)積算受託者端末は、構造CADを用いて構造情報を建築図面データに追加して、積算データを作成する。そして、積算受託者端末は、各建材の見積りを担当する販売店端末を決定し、決定した販売店端末に対して積算データ、物件情報、見積条件、構造情報が追加された建築図面データをネットワークを介して送信する。
(3)各販売店端末は、積算受託者端末から受信したデータ情報に基づいて、自分が扱う建材の見積データを作成し、ネットワークを介して見積依頼者端末に送信する。
(4)見積依頼者端末は、受信した見積データに基づいて実行予算書を作成するとともに施主向けの見積書を作成する。
(5)見積依頼者端末は、施主からの要望により、例えば、見積条件中の商品選択情報(例えば建材のデザインに関する情報)を変更入力して、変更後の商品選択情報を各販売店端末に送信し、各販売店端末は変更された商品選択情報に基づいて見積データを更新する。
【0010】
即ち、本発明は、以下のように構成することができる。
[1] 本発明の建築物積算見積システムは、ネットワークを介して接続された見積依頼者端末と積算受託者端末と1又は複数の見積作成者端末とから構成され、建築物の積算及び見積りを行うシステムである。前記見積依頼者端末は、物件情報と見積条件とを入力する物件情報・見積条件入力手段と、建築図面データを作成する建築図面データ作成手段と、前記物件情報と見積条件と建築図面データとを、ネットワークを介して、前記積算受託者端末に送信する送信手段と、前記1又は複数の見積作成者端末から送信された見積データを受信して集計する見積データ集計手段と、前記集計された見積データに基づいて、建築物の見積書を作表する見積書作表手段とを備える。前記積算受託者端末は、前記見積依頼者端末から前記物件情報と見積条件と建築図面データとを受信する受信手段と、受信した建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成する積算データ作成手段と、前記積算データ中の建材の見積りを担当する見積作成者端末を決定する見積作成者端末決定手段と、前記決定した見積作成者端末に、ネットワークを介して、積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを送信する送信手段とを備える。前記1又は複数の見積作成者端末は、前記積算受託者端末から積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを受信する受信手段と、前記受信した積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとに基づいて、自端末が見積りを担当する建材の見積データを作成し、ネットワークを介して前記見積依頼者端末に送信する見積データ作成・送信手段とを備える。
[2] 本発明の建築物積算見積システムは、前記の建築物積算見積システムにおいて、前記見積依頼者端末が備える送信手段は、さらに、前記物件情報・見積条件入力手段によって変更入力された見積条件を、前記変更入力された見積条件に係る建材の見積りを担当する見積作成者端末に対して送信し、変更入力された見積条件を受信した見積作成者端末は、前記変更入力された見積条件に基づいて、前記見積データを更新する。
[3] 本発明の建築物積算見積方法は、ネットワークを介して接続された見積依頼者端末と積算受託者端末と1又は複数の見積作成者端末とから構成される建築物積算見積システムにおいて、建築物の積算及び見積りを行う建築物積算見積方法である。前記見積依頼者端末が備える物件情報・見積条件入力手段が、物件情報と見積条件とを入力し、前記見積依頼者端末が備える建築図面データ作成手段が、建築図面データを作成し、前記見積依頼者端末が備える送信手段が、前記物件情報と見積条件と建築図面データとを、ネットワークを介して、前記積算受託者端末に送信する。前記積算受託者端末が備える受信手段が、前記見積依頼者端末から前記物件情報と見積条件と建築図面データとを受信し、前記積算受託者端末が備える積算データ作成手段が、受信した建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成し、前記積算受託者端末が備える見積作成者端末決定手段が、前記積算データ中の建材の見積りを担当する見積作成者端末を決定し、前記積算受託者端末が備える送信手段が、前記決定した見積作成者端末に、ネットワークを介して、積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを送信する。前記1又は複数の見積作成者端末が備える受信手段が、前記積算受託者端末から積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを受信し、前記1又は複数の見積作成者端末が備える見積データ作成・送信手段が、前記受信した積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとに基づいて、自端末が見積りを担当する建材の見積データを作成し、ネットワークを介して前記見積依頼者端末に送信する。前記見積依頼者端末が備える見積データ集計手段が、前記1又は複数の見積作成者端末から送信された見積データを受信して集計し、前記見積依頼者端末が備える見積書作表手段が、前記集計された見積データに基づいて、建築物の見積書を作表する。
[4] 本発明の建築物積算見積方法は、前記の建築物積算見積方法において、前記見積依頼者端末が備える送信手段が、さらに、前記物件情報・見積条件入力手段によって変更入力された見積条件を、前記変更入力された見積条件に係る建材の見積りを担当する見積作成者端末に対して送信し、変更入力された見積条件を受信した見積作成者端末が、前記変更入力された見積条件に基づいて、前記見積データを更新する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、建築物の建材の見積りに要する積算を積算受託者端末が一元的に行なって、積算データを各販売店端末に振り分け、各販売店端末では、積算受託者端末から受信した積算データを使って見積りを行う。
