説明

強制コマーシャル視聴用のシステム及び方法

テレビ放送広告(41、43、45)への視聴者の注意は、放送の1つ以上のコマーシャルセグメント(41、43、45)を視聴及び/又はインタラクションするインセンティブとして報酬を視聴者(102)にオファー及び提供することにより促される。このような報酬を視聴者に提供することにより、放送のコマーシャル広告主は、コマーシャルセグメントが視聴されていることを確実に確保される。視聴者は、他の点では無料で今後のスクランブル放送を視聴する機会を用いて、視聴者(102)に対する報酬を与えられてもよい。コマーシャルセグメント中にのみ個別情報(EMM)メッセージを送信することにより、受信装置(例えばセットトップボックス)がコマーシャルセグメント(41、43、45)を放送している局に同調している視聴者は、今後の放送をスクランブル解除するために必要なEMMメッセージを受信する。更に、視聴者は、視聴者の存在を確保するために、コマーシャルセグメントに何らかの方法で参加又はインタラクションすることを求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して放送及び受信の分野に関し、特に、有料テレビのような番組サービスとのユーザのインタラクション動作に従って報酬を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
広く受け入れられているエンターテイメント装置の1つの種類はテレビである。テレビは、視聴者にコンテンツを放送する最も広まった媒体の1つになっている。米国及びほとんどの他の先進国のほとんど全ての家はテレビへのアクセスを有する。家族がテレビの周りに集まり、映画、ホームコメディ、教育番組、コメディショー等を楽しむ。従来のテレビは、ケーブル、衛星、アンテナ又は他の装置を介して、コンテンツ放送ソースからその信号を受信し得る。チャンネルは、テレビ自体又はセットトップボックスにより“同調”される。コンテンツは、広告収入の見返りに、複数のコンテンツ放送ソースにより提供される。コンテンツ放送ソースが収入を促進する1つの方法は、コマーシャル広告用のタイムスロットの販売を通じたものである。企業プロモータは、企業製品を宣伝するために、映画又はホームコメディのような特定の放送中のタイムスロットに支払う。企業プロモータは、各視聴者を店に移動させて製品を購入させるように、又は電話若しくはインターネット接続を介して製品を注文させるように動機付けるために、広告の力に依存する。TVコマーシャルは、戦略的に通常のTV番組に挿入され、特定の時間間隔で放送されるため、通常のTV番組を試聴することに関心のあるテレビ視聴者はまた、挿入されたTVコマーシャルも視聴する。しかし、コマーシャル広告主の期待に反して、これらの視聴者のうち非常に小さい割合がこれらのコマーシャルに注意を払う。更に、彼らは当面の必要性、関心又は好奇心を有する製品のコマーシャルのみを視聴する傾向にある。広告の目的で視聴者に到達することに関する問題は、現在利用可能な膨大な数の視聴の選択肢にある。ケーブルテレビシステムは、一般的に100以上のチャンネルを視聴者の加入者に提供する。その結果、コマーシャルのセグメント中に視聴者の注意を保持することは、依然としてますます困難である。コマーシャルセグメントが現れると、視聴者は“チャンネル・サーフ”することが知られている。すなわち、コマーシャルセグメントを視聴する必要を免れる又は回避するために、チャンネルからチャンネルへジャンプする。一般的に、その正しい瞬間に関心のあるものが画面に存在しなければ、サーファーはいずれか1つのチャンネルで2〜3秒より長く時間を使わない。現在放送しているコマーシャル付きのチャンネル、及び進行中でうまくいっていると思われるほとんどの映画は、非常に少ない中断でほとんどすぐにサーフされる。
【0003】
このことは、コンテンツの生成及び放送をサポートするために効率的なTVコマーシャルの販売に現在依存しているTVコンテンツプロバイダ及び放送局に重大な課題を導いている。その結果、現在のTVコマーシャル放送モデルの効率性が問題になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、視聴者がコマーシャル時間中にチャンネルを切り替え、コマーシャルセグメントを視聴する必要性を回避するという問題を克服するシステム及び方法の技術に、実際のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、テレビ放送広告に対して視聴者の注意を促すシステム及び方法を提供する。要約すると、視聴者が現在のテレビ放送を視聴しているとき、放送のコマーシャルセグメントを視聴することを回避するために、視聴者が他のチャンネルに“逃れる”というリスクが存在する。この問題は、コマーシャルセグメント中にチャンネルに同調し続けるインセンティブとして、報酬を視聴者にオファー及び提供することにより、本発明によって対処される。このような報酬を視聴者に提供することにより、放送スポンサー(すなわちコマーシャル広告主)は、制作したコマーシャルセグメントが視聴されているということが確実に確保される。
