説明

建設機械

【課題】 電装品を覆う電装品カバーを利用してエアクリーナの吸気管を兼用する。
【解決手段】 サポート部材14を構成する後仕切り板20に、エアクリーナ21の本体部21Aと電装品23とを一緒に取付け、後仕切り板20には、当該後仕切り板20と共に中空な箱状体27を画成する電装品カバー24を取付ける。この場合、箱状体27を構成する電装品カバー24は、その下端側が外部に開口すると共に、エアクリーナ21の吸込口21Dを取囲んだ状態で当該吸込口21Dに接続されている。これにより、電装品カバー24は、後仕切り板20に取付けられた電装品23を覆って防水状態に保護すると共に、エアクリーナ21の吸気管を兼用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械に関し、特に、エンジンに供給される空気を清浄化するエアクリーナを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成され、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
上部旋回体のベースとなる旋回フレーム上には、動力源としてのエンジンが搭載され、このエンジンは建屋カバーによって覆われている。また、エンジンの吸込側には、通常、空気中に含まれるダスト(塵埃)を分離するエアクリーナが設けられ、このエアクリーナは、本体部内に収容されたフィルタによって空気中のダストを分離することにより、エンジンに供給される空気を清浄化するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ここで、従来技術では、エアクリーナが空気と一緒に雨水や洗浄水を吸い込むのを防止するため、エアクリーナの吸込口(空気流入管)に箱状の吸気管(吸気ダクト)を接続する構成としている。そして、エアクリーナの吸込口に吸気管を接続することにより、雨水等が吸込口からエアクリーナに吸い込まれるのを抑え、吸込口を通じて空気のみをエアクリーナに供給することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、油圧ショベルには、電気系統を制御するためのリレー、ヒューズ等を含む多数の電装品が装備されている。これらの電装品は、雨水や洗浄水が付着して破損する虞れがあるため、通常、箱状の電装品カバーによって覆われることにより、防水状態に保護されている。
【0007】
しかし、上述した従来技術においては、エアクリーナの吸込口に接続される吸気管と、複数の電装品を覆う電装品カバーとが個別に設けられている。このため、吸気管と電装品カバーとを個別に形成することにより、部品点数や組立て工数が増大してしまうという問題がある。
【0008】
また、吸気管と電装品カバーとを、エンジン等の搭載機器を収容する機器収容室内に別々に配置することにより、機器収容室内のスペースが削減されてしまう。この結果、機器収容室内にエンジン等の搭載機器を配置するときのレイアウトの自由度が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、電装品を覆う電装品カバーを利用してエアクリーナの吸気管を兼用することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなす車体フレームと、該車体フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して前記車体フレーム上に搭載されたエンジンと、前記車体フレーム上に立設され前記エンジンを覆う建屋カバーを支持するサポート部材と、本体部内に収容されたフィルタによって浄化した空気を前記エンジンに供給するエアクリーナと、該エアクリーナの吸込口に接続して設けられ前記エアクリーナに外気を導入する吸気管と、電気系統を制御するために設けられた電装品とを備えてなる建設機械に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記サポート部材には、前記エアクリーナの本体部と前記電装品とを一緒に取付ける構成とし、前記サポート部材には、前記電装品を防水状態で保護するため前記サポート部材に取付けられて中空な箱状体を画成する電装品カバーを設け、該電装品カバーは、下側を外部に開口させると共に前記エアクリーナの吸込口に接続することにより前記吸気管を兼用する構成としたことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記エアクリーナの吸込口は、前記エアクリーナの本体部から下向きに延びて設けられ、前記電装品カバーに接続される構成としたことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記サポート部材は、前記カウンタウエイトの前側に設けられた仕切り板であり、前記電装品カバーは該仕切り板に設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、サポート部材と電装品カバーとによって中空な箱状体が画成されるので、この箱状体内に電装品を収容することにより、雨水や洗浄水が電装品に付着するのを防止し、電装品を防水状態で保護することができる。