説明

強力なアポトーシス活性および抗腫瘍活性を示すターゲティング化インターフェロン

本発明は、癌に対して著しい効力を示す新規なキメラ成分を提供する。特定の実施形態において、キメラ成分は、インターフェロンに付着したターゲティング部分を含む。特定の実施形態において、キメラ成分は、癌マーカーに特異的に結合する抗体がインターフェロンα(IFN-α)に融合している融合タンパク質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられている、2007年9月21日に出願された米国特許出願第60/994,717号の優先権および恩典を主張する。
【0002】
政府支援の言明
本発明は、National Institute of Healthにより授与された認可番号CA87990による政府支援でなされた。政府は本発明に権利を有する。
【0003】
本発明は腫瘍学の分野に関する。著しい抗癌活性を有するキメラ構築物が提供される。
【背景技術】
【0004】
腫瘍関連抗原(TAA)(Hroudaら、(1999) Semin. Oncol. 26:455〜471頁)に対する自発免疫応答を検出することができるが(Disisら、(1997) J. Clin. Oncol. 15:3363〜3367頁)、疾患を引き起こす悪性細胞は、拒絶へと導く免疫応答を誘発することはできない。サイトカインなどの免疫賦活分子および同時刺激分子を導入することによって腫瘍細胞の免疫原性を増強することは可能であることを多くの研究が実証している(DranoffおよびMulligan (1995) Adv. Immunol. 58:417〜454頁;Hroudaら、(1999) Semin. Oncol. 26:455〜471頁;Hurfordら、(1995) Nat. Genet. 10:430〜435頁);しかしながら、効果的な遺伝子導入はまだなお課題になっている。加えて、残存する癌細胞の根絶は、直接的遺伝子導入を利用しにくい、広く散在した微小転移性腫瘍沈着物のターゲティングを必要とする場合がある。
【0005】
自然免疫応答および適応免疫応答の両方が、感染性病原体および腫瘍から防御するのに不可欠である。自然免疫と適応免疫の間のクロストークは、細胞とサイトカインの間の相互作用によって制御されている。自然免疫系の細胞によって産生されるサイトカインは、適応免疫応答の細胞を直接的または間接的に活性化することができ、防御抗腫瘍免疫を誘発するのに重要な役割を果たすことができる(BelardelliおよびFerrantini (2002) Trends Immunol. 23:201〜208頁)。自然免疫系の活性化の中心となるのは、IFN-α、TNF-α、およびIL-1などの炎症性サイトカインの放出を引き起こす細菌産物または「危険」シグナルの検出である。
【0006】
IFN-αは、強力な抗ウイルス活性および免疫調節活性を有する炎症性サイトカインであり、樹状細胞(DC)の分化および活性の刺激物質である(Santiniら、(2000) J. Exp. Med. 191:1777〜1788頁)。I型IFN(IFN-αおよびIFN-β)は、免疫応答へ複数の効果を生じる(Theofilopoulosら、(2005) Annu. Rev. Immunol. 23:307〜336頁)。IFN-αは、特定の抗原に応答して、Th1細胞の分化(Finkelmanら、(1991) J. Exp. Med. 174:1179〜1188頁)およびCD8+ T細胞の長期生存(Toughら、(1996) Science 272:1947〜1950頁)において役割を果たす。
【0007】
複数の研究により、IFNがまた、動物モデル(Ferrantiniら、(1994) J. Immunol. 153:4604〜4615頁)および癌患者(14. Guttermanら、(1980) Ann. Intern. Med. 93:399〜406頁)の両方において抗腫瘍効果を発揮する能力もあることが示されている。適応抗腫瘍免疫応答を増強することに加えて、IFN-αが、腫瘍細胞において、腫瘍抑制遺伝子P53の発現を増加させ(Takaokaら、(2003) Nature 424:516〜523頁)、血管新生を抑制し(SidkyおよびBorden (1987) Cancer Res. 47:5155〜5161頁)、アポトーシスを刺激する(Rodriguez-VillanuevaおよびMcDonnell (1995) Int. J. Cancer 61:110〜11417頁)ことができる。これらの性質は、IFN-αが癌の処置に効果的な治療用物質であることを示唆するが、その短い半減期および全身毒性がその使用を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第60/994,717号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0193569 A1号
【特許文献3】米国特許第4,474,893号
【特許文献4】米国特許第6,512,097号
【特許文献5】米国特許第5,977,322号
【特許文献6】PCT公開WO 97/00271
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0099205 A1号
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0071696 A1号
【特許文献9】米国特許第5,091,513号
【特許文献10】米国特許第5,132,405号
【特許文献11】米国特許第4,956,778号
【特許文献12】米国特許第5,772,997号
【特許文献13】米国特許第5,770,195号
【特許文献14】米国特許第5,677,171号
【特許文献15】米国特許第5,976,531号
【特許文献16】米国特許第5,844,093号
【特許文献17】米国特許第5,558,864号
【特許文献18】欧州特許第706,799A号
【特許文献19】PCT公開WO 2007/059782
【特許文献20】米国特許第5,831,012号
【特許文献21】米国特許第6,365,408号
【特許文献22】米国特許第4,659,839号
