弁と管との継手構造および弁
【課題】シール材を挿口の外周面と受口の内周面との間に良好に挿入することができる弁と管との継手構造を提供する。
【解決手段】シール材22は押輪23によって受口奥方向Bへ押圧される基端部24を有し、押輪23に、シール材22の基端部24が嵌り込む窪み部27が形成され、窪み部27は、底部に形成され且つシール材22の基端部24を押圧する押圧面28と、押圧面28の周囲に形成され且つシール材22の基端部24を拡径方向Cにおいて拘束するテーパー状の拘束面29とを有し、押輪23がシール材22を押込む押込方向Bへ移動している際に、押輪23の中心が管軸心32に合うように押輪23を管径方向へ案内する芯出し手段35が設けられ、芯出し手段35は、押輪23の拘束面29と、シール材22に形成されたシール材側テーパー面36とからなる。
【解決手段】シール材22は押輪23によって受口奥方向Bへ押圧される基端部24を有し、押輪23に、シール材22の基端部24が嵌り込む窪み部27が形成され、窪み部27は、底部に形成され且つシール材22の基端部24を押圧する押圧面28と、押圧面28の周囲に形成され且つシール材22の基端部24を拡径方向Cにおいて拘束するテーパー状の拘束面29とを有し、押輪23がシール材22を押込む押込方向Bへ移動している際に、押輪23の中心が管軸心32に合うように押輪23を管径方向へ案内する芯出し手段35が設けられ、芯出し手段35は、押輪23の拘束面29と、シール材22に形成されたシール材側テーパー面36とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁と管との継手構造、および、この継手構造によって管に接続される弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の弁と管との継手構造としては、例えば仕切弁の弁箱に受口が設けられ、接合相手の管の先端部に挿口が設けられ、挿口を受口の内部に挿入した構成のものがある。
【0003】
図17および図18は、このような弁と管との継手構造を例示するものであり、図17は後述するシール材を装着した状態を示し、図18はシール材を装着する前の状態を示す。ここで、仕切弁の弁箱1の流路15の端部には受口2が形成され、接合相手の管3の端部には挿口4が形成され、挿口4が受口2の内部に挿入されている。受口2の内周には、受口2の開口端より奥側ほど径が小さくなるテーパ面5aとこのテーパ面5aの奥端部から同じ径で受口2の奥側に延びる平坦面5bとを有するシール材収容溝5と、このシール材収容溝5よりも受口奥側に位置するロックリング収容溝6とが形成されている。なお、弁箱1と管3とは鋳鉄製とされている。
【0004】
シール材収容溝5が設けられている空間、すなわち、シール材収容溝5が形成されている受口2の内周面と挿口4の外周面との間の隙間には、ゴム製で環状のシール材(いわゆるゴム輪)11が収容されている。このシール材11は、挿口4における受口2に入り込まない部分の外周に配設された金属製等の剛体からなる環状の押輪12により、受口2内の奥側へ押圧された圧縮状態で配設されており、これにより受口2の内周面と挿口4の外周面との間がシールされている。
【0005】
ここで、押輪12は、その環状の断面が管径方向(径方向とも称す)に平板状に延びた形状とされ、押輪12を締結して支持するボルト7を挿通させる挿通孔12aが周方向の複数箇所(例えば2箇所)に形成されている。また、受口2の端部外周にはフランジ部8が形成されているとともに、このフランジ部8において、押輪12の挿通孔12aに対応する箇所に、挿通孔8aが形成されている。そして、フランジ部8の挿通孔8aから押輪12の挿通孔12aに向けて管軸方向にボルト7を挿通させ、ボルト7のねじ部先端にナット9を螺合させて締め込むことで、押輪12がフランジ部8に近接する方向へ移動し、これにより、シール材11が押輪12により受口奥側に押圧されてシール材収容溝5内に圧入状態で収容されるよう構成されている。
【0006】
シール材11は、その断面が、圧入される際に先端となる箇所において円形に形成された円形先端部11aと、この円形先端部11aに繋がる部分が薄肉状で、押輪12寄り側ほど厚肉となる台形状の基部11bとを一体的に形成した構成とされている。そして、基部11bの端面が、押輪12のフランジ部8に対向する平坦面に当接された状態で、シール材11が押圧されてシール材収容溝5内に圧入される。
【0007】
また、図17に示すように、従来の弁と管との継手構造では、最終的に押輪12とフランジ部8との間が所定距離Mとなるまで、ボルト7を締め込んで押輪12をフランジ部8に向けて接近させてこの位置関係を保持させることで、押輪12によってシール材11が受口奥側へ押圧された状態を維持させるとともに受口2の内周面および挿口4の外周面に密着させて、シール材11による所要のシール機能を発揮させている。なお、図17、図18における10は環状で周方向1つ割のロックリング、14は挿口4の先端部外周に形成された挿口突部である。
【0008】
尚、上記のように受口を供えた耐震用の仕切弁については下記特許文献1に記載され、挿口を受口に挿入した継手構造については下記特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−270816
【特許文献2】特開2003−222276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の弁と管との継手構造では、図18に示すように、押輪12によりシール材11を受口奥側(図18における矢印方向a)へ押圧した際に、図19に示すように、シール材11の基部11bが、シール材11の円形先端部11aにおける挿口4の外周面や受口2の内周面の接触部分をモーメントの支点として、押輪12の押圧面に沿ってb方向(拡径方向)にせり出すように移動し、最終的に、図20に示すように、シール材11の基部11bの一部が押輪12とフランジ部8との間に挟まれてしまい、その結果、シール材11をシール材収容溝5内に良好には挿入できないことがあった。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との間に良好に挿入することができる弁と管との継手構造および弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、弁箱と弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有する弁および管のいずれか一方に受口が備えられているとともに他方に挿口が備えられ、
受口の内部に挿口が挿入され、
挿口の外周面と受口の内周面との間の隙間に環状のシール材が配設され、
挿口に外嵌されて管軸方向へ移動自在な環状の押輪が受口の開口端部に外側から対向し、
シール材が押輪によって受口奥側へ押し込まれて挿口の外周面と受口の内周面との間をシールする弁と管との継手構造であって、
シール材は押輪で受口奥方向へ押圧される基端部を有し、
押輪に、シール材の基端部が嵌まり込む窪み部が形成され、
窪み部は、底部に形成され且つシール材の基端部を押圧する押圧面と、押圧面の周囲に形成され且つシール材の基端部を拡径方向において拘束する拘束面とを有し、
押輪がシール材を押し込む押込方向へ移動している際に、押輪の中心が管軸心に合うように押輪を管径方向へ案内する芯出し手段が押輪の窪み部とシール材の基端部との少なくともいずれか片方に設けられているものである。
【0013】
これによると、シール材と押輪とを挿口に外嵌し、シール材の基端部を押輪の窪み部に嵌め込み、挿口を受口に挿入し、この状態で、押輪を管軸方向に沿って押込方向へ移動させる。これにより、シール材が押輪によって挿口の外周面と受口の内周面との隙間に押し込まれる。
【0014】
この際、シール材の基端部は窪み部の拘束面により拡径方向において拘束されているため、シール材の基端部が窪み部の押圧面に沿って拡径方向へ移動(変形)するのを防止することができる。これにより、シール材の基端部が押輪と受口の開口端面との間に挟まれることはなく(シール材の挟み込み防止効果)、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との隙間に良好に挿入することができる。
【0015】
