引き戸の施錠装置
【課題】施錠操作を障子閉塞操作に連動して自動的に行え、防犯上も好適な施錠装置を提供する。
【解決手段】先端に屋内方向に突出する係止部9aを備えた施錠片9を縦軸10回動自在に枢着して障子dの戸先框3内に収設する。また、戸先框3に相対する縦枠4の戸当り4a部に受止片13を突設し、該受止片13の先端に、障子閉塞時に施錠片9の前記係止部9aがばね付勢によって係止する受止部13aを屋外方向にして突設する。そして、前記施錠片9に縦方向にして突設した受圧部片9bを前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片15を、前記戸先框3の屋内面側に設けた手架14内に収設する。
【解決手段】先端に屋内方向に突出する係止部9aを備えた施錠片9を縦軸10回動自在に枢着して障子dの戸先框3内に収設する。また、戸先框3に相対する縦枠4の戸当り4a部に受止片13を突設し、該受止片13の先端に、障子閉塞時に施錠片9の前記係止部9aがばね付勢によって係止する受止部13aを屋外方向にして突設する。そして、前記施錠片9に縦方向にして突設した受圧部片9bを前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片15を、前記戸先框3の屋内面側に設けた手架14内に収設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片引きサッシや引違いサッシに適用する引き戸の施錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引違いサッシ等の引き戸の障子を施錠するには、具体例を挙げるまでもなく、引き寄せを兼ねるクレセントを用いているのが一般で、該クレセントは、障子閉塞後、障子召合せ框に装置したクレセントを他の障子の召合せ框側或いは方立側に装置した受金具に係止させて施錠操作を行うものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
障子の施錠手段として用いているクレセントは、障子閉塞後に別操作として所謂施錠操作を行わざるを得ないため、閉塞操作と施錠操作という二重の操作を必要とするため、その操作が煩雑であり、ときには施錠操作を失念する場合があって防犯上好ましくない。
【0004】
本発明は斯様な従来例の欠点に着目し、施錠操作を障子閉塞操作に連動して自動的に行え、防犯上好適な施錠装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
先端に屋内方向に突出する係止部を備えた施錠片を縦軸回動自在に枢着して障子の戸先框内に収設する一方、前記戸先框に相対する縦枠の戸当り部に受止片を突設し、該受止片の先端に、障子閉塞時に施錠片の前記係止部がばね付勢によって係止する受止部を屋外方向にして突設すると共に、前記施錠片に縦方向にして突設した受圧部片を前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片を、前記戸先框の屋内面側に設けた手架内に収設した構成とするのである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障子を戸当り側に移動するだけで施錠操作を自動的に行うことができ、解錠に際して手架内の解錠片を押圧するだけでその操作を完了することができ、施錠、解錠を総じて簡単に行える装置を提供できる。また、框内に施錠装置を設けた構成を採るので外観上も良好である。
【実施例】
【0007】
図面は本発明に係る引き戸の施錠装置の一実施例を示し、図1は第一実施例の要部の断面図、図2は図1の側面図、図3は図2の横断面図、図4は第一実施例の解錠した状態の横断面図、図5は第一実施例の解錠時の状態の受圧部片と解錠片の関係を示す底面図、図6は引違いサッシの略示正面図である。
【0008】
第一実施例は、内外障子d´,dが互いに引違う引違いサッシAに本発明を適用したものであるが、所謂片引きサッシにも適用できることは勿論で、実施例の引違いサッシは、内障子d´の召合せ框1´にクレセント2を、外障子dの召合せ框に受金具を設け、障子を閉塞した状態においてクレセント2を受金具に係止して内外障子d´,dの召合せ框間の関係で施錠状態を得ると共に、各障子d´,dの戸先框3´,3とサッシ枠(引戸枠)wの縦枠4´,4との関係においても施錠状態を、すなわち、本発明を用いること(前記クレセントによる施錠手段に併用すること)によって尚一層の防犯効果を期待するようにしたものである。
