説明

弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法

【課題】弱酸性除菌水に含まれる残留塩素濃度の安定性を高めることの可能な弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法を提供することにある。
【解決手段】ガス溶解装置GDLを通して炭酸ガスを水に溶解し、該水に対しpHを調整する第一調整部と、定量ポンプCP4から間欠的に吐出される次亜塩素酸水溶液を水に溶解し、該水における残留塩素濃度を調整する第二調整部とを備え、前記第一調整部から導出される水と前記第二調整部から導出される水とを混合することにより、前記炭酸ガスと前記次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造装置であって、前記第二調整部は、前記次亜塩素酸水溶液の原液を貯溜する原液タンクT3と、前記原液タンクT3から導入される前記原液を水で希釈して定量ポンプCP4に供給する第2ミキサーMX2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスと次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解することにより除菌力が調整された水である弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1及び特許文献2に記載のように、pHが調整された次亜塩素酸水溶液を除菌水として製造する弱酸性除菌水の製造装置が知られている。図7は、こうした弱酸性除菌水の製造装置における流路系統図の一例を示す。
【0003】
図7に示されるように、弱酸性除菌水の製造装置の内部には、原水が貯留された原水タンクT1と、炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベT2と、中空糸膜を通して炭酸ガスを原水に溶解させるガス溶解装置GDLと、次亜塩素酸水溶液の原液が貯留された原液タンクT3とが収容されている。
【0004】
原水タンクT1の導入口には、工水や市水等の原水を供給する供給口が接続されている。また、原水タンクT1の導出口とガス溶解装置GDLとの間には、原水タンクT1に貯留された原水を吐出する原水ポンプCP1と、原水から異物を除去する原水フィルターF1と、原水の流量を計測する原水流量計SFLとが、原水タンクT1からガス溶解装置GDLに向けて順に直列に接続されている。そして、原水ポンプCP1が駆動されると、原水タンクT1に貯留された原水が、原水フィルターF1を通してガス溶解装置GDLに導入される。
【0005】
炭酸ガスボンベT2の導出口とガス溶解装置GDLとの間には、炭酸ガスの圧力を計測する圧力計PGと、炭酸ガスから異物を除去するガスフィルターF2と、炭酸ガスをガス溶解装置GDLに供給するマスフローコントローラーMFCとが炭酸ガスボンベT2からガス溶解装置GDLに向けて順に直列に接続されている。そして、マスフローコントローラーMFCが駆動されると、炭酸ガスボンベT2に充填された炭酸ガスが、ガスフィルターF2を通してガス溶解装置GDLに導入される。その結果、ガス溶解装置GDLでは、中空糸膜を通して原水に炭酸ガスが溶解し、これにより炭酸ガスの流量に応じた酸性度で弱酸性の炭酸水が導出される。
【0006】
ガス溶解装置GDLでは、該ガス溶解装置GDLにて生成された弱酸性の炭酸水の一部が水蒸気となり、炭酸ガスの流れる中空糸膜内にて凝縮する場合がある。そのため、こうした炭酸水が排出されるためのドレインDRが、ガス溶解装置GDLには接続されている。ガス溶解装置GDLの後段には、弱酸性の炭酸水がガス溶解装置GDLへ逆流することを抑止するための逆止弁が接続されている。この逆止弁の後段には、弱酸性の炭酸水と他の水溶液とを混合する第1ミキサーMX1と、水溶液における水素イオン指数(pH)を計測するpH計測計SPHと、水溶液における残留塩素濃度を計測する残留塩素計SCLとが、この順に連結されている。さらにまた、逆止弁と第1ミキサーMX1との間には、原液タンクT3の導出口が原液ポンプCP3を介して接続されている。
【0007】
そして、原液ポンプCP3が駆動されると、除菌剤である次亜塩素酸水溶液の原液が原液ポンプCP3から吐出されるとともに、上述した弱酸性の炭酸水と該次亜塩素酸水溶液とが第1ミキサーMX1で混合される。これにより、第1ミキサーMX1からは、弱酸性の次亜塩素酸水溶液、すなわち弱酸性除菌水が装置の外部へ導出される。
【0008】
この際、弱酸性除菌水の製造装置では、原水流量計SFLの計測値が設定値になるように原水ポンプCP1が駆動され、またpH計測計SPHの計測値が設定値になるようにマスフローコントローラーMFCが駆動される。さらに、残留塩素計SCLの計測値が設定値になるように原液ポンプCP3が駆動される。その結果、原水、炭酸ガス、及び次亜塩素酸水溶液が混合されてなる弱酸性除菌水では、該弱酸性除菌水におけるpHと残留塩素濃度との各々が設定値に向けて調整されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5‐237478号公報
【特許文献2】特開2004‐307405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、原液タンクT3に貯留される次亜塩素酸水溶液の濃度は、一般には12重量%程度であって、弱酸性除菌水に必要とされる残留塩素濃度と比較して極めて高い濃度である。一方、次亜塩素酸水溶液を吐出するための原液ポンプCP3とは、通常、ダイヤフラム方式やプランジャ方式等が採用された定量ポンプであって、次亜塩素酸水溶液の原液を間欠的に吐出するポンプである。