また、押輪が押込方向へ移動しながら芯出し手段によって管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる(押輪の自動芯出し効果)。これにより、自重によって管軸心より下方にずれた押輪を作業者が持ち上げて管径方向へ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【0016】
本第2発明は、芯出し手段は押輪の窪み部の拘束面であり、
拘束面は押込方向ほど拡径するように傾斜したテーパー面からなり、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内するものである。
【0017】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内することで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0018】
本第3発明は、芯出し手段はシール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面であり、
シール材側テーパー面は押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪は、押込方向へ移動している際に、シール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されるものである。
【0019】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、押輪がシール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0020】
本第4発明は、芯出し手段は、押輪の窪み部の拘束面と、シール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面とからなり、
拘束面とシール材側テーパー面とはそれぞれ押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内するものである。
【0021】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内することで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0022】
本第5発明は、管軸心に直交する面に対する拘束面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されているものである。
これによると、シール材の挟み込み防止効果と押輪の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0023】
本第6発明は、管軸心に直交する面に対するシール材側テーパー面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されているものである。
これによると、シール材の挟み込み防止効果と押輪の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0024】
本第7発明は、上記第1発明から第6発明のいずれか1項に記載の継手構造によって管に接続される弁であって、
弁箱と、弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有し、
弁箱の流路端部の少なくとも一方に受口が設けられているものである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、シール材の基端部は窪み部の拘束面により拡径方向において拘束されているため、シール材の基端部が窪み部の押圧面に沿って拡径方向へ移動(変形)するのを防止することができ、これにより、シール材の基端部が押輪と受口の開口端面との間に挟まれることはなく、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との隙間に良好に挿入することができる。
【0026】
また、押輪は押込方向へ移動しながら芯出し手段によって管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。これにより、作業者が押輪を持ち上げて管径方向へ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態における管に接合された弁を示す図である。
【図2】同、弁の正面図である。
【図3】同、弁と管との継手構造の断面図である。
【図4】同、継手構造のシール材と押輪の断面図である。
【図5】(a)は図4(a)におけるX−X矢視図、(b)は図4(b)におけるY−Y矢視図である。
【図6】同、継手構造のシール材と押輪の一部拡大断面図であり、(a)は拘束面の傾斜角度を示し、(b)はシール材側テーパー面の傾斜角度を示す。
【図7】同、継手構造の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図8】同、継手構造の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図9】本発明の参考例における弁と管との継手構造の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図14】同、継手構造の押輪の正面図である。
【図15】本発明の第7の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図17】従来の管継手の断面図である。
【図18】同、管継手の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図19】同、管継手の挿口と受口とを接合する際に発生する虞のある問題点を示す断面図である。
【図20】同、管継手の挿口と受口とを接合する際に発生する虞のある問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
以下、本発明における第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。尚、先述した従来のものと同じ部材については同一の符号を付記して詳細な説明を省略する。
【0029】
図1,図2に示すように、40はソフトシール仕切弁であり、管41,42に接続されている。この仕切弁40は、弁箱43と、弁箱43内に形成された流路44を開閉する弁体45とを有している。弁箱43の流路44の両端部には受口2が設けられている。また、各管41,42の端部にはそれぞれ挿口4が設けられ、挿口4が受口2の内部に挿入されて仕切弁40と管41,42との継手構造21が構成される。
【0030】
以下に継手構造21の構成を説明する。
図3に示すように、継手構造21は、挿口4の外周面と受口2の内周面との間の隙間に環状のシール材22が配設され、挿口4に外嵌されて管軸方向Aへ移動自在な環状の押輪23が受口2の開口端部に外側から対向し、シール材22が押輪23によって受口奥側へ押し込まれて挿口4の外周面と受口2の内周面との間をシールするものである。
【0031】
図4(a),図5(a)に示すように、シール材22は、ゴム製で円環状に形成されており、その断面が、圧入される際に先端となる箇所において円形に形成された円形先端部22aと、この円形先端部22aに繋がる部分が薄肉状で、押輪23寄り側ほど厚肉となる台形状の基部22bとを一体的に形成した構成とされている。また、シール材22の基部22bは、押輪23によって受口奥方向Bへ押圧される基端部24を有している。尚、シール材22の内径は挿口4の外径よりも若干小さく設定されており、シール材22を挿口4に外嵌した際、シール材22の内周が挿口4の外周に圧接する。
【0032】
図4(b),図5(b)に示すように、押輪23は、円環部23aと、円環部23aの外周から径方向外側へ突出した耳部23bとからなり、さらに、表裏両側に貫通する中央孔部26と、ボルト7を挿通させる複数の挿通孔12aと、受口2の開口端面30に当接する接合面31とを有している。
【0033】
尚、耳部23bは押輪23の二箇所に180°振り分けられて設けられ、挿通孔12aは各耳部23bに形成されている。また、押輪23の中央孔部26の内径は挿口4の外径よりも所定寸法だけ大きな値に設定されている。尚、耳部23bを押輪23の二箇所に設けているが、二箇所に限定されるものではなく、二箇所以外の複数箇所に設けてもよい。
【0034】