【0009】
以下、外障子dの戸先框3とこれに対応する縦枠4との関係での実施例装置を説明し、内障子d´の戸先框3´とこれに対応する縦枠4´との関係の実施例装置は各部材が前記戸先框3等側と対称的な形態を成す点を除く残余の点がほぼ同様の構成を採るので、その説明を省略する。
【0010】
前記戸先框3は、中空主体部3Aを備え、該中空主体部3Aの、前記縦枠4の戸当り4aに相対する外部片3A´の適所に窓口5を設け、該窓口5部に装置基枠6を組付けてある。
【0011】
装置基枠6は、平板状の基板(前面板)6aの背面側に溝形枠6bを重ね合わせ、これ等をねじ7で互いに止着した方形枠体で成り、溝形枠6b側を前記窓口5を通じて前記中空主体部3A内に挿入し、基板6aを前記外部片3A´の外側に重ね合わせて固定ねじ8で該外部片3A´に止着して、前記の通り、戸先框3に組付けたものである。
【0012】
この装置基枠6(の溝形枠6b部)には、施錠片(鎌)9を収設し、施錠片9は、その基部において前記溝形枠6bの上下の部片に支持させた縦軸10で装置基枠6に屋内外(横)方向に回転自在に枢着してある。
【0013】
施錠片9は先端側を鉤状にして屋内方向に突出する係止部9aを備えた主体部9Aの、下面のほぼ中央部に受圧部片9bを突(吊)設して構成し、受圧部片9bを装置基枠6(溝形枠6b)に設けた切欠11を通じて装置基枠6外部に突出させて前記中空主体部3A間に配する一方、主体部9Aを縦軸10で前記の通り装置基枠6に回動自在に枢着するようにして戸先框3に収設したものである。
【0014】
また、施錠片9は、主体部9Aの基部に横設した切欠に前記縦軸10に巻回した第一ばね12を係合させ、該ばね12の一端側を装置基枠6(戸先框3側)に、他の一端側を該施錠片9にそれぞれ係止させて、先端の係止部9aが障子dの閉塞時に前記戸当り4a側に設けた受止片13の受止部13aに衝接して係止する位置に存するようにしてある。
【0015】
装置基枠6から導出した施錠片9の受圧部片9bは、施錠状態時には、障子dの見付け方向に沿う平板状体を成し(図3鎖線で示す。なお、第二実施例は図9参照)、装置基枠6より下方にして前記中空主体部3Aの屋内側部片3A´´に装置した手架14の背面(室外面)側において重なり合う位置に配置してある。
【0016】
手架14は、周端に鍔部片を備えた前面開口の縦長箱状態で成り、戸先框3の中空主体部3Aの前記屋内側部片3A´´(戸先框3の屋内側部片)の中間部に設けた窓口に嵌着したもので、この手架14内には解錠片15を収設してある。
【0017】
解錠片15は、主体部片15aの背面側の上下両端に厚肉部片を、中間部に柱状の一対の組付け部片15b,15bを突設した上下対称形体で構成するもので、厚肉部片および組付け部片15bを、前記手架14の縦長箱状体の底壁部片(屋外端部片)14aに設けた透孔16,17に貫通させるようにして組合わせ、底壁部片14aの上端側に設けた透孔16に係合させた前記厚肉部片を、戸先框3の前記中空主体3A内に装置した施錠片9の前記受圧部片9bの屋内側に重合させ、かつ、これと接触するようにして押圧部片15cと成し、また、底壁部片14aの中間部に設けた透孔17に貫通させた前記組付け部片15bの透孔17より突出する先端にリング18を取付けて、手架14に屋内外方向に移動自在に収設したもので、前記底壁部片14aと主体部片15aとの間には前記組付け部片15bに巻回した第二ばね(復帰スプリング)19を配し、屋内外方向に人為的操作でのみ手架14内を移動するようにしたものである。
【0018】
なお、前記押圧部片15cの、前記受圧部片9bに接する先端面(屋外側端面)15c´には、前記縦軸10を中心とする受圧部片9b(延いては施錠片9)の屋外方向の回動角度に沿うテーパを設け、該先端面15c´の該テーパ形によって解錠片15の屋外方向へのいわば直線動作が回動(転)動作として施錠片9に現われて、該施錠片9の第一ばね12に抗した回動動作が円滑になるようにしてある。