【0011】
このような構成では、残留塩素計SCLの計測値が設定値になるように原液ポンプCP3が駆動されるとはいえ、次亜塩素酸水溶液が間欠的に吐出される以上、弱酸性除菌水における残留塩素濃度が自ずと大きく変動することになる。その結果、弱酸性除菌水による除菌効果にばらつきが生じたり、弱酸性除菌水によって除菌された食品等の除菌対象物において風味が失われたりするという問題が生じている。
【0012】
一方、残留塩素濃度が変動するという問題は、弱酸性除菌水が導出される部位の前段に、残留塩素濃度の均一化を目的としたバッファタンクが取り付けられることで解決可能と考えられる。しかしながら、バッファタンクが採用された構成では、残留塩素濃度の均一化が確かに実現可能ではあるものの、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の調整に際して、その応答が遅くなるという解決し難い問題が新たに生じてしまう。それゆえに、弱酸性除菌水を製造する技術では、弱酸性除菌水に含まれる残留塩素濃度を定常的に安定させる技術が強く望まれている。
【0013】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、弱酸性除菌水に含まれる残留塩素濃度の安定性を高めることの可能な弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における一つの態様は、中空糸膜を通して炭酸ガスを水に溶解し、該水に対しpHを調整する第一調整部と、定量ポンプから間欠的に吐出される次亜塩素酸水溶液を水に溶解し、該水における残留塩素濃度を調整する第二調整部とを備え、前記第一調整部から導出される水と前記第二調整部から導出される水とを混合することにより、前記炭酸ガスと前記次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造装置であって、前記第二調整部は、前記次亜塩素酸水溶液の原液を貯溜する貯留部と、前記貯留部から導入される前記原液を水で希釈して前記定量ポンプに供給する希釈部とを備えることを要旨とする。
【0015】
本発明における一つの態様は、中空糸膜を介して水に炭酸ガスを溶解し、該水に対しpHを調整する第一調整工程と、定量ポンプから間欠的に吐出される次亜塩素酸水溶液を水に溶解し、該水における残留塩素濃度を調整する第二調整工程とを含み、前記第一調整工程で生成される水と前記第二調整工程で生成される水とを混合することにより、前記炭酸ガスと前記次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造方法であって、前記第二調整工程では、前記次亜塩素酸水溶液の原液を貯溜する貯留部から導出される前記原液を水で希釈して前記定量ポンプに供給することを要旨とする。
【0016】
上述した態様によれば、次亜塩素酸水溶液の原液が水で希釈された水溶液が生成され、且つ次亜塩素酸水溶液を供給する定量ポンプに対して、その希釈された水溶液が供給される。そのため、定量ポンプでは次亜塩素酸水溶液が間欠的に吐出させるとはいえ、吐出される次亜塩素酸水溶液が装置内で希釈されたものである以上、次亜塩素酸水溶液の原液を直接吐出する構成と比較して、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の変動を抑えることが可能である。
【0017】
また、上述した態様では、定量ポンプの吐出間隔に基づいて次亜塩素酸水溶液の流量が調整されるため、該流量の調整可能な最小値が、1回の吐出機会で吐出される流量に限られることとなる。ただし、吐出される次亜塩素酸水溶液が、装置内で予め希釈されたものであるため、調整可能な流量の最小値が同じであるという前提では、調整可能な残留塩素濃度の最小値を小さくすることが可能である。ひいては、残留塩素濃度そのものの調整精度を高めることが可能にもなる。
【0018】
本発明における一つの態様は、前記第二調整部が、前記第一調整部から導出された水の一部を希釈液として前記希釈部に導入する希釈液導入部を備え、前記希釈部が、前記希釈液導入部から導入される水の一部と前記貯留部から導入される前記原液とを混合して該原液を希釈することを要旨とする。
【0019】
この態様によれば、第一調整部から導出される水と第二調整部から導出される水とが混合される前に、第一調整部から導出される水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが先行して混合されることになる。それゆえに、第一調整部から導出される水と第二調整部から導出される水とが混合される前に、次亜塩素酸水溶液の原液と炭酸ガスの一部とが先行して混合される分、弱酸性除菌液内におけるこれらの濃度分布のばらつきを抑えることが可能にもなる。
【0020】
この発明における一つの態様は、前記第二調整部が、前記原水の一部を希釈液として前記希釈部に導入する希釈液導入部を備え、前記希釈部が、前記希釈液導入部から導入される前記原水と前記貯留部から供給される前記原液とを混合して該原液を希釈することを要旨とする。
【0021】
この態様によれば、希釈液導入部から供給される原水と貯留部から供給される原液とが混合されて該原液が希釈される。それゆえに、第一調整部から導出される水等、装置内で別途生成された水溶液で次亜塩素酸水溶液の原液を希釈する態様と比較して、製造装置の駆動態様に関わらず、希釈された次亜塩素酸水溶液を定常的に安定して生成することが可能にもなる。また、希釈するための水である希釈水の性状を安定させること、ひいては希釈された次亜塩素酸水溶液の性状を安定させることが可能でもある。
