説明

建設機械のキャブ昇降装置

【課題】外部機構からの振動をキャブ昇降用油圧シリンダの収縮動作により吸収除去して、キャブに衝撃的な振動が伝播しないようにする。
【解決手段】建設機械のキャブ昇降装置11は、キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドの手前位置に達したことを検出する位置検出手段37と、キャブ昇降用油圧シリンダ22の伸縮動作を制御する電磁式制御弁38と、電磁式制御弁38の操作信号ライン40,41上に設けられ、位置検出手段37の検出信号によって動作する継電器54とを備える。継電器54が位置検出手段37の検出信号により動作すると、電磁式制御弁38が中立位置に切り換えられることにより、キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドの手前位置で即時停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のキャブ昇降装置に関するものであり、特に、平行リンク機構を介してキャブを昇降動可能に設けてなる建設機械のキャブ昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置(エンドアタッチメント)とによって大略構成されている。また、上部旋回体のフレーム上には運転室を構成するキャブが設けられていると共に、該キャブの運転席の前面には、岩石の破片、土砂、あるいは小枝などの飛来を阻止するためのキャブフロントガードが設置されている。さらに、該キャブの前面下部には、運転室の前面ガラスの清掃や各種のメンテナンス等を行うための昇降用の足場(梯子)となるステップが取付けられている。
【0003】
また、建設作業や港湾荷役作業等を行う建設機械は、キャブ内のオペレータから作業箇所内部が良く見えるように、必要に応じてキャブを持ち上げて高くできるようにキャブ昇降装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、油圧によってキャブ昇降用油圧シリンダを伸縮作動させることにより、キャブ昇降装置によってキャブを自在に昇降させることができる。従って、オペレータがキャブに昇降するときやメンテナンスを行うときは、キャブ昇降用油圧シリンダによってキャブ自体を所望の高さに昇降させることができる。
【0004】
また、他の従来技術として、キャブ昇降装置を備えた建設機械において、キャブを収納したときに、建設機械の旋回半径を小さくして輸送効率の改善を図ったものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−106564号公報
【特許文献2】特開2006−9463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、建設機械の本体側に設けたエンドアタッチメント等の外部機構が作業中に急停止する際の振動や、建設機械の走行時に前記本体に生ずる振動などが、建設機械の本体側からキャブへ伝播して、キャブ内のオペレータに衝撃的な振動を与えるおそれがある。すなわち、キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドに達したときに、ピストンがシリンダトップ内壁に接触し、さらに、受圧側圧力室が高圧(リリーフ圧)となってシリンダトップ内壁に押し付けられる。その結果、キャブ昇降用油圧シリンダ全体が恰も剛性構造体のように作動挙動し、上記本体側(外部機構側)に生じた振動がキャブ側にダイレクトに伝播するおそれがある。
【0007】
前記特許文献1の技術は、キャブ昇降動作中に、キャブが急停止する際のショックを緩和するための機構、即ち、キャブ昇降用油圧シリンダが伸長動作してストロークエンド付近に達したことを検出する近接スイッチと、該近接スイッチからの検出信号に基づき動作して減圧機能が生じる減圧弁とを備え、キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンド付近に達したときに、前記減圧弁が動作してキャブ昇降用油圧シリンダへ供給する作動油の流量が減少するように構成されている。
【0008】
前記従来技術によれば、キャブ急停止時におけるショックについてはこれを緩和できるが、エンドアタッチメント等の外部機構からキャブへ伝播する振動についてはこれを防止することは困難である。
【0009】