【0006】
本発明の実施例によれば、コンテンツプロバイダが視聴者に報酬を与えることにより(他の点ではスクランブル解除料金を必要とする今後のスクランブル放送を無料で視聴する機会等)、現在の放送のコマーシャルセグメントを視聴するように視聴者を促すシステム及び方法が提供される。その実施例によれば、コマーシャルセグメント中のみに権利(EMM)メッセージを送信することにより、報酬インセンティブをオファーするコマーシャル広告主に関心のある所定の局(チャンネル)に受信装置が同調された視聴者は、無料で今後の放送をスクランブル解除するために必要なEMMメッセージを受信する。逆に、コマーシャル放送中にチャンネルに同調し続けない視聴者は、EMMメッセージを受信せず、従って、無料で後の放送をスクランブル解除するために必要な手段を有さない。
【0007】
他の実施例では、視聴者が他の場所にいながら(すなわち予想通りに視聴しない)、視聴者のセットトップボックスがコマーシャルセグメント中に放送局に適切に同調されるという問題を克服するために、視聴者は、何らかの方法でコマーシャルセグメントに対して参加又はインタラクションし、視聴者の存在を確実にすることを求められる。コマーシャルセグメントとのインタラクションは、例えば、コンテンツプロバイダに送信される視聴者のプロフィールを含む電子フォームに記入すること、コマーシャルセグメントで宣伝される製品に関するゲームを視聴者が行うように求めること、又は視聴者が既に購入された製品のバーコードを記入してコンテンツプロバイダに送信されるように求めることを含み、それらに限定されない如何なる数の形式になってもよい。このように、放送スポンサー(すなわちコマーシャル広告主)は、視聴者が放送コマーシャルセグメントに注意していることを確保される。
【0008】
本発明の前述の特徴は、添付図面と共に考慮される本発明の例示的な実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、容易に明らかになり、理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、例示目的で多数の詳細を有するが、以下の説明に対する多数の変更及び修正が本発明の範囲内であることを当業者はわかる。従って、本発明の以下の好ましい実施例は、請求の範囲に記載された発明に対する一般性を失うことなく、それに限定を与えることなく示されている。
【0010】
テレビ放送に関して本発明を説明するが、本発明は、インターネット、様々な形式のインタラクティブテレビ(例えば、WebTV、RealTV)、ラジオ及びオーディオ・オン・デマンド(例えばインターネットラジオ)、様々な形式のビデオ及びビデオ・オン・デマンド(CATV、衛星、インターネットテレビ等を含む)での広告にも同様に動作可能である。
【0011】
図1は、限定受信システム100の一実施例のブロック図を示している。
【0012】
図1の実施例には、ネットワーク119を介して受信機120A、120B、120C(120と呼ぶ)に結合され、任意選択の帰路チャンネル125A、125B、125C(125と呼ぶ)に結合された放送局101が含まれる。統合受信装置120は、セットトップボックス(STV)、ハイブリッドTV又はデジタルTVを含む如何なる数の適切な装置を有してもよい。更に、放送局101が広告主103に結合されて図示されている。説明を容易にするため、単一の広告主が図示されている。放送局101は、番組ソース105、106と、放送サーバ110と、マルチプレクサ116と、送信機118とを有する。ソース103は、広告コンテンツ113を生成し、ソース105、106は番組コンテンツ107、108を生成し、更に図4を参照して以下に説明するように、これらはマルチプレクサ116で多重化され、トランスポートストリーム117を作る。放送サーバ110は、インタラクティブアプリケーション115のデータベース112を維持する。様々なインタラクティブアプリケーション115は広告主103から供給される個々のコマーシャルと関連する。インタラクティブアプリケーション115は、視聴者(すなわち加入者)102A、102B、102C(102と呼ぶ)がコマーシャル放送を視聴し、及び/又はコマーシャル放送に参加していることを確保するように設計される。放送サーバ110は、広告主103から供給される特定のコマーシャルに特定のインタラクティブアプリケーション115を関連づける。インタラクティブアプリケーションは任意選択であるが、使用される場合には、それらはトランスポートストリーム117に多重化される。
