説明

引戸装置

【課題】キャビネット用のアウトセット式で上吊り式の引戸を備えた引戸装置において、引戸の開放時であってもレールが露出せず、キャビネットの良好な意匠性を確保することができる引戸装置を提供する。
【解決手段】キャビネット1の天板2の上面に上レール用溝2aが形成され、上レール用溝2aに外引戸用の外上レール8aと内引戸用の内上レール8bが嵌入される。キャビネット1の天板2の下面に下レール用溝3aが形成され、下レール用溝3aに外引戸用の外下レール8aと内引戸用の内下レール8bが嵌入される。外引戸6の上部に外上走行部10の外上取付板11が固定され、外上取付板11には外上ローラ支持部12が高さ調整可能に取り付けられる。外上ローラ支持部12に外上レール8aに係合する外上ローラ13が軸支される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン、洗面化粧台などのキャビネットの引戸として使用される、アウトセット型の上吊り式の引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン、洗面化粧台などのキャビネットにおいて、上吊り式の引戸が開閉の容易性から数多く使用されており、この種の上吊り式引戸としては、一般に、インセット型の引戸が、通常キャビネットの扉として使用されている。しかし、インセット型の引戸装置は、引戸がキャビネットの内側に入るため、キャビネットの天板と地板の木口が引戸の周囲に目立つように露出し、これにより、引戸装置を含めたキャビネットの外観の意匠性が悪化する課題があった。
【0003】
そこで、従来、キャビネット用の上吊り式の引戸装置として、下記特許文献1のようなアウトセット式の引戸が提案されている。
【特許文献1】特開2002−242516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のこの種の上吊り式引戸装置は、上レールがキャビネットの天板の上面に突出して取り付けられているため、引戸が天板を覆う大きさに形成されている場合であっても、引戸を開いたときに、上レールがキャビネットの正面に露出し、引戸の開放時のキャビネットの良好な意匠性が悪化しやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、キャビネット用のアウトセット式で上吊り式の引戸を備えた引戸装置において、引戸の開放時であってもレールが露出せず、キャビネットの良好な意匠性を確保することができる引戸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る引戸装置は、キャビネット用のアウトセット式且つ上吊り式の外引戸と内引戸を備えた引戸装置において、
該キャビネットの天板の上面に上レール用溝が形成され、該上レール用溝に外引戸用の外上レールと内引戸用の内上レールが嵌入され、キャビネットの地板の下面に下レール用溝が形成され、該下レール用溝に外引戸用の外下レールと内引戸用の内下レールが嵌入され、
該外引戸の上部に外上走行部の外上取付板が固定され、該外上取付板には外上ローラ支持部が高さ調整可能に取り付けられると共に、該外上ローラ支持部に該外上レールに係合する外上ローラが軸支され、
該内引戸の上部に内上走行部の内上取付板が固定され、該内上取付板には内上ローラ支持部が高さ調整可能に取り付けられると共に、該内上ローラ支持部に該内上レールに係合する内上ローラが軸支され、
該外引戸の下部に外下ガイド部の外下取付板が固定され、該外下取付板には外ガイドローラ支持部が取り付けられ、該外ガイドローラ支持部には前記外下レールに係合する外ガイドローラが軸支され、
該内引戸の下部に内下ガイド部の内下取付板が固定され、該内下取付板には内ガイドローラ支持部が取り付けられ、該内ガイドローラ支持部には前記内下レールに係合する内ガイドローラが軸支されたことを特徴とする。
【0007】
ここで、上記引戸装置は、請求項2のように、前記外上取付板に、外上ローラ支持部の高さを調整するための高さ調整ねじが横方向に向けて配設され、前記内上取付板には内上ローラ支持部の高さを調整するための高さ調整ねじが横方向に向けて配設され、外引戸または内引戸の側方から内側に挿入した工具により該高さ調整ねじを回して高さ調整を行うように構成することができる。