【0019】
前記受止片13は、先端側を鉤状にして屋外方向に突出する前記受止部13aを設けて成り、前記戸先框3に相対する縦枠4の戸当り4a部に突設し、戸先框3側に設けた前記施錠片9の戸先框3(障子d)の移動に伴う移動路上に位置するようにして障子閉塞時に前記装置基枠6の開口部20を通じて受止部13aが施錠片9側の係止部9aに衝接するように配設し、受止部13aに係止部9aにおいて衝接した施錠片9は第一ばね12の付勢に抗してわずかに回動し、ばね12の付勢によって原位置に復帰して受止部13aに係止するのである。
【0020】
しかして、外障子dを閉塞方向に移動させると、該障子dの移動に伴う施錠片9(係止部9a)の移動路上にして縦枠4の戸当り4a部に突設した受止片13の先端の受止部13aは、相対的に装置基枠6の開口部20を通じて戸先框3(の中空主体部3A)に挿入され、該戸先框3に収設した施錠片9の係止部9aを第一ばね12の付勢に抗して押圧し、その結果、施錠片9は縦軸10を中心にしてわずかに回動し、衝接状態が解放されると同時に、前記ばね付勢によって原位置に復帰し、施錠片9の係止部9aが受止片13の受止部13aに係止して障子dは施錠される。そして、この施錠状態時に手架14内に収設した解錠片15を第二ばね19に抗して屋外方向へ押圧すると、解錠片15の押圧部片15cが施錠片9の受圧部片9bを押圧し、この結果、施錠片9は第一ばね12の付勢に抗して回動し、係止部9aは受止片13の受止部13aに対する係止状態位置から離脱し、離脱状態のまま障子dを移動させることによって障子dの解放状態を得られるのである。
【0021】
この解放状態時に解錠片15の押圧操作を中断すると、解錠片15は第二ばね19によって原位置に復帰し、障子dを閉塞方向に移動させることにより、前記の施錠状態を再び得られるのである。
【0022】
なお、図7乃至図11は第二実施例を示し、図7は要部の正面図、図8は図7のa−a線断面図、図9は図7のb−b線断面図、図10は解錠状態の横断面図、図11は解錠状態時の断面図である。
【0023】
この第二実施例は第一実施例と符号を同じにして示す通り施錠片9を受止片13の組合わせ関係(障子dの施錠関係)においては第一実施例と全く同じで、手架114部に備えた解錠片115と施錠片9の受圧部片109bの関係のみが相違するだけであるのでこの点について説明する(残余の点は第一実施例と同様である)。
【0024】
施錠片9の受圧部片109bは、第一実施例の受圧部片9bが長いのに対し短くしてあり、解錠操作時にこの受圧部片109bを押圧する解錠片115は互いに直交方向にして一体に連設した押圧部片115aと操作部片115bとで成り、操作部片115bを前記手架114の底壁部片114aに設けた窓口117を通じて手架114内に導入し、手架114の縦長箱状体の上下の部片にわたした軸23を該操作部片115bの自由端を屈曲して形成した筒状部24に貫通させるようにして回動自在に支持させ、手架114より屋外側に存する前記押圧部片115aの上端部側の押圧部115a´を前記受圧部片109bの屋内面側に位置させて配し、すなわち、受圧部片109bと手架114(の底壁部片114a)との間に介在し、解錠時に、手架114内に挿入した指先で操作部片115bを障子dの見付け方向に(障子dの開放方向に)押圧すると、解錠片115は前記軸23を中心にして回動し、操作部片115bに連設した押圧部片115aは押圧部115a´において施錠片9の受圧部片109bを屋外方向に押圧し、受圧部片109bにおいて押圧された施錠片9は第一実施例と同様に前記第一ばね12の付勢に抗して回動し、施錠片9の係止部9aは受止片13の受止部13aより離脱し解錠が行われ、障子dの開放状態後、操作部片115bに対する第一ばね12の付勢に抗する押圧操作を中断すると、操作部片115bすなわち解錠片115は第一ばね12の付勢によって原位置に復帰するのである。
【0025】
因みに、解錠時の操作部片115dの押圧と障子開放時の手架114の押圧は、いわば連動して行うことができ、つまり、解錠操作と障子開放操作は手先による操作部片115dと手架114のそれぞれの押圧の向きがほぼ同様なので連動して行え、操作上好適である。
【0026】
