説明

弁装置およびその操作方法

【課題】容易に、かつ、安全に操作することができる弁装置およびその操作方法を提供する。
【解決手段】 弁棒4の反通路8側端部に取り付けられた補助ハンドル10の反通路8側端面に、ハンドル9を反通路8側端面に非分離に取付固定した中間部11を嵌合する。弁装置1は、補助ハンドル10の差込孔20に、中間部11に差し込まれた差込軸部12の管路側端面12aを差し込み、これと同時に、補助ハンドル10の反通路8側端面に設けた突状部13を、中間部11の通路8側端面に形成した凹溝14に嵌合することにより、中間部11を補助ハンドル10に嵌合し、さらに、ハンドル9を回転させて、この回転力を中間部11および補助ハンドル10を介して弁棒4に伝達することにより、弁棒4を回転させて、弁体5を弁棒4と平行な方向に移動させることにより、弁体5を開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体内での流体の流動を制御する弁装置およびその操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁装置は、工場内などに配置された流体(液体、気体)を輸送するためのパイプライン(管体)において、このパイプラインを遮断するように必要箇所に配置されている。例えば、タンクの入り口に配置された弁装置は、弁体を開閉することにより、タンク内への流体の輸送、若しくは、タンク内に流れ込もうとする流体の遮断を行う。
【0003】
図5に弁装置の一例を示す。この弁装置101は、チェッカープレート(滑り止め用の突状部が網目状に形成された鉄板)130で覆われた床下配管スペースを通る管体102を遮断するように配置されている。
【0004】
弁装置101は、流体の通路108が設けられた弁箱103と、通路108を遮断可能に配設された弁体105と、弁棒104と、弁体105を操作するハンドル109とで主要部が構成されている。弁棒104は、通路108側端部に弁体105が取り付けられ、反通路108側端部は、弁箱103の外部へ延びており、ハンドル109が取り付けられている。
【0005】
弁箱103と弁棒104との間には、通路108を流動する流体の外部への漏出を防止するための環状パッキン107が配設されている。
【0006】
また、弁箱103の座部103aにシール部材として弁座106が配設されている。
【0007】
弁装置101は、ハンドル109を、白抜矢印Dや白抜矢印Eで示すように時計周り或いは反時計周りに回転させることにより、弁棒104を回転させて、弁体105を、弁棒104と平行な方向、つまり、通路108側(図面下部側)或いは反通路108側(図面上部側)に移動させることにより、弁体105を開閉する。
【0008】
例えば、弁体105で通路108を遮断する場合、つまり弁体105を閉じる場合は、ハンドル109を、白抜矢印Dで示すように時計周りに回転させて、弁棒104を、ハンドル109と同方向に回転させる。この場合、弁体105が通路108側に移動するため、通路108が弁体105で遮断される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−52749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
弁装置101は、弁体操作部であるハンドル109が、チェッカープレート130で覆われた配管スペースに配置されているため、作業員は、弁装置101を操作する際、配管スペースに手を入れてハンドル109を回転させなければならない。この場合、作業員の手がチェッカープレート130に接触して負傷するおそれがある。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、容易に、かつ、安全に操作することができる弁装置およびその操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の弁装置は、流体の通路を遮断可能に配設された弁体と、その弁体を一端部に有する弁棒と、その弁棒の他端部に取り付けられ、弁棒と一体回転する補助操作部とを備えた弁装置であって、前記補助操作部に、反通路側に延びて前記弁棒を実質的に延長し、補助操作部と一体回転する中間部が取り付けられ、その中間部の先端に弁体操作部が設けられ、前記弁体操作部の回転力が、前記補助操作部および前記中間部を介して弁棒に伝達されて、前記弁体が弁棒と平行な方向に移動するようにしたことを特徴とする。