【0008】
また、請求項3のように、前記外下取付板と外下ガイドローラ支持部に、及び前記内下取付板と内下ガイドローラ支持部に、各々弾性変形可能で相互に係止可能な係止部と被係止部が設けられ、該外下取付板に対し外下ガイドローラ支持部を下側から上方に向けて挿入したとき、該外下ガイドローラ支持部が外下取付板の定位置に嵌着され、該内下取付板に対し内下ガイドローラ支持部を下側から上方に向けて挿入したとき、該内下ガイドローラ支持部が内下取付板の定位置に嵌着されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の引戸装置によれば、外引戸と内引戸を備えたキャビネットであっても、アウトセット式で上吊り式の引戸とすることにより、両引戸を閉じた状態では、正面からキャビネットの木口が露出しないので、キャビネットの意匠性を向上させることができる。また、キャビネットの天板の上面に上レール用溝が形成され、上レール用溝に外上レールと内上レールが嵌入され、キャビネットの地板の下面に下レール用溝が形成され、下レール用溝に下レールが嵌入されているため、引戸を開いたときに、上レール及び下レールがキャビネットの正面に露出せず、レールや走行部をキャビネットの正面から見えなくして、キャビネットの良好な意匠性を確保することができる。
【0010】
さらに、引戸の側方から挿入した工具により高さ調整ねじを回して高さ調整を行うように構成した場合、引戸の高さを調整する際、開いた引戸の側方からねじ回しなどを挿入し、それを側方から視認しながら、高さ調整ねじを回して高さ調整を行うことができるから、引戸の高さ調整を容易に行うことができる。
【0011】
さらに、外下ガイドローラ支持部を外下取付板に対し下側から上方に向かって定位置に挿入して嵌着し、内下ガイドローラ支持部を内下取付板に対し下側から上方に向かって定位置に挿入し嵌着するように構成すれば、キャビネットに引戸を取り付ける際、先ず外引戸の外上走行部を上レールの外上レールに係合させ、内引戸の内上走行部を上レールの内上レールに係合させて引戸を吊下げた状態とし、次に、外引戸の下部に固定された外下取付板に外下ガイドローラ支持部を定位置に嵌着させ、内引戸の下部に固定された内下取付板に内下ガイドローラ支持部を定位置に嵌着するだけの簡単な操作で、外下ガイドローラ支持部と内下ガイドローラ支持部を下ガイドレールに係合させ、引戸装置の取付け作業を完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は引戸装置を取り付けたキャビネット1の斜視図を示し、図2はその外引戸6の各走行部を示す断面図を、図3はその内引戸7の各走行部を示す断面図を示し、図4は、引戸の正面に対し直角方向の拡大縦断面図を示している。キャビネット1は、天板2と地板3と両側の側板4,5とを有して箱型に構成され、キャビネット1の前部には、上吊り式でアウトセット式の外引戸6と内引戸7が、外上走行部10と内上走行部20を介して、上レール8の外上レール8aと内上レール8b上を引き違い状に走行し、開閉するように装着される。
【0013】
図4に示すように、キャビネット1の天板2の上面に、上レール用溝2aが形成され、その上レール用溝に2aに上レール8が嵌入され、正面から見えないように埋め込まれている。上レール8は外上レール8aと内上レール8bとを有し、外上レール8aと内上レール8bの内側には溝部が長手方向に沿って形成されている。外上レール8aと内上レール8bは、その上に後述の外上ローラ13と内上ローラ23が走行可能に係合し、レールの内側の溝部には、後述の外上ローラ支持部12、内上ローラ支持部22の各突出部12a,22aが進入し、外上走行部10と内上走行部20のレールからの外れを防止している。
【0014】
外上走行部10は、図5、図9、図13に示すように、金属板を略コ字状に曲折した外上取付板11と、外上取付板11の先端側に上下動可能に取り付けられ、外上ローラ13を軸支する外上ローラ支持部12と、外上取付板11の端部に設けられた直角曲折部11aにねじ込まれ、外上取付板11に対し外上ロータ支持部12の高さ位置を調整するための高さ調整ねじ14とを有して構成される。
【0015】