また、押輪23の管軸方向Aにおける表裏両面には、シール材22の基端部24が嵌まり込む円形の窪み部27が形成されている。窪み部27は、底部に形成され且つシール材22の基端部24を押圧する押圧面28と、押圧面28の周囲に形成され且つシール材22の基端部24を拡径方向Cにおいて拘束する拘束面29とを有している。尚、押圧面28は接合面31よりも一段低く形成されている。
【0035】
ボルト7又はナット9等の締結手段を締め込むことにより、押輪23がシール材22を押し込む押込方向B(受口奥方向Bと同方向)へ移動している際、押輪23の中心Eが管軸心32に合うように押輪23を管径方向Dへ案内する芯出し手段35が設けられている。芯出し手段35は、押輪23の窪み部27の拘束面29と、シール材22の基端部24の外周縁部に全周にわたり形成されたシール材側テーパー面36とからなる。
【0036】
受口2に対向する側の窪み部27の拘束面29とシール材側テーパー面36とはそれぞれ押込方向Bほど拡径するように傾斜したテーパー面である。尚、図6に示すように、管軸心32に直交する面Sに対する拘束面29の傾斜角度αと、上記面Sに対するシール材側テーパー面36の傾斜角度βとは、同一角度であり、それぞれ60°に設定されている。また、押圧面28は管軸心32に対して直交している。尚、図2に示すように、受口2のフランジ部8は押輪23と同じ形状を有している。
【0037】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とを接合する際、先ず、ロックリング10を受口2内のロックリング収容溝6内に嵌め込み、さらに、図7に示すように、シール材22と押輪23とを挿口4に外嵌し、シール材22の基端部24を押輪23の片方の窪み部27に嵌め込み、挿口4を受口2に挿入する。
【0038】
そして、挿口突部14がロックリング10の内周を受口奥方向Bへ通過すると、ボルト7を各挿通孔8a,12aに挿通し、図8に示すように、ナット9を締め込んで押輪23を押込方向Bへ移動させる。これにより、図3に示すように、シール材22が、押輪23によって挿口4の外周面と受口2の内周面との隙間に押し込まれ、シール材収容溝5に収容される。
【0039】
この際、シール材22の基端部24は片方の窪み部27の拘束面29により拡径方向Cにおいて拘束されているため、シール材22の基端部24が窪み部27の押圧面28に沿って拡径方向Cへ移動(変形)することを防止することができる。これにより、シール材22の基端部24が押輪23の接合面31と受口2の開口端面30との間に挟まれることはなく(シール材22の挟み込み防止効果)、押輪23の接合面31が受口2の開口端面30に当接(面接触)して、シール材22をシール材収容溝5に良好に挿入することができ、図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とが接合される。
【0040】
上記のような接合手順において、図7に示すように、シール材22と押輪23とを挿口4に外嵌した際、押輪23の中心は自重により管軸心32よりも下位にあり、管径方向Dにおける押輪23の中央孔部26の内周と挿口4の外周との隙間37は、上端部で最小(=0)となり、下端部で最大となっている。
【0041】
この状態で、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、図8に示すように、押輪23の拘束面29がシール材22のシール材側テーパー面36に当接して管径方向Dへ案内される。これにより、押輪23が挿口4に対してせり上がり、押輪23の中心が管軸心32に合わせられ、自動的に押輪23が芯出しされ(押輪23の自動芯出し効果)、この状態で、図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とが接合される。これにより、作業者が押輪23を持ち上げて管径方向Dへ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【0042】
また、他方の管42と仕切弁40との接合も、上記と同様にして行うことができる。
尚、図9に示す仕切弁40と管41,42との継手構造71は、上記第1の実施の形態に対する参考例であり、芯出し手段35を備えていないものである。すなわち、シール材22の基端部24にはシール材側テーパー面36が形成されておらず、押輪23の窪み部27の拘束面29は、テーパー面ではなく、押圧面28に直交している。
【0043】
これによると、図9(a)に示すように、ナット9を締め込む前に、作業者は、挿口4に対して押輪23を持ち上げて、シール材22の基端部24を押輪23の窪み部27に嵌め込んでおく必要があり、作業者の負担が増大するという問題がある。上記第1の実施の形態では、このような作業者の負担を軽減することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図4に示すように、芯出し手段35を、押輪23の窪み部27にテーパー状に形成した拘束面29と、シール材22の基端部24に形成したシール材側テーパー面36とで構成したが、第2の実施の形態として、図10に示すように、シール材22にシール材側テーパー面36を形成せず、芯出し手段35をテーパー状の拘束面29のみで構成してもよい。尚、拘束面29の傾斜角度α(図6(a)参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0045】
これによると、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29がシール材22の基端部24に当接して管径方向Dへ案内される。
(第3の実施の形態)
また、上記第1および第2の実施の形態では、拘束面29を全面にわたってテーパー状に形成したが、第3の実施の形態として、図11に示すように、拘束面29が、押圧面28に直交するストレート部29aと、押込方向B(接合面31側)ほど拡径するように傾斜したテーパー部29bとで構成されている。ストレート部29aは窪み部27の奥側に位置し、テーパー部29bはストレート部29aから接合面31にわたって形成されている。尚、拘束面29のテーパー部29bの傾斜角度αは、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0046】
これによると、ナット9を締め込むことにより、図11(a)に示すように、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29のテーパー部29bがシール材22の基端部24に当接して管径方向Dへ案内される。これにより、図11(b)に示すように、押輪23が挿口4に対してせり上がり、押輪23の中心が管軸心32に合わせられ、自動的に押輪23が芯出しされ、図11(c)に示すように、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aの内側に嵌まり込み、この状態で、一方の管41と仕切弁40とが接合される。
【0047】
また、図11(c)に示すように、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aの内側に嵌まり込むことにより、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aにより拡径方向Cにおいて確実に拘束される。このため、シール材22の基端部24が窪み部27の押圧面28に沿って拡径方向Cへ移動(変形)することを確実に防止することができる。
【0048】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態として、図12に示すように、拘束面29を、テーパー状ではなく、ストレート状にして押圧面28に直交させ、芯出し手段35をシール材側テーパー面36のみで構成してもよい。尚、シール材側テーパー面36の傾斜角度β(図6(b)参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0049】
これによると、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29と接合面31との角部38がシール材側テーパー面36に当接して管径方向Dへ案内される。
【0050】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態として、図13,図14に示すように、押輪23の接合面31に、管軸方向Aへ突出するスペーサー40(突起)を設けてもよい。スペーサー40は周方向において90°おきに四箇所設けられている。尚、四箇所に限定されるものではなく、四箇所以外の複数箇所であってもよい。
