説明

強制弁式ピストンポンプ

【課題】弁体とピストンパッキンとからなる部分を軽量化することができ、部品の長寿命化および低騒音化を図ることができるとともに、製造コストの低減および使用用途の拡大を図ることができる強制弁式ピストンポンプを提供する。
【解決手段】強制弁式ピストンポンプにおいて、ストッパ63と吸水弁座61との間にピストンロッド32の軸方向に沿って移動自在に設けられた環状の弁体と、この弁体の外周側に設けられポンプ室38の内周面に摺動するピストンパッキンとが一体に合成樹脂または合成ゴムにより形成されてピストン弁体1とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強制弁式ピストンポンプ(ユニフロー式ピストンポンプ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の強制弁式ピストンポンプは、たとえば、図4に示すように構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
この強制弁式ピストンポンプは、クランクケース31を有しており、クランクケース31内にはオイル(潤滑油)が収容されている。また、クランクケース31には、ピストンロッド(往復動部材)32がオイルシール33を介して往復動自在に挿入されている。このピストンロッド32の後端部は、クランクケース31内の駆動部(図示せず)に連結されており、この駆動部よって往復動するようになっている。また、クランクケース31の前側には、シリンダ元金具34が連設されており、シリンダ元金具34には吸水口35が形成されている。
【0003】
シリンダ元金具34の前側には、シリンダ37の後端部が液密に嵌入されており、シリンダ37内には、ポンプ室38が吸水口35に連通して形成されている。ポンプ室38内には、たとえば、水、農業用薬剤などの液体が出し入れされる。また、ポンプ室38には、ピストンロッド32の先端部が延びている。このピストンロッド32の小径部32aの外側には、スリーブ41が液密に嵌合されており、このスリーブ41の部分がシールパッキン42を介してシリンダ元金具34に支持されている。このスリーブ41と前記ピストンロッド32からポンプ室38内で往復する往復動部材が構成されている。シールパッキン42とオイルシール33との間には、概略筒状のシール押え44が介在されており、このシール押え44内にフェルトパッキン45が配設され、このフェルトパッキン45はスリーブ41の外側に取り付けられている。フェルトパッキン45の上端部は、クランクケース31の注油口31aに対向しており、その下端部は、クランクケース31に取り付けられたオイルパン46内に挿入されている。
【0004】
また、ピストンロッド32の先端部には、スリーブ41の前側に、吸水弁座61、カラー(往復動部材)62、ストッパ63が順に組み込まれている。そして、ピストンロッド32の小径部32aの外側に、後側から順に、振り切り座金51、スリーブ41、吸水弁座61、カラー62、ストッパ63が嵌合され、ナット65がピストンロッド32の先端部に締め込まれることにより、これらの部材がピストンロッド32の段差部32bとナット65との間に挟持されている。
【0005】
吸水弁座61とストッパ63との間のカラー62の外側には、環状の弁体66が遊嵌されており、弁体66とカラー62との間には隙間67が形成されるようになっている。この弁体66の外周にはピストンパッキン68が装着されており、このピストンパッキン68はシリンダ37の内周面(ポンプ室38の内周面)を摺動するようになっている。弁体66は、吸水弁座61とストッパ63との間の距離より短い長さに設定されており、弁体66がストッパ63に当接したときに、弁体66と吸水弁座61との間に隙間69が形成されるようになっている。ストッパ63には通孔(流路)63aが形成されており、弁体66がストッパ63に当接したときに、この通孔63aが弁体66とカラー62との間の隙間67と連通するようになっている。
【0006】
また、シリンダ37の先端部には、シリンダ先金具71が液密に嵌合されており、シリンダ先金具71には、吐出口72がポンプ室38に連通して形成されている。また、シリンダ37とシリンダ先金具71との間には、吐出弁組立体73が設けられており、この吐出弁組立体73は、ポンプ室38から吐出口72への流れのみを許容する逆止弁として機能する。シールパッキン42から前側(シリンダ先金具71側)が液体を吸い込み、吐き出すポンプ作用を行うポンプ部となっている。
【0007】
次に、この強制弁式ピストンポンプの作用について説明する。
駆動部により、ピストンロッド32を往復動(前進・後退)させると、ピストンロッド32の先端部がポンプ室38内を進退移動し、これにより液体が吸水口35からポンプ室38を経て吐出口72へ移動し、ポンプとして機能する。
【0008】