【0012】
例えば、積算受託者端末は、販売店端末との遣り取りに必要なデータ(例えば建材2種類×販売店端末4種類)だけを持ち、見積依頼者端末ごとの仕様まで落とし込んだ見積りは出さずに、見積依頼者端末から受信した建築図面データに基づいて積算のみを行う。そして、各販売店端末は、積算受託者端末との遣り取りに必要なデータとは属性を別にして見積依頼者端末との遣り取りに必要なデータ(例えば建材2種類×見積依頼者端末4種類×仕様2種類)を持つようにして、積算受託者端末が決定した積算数をもとに見積りを行い、見積結果を見積依頼者端末に提示する。従って、本発明によれば、正確な見積書を迅速に作表できるようになり、また、見積業務も楽に行なえるようになる。また、本発明によれば、取扱い部材数、商流の階層数が多い業界においても実効性のある建築物の見積りを行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、見積依頼者端末は、例えば見積対象となる建材のデザイン等を変更して各販売店端末に送信し、各販売店端末は、変更されたデザイン等に基づいて見積データを更新する。従って、本発明によれば、各販売店端末の価格面での独自性を尊重しながら、施主の要望に応じて見積データを柔軟に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の建築物積算見積システムの構成例の概要を示す図である。本発明の建築物積算見積システムは、ネットワーク6を介して接続された見積依頼者端末1と積算受託者端末2と1又は複数の見積作成者端末(販売店端末3〜5)とから構成され、建築物の積算及び見積りを行う。
【0015】
見積依頼者端末1は、建築物の見積依頼を行う見積依頼者の使用するコンピュータ(情報処理装置)であり、見積依頼者の店舗に設置される。見積依頼者端末1は、施主10の要望に基づいて作成した意匠ベースの建築図面データ、見積条件等をネットワーク6を介して積算受託者端末2に送信するとともに、販売店端末3〜5の各々から受信した見積データに基づいて実行予算書及び施主10向けの見積書を作成する。
【0016】
積算受託者端末2は、建築物の積算を受託する積算受託者の使用するコンピュータであり、積算受託者の店舗に設置される。積算受託者端末2は、見積依頼者端末1から受信した建築図面データに必要に応じて構造情報を追加して積算データを作成し、作成した積算データと見積条件等を、ネットワーク6を介して各販売店端末に振り分ける。
【0017】
販売店端末3〜5は、積算受託者端末2からの依頼に応じて実際の見積を行う複数の販売店の各々が使用するコンピュータであり、各々の販売店の店舗に設置される。販売店端末3〜5は、積算受託者端末2によって振り分けられた積算データと見積条件等に基づいて建材の見積データを作成し、見積依頼者端末1に送信する。販売店端末3〜5は、必要に応じて、即ち、見積を行う建材のカテゴリの数に応じて、1又は複数設けられる。
【0018】
販売店端末3〜5は、建築物を構成する建材のうち、各々異なるカテゴリ(グループ又は分類)の建材の見積りを担当する。例えば、販売店端末3は内装材の見積り、販売店端末4はキッチンの見積り、販売店端末5は屋根の見積りを行う。本発明において、各々の建材の見積りを担当する販売店端末は、前記販売店端末3〜5に限られず、例えば、特注カウンターの見積りを担当する販売店端末、クロスの見積りを担当する販売店端末、家具の見積りを担当する販売店端末等、様々な販売店端末があり得る。
【0019】
図2は、図1に示す見積依頼者端末1の構成の一例を示す図である。見積依頼者端末1は、物件データ・見積条件入力送信部11と見積集計・作表部12とを備える。
【0020】
物件データ・見積条件入力送信部11は、物件情報、見積条件を入力するとともに、建築図面データを作成し、物件情報、見積条件と建築図面データを積算受託者端末2に送信する。このために、物件データ・見積条件入力送信部11は、物件管理システム110、建築意匠CAD(システム)111、送信部112を備える。
【0021】
物件管理システム110は、物件情報と見積条件を入力する物件情報・見積条件入力手段である。建築意匠CAD111は、CADデータを入力して建築図面データを作成する建築図面データ作成手段である。送信部112は、物件情報と見積条件と建築図面データとを、ネットワーク6を介して、積算受託者端末2に送信する送信手段である。
【0022】
物件情報は、例えば、物件コード、物件名、建築仕様などの情報である。建築仕様は、例えば、モジュール、矩計情報、部材材質などの情報が該当する。物件情報は、例えば、物件管理システム110の外部から入力される。
【0023】
見積条件は、例えば、見積対象、商流、商品選択情報などである。見積対象とは、建築物を構成する部材であって、見積データを作成する対象となるものである。商流とは、代金支払いルートであり、商品選択情報とは、例えば建材のデザイン等に関する情報である。見積条件は、例えば、物件管理システム110の外部から入力される。
【0024】
CADデータは、例えば、見積対象である当該建築物の間取情報、屋根情報、壁情報、開口情報などの電子情報である。CADデータは、施主10の当該建築物についての主として意匠的な希望や意見に従った設計者の入力により、建築意匠CAD111により作成される。従って、CADデータは意匠ベースの(に基づいた)電子情報である。
【0025】
