建設機械の足場構造
【課題】上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された足場部材を備えた建設機械の足場構造において、作業者が足場部材に乗り降りする際に生じる足場部材の撓み量を低減できる。
【解決手段】上部旋回体2の前後方向に並ぶように、足場部材30が複数配設される。互いに隣接する足場部材30同士は、足場部材30の張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結連結される。連結部材60は、互いに隣接する足場部材30の隙間に嵌合させるスペーサ部材61と、スペーサ部材61を足場部材30間に挟持させた状態で足場部材30同士を締結固定する締結ボルト62及び締結ナット63とを備える。
【解決手段】上部旋回体2の前後方向に並ぶように、足場部材30が複数配設される。互いに隣接する足場部材30同士は、足場部材30の張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結連結される。連結部材60は、互いに隣接する足場部材30の隙間に嵌合させるスペーサ部材61と、スペーサ部材61を足場部材30間に挟持させた状態で足場部材30同士を締結固定する締結ボルト62及び締結ナット63とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の足場構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下部走行体と、下部走行体上に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の側壁面から外方に張り出した歩行用台とを備えた建設機械の足場構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。上部旋回体には、運転室、エンジン、及び油圧機器等が設けられている。また、歩行用台としての足場部材は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されている。作業者は、足場部材の踏み面を利用して上部旋回体に乗り降り可能であり、安全且つ容易に運転室に乗車したり、エンジンや油圧機器等のメンテナンスを行うことができる。
【0003】
ここで、建設機械を工事現場まで搬送する際には、建設機械をトラックやトレーラ等の運搬車両に載せる必要があるが、運搬車両で搬送可能な荷幅は道路法によって制限されている。そのため、足場部材を上部旋回体の側壁面から外方に張り出したままの状態では、荷幅制限をオーバーするおそれがある。
【0004】
そこで、従来の建設機械では、足場部材を上部旋回体から取り外し可能な構造としたり、足場部材の踏み面を上部旋回体の側壁面に沿って立設させて格納可能な構造とすることで、運搬車両の荷幅制限内に収めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−244960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の建設機械の足場構造では、足場部材が上部旋回体の側壁面から外方に張り出した、いわゆる片持ち支持構造となっているため、作業者が足場部材に乗り降りする際に、足場部材が撓んでしまうという問題がある。特に、特許文献1に記載の足場部材のように、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された構成では、各足場部材の全長が短くなるため、その撓み量が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された足場部材を備えた建設機械の足場構造において、作業者が足場部材に乗り降りする際に生じる足場部材の撓み量を低減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下部走行体と、該下部走行体上に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の側壁面から外方に張り出した足場部材とを備えた建設機械の足場構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、前記足場部材は、前記上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されており、
互いに隣接する前記足場部材同士を、その張り出し側端部において係合自在に連結する連結部材を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、上部旋回体の前後方向に並ぶように、足場部材が複数配設される。互いに隣接する足場部材同士は、連結部材によって連結される。連結部材は、足場部材の張り出し側端部において足場部材同士を係合自在に連結している。
【0011】
このような構成とすれば、作業者が足場部材に乗り降りする際の荷重が、連結部材で連結された複数の足場部材に分散されることとなるため、1つの足場部材のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材の撓み量を低減することができる。
【0012】
また、連結部材による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材の着脱作業を行いやすくなる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材の隙間に嵌合させるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材を前記足場部材間に挟持させた状態で該足場部材同士を締結固定する締結部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、連結部材は、スペーサ部材と締結部材とを備える。スペーサ部材は、互いに隣接する足場部材の隙間に嵌合されて足場部材間に挟持される。足場部材同士は、締結部材により締結固定される。
【0015】
このような構成とすれば、足場部材の隙間にスペーサ部材を嵌合させて足場部材同士を締結部材によって締結固定するだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができる。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方には、他方の該足場部材側に開口した係合孔が形成され、
前記連結部材は、他方の前記足場部材に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明では、互いに隣接する足場部材のうち一方には、係合孔が形成される。係合孔は、他方の足場部材側に開口している。他方の足場部材には、連結部材が設けられる。連結部材は、ラッチ部材で構成され、係合孔に対して進退させることで足場部材同士が係合自在とされる。