【0051】
これによると、一方の管41と仕切弁40とを接合した際、押輪23の各スペーサー40の先端が受口2のフランジ部8の開口端面30に当接する。これにより、押輪23の端面と受口2の開口端面30との間に所定の間隙47が形成され、この間隙47を通して、シール材22(特に基端部24)の装着状態を目視で確認することができる。
【0052】
(第6の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図6に示すように、拘束面29の傾斜角度αとシール材側テーパー面36の傾斜角度βとをそれぞれ60°に設定したが、第6の実施の形態として、上記各傾斜角度α,βを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0053】
下記表1は、傾斜角度α,βに対するシール材22の挟み込み防止効果の有無と押輪23の自動芯出し効果の有無とを示した実験結果である。尚、シール材22の挟み込み防止効果とは、上記第1の実施の形態で説明したように、シール材22の基端部24が押輪23の接合面31と受口2の開口端面30との間に挟まれるのを防止することができる効果である。また、押輪23の自動芯出し効果とは、上記第1の実施の形態で説明したように、押輪23が挿口4に対してせり上がって自動的に芯出しされる効果である。
【0054】
下記表1によると、上記各傾斜角度α,βを50°〜80°の範囲に設定することにより、シール材22の挟み込み防止効果と押輪23の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0055】
尚、上記傾斜角度α,βが50°未満の場合、シール材22の基端部24に対する拘束面29の拘束機能が不足し、シール材22の基端部24が拘束面29上を滑って拡径方向Cへ移動(変形)し易くなる。また、上記傾斜角度α,βが80°を超える場合、挿口4に対する押輪23のせり上がり量が不足し、押輪23の中心が管軸心32に一致しない。
【0056】
尚、拘束面29の傾斜角度αとシール材側テーパー面36の傾斜角度βとを同一にしているが、50°〜80°の範囲で異なっていてもよい。
【0057】
【表1】
同様に、上記第2の実施の形態では、拘束面29の傾斜角度αを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度αを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0058】
同様に、上記第3の実施の形態では、拘束面29のテーパー部29bの傾斜角度αを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度αを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0059】
同様に、上記第4の実施の形態では、シール材側テーパー面36の傾斜角度βを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度βを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0060】
(第7の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、窪み部27を押輪23の管軸方向Aにおける表裏両面に形成したが、第7の実施の形態として、図15に示すように、窪み部27を押輪23の片面のみに形成してもよい。尚、第1の実施の形態以外の各実施の形態についても同様に、窪み部27を押輪23の片面のみに形成してもよい。
【0061】
(第8の実施の形態)
上記各実施の形態では、図1に示すように、弁箱43の流路44の両端部に受口2を設けた仕切弁40を示したが、第8の実施の形態として、図16に示すように、流路44の一端部に受口2を設けるとともに他端部に挿口50を設けた仕切弁40であってもよい。この場合、仕切弁40の挿口50は一方の管41の挿口4と同じ構成を有している。また、他方の管42の端部に設けられた受口51は仕切弁40の受口2と同じ構成を有し、仕切弁40の挿口50を他方の管42の受口51に挿入して構成される継手構造52は上記各実施の形態における継手構造21と同じ構成を有している。
【0062】
上記各実施の形態では、受口2のフランジ部8と押輪23とにそれぞれ挿通孔8a,12aを二個ずつ形成し、押輪23を受口2に二本のボルト7で連結したが、各挿通孔8a,12aを三個以上の複数形成し、三本以上の複数本のボルト7で連結してもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、締結手段の一例として六角ボルト7を用いたが、六角ボルト7に限定されるものではなく、例えば、T型ボルト等を用いてもよい。
上記各実施の形態では、弁の一例として仕切弁40を挙げたが、仕切弁40以外の形式の弁であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 受口
4 挿口
21 継手構造
22 シール材
23 押輪
24 基端部
27 窪み部
28 押圧面
29 拘束面
32 管軸心
35 芯出し手段
36 シール材側テーパー面
40 仕切弁
41,42 管
43 弁箱
44 流路
45 弁体
A 管軸方向
B 受口奥方向,押込方向
C 拡径方向
D 管径方向
E 押輪の中心
S 管軸心に直交する面
α 拘束面の傾斜角度
β シール材側テーパー面の傾斜角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁と管との継手構造、および、この継手構造によって管に接続される弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の弁と管との継手構造としては、例えば仕切弁の弁箱に受口が設けられ、接合相手の管の先端部に挿口が設けられ、挿口を受口の内部に挿入した構成のものがある。
【0003】
図17および図18は、このような弁と管との継手構造を例示するものであり、図17は後述するシール材を装着した状態を示し、図18はシール材を装着する前の状態を示す。ここで、仕切弁の弁箱1の流路15の端部には受口2が形成され、接合相手の管3の端部には挿口4が形成され、挿口4が受口2の内部に挿入されている。受口2の内周には、受口2の開口端より奥側ほど径が小さくなるテーパ面5aとこのテーパ面5aの奥端部から同じ径で受口2の奥側に延びる平坦面5bとを有するシール材収容溝5と、このシール材収容溝5よりも受口奥側に位置するロックリング収容溝6とが形成されている。なお、弁箱1と管3とは鋳鉄製とされている。
【0004】
シール材収容溝5が設けられている空間、すなわち、シール材収容溝5が形成されている受口2の内周面と挿口4の外周面との間の隙間には、ゴム製で環状のシール材(いわゆるゴム輪)11が収容されている。このシール材11は、挿口4における受口2に入り込まない部分の外周に配設された金属製等の剛体からなる環状の押輪12により、受口2内の奥側へ押圧された圧縮状態で配設されており、これにより受口2の内周面と挿口4の外周面との間がシールされている。
【0005】
ここで、押輪12は、その環状の断面が管径方向(径方向とも称す)に平板状に延びた形状とされ、押輪12を締結して支持するボルト7を挿通させる挿通孔12aが周方向の複数箇所(例えば2箇所)に形成されている。また、受口2の端部外周にはフランジ部8が形成されているとともに、このフランジ部8において、押輪12の挿通孔12aに対応する箇所に、挿通孔8aが形成されている。そして、フランジ部8の挿通孔8aから押輪12の挿通孔12aに向けて管軸方向にボルト7を挿通させ、ボルト7のねじ部先端にナット9を螺合させて締め込むことで、押輪12がフランジ部8に近接する方向へ移動し、これにより、シール材11が押輪12により受口奥側に押圧されてシール材収容溝5内に圧入状態で収容されるよう構成されている。
【0006】
シール材11は、その断面が、圧入される際に先端となる箇所において円形に形成された円形先端部11aと、この円形先端部11aに繋がる部分が薄肉状で、押輪12寄り側ほど厚肉となる台形状の基部11bとを一体的に形成した構成とされている。そして、基部11bの端面が、押輪12のフランジ部8に対向する平坦面に当接された状態で、シール材11が押圧されてシール材収容溝5内に圧入される。