即ち、図6に示すように、キャブ昇降用油圧シリンダ1がストロークエンドに達した場合には、ピストン2がシリンダトップ内壁3に接触するため、キャブ昇降用油圧シリンダ1の伸び側への変位はゼロとなる。また、キャブ昇降用油圧シリンダ1の受圧側圧力室4が高圧(リリーフ圧)となった状態で、ピストン2がシリンダトップ内壁3に押し付けられるので、キャブ昇降用油圧シリンダ1の縮み側への変位もゼロとなり、該キャブ昇降用油圧シリンダ1の昇降動作が拘束される。その結果、エンドアタッチメント等の外部機構側(図6のシリンダ下部5側)に生じた振動は、ピストン2のロッド上端部6側であるキャブ(図示せず)へダイレクトに伝達される。
【0010】
そこで、エンドアタッチメント等の外部機構からの振動を、キャブ昇降用油圧シリンダによって速やかに吸収除去することにより、キャブに衝撃的な振動が伝播しないようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、キャブ昇降用油圧シリンダを用いてキャブを昇降させるように構成された建設機械のキャブ昇降装置であって、前記キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置に達したこと検出する位置検出手段と、前記キャブ昇降用油圧シリンダの伸縮動作を制御する電磁式制御弁と、前記電磁式制御弁の操作信号ラインに設けられ、前記位置検出手段の検出信号によって動作する継電器とを備え、該継電器が前記位置検出手段の検出信号によって動作したとき、前記電磁式制御弁が中立位置に切換えられることにより、前記キャブ昇降用油圧シリンダが前記ストロークエンドの手前位置で停止するように構成したことを特徴とする建設機械のキャブ昇降装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置に達すると、位置検出手段により検出信号が出力され、該位置検出手段の検出信号によって継電器(リレー)が動作し、そして、電磁式制御弁の制御によってキャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置で即時停止する。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記電磁式制御弁は中立位置において油圧タンクと連通することを特徴とする請求項1記載の建設機械のキャブ昇降装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、電磁式制御弁が中立位置のときには、該電磁式制御弁のポートが油圧タンクと連通するので、該電磁式制御弁は作動油を貯留させるアキュムレータとして機能する。
【0015】
請求項3記載の発明は、上記キャブ昇降用油圧シリンダと上記電磁式制御弁とを接続する油圧ラインの途中には絞り部を有する切替弁が設けられ、該電磁式制御弁が中立位置のとき、前記切替弁の絞り部により前記油圧ラインに絞り作用が生ずるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のキャブ昇降装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、キャブ昇降用油圧シリンダと電磁式制御弁との間に設けられた切替弁の絞り部は、電磁式制御弁が中立位置のときに、キャブ昇降用油圧シリンダの油圧ラインに絞り作用が生じさせる。そのため、キャブ昇降用油圧シリンダにおける振動の緩衝効果が更に顕著になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、電磁式制御弁の制御によってキャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置で即時停止する。従って、キャブ昇降用油圧シリンダはストロークエンドに達しないため、建設機械の本体側からキャブ側に伝播しようとする振動は、キャブ昇降用油圧シリンダが直ちに収縮することにより速やかに吸収除去され、以って、前記キャブへの振動の伝播を効果的に抑えることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、電磁式制御弁は中立位置のときには作動油を貯留させるアキュムレータとして機能するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、建設機械の本体側からキャブに向かう振動をより効率良く緩和除去することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、キャブ昇降用油圧シリンダの油圧ラインに絞り作用が生じることにより、キャブ昇降用油圧シリンダにおける振動の緩和除去効果が顕著になるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、エンドアタッチメント等の外部機構に揺り返し現象に起因する大きな振動が発生した場合でも、キャブ昇降用油圧シリンダによる振動現象の収束作用を一層促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に適用されるキャブ昇降装置付き建設機械の側面図。