なお、図2に示すように、外上走行部10は、外引戸6の上部両側に取り付けられるが、両側の外上走行部10、10は左右対称形に形成され、左右対称形以外の形状と構成は全く同じであり、図面には同じ符号を付して説明する。図5、図9、図13に示すように、外上取付板11は、外引戸6に固定される側の面に、固定ねじ用の固定孔11cが複数個穿設され、外上ローラ支持部12が取り付けられる先端側面に、2本の軸支ピン11b、11dがかしめ固定され、この2本の軸支ピン11b、11dにより、外上ローラ支持部12を所定の数ミリ幅で上下動可能に支持する。
【0016】
すなわち、一方の軸支ピン11bは外上ローラ支持部12を回動可能に軸支し、他方の軸支ピン11dは、外上ローラ支持部12に設けた長孔12cに挿通されている。そして、図5に示すように、外上ローラ支持部12における上記直角曲折部11aの近傍位置には、高さ調整ねじ14の先端部が係合する係合部12bが設けられている。高さ調整ねじ14の先端は、その係合部12bに対し、外上ローラ支持部12が所定の角度範囲で回動可能に間隙をもって係合しており、使用状態において、外引戸6を吊下げたときの荷重は外上ローラ13と外上ローラ支持部12を介して高さ調整ねじ14の先端にかかり、高さ調整ねじ14のねじ込み量を調整することにより、外上ローラ支持部12の水平傾斜角度を僅かに変化させ、外引戸6の高さを調整する。外上ローラ13は、外上ローラ支持部12の内側に、その上部に開口した開口部から僅かにローラ上部を突き出すようにして、軸13aにより回動自在に軸支される。
【0017】
図2に示すように、上記構成の外上走行部10は、上述の如く外引戸6の上部両側に、左右対称形に形成されて取り付けられるが、高さ調整ねじ14は、外引戸6の両端部側に向くように配置され、外引戸6の高さ調整を引戸の正面側から容易に行なえるようにしている。
【0018】
内上走行部20は、図7、図11、図14に示すように、平板状の内上取付板21と、内上取付板21の内側に上下動可能に取り付けられ、内上ローラ23を軸支する内上ローラ支持部22と、内上取付板21の端部に設けられた直角曲折部21aにねじ込まれ、内上取付板21に対し内上ローラ支持部22の高さ位置を調整するための高さ調整ねじ24とを有して構成される。
【0019】
なお、図3に示すように、内上走行部20は、内引戸7の上部両側に取り付けられるが、両側の内上走行部20、20は、左右対称形に形成される以外、その形状と構成は全く同じであり、図面には同じ符号を付して説明する。図7、図11、図14に示すように、内上取付板21は、内引戸7に固定するために、固定ねじ用の固定孔21cが複数個穿設され、内上ローラ支持部22が取り付けられる先端側面に、2本の軸支ピン21b、21dがかしめ固定され、この2本の軸支ピン21b、21dにより、内上ローラ支持部22を所定の数ミリ幅で上下動可能に支持する。
【0020】
すなわち、一方の軸支ピン21bは内上ローラ支持部22を回動可能に軸支し、他方の軸支ピン21dは、内上ローラ支持部22に設けた長孔22cに挿通されている。そして、図7に示すように、内上ローラ支持部22における直角曲折部21aの近傍位置には、高さ調整ねじ24の先端部が係合する係合部22bが設けられている。高さ調整ねじ24の先端は、その係合部22bに対し、内上ローラ支持部22が所定の角度範囲で回動可能に間隙をもって係合しており、使用状態において、内引戸7を吊下げたときの荷重は内上ローラ23と内上ローラ支持部22を介して高さ調整ねじ24の先端にかかり、高さ調整ねじ24のねじ込み量を調整することにより、内上ローラ支持部22の水平傾斜角度を僅かに変化させ、内引戸7の高さを調整する。内上ローラ23は、内上ローラ支持部22の内側に、その上部に開口した開口部から僅かにローラ上部を突き出すようにして、軸23aにより回動自在に軸支される。
【0021】
図3に示すように、上記構成の内上走行部20は、内引戸7の上部両側に、左右対称形に形成されて取り付けられるが、両側の高さ調整ねじ24は、内引戸7の両端部側に向くように配置され、内引戸7の高さ調整を引戸の正面側から容易に行なえるようにしている。
【0022】
一方、図4に示すように、キャビネット1の地板3の下面に、下レール用溝3aが形成され、その下レール用溝3aに下ガイドレール9が嵌入され、正面から見えないように埋め込まれている。下ガイドレール9には外下ガイド溝9aと内下ガイド溝9bとが長手方向に沿って平行に設けられている。