すなわち、ピストンロッド32が吸水工程において後退(シリンダ元金具34側へ移動)すると、ピストンロッド32の先端部がポンプ室38内を後退して行き、これにより図4の上側の弁体66のように、弁体66がストッパ63に当接し、弁体66が吸水弁座61から離れる。この際に、弁体66とカラー62との間の隙間67とストッパ63の通孔63aが連通した状態となるとともに、前記隙間67と弁体66と吸水弁座61との間の隙間69が連通する。そうすると、吸水口35から吸込まれて後退するピストンパッキン68の後側にある液体が、弁体66と吸水弁座61との間に隙間69、弁体66とカラー62との間には隙間67およびストッパ63の通孔63aを順に通って、ポンプ室38内(ピストンパッキン68の前側)に流入する。
【0009】
一方、ピストンロッド32が吐出工程にいて前進(シリンダ先金具71側へ移動)すると、ピストンロッド32の先端部がポンプ室38内を前進して行き、これにより図4の下側の弁体66のように、弁体66が吸水弁座61に当接する。これにより、弁体66と吸水弁座61との間の隙間69がなくなることで、弁体66とカラー62との間の隙間67が吸水弁座61により閉塞された状態となる。そうすると、ポンプ室38の液体が弁体66と当該弁体66に取り付けられたピストンパッキン68と吸水弁座61とによりポンプ室38から押し出され、吐出弁組立体73を経て吐出口72から吐き出される。なお、この際に、前進するピストンパッキン68の後側に吸水口35から液体が吸い込まれることになる。
【0010】
ところで、従来、このようなピストンポンプにあっては、金属製の弁体66にピストンパッキン68がかしめ加工などにより取り付けられている。また、ピストンパッキン68の材質は、通常、耐油性に優れ、かつ、加工性が良く、機械的強度に優れたNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)系の合成ゴムが用いられている。また、弁体66としては、使用される液体(使用液体)に耐える金属が用いられる。
【0011】
【特許文献1】特開2006−242105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の強制弁式ピストンポンプにおいては、ピストンパッキンおよび吸水弁として機能し、シリンダ内周面を摺動するとともに、ピストンロッド32(カラー62)に対しても移動する部材が、合成ゴム製のピストンパッキン68と金属製の弁体66とからなる構造であるので、軽量化が難しいという問題がある。
また、強制弁式ピストンポンプの製造に際し、弁体66にピストンパッキン68をかしめ加工により取り付けるので、部品の加工および組立作業に手間がかかる。
【0013】
また、NBR系ゴムからなるピストンパッキン68は、耐薬品性に乏しく、使用液体が限定されてしまう。
また、ピストンパッキン68を合成ゴムではない合成樹脂とすることで、たとえば、耐薬品性に優れた材料を容易に選択することが可能となるが、このような合成樹脂を用いた場合に、弁体66をかしめて、ピストンパッキン68を当該弁体66に取り付けるものとした際に、寸法公差などの問題を解消することが難しく、必ずしも最適な材料を選択できない。
また、使用液体によっては、弁体66として使用液体に対して耐性のある金属を選択した場合に弁体66が高価なものとなって、高コストとなってしまうなどといった問題がある。
【0014】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、弁体とピストンパッキンとからなる部分を軽量化することができ、部品の長寿命化および低騒音化を図ることができるとともに、製造コストの低減および使用用途の拡大を図ることができる強制弁式ピストンポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の強制弁式ピストンポンプは、ポンプ室(38)と、当該ポンプ室(38)内を往復動するとともに後端側が駆動部に連結された往復動部材(32,62)と、当該往復動部材(32,62)の前端側に設けられるとともに前後に液体を流すことが可能な流路(63a)を有するストッパ(63)と、当該ストッパ(63)との間に間隔をあけて前記往復動部材(32,62)の当該ストッパ(63)より後側に設けられる弁座(61)と、前記往復動部材(32,62)が挿入された状態で、当該往復動部材(32,62)の外周面との間に液体を流すことが可能な隙間(67)を有し、かつ、前記ストッパ(63)と前記弁座(61)との間に前記往復動部材(32,62)の軸方向に沿って移動自在に設けられた環状の弁体と、当該弁体の外周側に設けられ前記ポンプ室(38)内周面を摺動するピストンパッキンとを備えた強制弁式ピストンポンプにおいて、前記弁体と前記ピストンパッキンが一体に合成樹脂または合成ゴムにより形成されてピストン弁体(1,1A)とされていることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の発明においては、弁体とピストンパッキンとが一体に合成樹脂または合成ゴムにより形成されてピストン弁体となっているので、弁体およびピストンパッキンとして機能するこのピストン弁体の軽量化を図ることができる。
ここで、ピストン弁体は、ポンプ作動時にストッパと吸水弁座とに交互に衝突するが、ピストン弁体を軽量化することができるので、上記衝突した際の衝撃エネルギを低減することができる。このため、上記衝突により発生する動作音の音量を低減することができ、低騒音化を図ることができるとともに、ピストン弁体、吸水弁座、ストッパ等の各部材に作用する衝撃力を低減でき、これらの部品の長寿命化を図ることができる。なお、弁体部分への衝撃力が低減されることから、ピストン弁体を合成樹脂製または合成ゴム製としても十分に使用に耐えうるものとなる。