【0018】
このような構成とすれば、ラッチ部材を係合孔に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0019】
第4の発明は、第1の発明において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方に設けられ、該足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成された係合部材と、
他方の前記足場部材における前記係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
第4の発明では、連結部材は、互いに隣接する足場部材のうち一方に設けられた係合部材と、他方の足場部材に設けられたラッチ部材とを備える。係合部材には、足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成される。ラッチ部材は、係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、係合孔に対して進退させることで足場部材同士が係合自在とされる。
【0021】
このような構成とすれば、ラッチ部材を係合部材の係合孔に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができ、作業性が向上する。さらに、足場部材の踏み面を上部旋回体の側壁面に沿って立設させて足場部材を格納すると、ラッチ部材が自重により係合孔から外れる方向に移動する。これにより、再び足場部材を展開する際に、複数の足場部材が同時に展開してしまうことがなく、安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業者が足場部材に乗り降りする際の荷重が、連結部材で連結された複数の足場部材に分散されることとなるため、1つの足場部材のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材の撓み量を低減することができる。
【0023】
また、連結部材による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材の着脱作業を行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【図2】建設機械の全体構成を示す斜視図である。
【図3】足場部材を展開位置に位置付けたときの正面図である。
【図4】足場部材を格納位置に位置付けたときの正面図である。
【図5】足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図6】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図7】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【図8】本実施形態2に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図9】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図10】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【図11】本実施形態3に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図12】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図13】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図、図2は斜視図である。図1及び図2に示すように、この建設機械10は、クローラ式の下部走行体1の上に、旋回可能な上部旋回体2が搭載された油圧ショベルである。
【0027】
上部旋回体2は、車体フレームとしての旋回フレーム3と、旋回フレーム3の前端側に設けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、旋回フレーム3の後端側に設けられてアタッチメント4との重量バランスを取るためのカウンタウエイト7とを備えている。
【0028】
なお、本実施形態では、図1において、図面左側のアタッチメント4が配置された側を車両前側、紙面手前側のキャブ5が配置された側を車両左側とし、以下の説明では前後左右等の方向は特に言及しない限り、これに従うものとする。また、図2では、下部走行体1及びアタッチメント4の記載を省略している。
【0029】
アタッチメント4は、基端側が旋回フレーム3に回動可能に取り付けられたブーム11と、ブーム11の先端側に回動可能に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端側に回動可能に取り付けられたバケット13とを備えている。
【0030】
キャブ5は、その内部に運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された矩形箱型の運転室であり、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように上部旋回体2の前部左側に配設されている。
【0031】
機械室6は、上部旋回体2の後部に左右両側間にわたって設けられている。機械室6の後側にはカウンタウエイト7が配設されている。そして、機械室6の左前方部には、作動油を貯留する作動油タンク15が配設されている。機械室6の右前方部には、燃料を貯留する燃料タンク16が配設されている。
【0032】
機械室6及びカウンタウエイト7の上部には、機械室6及びカウンタウエイト7の上部に乗った作業者の安全性を確保するために、安全柵17が立設している。また、旋回フレーム3の右前方側には、作業者の乗り降り動作を補助するためのハンドレール18が立設している。
【0033】
上部旋回体2における旋回フレーム3の左側の側壁面には、車両前後方向に並ぶように複数の足場部材30が設けられている(図2に示す例では4枚)。足場部材30は、後述するヒンジ部材40に回動自在に取り付けられ、その踏み面が略水平となるように張り出させた展開位置(図3参照)と、踏み面が旋回フレーム3の側壁面に沿うように立設させた格納位置(図4参照)との間で回動自在に構成されている。
【0034】