建築図面データは、CADデータに対応する意匠ベースの図形情報であり、CADデータに従って作成された図形情報であり、建築物の意匠についての施主10の要望に基づいて作成される。作成された建築図面データ(従って、CADデータ)により、見積対象となる各建材の種類(例えば、開口部であれば引戸にするのかひらき戸にするのか等)、大きさ(面積や長さ)、数量等が決まる。
【0026】
見積集計・作表部12は、各販売店端末から受信した見積データを集計して、実行予算書及び施主10向けの見積書を作表する。このために、見積集計・作表部12は、見積集計部120、作表部121、商品マスタ122を備える。
【0027】
見積集計部120は、1又は複数の見積作成者端末(販売店端末)から送信された見積データを受信して集計する見積データ集計手段であって、受信した見積データを商品マスタ122を用いて工事別に集計する。作表部121は、見積集計部120によって集計された見積データに基づいて、建築物の見積書を作表する見積書作表手段である。建築物の見積書は、見積依頼者が工務店である場合における見積書である実行予算書(労務費等を含む)、及び、見積依頼者が施主10である場合における見積書を含む。作表部121は、例えば、見積書作成の前処理として実行予算書の作成を行う。
【0028】
商品マスタ122の一例を図5(A)に示す。商品マスタ122は、例えば、商品コード毎に、商品名、工事区分等のデータを格納する。商品マスタ122は、全ての商品コードについて予め用意される。
【0029】
物件管理システム110、建築意匠CAD111、送信部112、見積集計部120及び作表部121は、見積依頼者端末1のCPU(中央演算処理装置、図示せず)と、その主メモリ(図示せず)上に存在し前記CPU上で実行される各々の処理を行う処理プログラムとにより構成される。送信部112は、送信を行うための送信(及び受信)機能を備える。物件情報、見積条件、CADデータ、建築図面データ、商品マスタ122は、各々、図示しない記憶手段に記憶される。
【0030】
図3は、図1に示す積算受託者端末2の構成の一例を示す図である。積算受託者端末2は、積算部21と見積振分け部22とを備える。
【0031】
積算部21は、見積依頼者端末1から受信したデータの中の建築図面データに基づいて、積算データを作成する。このために、積算部21は、物件データ・見積条件受信部210、構造CAD(システム)211を備える。
【0032】
物件データ・見積条件受信部210は、見積依頼者端末1から物件情報と見積条件と建築図面データとを受信する受信手段である。構造CAD211は、受信したデータの中から建築図面データを取り出して、当該建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成する積算データ作成手段である。積算データは、例えば、積算項目、面積、長さ、数量などの情報である。
【0033】
構造情報は、構造CAD211の外部から設計者により入力され、建築図面データを修正するデータである。例えば、建築図面データは、意匠ベースであるので、構造的に強度不足の場合がある。この場合、例えば壁面に柱を追加する等の構造情報を追加し、当該建築図面データを修正する。これにより、最終的な建築図面データが得られるので、これから引戸(の有無)等の積算項目、引戸等の面積、引戸等の長さ、引戸等の数量を抽出することにより、積算データを作成する。
【0034】
なお、建築図面データへの構造情報の追加は、必要に応じて行うようにしてもよい。即ち、例えば、前述の引戸の場合には建築図面データへの構造情報の追加が必要であるが、「フローリング」の場合には、その部材の構成上、建築図面データへの構造情報の追加は不要である。従って、実際には、構造CAD211は、必要に応じて建築図面データに構造情報を追加する。
【0035】
見積振分け部22は、積算データを各販売店端末に振り分ける。このために、見積振分け部22は、依頼先決定部220、見積基礎情報送信部221、依頼先テーブル222を備える。
【0036】
依頼先決定部220は、積算部21が受信した見積条件中の見積対象と商流の情報に基づいて、依頼先テーブル222を用いて、見積対象の見積依頼先である見積作成者端末(販売店端末)を決定する。即ち、依頼先決定部220は、積算データ中の建材の見積りを担当する見積作成者端末を決定する見積作成者端末決定手段である。
【0037】
見積基礎情報送信部221は、依頼先決定部220が決定した見積依頼先に、物件情報と見積条件と積算データと構造情報が追加された建築図面データ(以下これらの情報を見積基礎情報という)を送信する。即ち、見積基礎情報送信部221は、依頼先決定部220が決定した見積作成者端末(販売店端末)に、ネットワーク6を介して、積算データと物件情報と見積条件と、構造情報が追加された建築図面データとを送信する送信手段である。
【0038】
依頼先テーブル222の一例を図5(B)に示す。依頼先テーブル222は、例えば、見積対象(建材)を一意に識別する商品コード毎に、見積依頼先である1又は複数の販売店端末名、当該販売店端末のIPアドレスを格納する構成とされる。依頼先テーブル222は、販売店端末3〜5について、予め設けられる。
【0039】
物件データ・見積条件受信部210、構造CAD211、依頼先決定部220、見積基礎情報送信部221は、積算受託者端末2のCPU(図示せず)と、その主メモリ(図示せず)上に存在し前記CPU上で実行される各々の処理を行う処理プログラムとにより構成される。積算データ及び依頼先テーブル222は、各々、図示しない記憶手段に記憶される。
【0040】
図4は、図1に示す販売店端末3の構成の一例を示す図である。なお、図1に示す販売店端末4及び販売店端末5は、販売店端末3と同様の構成を備えるものとする。
【0041】