一方、中空な箱状体を構成する電装品カバーをエアクリーナの吸込口に接続することにより、電装品カバーが下側が開口した吸気管を兼用することになる。従って、雨水や洗浄水を電装品カバーを伝って下方に落下させ、空気のみを吸込口を通じてエアクリーナに供給することができる。この結果、雨水等が吸込口を通じてエアクリーナに吸い込まれるのを抑え、目詰り等を防止することができるので、エアクリーナによる空気の清浄化作用を長期に亘って維持することができる。
【0015】
この場合、電装品とエアクリーナの吸込口とを、共通な電装品カバーによって覆うことができるので、電装品を覆う電装品カバーと、エアクリーナの吸込口に接続される吸気管とを別々に用いる必要がなく、部品点数や組立て工数を低減することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
【0016】
しかも、電装品を覆う電装品カバーが、エアクリーナの吸込口に接続される吸気管を兼用することにより、エンジン等の搭載機器を収容する機器収容室のスペースを有効に利用することができ、この機器収容室内に搭載機器を配置するときのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、エアクリーナの吸込口が、本体部から下向きに延びて電装品カバーに接続されることにより、エアクリーナに飛散した雨水等が、エアクリーナの外面を伝って吸込口の先端まで流れたとしても、この雨水等を吸込口から下方へと落下させることができる。この結果、雨水等が吸込口を通じてエアクリーナに吸い込まれるのを抑え、目詰り等を確実に防止することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、カウンタウエイトの前側に設けた仕切り板と電装品カバーとによって画成される箱状体を、この仕切り板に接近させて配置することができる。これにより、箱状体が建屋カバー内に収容される搭載機器の邪魔になるのを抑えることができ、搭載機器を配置するときのレイアウトの自由度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを示す平面図である。
【図3】図1中の建屋カバー、サポート部材、エアクリーナ等を拡大して示す一部破断の正面図である。
【図4】図3中の建屋カバー、サポート部材、エアクリーナ等を上方からみた平面図である。
【図5】建屋カバー、サポート部材、エアクリーナ、電装品カバー等を示す一部破断の斜視図である。
【図6】後仕切り板、電装品カバー、エアクリーナ、電装品等を示す斜視図である。
【図7】サポート部材、電装品カバー、エアクリーナ、電装品等を示す分解斜視図である。
【図8】サポート部材、電装品カバーを図6中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、例えば総重量が7トン以下のいわゆる小型油圧ショベルとして構成されている。油圧ショベル1は、左,右の履帯2Aを有する自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。また、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、カウンタウエイト6、キャブ13、建屋カバー18等により構成されている。
【0022】
5は上部旋回体3のベースとなる車体フレームとしての旋回フレームを示している。この旋回フレーム5は、強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。旋回フレーム5の前端側には作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が取付けられている。また、カウンタウエイト6の前側には、後述のエンジン7、熱交換装置10等が配置されている。
【0023】
7はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されたエンジンで、該エンジン7は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延びる横置き状態で支持されている。そして、エンジン7の左側には、後述の熱交換装置10に冷却風を供給するための冷却ファン7Aが設けられ、エンジン7の右側には、後述の油圧ポンプ9が取付けられている。
【0024】
8はエンジン7に空気を導入するための空気導入管で、該空気導入管8の基端側(下流側)は、エンジン7の吸込側に接続され、空気導入管8の先端側(上流側)には、後述するエアクリーナ21が取付けられている。
【0025】