【0022】
本発明における一つの態様は、前記第一調整部は、前記第二調整部から導出された水である調整液が導入される調整液導入部と、前記調整液導入部にて残留塩素濃度を計測する残留塩素計とを備え、前記調整液導入部から導入される前記調整液に炭酸ガスを溶解し、該調整液に対しpHを調整することを要旨とする。
【0023】
この態様によれば、次亜塩素酸水溶液のpHが調整される前に、該次亜塩素酸水溶液の残留塩素濃度を計測することが可能になる。残留塩素計にて計測される残留塩素濃度の値とは、通常、アルカリ性の水溶液下において高い精度が得られる。この点、上述した態様によれば、次亜塩素酸水溶液に炭酸ガスが溶解する前に、すなわち次亜塩素酸水溶液が弱酸性になる前に、該次亜塩素酸水溶液の残留塩素濃度を計測することが可能にもなるため、弱酸性除菌液における残留塩素濃度の測定精度を高めることが可能にもなる。
【0024】
本発明における一つの態様は、前記定量ポンプの後段で残留塩素濃度を計測する残留塩素計と、前記残留塩素計の計測値が前記残留塩素濃度の設定値となるように前記原水の流量を制御する流量制御系とを備えることを要旨とする。
【0025】
この態様によれば、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の調整が、希釈された次亜塩素酸水溶液の流量変更の他、原水の流量変更によっても実現可能になる。それゆえに、弱酸性除菌水における残留塩素濃度を調整することに際して、調整可能な濃度の範囲を大きくすること、残留塩素濃度の調整精度を高めること、それらが可能にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態の弱酸性除菌水の製造装置における水の流れを示す流路系統図。
【図2】同じく弱酸性除菌水の製造装置にて弱酸性除菌水の流量を制御する流量制御系の構成を示す制御ブロック図。
【図3】同じく弱酸性除菌水の製造装置にてpHを制御するpH制御系の構成を示す制御ブロック図。
【図4】同じく弱酸性除菌水の製造装置にて残留塩素濃度を制御する残留塩素制御系の構成を示す制御ブロック図。
【図5】第二実施形態の弱酸性除菌水の製造装置における水の流れを示す流路系統図。
【図6】第三実施形態の弱酸性除菌水の製造装置における流量制御系及び濃度制御系の構成を示すブロック図。
【図7】従来例の弱酸性除菌水の製造装置における水の流れを示す流路系統図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第一実施形態)
以下、本発明における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法を具体化した第一実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0028】
なお、第一実施形態における弱酸性除菌水の製造装置は、図7を参照して説明した先の製造装置とは、特にガス溶解装置GDLの後段における構成要素が互いに異なるものである。また、第一実施形態における弱酸性除菌水の製造方法は、図7を参照して説明した先の製造方法とは、特にガス溶解装置GDLの後段にて実施される工程が互いに異なるものである。そのため、以下では、こうした互いに異なる構成要素について特に説明する一方、図7を参照して説明した先の弱酸性除菌水の製造装置における構成要素と機能が同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0029】
弱酸性除菌水の製造装置の内部には、図1の右上に示されるように、次亜塩素酸水溶液の原液が貯留された貯留部としての原液タンクT3と、希釈された次亜塩素酸水溶液である調整液が貯留された希釈部を構成する調整液タンクT4とが収容されている。
【0030】
ガス溶解装置GDLと調整液タンクT4との間には、炭酸水ポンプCPGと第2ミキサーMX2とが、ガス溶解装置GDLから順に直列に接続されている。炭酸水ポンプCPGは、ダイヤフラム方式やプランジャ方式等が採用された定量ポンプであって、ガス溶解装置GDLの導出口に逆止弁を介して接続されており、ガス溶解装置GDLの生成した弱酸性の炭酸水をガス溶解装置GDLから間欠的に吐出する。第2ミキサーMX2は、炭酸水ポンプCPGの吐出した弱酸性の炭酸水と他の水溶液とを混合して導出する。
【0031】
炭酸水ポンプCPGと第2ミキサーMX2との間には、原液ポンプCP3を介して原液タンクT3が接続されている。原液ポンプCP3は、炭酸水ポンプCPGと同じく、ダイヤフラム方式やプランジャ方式等が採用された定量ポンプであって、原液タンクT3に貯留された次亜塩素酸水溶液の原液、例えば12重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を間欠的に吐出する。そして、炭酸水ポンプCPGと原液ポンプCP3とが駆動されると、弱酸性の炭酸水と次亜塩素酸水溶液の原液とが第2ミキサーMX2で混合され、弱酸性の炭酸水で希釈された次亜塩素酸水溶液である調整液が調整液タンクT4に導入される。例えば、12%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が1000ppmの調整液として調整液タンクT4に導入される。
【0032】