販売店端末3は、その見積部31において、自己に割り当てられたカテゴリの部材(建材)アイテムについて、実際の見積を行う。即ち、見積部31は、積算受託者端末2から見積基礎情報を受信し、受信した見積基礎情報に基づいて、商品マスタ311と顧客マスタ312を用いて、自己が見積りを担当する見積対象の見積データを作成する。このために、見積部31は、見積基礎情報受信部310、見積データ作成・送信部313を備える。
【0042】
見積基礎情報受信部310は、積算受託者端末2から見積基礎情報を受信する。即ち、見積基礎情報受信部310は、積算受託者端末2から積算データと物件情報と見積条件と、構造情報が追加された建築図面データとを受信する受信手段である。
【0043】
見積データ作成・送信部313は、見積基礎情報受信部310から受け取った見積基礎情報に基づいて、商品マスタ311と顧客マスタ312を用いて見積データを作成し、作成した見積データをネットワーク6を介して見積依頼者端末1に送信する。即ち、見積データ作成・送信部313は、積算受託者端末2から受信した積算データと物件情報と見積条件と、構造情報が追加された建築図面データとに基づいて、自端末(販売店端末3)が見積りを担当する建材の見積データを作成し、ネットワーク6を介して見積依頼者端末1に送信する見積データ作成・送信手段である。なお、前述のように、構造CAD211による建築図面データへの構造情報の追加を行わない場合、見積データ作成・送信部313が建築図面データへ構造情報を追加してもよい。
【0044】
商品マスタ311の一例を、図5(C)に示す。商品マスタ311は、例えば、商品コード毎に、商品名、設計価格、積算項目、数量計算方法を格納する構成とされる。商品マスタ311は、例えば販売店端末3における取り扱い商品について予め設けられる。
【0045】
顧客マスタ312の一例を、図5(D)に示す。顧客マスタ312は、例えば、顧客コード毎に、顧客名、住所、tel.No.、fax.No.、販売掛率を格納する構成とされる。販売掛率は、見積データ作成・送信部313が、商品マスタ311中の設計価格に掛けて、見積データ中の見積単価を算出するために用いる掛率である。顧客マスタ312は、例えば販売店端末3において過去に取り扱った履歴のある顧客について予め設けられる。
【0046】
見積データ作成・送信部313により作成された見積データは、例えば、物件コード、物件名、商品コード、商品名、見積数量、見積単価、見積金額とからなるデータ構成を有する。
【0047】
見積基礎情報受信部310、見積データ作成・送信部313は、積算受託者端末2のCPU(図示せず)と、その主メモリ(図示せず)上に存在し前記CPU上で実行される各々の処理を行う処理プログラムとにより構成される。商品マスタ311、顧客マスタ312及び見積データは、各々、図示しない記憶手段に記憶される。
【0048】
図6は、見積依頼者端末1における見積依頼処理フローの一例を示す図である。以下に、図中のステップ番号S1〜S3にしたがって、処理の流れを説明する。
(S1) 物件管理システム110が物件情報と見積条件を入力する。
(S2) 建築意匠CAD111がCADデータを入力して建築図面データを作成する。
(S3) 送信部112が、物件情報、見積条件、建築図面データを、ネットワーク6を介して積算受託者端末2に送信する。
【0049】
図7は、積算受託者端末2における積算処理フローの一例を示す図である。以下に、図中のステップ番号S11〜S14にしたがって、処理の流れを説明する。
(S11) 積算部21が、図6のS3において見積依頼者端末1から送信された物件情報、見積条件、建築図面データを受信する。
(S12) 積算部21が、構造CAD211を用いて構造情報を建築図面データに追加し、積算データを作成する。
(S13) 見積振分け部22が、見積条件中の見積対象(建材)と商流の情報とに基づいて、依頼先テーブル222を用いて、見積対象の見積依頼先を決定する。
(S14) 見積振分け部22が、決定した見積依頼先に、物件情報と見積条件と積算データと構造情報が追加された建築図面データとからなる見積基礎情報を送信する。
【0050】
例えば、建築物が躯体、屋根・壁、内装、住設機器、家具、照明、インテリア、エクステリアとから構成される場合、見積振分け部22によって、例えば躯体と屋根・壁の積算データについては躯体と屋根・壁の見積りを担当する販売店端末に送信され、内装と住設機器の積算データについては内装と住設機器の見積りを担当する販売店端末に送信され、家具、照明、インテリア、エクステリアの積算データについては家具、照明、インテリア、エクステリアの見積りを担当する販売店端末に送信される。
【0051】
図8は、販売店端末3における見積データ作成・送信処理フローの一例を示す図である。以下に、図中のステップ番号S21及びS22にしたがって、処理の流れを説明する。
(S21) 見積基礎情報受信部310が、図7のS14において積算受託者端末2から送信された見積基礎情報(物件情報、見積条件、積算データ、構造情報が追加された建築図面データ)を受信する。
(S22) 見積データ作成・送信部313が、見積基礎情報に基づいて、商品マスタ311、顧客マスタ312を用いて、見積データを作成し、作成した見積データを見積依頼者端末1に送信する。なお、見積データ作成・送信部313が必要に応じて構造情報を建築図面データに追加してもよい。
【0052】
図9は、見積依頼者端末1における見積集計処理フローの一例を示す図である。以下に、図中のステップ番号S31及びS32にしたがって、処理の流れを説明する。
(S31) 見積集計・作表部12が、図8のS22において説明した見積データの作成・送信処理によって各販売店端末から送信された見積データを受信し、商品マスタ122を用いて工事別に集計する。
