説明

建築用パネルの目地構造

【課題】本発明は建築、構築物の外壁材として使用し、建築用パネルの長手方向端部の防水性を強化した建築用パネルの目地構造に関するものである。
【解決手段】表面材1と裏面材2とで合成樹脂発泡体からなる芯材3をサンドイッチし、端部に雄雌連結構造4を形成した建築用パネルAの長手方向端部の目地構造において、少なくとも雄型連結部4の長手方向端部の連結部内に横走り防止パッキンPが形成されている建築用パネルAの目地構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の外壁材として使用し、建築用パネルの長手方向端部の防水性を強化した建築用パネルの目地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の建築用パネルの目地構造としては、単に建築用パネルの雄型連結部分をテクス等の固定具により壁下地に固定し、この固定具の頭部を被覆するように雌型連結部を嵌合して、建築用パネル同士を連結する目地構造であった。(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−292699号公報
【特許文献2】特開平5−311845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の建築用パネルを施工した壁体は、雨水が縦目地部分から嵌合部分内に吹き込むと、縦目地部を伝って躯体内部にまで雨水が浸入し、建築用パネル端部で内部に浸入して壁下地側に浸入し、建築用パネルや壁下地に腐食等の悪影響を与えることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、表面材と裏面材とで合成樹脂発泡体からなる芯材をサンドイッチし、端部に雄雌連結構造を形成した建築用パネルの長手方向端部の目地構造において、少なくとも雄型連結部の長手方向端部の連結部内に横走り防止パッキンが形成されている建築用パネルの目地構造を提供すれものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る建築用パネルの目地構造によれば、横走り防止パッキンの形成により雨水の横走りを防止して躯体内部への雨水の浸入を防止し、(1)目地部と縦目地部間の防水性を強化できる。(2)躯体の腐食を防止する防腐食性を強化できる。等の特徴、効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を用いて本発明に係る建築用パネルの目地構造の一実施例について詳細に説明する。すなわち、図1は上記目地構造を説明する断面図、図2、図3は建築用パネルAを示す斜視図、図4(a)〜(c)は横走り防止パッキンPを示す説明図、図5〜図9は施工状態と、施工順序を示す断面図であり、建築用パネルA、ジョイナーB、無機シートC、熱橋防止シートD、目地キャップE、止水パッキンF、目地パッキンG、横走り防止パッキンP、壁下地α、固定具βからなる目地構造、所謂縦目地構造を示すものである。
【0008】
先ず、目地構造を構成する各部材から説明すると、建築用パネルAとしては例えば図2、図3に示すように、表面材1と裏面材2とで芯材3をサンドイッチした長尺板状の建築用パネルAであり、一端部に雄型連結部4、他端部に雌型連結部5を形成したものである。また、1aは表面材1の端部を内方に屈曲した箱折り片である。
【0009】
表面材1と裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したもの、さらには、裏面材2としてはアルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものである。勿論、これらに任意模様のエンボス加工を施すこともできる。
【0010】
6は防火シート、7は防水パッキン、8は耐火ボードである。
【0011】
横走り防止パッキンPは、雄型連結部4に形成した水平部5a、凸部5b、凹部5cに合致した形状に形成するものであり、例えば、図4(a)〜(c)に示すように形成したものである。その形状は、水平部9、突出部10、防水部11とからなる短尺状で、その裏面に接着層12を介して離型紙12aが形成されたものである。勿論、接着時に離型紙12aを剥がして図1、図3に示すように接着するものである。
【0012】
横走り防止パッキンPは図3に示すように雄型連結部4の端部に接着材12により接着されるものである。また、横走り防止パッキンPは図6に示すように、図5に示す目地部5d内部の空間γ内部に形成され、雨水が目地部γを伝って図1に示すような縦目地部分で内部の躯体α内部に浸入しないように形成し、防水性と、躯体αの腐食防止機能を発揮するものである。
【0013】
その素材としては、例えばEPDM、発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系等の弾性を有する乾式定形で扱い易く、防水性を有するものである。また、これらの成分の中に、耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入することもできる。
【0014】
さらに、芯材3はポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等からなる合成樹脂発泡体であり、主に表面材1と裏面材2の接着剤、建築用パネルAの断熱材として機能するものである。さらに、芯材3には各種難燃材を混入し、防火構造、耐火構造を取得できる建築用パネルAとすることもできる。
【0015】
表面材1と裏面材2との一体化は芯材3の持つ自己接着性によりなされるものであり、その際は図に示すように表面材1の舌片10と裏面材2の舌片16、表面材1の舌片14と裏面材2の舌片17が嵌合するようにして一体化させるものである。
【0016】
つぎに、建築用パネルAの施工例を通して目地構造について説明する。図1、図7に示すように、まず下段の建築用パネルAを鉄骨下地(H型鋼材、C型鋼材、角型鋼材、L字アングル材等)からなる壁下地αに当接し、雄型連結部4をテクス、スクリュービス等の固定具βを介して建築用パネルAを壁下地αに固定する。
【0017】
次に、図1、図7に示すように、横走り防止パッキンPで固定具βの頭部β1を被覆し、その後、図8、図9に示すように下段の建築用パネルAの雄型連結部4に上段の建築用パネルAの雌型連結部5を嵌合し建築用パネルA同士を連結する。
【0018】
このように、横走り防止パッキンPが目地部γにおいて空間γの空隙を完全に充填するので、外部からの雨水の浸入を防止するものである。さらに、横走り防止パッキンPは固定具βの頭部を完全に被覆する形となるので、固定具βにより建築用パネルAに開けられた孔を保護し、孔から建築用パネルA内部に雨水が浸入するのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る建築用パネルの目地構造の代表的一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る建築用パネルの目地構造に使用する建築用パネルの代表的一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る建築用パネルの目地構造に使用する建築用パネルの代表的一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る建築用パネルの目地構造に使用する横走り防止パッキンの代表的一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る建築用パネルの目地構造の施工状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る建築用パネルの目地構造の施工状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る建築用パネルの目地構造の施工順序を示す断面図である。
【図8】本発明に係る建築用パネルの目地構造の施工順序を示す断面図である。
【図9】本発明に係る建築用パネルの目地構造の施工順序を示す断面図である。
【符号の説明】
【0020】
A 建築用パネル
B ジョイナー
C 無機シート
D 熱橋防止シート
E 目地キャップ
F 止水パッキン
G 目地パッキン
P 横走り防止パッキン
α 躯体
β 固定具
γ 空間
1 表面材
1a 箱折り片
2 裏面材
3 芯材
4 雄型連結部
5 雌型連結部
5a 水平部
5b 凸部
5c 凹部
5d 目地部
6 防火シート
7 防水パッキン
8 耐火ボード
9 水平部
10 突出部
11 防水部
12 接着層
12a 離型紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材と裏面材とで合成樹脂発泡体からなる芯材をサンドイッチし、端部に雄雌連結構造を形成した建築用パネルの長手方向端部の目地構造において、少なくとも雄型連結部の長手方向端部の連結部内に横走り防止パッキンが形成されていることを特徴とする建築用パネルの目地構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−303177(P2007−303177A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133167(P2006−133167)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000126333)株式会社アイジー技術研究所 (138)
【Fターム(参考)】