9はエンジン7の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ9は、エンジン7によって駆動されるものである。そして、油圧ポンプ9は、下部走行体2、上部旋回体3、作業装置4に設けられた各種の油圧アクチュエータに向け、作動用の圧油を吐出するものである。
【0026】
10はエンジン7の左側に冷却ファン7Aと対面して設けられた熱交換装置を示している。この熱交換装置10は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、ターボ過給機(図示せず)によって圧縮された空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。そして、上述したエンジン7、油圧ポンプ9、熱交換装置10等は、後述の建屋カバー18によって覆われる構成となっている。
【0027】
11は旋回フレーム5の前部右側に配設された作動油タンクを示している。この作動油タンク11は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。また、12は作動油タンク11の前側に配設された燃料タンクを示している。この燃料タンク12は、エンジン7に供給される燃料を貯溜するものである。
【0028】
13は作業装置4の左側に隣接して旋回フレーム5の前部左側に配設されたキャブを示している。キャブ13は、オペレータが搭乗する運転室を画成するもので、その内部には、オペレータが着席する運転席、オペレータによって操作される各種の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0029】
14は旋回フレーム5の後部側に立設されたサポート部材を示し、該サポート部材14は後述する建屋カバー18を支持するものである。ここで、サポート部材14は、エンジン7及び熱交換装置11とキャブ13との間を仕切るように旋回フレーム5上を左,右方向に延びる前仕切り板15と、該前仕切り板15の左端側に配置され、キャブ13の後面13Aと対面しつつ旋回フレーム5から上方に立上がる左前仕切り板16と、後述の後仕切り板20と、左前仕切り板16と後仕切り板20との間を連結する屈曲した棒状体からなる連結部材17とを備えて構成されている。
【0030】
18はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示している。この建屋カバー18は、キャブ13及び作動油タンク11とカウンタウエイト6との間を左,右方向に延び、エンジン7、油圧ポンプ9、熱交換装置10、後述のエアクリーナ21等を覆うものである。ここで、建屋カバー18は、エンジン7等の搭載機器を上方から開,閉可能に覆うエンジンカバー18Aと、該エンジンカバー18Aの左端側に配置され、搭載機器を左側方から開,閉可能に覆う左側面ドアカバー18Bと、エンジンカバー18Aの右端側に配置され、搭載機器を右側方から開,閉可能に覆う右側面ドアカバー18Cとにより構成されている。
【0031】
これにより、旋回フレーム5上には、建屋カバー18によって機器収容室19が画成され、この機器収容室19内に、エンジン7、油圧ポンプ9、熱交換装置10、後述のエアクリーナ21等が収容される構成となっている。
【0032】
この場合、エンジンカバー18Aは、キャブ13とカウンタウエイト6との間を左,右方向に延びている。また、エンジンカバー18Aの前端部は、ヒンジ機構を介してサポート部材14の前仕切り板15に回動可能に取付けられ、エンジンカバー18Aの後端側は、上,下方向及び前,後方向に回動(開,閉)する構成となっている。
【0033】
一方、左側面ドアカバー18Bは、キャブ13とカウンタウエイト6の左端部との間を前,後方向に延びている。また、左側面ドアカバー18Bの前端側は、左前仕切り板16の側端面部にヒンジ機構等を介して回動可能に取付けられ、左側面ドアカバー18Bの後端側は、後述する後仕切り板20の他側端面部20Eにキャッチ機構等を介して係脱可能に取付けられている。
【0034】
次に、上述の前仕切り板15、左前仕切り板16等と共にサポート部材14を構成する後仕切り板について説明する。
【0035】
20はカウンタウエイト6の左前側に設けられた後仕切り板を示し、該後仕切り板20は、その下端側がボルト(図示せず)を用いて旋回フレーム5に固定されることにより、カウンタウエイト6の前面と対面した状態で旋回フレーム5上に立設されている。そして、図5ないし図7に示すように、後仕切り板20は、左前仕切り板16との間に機器収容室19の左側部分を形成し、左前仕切り板16と一緒に左側面ドアカバー18Bを支持するものである。
【0036】
ここで、後仕切り板20は、カウンタウエイト6の前面と対面しつつ旋回フレーム5から上方に立上った立上り面部20Aと、立上り面部20Aの上端部から水平方向に突出した上端面部20Bと、上端面部20Bの突出端側から立上り面部20Aと対面しつつ下向きに折曲げられたフランジ部20Cと、立上り面部20Aの一方の側端部から前方に向けて折曲げられた一側端面部20Dと、立上り面部20Aの他方の側端部から前方に向けて折曲げられた他側端面部20Eとにより構成されている。