なお、残余の各部の動作(構成は勿論)は矛盾のない限り、第一実施例と同様であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施例の要部の断面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図2の横断面図。
【図4】第一実施例の解錠した状態の横断面図。
【図5】第一実施例の解錠時の状態の受圧部片と解錠片の関係を示す底面図。
【図6】引違いサッシの略示正面図。
【図7】第二実施例の要部の正面図。
【図8】図7のa−a線断面図。
【図9】図7のb−b線断面図。
【図10】第二実施例の解錠状態の横断面図。
【図11】第二実施例の解錠状態時の断面図。
【符号の説明】
【0028】
3 戸先框
4 縦枠
4a 戸当り
9 施錠片
9a 係止部
9b 受圧部片
13 受止片
14 手架
15 解錠片
【技術分野】
【0001】
本発明は、片引きサッシや引違いサッシに適用する引き戸の施錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引違いサッシ等の引き戸の障子を施錠するには、具体例を挙げるまでもなく、引き寄せを兼ねるクレセントを用いているのが一般で、該クレセントは、障子閉塞後、障子召合せ框に装置したクレセントを他の障子の召合せ框側或いは方立側に装置した受金具に係止させて施錠操作を行うものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
障子の施錠手段として用いているクレセントは、障子閉塞後に別操作として所謂施錠操作を行わざるを得ないため、閉塞操作と施錠操作という二重の操作を必要とするため、その操作が煩雑であり、ときには施錠操作を失念する場合があって防犯上好ましくない。
【0004】
本発明は斯様な従来例の欠点に着目し、施錠操作を障子閉塞操作に連動して自動的に行え、防犯上好適な施錠装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
先端に屋内方向に突出する係止部を備えた施錠片を縦軸回動自在に枢着して障子の戸先框内に収設する一方、前記戸先框に相対する縦枠の戸当り部に受止片を突設し、該受止片の先端に、障子閉塞時に施錠片の前記係止部がばね付勢によって係止する受止部を屋外方向にして突設すると共に、前記施錠片に縦方向にして突設した受圧部片を前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片を、前記戸先框の屋内面側に設けた手架内に収設した構成とするのである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障子を戸当り側に移動するだけで施錠操作を自動的に行うことができ、解錠に際して手架内の解錠片を押圧するだけでその操作を完了することができ、施錠、解錠を総じて簡単に行える装置を提供できる。また、框内に施錠装置を設けた構成を採るので外観上も良好である。
【実施例】
【0007】
図面は本発明に係る引き戸の施錠装置の一実施例を示し、図1は第一実施例の要部の断面図、図2は図1の側面図、図3は図2の横断面図、図4は第一実施例の解錠した状態の横断面図、図5は第一実施例の解錠時の状態の受圧部片と解錠片の関係を示す底面図、図6は引違いサッシの略示正面図である。
【0008】
第一実施例は、内外障子d´,dが互いに引違う引違いサッシAに本発明を適用したものであるが、所謂片引きサッシにも適用できることは勿論で、実施例の引違いサッシは、内障子d´の召合せ框1´にクレセント2を、外障子dの召合せ框に受金具を設け、障子を閉塞した状態においてクレセント2を受金具に係止して内外障子d´,dの召合せ框間の関係で施錠状態を得ると共に、各障子d´,dの戸先框3´,3とサッシ枠(引戸枠)wの縦枠4´,4との関係においても施錠状態を、すなわち、本発明を用いること(前記クレセントによる施錠手段に併用すること)によって尚一層の防犯効果を期待するようにしたものである。
【0009】
以下、外障子dの戸先框3とこれに対応する縦枠4との関係での実施例装置を説明し、内障子d´の戸先框3´とこれに対応する縦枠4´との関係の実施例装置は各部材が前記戸先框3等側と対称的な形態を成す点を除く残余の点がほぼ同様の構成を採るので、その説明を省略する。