複数の足場部材30のうち最前列の足場部材30は、その前面部が傾斜している。そして、足場部材30の前面部には取っ手19が取り付けられている。足場部材30の側面部には下方に延びる取っ手19が取り付けられている。側面部に取り付けられた取っ手19は、足場部材30に対して着脱自在とされ、足場部材30を格納位置に位置付けたときに取っ手19を取り外すことで、車両の幅方向に突出しないようにしている。
【0035】
図5は、足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図6は、下面側から見た平面図、図7は、下面側から見た斜視図である。図5〜図7に示すように、足場部材30は、足場部材30の踏み面を構成する踏面板31と、踏面板31の周縁に沿って下方に延びる周縁板32と、踏面板31の幅方向の略中央位置で車両前後方向に延びる縦梁33と、踏面板31の長手方向に間隔をあけて配設された横梁34とを備えている。
【0036】
踏面板31には、複数の孔が形成されている。これらの孔は、踏面板31の裏面側から打ち抜かれることによって形成され、孔の周縁は表面側に突出しており、作業者が踏面板31に乗り降りする際の滑り止めとして機能する。
【0037】
周縁板32は、踏面板31の周縁に沿って取り付けられ、踏面板31を補強する補強リブを構成している。周縁板32における、隣接する足場部材30に対向する面で且つ足場部材30の張り出し側端部には、挿通孔36が形成されている。挿通孔36には、後述する連結部材60の締結ボルト62が挿通される。
【0038】
縦梁33は、踏面板31の幅方向の略中央位置で車両前後方向に延び、前後方向の両端部が周縁板32に接合されている。縦梁33は、踏面板31を補強する補強リブを構成している。
【0039】
横梁34は、踏面板31の長手方向に間隔をあけて配設されている。横梁34の基端部は、踏面板31よりも外方に延び、ヒンジ部材40に回動自在に取り付けられている。横梁34の張り出し側端部は、周縁板32に接合されている。横梁34は、踏面板31を補強する補強リブを構成している。また、旋回フレーム3側の周縁板32と横梁34とは、補強リブ35によって接合されている。周縁板32における補強リブ35が接合された位置は、後述するストッパボルト47の当接面となっている。
【0040】
ヒンジ部材40は、横梁34の基端部が収容される凹部を有するヒンジ本体41と、ヒンジ本体41及び横梁34に貫通して横梁34を回動自在に支持する回動軸42とを備えている。ヒンジ部材40は、取付ブラケット45を介して旋回フレーム3に取り付けられている。
【0041】
最前列の足場部材30の取付ブラケット45は、車両前後方向の両端にフランジ面を有するように折り曲げられた板状体で形成されている。取付ブラケット45のフランジ面は、旋回フレーム3の側壁面から膨出した膨出部3aに当接され且つ締結ボルト(図示省略)によって締結固定されている。
【0042】
残りの足場部材30の取付ブラケット45は、板状体で形成されている。取付ブラケット45は、旋回フレーム3の側壁面に当接され且つ締結ボルト(図示省略)によって締結固定されている。
【0043】
取付ブラケット45には、ヒンジ本体41に隣接してストッパボルト47が配設されている。ストッパボルト47の軸部は、旋回フレーム3の外方に向かって延び、その先端部に頭部が設けられている。そして、足場部材30を展開位置に位置付けたときに、旋回フレーム3側の周縁板32にストッパボルト47の頭部が当接することで、足場部材30の踏み面が略水平となるように規制される。
【0044】
互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、円筒状のスペーサ部材61と、締結部材としての締結ボルト62及び締結ナット63とを備えている。
【0045】
スペーサ部材61は、互いに隣接する足場部材30の隙間で且つ周縁板32の挿通孔36に対応する位置に嵌合されている。そして、スペーサ部材61が足場部材30間に挟持された状態で、後側の足場部材30の挿通孔36から締結ボルト62の軸部が挿通される。締結ボルト62の軸部の先端は、スペーサ部材61及び前側の足場部材30の挿通孔を通って前側の足場部材30の周縁板32から突出し、締結ナット63によって締結固定されている。これにより、足場部材30同士が締結ボルト62及び締結ナット63によって締結固定されるとともに、スペーサ部材61が足場部材30間に挟持された状態で共締めされる。
【0046】
このような構成とすれば、作業者が足場部材30に乗り降りする際の荷重が、連結部材60で連結された複数の足場部材30に分散されることとなるため、1つの足場部材30のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材30の撓み量を低減することができる。
【0047】
また、連結部材60による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材30に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材60の着脱作業を行いやすくなる。
【0048】
なお、本実施形態では、互いに隣接する足場部材30の隙間にスペーサ部材61を挟持させた状態で、締結ボルト62及び締結ナット63によって足場部材30同士を連結するようにしたが、スペーサ部材61を隙間に嵌合させることなく、締結ボルト62及び締結ナット63のみで足場部材30同士を連結するようにしてもよい。
【0049】
《実施形態2》
図8は、本実施形態2に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図9は、下面側から見た平面図、図10は、下面側から見た斜視図である。前記実施形態1との違いは、連結部材60の構成であるため、以下、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0050】
図8〜図10に示すように、互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、ラッチピン71と、ラッチ本体72と、ラッチハンドル73とを備えたラッチ部材70で構成されている。ラッチピン71は、ラッチ本体72に収容され、車両前後方向に進退自在となっている。ラッチピン71には、ラッチピン71の軸方向に垂直な方向に延びるラッチハンドル73が取り付けられており、作業者は、ラッチハンドル73を把持してラッチピン71を進退させることができる。
【0051】
ラッチ本体72は、互いに隣接する足場部材30のうち後側の足場部材30に取り付けられ、足場部材30の張り出し側端部に配設されている。後側の足場部材30の周縁板32には、ラッチピン71を挿通させる挿通孔36が形成されている。前側の足場部材30の周縁板32には、ラッチピン71を係合させる係合孔37が形成されている。
【0052】