【図2】図1のキャブ昇降装置近傍を示す拡大斜視図。
【図3】本発明に係るキャブ昇降装置とリミットスイッチとの機械的配置を示し、(a)は側面図、(b)は(a)のA矢視図。
【図4】図3のリミットスイッチを含む電気回路及び油圧回路を説明する回路構成図。
【図5】本発明のキャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドに達しない状態を示す説明図。
【図6】従来のキャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドに達した状態を示す説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、アタッチメント等の外部機構からの振動を、キャブ昇降用油圧シリンダの機構によって吸収除去させることにより、キャブに衝撃的な振動が伝播しないようにするという目的を達成するために、キャブ昇降用油圧シリンダを用いてキャブを昇降させるように構成された建設機械のキャブ昇降装置であって、前記キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置に達したことを検出する位置検出手段と、前記キャブ昇降用油圧シリンダの伸縮動作を制御する電磁式制御弁と、前記電磁式制御弁の操作信号ラインに設けられ、前記位置検出手段の検出信号によって動作する継電器とを備え、前記継電器が前記位置検出手段の検出信号によって動作したとき、前記電磁式制御弁が中立位置に切換えられることにより、前記キャブ昇降用油圧シリンダが前記ストロークエンドの手前位置で停止するように構成したことにより実現した。
【0022】
以下、本発明の好適な一実施例について図1乃至図5を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0023】
先ず、本発明に適用されるキャブ昇降装置付きの建設機械の全体構成について説明する。例えば、建設作業や港湾荷役作業などを行う建設機械は、キャブ内のオペレータから作業箇所の内部がよく見えるように、キャブ昇降装置によってキャブを持ち上げて高くすることができるように構成されている。そこで、本実施例では、このようなキャブ昇降装置付きの建設機械について説明する。
【0024】
図1は、本発明に適用されるキャブ昇降装置付き建設機械を示す側面図であり、図2は、図1に示すキャブ昇降装置近傍の拡大斜視図である。図1に示すように、建設機械10はキャブ昇降装置11を備え、該建設機械10の下部走行体12上には旋回機構13を介して上部旋回体14が旋回可能に搭載されている。また、該上部旋回体14の前部一側部にはブーム15が上下回動可能に連結されているとともに、該ブーム15の先端部にはアーム16が上下回動可能に枢着されている。
【0025】
さらに、前記ア−ム16の先端部には、外部機構であるエンドアタッチメント(リフティングマグネット又はバケット)17が揺動可能に取り付けられている。なお、図中符号18,19は、それぞれ前記ブーム15及び前記ア−ム16を駆動するためのシリンダである。
【0026】
また、前記上部旋回体14上には前記キャブ昇降装置11を介してキャブ20が昇降動可能に設けられている。このキャブ20は前記ブーム15の側方に位置して配設されている。
【0027】
キャブ昇降装置11は、図2に示すように、前記キャブ20を所定の姿勢に保つ昇降動用平行リンク機構21と、該昇降動用平行リンク機構21を駆動して前記キャブ20を昇降駆動するキャブ昇降用油圧シリンダ22とを備えている。
【0028】
前記昇降動用平行リンク機構21は、前記上部旋回体14上に立設された支持塔体23と、前記キャブ20の下部に一体的に設けられ、該キャブ20を下側から支持するL形の架台24と、下端側ピン25,26及び上端側ピン27,28により夫々上下端部が上下回動自在に連結された左右一対の上リンク29,29及び左右一対の下リンク30,30と、該上リンク29,29及び下リンク30,30の上下回動を制御するキャブ昇降用油圧シリンダ22とを具備している。
【0029】
前記キャブ昇降用油圧シリンダ22の基端部は、図1に示すように、前記支持塔体23の下部にピン31を介して回動自在に軸支されている。また、キャブ昇降用油圧シリンダ22のロッド22a先端部は、図2に示すように、前記上リンク29,29間の連結部材(図示せず)にピン32を介して連結されている。
【0030】
上記キャブ昇降装置11は、前記キャブ昇降用油圧シリンダ22を伸縮動作させると、前記昇降動用平行リンク機構21を介して前記キャブ20が前記下端側ピン25,25、26,26を支点として弧を描きながら上下方向及び前後方向に移動する。