【0010】
前記戸先框3は、中空主体部3Aを備え、該中空主体部3Aの、前記縦枠4の戸当り4aに相対する外部片3A´の適所に窓口5を設け、該窓口5部に装置基枠6を組付けてある。
【0011】
装置基枠6は、平板状の基板(前面板)6aの背面側に溝形枠6bを重ね合わせ、これ等をねじ7で互いに止着した方形枠体で成り、溝形枠6b側を前記窓口5を通じて前記中空主体部3A内に挿入し、基板6aを前記外部片3A´の外側に重ね合わせて固定ねじ8で該外部片3A´に止着して、前記の通り、戸先框3に組付けたものである。
【0012】
この装置基枠6(の溝形枠6b部)には、施錠片(鎌)9を収設し、施錠片9は、その基部において前記溝形枠6bの上下の部片に支持させた縦軸10で装置基枠6に屋内外(横)方向に回転自在に枢着してある。
【0013】
施錠片9は先端側を鉤状にして屋内方向に突出する係止部9aを備えた主体部9Aの、下面のほぼ中央部に受圧部片9bを突(吊)設して構成し、受圧部片9bを装置基枠6(溝形枠6b)に設けた切欠11を通じて装置基枠6外部に突出させて前記中空主体部3A間に配する一方、主体部9Aを縦軸10で前記の通り装置基枠6に回動自在に枢着するようにして戸先框3に収設したものである。
【0014】
また、施錠片9は、主体部9Aの基部に横設した切欠に前記縦軸10に巻回した第一ばね12を係合させ、該ばね12の一端側を装置基枠6(戸先框3側)に、他の一端側を該施錠片9にそれぞれ係止させて、先端の係止部9aが障子dの閉塞時に前記戸当り4a側に設けた受止片13の受止部13aに衝接して係止する位置に存するようにしてある。
【0015】
装置基枠6から導出した施錠片9の受圧部片9bは、施錠状態時には、障子dの見付け方向に沿う平板状体を成し(図3鎖線で示す。なお、第二実施例は図9参照)、装置基枠6より下方にして前記中空主体部3Aの屋内側部片3A´´に装置した手架14の背面(室外面)側において重なり合う位置に配置してある。
【0016】
手架14は、周端に鍔部片を備えた前面開口の縦長箱状態で成り、戸先框3の中空主体部3Aの前記屋内側部片3A´´(戸先框3の屋内側部片)の中間部に設けた窓口に嵌着したもので、この手架14内には解錠片15を収設してある。
【0017】
解錠片15は、主体部片15aの背面側の上下両端に厚肉部片を、中間部に柱状の一対の組付け部片15b,15bを突設した上下対称形体で構成するもので、厚肉部片および組付け部片15bを、前記手架14の縦長箱状体の底壁部片(屋外端部片)14aに設けた透孔16,17に貫通させるようにして組合わせ、底壁部片14aの上端側に設けた透孔16に係合させた前記厚肉部片を、戸先框3の前記中空主体3A内に装置した施錠片9の前記受圧部片9bの屋内側に重合させ、かつ、これと接触するようにして押圧部片15cと成し、また、底壁部片14aの中間部に設けた透孔17に貫通させた前記組付け部片15bの透孔17より突出する先端にリング18を取付けて、手架14に屋内外方向に移動自在に収設したもので、前記底壁部片14aと主体部片15aとの間には前記組付け部片15bに巻回した第二ばね(復帰スプリング)19を配し、屋内外方向に人為的操作でのみ手架14内を移動するようにしたものである。
【0018】
なお、前記押圧部片15cの、前記受圧部片9bに接する先端面(屋外側端面)15c´には、前記縦軸10を中心とする受圧部片9b(延いては施錠片9)の屋外方向の回動角度に沿うテーパを設け、該先端面15c´の該テーパ形によって解錠片15の屋外方向へのいわば直線動作が回動(転)動作として施錠片9に現われて、該施錠片9の第一ばね12に抗した回動動作が円滑になるようにしてある。
【0019】
前記受止片13は、先端側を鉤状にして屋外方向に突出する前記受止部13aを設けて成り、前記戸先框3に相対する縦枠4の戸当り4a部に突設し、戸先框3側に設けた前記施錠片9の戸先框3(障子d)の移動に伴う移動路上に位置するようにして障子閉塞時に前記装置基枠6の開口部20を通じて受止部13aが施錠片9側の係止部9aに衝接するように配設し、受止部13aに係止部9aにおいて衝接した施錠片9は第一ばね12の付勢に抗してわずかに回動し、ばね12の付勢によって原位置に復帰して受止部13aに係止するのである。