ここで、作業者が、ラッチピン71を前側に移動させて係合孔37に係合させることで、足場部材30同士が連結される。一方、ラッチピン71を後側に移動させて係合孔37との係合を解除することで、足場部材30同士の連結が解除される。
【0053】
このような構成とすれば、ラッチピン71を係合孔37に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材30同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0054】
《実施形態3》
図11は、本実施形態3に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図12は、下面側から見た平面図、図13は、下面側から見た斜視図である。図11〜図13に示すように、互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、ラッチ部材70と、係合部材80とで構成されている。ラッチ部材70及び係合部材80は、互いに隣接する足場部材30の隙間に配設されている。
【0055】
係合部材80は、互いに隣接する足場部材30のうち前側の足場部材30に取り付けられている。係合部材80は、足場部材30の張り出し側端部に配設されている。係合部材80には、足場部材30の幅方向側に開口した係合孔81が形成されている。
【0056】
ラッチ部材70は、係合部材80よりも幅方向内方側に配設され且つ後側の足場部材30に取り付けられている。ラッチ部材70は、ラッチピン71と、ラッチ本体72と、ラッチハンドル73とを備えている。ラッチピン71は、ラッチ本体72に収容され、車両幅方向に進退自在となっている。ラッチピン71には、ラッチピン71の軸方向に垂直な方向に延びるラッチハンドル73が取り付けられている。ラッチピン71は、後側の足場部材30の周縁板32に形成されたガイド孔38に挿通されている。
【0057】
ガイド孔38は、車両幅方向に沿って延びるとともに、その両端部が下方に延びた形状となっている。つまり、作業者がラッチハンドル73を把持し、ガイド孔38に沿ってラッチピン71を進退させると、幅方向の両端位置において、ラッチハンドル73がガイド孔38内でロックされ、ラッチピン71が幅方向に移動不能となる。
【0058】
ここで、作業者が、ラッチピン71を幅方向外方に移動させて係合部材80の係合孔81に係合させることで、足場部材30同士が連結される。一方、ラッチピン71を幅方向内方に移動させて係合孔81との係合を解除することで、足場部材30同士の連結が解除される。
【0059】
このような構成とすれば、ラッチ部材70のラッチピン71を係合部材80の係合孔81に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材30同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0060】
なお、本実施形態では、ガイド孔38を、車両幅方向に沿って延びるとともに、その両端部が下方に延びた形状とすることで、幅方向の両端位置でラッチピン71をロックさせる形態としたが、ガイド孔38を車両幅方向にのみ延ばした形状としてもよい。このようにすれば、足場部材30の踏み面を上部旋回体2の側壁面に沿って立設させて足場部材30を格納すると、ラッチピン71が自重により係合孔81から外れる方向に移動する。これにより、再び足場部材30を展開する際に、複数の足場部材30が同時に展開してしまうことがなく、安全性を確保することができる。
【0061】
また、本実施形態では、前側の足場部材30に係合部材80を取り付ける一方、後側の足場部材30にラッチ部材70を取り付けた形態について説明したが、前側の足場部材30にラッチ部材70を取り付ける一方、後側の足場部材30に係合部材80を取り付けた形態であってもよい。
【0062】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0063】
本実施形態では、展開位置と格納位置とで回動自在な構造の複数の足場部材30を連結部材60で連結するようにした形態について説明したが、上部旋回体2の旋回フレーム3から取り外し可能な構造の複数の足場部材30を連結部材60で連結するようにした形態であってもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、前後方向に並ぶ複数の足場部材30のうち何れか1つ(図2では最前列の足場部材30)には、展開位置において足場部材30が回動しないように規制する回動規制部材(図示省略)が設けられている。そのため、互いに隣接する足場部材30同士を連結部材60によって連結すれば、残りの足場部材30に対して回動規制部材を設けなくても、足場部材30全体として展開位置における回動動作を規制することができ、部品点数の削減に繋がる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された足場部材を備えた建設機械の足場構造において、作業者が足場部材に乗り降りする際に生じる足場部材の撓み量を低減できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0066】
1 下部走行体
2 上部旋回体
10 建設機械
30 足場部材
37 係合孔
60 連結部材
61 スペーサ部材
62 締結ボルト(締結部材)
63 締結ナット(締結部材)
70 ラッチ部材
80 係合部材
81 係合孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の足場構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下部走行体と、下部走行体上に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の側壁面から外方に張り出した歩行用台とを備えた建設機械の足場構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。上部旋回体には、運転室、エンジン、及び油圧機器等が設けられている。また、歩行用台としての足場部材は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されている。作業者は、足場部材の踏み面を利用して上部旋回体に乗り降り可能であり、安全且つ容易に運転室に乗車したり、エンジンや油圧機器等のメンテナンスを行うことができる。
【0003】
ここで、建設機械を工事現場まで搬送する際には、建設機械をトラックやトレーラ等の運搬車両に載せる必要があるが、運搬車両で搬送可能な荷幅は道路法によって制限されている。そのため、足場部材を上部旋回体の側壁面から外方に張り出したままの状態では、荷幅制限をオーバーするおそれがある。
【0004】
