建設機械のアッパーフレーム及びその組立方法
【課題】センタービームの必要部分を十分に補強・補剛でき、しかも軽量化及びコストダウンを実現する。
【解決手段】アッパーフレーム底板上に左右一対のセンタービーム22が前後方向に取付けられ、このセンタービーム22は、底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板23と、この縦板23の上端部に水平に取付けられた上板24とを備え、かつ、高さの高い前部22fと低い後部22rが曲がり部22aを介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、曲がり部22aに沿う屈曲部26aを有する補強板25を、曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分で上板24の下面に取付けた。
【解決手段】アッパーフレーム底板上に左右一対のセンタービーム22が前後方向に取付けられ、このセンタービーム22は、底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板23と、この縦板23の上端部に水平に取付けられた上板24とを備え、かつ、高さの高い前部22fと低い後部22rが曲がり部22aを介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、曲がり部22aに沿う屈曲部26aを有する補強板25を、曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分で上板24の下面に取付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベルのような上部旋回式建設機械のアッパーフレーム及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
油圧ショベルは、図9に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が縦軸(旋回中心)Oまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2のベースとなるアッパーフレーム3上に、キャビン4を含む各種設備が搭載されるとともに、同フレーム3の前部に、ブーム5、アーム6、バケット7を備えた作業アタッチメント8、後部にエンジン9、さらにその後方(後端部)にカウンタウェイト10がそれぞれ装着されて構成される。
【0004】
なお、この明細書においてはキャビン4の位置を左側前部とし、これを基準に「左右」及び「前後」の方向性をいうものとする。
【0005】
図10〜図12に従来のアッパーフレーム構造を示す。なお、ここでは図及び説明の簡略化のために本発明と直接関係のないアッパーフレーム各部の細かな図示、説明を省略する。
【0006】
アッパーフレーム3は底板11を備え、アッパーフレーム3の主たる骨格となる左右一対のセンタービーム12,12が、車幅(左右)方向の中間部においてこの底板11上に前後方向のほぼ全長に亘り溶接によって取付けられている。
【0007】
このセンタービーム12(左右同一の形状、構造のため一方のみについて説明する)は、底板11に対して垂直となる前後方向に長い縦板13の上端部に、上板14が縦板13の左右両側に突出する状態で溶接されて成り、縦板13の下端が底板11の上面に溶接される(この状態で底板11を含めた断面形状がI字形となる)。
【0008】
このセンタービーム12は、前部に作業アタッチメント8が装着される一方、後部にエンジン9とカウンタウェイト10が搭載されることから、前部12fが高く、後部12rが低く形成され、この前部12fと後部12rが、上面が円弧状に湾曲した曲がり部12aを介して連続する側面視大略三角形に形成されている。
【0009】
なお、この明細書においてセンタービーム12の「後部12r」とは、図12に示すようにエンジン9及びカウンタウェイト10が搭載される部分のみをいい、「前部12f」とはこの後部12rの前方に曲がり部12aを介して連なる部分全域をさす。
【0010】
図10中、15はエンジン9によって駆動される冷却ファン、16は同油圧ポンプである。また、図11,12中、17,18はセンタービーム12の曲がり部112aを挟んだ前後両側において縦板13の側面に取付けられた前側及び後側両エンジン取付ブラケットである。
【0011】
アッパーフレーム3のセンタービーム14は、上記のように前部14fに作業アタッチメント8、後部にエンジン9及びカウンタウェイト10が設置され、大荷重が作用するため、高い強度と剛性が要求される。
【0012】
ところが、上記のように機器配置による制約から、センタービーム後部12rの高さが前部12fよりも低くて断面積が大きく落ちた形状となっているため、この断面積が小さい部分、とくに応力が集中し易い曲がり部12aを中心とする前、後部連続部分の補強、補剛が課題となる。
【0013】
従来、このセンタービーム12の補強構造に関して特許文献1,2に示された技術が公知である。
【0014】
特許文献1に示された公知技術の1では、センタービームの縦板及び上板をそれぞれ二重板構造とすることによってセンタービーム全体を補強・補剛している。
【0015】
一方、特許文献2に示された公知技術の2では、センタービーム後部の縦板側面にエンジン取付ブラケットが溶接された構成を前提として、縦板のブラケット取付部分近傍に強化板を接合している。
【特許文献1】特開平7−158112号公報
【特許文献2】特開2003−27522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上記公知技術の1によると、とくに補強・補剛の必要のない部分を含めたセンタービーム全体を二重板構造とするため、大幅な重量増、コストアップとなり、実用に適さない。