【0012】
この弁装置の場合、弁体操作部を、従来よりも弁体から離隔させることができるため、弁装置を、従来よりも離隔した位置から操作することができる。
【0013】
補助操作部や弁体操作部としては、例えば、環状のハンドルを使用することができる。補助操作部を環状のハンドルとする場合、中間部の形状を、円筒状などの加工が容易な形状にすることができるため、中間部の加工性が向上する。また、弁体操作部を環状のハンドルとすると、弁体操作部を回転させやすくなるため、弁装置の操作性が向上する。
【0014】
補助操作部と中間部の取り付けは凹凸嵌合とするのが望ましい。この場合、補助操作部への中間部の取り付けが容易になるため、弁装置の組付性が向上する。また、嵌合作業を行うための構造は、突起や溝などの簡易な形状で良いため、補助操作部と中間部の加工性も向上する。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明に係る弁装置の操作方法は、流体の通路を遮って配設された弁体と、その弁体を一端部に有する弁棒と、その弁棒の他端部に取り付けられ、弁棒と一体回転する補助操作部とを備えた弁装置の操作方法であって、前記補助操作部に、反通路側に延びて前記弁棒を実質的に延長し、補助操作部と一体回転する中間部を取り付け、その中間部の先端に弁体操作部を設け、この弁体操作部を回転させて、その回転力を前記中間部および前記補助操作部を介して弁棒に伝達することにより、前記弁棒を回転させて、前記弁体を弁棒と平行な方向に移動させることを特徴とする。
【0016】
この弁装置の操作方法であると、例えば、弁装置が、チェッカープレートで覆われている配管スペースに配置されている場合に、弁体操作部を有する中間部を補助操作部に取り付けることにより、弁体操作部を配管スペースの外部へ突出させることができる。このため、弁体操作部の周辺は、チェッカープレートがない状態となるため、作業員は弁体操作部を容易に操作することができる。さらに、弁体操作部の周辺にチェッカープレートがない状態となることから、作業員の手が弁体操作部の操作時にチェッカープレートに接触して負傷することがない。このため、作業員は、弁体操作部を安全に操作することができる。
【0017】
また、この弁装置の操作方法では、弁装置の操作が必要な場合にのみ、中間部および弁体操作部を使用するため、弁棒を短くするなどして弁装置をコンパクト化できる。このため、作業員が弁装置に接触して負傷する可能性を低減することができる。
【0018】
補助操作部と中間部は凹凸嵌合によるのが望ましい。この場合、補助操作部への中間部の取り付けが容易になるため、弁装置の操作が必要な際、中間部を補助操作部に取り付けて、弁装置を即座に操作することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の弁装置は、弁体操作部を従来よりも弁体から離隔させることができるため、弁装置を、従来よりも離隔した位置から操作することができる。この場合、弁装置を、作業員の作業が困難となる機械の内部などに配置する必要がある場合でも、作業員は、弁体操作部を容易に操作することができる。
【0020】
本発明の弁装置の操作方法では、弁装置が、例えば、チェッカープレートで覆われている配管スペースや機械の内部など作業員の操作が困難である場所に配置されている場合に、弁体操作部を設ける中間部を補助操作部に取り付けることにより、弁体操作部を機械の外部に突出させることができる。このため、弁体操作部の周辺は、障害物(チェッカープレートや機械の内部部品など)がない状態とすることができるため、作業員は弁体操作部を容易に操作することができる。さらに、弁体操作部の周辺は障害物がない状態となるため、作業員の手が弁体操作部の操作時に障害物に接触して負傷することがない。このため、作業員は弁体操作部を安全に操作することができる。
【0021】
さらに、中間部および弁体操作部は、弁体操作部の操作が必要な場合にのみ使用するため、弁棒を短くするなどして弁装置をコンパクト化できる。このため、作業員が弁装置に接触して負傷する可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
図1に本発明の実施形態である弁装置を示す。この弁装置1は、チェッカープレート30で覆われた床下配管スペースの管体2を遮断するように配置されている。
【0024】