【0031】
次に、本発明に係るキャブ昇降装置11について詳細に説明する。図3は、本発明に係るキャブ昇降装置11とリミットスイッチ37との機械的配置を示し、(a)は側面図、(b)は(a)のA矢視図である。図3(a)に示すように、キャブ昇降装置11の上リンク29の下部一側面にはストライカ35が設けられている。また、キャブ昇降装置11の支持側基部にはエレベータブラケット36が設けられ、該エレベータブラケット36は、図2に示した支持塔体23の内側に取り付けられている。該エレベータブラケット36上部前端側における前記ストライカ35と対応する個所には、図3(b)に示すように、リミットスイッチ(位置検出手段)37がストライカ35と接触できるように取り付けられている。該リミットスイッチ37は、キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドに達する手前位置で、ストライカ35と接触してオン作動するように配置されている。
【0032】
図4は、前記リミットスイッチ37を含む電気回路及び油圧回路を説明するシーケンス図である。同図における符号54は、前記リミットスイッチ37の検出信号によって動作するリレー(継電器)である。該リレー54は、キャブ昇降用油圧シリンダ22を作動させるためのソレノイドバルブ(電磁式制御弁)38とキャブ上昇スイッチ39とを結ぶ操作信号ライン40,41上に電気的に配設されている。
【0033】
このリレー54が前記リミットスイッチ37の検出信号によって動作すると、前記ソレノイドバルブ38がオフ位置、即ち、中立位置(N)に切り換えられるように構成されている。従って、該リミットスイッチ37がオン作動すると、リレー54を介して操作信号ライン40,41における信号伝達が遮断されるので、キャブ上昇スイッチ39がオン状態であっても、前記ソレノイドバルブ38は作動しない。
【0034】
さらに、上記ソレノイドバルブ38のスプール42内には絞り部43が設けられている。ソレノイドバルブ38がオフ状態となる中立位置(N)にあるときは、図4に示すように、前記絞り部43の一端が油圧ライン45を介してキャブ昇降用油圧シリンダ22のロッド側油室(非受圧側圧力室)44と連通されると共に、絞り部43の他端が油圧タンク46と連通する。又、ソレノイドバルブ38が作動位置(L)又は(R)にあるときには、油圧源47からの作動油は、油圧ライン48又は油圧ライン45を介してキャブ昇降用油圧シリンダ22の油室49又は油室44に供給されることにより、キャブ昇降用油圧シリンダ22が伸長動作又は収縮動作するように構成されている。
【0035】
本実施例では、前記油圧ライン45の途中には電磁式切替弁50が設けられ、電磁式切替弁50には絞り部51が内蔵されている。ソレノイドバルブ38がオフ位置(N)に切り替わると、前記電磁式切替弁50も同時にオフ位置(B)に切り替わるように設定され、このとき、油圧ライン45を介して電磁式切替弁50の絞り部51とソレノイドバルブ38の絞り部43とが互いに連通するように構成されている。尚、符号55はキャブ下降スイッチであり、キャブ下降スイッチ55は、ソレノイドバルブ38の操作信号ライン56上に設けられている。
【0036】
次に、本実施例に係るキャブ昇降装置の作用について説明する。いま、キャブ20上昇動作させるべく、キャブ上昇スイッチ39がオン状態に設定され、且つ、ソレノイドバルブ38が作動位置(L)に設定されル妬共に、電磁式切替弁50が作動位置(A)に設定されたとする。このとき、油圧源47からの作動油がキャブ昇降用油圧シリンダ22の油室49に供給されるので、キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドに向かって移動する。
【0037】
そして、該キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドの手前位置まで達すると、これをリミットスイッチ37が検出して信号を発する。即ち、リミットスイッチ37がストライカ35に接触して該リミットスイッチ37がオン作動する。これにより、リレー54を介して操作信号ライン40,41が遮断される。これにより、前記ソレノイドバルブ38と電磁式切替弁50が、図5に示すようにオフ位置(N)、(B)に夫々切り替わる。そのため、キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドの手前位置で即時停止する。
【0038】