調整液タンクT4の導出口には、調整液ポンプCP4、第1ミキサーMX1、pH計測計SPH、及び残留塩素計SCLが、この順に直列に接続されている。調整液ポンプCP4は、炭酸水ポンプCPGと同じく、ダイヤフラム方式やプランジャ方式等が採用された定量ポンプであって、調整液タンクT4に貯留された調整液を間欠的に吐出する。この調整液ポンプCP4と第1ミキサーMX1との間には、ガス溶解装置GDLの導出口が逆止弁を介して接続されている。そして、上記炭酸水ポンプCPGと調整液ポンプCP4とが駆動されると、ガス溶解装置GDLから導出された弱酸性の炭酸水の一部と調整液とが第1ミキサーMX1で混合され、これにより弱酸性除菌水が生成される。
【0033】
次に、上述した弱酸性除菌水の製造装置にて、弱酸性除菌水の流量を制御する流量制御系、pHを制御するpH制御系、及び残留塩素濃度を制御する残留塩素制御系について図2乃至4を参照して説明する。
【0034】
弱酸性除菌水の製造装置における流量制御系では、弱酸性除菌水における流量の出力値である流量出力値Qaが流量設定値Qpに追従するように、原水流量のフィードバック制御が行われる。詳述すると、図2に示されるように、流量制御系は、第1演算器C1、ポンプ駆動部INV、及びフィードバックセンサーである原水流量計SFLから構成されている。
【0035】
第1演算器C1には、弱酸性除菌水における流量の設定値である流量設定値Qpが、図示されない指令部から入力されるとともに、原水における流量の計測値である流量計測値Qmが、原水流量計SFLからフィードバックされる。そして、第1演算器C1は、流量計測値Qmが流量設定値Qpに追従するように、実験等に基づく演算式を用い、弱酸性除菌水に必要とされる原水の流量制御値を算出する。ポンプ駆動部INVは、原水の流量制御値に対応するモーター回転数を算出し、原水ポンプCP1のモーター回転数が該演算結果になるように、原水ポンプCP1のモーター回転数を制御する。
【0036】
弱酸性除菌水の製造装置におけるpH制御系では、弱酸性除菌水におけるpHの出力値であるpH出力値HaがpH設定値Hpに追従するように、原水流量のフィードバック制御とpHのフィードバック制御とが行われる。詳述すると、図3に示されるように、pH制御系は、第2演算器C2、第1変換部11、第3演算器C3、マスフローコントローラーMFC、フィードバックセンサーである原水流量計SFL、及びフィードバックセンサーであるpH計測計SPHから構成されている。
【0037】
第2演算器C2には、弱酸性除菌水におけるpHの設定値であるpH設定値Hpが、図示されない指令部から入力されるとともに、弱酸性除菌水におけるpHの計測値であるpH計測値Hmが、pH計測計SPHからフィードバックされる。そして、第2演算器C2は、pH計測値HmがpH設定値Hpに追従するように、実験等に基づく演算式を用い、pH設定値Hpになるために必要とされる炭酸ガスの濃度を算出する。
【0038】
第1変換部11は、第2演算器C2の演算結果である炭酸ガスの濃度を炭酸ガスの質量流量に変換する。すなわち、第1変換部11は、実験等に基づく変換式を用い、pH計測値HmがpH設定値Hpに追従するように、所定流量の弱酸性除菌水に必要とされる炭酸ガスの質量流量を算出する。第3演算器C3には、第1変換部11の変換結果である炭酸ガスの質量流量が、第1変換部11から入力されるとともに、流量計測値Qmが、原水流量計SFLからフィードバックされる。そして、第3演算器C3は、流量計測値Qmの原水に必要とされる炭酸ガスの質量流量を算出する。すなわち、第3演算器C3は、第1変換部11の変換結果である炭酸ガスの質量流量を原水の流量に応じて補正する。マスフローコントローラーMFCは、炭酸ガスの質量流量が第3演算器C3の演算結果になるように、該マスフローコントローラーMFC内のコントロールバルブを制御する。
【0039】
弱酸性除菌水の製造装置における残留塩素制御系では、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の出力値である濃度出力値CLaが濃度設定値CLpに追従するように、原水流量のフィードバック制御と残留塩素濃度のフィードバック制御とが行われる。詳述すると、図4に示されるように、残留塩素制御系は、第4演算器C4、第2変換部12、第5演算器C5、調整液ポンプCP4、フィードバックセンサーである原水流量計SFL、及びフィードバックセンサーである残留塩素計SCLから構成されている。
【0040】
第4演算器C4には、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の設定値である濃度設定値CLpが、図示されない指令部から入力されるとともに、弱酸性除菌水における残留塩素濃度の計測値である濃度計測値CLmが、残留塩素計SCLからフィードバックされる。そして、第4演算器C4は、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するように、実験等に基づく演算式を用い、濃度設定値CLpになるために必要とされる調整液の流量を算出する。
【0041】
第2変換部12は、第4演算器C4の演算結果である調整液の流量を調整液ポンプCP4におけるストローク速度に変換する。すなわち、第2変換部12は、実験等に基づく変換式を用い、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するように、所定流量の弱酸性除菌水に必要とされる調整液ポンプCP4のストローク速度を算出する。第5演算器C5には、第2変換部12の変換結果であるストローク速度が、第2変換部12から入力されるとともに、流量計測値Qmが、原水流量計SFLからフィードバックされる。そして、第5演算器C5は、流量計測値Qmの原水に必要とされるストローク速度を算出する。すなわち、第5演算器C5は、第2変換部12の変換結果である調整液ポンプCP4のストローク速度を流量計測値Qmに応じて補正する。調整液ポンプCP4は、調整液の流量が第5演算器C5の演算結果になるように、該調整液ポンプCP4のストローク速度を制御する。