【0017】
一方、公知技術の2によると、強化板を縦板におけるエンジン取付ブラケットの取付部分というごく限られた部分に局部的に溶接する構成であるため、補強・補剛の実効が低く、とくに補強・補剛の必要性が高い部分(曲がり部を含んだ前、後部連続部分)の補強・補剛対策としては不十分となる。
【0018】
そこで本発明は、センタービームの必要部分を十分に補強・補剛でき、しかも軽量化及びコストダウンを実現することができる建設機械のアッパーフレーム及びその組立方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の発明(アッパーフレーム)は、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が、上面側が折れ曲がった曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板が、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分に取付けられたものである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、補強板が上板に取付けられたものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、補強板が上板の下面側に配置され、上板下面及び縦板に溶接されたものである。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠が設けられ、補強板が上板下面に溶接されるとともに、上記切欠に嵌まり込んだ状態で縦板に溶接されたものである。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、補強板は、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成されたものである。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの構成において、センタービームの縦板に、エンジンが取付けられるエンジン取付ブラケットが取付けられ、補強板は、前端がこのエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けられたものである。
【0025】
請求項7の発明(アッパーフレームの組立方法)は、底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、相対的に高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分の上縁部に切欠を設け、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板を上記切欠に嵌め込み、この状態で補強板を上記上板の下面及び縦板に溶接するものである。
【0026】
請求項8の発明(アッパーフレームの組立方法)は、底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記曲がり部を形成する前の直線状の上板における、曲がり部となる部分を含んで前部と後部が連続する部分に直線状の補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げて上記曲がり部を形成するとともに、上板及び補強板を縦板に溶接するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明のアッパーフレーム及びその組立方法によると、応力集中が起こり易い曲がり部を含む前、後部連続部分に補強板を取付けることによって十分な補強・補剛効果を得ながら軽量化、コストダウンを実現することができる。
【0028】
この場合、請求項2,3の発明によると、補強板を、曲がり部のうちでも荷重負担が大きい上板に取付けるため、最小限の長さ範囲で最大限の補強・補剛効果を得ることができる。
【0029】
また、請求項3の発明によると、補強板を上板下面側で上板と縦板に溶接することで上板と縦板の双方を補強・補剛することができる。
【0030】
さらに、請求項4の発明のように、センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠を設け、補強板を上板下面に溶接するとともに、この切欠に嵌め込んだ状態で縦板に溶接する構成によると、補強板の周囲を上板及び縦板に対して隅肉溶接することができるため、溶接し易くて、しかも良好な溶接品質を得ることができる。
【0031】
請求項5の発明によると、補強板を、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成したから、応力が最大となる曲がり部で補強・補剛効果が最大となり、ここから前方及び後方に向かって幅狭とすることで応力の流れがスムーズとなる。
【0032】
請求項6の発明によると、補強板を、前端がエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けるため、エンジン重量が直接加えられる部分を含めて補強・補剛することができる。このため、補強・補剛効果が一層高くなる。
【0033】
請求項7の発明によると、請求項4の発明による効果に加えて、補強板を切欠に嵌め込んだ状態で上板及び縦板の双方に溶接するため、補強板の溶接が一工程ですむ。
【0034】
一方、請求項8の発明によると、上板に補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げるため、曲がり部での両者の位置合わせの面倒がなくなるとともに、後で上板に補強板を溶接する場合の上板の溶接歪みの問題もなくなる。このため、センタービームの組立作業の能率と組立精度が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施形態を図1〜図8によって説明する。以下の実施形態では適用対象として油圧ショベルを例にとっている。