その結果、図5に示すように、キャブ昇降用油圧シリンダ22のピストン52は、従来技術の如く高圧(リリーフ圧)でシリンダトップ内壁53側に押圧移動する虞がない。よって、ピストン52がシリンダトップ内壁53に接触しなくなる。また、キャブ昇降用油圧シリンダ22の動作は拘束状態に保持されるので、該キャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドに到達することはない。この場合、ソレノイドバルブ38のスプール42内の絞り部43は、油圧ライン45を介して絞り部51及びロッド側油室44と連通した状態になる。
【0039】
以上の如く本発明によると、ソレノイドバルブ38の制御によってキャブ昇降用油圧シリンダ22がストロークエンドの手前位置で停止する。従って、図3(a)に示すように、建設機械の本体M側の振動がキャブ20に伝播しようとした場合、キャブ昇降用油圧シリンダ22が直ちに収縮する。そのため、建設機械の本体M側に衝撃的な振動が発生したときでも、この振動は、キャブ昇降用油圧シリンダ22が瞬時に収縮することで速やかに吸収除去され、以って、キャブ20側へ前記振動が伝播されることが抑制される。
【0040】
また、ソレノイドバルブ38が中立位置(N)に切り換えられた時には、該ソレノイドバルブ38のポートPが油圧タンク46と連通する。このため、ソレノイドバルブ38は、作動油を貯留させるアキュムレータとして機能するので、キャブ20側への振動伝播をより効率良く抑制することができる。
【0041】
更に、上記実施例では、図5に示すように、キャブ昇降用油圧シリンダ22とソレノイドバルブ38との間に電磁式切替弁50が設けられているとともに、油圧ライン45上には絞り部43,51が設けられている。これにより、ソレノイドバルブ38が中立位置にあるときは、前記絞り部43,51によりキャブ昇降用油圧シリンダ22の油圧ライン45に絞り作用が発生する。従って、エンドアタッチメント等の外部機構に強い揺り返し現象が生じた場合でも、これに起因する振動の発生を一層効率よく緩和低減して、振動現象の収束作用を一層促進させることができる。
【0042】
以上、本発明の具体的な実施例を説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。例えば、リミットスイッチ37の検出信号によって動作するリレー54は、ソレノイドバルブ30の操作信号ライン40,41上に限定されず、操作信号ライン56上にも設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のキャブ昇降装置は、油圧ショベル等の建設機械のキャブ昇降装置に限定されることなく、一般の作業機械などにおけるキャブ昇降装置としても有効に利用でき、この場合でも、外部機構からの振動がキャブへ伝達するのを防止できる。
【符号の説明】
【0044】
10 建設機械
11 キャブ昇降装置
17 エンドアタッチメント(外部機構)
20 キャブ
21 昇降動用平行リンク機構
22 キャブ昇降用油圧シリンダ
35 ストライカ
37 リミットスイッチ(位置検出手段)
38 ソレノイドバルブ(電磁式制御弁)
39 キャブ上昇スイッチ
40,41,56 操作信号ライン
44,49 油室
43,51 絞り部
50 電磁式切替弁
52 ピストン
53 シリンダトップ内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ昇降用油圧シリンダを用いてキャブを昇降させるように構成された建設機械の キャブ昇降装置であって、
前記キャブ昇降用油圧シリンダがストロークエンドの手前位置に達したことを検出する位置検出手段と、
前記キャブ昇降用油圧シリンダの伸縮動作を制御する電磁式制御弁と、
前記電磁式制御弁の操作信号ラインに設けられ、前記位置検出手段の検出信号によって動作する継電器とを備え、
前記継電器が前記位置検出手段の検出信号によって動作したとき、前記電磁式制御弁が中立位置に切換えられることにより、前記キャブ昇降用油圧シリンダが前記ストロークエンドの手前位置で停止するように構成したことを特徴とする建設機械のキャブ昇降装置。
【請求項2】
上記電磁式制御弁は、中立位置において油圧タンクと連通するように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械のキャブ昇降装置。
【請求項3】
上記キャブ昇降用油圧シリンダと上記電磁式制御弁とを接続する油圧ラインの途中には、絞り部を有する切替弁が設けられ、該電磁式制御弁が中立位置のとき、前記切替弁の絞り部により前記油圧ラインに絞り作用が生ずるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のキャブ昇降装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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