【0042】
次に、上記弱酸性除菌水の製造装置にて行われる弱酸性除菌水の製造方法について弱酸性除菌水の製造装置の作用とともに以下に説明する。
弱酸性除菌水の製造装置が駆動されると、原水タンクT1に貯留された原水が、原水ポンプCP1の駆動により、原水フィルターF1を通してガス溶解装置GDLに導入される。また、炭酸ガスボンベT2に充填された炭酸ガスが、マスフローコントローラーMFCの駆動により、ガスフィルターF2を通してガス溶解装置GDLに導入される。これにより、原水と炭酸ガスとがガス溶解装置GDLに導入され、中空糸膜を通して原水に炭酸ガスが溶解して弱酸性の炭酸水がガス溶解装置GDLにて生成される(第一調整工程)。
【0043】
次いで、ガス溶解装置GDLにて生成された弱酸性の炭酸水が、炭酸水ポンプCPGの駆動により、第1ミキサーMX1と第2ミキサーMX2とに導入される。また、原液タンクT3に貯留された次亜塩素酸水溶液の原液が、原液ポンプCP3の駆動により、これもまた第2ミキサーMX2に導入される。これにより、弱酸性の炭酸水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが第2ミキサーMX2に導入され、弱酸性の炭酸水によって希釈された次亜塩素酸水溶液である調整液が調整液タンクT4に導入される。
【0044】
続いて、調整液タンクT4に貯留された調整液が、調整液ポンプCP4の駆動により、第1ミキサーMX1へ導入される。その結果、先に導入された弱酸性の炭酸水の残部と調整液とが第1ミキサーMX1に導入され、これにより炭酸ガスと次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水が生成される。この際、弱酸性除菌水における流量出力値Qaが流量設定値Qpに追従するように、上述した流量制御系において、原水流量のフィードバック制御が行われる。また、弱酸性除菌水におけるpH出力値HaがpH設定値Hpに追従するように、上述したpH制御系において、原水流量のフィードバック制御とpHのフィードバック制御とが行われる。さらにまた、弱酸性除菌水における濃度出力値CLaが濃度設定値CLpに追従するように、上述した残留塩素制御系において、原水流量のフィードバック制御と残留塩素濃度のフィードバック制御とが行われる。その結果、第1ミキサーMX1から導出される弱酸性除菌水では、pHと残留塩素濃度との各々が、pH設定値Hpと濃度設定値CLpとに向けて調整され続けることになる(第二調整工程)。
【0045】
なお、第一実施形態では、炭酸ガスボンベT2、圧力計PG、ガスフィルターF2、マスフローコントローラーMFC、及びガス溶解装置GDLによって第一調整部が構成されている。また、炭酸水ポンプCPG、原液タンクT3、原液ポンプCP3、第2ミキサーMX2、調整液タンクT4、及び調整液ポンプCP4によって第二調整部が構成されるとともに、第2ミキサーMX2及び調整液タンクT4によって希釈部が構成され、炭酸水ポンプCPGによって希釈液導入部が構成されている。
【0046】
以上、第一実施形態における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法によれば、以下に列記する効果を得ることが可能である。
(1)次亜塩素酸水溶液を間欠的に吐出する調整液ポンプCP4には、次亜塩素酸水溶液の原液が装置内で希釈された調整液が供給される。それゆえに、調整液ポンプCP4が調整液を間欠的に吐出させるとはいえ、吐出される調整液が装置内で希釈されたものである以上、弱酸性の炭酸水と次亜塩素酸水溶液の原液との混合からなる弱酸性除菌水と比較して、弱酸性除菌水における残留塩素濃度のばらつきを定常的に抑えることが可能である。
【0047】
(2)なお、調整液ポンプCP4の吐出間隔に基づいて次亜塩素酸水溶液の流量が調整されるため、1回の吐出機会で吐出される次亜塩素酸水溶液の流量が、次亜塩素酸水溶液の流量に対しそれを調整することの可能な最小値となる。この点、吐出される次亜塩素酸水溶液が、上述したように装置内で予め希釈された調整液であれば、調整可能な流量の最小値が同じであっても、調整可能な残留塩素濃度の最小値を小さくすることが可能である。ひいては、残留塩素濃度そのものの調整精度を高めることが可能にもなる。
【0048】
(3)pH制御系では、炭酸ガスの質量流量が流量計測値Qmに基づいて補正され、また残留塩素濃度制御系では、調整液の流量がこれもまた流量計測値Qmに基づいて補正される。それゆえに、弱酸性除菌液における流量設定値Qpが変更される場合であっても、該流量設定値Qpの変更に基づいてpHと残留塩素濃度とを円滑に調整することが可能である。
【0049】
(4)ガス溶解装置GDLから導出される弱酸性の炭酸水と調整液タンクT4から導出される調整液とが混合される前に、弱酸性の炭酸水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが、第2ミキサーMX2において先行して混合される。それゆえに、弱酸性の炭酸水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが先行して混合される分、弱酸性除菌液内において、pHのばらつきや残留塩素濃度のばらつきを抑えることが可能にもなる。
【0050】