【0017】
また、強制弁式ピストンポンプの製造において、弁体にピストンパッキンを取り付ける工程がなくなり、組立作業を容易にすることができる。
また、弁体でピストンパッキンをかしめる必要がないので、ピストンパッキンの材質によって、問題が生じることがなく、ピストン弁体を目的に応じて多くの合成樹脂から選択可能となる。すなわち、従来のピストンパッキンよりも耐薬品性に優れたものや、その他の特性を有する合成樹脂を比較的自由に選択することができる。
また、従来、使用液体によっては、弁体として高価な金属を用いる必要がありコスト増の原因となったが、このピストン弁体1によれば、高価な金属より低価格な合成樹脂で対応可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0018】
また、ピストン弁体が合成樹脂により一体に形成されるので、弁体にピストンパッキンを取り付ける工程をなくすることができるため、製造を簡略化でき、製造コストを低減することができる。
また、弁体にピストンパッキンをかしめ加工する必要がないので、ピストン弁体の材質の選択肢が多くなり、たとえば、耐薬品性に優れた合成樹脂または合成ゴムを用いることも容易になり、強制弁式ピストンポンプに使用される液体の自由度が高くなる。
また、従来、使用液体によって高価な金属を用いる必要があった弁体を合成樹脂製または合成ゴム製としたので、この点においても製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
請求項2に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項1に記載の発明において、前記ピストン弁体(1,1A)の外周面の前部に当該ピストン弁体(1,1A)の周方向に沿って径方向外側に突出するリップ部(4)が設けられ、前記ピストン弁体(1,1A)の前面に環状の溝(8,8A)が形成され、当該溝(8,8A)に弾性環状部材(9)が挿入されて嵌合されていることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明においては、溝に挿入されて嵌合している弾性環状部材の弾性力によりピストン弁体のリップ部をポンプ室内周面に押し付けることができるので、ピストン弁体のシール性を向上することができる。すなわち、ピストン弁体を弾性変形しにくい合成樹脂等により形成した場合でも、弾性環状部材の弾性力によりシール性を確保することができる。また、ピストン弁体の外周に磨耗が生じ、ピストン弁体の外径が小さくなるようなことがあっても、弾性環状部材の弾性力によりシール性を維持することができ、これによりピストン弁体の長寿命化を図ることができる。
【0021】
また、ピストン弁体の前面に環状の溝を設けることで、外周側のリップ部が変位しやすい状態となり、液体吐出時に、ピストン弁体の前面側が高圧力状態となった際に、ピストン弁体の前端部の前記溝より外周側が拡がり、リップ部がポンプ室内周面にさらに押し付けられてシール性を向上することができる。
【0022】
請求項3に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項2に記載の発明において、前記リップ部(4)の最も外径が大きくなる最外径部(5)と前記弾性環状部材(9)とが重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明においては、リップ部の最も外径が大きくなる最外径部と弾性環状部材とが重なる位置に配置されているので、リップ部の最外径部をポンプ室内周面に強く押し付けることができるため、高圧での使用に適しており、低粘度の使用液体で高速運転する場合に有利となる。
【0024】
請求項4に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項2に記載の発明において、前記リップ部(4)の前記最外径部(5)より後側の部分と前記弾性環状部材(9)とが重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0025】
請求項4に記載の発明においては、最外径部より後側のリップ部と弾性環状部材が重なる位置に配置されているので、リップ部が幅広くポンプ室の内周面に接触するようになるため、高粘度の使用液体を低速、低圧で吐出することに優れたポンプとなる。
【0026】
請求項5に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記ピストン弁体(1,1A)の後面の外周縁側の角部が面取りされていることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の発明においては、ピストン弁体(1,1A)の後面の外周縁側の角が面取りされているので、ピストン弁体の後面が弁座に衝突した際に、ピストン弁体の後端部が衝撃で外周側に広がるように変形しても、前記面取りによりピストン弁体の後端部の径が小さくなっているため、変形部分がポンプ室の内周面に達することがなく、このため変形部分がポンプ室の内周面に当たって擦られて損傷することを防止することができる。