そこで、従来の建設機械では、足場部材を上部旋回体から取り外し可能な構造としたり、足場部材の踏み面を上部旋回体の側壁面に沿って立設させて格納可能な構造とすることで、運搬車両の荷幅制限内に収めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−244960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の建設機械の足場構造では、足場部材が上部旋回体の側壁面から外方に張り出した、いわゆる片持ち支持構造となっているため、作業者が足場部材に乗り降りする際に、足場部材が撓んでしまうという問題がある。特に、特許文献1に記載の足場部材のように、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された構成では、各足場部材の全長が短くなるため、その撓み量が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された足場部材を備えた建設機械の足場構造において、作業者が足場部材に乗り降りする際に生じる足場部材の撓み量を低減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下部走行体と、該下部走行体上に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の側壁面から外方に張り出した足場部材とを備えた建設機械の足場構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、前記足場部材は、前記上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されており、
互いに隣接する前記足場部材同士を、その張り出し側端部において係合自在に連結する連結部材を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、上部旋回体の前後方向に並ぶように、足場部材が複数配設される。互いに隣接する足場部材同士は、連結部材によって連結される。連結部材は、足場部材の張り出し側端部において足場部材同士を係合自在に連結している。
【0011】
このような構成とすれば、作業者が足場部材に乗り降りする際の荷重が、連結部材で連結された複数の足場部材に分散されることとなるため、1つの足場部材のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材の撓み量を低減することができる。
【0012】
また、連結部材による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材の着脱作業を行いやすくなる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材の隙間に嵌合させるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材を前記足場部材間に挟持させた状態で該足場部材同士を締結固定する締結部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、連結部材は、スペーサ部材と締結部材とを備える。スペーサ部材は、互いに隣接する足場部材の隙間に嵌合されて足場部材間に挟持される。足場部材同士は、締結部材により締結固定される。
【0015】
このような構成とすれば、足場部材の隙間にスペーサ部材を嵌合させて足場部材同士を締結部材によって締結固定するだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができる。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方には、他方の該足場部材側に開口した係合孔が形成され、
前記連結部材は、他方の前記足場部材に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明では、互いに隣接する足場部材のうち一方には、係合孔が形成される。係合孔は、他方の足場部材側に開口している。他方の足場部材には、連結部材が設けられる。連結部材は、ラッチ部材で構成され、係合孔に対して進退させることで足場部材同士が係合自在とされる。
【0018】
このような構成とすれば、ラッチ部材を係合孔に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0019】
第4の発明は、第1の発明において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方に設けられ、該足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成された係合部材と、
他方の前記足場部材における前記係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
第4の発明では、連結部材は、互いに隣接する足場部材のうち一方に設けられた係合部材と、他方の足場部材に設けられたラッチ部材とを備える。係合部材には、足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成される。ラッチ部材は、係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、係合孔に対して進退させることで足場部材同士が係合自在とされる。
【0021】
このような構成とすれば、ラッチ部材を係合部材の係合孔に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材同士を連結することができ、作業性が向上する。さらに、足場部材の踏み面を上部旋回体の側壁面に沿って立設させて足場部材を格納すると、ラッチ部材が自重により係合孔から外れる方向に移動する。これにより、再び足場部材を展開する際に、複数の足場部材が同時に展開してしまうことがなく、安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業者が足場部材に乗り降りする際の荷重が、連結部材で連結された複数の足場部材に分散されることとなるため、1つの足場部材のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材の撓み量を低減することができる。
【0023】
また、連結部材による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材の着脱作業を行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【図2】建設機械の全体構成を示す斜視図である。
【図3】足場部材を展開位置に位置付けたときの正面図である。