【0037】
この場合、立上り面部20Aには後述の電装品23が取付けられ、立上り面部20Aのうち他側端面部20Eの近傍部位には、上,下方向に離間して2個のボルト挿通孔20A1が穿設されている。一方、上端面部20Bには後述のエアクリーナ21が取付けられ、このエアクリーナ21の吸込口21Dが挿通される大径孔20B1と、該大径孔20B1の近傍に配置された2個のボルト挿通孔20B2が穿設されている。また、フランジ部20Cには、2個のボルト挿通孔20C1が穿設されている。さらに、他側端面部20Eには、左側面ドアカバー18Bの後端部を支持する構成となっている。
【0038】
21は後仕切り板20に取付けられた遠心分離型のエアクリーナを示している。このエアクリーナ21は、エンジン7の吸込側に接続された空気導入管8の上流側に設けられ、エンジン7に供給される空気中のダストを遠心分離し、清浄化した空気のみをエンジン7に供給するものである。
【0039】
ここで、エアクリーナ21は、円筒状の筒体からなる本体部21Aと、該本体部21A内に収容され空気中のダストを捕捉するフィルタ21Bと、本体部21Aの軸方向の中央部に設けられた取付台座21Cと、本体部21Aの外周側から下向きに延びて設けられ下端側の開口部から空気を吸込む円筒状の吸込口21Dと、本体部21Aの軸方向の一端側に設けられ清浄化した空気を空気導入管8に排出する排出口21Eと、本体部21Aの軸方向の他端側から下向きに突出し、分離したダストを外部に排出するダスト排出管21Fとにより大略構成されている。
【0040】
このエアクリーナ21は、図7に示すように、後仕切り板20の上端面部20Bに取付台座21Cを載置した状態で、上端面部20Bのボルト挿通孔20B2に下方から挿通したボルト22を取付台座21Cに螺着することにより、後仕切り板20の上端面部20Bに取付けられている。この状態で、エアクリーナ21の吸込口21Dは、後仕切り板20の上端面部20Bに設けられた大径孔20B1に挿通され、エアクリーナ21の排出口21Eは、エンジン7から延びる空気導入管8に接続されている。
【0041】
そして、エアクリーナ21は、吸込口21Dを通じて本体部21A内に吸込まれた空気中のダストをフィルタ21Bによって捕捉すると共に、本体部21A内で空気を旋回させてダストを遠心分離し、この遠心分離したダストをダスト排出管21Fを通じて外部に排出することにより、清浄化された空気のみを排出口21Eを通じて空気導入管8に排出し、エンジン7に供給する構成となっている。
【0042】
23はサポート部材14の後仕切り板20に設けられた複数の電装品を示している。これらの電装品23は、例えばリレー、ヒューズ等からなり、油圧ショベル1に搭載された電気機器に対する給電を行うための電気系統を制御するものである。ここで、電装品23は、後仕切り板20の立上り面部20Aに取付けられ、後述の電装品カバー24によって覆われることにより、雨水や洗浄水等から防水状態で保護されている。
【0043】
次に、サポート部材14の後仕切り板20に取付けられる電装品カバー24について説明する。
【0044】
24は後仕切り板20に取付けられる電装品カバーを示している。この電装品カバー24は、矩形状の平板に折曲げ加工を施すことにより形成され、各電装品23を覆うと共に、エアクリーナ21の吸込口21Dが接続される吸気管を兼用するものである。
【0045】
ここで、図6ないし図8に示すように、電装品カバー24は、後仕切り板20の立上り面部20Aと間隔をもって対面する前面部24Aと、該前面部24Aの一方の側端部から後仕切り板20の一側端面部20Dに向けて傾斜するように折曲げられた傾斜折曲面部24Bと、前面部24Aの他方の側端部から後仕切り板20の立上り面部20Aに向けて略直角に折曲げられた直角折曲面部24Cと、該直角折曲面部24Cの端部に設けられ、後仕切り板20の立上り面部20Aに当接する取付面部24Dとにより構成されている。
【0046】
また、前面部24Aの上端側には、後仕切り板20のフランジ部20Cに穿設されたボルト挿通孔20C1と対応する2個のボルト挿通孔24A1が穿設され、取付面部24Dには、後仕切り板20の立上り面部20Aに穿設されたボルト挿通孔20A1と対応する2個のボルト挿通孔24D1が穿設されている。
【0047】
そして、図7に示すように、電装品カバー24の取付面部24Dに設けたボルト挿通孔24D1と、後仕切り板20の立上り面部20Aに設けたボルト挿通孔20A1とにボルト25を挿通し、また、電装品カバー24の前面部24Aに設けたボルト挿通孔24A1と、後仕切り板20のフランジ部20Cに設けたボルト挿通孔20C1とにボルト25を挿通し、これら各ボルト25にナット26を螺着することにより、後仕切り板20に電装品カバー24が取付けられている。
【0048】