【0028】
請求項6に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記ピストン弁体(1,1A)の前面の外周縁側の角部が面取りされていることを特徴とする。
【0029】
請求項6に記載の発明においては、ピストン弁体(1,1A)の前面の外周縁側の角部が面取りされているので、強制弁式ピストンポンプの組み立て時に、ポンプ室にピストン弁体を容易に挿入することができる。
【0030】
請求項7に記載の強制弁式ピストンポンプは、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記ピストン弁体(1,1A)の前面に、前記リップ部(4)より前方に突出する当接部(12)が形成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項7に記載の発明においては、ピストン弁体の前面に、リップ部より前方に突出する当接部が設けられているので、動作時にストッパに当接部が衝突するため、リップ部が傷つくのを防止することができる。
【0032】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0033】
本発明の強制弁式ピストンポンプによれば、弁体とピストンパッキンを一体に合成樹脂または合成ゴムにより形成しピストン弁体としたので、弁体およびピストンパッキンの機能を有するこのピストン弁体を軽量化することができ、部品の長寿命化および低騒音化を図ることができるとともに、製造コストの低減および使用用途の拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る強制弁式ピストンポンプの要部を示す断面図であり、図2はピストン弁体を示す断面図である。
なお、第1の実施形態の特徴は、強制弁式ピストンポンプにおける弁体およびピストンパッキンの構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、第1の実施の形態の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0035】
図1に示すように、この強制弁式ピストンポンプにおいては、従来と同様に、ピストンロッド(往復動部材)32の先端部には、スリーブ41の前側に、吸水弁座61、カラー(往復動部材)62、ストッパ63が順に組み込まれている。そして、ピストンロッド32の小径部32aの外側に、後側から順に、振り切り座金51、スリーブ41、吸水弁座61、カラー62、ストッパ63が嵌合され、ナット65がピストンロッド32の先端部に締め込まれることにより、これらの部材がピストンロッド32の段差部32bとナット65との間に挟持されている。吸水弁座61とストッパ63との間の間隔は、カラー62に長さにより決定されるようになっている。
【0036】
吸水弁座61とストッパ63との間のカラー62の外側には、肉厚な筒状(環状)のピストン弁体1が遊嵌されている。このピストン弁体1は、図4に示す従来の弁体66とピストンパッキン68とが合成樹脂により一体に形成されているものであり、弁体(吸水弁)としての機能とピストンパッキン(ピストン)としての機能の両方を有している。
【0037】
このピストン弁体1の内径は、ピストンロッド32の小径部32aの周囲でストッパ63と吸水弁座61との間に設けられた筒状のカラー62の外径よりも大きく設定されている。これにより、カラー62の外周面とピストン弁体1の内周面との間には、使用液体を前後に流動可能な隙間67が形成されるようになっている。また、ピストン弁体1がストッパ63に当接したときに、ストッパ63の通孔(流路)63aがピストン弁体1とカラー62との間の隙間67と連通するようになっている。
【0038】
また、ピストン弁体1の前後方向の長さ(厚さ)は、吸水弁座61とストッパ63との間の間隔(カラー62の長さ)よりも短く設定されており、これによりピストン弁体1がストッパ63に当接したときに、ピストン弁体1と吸水弁座61との間に隙間69が形成されるようになっている。
【0039】
なお、ピストン弁体1は、その外周面部(後述のリップ部4)が円筒状のシリンダ37の内部に形成されるポンプ室38の内周面(シリンダ37の内面)を摺動するようになっており、その中心軸の位置がずれないようになっているので、ピストン弁体1の内周面にカラー62の外周面が接触することなく、ピストン弁体1はストッパ63と吸水弁座61との間を移動するようになっている。
【0040】
図2に示すように、筒状のピストン弁体1の貫通穴2は、円柱状に(すなわち前後方向に同じ径で)形成されている。この貫通穴2のストッパ63が当接する前端部は拡径されている。すなわち、この貫通穴2の前端の角部が面取りされ、内面取り部3が形成されている。この内面取り部3は、直線だけでなく曲線により形成してもよい。
【0041】