【図4】足場部材を格納位置に位置付けたときの正面図である。
【図5】足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図6】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図7】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【図8】本実施形態2に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図9】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図10】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【図11】本実施形態3に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図である。
【図12】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た平面図である。
【図13】足場部材同士を連結部材で連結した状態を下面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図、図2は斜視図である。図1及び図2に示すように、この建設機械10は、クローラ式の下部走行体1の上に、旋回可能な上部旋回体2が搭載された油圧ショベルである。
【0027】
上部旋回体2は、車体フレームとしての旋回フレーム3と、旋回フレーム3の前端側に設けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、旋回フレーム3の後端側に設けられてアタッチメント4との重量バランスを取るためのカウンタウエイト7とを備えている。
【0028】
なお、本実施形態では、図1において、図面左側のアタッチメント4が配置された側を車両前側、紙面手前側のキャブ5が配置された側を車両左側とし、以下の説明では前後左右等の方向は特に言及しない限り、これに従うものとする。また、図2では、下部走行体1及びアタッチメント4の記載を省略している。
【0029】
アタッチメント4は、基端側が旋回フレーム3に回動可能に取り付けられたブーム11と、ブーム11の先端側に回動可能に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端側に回動可能に取り付けられたバケット13とを備えている。
【0030】
キャブ5は、その内部に運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された矩形箱型の運転室であり、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように上部旋回体2の前部左側に配設されている。
【0031】
機械室6は、上部旋回体2の後部に左右両側間にわたって設けられている。機械室6の後側にはカウンタウエイト7が配設されている。そして、機械室6の左前方部には、作動油を貯留する作動油タンク15が配設されている。機械室6の右前方部には、燃料を貯留する燃料タンク16が配設されている。
【0032】
機械室6及びカウンタウエイト7の上部には、機械室6及びカウンタウエイト7の上部に乗った作業者の安全性を確保するために、安全柵17が立設している。また、旋回フレーム3の右前方側には、作業者の乗り降り動作を補助するためのハンドレール18が立設している。
【0033】
上部旋回体2における旋回フレーム3の左側の側壁面には、車両前後方向に並ぶように複数の足場部材30が設けられている(図2に示す例では4枚)。足場部材30は、後述するヒンジ部材40に回動自在に取り付けられ、その踏み面が略水平となるように張り出させた展開位置(図3参照)と、踏み面が旋回フレーム3の側壁面に沿うように立設させた格納位置(図4参照)との間で回動自在に構成されている。
【0034】
複数の足場部材30のうち最前列の足場部材30は、その前面部が傾斜している。そして、足場部材30の前面部には取っ手19が取り付けられている。足場部材30の側面部には下方に延びる取っ手19が取り付けられている。側面部に取り付けられた取っ手19は、足場部材30に対して着脱自在とされ、足場部材30を格納位置に位置付けたときに取っ手19を取り外すことで、車両の幅方向に突出しないようにしている。
【0035】
図5は、足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図6は、下面側から見た平面図、図7は、下面側から見た斜視図である。図5〜図7に示すように、足場部材30は、足場部材30の踏み面を構成する踏面板31と、踏面板31の周縁に沿って下方に延びる周縁板32と、踏面板31の幅方向の略中央位置で車両前後方向に延びる縦梁33と、踏面板31の長手方向に間隔をあけて配設された横梁34とを備えている。
【0036】
踏面板31には、複数の孔が形成されている。これらの孔は、踏面板31の裏面側から打ち抜かれることによって形成され、孔の周縁は表面側に突出しており、作業者が踏面板31に乗り降りする際の滑り止めとして機能する。
【0037】
周縁板32は、踏面板31の周縁に沿って取り付けられ、踏面板31を補強する補強リブを構成している。周縁板32における、隣接する足場部材30に対向する面で且つ足場部材30の張り出し側端部には、挿通孔36が形成されている。挿通孔36には、後述する連結部材60の締結ボルト62が挿通される。
【0038】
縦梁33は、踏面板31の幅方向の略中央位置で車両前後方向に延び、前後方向の両端部が周縁板32に接合されている。縦梁33は、踏面板31を補強する補強リブを構成している。
【0039】
横梁34は、踏面板31の長手方向に間隔をあけて配設されている。横梁34の基端部は、踏面板31よりも外方に延び、ヒンジ部材40に回動自在に取り付けられている。横梁34の張り出し側端部は、周縁板32に接合されている。横梁34は、踏面板31を補強する補強リブを構成している。また、旋回フレーム3側の周縁板32と横梁34とは、補強リブ35によって接合されている。周縁板32における補強リブ35が接合された位置は、後述するストッパボルト47の当接面となっている。
【0040】
ヒンジ部材40は、横梁34の基端部が収容される凹部を有するヒンジ本体41と、ヒンジ本体41及び横梁34に貫通して横梁34を回動自在に支持する回動軸42とを備えている。ヒンジ部材40は、取付ブラケット45を介して旋回フレーム3に取り付けられている。
【0041】
最前列の足場部材30の取付ブラケット45は、車両前後方向の両端にフランジ面を有するように折り曲げられた板状体で形成されている。取付ブラケット45のフランジ面は、旋回フレーム3の側壁面から膨出した膨出部3aに当接され且つ締結ボルト(図示省略)によって締結固定されている。
