説明

建設機械のカウンタウエイト装置

【課題】 機体フレームに対するカウンタウエイトの取付を容易にする。
【解決手段】 カウンタウエイト10に設けられた第1の係合溝33と、機体フレーム20に設けられた第2の係合溝27と、カウンタウエイト10に突設され、カウンタウエイト10の取付時に第2の係合溝27に係合する第1の係合部材35と、機体フレーム20に突設され、カウンタウエイト10の取付時に第1の係合溝33に係合する第2の係合部材29と、第1の係合部材35が第2の係合溝27に係合し、かつ、第2の係合部材29が第1の係合溝33に係合した状態で機体フレーム20にカウンタウエイト10を固定する固定手段40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体フレームにカウンタウエイトを着脱可能に取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラクレーン等の建設機械においては、作業時の重量バランスをとるために機体フレームの後端部にカウンタウエイトが取り付けられる。このカウンタウエイトは、クローラクレーンをトレーラに搭載して運搬する際に、トレーラの最大積載重量等の制約によりクローラクレーンから取り外される場合があり、その場合にはカウンタウエイトの着脱作業が必要となる。この着脱作業を行うためのカウンタウエイト装置として、従来、カウンタウエイトの側面にピンを突設し、このピンを機体フレームの係合溝に係合するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。これによればピンを係合溝に係合した後、ピンを支点にカウンタウエイトを前後方向に揺動し、カウンタウエイトの前面と機体フレームの後端面の間にスペーサを挿入し、カウンタウエイトの取付姿勢(例えば、機体フレームとの間の隙間間隔)を調整する。
【0003】
本願発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特開2000−72383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記公報記載のものは、カウンタウエイトの取付時にカウンタウエイトと機体フレームとの間にスペーサを挿入してカウンタウエイトの取付姿勢を調整する必要があり、取付時の労力が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明は、建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置であって、カウンタウエイトに設けられた第1の係合溝と、機体フレームに設けられた第2の係合溝と、カウンタウエイトに突設され、カウンタウエイトの取付時に第2の係合溝に係合する第1の係合部材と、機体フレームに突設され、カウンタウエイトの取付時に第1の係合溝に係合する第2の係合部材と、第1の係合部材が第2の係合溝に係合し、かつ、第2の係合部材が第1の係合溝に係合した状態で機体フレームにカウンタウエイトを固定する固定手段とを備えることを特徴とする。
第1の係合溝を、第1の係合部材の上方に上方が開口するように設け、第2の係合溝を、第2の係合部材の下方に下方が開口するように設けることが好ましい。あるいは第1の係合溝を、第1の係合部材の下方に下方が開口するように設け、第2の係合溝を、第2の係合部材の上方に上方が開口するように設けることが好ましい。
機体フレームに対しカウンタウエイトを昇降させる昇降手段を備えることもできる。
第1の係合溝および第2の係合溝を、それぞれ溝の入口部から奥部に向かうにつれて溝の幅が小さくなるように形成してもよい。
本発明の第2の発明は、建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置であって、カウンタウエイトを機体フレームに対して昇降するための油圧シリンダを備え、油圧シリンダは、油圧シリンダをカウンタウエイトに取り付けるための接続部を側面に設けたトラニオン形シリンダであることを特徴とする。接続部は、油圧シリンダのシリンダチューブから突設されたピンであり、カウンタウエイトは、ピンを受ける長孔を有して油圧シリンダを支持する支持部材を備えることが好ましい。