【0036】
以下の実施形態において、アッパーフレームに関する次の基本的構成は、図9〜図11に示す公知技術と同じである。
【0037】
I)底板21(図2に示す)を備え、アッパーフレームの主たる骨格となる左右一対のセンタービーム22(ここでは片側のみを示す)が、車幅方向の中間部において底板21上に前後方向のほぼ全長に亘り溶接によって取付けられる点。
【0038】
II)このセンタービーム22は、底板21に対して垂直となる前後方向に長い縦板23の上端部に、上板24が縦板23の左右両側に突出する状態で溶接されて、底板21を含めた断面形状がI字形に形成され、縦板下端が底板21の上面に溶接される点。
【0039】
III)センタービーム22は、前部に図9の作業アタッチメント8が装着される一方、後部にエンジン9とカウンタウェイト10が搭載されることから、前部22fが高く、後部22rが低く形成され、この前部22fと後部22rが、上面が円弧状に湾曲した曲がり部22aを介して連続する側面視大略三角形に形成される点。
【0040】
第1実施形態(図1〜図4参照)
以上の構成を前提として、第1実施形態においては、センタービーム22における曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分(曲がり部22aとその前後両側部分)において、上板24の左右両側突出部分の下面に帯板状の補強板25,25が取付けられている。
【0041】
この補強板25は、曲がり部22aに沿う湾曲状の屈曲部分25aを有し、この屈曲部分25aを含む全体の周囲が上板下面に溶接(溶接部分を図2中に黒塗り表示している)されるとともに、縦板23に沿う部分では縦板23にも溶接されている。
【0042】
また、補強板25は、図1に示すように、前端が、センタービーム22における前側エンジン取付ブラケット17よりも前方、後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲(図例では同ブラケット取付位置よりも後方に突出する長さ範囲)に亘って上板下面に取付けられている。
【0043】
なお、他の実施形態として、補強板25を、前端が前側ブラケット17よりも若干後方に位置する長さ範囲、または後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも若干前方に位置する長さ範囲、あるいは前、後端ともエンジン取付ブラケット17,18よりも後方または前方に位置する長さ範囲で上板下面に取付けてもよい。
【0044】
上記構成によると、センタービーム22のうち、曲がり部22aを含む前、後部連続部分、すなわち、応力集中が起こり易い領域に補強板25を溶接するため、必要かつ十分な補強・補剛効果を得ることができる。
【0045】
しかも、センタービーム22全体ではなく、上記のように補強・補剛の必要性が高い部分のみに補強板25を溶接するため、センタービーム22が徒に重量化したりコストアップしたりする弊害が生じない。
【0046】
また、
イ.曲がり部22aのうちでも荷重負担が大きい上板24に補強板25を溶接すること、
ロ.補強板25を上板下面側で上板24と縦板23に溶接するため、上板24と縦板23の双方を補強・補剛できること、
ハ.補強板25を、後端が、センタービーム22における前側エンジン取付ブラケット17よりも前方、後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲で上板24に溶接するため、エンジン重量が直接加えられる部分を含めて補強・補剛できること
により、最小限の長さ範囲で最大限の補強・補剛効果を得ることができる。
【0047】
ところで、補強板25の取付けを含めたセンタービーム22の組立手順として、
i)センタービーム22の本体を組立てた後に、補強板25を上板下面に取付ける手順、
ii)図4に示すように加工(曲がり部22aを形成するための曲げ加工)前の直線状の上板素材24´の下面に直線状の補強板素材25´を溶接した後、両者を一体に折り曲げて補強板25付きの上板24を形成し、この後、上板24及び補強板25を縦板23に溶接してセンタービーム22を構成する手順
のいずれを採用してもよい。
【0048】
後者の上板・補強板一体曲げ方式によると、曲がり部22aでの上板24と補強板25の位置合わせの面倒がなくなるとともに、後で上板24に補強板25を溶接する場合の上板24の溶接歪みの問題もなくなる。このため、センタービーム22の組立作業の能率と組立精度が良くなる。
【0049】
第2実施形態(図5〜図7参照)
第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0050】
第2実施形態においては、センタービーム22における曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分の縦板23の上縁部に前後方向に長い切欠26が設けられ、曲がり部22aに沿う屈曲部25aを有する補強板25が、上板24の下面に溶接されるとともに、切欠26に嵌まり込んだ状態で縦板23に溶接されている。
【0051】
この場合、補強板25は、図6に示すように左右両側一体の一枚物として上板下面に取付けられる。
【0052】
この第2実施形態によると、補強板25の周囲を上板24及び縦板23に対して隅肉溶接することができるため、溶接し易くて、しかも良好な溶接品質を得ることができる。
【0053】
また、手順として、
A)補強板25を、先に上板下面に溶接しておき、切欠26に嵌め込んだ後、縦板23に対する上板24の溶接と同時に縦板23に溶接する手順、