【0007】
また、図17に示すように、従来の弁と管との継手構造では、最終的に押輪12とフランジ部8との間が所定距離Mとなるまで、ボルト7を締め込んで押輪12をフランジ部8に向けて接近させてこの位置関係を保持させることで、押輪12によってシール材11が受口奥側へ押圧された状態を維持させるとともに受口2の内周面および挿口4の外周面に密着させて、シール材11による所要のシール機能を発揮させている。なお、図17、図18における10は環状で周方向1つ割のロックリング、14は挿口4の先端部外周に形成された挿口突部である。
【0008】
尚、上記のように受口を供えた耐震用の仕切弁については下記特許文献1に記載され、挿口を受口に挿入した継手構造については下記特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−270816
【特許文献2】特開2003−222276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の弁と管との継手構造では、図18に示すように、押輪12によりシール材11を受口奥側(図18における矢印方向a)へ押圧した際に、図19に示すように、シール材11の基部11bが、シール材11の円形先端部11aにおける挿口4の外周面や受口2の内周面の接触部分をモーメントの支点として、押輪12の押圧面に沿ってb方向(拡径方向)にせり出すように移動し、最終的に、図20に示すように、シール材11の基部11bの一部が押輪12とフランジ部8との間に挟まれてしまい、その結果、シール材11をシール材収容溝5内に良好には挿入できないことがあった。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との間に良好に挿入することができる弁と管との継手構造および弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、弁箱と弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有する弁および管のいずれか一方に受口が備えられているとともに他方に挿口が備えられ、
受口の内部に挿口が挿入され、
挿口の外周面と受口の内周面との間の隙間に環状のシール材が配設され、
挿口に外嵌されて管軸方向へ移動自在な環状の押輪が受口の開口端部に外側から対向し、
シール材が押輪によって受口奥側へ押し込まれて挿口の外周面と受口の内周面との間をシールする弁と管との継手構造であって、
シール材は押輪で受口奥方向へ押圧される基端部を有し、
押輪に、シール材の基端部が嵌まり込む窪み部が形成され、
窪み部は、底部に形成され且つシール材の基端部を押圧する押圧面と、押圧面の周囲に形成され且つシール材の基端部を拡径方向において拘束する拘束面とを有し、
押輪がシール材を押し込む押込方向へ移動している際に、押輪の中心が管軸心に合うように押輪を管径方向へ案内する芯出し手段が押輪の窪み部とシール材の基端部との少なくともいずれか片方に設けられているものである。
【0013】
これによると、シール材と押輪とを挿口に外嵌し、シール材の基端部を押輪の窪み部に嵌め込み、挿口を受口に挿入し、この状態で、押輪を管軸方向に沿って押込方向へ移動させる。これにより、シール材が押輪によって挿口の外周面と受口の内周面との隙間に押し込まれる。
【0014】
この際、シール材の基端部は窪み部の拘束面により拡径方向において拘束されているため、シール材の基端部が窪み部の押圧面に沿って拡径方向へ移動(変形)するのを防止することができる。これにより、シール材の基端部が押輪と受口の開口端面との間に挟まれることはなく(シール材の挟み込み防止効果)、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との隙間に良好に挿入することができる。
【0015】
また、押輪が押込方向へ移動しながら芯出し手段によって管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる(押輪の自動芯出し効果)。これにより、自重によって管軸心より下方にずれた押輪を作業者が持ち上げて管径方向へ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【0016】
本第2発明は、芯出し手段は押輪の窪み部の拘束面であり、
拘束面は押込方向ほど拡径するように傾斜したテーパー面からなり、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内するものである。
【0017】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内することで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0018】
本第3発明は、芯出し手段はシール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面であり、
シール材側テーパー面は押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪は、押込方向へ移動している際に、シール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されるものである。
【0019】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、押輪がシール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0020】
本第4発明は、芯出し手段は、押輪の窪み部の拘束面と、シール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面とからなり、
拘束面とシール材側テーパー面とはそれぞれ押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内するものである。
【0021】
これによると、押輪を押込方向へ移動させている際、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内することで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。
【0022】
本第5発明は、管軸心に直交する面に対する拘束面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されているものである。
これによると、シール材の挟み込み防止効果と押輪の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0023】
本第6発明は、管軸心に直交する面に対するシール材側テーパー面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されているものである。
これによると、シール材の挟み込み防止効果と押輪の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0024】
本第7発明は、上記第1発明から第6発明のいずれか1項に記載の継手構造によって管に接続される弁であって、
弁箱と、弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有し、
弁箱の流路端部の少なくとも一方に受口が設けられているものである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、シール材の基端部は窪み部の拘束面により拡径方向において拘束されているため、シール材の基端部が窪み部の押圧面に沿って拡径方向へ移動(変形)するのを防止することができ、これにより、シール材の基端部が押輪と受口の開口端面との間に挟まれることはなく、シール材を挿口の外周面と受口の内周面との隙間に良好に挿入することができる。
【0026】
また、押輪は押込方向へ移動しながら芯出し手段によって管径方向へ案内されることで、押輪の中心が管軸心に合わせられ、自動的に押輪が芯出しされる。これにより、作業者が押輪を持ち上げて管径方向へ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態における管に接合された弁を示す図である。
【図2】同、弁の正面図である。