本発明の第3の発明は、建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置であって、カウンタウエイトを機体フレームに対して昇降するための油圧シリンダを備え、油圧シリンダをカウンタウエイトに取り付けたときの取り付け位置は、カウンタウエイトの重心位置よりも上方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の発明によれば、カウンタウエイトに設けた第1の係合部材を機体フレームに設けた第2の係合溝に係合し、かつ機体フレームに設けた第2の係合部材をカウンタウエイトに設けた第1の係合溝にそれぞれ係合して、カウンタウエイトを機体フレームに固定するようにしたので、カウンタウエイトの取付姿勢を容易に修正することができ、カウンタウエイトの取付作業が容易である。
本発明の第2の発明によれば、カウンタウエイトを昇降するためにトラニオン形の油圧シリンダを用いたので、カウンタウエイト装置の全高を低く抑えることができる。
本発明の第3の発明によれば、カウンタウエイトを昇降するために油圧シリンダを用い、油圧シリンダの取り付け位置がカウンタウエイトの重心位置よりも上方に位置するようにしたので、簡単な構造のカウンタウエイト装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図8を参照して本発明によるカウンタウエイト装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るカウンタウエイト装置の構成を示す斜視図であり、カウンタウエイト10を機体フレーム20の後端部に取り付ける前の状態を示している。図2は図1の側面図であり、図3はカウンタウエイト10を車両前方側から見た斜視図である。図1では、カウンタウエイト10をクローラクレーンに取り付ける場合を例として示している。クローラクレーンの機体フレーム20は走行体1に対して旋回可能に設けられ、機体フレーム20の前部には図示しないブーム,アーム,バケット等からなる作業装置が取り付けられている。
【0008】
図3に示すようにカウンタウエイト10はベースプレート11が固定されたウエイト12上にウエイト13,14を積層してなり、各ウエイト12〜14同士は貫通ボルト15により一体に締結されている。ウエイト12〜14は上面視略コ字状(U字状)に形成され、このU字で囲まれた空間にカウンタウエイト着脱用の左右一対の油圧シリンダ30が配置されている。各油圧シリンダ30のシリンダチューブは、ブラケット31を介してベースプレート11上面に立設された左右一対の支持プレート32の間に配置され、支持プレート32により支持されている。支持プレート32は、油圧シリンダ30を支持する支持部材であるといえる。
シリンダロッドはシリンダチューブに対し上方に伸長する。シリンダロッドの上端部にはロッドピン37が取り付けられ、ロッドピン37はシリンダロッドの左右側方に突設している。なお、左右一対の支持プレート32,32は、それらが補強部材などにより連結されて一体の箱型構造を構成している。
【0009】
図2,3に示すように油圧シリンダ30よりも前方の各支持プレート32の上端面には上方が開口するようにそれぞれ鉛直方向下方に向けてガイド溝33が設けられている。ガイド溝33の奥部(底部)は、後述する機体フレーム20のガイドピン29の形状に即して円弧状に形成されている。ガイド溝33は入口部から奥部にかけてテーパ状に形成され、ガイド溝33の前後方向幅は入口部で最大となっている。ガイド溝33の下方にはカウンタウエイト取付用のピン40(図8参照)を挿入するためのピン孔34がそれぞれ穿設されている。
【0010】
図3のIV-IV線断面図である図4に示すように、ピン孔34の下方には左右の支持プレート32の間に左右水平方向にガイドピン35が横架されている。ピン孔34の後方の支持プレート32の内側面にはそれぞれ互いに向かい合うようにガイド36が固設され、ガイド36の間に鉛直方向の隙間SPが設けられている。支持プレート32に設けたガイド溝33,ピン孔34,ガイドピン35等は機械加工により精度よく形成されている。
【0011】
一方、図1に示すように、機体フレーム20は前後方向に延在する左右一対の主板21と、主板21の間に左右方向に架設された横板22と、主板21および横板22の上端面に固設された上板23と、主板21および横板22の下端面に固設された下板24とを有する。左右の上板23の後端部上面にはそれぞれ左右一対のブラケット25が後方に向けて延設され、上板23の後端面よりも後方に位置するブラケット25の上端面にそれぞれロッドピン37を支持するための切り欠き部25aが設けられている。
【0012】
左右の主板21の後端にはそれぞれブラケット26が設けられている。ブラケット26の下端面には下方が開口するようにそれぞれ鉛直方向上方に向けてガイド溝27が設けられている。ガイド溝27の奥部(上部)は、前述したカウンタウエイト10のガイドピン35の形状に即して円弧状に形成されている。ガイド溝27は入口部から奥部にかけてテーパ状に形成され、ガイド溝27の前後方向の幅は入口部で最大となっている。ガイド溝27の上方にはカウンタウエイト取付用のピン40(図8参照)を挿入するためのピン孔28が穿設されている。