(5)ガス溶解装置GDLと調整液タンクT4とが、炭酸水ポンプCPGを介して接続されている。このような炭酸水ポンプCPGの接続態様であれば、ガス溶解装置GDLが生成した弱酸性の炭酸水を第1ミキサーMX1に導出することが可能であることは当然のこと、調整液タンクT4に導出される弱酸性の炭酸水の流量を炭酸水ポンプCPGで直接的に調整することが可能にもなる。それゆえに、調整液における残留塩素濃度を調整することが容易になるとともに、調整液における残留塩素濃度の調整精度を高めることが可能にもなる。
(第二実施形態)
以下、本発明における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法を具体化した第二実施形態について、図5を参照して説明する。なお、第二実施形態における弱酸性除菌水の製造装置は、第一実施形態における弱酸性除菌水の製造装置とは、特に次亜塩素酸水溶液の原液を希釈するための希釈液が互いに異なるものである。そのため、以下では、こうした互いに異なる構成要素について特に説明する一方、第一実施形態の製造装置における構成要素と機能が同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0051】
原水タンクT1とガス溶解装置GDLとの間には、原水ポンプCP1、原水フィルターF1、原水流量計SFL、逆止弁、第4ミキサーMX4、及び残留塩素計SCLが、原水タンクT1から順に直列に接続されている。これらのうち原水流量計SFLと第4ミキサーMX4との間には、原水流量計SFLと第4ミキサーMX4との間に配置された逆止弁が迂回されるように、バイパス経路が連結されている。
【0052】
上記バイパス経路は、原水分流ポンプCPW、第3ミキサーMX3、調整液タンクT4、及び調整液ポンプCP4が、原水流量計SFLから順に第4ミキサーMX4に向けて直列に接続された経路である。このバイパス経路のうち、原水分流ポンプCPWと第3ミキサーMX3との間には、原液ポンプCP3を介して原液タンクT3が接続されている。原水分流ポンプCPWは、ダイヤフラム方式やプランジャ方式等が採用された定量ポンプであって、原水流量計SFLを通過した原水の一部を第3ミキサーMX3に向けて間欠的に吐出する。第3ミキサーMX3は、原水分流ポンプCPWの吐出した原水と原液ポンプCP3の吐出した原液とを混合する。
【0053】
そして、原水分流ポンプCPWと原液ポンプCP3とが駆動されると、原水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが第3ミキサーMX3で混合され、原水で希釈された次亜塩素酸水溶液である調整液が調整液タンクT4に導入される。例えば、12%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が1000ppmの調整液として調整液タンクT4に導入される。
【0054】
また、調整液ポンプCP4が駆動されると、調整液ポンプCP4から間欠的に吐出される調整液と原水の残部とが第4ミキサーMX4で混合され、原水と調整液との混合液が残留塩素計SCLを通してガス溶解装置GDLに導入される。そして、ガス溶解装置GDLに導入される炭酸ガスが、原水と調整液との混合液に溶解することにより、弱酸性除菌水が生成される。
【0055】
なお、第二実施形態では、原液タンクT3、原液ポンプCP3、第3ミキサーMX3、調整液タンクT4、及び調整液ポンプCP4によって第二調整部が構成されている。また、原水分流ポンプCPW、第3ミキサーMX3、及び調整液タンクT4によって希釈部が構成されるとともに、原水分流ポンプCPWによって希釈液導入部が構成され、第4ミキサーMX4によって調整液導入部が構成されている。
【0056】
以上、第二実施形態における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法によれば、上記(1)乃至(3)に記載の効果に加えて、以下に列記する効果を得ることが可能である。
【0057】
(6)第3ミキサーMX3には、原水ポンプCP1の吐出した原水の一部が、原水分流ポンプの吐出によって導入され、且つ次亜塩素酸水溶液の原液が、原液ポンプCP3によって導入される。そして、これら原水の一部と次亜塩素酸水溶液の原液とが第3ミキサーMX3で混合されることにより、低濃度の次亜塩素酸水溶液である調整液が生成される。
【0058】
それゆえに、製造装置内で別途生成された水溶液、例えば上述した弱酸性の炭酸水で次亜塩素酸水溶液の原液が希釈される態様と比較して、希釈水におけるpH等の性状を安定させること、ひいては調整液における残留塩素濃度等の性状を安定させることが可能となる。
【0059】
(7)ガス溶解装置GDLの前段では、原水と調整液との混合と、該混合によって生成された水溶液における残留塩素濃度の計測とが行われる。それゆえに、次亜塩素酸水溶液が弱酸性に調整される前に、該次亜塩素酸水溶液の残留塩素濃度を計測することが可能になる。例えば、次亜塩素酸水溶液のpHが8乃至10となるアルカリ領域にて、10乃至100(mg/l)という高い濃度の残留塩素濃度を測定することが可能にもなる。
【0060】
残留塩素計SCLにて計測される残留塩素濃度の値とは、通常、アルカリ性の水溶液下において高い精度が得られる。この点、上述した態様によれば、次亜塩素酸水溶液が弱酸性になる前に、該次亜塩素酸水溶液の残留塩素濃度を計測することが可能になるため、弱酸性除菌液における残留塩素濃度の測定精度を高めることが可能にもなる。
(第三実施形態)