【図3】同、弁と管との継手構造の断面図である。
【図4】同、継手構造のシール材と押輪の断面図である。
【図5】(a)は図4(a)におけるX−X矢視図、(b)は図4(b)におけるY−Y矢視図である。
【図6】同、継手構造のシール材と押輪の一部拡大断面図であり、(a)は拘束面の傾斜角度を示し、(b)はシール材側テーパー面の傾斜角度を示す。
【図7】同、継手構造の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図8】同、継手構造の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図9】本発明の参考例における弁と管との継手構造の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態における弁と管との継手構造の一部拡大断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図14】同、継手構造の押輪の正面図である。
【図15】本発明の第7の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態における弁と管との継手構造の断面図である。
【図17】従来の管継手の断面図である。
【図18】同、管継手の挿口と受口との接合手順を示す断面図である。
【図19】同、管継手の挿口と受口とを接合する際に発生する虞のある問題点を示す断面図である。
【図20】同、管継手の挿口と受口とを接合する際に発生する虞のある問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
以下、本発明における第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。尚、先述した従来のものと同じ部材については同一の符号を付記して詳細な説明を省略する。
【0029】
図1,図2に示すように、40はソフトシール仕切弁であり、管41,42に接続されている。この仕切弁40は、弁箱43と、弁箱43内に形成された流路44を開閉する弁体45とを有している。弁箱43の流路44の両端部には受口2が設けられている。また、各管41,42の端部にはそれぞれ挿口4が設けられ、挿口4が受口2の内部に挿入されて仕切弁40と管41,42との継手構造21が構成される。
【0030】
以下に継手構造21の構成を説明する。
図3に示すように、継手構造21は、挿口4の外周面と受口2の内周面との間の隙間に環状のシール材22が配設され、挿口4に外嵌されて管軸方向Aへ移動自在な環状の押輪23が受口2の開口端部に外側から対向し、シール材22が押輪23によって受口奥側へ押し込まれて挿口4の外周面と受口2の内周面との間をシールするものである。
【0031】
図4(a),図5(a)に示すように、シール材22は、ゴム製で円環状に形成されており、その断面が、圧入される際に先端となる箇所において円形に形成された円形先端部22aと、この円形先端部22aに繋がる部分が薄肉状で、押輪23寄り側ほど厚肉となる台形状の基部22bとを一体的に形成した構成とされている。また、シール材22の基部22bは、押輪23によって受口奥方向Bへ押圧される基端部24を有している。尚、シール材22の内径は挿口4の外径よりも若干小さく設定されており、シール材22を挿口4に外嵌した際、シール材22の内周が挿口4の外周に圧接する。
【0032】
図4(b),図5(b)に示すように、押輪23は、円環部23aと、円環部23aの外周から径方向外側へ突出した耳部23bとからなり、さらに、表裏両側に貫通する中央孔部26と、ボルト7を挿通させる複数の挿通孔12aと、受口2の開口端面30に当接する接合面31とを有している。
【0033】
尚、耳部23bは押輪23の二箇所に180°振り分けられて設けられ、挿通孔12aは各耳部23bに形成されている。また、押輪23の中央孔部26の内径は挿口4の外径よりも所定寸法だけ大きな値に設定されている。尚、耳部23bを押輪23の二箇所に設けているが、二箇所に限定されるものではなく、二箇所以外の複数箇所に設けてもよい。
【0034】
また、押輪23の管軸方向Aにおける表裏両面には、シール材22の基端部24が嵌まり込む円形の窪み部27が形成されている。窪み部27は、底部に形成され且つシール材22の基端部24を押圧する押圧面28と、押圧面28の周囲に形成され且つシール材22の基端部24を拡径方向Cにおいて拘束する拘束面29とを有している。尚、押圧面28は接合面31よりも一段低く形成されている。
【0035】
ボルト7又はナット9等の締結手段を締め込むことにより、押輪23がシール材22を押し込む押込方向B(受口奥方向Bと同方向)へ移動している際、押輪23の中心Eが管軸心32に合うように押輪23を管径方向Dへ案内する芯出し手段35が設けられている。芯出し手段35は、押輪23の窪み部27の拘束面29と、シール材22の基端部24の外周縁部に全周にわたり形成されたシール材側テーパー面36とからなる。
【0036】
受口2に対向する側の窪み部27の拘束面29とシール材側テーパー面36とはそれぞれ押込方向Bほど拡径するように傾斜したテーパー面である。尚、図6に示すように、管軸心32に直交する面Sに対する拘束面29の傾斜角度αと、上記面Sに対するシール材側テーパー面36の傾斜角度βとは、同一角度であり、それぞれ60°に設定されている。また、押圧面28は管軸心32に対して直交している。尚、図2に示すように、受口2のフランジ部8は押輪23と同じ形状を有している。
【0037】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とを接合する際、先ず、ロックリング10を受口2内のロックリング収容溝6内に嵌め込み、さらに、図7に示すように、シール材22と押輪23とを挿口4に外嵌し、シール材22の基端部24を押輪23の片方の窪み部27に嵌め込み、挿口4を受口2に挿入する。
【0038】
そして、挿口突部14がロックリング10の内周を受口奥方向Bへ通過すると、ボルト7を各挿通孔8a,12aに挿通し、図8に示すように、ナット9を締め込んで押輪23を押込方向Bへ移動させる。これにより、図3に示すように、シール材22が、押輪23によって挿口4の外周面と受口2の内周面との隙間に押し込まれ、シール材収容溝5に収容される。
【0039】
この際、シール材22の基端部24は片方の窪み部27の拘束面29により拡径方向Cにおいて拘束されているため、シール材22の基端部24が窪み部27の押圧面28に沿って拡径方向Cへ移動(変形)することを防止することができる。これにより、シール材22の基端部24が押輪23の接合面31と受口2の開口端面30との間に挟まれることはなく(シール材22の挟み込み防止効果)、押輪23の接合面31が受口2の開口端面30に当接(面接触)して、シール材22をシール材収容溝5に良好に挿入することができ、図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とが接合される。
【0040】
上記のような接合手順において、図7に示すように、シール材22と押輪23とを挿口4に外嵌した際、押輪23の中心は自重により管軸心32よりも下位にあり、管径方向Dにおける押輪23の中央孔部26の内周と挿口4の外周との隙間37は、上端部で最小(=0)となり、下端部で最大となっている。
【0041】
この状態で、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、図8に示すように、押輪23の拘束面29がシール材22のシール材側テーパー面36に当接して管径方向Dへ案内される。これにより、押輪23が挿口4に対してせり上がり、押輪23の中心が管軸心32に合わせられ、自動的に押輪23が芯出しされ(押輪23の自動芯出し効果)、この状態で、図1に示すように、一方の管41と仕切弁40とが接合される。これにより、作業者が押輪23を持ち上げて管径方向Dへ動かして芯出しする手間を省くことができる。
【0042】
また、他方の管42と仕切弁40との接合も、上記と同様にして行うことができる。
尚、図9に示す仕切弁40と管41,42との継手構造71は、上記第1の実施の形態に対する参考例であり、芯出し手段35を備えていないものである。すなわち、シール材22の基端部24にはシール材側テーパー面36が形成されておらず、押輪23の窪み部27の拘束面29は、テーパー面ではなく、押圧面28に直交している。
【0043】