【0013】
図1のV-V線断面図である図5に示すように、ブラケット26のピン孔28の上方には左右側方にそれぞれガイドピン29が突設されている。これらガイドピン29、ピン孔28、ガイド溝27はそれぞれカウンタウエイト10のガイド溝33、ピン孔34、ガイドピン35に対応して設けられている。ブラケット26に設けたガイド溝27,ピン孔28,ガイドピン29等は機械加工により精度よく形成されている。
【0014】
ここで、油圧シリンダ30の取付構造について詳細に説明する。図6(a)に示すように油圧シリンダ30のシリンダチューブの上下方向中間部には、それぞれ左右方向に一対のピン30aが突設されている。すなわち、油圧シリンダ30は、支持プレート32に取り付けるための接続部としてシリンダチューブの側面にピン30aを設けたトラニオン構造として構成される。トラニオン構造を採用することにより、油圧シリンダ30の最縮長を短くでき、カウンタウエイト装置の全高を低く抑えることができる。
【0015】
また、図2に示すように、油圧シリンダ30の取り付け位置P1、すなわちピン30aは、ウエイト12〜14等を備えたカウンタウエイト10全体の重心位置P2よりも上方に位置する。これにより、油圧シリンダ30によってカウンタウエイト10を昇降する際に、油圧シリンダ30に鉛直方向の力のみが作用することになり、構造を単純化かつ軽量とすることができる。反対に、重心位置P2が取り付け位置P1よりも上方に位置すると、ピン30aを中心としてカウンタウエイト10が回転しようとするため、回転防止機構等が必要となり構造が複雑化する。
【0016】
図6(b)に示すように各支持プレート32の上端部には略三角形状の取付プレート61(図3参照)がピン62を介して取り付けられている。取付プレート61の中央の貫通孔61aにはシリンダチューブのピン30aが挿通され、油圧シリンダ30は前後方向に揺動可能に支持されている。貫通孔61aは上下方向に長い長孔であり、この長孔を介し油圧シリンダ30は左右方向にも揺動可能となっている。
【0017】
油圧シリンダ30のシリンダチューブの上端部の後面には重錘30b(図2参照)が取り付けられている。これによりシリンダロッドを上方に伸長すると、油圧シリンダ30の重心位置がピン30aよりも上方に移動し、油圧シリンダ30の上部はピン30aを支点に後方に揺動する。その結果、機体フレーム側のブラケット25と干渉することなくシリンダロッドを伸長することができる。そして、ブラケット25を回避してシリンダロッドを伸長させた後、油圧シリンダ30の上部を前方に揺動し、シリンダロッド先端のロッドピン37をブラケット25の上端面の切り欠き部25aに係合する。これにより油圧シリンダ30の上方にブラケット25がある場合にも、ロッドピン37を切り欠き部25aに容易に係合することができる。
【0018】
油圧シリンダ30は左右方向にも揺動可能なので、各部品間の組立誤差等を吸収してロッドピン37を切り欠き部25aに係合することができる。なお、シリンダチューブの下端部にはストッパ30cが設けられ、ストッパ30cはベースプレート11の開口孔11aに収容されている。これにより油圧シリンダ30が揺動によりストッパ30cの端面が開口孔11aの縁部に当接し、油圧シリンダ30の揺動量が制限される。
【0019】
次に、カウンタウエイト10の取付手順を説明する。
まず、ベースプレート11とウエイト12〜14を予め一体化してカウンタウエイト10を形成し、このカウンタウエイト10を図2に示すように機体フレーム20の後端部下方に載置する。次いで、左右のブラケット25の一方に設けられたカウンタウエイト着脱操作スイッチSW(図1参照)を操作して、油圧シリンダ30を別途設けられた不図示の油圧源ユニット、あるいはクローラクレーンに搭載された油圧源ユニットにより駆動し、図示のようにシリンダロッドを上方に伸長する。そして、ロッドピン37をブラケット25の切り欠き部25aに係合する。この状態で油圧シリンダ30をゆっくりと縮退し、カウンタウエイト10を上昇させる。このとき図4のガイド36の隙間SPにブラケット26が進入し、ガイド36によって左右方向の位置が規制されながらカウンタウエイト10が上昇する。
【0020】
カウンタウエイト10が所定量持ち上がると、図7に示すように機体フレーム20(ブラケット26)のガイドピン29がカウンタウエイト10(支持プレート32)のガイド溝33に挿入するとともに、カウンタウエイト10のガイドピン35が機体フレーム20のガイド溝27に挿入する。これによりカウンタウエイト10の前後方向の揺動を抑えつつ、機体フレーム20のガイドピン29およびガイド溝27に案内されてカウンタウエイト10の溝33およびガイドピン35が移動し、カウンタウエイト10の取付姿勢が修正される。