(S32) 作表部121が、見積集計部120による集計結果に基づいて、実行予算書と施主10向けの見積書を作表する。
【0053】
図6〜図9に示す処理を行う本発明の建築物積算見積方法においては、積算受託者端末2は、各販売店端末との遣り取りに必要なデータだけを持ち、見積依頼者端末1から受信した建築図面データに基づいて積算のみを行う。そして、各販売店端末は、積算受託者端末2との遣り取りに必要なデータとは属性を別にして見積依頼者端末1との遣り取りに必要なデータを持つようにして、積算受託者端末2が決定した積算数をもとに見積りを行い、見積結果を見積依頼者端末1に提示する。従って、本発明によれば、正確な見積書を迅速に作表できるようになり、また、見積業務も楽に行なえるようになる。また、取扱い部材数、商流の階層数が多い業界においても実効性のある建築物の見積りを行うことが可能となる。
【0054】
図10は、施主10からの要望により商品選択情報が変更入力された場合の処理フローを示す図である。以下に、図中のステップ番号S41及びS42にしたがって、処理の流れを説明する。
(S41) 見積依頼者端末1の物件データ・見積条件入力送信部11が、商品選択情報を変更入力する。
(S42) 物件データ・見積条件入力送信部11が、変更入力された商品選択情報を、ネットワーク6を介して、当該商品選択情報に係る建材の見積りを担当する販売店端末に送信する。例えば、商品選択情報の一例としての内装材の色情報が変更された場合には、内装材の見積りを担当する販売店端末にその内装材の色情報が送信される。各販売店端末では、変更された商品選択情報に基づいて見積データの更新を行うこととなる。
【0055】
図10に示す処理によれば、各販売店端末の価格面での独自性を尊重しながら、施主10の要望に応じて見積データを柔軟に変更することができる。
【0056】
ここで、見積対象となる建材として、「開口部」を例にとって、本発明の実施態様を説明する。
【0057】
見積依頼者端末1が、物件管理システム110により、施主10によって選択された物件情報や見積条件を入力する(図6のS1)。ここで、見積条件において、見積対象「開口部#1」、商流、商品選択「引戸」が入力される。商品選択「引戸」により商品コードA1が定まり、これと商流とにより「A販売店(A端末を備える)」が定まる。
【0058】
この後、見積依頼者端末1が、建築意匠CAD111により、施主10によって選択された物件情報や見積条件(「開口部#1」は「引戸」)及び施主10の意匠的な希望や意見に従って、CADデータを作成し(「開口部#1」に「引戸」を採用し)、これに基づいて(並行して)建築図面データを作成する(図6のS2)。これにより、見積対象「開口部#1」である「引戸」の面積、長さ(厚さ又は幅)及び数が、意匠ベースで一応(構造的に変更され得ると言う程度に)定まる。
【0059】
そこで、見積依頼者端末1が、送信部112により、作成した建築図面データを、ネットワーク6を介して、積算受託者端末2に送信する(図6のS3)。この時、図1に点線で示すように、 物件情報及び見積条件も、積算受託者端末2に送信される。
【0060】
このように、見積依頼者端末1は、商品マスタ311及び顧客マスタ312を備える必要が無いので、記憶容量を削減でき、データ入力の手間を省くことができる。また、見積依頼者端末1は、見積依頼のための依頼先決定部220を備える必要が無く、正確な見積のための構造CAD211を備える必要が無いので、当該コンピュータの処理の負担を軽減することができる。
【0061】
積算受託者端末2は、物件データ・見積条件受信部210により見積依頼者端末1から前述のデータを受信し(図7のS11)、構造CAD211によりその中の建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成する(図7のS12)。見積対象「開口部#1」は、壁面と異なり、開口により強度不足の原因となることもあるので、構造設計の結果変更すべき場合がある。従って、「引戸」の面積、長さ(厚さ又は幅)、数が変更される場合があり、この結果、「引戸」の種類(商品コード)が変更される場合もある。これにより、積算データ、即ち、見積対象「開口部#1」である「引戸」の面積、長さ(厚さ又は幅)及び数が、意匠ベース及び構造ベースで、正確に定まる。
【0062】
なお、従来は、「引戸」に限らず、「窓」や「クロス(壁紙)」等は数cm単位で見積結果が変動するので、見積の労力が大きく、事実上概算値を予測することしかできず、また、それが受容されていた。更に、建築図面データは施主10との打ち合わせを繰り返して殆どの場合複数回変更されること等から、建築図面データが得られても、概算値を予測する程度で十分なものとされていた。
【0063】
積算受託者端末2は、依頼先決定部220により、依頼先テーブル222を用いて、「開口部#1」の見積りを担当する販売店端末(例えば、販売店端末3)を決定し(図7のS13)、決定した販売店端末3に「開口部」にかかる見積基礎情報を送信する(図7のS14)。ここで、前述のように、商品選択「引戸」により商品コードA1が定まり、これと商流とにより「A販売店(A端末を備える)」が定まるので、これらに基づいて、依頼先テーブル222から販売店端末3(端末A)のIPアドレスを知ることができる。この送信時において、図1に点線で示すように、 積算データの他に、物件情報、見積条件、建築図面データが送信される。これが、見積基礎情報である。また、見積対象「開口部#2」については、例えば販売店端末4に見積基礎情報が送信される。
【0064】