また、ピストン弁体1の外周面の前端部分(前側1/3程度の部分)は、それ以外の部分より拡径された部分、すなわち、径方向外側に突出する部分であるリップ部4となっている。このリップ部4の断面形状(図2における断面形状)は、リップ部4の最も外径が大きくなる最外径部5がピストン弁体1の外周面の前端部に形成され、この最外径部5の後側では最外径部5から後に向かうにつれて次第に外径が小さくなるように緩やかに傾斜した形状になっている。ピストン弁体1の外周面のリップ部4以外の部分は、同じ外径に形成されており、この部分の外径は、シリンダ37の内径より少し小さく設定されている。また、リップ部4の最外径部5は、シリンダ37の内径より少し大きく設定されている。
なお、上記最外径部5は、ピストン弁体1の外周面の前端部分に設けられたリップ部4において最も外径が大きくなった一つの円部分であり、断面形状とした場合に点(頂点)としてみることができる。
【0042】
ピストン弁体1の前面の外周縁側の角部は面取りされ、前面取り部6となっている。この前面取り部6の後端が最外径部5となっている。
なお、前面取り部6は、ピストン弁体1の軸方向と直交する平面(たとえば、ピストン弁体1の前面)に対して20〜30度傾いた角度となるように形成されることが好ましい。この前面取り部6は、直線だけでなく曲線により形成してもよい。
【0043】
また、ピストン弁体1の後面の外周縁側の角部は面取り、後面取り部7となっている。この後面取り部7は、ピストン弁体1の軸方向と直交する平面(たとえば、ピストン弁体1の後面)に対して10〜20度傾いた角度となるように形成されることが好ましい。この後面取り部7は、直線だけでなく曲線により形成してもよい。
【0044】
また、ピストン弁体1の前面には、ピストン弁体1と同軸に円環状の溝8が形成され、この溝8内に円環状の弾性環状部材9が挿入されて嵌合されている。弾性環状部材9は、たとえば、Oリングからなるものである。なお、弾性環状部材9の横断面形状(図2における断面形状)は、円形となっている。
【0045】
前記溝8は、この例においては、その深さが、弾性環状部材9の横断面の径(太さ)とほぼ同じとされるか僅かに深いものとなっている。
また、溝8の断面形状(図2における断面形状)において、開口部分を除く部分の形状が円形状(円の一部)となっており、当該円の径が弾性環状部材9の横断面の径と略等しいものとなっている。そして、リップ部4の最外径部5は、シリンダ37の内径より少し大きく設定されているので、溝8のこの円の径が弾性環状部材9の横断面の径と同じかあるいは少し大きい場合でも、ピストン弁体1をシリンダ37内に挿入した際にリップ部4がピストン弁体1の径方向内側に押圧され、これにより弾性環状部材9が圧縮されるため、弾性環状部材9の弾性力によりリップ部4を径方向外側に押される。また、溝8のこの円の径が弾性環状部材9の横断面の径より少し小さい場合には、弾性環状部材9が溝8内に挿入された時点で既に圧縮された状態になっているので、リップ部4を径方向外側に押す弾性環状部材9の弾性力はこの分大きくなる。
【0046】
また、溝8の断面形状において、開口部側は、前記円の一部となる部分が半円以上となっていることにより、溝8の浅い部分で溝8の幅が弾性環状部材9の断面の径より狭くなっており、さらに開口部側の内周部分(図2において下側部分)が傾斜しておりこれにより前記狭い部分から開口端に向かうにつれて次第に溝8の幅が広くなり、溝8の開口端における幅は、弾性環状部材9の断面の径より僅かに広くなっている。
これにより、溝8の広い開口部側から弾性環状部材9を押し込むと、狭い部分で弾性環状部材9とピストン弁体1と(主に弾性環状部材9)が弾性変形しそして溝8の最深部まで入り込むことになる。この状態では、弾性環状部材9の横断面で最も幅が広くなった部分(横断面の中央部)が、溝8の幅が最も狭い部分よりも溝8の奥側に入り込み、弾性環状部材9が溝8から抜け出し難くなっている。
【0047】
溝8に弾性環状部材9が挿入され嵌合された状態では、リップ部4の最も外径が大きくなった最外径部5の軸方向に沿った位置と、弾性環状部材9の軸方向に沿った中央部(環全体の外径が最も大きくなった部分)の位置とがほぼ重なるようになっている。
【0048】
また、ピストン弁体1の前端部は、溝8により外周部10と内周部11とに分割された状態となっている。そして、外周面にリップ部4が形成された外周部10の前面より、内周部11の前面の方が前方に突出した状態となっており、ピストン弁体1において最も前側となる内周部11の前面が吸水工程においてストッパ63に当接し、外周面にリップ部4が構成された外周部10は、ストッパ63に当接することがないようになっている。すなわち、内周部11の前面が、リップ部4より前方に突出してストッパ63に当接可能な当接部12となる。
【0049】
そして、以上のようなピストン弁体1は、この例では、従来のNBR系ゴムよりも耐薬品性が高く、かつ、耐摩耗性も高い合成樹脂または合成ゴムで一体成形される。また、このようなピストン弁体1を構成する合成樹脂としては、たとえば、UHMW-PE(ultra-high-molecular
weight-polyethylene:超高分子量ポリエチレン)を用いることができる。
【0050】