【特許文献23】欧州特許出願第188,256号
【特許文献24】米国特許第4,671,958号
【特許文献25】米国特許第4,659,839号
【特許文献26】米国特許第4,414,148号
【特許文献27】米国特許第4,699,784号
【特許文献28】米国特許第4,680,338号
【特許文献29】米国特許第4,569,789号
【特許文献30】米国特許第4,589,071号
【特許文献31】米国特許第4,545,985号
【特許文献32】米国特許第4,894,443号
【特許文献33】米国特許第4,458,066号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hroudaら、(1999) Semin. Oncol. 26:455〜471頁
【非特許文献2】Disisら、(1997) J. Clin. Oncol. 15:3363〜3367頁
【非特許文献3】DranoffおよびMulligan (1995) Adv. Immunol. 58:417〜454頁
【非特許文献4】Hurfordら、(1995) Nat. Genet. 10:430〜435頁
【非特許文献5】BelardelliおよびFerrantini (2002) Trends Immunol. 23:201〜208頁
【非特許文献6】Santiniら、(2000) J. Exp. Med. 191:1777〜1788頁
【非特許文献7】Theofilopoulosら、(2005) Annu. Rev. Immunol. 23:307〜336頁
【非特許文献8】Finkelmanら、(1991) J. Exp. Med. 174:1179〜1188頁
【非特許文献9】Toughら、(1996) Science 272:1947〜1950頁
【非特許文献10】Ferrantiniら、(1994) J. Immunol. 153:4604〜4615頁
【非特許文献11】Guttermanら、(1980) Ann. Intern. Med. 93:399〜406頁
【非特許文献12】Takaokaら、(2003) Nature 424:516〜523頁
【非特許文献13】SidkyおよびBorden (1987) Cancer Res. 47:5155〜5161頁
【非特許文献14】Rodriguez-VillanuevaおよびMcDonnell (1995) Int. J. Cancer 61:110〜11417頁
【非特許文献15】Fundamental Immunology、W.E. Paul編、Raven Press、N.Y. (1993)
【非特許文献16】Kranzら、(1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78:5807頁
【非特許文献17】Kabatら、Sequences of proteins of immunological interest、第4版、U.S. Dept. Health and Human Service、Public Health Services、Bethesda、MD (1987)
【非特許文献18】Hustonら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、85:5879〜5883頁(1988)
【非特許文献19】Craggら、(2005) Curr. Dir. Autoimmun.、8:140〜174頁
【非特許文献20】Tobiら、(1998) Cancer Detection and Prevention、22(2):147〜152頁
【非特許文献21】Liら、(1989) Cell. Immunol. 111:85〜99頁
【非特許文献22】Masonら、(1987) Blood 69:836〜40頁
【非特許文献23】Behrら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:3304s〜3314s頁
【非特許文献24】Bonardiら、(1993) Cancer Res. 53:3015〜3021頁
【非特許文献25】Kossmanら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:2748〜2755頁
【非特許文献26】Sieversら、(1999) Blood 93:3678〜3684頁
【非特許文献27】Ellisら、(1995) J. Immunol. 155:925〜937頁
【非特許文献28】Fornierら、(1999) Oncology(Huntingt) 13:647〜58頁
【非特許文献29】Rosenblumら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:865〜874頁
【非特許文献30】Maierら、(1991) Cancer Res. 51:5361〜5369頁
【非特許文献31】Petersonら、(1997) Cancer Res. 57:1103〜1108頁
【非特許文献32】Ozzelloら、(1993) Breast Cancer Res. Treat. 25:265〜276頁
【非特許文献33】Van Hofら、(1996) Cancer Res. 56:5179〜5185頁
【非特許文献34】Pavlinkovaら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:2613〜2619頁
【非特許文献35】Divgiら、(1994) Nucl. Med. Biol. 21:9〜15頁
【非特許文献36】Onoら、(1999) Mol. Immunol. 36:387〜395頁
【非特許文献37】Schierら、(1996) J Mol Biol 255: 28〜43頁
【非特許文献38】Schierら、(1996) JMoI Biol 263: 551〜567頁
【非特許文献39】Kolfschotenら、(2007) Science 317:1554〜1557頁
【非特許文献40】Nordら、(1997) Nat. Biotechnol. 15:772〜777頁