このように、積算受託者端末2は、積算を受託しているにもかかわらず、商品マスタ311及び顧客マスタ312を備える必要が無く、記憶容量を削減でき、データ入力の手間を省くことができ、これに代えて、見積依頼のための依頼先決定部220を備えるのみで積算を販売店端末3〜5に依頼することができる。また、積算受託者端末2は、正確な見積のための構造CAD211を備えるのみで、正確な積算データにより積算を販売店端末3〜5に依頼することができる。更に、積算受託者端末2は、物件情報、見積条件、建築図面データを見積依頼者端末1から見積の都度に受信するので、これらを作成したり備える必要が無い。
【0065】
販売店端末(例えば販売店端末3)は、見積基礎情報受信部310により積算受託者端末2から「開口部#1」にかかる見積基礎情報を受信し(図8のS21)、見積データ作成・送信部313により、商品マスタ311及び顧客マスタ312を用いて、見積データを作成し、これを見積依頼者端末1に送信する(図8のS22)。ここで、見積データの物件コード及び物件名は、物件情報に基づいて作成される。商品コードは見積条件に基づいて、商品名は見積条件を用いて商品マスタ311を参照することにより、各々、作成される。見積数量は、積算データに基づいて作成される。見積単価は、見積条件を用いて商品マスタ311を参照することにより、作成される。見積金額は、見積数量及び見積単価を用いて算出される。見積依頼者端末1の送信アドレスは、例えば物件情報に含まれる顧客コードを用いて顧客マスタ312を参照することにより、これに含まれるfax番号(又は電子メールアドレス)として知ることができる。
【0066】
見積依頼者端末1は、見積集計部120により販売店端末3から見積対象「開口部#1」についての見積データを受信し(図9のS31)、作表部121により商品マスタ122を用いて工事(工事区分(又は物件名))別に集計して、実行予算書や施主10向けの見積書等の種々の書類(及び電子データ)を作成する(図9のS32)。この時、見積データには物件コード及び物件名が含まれているので、当該物件を特定し集計することができる。
【0067】
このように、販売店端末3〜5は、予め自己に割り当てられたカテゴリの部材のみについて積算するのみでよいので、そのために必要な商品マスタ311及び顧客マスタ312を備えるのみでよく、記憶容量を削減でき、データ入力の手間を省くことができる。また、販売店端末3〜5は、物件情報、見積条件、建築図面データを積算受託者端末2から見積の都度に受信するので、これらを作成したり備える必要が無い。
【0068】
次に、例えば、見積依頼者端末1は、施主10から、「引戸」の色を変更したいという要望を受けると、「引戸」の色情報を変更し(図10のS41)、変更後の「引戸」の色情報を、積算受託者端末2を介することなく、商品選択情報として販売店端末3に送信する(図10のS42)。販売店端末3では、変更後の「引戸」の色情報に基づいて、見積データの更新を行う。この時、先の見積データを利用するために、例えば当該見積データが見積依頼者端末1から送信される。又は、販売店端末3が見積データを格納するようにしても良い。
【0069】
見積依頼者端末1は、販売店端末3から更新後の見積データを受信し(図9のS31)、再度、実行予算書と施主10向けの見積書を作表する(図9のS32)。これにより、積算受託者端末2を介することなく、先の見積データを利用して、施主10との打ち合わせの進行状況に応じて(施工の深度に応じて)、容易に見積をより正確なものに変更することができる。なお、同一の物件について図6〜図9の処理を適宜繰り返しても良い。
【0070】
また、以下に説明するように、本発明の別の実施態様においては、例えば、積算受託者端末2は、積算の他、見積りも行う構成を採る。また、見積依頼者端末1は、各販売店端末から送信された見積データを単に集計するだけでなく、自ら建材の見積りを行い、見積結果を用いて実行予算書の作成を行う構成を採る。
(1)積算受託者端末2による積算・見積り
積算受託者端末2は、見積依頼者端末1から建築図面データを受け取り、基本数値や部材積算、見積りを行う。積算受託者端末2が作成した積算・見積データと見積書は、見積依頼者端末1に返す。
【0071】
積算に当たっては、例えば、「屋根・外壁・基礎」、「構造材」、「内装建具、内装建材」についての積算支援打合せシートを取交わす。
【0072】
積算支援打合せシートには、商流の記入欄、積算・見積りの依頼元である見積依頼者端末1の記入欄を設ける。積算支援打合せシートには、数量積算だけか、見積りまで行なうのか、品目ごとに区分欄を設ける。積算・見積結果は、積算データファイルとして、見積データも含めて作成する。
【0073】
本実施態様においては、積算データには、例えば下記項目を含める。なお、以下で説明する各データ(積算データ、見積書、発注書等)中のデータ項目において記述される「ビルダー」は、見積依頼者端末1を示すものとする。
(見出項目) 見積No.、見積日、販売店端末名、ビルダー名、物件名、備考、住宅仕様名
(明細項目) 見積No.、工事名、品番、品名、摘要、数量、単位名、設計価格(定価)、設計金額、販売店掛率、見積単価、見積金額、発注先名
前記積算データ中の項目「現場名」には、例えば団地名等が設定され、項目「物件名」には、例えば邸名等が設定される。
(2)各販売店端末における見積り
各販売店端末は、積算受託者端末2から積算データと見積書を受け取る。各販売店端末は、見積依頼者端末1の住宅仕様に合わせて、各販売店端末が独自に扱う建材の見積りを行って、積算受託者端末2が行った見積結果と合わせて見積書を作成し、見積依頼者端末1に送信する。
【0074】
各販売店端末で扱わない建材は、見積依頼者端末1からの要望があれば積算データのみを見積依頼者端末1に送信する。
【0075】
各販売店端末で扱う建材のうち、積算受託者端末2で見積りを行った建材については、見積依頼者端末1向けの単価を用いて、金額計算を行なう。
【0076】