【0042】
残りの足場部材30の取付ブラケット45は、板状体で形成されている。取付ブラケット45は、旋回フレーム3の側壁面に当接され且つ締結ボルト(図示省略)によって締結固定されている。
【0043】
取付ブラケット45には、ヒンジ本体41に隣接してストッパボルト47が配設されている。ストッパボルト47の軸部は、旋回フレーム3の外方に向かって延び、その先端部に頭部が設けられている。そして、足場部材30を展開位置に位置付けたときに、旋回フレーム3側の周縁板32にストッパボルト47の頭部が当接することで、足場部材30の踏み面が略水平となるように規制される。
【0044】
互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、円筒状のスペーサ部材61と、締結部材としての締結ボルト62及び締結ナット63とを備えている。
【0045】
スペーサ部材61は、互いに隣接する足場部材30の隙間で且つ周縁板32の挿通孔36に対応する位置に嵌合されている。そして、スペーサ部材61が足場部材30間に挟持された状態で、後側の足場部材30の挿通孔36から締結ボルト62の軸部が挿通される。締結ボルト62の軸部の先端は、スペーサ部材61及び前側の足場部材30の挿通孔を通って前側の足場部材30の周縁板32から突出し、締結ナット63によって締結固定されている。これにより、足場部材30同士が締結ボルト62及び締結ナット63によって締結固定されるとともに、スペーサ部材61が足場部材30間に挟持された状態で共締めされる。
【0046】
このような構成とすれば、作業者が足場部材30に乗り降りする際の荷重が、連結部材60で連結された複数の足場部材30に分散されることとなるため、1つの足場部材30のみで荷重を受ける場合に比べて、足場部材30の撓み量を低減することができる。
【0047】
また、連結部材60による連結位置を、撓み量が最大となる張り出し側端部にしたことで、足場部材30に生じる撓みを効果的に低減できるとともに、作業者が連結部材60の着脱作業を行いやすくなる。
【0048】
なお、本実施形態では、互いに隣接する足場部材30の隙間にスペーサ部材61を挟持させた状態で、締結ボルト62及び締結ナット63によって足場部材30同士を連結するようにしたが、スペーサ部材61を隙間に嵌合させることなく、締結ボルト62及び締結ナット63のみで足場部材30同士を連結するようにしてもよい。
【0049】
《実施形態2》
図8は、本実施形態2に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図9は、下面側から見た平面図、図10は、下面側から見た斜視図である。前記実施形態1との違いは、連結部材60の構成であるため、以下、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0050】
図8〜図10に示すように、互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、ラッチピン71と、ラッチ本体72と、ラッチハンドル73とを備えたラッチ部材70で構成されている。ラッチピン71は、ラッチ本体72に収容され、車両前後方向に進退自在となっている。ラッチピン71には、ラッチピン71の軸方向に垂直な方向に延びるラッチハンドル73が取り付けられており、作業者は、ラッチハンドル73を把持してラッチピン71を進退させることができる。
【0051】
ラッチ本体72は、互いに隣接する足場部材30のうち後側の足場部材30に取り付けられ、足場部材30の張り出し側端部に配設されている。後側の足場部材30の周縁板32には、ラッチピン71を挿通させる挿通孔36が形成されている。前側の足場部材30の周縁板32には、ラッチピン71を係合させる係合孔37が形成されている。
【0052】
ここで、作業者が、ラッチピン71を前側に移動させて係合孔37に係合させることで、足場部材30同士が連結される。一方、ラッチピン71を後側に移動させて係合孔37との係合を解除することで、足場部材30同士の連結が解除される。
【0053】
このような構成とすれば、ラッチピン71を係合孔37に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材30同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0054】
《実施形態3》
図11は、本実施形態3に係る足場部材同士を連結部材で連結した状態を上面側から見た平面図、図12は、下面側から見た平面図、図13は、下面側から見た斜視図である。図11〜図13に示すように、互いに隣接する足場部材30同士は、その張り出し側端部において連結部材60によって係合自在に連結されている。連結部材60は、ラッチ部材70と、係合部材80とで構成されている。ラッチ部材70及び係合部材80は、互いに隣接する足場部材30の隙間に配設されている。
【0055】
係合部材80は、互いに隣接する足場部材30のうち前側の足場部材30に取り付けられている。係合部材80は、足場部材30の張り出し側端部に配設されている。係合部材80には、足場部材30の幅方向側に開口した係合孔81が形成されている。
【0056】
ラッチ部材70は、係合部材80よりも幅方向内方側に配設され且つ後側の足場部材30に取り付けられている。ラッチ部材70は、ラッチピン71と、ラッチ本体72と、ラッチハンドル73とを備えている。ラッチピン71は、ラッチ本体72に収容され、車両幅方向に進退自在となっている。ラッチピン71には、ラッチピン71の軸方向に垂直な方向に延びるラッチハンドル73が取り付けられている。ラッチピン71は、後側の足場部材30の周縁板32に形成されたガイド孔38に挿通されている。
【0057】
ガイド孔38は、車両幅方向に沿って延びるとともに、その両端部が下方に延びた形状となっている。つまり、作業者がラッチハンドル73を把持し、ガイド孔38に沿ってラッチピン71を進退させると、幅方向の両端位置において、ラッチハンドル73がガイド孔38内でロックされ、ラッチピン71が幅方向に移動不能となる。
【0058】
ここで、作業者が、ラッチピン71を幅方向外方に移動させて係合部材80の係合孔81に係合させることで、足場部材30同士が連結される。一方、ラッチピン71を幅方向内方に移動させて係合孔81との係合を解除することで、足場部材30同士の連結が解除される。
【0059】
このような構成とすれば、ラッチ部材70のラッチピン71を係合部材80の係合孔81に係合させるだけという比較的簡単な構成によって、足場部材30同士を連結することができ、作業性が向上する。
【0060】