【0013】
その生成に続いて、番組コンテンツ107、108、コマーシャルセグメント113及び任意選択のインタラクティブアプリケーション115は、ネットワーク119を通じて受信機120に配信されてもよい。放送信号117は、ネットワーク119を通じた伝送媒体で、送信機118を介して受信機120に放送される。ここで使用される“放送局”101は、放送信号121で運ばれる番組コンテンツを提供する何らかのエンティティである。伝送媒体は、地上波ケーブル、衛星、アンテナ又はその他の伝送手段でもよい。
【0014】
図1の視聴者の統合受信装置(IRD:integrated receiver device)は、対象の放送市場が水平市場であるか垂直市場であるかに応じて、異なるように構成されてもよい。
【0015】
次に図2aを参照すると、“水平”市場で使用される図1の統合受信装置(IRD)120の一実施例が示されている。一般的な水平市場では、スクランブル解除は放送局に無関係である。すなわち、スクランブル解除は共通インタフェース(CI:common interface)214に接続されているCAモジュール216で実行される。CI214は、異なるベンダからの異なるCAモジュールの使用を可能にし、放送局が自分の独自仕様のスクランブル解除技術を使用することを可能にする。一般的に、CI214は、CAモジュール216が挿入され得るPCMCIAスロットである。米国ではCI214は一般的にPOD(point of deployment)と呼ばれている点に留意すべきである。
【0016】
図2aのIRD210は、ネットワーク119を介して放送信号121を受信し、ビデオ224aとオーディオ224bとサブタイトル224cとテレテキスト224dとの情報を含む出力情報をディスプレイ221又は記録装置に伝達するように構成される。図示の実施例では、IRD120は、EMM要求のような要求を放送局101に返信するモデム210を有する。入力信号121は、地上波回線で、ケーブル回線で又は衛星を介して、復調器212で受信されてもよい。復調信号は、共通インタフェース(CI)モジュール212に出力される。限定受信モジュール216は、必要に応じてスクランブル解除を実行するために、CIモジュール214に結合されて図示されている。CIモジュール214は信号をデマルチプレクサ222に出力し、デマルチプレクサ222は、ディスプレイ装置221に表示するために、信号を各信号成分(ビデオ224a、オーディオ224b、サブタイトル224c及びテレテキスト224d等)に分離する。ミドルウェア220は、IRD120のハイレベル制御及びグラフィカルユーザインタフェースを表す。アプリケーション115は、インタラクティブアプリケーション(例えばxletと一般的に呼ばれるJava(登録商標)アプレット等)である。アプリケーション115はしばしば水平市場で使用され、図1を参照して前述したように、一般的に番組コンテンツ107、108と共に送信される。
【0017】
次に図2を参照すると、“垂直”市場で使用される図1のIRD装置120の一実施例が示されている。水平市場と異なり、一般的な垂直市場では、スクランブル解除は放送局に依存する。一般的に、放送局は、放送局に特有のIRDモジュール120(図2bに示すようなもの)を販売し、それによって、視聴者が放送局のネットワークにアクセスすることを可能にする。図示のように、図2bのIRD120は、DEMUXに密接に接続されているCAモジュール(すなわち、Demux/CA222)を有する。このように、IRD120のコストは図2aのIRDより製造が安価になるが、図2bのIRD120は、1つの特定の放送局にのみ使用可能である。この状態は“垂直”市場での使用に特有である。図2aのIRDと図2bのIRDとの間の更なる区別として、図2bにはアプリケーションユニット115が図示されていない。このことは、垂直市場が例えばxletのようなダウンロード可能アプリケーションを利用しないために生じる。
【0018】