このとき、電装品カバー24の上端縁24Eは、後仕切り板20に設けられた上端面部20Bの周縁に隙間なく当接し、電装品カバー24の傾斜折曲面部24Bの側端縁24Fは、後仕切り板20に設けられた一側端面部20Dの側端縁に隙間なく当接している。一方、電装品カバー24の下端縁24Gは、後仕切り板20の立上り面部20Aから上端面部20Bが突出した分だけ離間している。これにより、図6及び図8に示すように、後仕切り板20の立上り面部20A、上端面部20B、一側端面部20Dと電装品カバー24とによって、五角形の断面形状を有する中空な箱状体27が画成され、この箱状体27の下端部は開口部27Aとなっている。
【0049】
このように、電装品カバー24は、後仕切り板20に取付けられることにより中空な箱状体27を画成し、この箱状体27内に電装品23を収容することにより、雨水や洗浄水から電装品23を防水状態で保護することができる構成となっている。
【0050】
また、箱状体27を構成する後仕切り板20の上端面部20Bに穿設した大径孔20B1に、エアクリーナ21の吸込口21Dを挿通することにより、電装品カバー24と後仕切り板20とによって画成された箱状体27は、エアクリーナ21の吸込口21Dに接続された吸気管(吸気ダクト)として機能する。この場合、箱状体27の下端側の開口部27Aは、エンジン7の作動によってエアクリーナ21の吸込口21Dに空気が吸い込まれるときに、この空気と一緒に雨水等が吸込口21Dに吸込まれないだけの面積に設定されている。
【0051】
このように、後仕切り板20と共に箱状体27を画成する電装品カバー24は、エアクリーナ21の吸込口21Dを取囲んだ状態で当該吸込口21Dに接続され、アクリーナ21の吸気管を兼用する構成となっている。
【0052】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、該油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行なう。
【0053】
ここで、後仕切り板20に取付けられた各電装品23を覆う電装品カバー24は、後仕切り板20と共に箱状体27を画成し、この箱状体27は、エアクリーナ21の吸込口21Dに接続された吸気管として機能する。
【0054】
このため、エンジン7の作動時に、エンジン7の吸込側に接続された空気導入管8内が負圧傾向となると、この空気導入管8の上流側に接続されたエアクリーナ21の吸込口21Dに空気(外気)が吸い込まれる。この場合、エアクリーナ21の吸込口21Dには吸気管としての箱状体27が接続されているので、空気は箱状体27の開口部27Aから箱状体27内に導入された後、エアクリーナ21の吸込口21Dを通じて本体部21A内に吸い込まれる。
【0055】
そして、エアクリーナ21の本体部21A内に吸込まれた空気は、本体部21A内で旋回流を発生する。これにより、空気中に混入したダストは、本体部21A内で遠心分離されると共に、本体部21A内に収容されたフィルタ21Bによって捕捉される。このようにして、エアクリーナ21によって空気中のダストを除去することにより、清浄な空気のみをエアクリーナ21の排出口21Eから空気導入管8に排出し、この空気導入管8を通じてエンジン7に供給することができる。従って、例えば砕石現場等の多量のダストが空気中に混入する作業現場においても、エアクリーナ21によって清浄化した空気のみをエンジン7に供給することができ、エンジン7の寿命を延ばすことができる。
【0056】
一方、雨天時に油圧ショベル1を稼働させる場合には、建屋カバー18によって覆われた機器収容室19内にも雨水の一部が侵入するようになる。この場合、後仕切り板20に取付けられた電装品23は、電装品カバー24と後仕切り板20とによって画成された箱状体27内に収容されるので、雨水から電装品23を防水状態で保護することができる。この結果、雨水等が電装品23に付着するのを確実に防止することができ、電装品23の耐久性を高めることができる。
【0057】
また、後仕切り板20と電装品カバー24とによって画成された箱状体27が、エアクリーナ21の吸込口21Dに接続された吸気管として機能することにより、雨水を、後仕切り板20や電装品カバー24を伝って下方に落下させることができ、箱状体27内に導入された空気のみを、吸込口21Dを通じてエアクリーナ21内に供給することができる。このため、フィルタ21Bの目詰り等を抑えることができ、エアクリーナ21による空気の清浄化作用を長期に亘って維持することができる。
【0058】
しかも、エアクリーナ21の吸込口21Dを、本体部21Aの外周側から下向きに延ばした状態で、後仕切り板20と電装品カバー24とが画成する箱状体27内に挿入することにより、エアクリーナ21の外面に飛散した雨水等が、エアクリーナ21の外面を伝って吸込口21Dの先端まで流れたとしても、この雨水等を吸込口21Dから下方へと落下させることができる。この結果、雨水等が吸込口21Dを通じて本体部21A内に吸い込まれるのを抑え、目詰り等を確実に防止することができる。
