説明

建設機械に取付ける穴掘用ツル口バケット

【課題】 直径が20〜30センチメートルで、深さ1〜1.5メートルの穴を掘るため、建設機械のアーム先端に取付ける穴掘用アタッチメントを提供する。
【解決手段】 穴掘用アタッチメントは、はさみ形状で、相対する胴体部は、先端が狭く、後端が広くなるような三面体のテーパー形状で構成され、先端に穴堀用の爪が取付けられる。このように構成した2個のバケットを互いに開口部が向き合うように、支持部を中心として回動自在に連結させると共に、前記バケットを開口した状態で土中に差し込み、土を挟み込みながら排土させ、土中に穴を開けることができる建設機械に取付ける穴掘用ツル口バケットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のアームの先端部に取付け、穴掘作業に使用されるバケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穴掘作業は、建設機械のアームの先端部にオーガーを取付け、穴掘作業を行ってきた。
【0003】
ところが、前記オーガーでは、直径20センチメートルの穴を1メートル掘るために費やす時間は、約30〜40秒必要であった。
【0004】
このため、浅い山留めを構築するために、多数の山留用H型鋼や単管を打ち込むための穴を掘るような作業や、多数の木杭の穴を掘るような作業の場合、穴掘作業に多くの時間が割かれ効率が悪いと云う問題が発生していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するため、直径20〜30センチメートルで、深さ1〜1.5メートルの穴を掘るためのツル口バケット型の穴堀装置を提案するものであり、従来のオーガーに比べて、2分の1から3分の1の短時間で同様の穴を掘る事が可能となると共に、簡単な構成で作動不良が少なく、取扱いが簡単で使い勝手が良い、建設機械に取付ける穴掘用ツル口バケットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、建設機械のアーム先端に取付ける、はさみ形状のアタッチメントにおいて、先端に穴掘用の爪を取付け、胴体部を板状の多面体で構成すると共に、その胴体部を先端が狭く、後端が広くなるようなテーパー形状とし、このように構成した2個のバケットを互いに開口部が向き合うように、支持部を中心として回動自在に結合させると共に、前記バケットを開口した状態で土中に差込み、土を挟み込みながら排土させ、土中に穴を開けた事を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、先端に穴掘用の爪を取付け、胴体部を板状の多面体で構成すると共に、その胴体部を先端が狭く、後端が広くなるようなテーパー形状とし、このように構成した2個のバケットを互いに開口部が向き合うように、支持部を中心として、はさみのように回動自在に結合させると共に、前記バケットを開口した状態で土中に差し込み、土を挟み込みながら排土させる事により、従来のように、建設機械のアームの先端部にオーガーを取付け、穴掘作業をする事に比べて、2分の1から3分の1の短時間で同様の穴を掘る事が可能となり、簡単な構成で作動不良が少なく、取扱いが簡単で使い勝手が良いため、工期の短縮につながると共にコストの低減を図ることができる。
【実施例1】
【0008】
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0009】
図1及至図5は、この発明の実施の形態1を示す。
【0010】
図1は本発明に係るツル口バケットの構成図である。先端に上爪20と下爪19がボルト21により、上ツル口17と下ツル口18に各々2個づつ取付けられると共に、上ツル口17は、筒状の補強部材16に固定され、2枚の上伝達プレート13に結合させる。上伝達プレート13はアーム7に対して取付穴11で回動自在に固定し取付けられると共に、上伝達プレート13の中央部に設けた支持軸9により上伝達プレート13と下伝達プレート14とが回動自在に固定し取付けられる。なお、補強部材12は、2枚の上伝達プレート13を固定し補強するための筒状の補強部材である。
【0011】
また、下ツル口18は、筒状の補強部材15に固定され、2枚の下伝達プレート14に結合させる。そして下伝達プレート14の後端は、後軸8でシリンダーロッド6に回動自在に取付けられると共に、後軸8の同軸にアーム7と回動自在に連結するための、揺動リンク22を取付け、さらに揺動リンク22は、取付穴10によりアーム7に回動自在に取付けられる。
【0012】
このように構成された、ツル口バケットにおいて、図1bのシリンダーロッド6をシリンダー5より押し出すことにより、支持軸9を支持部として、上ツル口17と下ツル口18が、図1cのように閉じる。また、前記動作とは逆に、図1cのシリンダーロッド6をシリンダー5に引き込むことにより、上ツル口17と下ツル口18が、支持軸9を支持部として、図1bのように開口する。なお、図1aは、図1bの平面図である。
【0013】
図4は、ツル口17と下ツル口18が閉口した状態の胴体断面部を、図1aと図1cのA−A線の断面図で示す。上ツル口17は、B面26、C面27、D面28の3面で構成され、下ツル口18は、E面29、F面30、G面31の3面で構成される。そして、上ツル口内側23の3面と下ツル口内側24の3面が、図4の一点鎖線で示したB−B線に対して、上下対称に構成されると共に、点線で示したツル口内側円周25に当接するように構成される。このように、上ツル口内側23の3面と下ツル口内側24の3面とを構成する事により、多量の土を確実に銜え込むことができる。
【0014】
なお、上ツル口17のB面26、D面28と、下ツル口18のE面29、G面31は、爪19、爪20側の先端部を巾狭く、補強部材15、補強部材16側の後端部が巾広く構成されている。また、上ツル口17のC面27と、下ツル口18のF面30は、爪19、爪20側の先端部と、補強部材15、補強部材16側の後端部が同一幅で構成されている。
【0015】
図2は、このように構成された、ツル口バケットをユンボ1に取付けた状態を示す。さらに図3では、実際に穴を掘る作業工程を図3aから図3dで示す。
【0016】
図3aは、ツル口バケットの上ツル口17と下ツル口18を開口した状態で地表面3に突き刺した状態を表す。さらに、図3bでは、上ツル口17と下ツル口18を、所定の穴掘り深さまで突き刺し、図3cに示すように、上ツル口17と下ツル口18を閉口させ土を銜え込み、図3dに示すように土を掘削穴4より排土させる。