【非特許文献41】Ronmarkら、(2002) Eur. J. Biochem. 269:2647〜2655頁
【非特許文献42】Borlinghausら、(1987) Cancer Res. 47:4071〜4075頁
【非特許文献43】「Monoclonal Antibody-Toxin Conjugates: Aiming the Magic Bullet」、Thorpeら、Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine、Academic Press、168〜190頁(1982)
【非特許文献44】Waldmann (1991) Science 252:1657頁
【非特許文献45】Narangら、(1979) Meth. Enzymol. 68:90〜99頁
【非特許文献46】Brownら、(1979) Meth. Enzymol. 68:109〜151頁
【非特許文献47】Beaucageら、(1981) Tetra. Lett. 22:1859〜1862頁
【非特許文献48】R. Scopes (1982) Protein Purification、Springer-Verlag、N.Y.
【非特許文献49】Deutscher (1990) Methods in Enzymology 182巻: Guide to Protein Purification、Academic Press, Inc. N.Y.
【非特許文献50】Debinskiら、(1993) J. Biol. Chem.、268:14065〜14070頁
【非特許文献51】KreitmanおよびPastan (1993) Bioconjug. Chem. 4:581〜585頁
【非特許文献52】Buchnerら、(1992) Anal. Biochem. 205: 263〜270頁
【非特許文献53】March (1992) Advanced Organic Chemistry; Reactions, Mechanisms and Structure、第4版、N.Y. Wiley-Interscience
【非特許文献54】Tracy (1998) Biotechnol. Prog. 14:108頁
【非特許文献55】Johnsonら、(1996) Nature Med. 2:795頁
【非特許文献56】Herbertら、(1998) Pharmaceut. Res. 15:357頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
様々な実施形態において、本発明は、インターフェロンをターゲティング部分(例えば、細胞上または細胞に会合したマーカーを特異的および/または優先的に結合する分子)に付着させることが、インターフェロンの治療効力を実質的に向上させ、かつ全身毒性を低減すると考えられるという発見に関する。したがって、様々な実施形態において、本発明は、ターゲティング部分に付着したインターフェロンを含む構築物、ならびに特異的および/または優先的に特定の標的細胞(例えば、癌細胞)の成長もしくは増殖を抑制し、さらにはそれらを死滅させるための、そのような構築物の使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、特定の実施形態において、腫瘍関連抗原(TAA)に結合するターゲティング部分に付着したインターフェロン(例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγなど)を含むキメラ構築物であって、腫瘍細胞に接触すると、腫瘍細胞の死滅、または成長もしくは増殖の抑制をもたらすキメラ構築物が提供される。特定の実施形態において、細胞表面マーカーまたは細胞会合型マーカーに結合するターゲティング部分に付着したインターフェロンを含むキメラ構築物であって、そのターゲティング部分が、(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーによってインターフェロンに付着していない、キメラ構築物が提供される。様々な実施形態において、インターフェロンは1型インターフェロンである。様々な実施形態において、インターフェロンは2型インターフェロンである。様々な実施形態において、インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンβ、またはインターフェロンγである。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、腫瘍関連抗原を結合する抗体である。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、インターフェロンに化学結合している。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、ペプチドリンカーでインターフェロンに連結している。特定の実施形態において、ペプチドリンカーは、長さが15個未満、14個未満、12個未満、11個未満、10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、3個未満、または2個未満のアミノ酸である。特定の実施形態において、リンカーは、長さが1 5個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個のアミノ酸である。特定の実施形態において、リンカーは(Gly4Ser)3(配列番号31)ではない。特定の実施形態において、リンカーは、タンパク質分解に抵抗性、または実質的に抵抗性であるリンカーである。特定の実施形態において、ペプチドリンカーはGly4Ser(配列番号32)である。特定の実施形態において、リンカーは、Table 2(表2)に見出されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。特定の実施形態において、構築物は、組換え発現した融合タンパク質である。特定の実施形態において、抗体は、EGFR、HER4