本発明の実施例を更に説明する前に、図1の限定受信システム100の他の態様を検討することが有益である。特に、図1の限定受信システム100の更に詳細な説明が提供され、放送へのアクセスを促進又は拒否するモジュールについて説明する。
【0019】
周知のように、放送局101と複数の加入者102との間の有料サービス構成では、加入者102は加入料金を支払ったときに基本サービスに加入する(一般的に‘限定受信’システムと呼ぶ)。このような料金の支払いを実施し、非加入者からの無許可のアクセスを回避するために、信号は放送局により符号化され、情報へのアクセスを促進するために何らかの種類のスクランブル解除器を必要としてもよい。ユーザがアクセスに対して支払いを合意するまで、信号は視聴からスクランブルされ、暗号化され、又はロックされてもよい。ユーザがテレビ放送を得ることを決定すると、サービスプロバイダ(放送局)は、コマーシャル期間の合意の交換として、スクランブルされたデータ、暗号化データ又はロックされたデータへの電子アクセス鍵を交換する。
【0020】
図3は、放送へのアクセスを促進又は拒否する構成要素を含む図1の詳細なブロック図である。従来の限定受信システム100のように、放送される番組コンテンツ107、108は、適切な符号化システム(例えばデジタル放送用のMPEG-II)を使用してエンコーダ1で符号化される。符号化された放送ストリームは、それ自体周知のように、制御ワード生成器3で生成された制御ワードCWの制御で、スクランブル器2で暗号化又はスクランブルされる。制御ワードは、サービスにアクセスするために必要なサービス及び条件を特定するアクセス基準と共に、ECM生成器4により共通情報(ECM:Entitlement Control Message)に暗号化される。例えば、アクセス基準は、放送の地域制限を特定してもよい。加入者とその加入の詳細を運ぶ更なる種類のメッセージ(個別情報(EMM:Entitlement Management Message)と呼ぶ)は、EMM生成器5により生成される。ECMメッセージは、スクラブルされた番組又は番組のセットに関連し、これらの番組を解読するために必要な情報を運ぶが、EMMメッセージは、個々のユーザ又はユーザのグループに専用のメッセージであり、ユーザが番組を試聴可能な場所で必要な加入を有するか否かを決定するために必要な情報を運ぶ。
【0021】
スクランブルされた符号化放送ストリーム(例えば番組コンテンツ107から生じる)は、ECM及びEMMメッセージと共に、他の放送ストリーム(例えば、番組コンテンツ108又はそれから生じたもの)とマルチプレクサ6で多重化される。パッケージは、ネットワーク119を介して、それが送信された送信機118に送信される。スクランブルされた符号化放送ストリームは、加入者の統合受信装置(IRD)120で受信される。IRD120は、放送局101から受信した放送信号121を復調し、異なるテレビ番組及びインタラクティブアプリケーションのような信号の成分を分離する役目をする。
【0022】
受信機120で受信すると、受信及び復調されたデータは、デマルチプレクサ11で逆多重化される。そのデマルチプレクサ11は、必要な番組及びその関連のECM及びEMMメッセージを抽出するために、図2aのDMX222として具現されてもよい。抽出されたECM及びEMMメッセージは、クライアントからの要求(例えばスクランブル解除要求)と共に入力EMM及びECMを処理する論理制御ユニット12に送信される。論理制御ユニット12は、スクランブル解除器13による入力として必要な制御ワードを出力する。制御ワードは、例えば2秒間隔で交互になる交互の奇数及び偶数の制御ワードを有する。各制御ワードは所定の間隔(例えば20秒毎)に変化する。従って、スクランブルされた信号をスクランブル解除するために、ECMメッセージの連続ストリームが必要になる。EMMメッセージは、あまり頻繁に更新されなくてもよい。
【0023】
制御ユニット12は、加入者が放送を視聴する権利を有するか否かを決定し、そうである場合には制御ワードCWを解読するために、ECM及びEMMメッセージを使用する。制御ワードCWは、スクランブルされた放送ストリームと共にスクランブル解除器13に入力され、元のMPEG-II符号化放送ストリームを回復する。符号化ストリームはマルチプレクサ14に渡され、マルチプレクサ14は多重化信号をデマルチプレクサ15に出力し、次に、デマルチプレクサ15は逆多重化信号をデコード及びレンダリングモジュール16に出力し、デコード及びレンダリングモジュール16は加入者のテレビ17で表示するオーディオ、ビデオ及びデータ成分を有する出力信号を作る。
【0024】