以下、本発明における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法を具体化した第三実施形態について、図6を参照して説明する。なお、第三実施形態における弱酸性除菌水の製造装置は、第一実施形態、及び第二実施形態における弱酸性除菌水の製造装置とは、特に流量制御系及び残留塩素制御系の構成が互いに異なるものである。そのため、以下では、こうした互いに異なる構成について特に説明する一方、第一実施形態の製造装置、及び第二実施形態の製造装置における構成要素と機能が同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0061】
弱酸性除菌水の製造装置における流量制御系及び残留塩素制御系では、弱酸性除菌水における濃度出力値CLaが濃度設定値CLpに追従するように、原水流量のフィードバック制御と残留塩素濃度のフィードバック制御とが行われる。詳述すると、図6に示されるように、残留塩素制御系は、第4変換部14、調整液ポンプCP4、第6演算器C6、第5変換部15、第7演算器C7、第8演算器C8、フィードバックセンサーである原水流量計SFL、及びフィードバックセンサーである残留塩素計SCLから構成されている。
【0062】
第4変換部14は、濃度設定値CLpを調整液ポンプCP4におけるストローク速度に変換する。すなわち、第2変換部12は、実験等に基づく変換式を用い、濃度設定値CLpに応じた調整液ポンプCP4のストローク速度を算出する。そして、調整液ポンプCP4は、調整液の流量が第4変換部14の変換結果になるように、該調整液ポンプCP4のストローク速度を制御する。
【0063】
第6演算器C6には、図示されない指令部から濃度設定値CLpが入力されるとともに、弱酸性除菌水における濃度計測値CLmが残留塩素計SCLからフィードバックされる。そして、第6演算器C6は、実験等に基づく演算式を用い、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するように、弱酸性除菌水に必要とされる残留塩素濃度を算出する。第5変換部15は、第6演算器C6の演算結果である残留塩素濃度を原水の流量に変換する。すなわち、第5変換部15は、実験等に基づく変換式を用い、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するような原水の流量を算出する。
【0064】
第7演算器C7には、図示されない指令部から流量設定値Qpが入力されるとともに、第5変換部15の変換結果が入力される。そして、第7演算器C7は、実験等に基づく演算式を用い、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するように、流量設定値Qpに対し、第6演算器C6の演算結果に基づく補正が行われる。例えば、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するための原水の流量が流量設定値Qpよりも小さい場合、第7演算器C7は、流量設定値Qpよりも小さい流量を演算結果として出力する。反対に、濃度計測値CLmが濃度設定値CLpに追従するための原水の流量が流量設定値Qpよりも大きい場合、第7演算器C7は、流量設定値Qpよりも大きな流量を演算結果として出力する。
【0065】
第8演算器C8には、第7演算器C7の演算結果が第7演算器C7から入力されるとともに、流量計測値Qmが原水流量計SFLからフィードバックされる。そして、第8演算器C8は、流量計測値Qmが第8演算器C8の演算結果に追従するように、実験等に基づく演算式を用い、弱酸性除菌水に必要とされる原水の流量制御値を算出する。ポンプ駆動部INVは、原水の流量制御値に対応するモーター回転数を算出し、原水ポンプCP1のモーター回転数が該演算結果になるように、原水ポンプCP1のモーター回転数を制御する。
【0066】
そして、弱酸性除菌水が生成されるとき、弱酸性除菌水における濃度出力値CLaが濃度設定値CLpに追従するように、濃度設定値CLpに応じた流量で調整液タンクT4から調整液が導出される。さらに、濃度出力値CLaが濃度設定値CLpに追従するように、原水ポンプCP1から導出される原水の流量が、流量設定値Qpに対して微調整される。
【0067】
以上、第三実施形態における弱酸性除菌水の製造装置、及び弱酸性除菌水の製造方法によれば、上記(1)乃至(7)に記載の効果に加えて、以下に列記する効果を得ることが可能である。
【0068】
(8)弱酸性除菌水における残留塩素濃度の調整が、調整液に対する流量調整の他、原水の流量調整によっても可能になる。それゆえに、弱酸性除菌水における残留塩素濃度を調整することに際し、調整可能な濃度範囲や調整精度を高めることが可能にもなる。
【0069】
なお、上記第一乃至第三実施形態は、以下のような態様に変更して実施することもできる。
・第一実施形態において、炭酸水ポンプCPGは、ガス溶解装置GDLと第1ミキサーMX1との間に接続される構成であってもよい。あるいは、第2ミキサーMX2に対する炭酸水の流量が原水ポンプCP1の供給圧によって十分に確保される構成であれば、炭酸水ポンプCPGが割愛される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)乃至(4)に準じた効果を得ることは可能である。
【0070】
・第一実施形態では、次亜塩素酸水溶液の原液を希釈するための希釈液が、弱酸性の炭酸水である。これに限らず、例えば原液タンクT3とガス溶解装置GDLとの炭酸水ポンプCPGを介した接続、及び炭酸水ポンプCPGが割愛されるとともに、第2ミキサーMX2に原水が導入される構成であってもよい。すなわち、次亜塩素酸水溶液の原液を希釈するための希釈液が原水であり、且つこれによって調整された調整液がガス溶解装置GDLの後段で弱酸性の炭酸水に加えられる構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)乃至(3)に準じた効果を得ることは可能である。