【0020】
しかして、外障子dを閉塞方向に移動させると、該障子dの移動に伴う施錠片9(係止部9a)の移動路上にして縦枠4の戸当り4a部に突設した受止片13の先端の受止部13aは、相対的に装置基枠6の開口部20を通じて戸先框3(の中空主体部3A)に挿入され、該戸先框3に収設した施錠片9の係止部9aを第一ばね12の付勢に抗して押圧し、その結果、施錠片9は縦軸10を中心にしてわずかに回動し、衝接状態が解放されると同時に、前記ばね付勢によって原位置に復帰し、施錠片9の係止部9aが受止片13の受止部13aに係止して障子dは施錠される。そして、この施錠状態時に手架14内に収設した解錠片15を第二ばね19に抗して屋外方向へ押圧すると、解錠片15の押圧部片15cが施錠片9の受圧部片9bを押圧し、この結果、施錠片9は第一ばね12の付勢に抗して回動し、係止部9aは受止片13の受止部13aに対する係止状態位置から離脱し、離脱状態のまま障子dを移動させることによって障子dの解放状態を得られるのである。
【0021】
この解放状態時に解錠片15の押圧操作を中断すると、解錠片15は第二ばね19によって原位置に復帰し、障子dを閉塞方向に移動させることにより、前記の施錠状態を再び得られるのである。
【0022】
なお、図7乃至図11は第二実施例を示し、図7は要部の正面図、図8は図7のa−a線断面図、図9は図7のb−b線断面図、図10は解錠状態の横断面図、図11は解錠状態時の断面図である。
【0023】
この第二実施例は第一実施例と符号を同じにして示す通り施錠片9を受止片13の組合わせ関係(障子dの施錠関係)においては第一実施例と全く同じで、手架114部に備えた解錠片115と施錠片9の受圧部片109bの関係のみが相違するだけであるのでこの点について説明する(残余の点は第一実施例と同様である)。
【0024】
施錠片9の受圧部片109bは、第一実施例の受圧部片9bが長いのに対し短くしてあり、解錠操作時にこの受圧部片109bを押圧する解錠片115は互いに直交方向にして一体に連設した押圧部片115aと操作部片115bとで成り、操作部片115bを前記手架114の底壁部片114aに設けた窓口117を通じて手架114内に導入し、手架114の縦長箱状体の上下の部片にわたした軸23を該操作部片115bの自由端を屈曲して形成した筒状部24に貫通させるようにして回動自在に支持させ、手架114より屋外側に存する前記押圧部片115aの上端部側の押圧部115a´を前記受圧部片109bの屋内面側に位置させて配し、すなわち、受圧部片109bと手架114(の底壁部片114a)との間に介在し、解錠時に、手架114内に挿入した指先で操作部片115bを障子dの見付け方向に(障子dの開放方向に)押圧すると、解錠片115は前記軸23を中心にして回動し、操作部片115bに連設した押圧部片115aは押圧部115a´において施錠片9の受圧部片109bを屋外方向に押圧し、受圧部片109bにおいて押圧された施錠片9は第一実施例と同様に前記第一ばね12の付勢に抗して回動し、施錠片9の係止部9aは受止片13の受止部13aより離脱し解錠が行われ、障子dの開放状態後、操作部片115bに対する第一ばね12の付勢に抗する押圧操作を中断すると、操作部片115bすなわち解錠片115は第一ばね12の付勢によって原位置に復帰するのである。
【0025】
因みに、解錠時の操作部片115dの押圧と障子開放時の手架114の押圧は、いわば連動して行うことができ、つまり、解錠操作と障子開放操作は手先による操作部片115dと手架114のそれぞれの押圧の向きがほぼ同様なので連動して行え、操作上好適である。
【0026】
なお、残余の各部の動作(構成は勿論)は矛盾のない限り、第一実施例と同様であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施例の要部の断面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図2の横断面図。
【図4】第一実施例の解錠した状態の横断面図。
【図5】第一実施例の解錠時の状態の受圧部片と解錠片の関係を示す底面図。
【図6】引違いサッシの略示正面図。