B)補強板25を単独で切欠26に嵌め込んだ後、その上に上板24を被せ、上板24を縦板23に溶接すると同時に補強板25を上板24及び縦板23に溶接する手順
のいずれをとってもよい。
【0054】
このうちB)の手順をとると、上板24及び縦板23に対する補強板25の溶接を一工程で行うことができる。このため、センタービーム22の組立作業の能率が良くなる。
【0055】
一方、第2実施形態において、補強板25は、図7に示すようにセンタービーム22の曲がり部で幅寸法Wが最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法Wが小さくなる流線形に形成されている。
【0056】
こうすれば、応力が最大となる曲がり部22aで補強・補剛効果が最大となり、ここから前方及び後方に向かって幅狭とすることで応力の流れがスムーズとなる。
【0057】
この補強板形状は、第1実施形態にも適用することができる。
【0058】
第3実施形態(図8参照)
第3実施形態では、補強板25が、第1、第2両実施形態と同じ、センタービーム22の前、後部連続部分において上板24の上面に溶接によって取付けられている。
【0059】
この構成によっても、応力が集中し易いセンタービーム曲がり部22aを含む前、後部連続部分の補強・補剛に関して一定の効果を得ることができる。
【0060】
また、図示しないが、補強板25を縦板23の左右両側面の一方または双方に取付けてもよい。この場合、補強板25を縦板23と上板24の双方に溶接するのが望ましい。
【0061】
さらに、本発明は、油圧ショベルに限らず、油圧ショベルを母体として構成される深穴掘削機や解体機等を含む上部旋回式の建設機械のアッパーフレームに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるアッパーフレームにおけるセンタービームの側面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】同実施形態におけるセンタービームの組立手順を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるアッパーフレームにおけるセンタービームの部分側面図である。
【図6】同実施形態の図2相当の断面図である。
【図7】図6VII−VII線断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す図2相当の断面図である。
【図9】本発明の適用対象である油圧ショベルの概略側面図である。
【図10】油圧ショベルのアッパーフレームの概略平面図である。
【図11】アッパーフレームにおけるセンタービームの側面図である。
【図12】図11XII−XII線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
21 アッパーフレーム底板
22 センタービーム
22a センタービームの曲がり部
22f 同、前部
22r 同、後部
23 センタービームの縦板
24 同、上板
25 補強板
25a 補強板の屈曲部
26 切欠
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベルのような上部旋回式建設機械のアッパーフレーム及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
油圧ショベルは、図9に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が縦軸(旋回中心)Oまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2のベースとなるアッパーフレーム3上に、キャビン4を含む各種設備が搭載されるとともに、同フレーム3の前部に、ブーム5、アーム6、バケット7を備えた作業アタッチメント8、後部にエンジン9、さらにその後方(後端部)にカウンタウェイト10がそれぞれ装着されて構成される。
【0004】
なお、この明細書においてはキャビン4の位置を左側前部とし、これを基準に「左右」及び「前後」の方向性をいうものとする。
【0005】
図10〜図12に従来のアッパーフレーム構造を示す。なお、ここでは図及び説明の簡略化のために本発明と直接関係のないアッパーフレーム各部の細かな図示、説明を省略する。
【0006】
アッパーフレーム3は底板11を備え、アッパーフレーム3の主たる骨格となる左右一対のセンタービーム12,12が、車幅(左右)方向の中間部においてこの底板11上に前後方向のほぼ全長に亘り溶接によって取付けられている。
【0007】
このセンタービーム12(左右同一の形状、構造のため一方のみについて説明する)は、底板11に対して垂直となる前後方向に長い縦板13の上端部に、上板14が縦板13の左右両側に突出する状態で溶接されて成り、縦板13の下端が底板11の上面に溶接される(この状態で底板11を含めた断面形状がI字形となる)。
【0008】
このセンタービーム12は、前部に作業アタッチメント8が装着される一方、後部にエンジン9とカウンタウェイト10が搭載されることから、前部12fが高く、後部12rが低く形成され、この前部12fと後部12rが、上面が円弧状に湾曲した曲がり部12aを介して連続する側面視大略三角形に形成されている。
【0009】
なお、この明細書においてセンタービーム12の「後部12r」とは、図12に示すようにエンジン9及びカウンタウェイト10が搭載される部分のみをいい、「前部12f」とはこの後部12rの前方に曲がり部12aを介して連なる部分全域をさす。
【0010】
図10中、15はエンジン9によって駆動される冷却ファン、16は同油圧ポンプである。また、図11,12中、17,18はセンタービーム12の曲がり部112aを挟んだ前後両側において縦板13の側面に取付けられた前側及び後側両エンジン取付ブラケットである。