また、この他にピストン弁体1として好適に用いられる合成樹脂としては、たとえば、PEEK(polyetheretherketone:ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、POM(polyacetal,
polyoxymethylene:ポリアセタール樹脂)などが挙げられる。
また、合成ゴムとして、たとえば、EPDM(ethylene
propylene diene monomer:エチレン−プロピレン−ジエンゴム)を用いることができる。
また、Oリングとしては、NBR系、EPDM系の各種合成ゴムからなるものを用いることができる。
【0051】
この強制弁式ピストンポンプにおいては、ピストンロッド32が上死点から下死点へと移動する吸水工程(図1において上側部分)では、ストッパ63にピストン弁体1の前面の当接部12が当接してピストン弁体1が下死点側に連行される。そして、ポンプ室38のピストン弁体1より前側の空間が容積を増大されて負圧となる。この負圧によりピストン弁体1より後側に流入していた使用液体は、ピストン弁体1と吸水弁座61との間の隙間69からピストン弁体1の内周面とカラー62の外周面との間の隙間67を通るとともに、最終的にストッパ63の通孔63aを通ってピストン弁体1の前側の空間に流れる。
【0052】
一方、ピストンロッド32が下死点から上死点へと移動する吐出工程(図1において下側部分)では、吸水弁座61にピストン弁体1の後面が当接し、吸水弁座61とピストン弁体1との間の隙間69が無くなって吸水弁が閉じた状態で、ピストン弁体1は上死点側に連行される。
これによりポンプ室38のピストン弁体1より前側の空間は加圧され、ここに流入した使用液体は吐出弁組立体73の吐出弁を開いて吐出口72から外部に送出される。また、ポンプ室38のピストン弁体1より後側の空間は容積を増大されて負圧となり、ここへ吸水口35から使用液体が流入する。
【0053】
このように構成された強制弁式ピストンポンプにあっては、従来の金属の弁体を使用せずに、弁体とピストンパッキンが一体に形成された合成樹脂または合成ゴムからなるピストン弁体1を用いているので、弁体およびピストンパッキンの機能を有するピストン弁体1の軽量化を図ることできる。
そして、ピストン弁体1を軽量化することで、ピストン弁体1が吸水弁座61やストッパ63に衝突した際の衝撃エネルギを低減することができる。これにより、ピストン弁体1、吸水弁座61、ストッパ63等の各部材に作用する衝撃力を低減でき、これらの部品の長寿命化を図ることができる。また、上記衝突により発生する動作音の音量を低減することが可能となり、低騒音化を図ることができる。
なお、弁体部分を金属製から合成樹脂製または合成ゴム製としても、軽量化に伴う衝撃力の低減により長期に渡って使用可能となる。
【0054】
また、強制弁式ピストンポンプの製造において、弁体にピストンパッキンを取り付ける工程がなくなるので、製造が簡略化され、製造コストを低減することができる。
また、弁体でピストンパッキンをかしめる必要がないので、ピストンパッキンの材質によって、問題が生じることがなく、ピストン弁体を目的に応じて多くの合成樹脂から選択可能となる。すなわち、従来のピストンパッキンよりも耐薬品性に優れたものや、その他の特性を有する合成樹脂を比較的自由に選択することができ、ポンプの使用用途を広げることができる。
また、従来、使用液体によっては、弁体として高価な金属を用いる必要がありコスト増の原因となったが、このピストン弁体1によれば、高価な金属より低価格な合成樹脂で対応可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0055】
また、ピストン弁体1の後面の外周縁側角部に後面取り部7を設けたことにより、ピストン弁体1の後面が吸水弁座61に衝突した際に、ピストン弁体1の後端部が径方向外側に広がるように変形したとしても、前記後面取り部7によりピストン弁体1の後端部が縮径された状態となっているので、変形部分がシリンダ37の内面に達することがなく、変形部分がシリンダ37の内面に当たって擦られて損傷するようなことを防止することができる。
【0056】
また、ピストン弁体1の前端部分の外周に径方向外側に突出するリップ部4を形成したことにより、組立時にピストン弁体1をシリンダ37内に挿入し難くなる可能性があるが、このピストン弁体1においては、ピストン弁体1の前面の外周縁側の角部に前面取り部6を形成したので、ピストン弁体1の前端部がシリンダ37の内径より小さくなるように縮径していることと、前側から後側に向かって次第に拡径する斜面が形成されることにより、ピストン弁体1をシリンダ37に挿入し易くすることができる。
【0057】
また、上述のようにピストン弁体1の前面がストッパ63に衝突する際に、ピストン弁体1のリップ部4から径方向内側に離れた内周部11の当接部12がストッパ63に当接するので、リップ部4が傷つくのを防止することができる。
【0058】