ECM及びEMMメッセージの従来の形式は、例えば国際標準ISO IEC 13818-1に定められているように当該技術分野において周知である。その全内容が参照として取り込まれる。
【0025】
一実施例において、視聴者(加入者)102は、無料で後の番組を視聴する機会を用いて視聴者102に報酬を与えることにより、現在の放送のコマーシャルセグメント(広告コンテンツ)113を視聴するように促される。報酬を受けるために、視聴者102に必要なものは、現在の放送のコマーシャルセグメント中に同じ局又はチャンネルに受信機120を維持することだけである。コマーシャルセグメント中に同じ局に受信機120を維持することにより、EMMメッセージが受信機120で受信され、受信機120が視聴者への報酬として無料で後の番組をスクランブル解除することが可能になる。
【0026】
動作中に、放送局101は、図4bに示すように、コマーシャル時間又は生テレビ放送のセグメント中にのみ、EMMメッセージを送信する。周知のように、EMMメッセージは、放送番組をスクランブル解除するために、視聴者のIRD120により必要とされるデータ要素である。コマーシャルセグメント又は時間中にIRD120を同じチャンネルに維持することにより、放送局101により送信されたEMMメッセージは、視聴者の受信機120のデマルチプレクサユニット11で受信され、それによって、視聴者への報酬として後の番組をスクランブル解除するために必要な手段を提供する。
【0027】
図4aを参照すると、2つのトランスポートストリーム1171及び1172の例示的な図が図示されており、各トランスポートストリームは複数の多重サービスを有する。特に、例示的なトランスポートストリーム1171は3つの多重サービス1071、1081、1091から構成され、例示的なトランスポートストリーム1172は多重サービス1072、1082から構成される。説明を容易にするため、少数の多重サービスが図示されている。図4aに示すように、サービスプロバイダ1は、全体として多重サービス1071、1081、1091を有するトランスポートストリーム117を所有する。それに対して、トランスポートストリーム1172の所有権は共有されている。例えば、サービスプロバイダ2が多重サービス1072を所有し、サービスプロバイダ3が多重サービス1082を所有する。
【0028】
単一のサービスプロバイダが全トランスポートストリームを所有している場合(すなわちサービスプロバイダ1)、図4bに示すように、サービスプロバイダは、ストリームの各多重サービスのコマーシャルセグメント(時間)が水平にプログラム(配置)されていること41を確保することができる。水平配置の場合、視聴者は同じトランスポートストリームで何らかのサービスから他のサービスに(例えばサービス1071から1081に又は1091から1071に)切り替えてもよく、依然としてEMMを受信することが保証され得る。それによって、報酬を受信する広告主の要件を満たす。
【0029】
単一のトランスポートストリームが異なるサービスプロバイダによって所有される更に一般的な場合では(すなわちサービスプロバイダ2及び3)、トランスポートストリームを構成する各多重サービスが水平にプログラム(配置)されているという保証はない。このより一般的な場合を図4cに示す。特に、トランスポートストリーム1172は2つの多重サービスから構成される。第1のサービス1072はサービスプロバイダ2により所有され、第2のサービス1082はサービスプロバイダ3により所有される。従来のように、異なって所有されるトランスポートストリーム1072及び1082の間に、コマーシャルセグメント又は時間の水平配置が存在しない。図4cに示すように、コマーシャルセグメント43はコマーシャル時間45と水平に配置されていない。従って、視聴者がトランスポートストリームの正しいサービス(TVチャンネル)を視聴しているということをトラッキングする何らかの手段を提供する必要がある。そうでない場合には、何の局が視聴されているかにかかわらず、視聴者は単にEMMを受信し、その場合には視聴者は不当に報酬を受けることになる。受信されるEMMが、関心のある所定のチャンネルに関連するEMMであることが定められなければならない。
【0030】
視聴者が正しいサービスを視聴していることを確保する1つの手法は、図5を参照して説明するように、何らかの更なる機能でCAモジュールを拡張することが挙げられる。
【0031】