【0011】
アッパーフレーム3のセンタービーム14は、上記のように前部14fに作業アタッチメント8、後部にエンジン9及びカウンタウェイト10が設置され、大荷重が作用するため、高い強度と剛性が要求される。
【0012】
ところが、上記のように機器配置による制約から、センタービーム後部12rの高さが前部12fよりも低くて断面積が大きく落ちた形状となっているため、この断面積が小さい部分、とくに応力が集中し易い曲がり部12aを中心とする前、後部連続部分の補強、補剛が課題となる。
【0013】
従来、このセンタービーム12の補強構造に関して特許文献1,2に示された技術が公知である。
【0014】
特許文献1に示された公知技術の1では、センタービームの縦板及び上板をそれぞれ二重板構造とすることによってセンタービーム全体を補強・補剛している。
【0015】
一方、特許文献2に示された公知技術の2では、センタービーム後部の縦板側面にエンジン取付ブラケットが溶接された構成を前提として、縦板のブラケット取付部分近傍に強化板を接合している。
【特許文献1】特開平7−158112号公報
【特許文献2】特開2003−27522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上記公知技術の1によると、とくに補強・補剛の必要のない部分を含めたセンタービーム全体を二重板構造とするため、大幅な重量増、コストアップとなり、実用に適さない。
【0017】
一方、公知技術の2によると、強化板を縦板におけるエンジン取付ブラケットの取付部分というごく限られた部分に局部的に溶接する構成であるため、補強・補剛の実効が低く、とくに補強・補剛の必要性が高い部分(曲がり部を含んだ前、後部連続部分)の補強・補剛対策としては不十分となる。
【0018】
そこで本発明は、センタービームの必要部分を十分に補強・補剛でき、しかも軽量化及びコストダウンを実現することができる建設機械のアッパーフレーム及びその組立方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の発明(アッパーフレーム)は、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が、上面側が折れ曲がった曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板が、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分に取付けられたものである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、補強板が上板に取付けられたものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、補強板が上板の下面側に配置され、上板下面及び縦板に溶接されたものである。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠が設けられ、補強板が上板下面に溶接されるとともに、上記切欠に嵌まり込んだ状態で縦板に溶接されたものである。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、補強板は、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成されたものである。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの構成において、センタービームの縦板に、エンジンが取付けられるエンジン取付ブラケットが取付けられ、補強板は、前端がこのエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けられたものである。
【0025】
請求項7の発明(アッパーフレームの組立方法)は、底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、相対的に高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分の上縁部に切欠を設け、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板を上記切欠に嵌め込み、この状態で補強板を上記上板の下面及び縦板に溶接するものである。
【0026】
請求項8の発明(アッパーフレームの組立方法)は、底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記曲がり部を形成する前の直線状の上板における、曲がり部となる部分を含んで前部と後部が連続する部分に直線状の補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げて上記曲がり部を形成するとともに、上板及び補強板を縦板に溶接するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明のアッパーフレーム及びその組立方法によると、応力集中が起こり易い曲がり部を含む前、後部連続部分に補強板を取付けることによって十分な補強・補剛効果を得ながら軽量化、コストダウンを実現することができる。
【0028】
この場合、請求項2,3の発明によると、補強板を、曲がり部のうちでも荷重負担が大きい上板に取付けるため、最小限の長さ範囲で最大限の補強・補剛効果を得ることができる。
【0029】
また、請求項3の発明によると、補強板を上板下面側で上板と縦板に溶接することで上板と縦板の双方を補強・補剛することができる。
【0030】