なお、本実施形態では、ガイド孔38を、車両幅方向に沿って延びるとともに、その両端部が下方に延びた形状とすることで、幅方向の両端位置でラッチピン71をロックさせる形態としたが、ガイド孔38を車両幅方向にのみ延ばした形状としてもよい。このようにすれば、足場部材30の踏み面を上部旋回体2の側壁面に沿って立設させて足場部材30を格納すると、ラッチピン71が自重により係合孔81から外れる方向に移動する。これにより、再び足場部材30を展開する際に、複数の足場部材30が同時に展開してしまうことがなく、安全性を確保することができる。
【0061】
また、本実施形態では、前側の足場部材30に係合部材80を取り付ける一方、後側の足場部材30にラッチ部材70を取り付けた形態について説明したが、前側の足場部材30にラッチ部材70を取り付ける一方、後側の足場部材30に係合部材80を取り付けた形態であってもよい。
【0062】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0063】
本実施形態では、展開位置と格納位置とで回動自在な構造の複数の足場部材30を連結部材60で連結するようにした形態について説明したが、上部旋回体2の旋回フレーム3から取り外し可能な構造の複数の足場部材30を連結部材60で連結するようにした形態であってもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、前後方向に並ぶ複数の足場部材30のうち何れか1つ(図2では最前列の足場部材30)には、展開位置において足場部材30が回動しないように規制する回動規制部材(図示省略)が設けられている。そのため、互いに隣接する足場部材30同士を連結部材60によって連結すれば、残りの足場部材30に対して回動規制部材を設けなくても、足場部材30全体として展開位置における回動動作を規制することができ、部品点数の削減に繋がる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設された足場部材を備えた建設機械の足場構造において、作業者が足場部材に乗り降りする際に生じる足場部材の撓み量を低減できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0066】
1 下部走行体
2 上部旋回体
10 建設機械
30 足場部材
37 係合孔
60 連結部材
61 スペーサ部材
62 締結ボルト(締結部材)
63 締結ナット(締結部材)
70 ラッチ部材
80 係合部材
81 係合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体上に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の側壁面から外方に張り出した足場部材とを備えた建設機械の足場構造であって、
前記足場部材は、前記上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されており、
互いに隣接する前記足場部材同士を、その張り出し側端部において係合自在に連結する連結部材を備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材の隙間に嵌合させるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材を前記足場部材間に挟持させた状態で該足場部材同士を締結固定する締結部材とを備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項3】
請求項1において、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方には、他方の該足場部材側に開口した係合孔が形成され、
前記連結部材は、他方の前記足場部材に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材で構成されていることを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方に設けられ、該足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成された係合部材と、
他方の前記足場部材における前記係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材とを備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項1】
下部走行体と、該下部走行体上に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の側壁面から外方に張り出した足場部材とを備えた建設機械の足場構造であって、
前記足場部材は、前記上部旋回体の前後方向に並ぶように複数配設されており、
互いに隣接する前記足場部材同士を、その張り出し側端部において係合自在に連結する連結部材を備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材の隙間に嵌合させるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材を前記足場部材間に挟持させた状態で該足場部材同士を締結固定する締結部材とを備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項3】
請求項1において、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方には、他方の該足場部材側に開口した係合孔が形成され、
前記連結部材は、他方の前記足場部材に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材で構成されていることを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記連結部材は、
互いに隣接する前記足場部材のうち一方に設けられ、該足場部材の幅方向側に開口した係合孔が形成された係合部材と、
他方の前記足場部材における前記係合部材よりも幅方向内方側に設けられ、前記係合孔に対して進退させることで該足場部材同士を係合自在なラッチ部材とを備えたことを特徴とする建設機械の足場構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−64232(P2013−64232A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201934(P2011−201934)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
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