弁装置1は、流体(液体、気体)の通路8が設けられた弁箱3と、通路8を遮断可能に配設された弁体5と、弁棒4と、弁体5を操作するハンドル9と、弁体5の補助操作部である補助ハンドル10とで主要部を構成する。弁棒4は、通路8側端部に弁体5が取り付けられ、反通路8側端部は、弁箱3の外部へ延びており、補助ハンドル10が取り付けられている。
【0025】
弁箱3と弁棒4との間には、通路8を流動する流体が外部へ漏出するのを防止するための環状パッキン7が配設されている。
【0026】
通路8での流体の流動制御は、弁棒4を回転させ、これにより、弁体5を弁棒4と平行な方向に移動させて開閉することにより行う。なお、弁箱3の座部3aにシール部材として弁座6が配設されている。
【0027】
補助ハンドル10の反通路8側端面は、図3の正面図に示すように、外周が波状に成形され、外周寄りの位置に環状の突状部13を設け、中心部に円形の差込孔20を形成する。
【0028】
また、補助ハンドル10の反通路8側端面には、円筒逆台形状を成す中間部11を嵌合する。この中間部11は、図4の正面図に示すように、通路8側端面に環状の凹溝14を形成し、反通路8側端面に、図1に示すように、弁体5を開閉する弁体操作部として、環状のハンドル9を非分離に取付固定する。
【0029】
さらに、中間部11は、図2に示すように、通路8側端面の中心に軸部差込孔15を形成し、この軸部差込孔15に円柱状の差込用軸部12を挿入する。この差込用軸部12の通路側端部12aは、中間部11から通路8側へ突出させる。中間部11の差込用軸部12における通路8側の端部12aは、補助ハンドル10の差込孔20に差し込む。中間部11の凹溝14には、補助ハンドル10の突状部13を嵌合する。
【0030】
次に、弁装置1の操作方法について説明する。
【0031】
まず、図2の白抜矢印Cで示すように、補助ハンドル10の反通路8側端面に中間部11の通路8側端面を反通路8側から嵌合して、図1の状態にする。この嵌合は、図2に示すように、補助ハンドル10の差込孔20に、中間部11の軸部差込孔15に差し込まれた差込用軸部12における通路8側の端部12aを差し込み、これと同時に、中間部11の通路8側端面に形成した凹溝14に補助ハンドル10の突状部13を嵌合することにより行う。
【0032】
次に、図1に示すように、中間部11のハンドル9を白抜矢印Aおよび白抜矢印Bに示すように、時計回り或いは反時計周りに回転させると、これに追従して、中間部11および補助ハンドル10が白抜矢印Xおよび白抜矢印Yに示すように、時計周り或いは反時計周りに回転する。この回転力が弁棒4に伝達されて、弁棒4が回転する。
【0033】
これにより、弁体5は、弁棒4と平行な方向(図面の上部側および下部側)に移動して開閉し、通路8での流体の流動を制御する。
【0034】
本実施形態の弁装置1は、図1に示すように、補助操作部である補助ハンドル10と弁体操作部であるハンドル9との間に中間部11を介在させるため、ハンドル9を、弁体5から離隔させることができる。この場合、作業員は、弁装置1を、従来よりも離隔した位置より操作することができる。このため、本実施形態のように、弁装置1を、作業員の操作が困難である配管スペースに配置する必要がある場合でも、作業員は、弁装置1を容易に操作することができる。
【0035】
本実施形態の弁装置の操作方法では、補助ハンドル10に中間部11を取り付けるため、ハンドル9を配管スペースの外部へ突出させることができる。この場合、ハンドル9の周辺をチェッカープレート30がない状態にできるため、作業員は、ハンドル9を容易に回転させて、弁体5を開閉することができる。また、作業員の手がハンドル9を回転させる際にチェッカープレート30に接触して負傷することがないため、安全にハンドル9を回転させて弁体5を開閉することができる。
【0036】
弁装置1は、操作しない状態では、補助ハンドル10に中間部11およびハンドル9を取り付ける必要がないため、弁棒4を短くするなどして、弁装置1をコンパクト化できる。このため、作業員が弁装置1に接触して負傷する可能性を低減することができる。また、弁装置1は、床下配管スペースに配置されているが、弁装置1を操作しない場合は、弁装置1の補助ハンドル10は、チェッカープレート30から突出することがないため、歩行中の作業員が補助ハンドル10で躓くことがない。
【0037】
さらに、本実施形態の弁装置1およびその操作方法のように、補助ハンドル10の突状部13を中間部11の凹溝14に嵌合する場合、補助ハンドル10への中間部11の取り付けが容易であるため、弁装置1の組付性が向上し、弁装置1の操作が必要な際、弁装置1を即座に操作することができる。また、上記した嵌合作業を行うための形状は、突状部13や凹溝14のように簡易な形状で良いため、補助ハンドル10と中間部11を加工する際の加工性も向上する。