、HER3、HER2/neu、MUC-1、G250、メソテリン、gp100、チロシナーゼ、およびMAGEからなる群から選択されるマーカーを特異的に結合する。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、CD20を結合する抗体である。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、抗CD20(リツキシマブ)、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブ、AME-133v、オクレリズマブ、オファツムマブ、TRU-015、IMMU-106などからなる群から選択される抗体由来のCDRおよび/または可変領域を含む一本鎖抗体である。様々な実施形態において、ターゲティング部分は、HER2を結合する抗体である。特定の実施形態において、抗体はC6抗体である。特定の実施形態において、抗体は、C6MH3-B1のVH CDRおよびVL CDR、またはVHドメインおよびVLドメインを含む。様々な実施形態において、抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG3など)、IgE、一本鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab')2、(scFv)2などである。特定の実施形態において、抗体は、Rituxan、IF5、B1、1H4、CD19、B4、B43、FVS191、hLL2、LL2、RFB4、M195、HuM195、AT13/5、HERCEPTIN(登録商標)、4D5、HuCC49、HUCC39ΔCH2 B72.3、12C10、IG5、H23、BM-2、BM-7、12H12、MAM-6、およびHMFG-1からなる群から選択される抗体である。特定の実施形態において、抗体は、EGF受容体ファミリーのメンバーを結合する抗体である。特定の実施形態において、抗体は、C6.5、C6ML3-9、C6MH3-B1、C6-B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7からなる群から選択される。特定の実施形態において、構築物は、インターフェロンに付着した抗HER2 IgG1抗体を含む。
【0012】
薬学的製剤もまた提供される。様々な実施形態において、この製剤は、ターゲティング部分に付着したインターフェロンを含むキメラ構築物を含む。特定の実施形態において、キメラ構築物は、上記(および/または下記)の構築物(例えば、抗CD20-インターフェロン、および抗HER2-インターフェロンなど)を含む。特定の実施形態において、製剤は、単位用量製剤である。特定の実施形態において、製剤は、非経口投与用に製剤化されている。特定の実施形態において、製剤は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、直接腫瘍投与、吸入、直腸内投与、膣内投与、経皮投与、および皮下デポー投与からなる群から選択される経路による投与用に製剤化されている。
【0013】
様々な実施形態において、癌細胞の成長および/または増殖を抑制するための方法が提供される。この方法は、典型的には、癌細胞を本明細書に記載のキメラ構築物と接触させる段階を含む。特定の実施形態において、癌細胞は転移細胞であり、および/または細胞は固形腫瘍内にある。特定の実施形態において、癌細胞は乳癌細胞である。特定の実施形態において、癌細胞はB細胞リンパ腫である。特定の実施形態において、癌細胞は、B細胞リンパ腫、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頚癌、黒色腫、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、胆道癌、小腸癌または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、精巣癌、および悪性線維性組織球腫からなる群から選択される癌によって産生される細胞である。様々な実施形態において、接触段階は、キメラ成分を哺乳動物に全身性に投与する段階を含む。特定の実施形態において、接触させる段階は、キメラ成分を腫瘍部位に直接的に投与する段階を含む。特定の実施形態において、接触段階は、キメラ成分の静脈内投与を含む。特定の実施形態において、癌細胞は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物の癌細胞である。
【0014】
特定の実施形態において、本明細書に記載のキメラ構築物をコードする核酸が提供される。様々な実施形態において、この核酸は、抗EGFRファミリーメンバー抗体、抗HER2抗体、抗C6一本鎖抗体、または抗CD20一本鎖抗体に付着したインターフェロンを含む融合タンパク質をコードする。様々な実施形態において、この核酸によってコードされるインターフェロンは、I型インターフェロンである。特定の実施形態において、インターフェロンはIFN-αまたはインターフェロンβである。様々な実施形態において、核酸は、C6MH3-B1のVH CDRおよびVL CDRを含む抗体をコードする。様々な実施形態において、核酸は、抗体をインターフェロンに付着させる(例えば、本明細書に記載されているような)ペプチドリンカーをコードする。特定の実施形態において、核酸は、抗CD20(リツキシマブ)についてのCDRおよび/または可変領域をコードする。
【0015】
キメラ構築物をコードする上記の核酸を含む細胞もまた提供される。特定の実施形態において、細胞はキメラ構築物を発現する。
【0016】
様々な実施形態において、本発明は、癌細胞の成長および/または増殖を抑制するための医薬の製造における本明細書に記載のキメラ構築物の使用を提供する。
【0017】
特定の実施形態において、本発明の方法および構築物は、具体的には、米国特許出願公開第2002/0193569 A1号に開示された抗体のいずれかを用いる構築物を排除する。特定の実施形態において、本発明の方法および構築物は、具体的には、抗CD20抗体を組み入れた構築物を排除する。特定の実施形態において、本発明の方法および構築物は、具体的には、以下の標的のいずれかに結合する抗体を組み入れた構築物を排除する:CD19、CD20、CD22、CD33、CD38、EGF-R、HM1.24、ホスファチジルセリン抗原、HER-2、TAG-72、および/またはMUC-1。特定の実施形態において、本明細書に記載の構築物は、多発性硬化症、HCV媒介性血管炎など病態の処置に用いることができる。