図5は、複数のサービスプロバイダが予測不可能な間隔でコマーシャル時間を提供する場合に、視聴者が正しいTVチャンネルを視聴していることを確保するように修正されたCAモジュール502を示している。特に、第1の入力モジュール512は、CAモジュール502に設けられ、多重サービス(TVチャンネル)のうち何が視聴者により現在視聴されているかをCAモジュールに通知する。CAモジュール502に提供される第2の入力信号522は、広告主から報酬を受けるために視聴されなければならないチャンネルを特定する更なる情報を有するEMMである。修正CAモジュール502は、EMMに含まれるチャンネル情報(すなわち、視聴されなければならないチャンネル)が視聴者により現在視聴されているチャンネルに合致する場合にのみEMMを格納することにより、動作する。換言すると、EMMは、視聴されているチャンネルと所定のチャンネルとの間に合致がある場合にのみ格納され、それによって、視聴者が所定のチャンネルのコマーシャルセグメントを視聴していることを保証する。
【0032】
前の実施例の欠点は、視聴者102がコマーシャル又は他の中断中に立ち去り、その後すぐに戻ることがよくあるという点がある。ユーザの受信機が適切なチャンネルに同調され得る間に、視聴者は他の場所にいてもよい。この状況は最初の実施例では検出不可能である。視聴者が存在しない間に視聴者のIRD120が適切に同調されているという問題を克服する視聴者の実際の存在を検出する1つの方法について、この実施例で説明する。すなわち、この実施例は、「視聴者が実際に部屋にいてコマーシャルセグメントを視聴しているか?」という問題への対策を提供する。
【0033】
この実施例によれば、視聴者は、何らかの方法でコマーシャルセグメントに対して参加又はインタラクションし、視聴者の存在を確実にすることを求められる。コマーシャルセグメントとのインタラクションは、例えば、以下のものを含み、如何なる数の形式になってもよい。
・コンテンツプロバイダに送信される視聴者のプロフィールを含む電子フォームに記入すること。
・コマーシャルセグメントで宣伝される製品に関するゲームを視聴者が行うように求めること。
・視聴者が既に購入された製品に一意に関連するバーコード又は他の適切なコードを記入して、帰路チャンネル125を介してコンテンツプロバイダに送信されるように求めること。代替として、帰路チャンネルが用いられない場合、視聴者はバーコード情報をコンテンツプロバイダに送信するように求められないが、その代わりに、例えば音声応答システム又は消費者ヘルプディスクを介してコンテンツプロバイダにコードを報告するように求められる。
・1回又は複数回だけテレビセット又はセットトップボックスユニットからのプロンプトに応じてリモコンをクリックすること。
・視聴者が様々な要因に基づいてコマーシャルセグメントを評価することを求めること。
【0034】
このように、放送スポンサー(すなわちコマーシャル広告主)は、視聴者が存在していてコマーシャル放送に注意していることを確保される。
【0035】
前述の実施例のそれぞれにおいて、報酬の資格を得るために受信されなければならないEMMメッセージの数は、好ましくはスポンサーによって決定されてもよい。最も厳しい場合には、スポンサーは、各コマーシャル時間中に送信されるEMMメッセージを受信することに対応する各コマーシャルセグメントを視聴するように視聴者を求めてもよい。他のシナリオでは、視聴されなければならないコマーシャルセグメントの数(例えばN)は、スポンサーにより求められる視聴者の注意レベルに依存して変化してもよい。一例として、スポンサーは、視聴者が4のEMMメッセージを受信することに対応する少なくともN=4のコマーシャルセグメントを視聴することを求めてもよい。特定の実施例では、単一の受信EMMメッセージ(すなわちN=1)は、報酬を受けるように視聴者に資格を与えてもよい。受信EMMメッセージの数をカウントしてEMM閾値に対して総数を比較するために、EMMカウンタが使用されてもよい。
【0036】
好ましい実施例の前記の説明は、当業者が本発明を構成又は使用することを可能にするために提供されている点に留意すべきである。これらの実施例に対する様々な変形及び他の実施例は、発明力を使用しなくても、当業者に容易に明らかになる。従って、本発明はここに示されている実施例に限定されることを意図しているのではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴に従った最も広い範囲に一致する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施例による本発明のシステムを示した概略ブロック図
【図2】図1のシステムの統合受信装置の詳細な図
【図3】放送へのアクセスを促進又は拒否する構成要素を含む図1の詳細なブロック図