これによると、図9(a)に示すように、ナット9を締め込む前に、作業者は、挿口4に対して押輪23を持ち上げて、シール材22の基端部24を押輪23の窪み部27に嵌め込んでおく必要があり、作業者の負担が増大するという問題がある。上記第1の実施の形態では、このような作業者の負担を軽減することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図4に示すように、芯出し手段35を、押輪23の窪み部27にテーパー状に形成した拘束面29と、シール材22の基端部24に形成したシール材側テーパー面36とで構成したが、第2の実施の形態として、図10に示すように、シール材22にシール材側テーパー面36を形成せず、芯出し手段35をテーパー状の拘束面29のみで構成してもよい。尚、拘束面29の傾斜角度α(図6(a)参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0045】
これによると、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29がシール材22の基端部24に当接して管径方向Dへ案内される。
(第3の実施の形態)
また、上記第1および第2の実施の形態では、拘束面29を全面にわたってテーパー状に形成したが、第3の実施の形態として、図11に示すように、拘束面29が、押圧面28に直交するストレート部29aと、押込方向B(接合面31側)ほど拡径するように傾斜したテーパー部29bとで構成されている。ストレート部29aは窪み部27の奥側に位置し、テーパー部29bはストレート部29aから接合面31にわたって形成されている。尚、拘束面29のテーパー部29bの傾斜角度αは、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0046】
これによると、ナット9を締め込むことにより、図11(a)に示すように、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29のテーパー部29bがシール材22の基端部24に当接して管径方向Dへ案内される。これにより、図11(b)に示すように、押輪23が挿口4に対してせり上がり、押輪23の中心が管軸心32に合わせられ、自動的に押輪23が芯出しされ、図11(c)に示すように、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aの内側に嵌まり込み、この状態で、一方の管41と仕切弁40とが接合される。
【0047】
また、図11(c)に示すように、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aの内側に嵌まり込むことにより、シール材22の基端部24が拘束面29のストレート部29aにより拡径方向Cにおいて確実に拘束される。このため、シール材22の基端部24が窪み部27の押圧面28に沿って拡径方向Cへ移動(変形)することを確実に防止することができる。
【0048】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態として、図12に示すように、拘束面29を、テーパー状ではなく、ストレート状にして押圧面28に直交させ、芯出し手段35をシール材側テーパー面36のみで構成してもよい。尚、シール材側テーパー面36の傾斜角度β(図6(b)参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、60°に設定されている。
【0049】
これによると、ナット9を締め込むことにより、押輪23が押込方向Bへ移動すると、押輪23の拘束面29と接合面31との角部38がシール材側テーパー面36に当接して管径方向Dへ案内される。
【0050】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態として、図13,図14に示すように、押輪23の接合面31に、管軸方向Aへ突出するスペーサー40(突起)を設けてもよい。スペーサー40は周方向において90°おきに四箇所設けられている。尚、四箇所に限定されるものではなく、四箇所以外の複数箇所であってもよい。
【0051】
これによると、一方の管41と仕切弁40とを接合した際、押輪23の各スペーサー40の先端が受口2のフランジ部8の開口端面30に当接する。これにより、押輪23の端面と受口2の開口端面30との間に所定の間隙47が形成され、この間隙47を通して、シール材22(特に基端部24)の装着状態を目視で確認することができる。
【0052】
(第6の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図6に示すように、拘束面29の傾斜角度αとシール材側テーパー面36の傾斜角度βとをそれぞれ60°に設定したが、第6の実施の形態として、上記各傾斜角度α,βを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0053】
下記表1は、傾斜角度α,βに対するシール材22の挟み込み防止効果の有無と押輪23の自動芯出し効果の有無とを示した実験結果である。尚、シール材22の挟み込み防止効果とは、上記第1の実施の形態で説明したように、シール材22の基端部24が押輪23の接合面31と受口2の開口端面30との間に挟まれるのを防止することができる効果である。また、押輪23の自動芯出し効果とは、上記第1の実施の形態で説明したように、押輪23が挿口4に対してせり上がって自動的に芯出しされる効果である。
【0054】
下記表1によると、上記各傾斜角度α,βを50°〜80°の範囲に設定することにより、シール材22の挟み込み防止効果と押輪23の自動芯出し効果とが共に確実に発揮される。
【0055】
尚、上記傾斜角度α,βが50°未満の場合、シール材22の基端部24に対する拘束面29の拘束機能が不足し、シール材22の基端部24が拘束面29上を滑って拡径方向Cへ移動(変形)し易くなる。また、上記傾斜角度α,βが80°を超える場合、挿口4に対する押輪23のせり上がり量が不足し、押輪23の中心が管軸心32に一致しない。
【0056】
尚、拘束面29の傾斜角度αとシール材側テーパー面36の傾斜角度βとを同一にしているが、50°〜80°の範囲で異なっていてもよい。
【0057】
【表1】
同様に、上記第2の実施の形態では、拘束面29の傾斜角度αを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度αを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0058】
同様に、上記第3の実施の形態では、拘束面29のテーパー部29bの傾斜角度αを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度αを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0059】
同様に、上記第4の実施の形態では、シール材側テーパー面36の傾斜角度βを60°に設定したが、上記第6の実施の形態と同様な根拠に基づいて、上記傾斜角度βを50°〜80°の範囲に設定してもよい。
【0060】
(第7の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、窪み部27を押輪23の管軸方向Aにおける表裏両面に形成したが、第7の実施の形態として、図15に示すように、窪み部27を押輪23の片面のみに形成してもよい。尚、第1の実施の形態以外の各実施の形態についても同様に、窪み部27を押輪23の片面のみに形成してもよい。
【0061】
(第8の実施の形態)
上記各実施の形態では、図1に示すように、弁箱43の流路44の両端部に受口2を設けた仕切弁40を示したが、第8の実施の形態として、図16に示すように、流路44の一端部に受口2を設けるとともに他端部に挿口50を設けた仕切弁40であってもよい。この場合、仕切弁40の挿口50は一方の管41の挿口4と同じ構成を有している。また、他方の管42の端部に設けられた受口51は仕切弁40の受口2と同じ構成を有し、仕切弁40の挿口50を他方の管42の受口51に挿入して構成される継手構造52は上記各実施の形態における継手構造21と同じ構成を有している。
【0062】