【0021】
ガイドピン29,35がガイド溝33,27の奥部に達すると、油圧シリンダ30の縮退を停止する。このとき、機体フレーム20に対しカウンタウエイト10は上下2カ所で位置決めされた状態で保持され、機体フレーム20のピン孔28とカウンタウエイト10のピン孔34の位置が一致する。この状態で、図8に示すようにピン孔28,34に左右側方からピン40を挿入する。これによりカウンタウエイト10が機体フレーム20に固定され、カウンタウエイト10の取付作業が終了する。なお、カウンタウエイト10の取り外し作業は取付作業と逆の手順で行えばよい。
【0022】
以上の第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)カウンタウエイト10の支持プレート32に左右方向にガイドピン35を横設するとともに、機体フレーム20後端のブラケット26の左右側面にガイドピン29を突設し、これらガイドピン35,29に対応してブラケット26の下端面および支持プレート32の上端面にそれぞれガイド溝27,33を設けるようにした。これにより油圧シリンダ30を縮退すると、カウンタウエイト10のガイドピン35および溝33が機体フレーム20のガイド溝27およびガイドピン29に案内されてカウンタウエイト10が持ち上がり、ピン孔34と28の位置を一致させることができる。このためスペーサ等によってカウンタウエイト10の取付姿勢を調整する必要がなく、カウンタウエイト10の取付作業が容易である。
【0023】
(2)油圧シリンダ30によりカウンタウエイト10を自力着脱するので、カウンタウエイト10を吊り上げるためにクレーン等を別途準備する必要がなく、カウンタウエイト10の取付作業が容易である。
(3)ガイド溝27,33をそれぞれ上下方向に設けたので、油圧シリンダ30によるカウンタウエイト10の移動方向とガイド溝27,33の方向がほぼ等しく、ガイドピン29,35に過大な荷重をかけることなくカウンタウエイト10をスムーズに昇降することができる。
(4)ガイド溝27,33を前後方向にテーパ状に形成し、ガイド溝27,33の幅を入口部で最大としたので、カウンタウエイト10の上昇に伴いカウンタウエイト10の取付姿勢を容易に修正することができる。
(5)支持プレート32の内側にガイド36を設け、このガイド36の隙間SPにブラケット26が進入するようにしたので、機体フレーム20に対するカウンタウエイト10の左右方向の位置決めも容易である。
【0024】
−第2の実施の形態−
図9〜図11を参照して本発明によるカウンタウエイト装置の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態ではカウンタウエイト10に設けた油圧シリンダ30によりカウンタウエイト10を自力着脱するようにしたが、第2の実施の形態では自力着脱ではなく例えばクレーン等でカウンタウエイト10を吊り上げて機体フレーム20の上方からカウンタウエイト10を取り付ける。
【0025】
図9はカウンタウエイト10の吊り上げ前における機体フレーム20の後端部およびカウンタウエイト10の側面図である。なお、図2と同一の箇所には同一の符号を付し、以下では相違点を主に説明する。機体フレーム20の後端部には左右方向に一対のブラケット50が設けられ、ブラケット50のそれぞれの上端面には下方に向けてガイド溝51が設けられている。ガイド溝51の下方にはピン孔52が穿設され、さらにピン孔52の下方に左右側方にガイドピン53が突設されている。
【0026】
カウンタウエイト10の内側、すなわちU字で囲まれた空間のベースプレート11上面には支持プレート55が立設され、支持プレート55の下部前面にはガイドピン53に対応し、上方に向けてガイド溝56が設けられている。ガイド溝56の上方にはピン孔52に対応してピン孔57が穿設され、さらにその上方にはガイド溝51に対応して左右側方にガイドピン58が突設されている。
【0027】
第2の実施の形態に係るカウンタウエイト10の取付手順は次の通りである。まず、図示しないクレーンでカウンタウエイト10を吊り上げ、係合溝51,56にそれぞれガイドピン58,53を係合させながら、カウンタウエイト10をゆっくりと降ろす。これによりカウンタウエイト10の取付位置が修正され、図10に示すように機体フレーム20に対しカウンタウエイト10が位置決めされる。この状態で図11に示すようにピン孔52,57にピン40を挿入し、ブラケット50に支持プレート55を固定する。以上のようにカウンタウエイト10を取り付ければ、取付姿勢を調整するためのスペーサ等が不要であり、第1の実施の形態と同様、カウンタウエイト10の取付作業が容易になる。