その他の見積商品は、積算データを元に、見積依頼者端末1の住宅仕様に合わせて品番、品名、摘要、工事名等を変換し、見積依頼者端末1の積算ルールに合わせて数量を変換(変換率や予備数を加味することも可)する。そして、見積依頼者端末1向けの単価を用いて金額計算を行なって、見積データや見積書を作成する。
【0077】
見積依頼者端末1向けの単価は、仕入価格×(1+利益率)とするか、定価より掛率計算するか、又は入力によって設定する。
【0078】
本実施態様においては、見積書には、例えば下記の項目を記載する。
(見出項目) 見積No.、見積日、見積有効期限、ビルダー名(=顧客)、物件名、備考、見積合計金額、住宅仕様名、販売店端末名
(明細項目) 見積No.、見積日、ビルダー名、物件名、工事名、品番、品名、摘要、数量、単位、単価、金額、行備考(部位)
(3)見積依頼者端末1による見積集計
見積依頼者端末1は、各販売店端末から見積データを受け取り、住宅仕様に合わせた住宅の実行予算書を作成する。
【0079】
各販売店端末から送信された見積データは、実行予算の作成にそのまま生かす。販売店端末が見積りを行った建材以外の建材については、販売店端末から提供された積算データに基づいて見積りを行い、見積結果に基づいて実行予算書を作成する。
【0080】
この時、後述する品名テーブル、品番変換テーブルを用いて、住宅仕様に合わせての品番・品名の変換や、数量の変換、工事名の変換、発注先の変換を行い、更に仕入単価を入れて金額計算を行なう。
【0081】
見積依頼者端末1は、実行予算データから施主10向けの見積書を作成する。施主10向けの見積書作成では、施主10の分かり易い工事名に並び替えることもある。
【0082】
施主10向けの単価は、仕入価格×(1+利益率)とするか、定価より掛率計算するか、又は入力によって設定する。
【0083】
見積依頼者端末1は、実行予算データから発注書の発行を行なう。発注書は発注先、発注時期区分ごとに並べ、改ぺ一ジを行なう。
【0084】
施主10向けの見積書には、例えば下記項目を記載する。
(見出項目) 見積No.、見積日、見積有効期限、物件名、備考、見積合計金額、住宅仕様名、ビルダーのロゴ、ビルダー名
(中計項目) 見積No.、見積日、現場名、物件名、備考、工事名、工事種別金額合計
(明細項目) 見積No.、見積日、施主名、現場名、物件名、工事名、品目名、品番、品名、摘要、数量、単位、単価、金額
発注書には、例えば下記の項目を記載する。
(見出項目) 発注No.、発注日、希望納期、発注先名、物件名、備考、ビルダーのロゴ、ビルダー名
(明細項目) 品目名、品番、品名、摘要、数量、単位、単価、金額
(合計項目) 発注合計金額
図11は、本発明の実施例において、積算データの見出項目のうち、積算受託者端末2による見積書、各販売店端末による見積書、見積依頼者端末1が作成する実行予算書と発注書、施主10向け見積書の各々のデータ中に含められる項目の一例を示す図である。図中、丸印は各々のデータ中に含められる項目を示す。
【0085】
また、図12は、本実施態様において、積算データの明細項目のうち、積算受託者端末2による見積書、各販売店端末による見積書、見積依頼者端末1が作成する実行予算書と発注書の各々に含められる項目の一例を示す図である。
【0086】
図11に示すように、例えば、施主10向け見積書には、見積No.、見積日、見積有効期限、ビルダー名が含まれる。
【0087】
図11に示す積算データの項目中、住宅仕様コードと住宅仕様名によって住宅仕様が特定される。また、図11に示すように、各販売店端末による見積書には、自社情報として、販売店端末名が含まれるが、これらの項目の他に、販売店ロゴを含めてもよい。
【0088】
図13は、品名テーブルのデータ構成の一例を示す図である。品名テーブルは、例えば、自社品番、自社品名、摘要、長さ、巾、厚さ、自社標準工事区分名、自社標準ロス率、自社発注先名、メーカー定価、単価計算区分(1:仕入単価×(1+利益率)、2:定価×掛率、3:固定単価)といったデータ構成を有する。
【0089】
図14は、品番変換テーブルのデータ構成の一例を示す図である。品番変換テーブルは、例えば、積算受託者品番、ビルダーコード、住宅仕様、自社品番、ビルダー工事区分名、ビルダーロス率、発注先名、メーカー設計価格、単価計算区分(1:仕入単価×(1+利益率)、2:定価×掛率、3:固定単価)、利益率、掛率、提案単価といったデータ構成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】建築物積算見積システムの構成例の概要を示す図である。
【図2】見積依頼者端末の構成の一例を示す図である。
【図3】積算受託者端末の構成の一例を示す図である。
【図4】販売店端末の構成の一例を示す図である。
【図5】商品マスタ、依頼先テーブル、顧客マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【図6】見積依頼者端末における見積依頼処理フローの一例を示す図である。
【図7】積算受託者端末における積算処理フローの一例を示す図である。
【図8】販売店端末における見積データ作成・送信処理フローの一例を示す図である。
【図9】見積依頼者端末における見積集計処理フローの一例を示す図である。
【図10】施主からの要望により商品選択情報が変更された場合の処理フローを示す図である。
【図11】積算データの見出項目を示す図である。
【図12】積算データの明細項目を示す図である。
【図13】品名テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【図14】品番変換テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 見積依頼者端末