【0023】
外引戸6の下部の両側には、図2に示すように、外下ガイド部30が取り付けられ、外下ガイド部30の外ガイドローラ33が、地板3の下面に嵌め込まれた下ガイドレール9の外下ガイド溝9aに転動可能に係合するように取り付けられる。
【0024】
外下ガイド部30は、図6、図15に示すように、矩形の平板状に形成された外下取付板31と、外下取付板31に下側から嵌着され、外ガイドローラ33を軸支した外ガイドローラ支持部32と、から構成される。外下取付板31は、4隅に取付用の固定孔を穿設し、中央部に薄い矩形凹部31aを背面側と下側に開口して形成し、さらに、その矩形凹部31aの両側に弾性係止部31bを弾性変形可能に設けている。弾性係止部31bは、矩形凹部31aに一部を突き出すように形成され、外ガイドローラ支持部32を矩形凹部31aに下方から押し込むように挿入したとき、内側に撓み、外ガイドローラ支持部32の両側に設けた係止部32aに係止される構造となっている。外ガイドローラ支持部32は、図16に示すように、金属板を略L字状に曲折して形成され、その先端部に外ガイドローラ33が上向きに軸33aによって回動自在に軸支され、その縦板部分の両側に上記矩形凹部31aに係合可能な係止部32aが形成されている。このような外下ガイド部30は、外引戸6の下部内側の両側に、図2のように取り付けられる。
【0025】
一方、内引戸7の下部の両側には、図3に示すように、内下ガイド部40が取り付けられ、内下ガイド部40の内ガイドローラ43が、地板3の下面に嵌め込まれた下ガイドレール9の内下ガイド溝9bに転動可能に係合するように取り付けられる。
【0026】
内下ガイド部40は、図8、図17に示すように、矩形の平板状に形成された内下取付板41と、内下取付板41に下側から嵌着され、内ガイドローラ43を軸支した内ガイドローラ支持部42と、から構成される。内下取付板41は、4隅に取付用の固定孔を穿設し、中央部に薄い矩形凹部41aを背面側と下側に開口して形成し、さらに、その矩形凹部41aの両側に弾性係止部41bを弾性変形可能に設けている。弾性係止部41bは、矩形凹部41aに一部を突き出すように形成され、内ガイドローラ支持部42を矩形凹部41aに下方から押し込むように挿入したとき、内側に撓み、内ガイドローラ支持部42の両側に設けた係止部42aに係止される構造となっている。内ガイドローラ支持部42は、図18に示すように、金属板を略L字状に曲折して形成され、その先端部に内ガイドローラ43が上向きに軸43aによって回動自在に軸支され、その縦板部分の両側に上記矩形凹部41aに係合可能な係止部42aが形成されている。このような内下ガイド部40は、内引戸7の下部内側の両側に、図3のように取り付けられる。
【0027】
キャビネット1に外引戸6と内引戸7を取り付ける場合、先ず、上記構成の外上走行部10を外引戸6の上部両側の内側に、外上取付板11を介して固定孔11cに固定ねじをねじ込み締め付け固定する。さらに、外引戸6の下部両側の内側に、外下走行部30の外下取付板31を固定孔に固定ねじをねじ込み締め付け固定する。同様に、内上走行部20を内引戸7の上部両側の内側に、内上取付板21を介して固定孔21cに固定ねじをねじ込み締め付け固定する。さらに、内引戸7の下部両側の内側に、内下走行部40の内下取付板41を固定孔に固定ねじをねじ込み締め付け固定する。
【0028】
次に、内上走行部20の内上ローラ23を内上レール8b上に載置して吊下げるように、内引戸7を上レール8に係合させる。そして、内引戸7下部の内下取付板41内側の凹部41aに、予め挿入されている内ガイドローラ支持部42を、下から上に押し込むように装着する。このとき、図4に示すように、内ガイドローラ支持部42の内ガイドローラ43が下ガイドレール9の内下ガイド溝9bに入る。そして、図17に示すように、内下取付板41の係止部41bが弾性変形して内ガイドローラ支持部42の両側の被係止部42aの定位置に係止され、装着される。
【0029】