【0028】
なお、上述した第1及び第2の実施の形態では、機体フレーム20に対してカウンタウエイト10を上下方向に移動させてカウンタウエイト10を着脱するため、上下方向にガイド溝27,33,51,56を設けたが、ガイド溝の方向はこれに限らない。すなわち第1の係合溝としてのガイド溝33,56の形状、および第2の係合溝としてのガイド溝27,51の形状は上述したものに限らない。また、これに対応する第1の係合部材としてのガイドピン35,58の形状、第2の係合部材としてのガイドピン29,53の形状も、上述した以外のものに限らない。これらガイド溝やガイドピンが設けられるブラケット26,50,支持プレート32,55の形状も上述したものに限らない。
【0029】
ガイド溝27,33にガイドピン35,29を係合してカウンタウエイト10を位置決めした後、ピン孔28,34にピン40を挿入して機体フレーム20にカウンタウエイト10を固定したが、ピン以外の固定手段を用いてもよい。油圧シリンダ30によりカウンタウエイト10を昇降し、カウンタウエイト10を自力着脱するようにしたが、建設機械に搭載されたウインチ等、他の昇降手段を用いることもできる。
【0030】
なお、図12に示すように、シリンダロッドに球面ブッシュSBを設け、ロッドピン37を球面ブッシュSBを介して支持するようにすれば、ロッドピン37が切り欠き部25aに片当たりして無理な力が作用することを防止できる。
また、カウンタウエイト10のウエイト12〜14の形状は、図3に示すようなU字状のものには限定されず、図13に示すように左右に分離された形状としてもよい。
【0031】
上記第1及び第2の実施の形態はクローラクレーンに適用したが、カウンタウエイト10を有する他の建設機械(例えば油圧ショベル等)にも適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は第1のおよび第2の実施の形態のカウンタウエイト装置に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカウンタウエイトの装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1のカウンタウエイトを前方から見た斜視図。
【図4】図3のIV-IV線断面図。
【図5】図1のV-V線断面図。
【図6】油圧シリンダの取付構造を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係るカウンタウエイト装置によるカウンタウエイトの取付手順を示す図(その1)。
【図8】第1の実施の形態に係るカウンタウエイト装置によるカウンタウエイトの取付手順を示す図(その2)。
【図9】第2の実施の形態に係るカウンタウエイト装置によるカウンタウエイトの取付手順を示す図(その1)。
【図10】第2の実施の形態に係るカウンタウエイト装置によるカウンタウエイトの取付手順を示す図(その2)。
【図11】第2の実施の形態に係るカウンタウエイト装置によるカウンタウエイトの取付手順を示す図(その3)。
【図12】シリンダロッドに設けた球面ブッシュでロッドピンを支持する場合の油圧シリンダを示す図。
【図13】ウェイトの別の形状を示す図。
【符号の説明】
【0033】
10 カウンタウエイト
20 機体フレーム
26,50 ブラケット
27,51 ガイド溝(第2の係合溝)
28,52 ピン孔
29,53 ガイドピン(第2の係合部材)
30 油圧シリンダ
32,55 支持プレート
33,56 ガイド溝(第1の係合溝)
34,57 ピン孔
35,58 ガイドピン(第1の係合部材)
40 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記カウンタウエイトに設けられた第1の係合溝と、
前記機体フレームに設けられた第2の係合溝と、
前記カウンタウエイトに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第2の係合溝に係合する第1の係合部材と、
前記機体フレームに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第1の係合溝に係合する第2の係合部材と、
前記第1の係合部材が前記第2の係合溝に係合し、かつ、前記第2の係合部材が前記第1の係合溝に係合した状態で前記機体フレームに前記カウンタウエイトを固定する固定手段とを備えることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記第1の係合溝は、前記第1の係合部材の上方に上方が開口するように設けられ、