【0038】
なお、本実施形態では、弁体操作部や補助操作部を環状のハンドル(9、10)とする場合、中間部11の形状を、加工が容易な形状(本実施形態では円筒逆台形状)にすることができるため、中間部11の加工性が向上する。また、弁体操作部を環状のハンドル9とするため、弁体操作部を回転させやすく、弁装置1の操作性が向上する。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらは例示であり、特許請求の範囲に記載の技術的思想を逸脱しない範囲内で適宜に変更が可能である。
【0040】
例えば、本実施形態では、補助ハンドル10の反通路8側端面に突状部13を設け、中間部11の通路8側端面に凹溝14を形成したが、補助ハンドル10の反通路8側端面に凹溝を形成し、中間部11の通路8側端面に突状部を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、ハンドル9は、中間部11に非分離に取付固定したが、ハンドル9と中間部11を分離可能にし、弁装置1の操作時にのみ、ハンドル9を中間部11に取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すもので、図1に示す弁装置の操作方法を説明する断面図である。
【図3】図1に示す補助ハンドルの正面図(反通路側)である。
【図4】図1に示す中間部の正面図(通路側)である。
【図5】従来の弁装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 弁装置
2 管体
3 弁箱
4 弁棒
5 弁体
6 弁座
7 パッキン
8 通路
9 補助ハンドル(補助操作部)
10 ハンドル(弁体操作部)
11 中間部
12 差込軸部
12a 通路側端部(差込軸部)
13 突状部(補助ハンドル)
14 凹溝(中間部)
15 軸部差込孔
20 差込孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の通路を遮断可能に配設された弁体と、その弁体を一端部に有する弁棒と、その弁棒の他端部に取り付けられ、弁棒と一体回転する補助操作部とを備えた弁装置であって、
前記補助操作部に、反通路側に延びて前記弁棒を実質的に延長し、補助操作部と一体回転する中間部が取り付けられ、その中間部の先端に弁体操作部が設けられ、前記弁体操作部の回転力が、前記補助操作部および前記中間部を介して弁棒に伝達されて、前記弁体が弁棒と平行な方向に移動するようにしたことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記補助操作部を環状のハンドルとした請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁体操作部を環状のハンドルとした請求項1又は2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記補助操作部と中間部が凹凸嵌合されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
流体の通路を遮って配設された弁体と、その弁体を一端部に有する弁棒と、その弁棒の他端部に取り付けられ、弁棒と一体回転する補助操作部とを備えた弁装置の操作方法であって、
前記補助操作部に、反通路側に延びて前記弁棒を実質的に延長し、補助操作部と一体回転する中間部を取り付け、その中間部の先端に弁体操作部を設け、この弁体操作部を回転させて、その回転力を前記中間部および前記補助操作部を介して弁棒に伝達することにより、前記弁棒を回転させて、前記弁体を弁棒と平行な方向に移動させることを特徴とする弁装置の操作方法。
【請求項6】
前記補助操作部と前記中間部を凹凸嵌合させる請求項5に記載の弁装置の操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−299732(P2009−299732A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152945(P2008−152945)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】