次に、外上走行部10の外上ローラ13を外上レール8a上に載置して吊下げるように、外引戸6を上レール8に係合させる。そして、外引戸6下部の外下取付板31内側の凹部31aに、予め挿入されている外ガイドローラ支持部32を、下から上に押し込むようにして装着する。このとき、図4に示すように、外ガイドローラ支持部32の外ガイドローラ33が下ガイドレール9の外下ガイド溝9aに入る。そして、図15に示すように、外下取付板31の係止部31bが弾性変形して外ガイドローラ支持部32の両側の被係止部32aの定位置に係止され、装着される。
【0030】
このとき、図4に示すように、外上ローラ支持部12の突出部12aが外上レール8aの内側の溝部に進入し、内上ローラ支持部22の突出部22aが内上レール8bの内側の溝部に進入するため、外上走行部10と内上走行部20のレールからの脱落が生じにくくなっている。
【0031】
次に、外引戸6の高さをその上部両側に取り付けた外上走行部10、10の高さ調整ねじ14、14を回して調整する。このとき、両側の高さ調整ねじ14,14は、図2、図3に示すように、各々、外引戸6の側端側にそのねじの頭部が位置するため、外引戸6を適度に開放した状態として、引戸の両側から内側を覗き込むようにして、容易に工具を高さ調整ねじ14,14に当てて回すことができる。外上走行部10は、高さ調整ねじ14の回動に応じて、外上ローラ支持部12が軸支ピン11bを支点に上下方向に回動し、簡単に高さ調整を行なうことができる。
【0032】
同様に、内引戸7の高さをその上部両側に取り付けた内上走行部20、20の高さ調整ねじ24、24を回して調整する。このときも、上記と同様に、両側の高さ調整ねじ24,24は、各々、内引戸7の側端側にそのねじの頭部が位置するため、内引戸7を適度に開放した状態として、引戸の両側から内側を覗き込むようにして、容易に工具を高さ調整ねじ24,24に当てて回すことができる。内上走行部20は、高さ調整ねじ24の回動に応じて、内上ローラ支持部22が軸支ピン21bを支点に上下方向に回動し、簡単に高さ調整を行なうことができる。
【0033】
このように、外引戸6と内引戸7を備えたキャビネットであっても、アウトセット式で上吊り式の引戸とすることにより、両引戸を閉じた状態では、正面からキャビネット1の木口が露出しないので、キャビネット1の意匠性を向上させることができる。また、キャビネット1の天板2の上面に上レール用溝2aが形成され、上レール用溝2aに上レール8が嵌入され、キャビネット1の地板3の下面に下レール用溝3aが形成され、下レール用溝3aに外下ガイドレール9が嵌入されているため、引戸を開いたときに、上レール8及び下ガイドレール9がキャビネット1の正面に露出せず、レールや走行部をキャビネットの正面から見えなくして、キャビネットの良好な意匠性を確保することができる。
【0034】
さらに、引戸の側方から挿入した工具により高さ調整ねじ14,24を回して高さ調整を行うから、引戸の高さを調整する際、開いた引戸の側方からねじ回しなどを挿入し、それを側方から視認しながら、高さ調整ねじ14,24を回して高さ調整を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、外下ガイド部30と内下ガイド部40を取り付ける際、外下ガイドローラ支持部32を外下取付板31に対し下側から上方に向かって定位置に挿入して嵌着し、内下ガイドローラ支持部42を内下取付板41に対し下側から上方に向かって定位置に挿入し嵌着するから、キャビネット1に引戸を取り付ける際、先ず外引戸6の外上走行部10を上レール8の外上レール8aに係合させ、内引戸7の内上走行部20を上レール8の内上レール8bに係合させて引戸を吊下げた状態とし、次に、外引戸6の下部に固定された外下取付板31の定位置に、外下ガイドローラ支持部32を下から上に押し込むように嵌着させ、内引戸7の下部に固定された内下取付板41の定位置に、内下ガイドローラ支持部42を下から上に押し込むように嵌着するだけの簡単な操作で、外下ガイドローラ支持部32と内下ガイドローラ支持部42を下ガイドレール9に係合させ、引戸装置の取付け作業を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態を示すキャビネットの引戸装置の斜視図である。
【図2】外引戸の各走行部を示す正面に平行な縦断面図である。
【図3】内引戸の各走行部を示す正面に平行な縦断面図である。
【図4】外引戸と内引戸の重合部分における正面と直角な縦断面図である。
【図5】外上走行部の正面図である。
【図6】外下ガイド部の正面図である。