前記第2の係合溝は、前記第2の係合部材の下方に下方が開口するように設けられることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記第1の係合溝は、前記第1の係合部材の下方に下方が開口するように設けられ、
前記第2の係合溝は、前記第2の係合部材の上方に上方が開口するように設けられることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記機体フレームに対し前記カウンタウエイトを昇降させる昇降手段をさらに備えることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記第1の係合溝および前記第2の係合溝は、それぞれ溝の入口部から奥部に向かうにつれて溝の幅が小さくなるように形成されることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項6】
建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記カウンタウエイトを前記機体フレームに対して昇降するための油圧シリンダを備え、
前記油圧シリンダは、前記油圧シリンダを前記カウンタウエイトに取り付けるための接続部を側面に設けたトラニオン形シリンダであることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項7】
請求項6に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記接続部は、前記油圧シリンダのシリンダチューブから突設されたピンであり、
前記カウンタウエイトは、前記ピンを受ける長孔を有して前記油圧シリンダを支持する支持部材を備えることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記カウンタウエイトに設けられた第1の係合溝と、
前記機体フレームに設けられた第2の係合溝と、
前記カウンタウエイトに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第2の係合溝に係合する第1の係合部材と、
前記機体フレームに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第1の係合溝に係合する第2の係合部材と、
前記第1の係合部材が前記第2の係合溝に係合し、かつ、前記第2の係合部材が前記第1の係合溝に係合した状態で前記機体フレームに前記カウンタウエイトを固定する固定装置とをさらに備えることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項9】
建設機械の機体フレームにカウンタウエイトを取り付ける建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記カウンタウエイトを前記機体フレームに対して昇降するための油圧シリンダを備え、
前記油圧シリンダを前記カウンタウエイトに取り付けたときの取り付け位置は、前記カウンタウエイトの重心位置よりも上方に位置することを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。
【請求項10】
請求項9に記載の建設機械のカウンタウエイト装置において、
前記カウンタウエイトに設けられた第1の係合溝と、
前記機体フレームに設けられた第2の係合溝と、
前記カウンタウエイトに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第2の係合溝に係合する第1の係合部材と、
前記機体フレームに突設され、前記カウンタウエイトの取付時に前記第1の係合溝に係合する第2の係合部材と、
前記第1の係合部材が前記第2の係合溝に係合し、かつ、前記第2の係合部材が前記第1の係合溝に係合した状態で前記機体フレームに前記カウンタウエイトを固定する固定装置とをさらに備えることを特徴とする建設機械のカウンタウエイト装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−44948(P2006−44948A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192042(P2005−192042)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】