2 積算受託者端末
3、4、5 販売店端末
6 ネットワーク
10 施主
11 物件データ・見積条件入力送信部
12 見積集計・作表部
21 積算部
22 見積振分け部
31 見積部
110 物件管理システム
111 建築意匠CAD
112 送信部
120 見積集計部
121 作表部
122 商品マスタ
210 物件データ・見積条件受信部
211 構造CAD
220 依頼先決定部
221 見積基礎情報送信部
222 依頼先テーブル
310 見積基礎情報受信部
311 商品マスタ
312 顧客マスタ
313 見積データ作成・送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された見積依頼者端末と積算受託者端末と1又は複数の見積作成者端末とから構成され、建築物の積算及び見積りを行うシステムであって、
前記見積依頼者端末は、物件情報と見積条件とを入力する物件情報・見積条件入力手段と、建築図面データを作成する建築図面データ作成手段と、前記物件情報と見積条件と建築図面データとを、ネットワークを介して、前記積算受託者端末に送信する送信手段と、前記1又は複数の見積作成者端末から送信された見積データを受信して集計する見積データ集計手段と、前記集計された見積データに基づいて、建築物の見積書を作表する見積書作表手段とを備え、
前記積算受託者端末は、前記見積依頼者端末から前記物件情報と見積条件と建築図面データとを受信する受信手段と、受信した建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成する積算データ作成手段と、前記積算データ中の建材の見積りを担当する見積作成者端末を決定する見積作成者端末決定手段と、前記決定した見積作成者端末に、ネットワークを介して、積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを送信する送信手段とを備え、
前記1又は複数の見積作成者端末は、前記積算受託者端末から積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを受信する受信手段と、前記受信した積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとに基づいて、自端末が見積りを担当する建材の見積データを作成し、ネットワークを介して前記見積依頼者端末に送信する見積データ作成・送信手段とを備える
ことを特徴とする建築物積算見積システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建築物積算見積システムにおいて、
前記見積依頼者端末が備える送信手段は、さらに、前記物件情報・見積条件入力手段によって変更入力された見積条件を、前記変更入力された見積条件に係る建材の見積りを担当する見積作成者端末に対して送信し、
変更入力された見積条件を受信した見積作成者端末は、前記変更入力された見積条件に基づいて、前記見積データを更新する
ことを特徴とする建築物積算見積システム。
【請求項3】
ネットワークを介して接続された見積依頼者端末と積算受託者端末と1又は複数の見積作成者端末とから構成される建築物積算見積システムにおいて、建築物の積算及び見積りを行う建築物積算見積方法であって、
前記見積依頼者端末が備える物件情報・見積条件入力手段が、物件情報と見積条件とを入力し、前記見積依頼者端末が備える建築図面データ作成手段が、建築図面データを作成し、前記見積依頼者端末が備える送信手段が、前記物件情報と見積条件と建築図面データとを、ネットワークを介して、前記積算受託者端末に送信し、
前記積算受託者端末が備える受信手段が、前記見積依頼者端末から前記物件情報と見積条件と建築図面データとを受信し、前記積算受託者端末が備える積算データ作成手段が、受信した建築図面データに構造情報を追加して積算データを作成し、前記積算受託者端末が備える見積作成者端末決定手段が、前記積算データ中の建材の見積りを担当する見積作成者端末を決定し、前記積算受託者端末が備える送信手段が、前記決定した見積作成者端末に、ネットワークを介して、積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを送信し、
前記1又は複数の見積作成者端末が備える受信手段が、前記積算受託者端末から積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとを受信し、前記1又は複数の見積作成者端末が備える見積データ作成・送信手段が、前記受信した積算データと物件情報と見積条件と、前記構造情報が追加された建築図面データとに基づいて、自端末が見積りを担当する建材の見積データを作成し、ネットワークを介して前記見積依頼者端末に送信し、
前記見積依頼者端末が備える見積データ集計手段が、前記1又は複数の見積作成者端末から送信された見積データを受信して集計し、前記見積依頼者端末が備える見積書作表手段が、前記集計された見積データに基づいて、建築物の見積書を作表する
ことを特徴とする建築物積算見積方法。
【請求項4】
請求項3に記載の建築物積算見積方法において、
前記見積依頼者端末が備える送信手段が、さらに、前記物件情報・見積条件入力手段によって変更入力された見積条件を、前記変更入力された見積条件に係る建材の見積りを担当する見積作成者端末に対して送信し、
変更入力された見積条件を受信した見積作成者端末が、前記変更入力された見積条件に基づいて、前記見積データを更新する
ことを特徴とする建築物積算見積方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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