【図4a】それぞれ複数の多重サービスを有する2つのトランスポートストリームの例示的な図
【図4b】多重サービスのコマーシャルセグメントが水平に配置されている単一のサービスプロバイダにより所有される単一のトランスポートストリームの例示的な図
【図4c】多重サービスのコマーシャルセグメントが水平に配置されていない2つの異なるサービスプロバイダにより所有される単一のトランスポートストリームの例示的な図
【図5】視聴者が正しいサービス(TVチャンネル)を視聴していることを確保するように修正されたCAモジュールの図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のチャンネルのコマーシャルセグメントを視聴するように視聴者を促す方法であって、
前記所定のチャンネルは、各視聴者に属する複数の統合受信装置(IRD)に送信される放送信号の一部として含まれ、
前記放送信号は、1つ以上のトランスポートストリームとしてグループ化された複数のチャンネルを有し、
前記複数のチャンネルのそれぞれは、コマーシャルセグメントが散在した番組コンテンツと、個別情報(EMM)とを有し、
前記EMMは、前記コマーシャルセグメントと実質的に同時に送信され、
前記方法は、
(a)視聴者のIRDで前記放送信号を受信する動作と、
(b)前記所定のチャンネルに関連する少なくともNのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に、前記視聴者のIRDが前記所定のチャンネルに同調されているか否かを決定する動作と、
(c)前記決定する動作(b)が満たされる場合に、前記視聴者に報酬を与える動作と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記決定する動作(b)は、
i)EMMカウンタを初期化する動作と、
ii)視聴チャンネルの第iのコマーシャルセグメントの放送中に、
1.前記視聴チャンネルの識別を決定する動作と、
2.前記報酬を受けるために視聴される必要がある所定のチャンネルの識別を決定する動作と、
3.前記視聴チャンネルの識別と、前記所定のチャンネルの識別とを比較する動作と、
4.前記比較ステップで合致している場合に、前記EMMを格納する動作と、
5.前記比較ステップで合致している場合に、前記EMMカウンタをインクリメントする動作と、
6.前記EMMカウンタが所定の閾値カウントNに等しい場合に、請求項1の動作(c)に進み、そうでない場合に、前記視聴チャンネルの第(i+1)のコマーシャルセグメントについて動作(1)〜(6)を繰り返す動作と
を有する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記報酬を与える動作(c)は、前記視聴者に対して無料で少なくとも1つの今後のスクランブルテレビ番組をスクランブル解除する制御ワードを生成するために、前に格納されたEMM及びECM(共通情報)を使用する動作を更に有する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記放送信号は、無線システム及び/又は有線システムのうち1つで配信される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記視聴者が前記所定のチャンネルに関連する少なくとも1つのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に前記所定のチャンネルを視聴しているか否かを決定する動作を更に有する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記決定する動作は、
前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に視聴者のプロフィールを含む電子フォームに記入することを、前記視聴者に求める動作と、
記入された電子フォームをコンテンツプロバイダに返信する動作と
を更に有する方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記決定する動作は、インタラクティブアプリケーションを介して、前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に宣伝される製品に対してインタラクティブに参加することを、前記視聴者に求める動作を更に有する方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、