また、溝8に挿入されて嵌合している弾性環状部材9の弾性力によりリップ部4を外側のシリンダ37の内面(ポンプ室38の内周面)に押し付けた状態とすることが可能となり、ピストン弁体1のピストンパッキンとしてのシール性を向上することができる。すなわち、ピストン弁体1として、弾性変形しにくい合成樹脂等を用いる場合でも、シール性を確保することができ、高圧でも使用可能とすることができる。また、ピストン弁体1の外周に磨耗が生じ、ピストン弁体1のリップ部4の外径が小さくなるようなことがあっても、弾性環状部材9がリップ部4を径方向外側に押した状態となっているので、リップ部4に復元力を持たせることができ、シール性を維持することができる。これによって、ピストン弁体1の長寿命化を図ることができる。
【0059】
また、ピストン弁体1の前面に溝8を設けることにより、ピストン弁体1のリップ部4を有する前端部側の肉厚が薄くなり、外周部10および内周部11を径方向に変位し易くすることができるので、外周部10のリップ部4も径方向に変位しやすい状態となり、液体吐出時に、ピストン弁体1の前面側が高圧力状態となった際に、ピストン弁体1の外周部10が径方向に拡がり、リップ部4がシリンダ37の内面にさらに押し付けられてシール性を向上することができる。
また、上述のように径方向に変位しやすくなった外周部10にその内側の弾性環状部材9の弾性力によりばねとして作用させて、径方向外側に押してさらにシール性を向上する構造とすることができる。
【0060】
また、この例では、リップ部4の最も外径が大きくなった最外径部5の軸方向に沿った位置と、溝8に挿入された弾性環状部材9の軸方向に沿った中央部(環全体の外径が最も大きくなった部分)の位置とがほぼ重なるようになっており、リップ部4の最外径部5を弾性環状部材9の弾性力によりシリンダ37の内面に強く押しつけることが可能となる。
このように、リップ部4の最外径部5を局部的に強くシリンダ37の内面に押しつけることができるので、高圧に耐えうるシール性を実現することができるとともに、低粘度の液体を吐出する際に高速運転するのに適したポンプとすることできる。
【0061】
次に、図3は、本発明の第2の実施の形態に係るピストン弁体を示す断面図である。
このピストン弁体1Aは、図2の第1の実施形態に係るピストン弁体における溝8の深さと、弾性環状部材9の取り付け位置を変更したものであり、その他の構成および作用は第1の実施の形態と同様であるため、以下においては、第2の実施の形態の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図2と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0062】
このピストン弁体1Aと、第1の実施の形態のピストン弁体1との相違点は、ピストン弁体1Aの円環状の溝8Aがピストン弁体1の溝8より深く形成されていることであり、たとえば、溝8Aは、溝8A内にその一番深い位置まで挿入された弾性環状部材9と、リップ部4の最外径部5とが重ならない位置となっている。すなわち、弾性環状部材9は、リップ部4の最外径部5より後側でリップ部4に重なる位置に設けられることになる。
この溝8Aは、その断面形状(図3における断面形状)が、第1の実施の形態の開口部を除いて円状となっているのと異なり、ピストン弁体1Aの長さ方向に長く径方向に短い概略方形状となっており、その奥の角部が所定の曲率半径となる円弧状に形成され、角部にR(丸み)が付けられた状態となっている。また、溝8Aの開口部側の内周部分には、ピストン弁体1Aの径方向外側に少し突出する突起部15が形成されており、これにより溝8の幅がこの部分で少し狭くなって、弾性環状部材9が溝8Aから抜け出し難くなっている。
【0063】
このピストン弁体1Aでは、リップ部4の最外径部5から後側の傾斜部の傾斜角度が充分緩やかに形成されており、この傾斜部までシリンダ37の内径より少し大きく設定されている。したがって、溝8Aの幅(内外方向の長さ)が弾性環状部材9の横断面の径と同じかあるいは少し大きい場合でも、ピストン弁体1をシリンダ37内に挿入した際にリップ部4がピストン弁体1の径方向内側に押圧され、これにより弾性環状部材9が圧縮されるので、弾性環状部材9の弾性力によりリップ部4を径方向外側に押される。また、溝8の幅が弾性環状部材9の横断面の径より少し小さい場合には、弾性環状部材9が溝8内に挿入された時点で既に圧縮された状態になっているので、リップ部4を径方向外側に押す弾性環状部材9の弾性力はこの分大きくなる。
【0064】
なお、弾性環状部材9のピストン弁体1Aの軸方向に沿った位置と、リップ部4の最外径部5のピストン弁体1Aの軸方向に沿った位置とが完全に重ならない状態となる必要はなく、たとえば、第1の実施の形態の場合よりも、弾性環状部材9が後側に位置し、リップ部4の最外径部5の外径と、弾性環状部材9の最も太くなる位置(横断面の中央)が重なることなく、リップ部4の最外径部5より後側の傾斜の度合いが弾性環状部材9を入れる前より小さくなってリップ部4の最外径部5からその後側の傾斜部分までが第1の実施の形態より広い範囲に渡ってシリンダ37の内面(ポンプ室38の内周面)に押し付けられるようになっていればよい。
【0065】