【0059】
かくして、本実施の形態によれば、サポート部材14を構成する後仕切り板20に、エアクリーナ21の本体部21Aと電装品23とを一緒に取付け、後仕切り板20には、当該後仕切り板20と共に中空な箱状体27を画成する電装品カバー24を取付ける構成としている。そして、箱状体27を構成する電装品カバー24は、その下端側が外部に開口すると共に、エアクリーナ21の吸込口21Dを取囲んだ状態で当該吸込口21Dに接続されている。これにより、電装品カバー24は、後仕切り板20に取付けられた電装品23を覆って防水状態に保護すると共に、エアクリーナ21の吸気管を兼用することができる。
【0060】
このように、本実施の形態によれば、電装品23とエアクリーナ21の吸込口21Dとを、共通な電装品カバー24によって覆うことができるので、エアクリーナ21の吸込口21Dに接続される吸気管を、電装品23を覆う電装品カバー24とは別に設ける必要がない。この結果、部品点数や組立て工数を低減することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
【0061】
しかも、電装品23を覆う電装品カバー24が、エアクリーナ21の吸込口21Dに接続される吸気管を兼用することにより、建屋カバー18によって覆われた機器収容室19のスペースを有効に利用することができる。この結果、機器収容室19内にエンジン7、油圧ポンプ9、熱交換装置10、エアクリーナ21等の搭載機器を配置するときのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0062】
さらに、カウンタウエイト6の左前側に設けた後仕切り板20に電装品カバー24を取付けることにより、後仕切り板20と電装品カバー24とによって画成される箱状体27を、後仕切り板20に接近させて配置することができる。この結果、箱状体27が機器収容室19に配置される搭載機器の邪魔になるのを抑えることができ、機器収容室19内に搭載機器を配置するときのレイアウトの自由度を一層高めることができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、エアクリーナ21、電装品23及び電装品カバー24を後仕切り板20に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば左前仕切り板16に、エアクリーナ21、電装品23及び電装品カバー24を取付ける構成としてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等のエアクリーナとプレクリーナとを搭載した建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 油圧ショベル(建設機械)
5 旋回フレーム(車体フレーム)
6 カウンタウエイト
7 エンジン
14 サポート部材
18 建屋カバー
20 後仕切り板
21 エアクリーナ
21A 本体部
21B フィルタ
21D 吸込口
23 電装品
24 電装品カバー
27 箱状体
27A 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなす車体フレームと、該車体フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して前記車体フレーム上に搭載されたエンジンと、前記車体フレーム上に立設され前記エンジンを覆う建屋カバーを支持するサポート部材と、本体部内に収容されたフィルタによって浄化した空気を前記エンジンに供給するエアクリーナと、該エアクリーナの吸込口に接続して設けられ前記エアクリーナに外気を導入する吸気管と、電気系統を制御するために設けられた電装品とを備えてなる建設機械において、
前記サポート部材には、前記エアクリーナの本体部と前記電装品とを一緒に取付ける構成とし、
前記サポート部材には、前記電装品を防水状態で保護するため前記サポート部材に取付けられて中空な箱状体を画成する電装品カバーを設け、
該電装品カバーは、下側を外部に開口させると共に前記エアクリーナの吸込口に接続することにより前記吸気管を兼用する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記エアクリーナの吸込口は、前記エアクリーナの本体部から下向きに延びて設けられ、前記電装品カバーに接続される構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記サポート部材は、前記カウンタウエイトの前側に設けられた仕切り板であり、前記電装品カバーは該仕切り板に設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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