【0017】
図5はツル口バケットを斜視図により理解しやすいように表す。図5aはツル口バケットを閉口した状態を表し、図5bはツル口バケットが開口した状態を表す。
【実施例2】
【0018】
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
【0019】
図6は、この発明の実施の形態2を示す。上記発明の実施の形態1では、上ツル口17は、筒状の補強部材16に固定され、2枚の上伝達プレート13と結合させ、上伝達プレート13はアーム7に対して取付穴11に回動自在に固定し取付けられると共に、上伝達プレート13の中央部に設けた支持軸9により、上伝達プレート13と下伝達プレート14とが回動自在に固定し取付けられるのに対して、この発明の実施の形態2では、図6bのように、上ツル口51は筒状の補強部材50に固定され、2枚の上伝達プレート47と結合させ、上伝達プレート47の概中間部に設けた支持軸44により下伝達プレート48に回動自在に支軸される。上伝達プレート47の後端は、後軸43でシリンダーロッド41に回動自在に支軸されると共に、後軸43の同軸にアーム42と回動自在に連結するための、揺動リンク55を取付け、さらに揺動リンク55は、取付穴45によりアーム42に回転自在に取付けられる。
【0020】
また、上記発明の実施の形態1では、下ツル口18は、筒状の補強部材15に固定され、2枚の下伝達プレート14に結合され、下伝達プレート14の後端は、後軸8でシリンダーロッド6に回動自在に取付けられると共に、後軸8の同軸にアーム7と回動自在に連結するための揺動リンク22を取付け、さらに揺動リンク22は、取付穴10によりアーム7に回動自在に取付けられる。この発明の実施の形態2では、下ツル口52は筒状の補強部材49に固定され、2枚の下伝達プレート48に結合され、取付穴46と固定金具56によりアーム42に固定される。なお、下伝達プレート48と上伝達プレート47は支持軸44により回動自在に取付けられる。
【0021】
このように構成された、ツル口バケットにおいて、図6bのシリンダーロッド41をシリンダー40より押し出す事により、支持軸44を支持部として、上ツル口51が、図6cのように閉じる。また、前記動作とは逆に、図6cのシリンダーロッド41をシリンダー40に引き込む事により、支持軸44を支持部として、上ツル口51が図6bのように開口する。このように、発明の実施の形態1では、上ツル口17と下ツル口18がシリンダーロッド6の押し出し、引き込み動作により、上ツル口17と下ツル口18が支持軸9を支点として開閉動作をしたが、発明の実施の形態2では、下ツル口52がアーム42に固定されるため、上ツル口51のみが開閉動作を行うと云う特徴がある。なお、図6aは、図6bの平面図である。その他の構造は、この発明の実施の形態1と同様である。
【0022】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る建設機械に取付ける穴掘用ツル口バケットについて詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0023】
図4にA−A線の断面図を示したが、上ツル口17と下ツル口18が閉口した状態において、必ずしも上ツル口内側23と下ツル口内側24をツル口内側円周25に接するような台形形状で構成したが、上ツル口17と下ツル口18の閉口した形状を、例えば、正方形の形状のような土を銜え込む形状に構成する事も可能である。さらに、上ツル口17と下ツル口18の形状を、例えば、かまぼこ状の5面体の形状のような、土を銜え込む形状に構成する事も可能である。
【0024】
図1に表示した、補強部材12、補強部材15、補強部材16の形状は筒型に限定されるものではなく、角パイプやL型アングル等の鋼材を用いてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1に係るツル口バケットの構成図である。
【図2】同実施の形態に係るツル口バケットをユンボに取付けた図面である。
【図3】同実施の形態に係るツル口バケットを使用した穴掘りの作業工程を示す。
【図4】同実施の形態に係るツル口バケットのA−A線の断面図である。
【図5】同実施の形態に係るツル口バケットの斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るツル口バケットの構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ユンボ
2 アタッチメント
3 地表面
4 掘削穴
5 シリンダー
6 シリンダーロッド
7 アーム
8 後軸
9 支持軸
10 取付穴
11 取付穴
12 補強部材
13 上伝達プレート
14 下伝達プレート
15 補強部材
16 補強部材
17 上ツル口
18 下ツル口
19 下爪
20 上爪
21 ボルト
22 揺動リンク
23 上ツル口内側
24 下ツル口内側
25 ツル口内側円周
26 B面
27 C面
28 D面
29 E面
30 F面
31 G面
40 シリンダー
41 シリンダーロッド
42 アーム
43 後軸
44 支持軸
45 取付穴
46 取付穴
47 上伝達プレート
48 下伝達プレート
49 補強部材
50 補強部材
51 上ツル口
52 下ツル口
53 下爪
54 上爪
55 揺動リンク
56 固定金具
57 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のアーム先端に取付ける、はさみ形状のアタッチメントにおいて、先端に穴掘用の爪を取付け、胴体部を板状の多面体で構成すると共に、その胴体部を先端が狭く、後端が広くなるようなテーパー形状とし、このように構成した2個のバケットを互いに開口部が向き合うように、支持部を中心として回動自在に結合させると共に、前記バケットを開口した状態で土中に差込み、土を挟み込みながら排土させ、土中に穴を開けた事を特徴とする建設機械に取付ける穴掘用ツル口バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−69615(P2008−69615A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279258(P2006−279258)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(504196492)株式会社 ▲高▼▲橋▼監理 (33)
【Fターム(参考)】