【図7】内上走行部の正面図である。
【図8】内下ガイド部の正面図である。
【図9】外上走行部の左側面図である。
【図10】外下ガイド部の左側面図である。
【図11】内上走行部の左側面図である。
【図12】内下ガイド部の左側面図である。
【図13】外上走行部の分解平面図である。
【図14】内上走行部の分解平面図である。
【図15】外下ガイド部の分解背面図である。
【図16】外下ガイド部の分解左側面図である。
【図17】内下ガイド部の分解背面図である。
【図18】内下ガイド部の分解左側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1−キャビネット
2−天板
2a−上レール用溝
3−地板
3a−下レール用溝
6−外引戸
7−内引戸
8−上レール
8a−外上レール
8b−内上レール
9−下ガイドレール
9a−外下ガイド溝
9b−内下ガイド溝
10−外上走行部
20−内上走行部
30−外下ガイド部
40−内下ガイド部
11−外上取付板
12−外上ローラ支持部
13−外上ローラ
14−高さ調整ねじ
21−内上取付板
22−内上ローラ支持部
23−内上ローラ
24−高さ調整ねじ
31−外下取付板
32−外ガイドローラ支持部
33−外ガイドローラ
41−内下取付板
42−内ガイドローラ支持部
43−内ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット用のアウトセット式且つ上吊り式の外引戸と内引戸を備えた引戸装置において、
該キャビネットの天板の上面に上レール用溝が形成され、該上レール用溝に外引戸用の外上レールと内引戸用の内上レールが嵌入され、キャビネットの地板の下面に下レール用溝が形成され、該下レール用溝に外引戸用の外下レールと内引戸用の内下レールが嵌入され、
該外引戸の上部に外上走行部の外上取付板が固定され、該外上取付板には外上ローラ支持部が高さ調整可能に取り付けられると共に、該外上ローラ支持部に該外上レールに係合する外上ローラが軸支され、
該内引戸の上部に内上走行部の内上取付板が固定され、該内上取付板には内上ローラ支持部が高さ調整可能に取り付けられると共に、該内上ローラ支持部に該内上レールに係合する内上ローラが軸支され、
該外引戸の下部に外下ガイド部の外下取付板が固定され、該外下取付板には外ガイドローラ支持部が取り付けられ、該外ガイドローラ支持部には前記外下レールに係合する外ガイドローラが軸支され、
該内引戸の下部に内下ガイド部の内下取付板が固定され、該内下取付板には内ガイドローラ支持部が取り付けられ、該内ガイドローラ支持部には前記内下レールに係合する内ガイドローラが軸支されたことを特徴とする引戸装置。
【請求項2】
前記外上取付板には外上ローラ支持部の高さを調整するための高さ調整ねじが横方向に向けて配設され、前記内上取付板には内上ローラ支持部の高さを調整するための高さ調整ねじが横方向に向けて配設され、外引戸または内引戸の側方から内側に挿入した工具により該高さ調整ねじを回して高さ調整を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の引戸装置。
【請求項3】
前記外下取付板と外下ガイドローラ支持部に、及び前記内下取付板と内下ガイドローラ支持部に、各々弾性変形可能で相互に係止可能な係止部と被係止部が設けられ、該外下取付板に対し外下ガイドローラ支持部を下側から上方に向けて挿入したとき、該外下ガイドローラ支持部が外下取付板の定位置に嵌着され、該内下取付板に対し内下ガイドローラ支持部を下側から上方に向けて挿入したとき、該内下ガイドローラ支持部が内下取付板の定位置に嵌着されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の引戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−207196(P2006−207196A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18677(P2005−18677)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(592245890)井上金物株式会社 (7)
【Fターム(参考)】