このような強制弁式ピストンポンプにあっては、前述の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、リップ部4の最外径部5から後側の部分が比較的広い範囲に渡ってシリンダ37の内面(ポンプ室38の内周面)に押し付けられて接触する状態となるので、第1の実施の形態の場合よりも低圧な状態で使用されることになるが、高粘度の使用液体を低速、低圧で吐出することに優れたポンプとなる。なお、第1の実施の形態では、リップ部4の主に最外径部15とその近傍の狭い範囲だけが強くシリンダ37の内面に押し付けられることで、高圧な吐出に耐えられる状態となる。
【0066】
なお、前述の各実施の形態では、ピストン弁体の前面に周方向に沿った環状の溝を設け、当該溝に弾性環状部材を挿入して嵌合させる構造としたが、ピストン弁体に溝だけ設ける構成にしてもよいし、あるいは、溝および弾性環状部材を設けない構成としてもよい。
また、ピストン弁体にリップ部を設けない構成としてもよい。リップ部を設けない場合には、ピストン弁体の外周面の外径をシリンダ(ポンプ室)の内径より若干大きく設定し、ピストン弁体の外周面がシリンダの内面に押し付けられて接触するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る強制弁式ピストンポンプを示す要部断面図である。
【図2】前記強制弁式ピストンポンプのピストン弁体の上半分を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る強制弁式ピストンポンプのピストン弁体を示す要部断面図である。
【図4】従来の強制弁式ピストンポンプを示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A ピストン弁体
4 リップ部
5 最外径部
6 前面取り部
7 後面取り部
8,8A 溝
9 弾性環状部材
12 当接部
32 ピストンロッド(往復動部材)
38 ポンプ室
61 吸水弁座(弁座)
62 カラー(往復動部材)
63 ストッパ
63a 通孔(流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室(38)と、当該ポンプ室(38)内を往復動するとともに後端側が駆動部に連結された往復動部材(32,62)と、当該往復動部材(32,62)の前端側に設けられるとともに前後に液体を流すことが可能な流路(63a)を有するストッパ(63)と、当該ストッパ(63)との間に間隔をあけて前記往復動部材(32,62)の当該ストッパ(63)より後側に設けられる弁座(61)と、前記往復動部材(32,62)が挿入された状態で、当該往復動部材(32,62)の外周面との間に液体を流すことが可能な隙間(67)を有し、かつ、前記ストッパ(63)と前記弁座(61)との間に前記往復動部材(32,62)の軸方向に沿って移動自在に設けられた環状の弁体と、当該弁体の外周側に設けられ前記ポンプ室(38)内周面を摺動するピストンパッキンとを備えた強制弁式ピストンポンプにおいて、前記弁体と前記ピストンパッキンが一体に合成樹脂または合成ゴムにより形成されてピストン弁体(1,1A)とされていることを特徴とする強制弁式ピストンポンプ。
【請求項2】
前記ピストン弁体(1,1A)の外周面の前部に当該ピストン弁体(1,1A)の周方向に沿って径方向外側に突出するリップ部(4)が設けられ、前記ピストン弁体(1,1A)の前面に環状の溝(8,8A)が形成され、当該溝(8,8A)に弾性環状部材(9)が挿入されて嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の強制弁式ピストンポンプ。
【請求項3】
前記リップ部(4)の最も外径が大きくなる最外径部(5)と前記弾性環状部材(9)とが重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の強制弁式ピストンポンプ。
【請求項4】
前記リップ部(4)の前記最外径部(5)より後側の部分と前記弾性環状部材(9)とが重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の強制弁式ピストンポンプ。
【請求項5】
前記ピストン弁体(1,1A)の後面の外周縁側の角部が面取りされていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の強制弁式ピストンポンプ。
【請求項6】
前記ピストン弁体(1,1A)の前面の外周縁側の角部が面取りされていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の強制弁式ピストンポンプ。
【請求項7】
前記ピストン弁体(1,1A)の前面に、前記リップ部(4)より前方に突出する当接部(12)が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の強制弁式ピストンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−243451(P2009−243451A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94514(P2008−94514)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】