さらに、請求項4の発明のように、センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠を設け、補強板を上板下面に溶接するとともに、この切欠に嵌め込んだ状態で縦板に溶接する構成によると、補強板の周囲を上板及び縦板に対して隅肉溶接することができるため、溶接し易くて、しかも良好な溶接品質を得ることができる。
【0031】
請求項5の発明によると、補強板を、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成したから、応力が最大となる曲がり部で補強・補剛効果が最大となり、ここから前方及び後方に向かって幅狭とすることで応力の流れがスムーズとなる。
【0032】
請求項6の発明によると、補強板を、前端がエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けるため、エンジン重量が直接加えられる部分を含めて補強・補剛することができる。このため、補強・補剛効果が一層高くなる。
【0033】
請求項7の発明によると、請求項4の発明による効果に加えて、補強板を切欠に嵌め込んだ状態で上板及び縦板の双方に溶接するため、補強板の溶接が一工程ですむ。
【0034】
一方、請求項8の発明によると、上板に補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げるため、曲がり部での両者の位置合わせの面倒がなくなるとともに、後で上板に補強板を溶接する場合の上板の溶接歪みの問題もなくなる。このため、センタービームの組立作業の能率と組立精度が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施形態を図1〜図8によって説明する。以下の実施形態では適用対象として油圧ショベルを例にとっている。
【0036】
以下の実施形態において、アッパーフレームに関する次の基本的構成は、図9〜図11に示す公知技術と同じである。
【0037】
I)底板21(図2に示す)を備え、アッパーフレームの主たる骨格となる左右一対のセンタービーム22(ここでは片側のみを示す)が、車幅方向の中間部において底板21上に前後方向のほぼ全長に亘り溶接によって取付けられる点。
【0038】
II)このセンタービーム22は、底板21に対して垂直となる前後方向に長い縦板23の上端部に、上板24が縦板23の左右両側に突出する状態で溶接されて、底板21を含めた断面形状がI字形に形成され、縦板下端が底板21の上面に溶接される点。
【0039】
III)センタービーム22は、前部に図9の作業アタッチメント8が装着される一方、後部にエンジン9とカウンタウェイト10が搭載されることから、前部22fが高く、後部22rが低く形成され、この前部22fと後部22rが、上面が円弧状に湾曲した曲がり部22aを介して連続する側面視大略三角形に形成される点。
【0040】
第1実施形態(図1〜図4参照)
以上の構成を前提として、第1実施形態においては、センタービーム22における曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分(曲がり部22aとその前後両側部分)において、上板24の左右両側突出部分の下面に帯板状の補強板25,25が取付けられている。
【0041】
この補強板25は、曲がり部22aに沿う湾曲状の屈曲部分25aを有し、この屈曲部分25aを含む全体の周囲が上板下面に溶接(溶接部分を図2中に黒塗り表示している)されるとともに、縦板23に沿う部分では縦板23にも溶接されている。
【0042】
また、補強板25は、図1に示すように、前端が、センタービーム22における前側エンジン取付ブラケット17よりも前方、後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲(図例では同ブラケット取付位置よりも後方に突出する長さ範囲)に亘って上板下面に取付けられている。
【0043】
なお、他の実施形態として、補強板25を、前端が前側ブラケット17よりも若干後方に位置する長さ範囲、または後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも若干前方に位置する長さ範囲、あるいは前、後端ともエンジン取付ブラケット17,18よりも後方または前方に位置する長さ範囲で上板下面に取付けてもよい。
【0044】
上記構成によると、センタービーム22のうち、曲がり部22aを含む前、後部連続部分、すなわち、応力集中が起こり易い領域に補強板25を溶接するため、必要かつ十分な補強・補剛効果を得ることができる。
【0045】
しかも、センタービーム22全体ではなく、上記のように補強・補剛の必要性が高い部分のみに補強板25を溶接するため、センタービーム22が徒に重量化したりコストアップしたりする弊害が生じない。
【0046】
また、
イ.曲がり部22aのうちでも荷重負担が大きい上板24に補強板25を溶接すること、
ロ.補強板25を上板下面側で上板24と縦板23に溶接するため、上板24と縦板23の双方を補強・補剛できること、
ハ.補強板25を、後端が、センタービーム22における前側エンジン取付ブラケット17よりも前方、後端が後側エンジン取付ブラケット18よりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲で上板24に溶接するため、エンジン重量が直接加えられる部分を含めて補強・補剛できること
により、最小限の長さ範囲で最大限の補強・補剛効果を得ることができる。
【0047】
ところで、補強板25の取付けを含めたセンタービーム22の組立手順として、
i)センタービーム22の本体を組立てた後に、補強板25を上板下面に取付ける手順、