【0071】
・第二実施形態では、原水ポンプCP1の導出する原水の一部が、次亜塩素酸水溶液の原液を希釈する希釈液として用いられている。これに限らず、例えば原液タンクT3と原水ポンプCP1との直接的な接続が割愛されるとともに、原水分流ポンプCPWが原水タンクT1とは互いに異なる他の原水タンクに接続される構成であってもよい。すなわち、弱酸性の炭酸水を生成するための原水と調整液を生成するための原水とが互いに異なる原水タンクから導出される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(7)に準じた効果を得ることは可能である。
【0072】
・第二実施形態において、残留塩素計SCLは、ガス溶解装置GDLの後段に接続される構成であってもよい。このような構成であっても、上記(6)に準じた効果を得ることは可能である。
【符号の説明】
【0073】
C1…第1演算器、C2…第2演算器、C3…第3演算器、C4…第4演算器、C5…第5演算器、C6…第6演算器、C7…第7演算器、C8…第8演算器、DR…ドレイン、F1…原水フィルター、F2…ガスフィルター、Ha…pH出力値、Hm…pH計測値、Hp…pH設定値、PG…圧力計、Qa…流量出力値、Qm…流量計測値、Qp…流量設定値、T1…原水タンク、T2…炭酸ガスボンベ、T3…原液タンク、T4…調整液タンク、CLa…濃度出力値、CLm…濃度計測値、CLp…濃度設定値、CP1…原水ポンプ、CP3…原液ポンプ、CP4…調整液ポンプ、CPG…炭酸水ポンプ、CPW…原水分流ポンプ、GDL…ガス溶解装置、INV…ポンプ駆動部、MFC…マスフローコントローラー、MX1…第1ミキサー、MX2…第2ミキサー、MX3…第3ミキサー、MX4…第4ミキサー、SCL…残留塩素計、SFL…原水流量計、SPH…pH計測計、11…第1変換部、12…第2変換部、14…第4変換部、15…第5変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜を通して炭酸ガスを水に溶解し、該水に対しpHを調整する第一調整部と、
定量ポンプから間欠的に吐出される次亜塩素酸水溶液を水に溶解し、該水における残留塩素濃度を調整する第二調整部とを備え、
前記第一調整部から導出される水と前記第二調整部から導出される水とを混合することにより、前記炭酸ガスと前記次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造装置であって、
前記第二調整部は、
前記次亜塩素酸水溶液の原液を貯溜する貯留部と、
前記貯留部から導入される前記原液を水で希釈して前記定量ポンプに供給する希釈部とを備える
ことを特徴とする弱酸性除菌水の製造装置。
【請求項2】
前記第二調整部は、
前記第一調整部から導出された水の一部を希釈液として前記希釈部に導入する希釈液導入部を備え、
前記希釈部は、
前記希釈液導入部から導入される水の一部と前記貯留部から導入される前記原液とを混合して該原液を希釈する
請求項1に記載の弱酸性除菌水の製造装置。
【請求項3】
前記第二調整部は、
前記原水の一部を希釈液として前記希釈部に導入する希釈液導入部を備え、
前記希釈部は、
前記希釈液導入部から導入される前記原水と前記貯留部から供給される前記原液とを混合して該原液を希釈する
請求項1に記載の弱酸性除菌水の製造装置。
【請求項4】
前記第一調整部は、
前記第二調整部から導出された水である調整液が導入される調整液導入部と、
前記調整液導入部にて残留塩素濃度を計測する残留塩素計とを備え、
前記調整液導入部から導入される前記調整液に炭酸ガスを溶解し、該調整液に対しpHを調整する
請求項3に記載の弱酸性除菌水の製造装置。
【請求項5】
前記定量ポンプの後段で残留塩素濃度を計測する残留塩素計と、
前記残留塩素計の計測値が前記残留塩素濃度の設定値となるように前記原水の流量を制御する流量制御系とを備える
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の弱酸性除菌水の製造装置。
【請求項6】
中空糸膜を介して水に炭酸ガスを溶解し、該水に対しpHを調整する第一調整工程と、
定量ポンプから間欠的に吐出される次亜塩素酸水溶液を水に溶解し、該水における残留塩素濃度を調整する第二調整工程とを含み、
前記第一調整工程で生成される水と前記第二調整工程で生成される水とを混合することにより、前記炭酸ガスと前記次亜塩素酸水溶液とが原水に溶解した弱酸性除菌水を製造する弱酸性除菌水の製造方法であって、
前記第二調整工程では、
前記次亜塩素酸水溶液の原液を貯溜する貯留部から導出される前記原液を水で希釈して前記定量ポンプに供給する
ことを特徴とする弱酸性除菌水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250209(P2012−250209A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126437(P2011−126437)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(595140114)セントラルフィルター工業株式会社 (4)
【出願人】(508365768)株式会社ウオーターテクノカサイ (7)
【出願人】(509112844)日本クッカリー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】