【図7】第二実施例の要部の正面図。
【図8】図7のa−a線断面図。
【図9】図7のb−b線断面図。
【図10】第二実施例の解錠状態の横断面図。
【図11】第二実施例の解錠状態時の断面図。
【符号の説明】
【0028】
3 戸先框
4 縦枠
4a 戸当り
9 施錠片
9a 係止部
9b 受圧部片
13 受止片
14 手架
15 解錠片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に屋内方向に突出する係止部を備えた施錠片を縦軸回動自在に枢着して障子の戸先框内に収設する一方、前記戸先框に相対する縦枠の戸当り部に受止片を突設し、該受止片の先端に、障子閉塞時に施錠片の前記係止部がばね付勢によって係止する受止部を屋外方向にして突設すると共に、前記施錠片に縦方向にして突設した受圧部片を前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片を、前記戸先框の屋内面側に設けた手架内に収設した、引き戸の施錠装置。
【請求項2】
戸先框の屋内面側に設けた縦長箱状の手架内に解錠片の主体部片を収設し、該主体部片に底壁部片を通じて受圧部片を押圧する押圧部片を突設すると共に、前記主体部片と前記底壁部片との間に前記押圧部片を前記手架内方向に復帰するための第二ばねを添設した、請求項1記載の引き戸の施錠装置。
【請求項3】
受圧部片を施錠状態時に障子の見付け方向に沿う平板体で構成する一方、押圧部片の先端面を、前記受圧部片の縦軸を中心とする回動角度に沿うテーパ形にした、請求項2記載の引き戸の施錠装置。
【請求項4】
受圧部片を施錠状態時に障子の見付け方向に沿う平板体で構成すると共に、障子框の屋内面側に設けた縦長箱状の手架内に、押圧部片と操作部片を互いに直交方向にして一体に連設した解錠片の操作部片を、前記手架底壁部片を通じて導入して回動自在に支持させる一方、前記手架より屋外側に存する前記押圧部片を前記受圧部片の屋内面側に位置させた、請求項1記載の引き戸の施錠装置。
【請求項1】
先端に屋内方向に突出する係止部を備えた施錠片を縦軸回動自在に枢着して障子の戸先框内に収設する一方、前記戸先框に相対する縦枠の戸当り部に受止片を突設し、該受止片の先端に、障子閉塞時に施錠片の前記係止部がばね付勢によって係止する受止部を屋外方向にして突設すると共に、前記施錠片に縦方向にして突設した受圧部片を前記ばね付勢に抗して屋外方向に押圧する解錠片を、前記戸先框の屋内面側に設けた手架内に収設した、引き戸の施錠装置。
【請求項2】
戸先框の屋内面側に設けた縦長箱状の手架内に解錠片の主体部片を収設し、該主体部片に底壁部片を通じて受圧部片を押圧する押圧部片を突設すると共に、前記主体部片と前記底壁部片との間に前記押圧部片を前記手架内方向に復帰するための第二ばねを添設した、請求項1記載の引き戸の施錠装置。
【請求項3】
受圧部片を施錠状態時に障子の見付け方向に沿う平板体で構成する一方、押圧部片の先端面を、前記受圧部片の縦軸を中心とする回動角度に沿うテーパ形にした、請求項2記載の引き戸の施錠装置。
【請求項4】
受圧部片を施錠状態時に障子の見付け方向に沿う平板体で構成すると共に、障子框の屋内面側に設けた縦長箱状の手架内に、押圧部片と操作部片を互いに直交方向にして一体に連設した解錠片の操作部片を、前記手架底壁部片を通じて導入して回動自在に支持させる一方、前記手架より屋外側に存する前記押圧部片を前記受圧部片の屋内面側に位置させた、請求項1記載の引き戸の施錠装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−233554(P2006−233554A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48819(P2005−48819)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【出願人】(000131511)株式会社シブタニ (88)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【出願人】(000131511)株式会社シブタニ (88)
[ Back to top ]