ii)図4に示すように加工(曲がり部22aを形成するための曲げ加工)前の直線状の上板素材24´の下面に直線状の補強板素材25´を溶接した後、両者を一体に折り曲げて補強板25付きの上板24を形成し、この後、上板24及び補強板25を縦板23に溶接してセンタービーム22を構成する手順
のいずれを採用してもよい。
【0048】
後者の上板・補強板一体曲げ方式によると、曲がり部22aでの上板24と補強板25の位置合わせの面倒がなくなるとともに、後で上板24に補強板25を溶接する場合の上板24の溶接歪みの問題もなくなる。このため、センタービーム22の組立作業の能率と組立精度が良くなる。
【0049】
第2実施形態(図5〜図7参照)
第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0050】
第2実施形態においては、センタービーム22における曲がり部22aを含んで前部22fと後部22rが連続する部分の縦板23の上縁部に前後方向に長い切欠26が設けられ、曲がり部22aに沿う屈曲部25aを有する補強板25が、上板24の下面に溶接されるとともに、切欠26に嵌まり込んだ状態で縦板23に溶接されている。
【0051】
この場合、補強板25は、図6に示すように左右両側一体の一枚物として上板下面に取付けられる。
【0052】
この第2実施形態によると、補強板25の周囲を上板24及び縦板23に対して隅肉溶接することができるため、溶接し易くて、しかも良好な溶接品質を得ることができる。
【0053】
また、手順として、
A)補強板25を、先に上板下面に溶接しておき、切欠26に嵌め込んだ後、縦板23に対する上板24の溶接と同時に縦板23に溶接する手順、
B)補強板25を単独で切欠26に嵌め込んだ後、その上に上板24を被せ、上板24を縦板23に溶接すると同時に補強板25を上板24及び縦板23に溶接する手順
のいずれをとってもよい。
【0054】
このうちB)の手順をとると、上板24及び縦板23に対する補強板25の溶接を一工程で行うことができる。このため、センタービーム22の組立作業の能率が良くなる。
【0055】
一方、第2実施形態において、補強板25は、図7に示すようにセンタービーム22の曲がり部で幅寸法Wが最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法Wが小さくなる流線形に形成されている。
【0056】
こうすれば、応力が最大となる曲がり部22aで補強・補剛効果が最大となり、ここから前方及び後方に向かって幅狭とすることで応力の流れがスムーズとなる。
【0057】
この補強板形状は、第1実施形態にも適用することができる。
【0058】
第3実施形態(図8参照)
第3実施形態では、補強板25が、第1、第2両実施形態と同じ、センタービーム22の前、後部連続部分において上板24の上面に溶接によって取付けられている。
【0059】
この構成によっても、応力が集中し易いセンタービーム曲がり部22aを含む前、後部連続部分の補強・補剛に関して一定の効果を得ることができる。
【0060】
また、図示しないが、補強板25を縦板23の左右両側面の一方または双方に取付けてもよい。この場合、補強板25を縦板23と上板24の双方に溶接するのが望ましい。
【0061】
さらに、本発明は、油圧ショベルに限らず、油圧ショベルを母体として構成される深穴掘削機や解体機等を含む上部旋回式の建設機械のアッパーフレームに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるアッパーフレームにおけるセンタービームの側面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】同実施形態におけるセンタービームの組立手順を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるアッパーフレームにおけるセンタービームの部分側面図である。
【図6】同実施形態の図2相当の断面図である。
【図7】図6VII−VII線断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す図2相当の断面図である。
【図9】本発明の適用対象である油圧ショベルの概略側面図である。
【図10】油圧ショベルのアッパーフレームの概略平面図である。
【図11】アッパーフレームにおけるセンタービームの側面図である。
【図12】図11XII−XII線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
21 アッパーフレーム底板
22 センタービーム
22a センタービームの曲がり部
22f 同、前部
22r 同、後部
23 センタービームの縦板
24 同、上板
25 補強板
25a 補強板の屈曲部
26 切欠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが底板上に前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が、上面側が折れ曲がった曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板が、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分に取付けられたことを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項2】
補強板が上板に取付けられたことを特徴とする請求項1記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項3】
補強板が上板の下面側に配置され、上板下面及び縦板に溶接されたことを特徴とする請求項2記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項4】
センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠が設けられ、補強板が上板下面に溶接されるとともに、上記切欠に嵌まり込んだ状態で縦板に溶接されたことを特徴とする請求項3記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項5】
補強板は、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項6】
センタービームの縦板に、エンジンが取付けられるエンジン取付ブラケットが取付けられ、補強板は、前端がこのエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項7】
底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、相対的に高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分の上縁部に切欠を設け、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板を上記切欠に嵌め込み、この状態で補強板を上記上板の下面及び縦板に溶接することを特徴とする建設機械のアッパーフレームの組立方法。
【請求項8】
底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記曲がり部を形成する前の直線状の上板における、曲がり部となる部分を含んで前部と後部が連続する部分に直線状の補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げて上記曲がり部を形成するとともに、上板及び補強板を縦板に溶接することを特徴とする建設機械のアッパーフレームの組立方法。
【請求項1】
後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが底板上に前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が、上面側が折れ曲がった曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームにおいて、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板が、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分に取付けられたことを特徴とする建設機械のアッパーフレーム。
【請求項2】
補強板が上板に取付けられたことを特徴とする請求項1記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項3】
補強板が上板の下面側に配置され、上板下面及び縦板に溶接されたことを特徴とする請求項2記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項4】
センタービームにおける曲がり部を挟んで前部と後部が連続する部分の縦板の上縁部に切欠が設けられ、補強板が上板下面に溶接されるとともに、上記切欠に嵌まり込んだ状態で縦板に溶接されたことを特徴とする請求項3記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項5】
補強板は、センタービームの曲がり部で幅寸法が最大となり、前端及び後端に向かって漸次幅寸法が小さくなる形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項6】
センタービームの縦板に、エンジンが取付けられるエンジン取付ブラケットが取付けられ、補強板は、前端がこのエンジン取付ブラケットよりも前方、後端が同ブラケットよりも後方にそれぞれ位置する長さ範囲に亘って上板に取付けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建設機械のアッパーフレーム。
【請求項7】
底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、相対的に高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記センタービームにおける上記曲がり部を含んで前部と後部が連続する部分の上縁部に切欠を設け、上記曲がり部に沿う屈曲部を有する補強板を上記切欠に嵌め込み、この状態で補強板を上記上板の下面及び縦板に溶接することを特徴とする建設機械のアッパーフレームの組立方法。
【請求項8】
底板の車幅方向の中間部に、後部にエンジンが搭載される左右一対のセンタービームが前後方向に取付けられ、このセンタービームは、上記底板に対して垂直に取付けられた前後方向に長い縦板と、この縦板の上端部に左右両側に突出する状態で水平に取付けられた上板とを備え、かつ、高さの高い前部と低い後部が曲がり部を介して連続する形状に形成された建設機械のアッパーフレームの組立方法において、上記曲がり部を形成する前の直線状の上板における、曲がり部となる部分を含んで前部と後部が連続する部分に直線状の補強板を溶接した後、両者を一体に折り曲げて上記曲がり部を形成するとともに、上板及び補強板を縦板に溶接することを特徴とする建設機械のアッパーフレームの組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−95133(P2010−95133A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267349(P2008−267349)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
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