上記各実施の形態では、受口2のフランジ部8と押輪23とにそれぞれ挿通孔8a,12aを二個ずつ形成し、押輪23を受口2に二本のボルト7で連結したが、各挿通孔8a,12aを三個以上の複数形成し、三本以上の複数本のボルト7で連結してもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、締結手段の一例として六角ボルト7を用いたが、六角ボルト7に限定されるものではなく、例えば、T型ボルト等を用いてもよい。
上記各実施の形態では、弁の一例として仕切弁40を挙げたが、仕切弁40以外の形式の弁であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 受口
4 挿口
21 継手構造
22 シール材
23 押輪
24 基端部
27 窪み部
28 押圧面
29 拘束面
32 管軸心
35 芯出し手段
36 シール材側テーパー面
40 仕切弁
41,42 管
43 弁箱
44 流路
45 弁体
A 管軸方向
B 受口奥方向,押込方向
C 拡径方向
D 管径方向
E 押輪の中心
S 管軸心に直交する面
α 拘束面の傾斜角度
β シール材側テーパー面の傾斜角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱と弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有する弁および管のいずれか一方に受口が備えられているとともに他方に挿口が備えられ、
受口の内部に挿口が挿入され、
挿口の外周面と受口の内周面との間の隙間に環状のシール材が配設され、
挿口に外嵌されて管軸方向へ移動自在な環状の押輪が受口の開口端部に外側から対向し、
シール材が押輪によって受口奥側へ押し込まれて挿口の外周面と受口の内周面との間をシールする弁と管との継手構造であって、
シール材は押輪で受口奥方向へ押圧される基端部を有し、
押輪に、シール材の基端部が嵌まり込む窪み部が形成され、
窪み部は、底部に形成され且つシール材の基端部を押圧する押圧面と、押圧面の周囲に形成され且つシール材の基端部を拡径方向において拘束する拘束面とを有し、
押輪がシール材を押し込む押込方向へ移動している際に、押輪の中心が管軸心に合うように押輪を管径方向へ案内する芯出し手段が押輪の窪み部とシール材の基端部との少なくともいずれか片方に設けられていることを特徴とする弁と管との継手構造。
【請求項2】
芯出し手段は押輪の窪み部の拘束面であり、
拘束面は押込方向ほど拡径するように傾斜したテーパー面からなり、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内することを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項3】
芯出し手段はシール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面であり、
シール材側テーパー面は押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪は、押込方向へ移動している際に、シール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されることを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項4】
芯出し手段は、押輪の窪み部の拘束面と、シール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面とからなり、
拘束面とシール材側テーパー面とはそれぞれ押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内することを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項5】
管軸心に直交する面に対する拘束面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2又は請求項4記載の弁と管との継手構造。
【請求項6】
管軸心に直交する面に対するシール材側テーパー面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の弁と管との継手構造。
【請求項7】
上記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の継手構造によって管に接続される弁であって、
弁箱と、弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有し、
弁箱の流路端部の少なくとも一方に受口が設けられていることを特徴とする弁。
【請求項1】
弁箱と弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有する弁および管のいずれか一方に受口が備えられているとともに他方に挿口が備えられ、
受口の内部に挿口が挿入され、
挿口の外周面と受口の内周面との間の隙間に環状のシール材が配設され、
挿口に外嵌されて管軸方向へ移動自在な環状の押輪が受口の開口端部に外側から対向し、
シール材が押輪によって受口奥側へ押し込まれて挿口の外周面と受口の内周面との間をシールする弁と管との継手構造であって、
シール材は押輪で受口奥方向へ押圧される基端部を有し、
押輪に、シール材の基端部が嵌まり込む窪み部が形成され、
窪み部は、底部に形成され且つシール材の基端部を押圧する押圧面と、押圧面の周囲に形成され且つシール材の基端部を拡径方向において拘束する拘束面とを有し、
押輪がシール材を押し込む押込方向へ移動している際に、押輪の中心が管軸心に合うように押輪を管径方向へ案内する芯出し手段が押輪の窪み部とシール材の基端部との少なくともいずれか片方に設けられていることを特徴とする弁と管との継手構造。
【請求項2】
芯出し手段は押輪の窪み部の拘束面であり、
拘束面は押込方向ほど拡径するように傾斜したテーパー面からなり、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材の基端部に当接して押輪を管径方向へ案内することを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項3】
芯出し手段はシール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面であり、
シール材側テーパー面は押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪は、押込方向へ移動している際に、シール材側テーパー面に当接して管径方向へ案内されることを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項4】
芯出し手段は、押輪の窪み部の拘束面と、シール材の基端部の外周縁部に形成されたシール材側テーパー面とからなり、
拘束面とシール材側テーパー面とはそれぞれ押込方向ほど拡径するように傾斜しており、
押輪が押込方向へ移動している際に、拘束面がシール材側テーパー面に当接して押輪を管径方向へ案内することを特徴とする請求項1記載の弁と管との継手構造。
【請求項5】
管軸心に直交する面に対する拘束面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2又は請求項4記載の弁と管との継手構造。
【請求項6】
管軸心に直交する面に対するシール材側テーパー面の傾斜角度が50°〜80°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の弁と管との継手構造。
【請求項7】
上記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の継手構造によって管に接続される弁であって、
弁箱と、弁箱内に形成された流路を開閉する弁体とを有し、
弁箱の流路端部の少なくとも一方に受口が設けられていることを特徴とする弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−99514(P2011−99514A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254492(P2009−254492)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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