前記決定動作は、
前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に宣伝される既に購入された製品に一意に関係するバーコード又は他の適切なコードを記入することを、前記視聴者に求める動作と、
記入されたバーコードをコンテンツプロバイダに返信する動作と
を更に有する方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記決定する動作は、前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に何らかの方法で1つ以上のプロンプトに応答するように、前記視聴者に求める動作を更に有する方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、
前記決定する動作は、前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に前記視聴者が前記第iのコマーシャルセグメントを評価することを求める動作を更に有する方法。
【請求項11】
所定のチャンネルのコマーシャルセグメントを視聴するように視聴者を促す方法であって、
前記所定のチャンネルは、各視聴者に属する複数の統合受信装置(IRD)に送信される放送信号の一部として含まれ、
前記放送信号は、1つ以上のトランスポートストリームとしてグループ化された複数のチャンネルを有し、
前記複数のチャンネルのそれぞれは、コマーシャルセグメントが散在した番組コンテンツと、個別情報(EMM)とを有し、
前記EMMは、前記コマーシャルセグメントと実質的に同時に送信され、
前記方法は、
(a)視聴者のIRDで前記放送信号を受信する動作と、
(b)所定のトランスポートストリームに関連する少なくともNのコマーシャルセグメントの放送と実質的に同時の時間の間に、前記視聴者のIRDが所定のトランスポートストリームに同調されているか否かを決定する動作と、
(c)前記決定する動作(b)が満たされる場合に、前記視聴者に報酬を与える動作と
を有する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記決定する動作は、前記コマーシャルセグメントと実質的に同時に送信されたEMMを受信して格納する動作を有する方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記報酬を与える動作は、前記視聴者に対して無料で今後のスクランブルテレビ番組をスクランブル解除する制御ワードを生成するために、前に格納されたEMM及び共通情報(ECM)を使用する動作を更に有する方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、
前記放送信号は、無線システム及び/又は有線システムのうち1つで配信される方法。
【請求項15】
1つ以上のトランスポートストリームとしてグループ化された複数のチャンネルを有する放送信号を送信するテレビ放送局を有するテレビ放送システムであって、
前記複数のチャンネルのそれぞれは、コマーシャルセグメントが散在した番組コンテンツと、個別情報(EMM)とを有し、
前記EMMは、前記コマーシャルセグメントと実質的に同時に送信され、
前記システムは、
インタラクティブアプリケーションを提供する放送サーバと、
前記番組コンテンツの少なくとも1つのソースと、
前記コマーシャルセグメントと番組コンテンツと任意選択のインタラクティブアプリケーションとを結合し、前記トランスポートストリームを作るマルチプレクサと、
伝送媒体で前記放送ストリームとして前記トランスポートストリームを送信する送信機と
を有する放送局と、
視聴者が所定のチャンネルに対応するチャンネルを視聴しているか否かを決定し、権利を格納し、それぞれ格納された権利は、前記所定のチャンネルに関連する第iのコマーシャルセグメントに対応する限定受信モジュールと、
を有するシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−504744(P2007−504744A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525255(P2006−525255)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051667
【国際公開番号】WO2005/025220
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】