【0018】
定義
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを示すのに本明細書で交換可能に用いられる。それらの用語は、天然アミノ酸ポリマーだけでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。その用語はまた、ポリペプチドを構成するアミノ酸を連結する伝統的なペプチド結合に関する変異体を含む。好ましい「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、α炭素がペプチド結合を通して連結しているアミノ酸の鎖である。それゆえに、鎖の一方の端における末端アミノ酸(アミノ末端)は、遊離アミノ基を有し、一方、鎖の他方の端における末端アミノ酸(カルボキシ末端)は遊離カルボキシル基を有する。本明細書に用いられる場合、用語「アミノ末端」(N末端と略される)は、ペプチドのアミノ末端におけるアミノ酸上の遊離α-アミノ基、またはペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のα-アミノ基(ペプチド結合に関与する場合、イミノ基)を指す。同様に、用語「カルボキシ末端」は、ペプチドのカルボキシ末端上の遊離カルボキシル基、またはペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のカルボキシル基を指す。ペプチドとしてはまた、本質的にいかなるポリアミノ酸も挙げられ、それらには、アミド結合に対立するものとしてエーテルによって連結されたアミノ酸などのペプチド模倣体が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0019】
本明細書に用いられる場合、「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質を指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子として、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに種々の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、κかまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、それらは次に、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。
【0020】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖ペアで構成され、各ペアが1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、軽鎖および重鎖のこれらの領域を指す。
【0021】
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼでの消化により生じた、もしくは新規に発現した、いくつかの十分特徴づけられている断片として存在する。このように、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合より下で抗体を消化して、F(ab')2、すなわち、それ自体、ジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体を生じる。F(ab')2を、穏やかな条件下で還元してヒンジ領域内のジスルフィド結合を切断し、それにより、F(ab')2二量体をFab'単量体に変換することができる。Fab'単量体は、本質的に、ヒンジ領域の部分を有するFabである(他の抗体断片のより詳細な記載については、Fundamental Immunology、W.E. Paul編、Raven Press、N.Y. (1993)を参照)。様々な抗体断片が無傷抗体の消化によって定義されるが、当業者は、そのようなFab'断片を、化学的にかまたは組換えDNA方法を利用することによるかのいずれかで新規に合成できることは理解されよう。したがって、本明細書に用いられる場合、抗体という用語はまた、抗体全体の改変によって生じたか、または組換えDNA方法を用いて新規に合成されたかのいずれかの抗体断片を含み、それらには、Fab'2、IgG、IgM、IgA、IgE、scFv、dAb、ナノボディ、UniBody、およびダイアボディが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。様々な実施形態において、好ましい抗体として、Fab'2、IgG、IgM、IgA、IgE、および一本鎖抗体、より好ましくは、可変重鎖と可変軽鎖が(直接的に、またはペプチドリンカーを通して)連結して連続的なポリペプチドを形成している一本鎖Fv(scFv)抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0022】
特定の実施形態において、本発明の構築物に用いられる抗体および断片は、二重特異性であり得る。二重特異性抗体または断片は、いくつかの立体配置をとり得る。例えば、二重特異性抗体は、単一の抗体(または抗体断片)に似ているが、2つの異なる抗原結合部位(可変領域)を有することができる。様々な実施形態において、二重特異性抗体は、化学的技術(Kranzら、(1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78:5807頁)、「ポリドーマ」技術(例えば、米国特許第4,474,893号)、または組換えDNA技術によって作製することができる。特定の実施形態において、本発明の二重特異性抗体は、少なくとも1つが腫瘍関連抗原である少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有し得る。様々な実施形態において、抗体および断片はまた、異種抗体であり得る。異種抗体は、各抗体または各断片が異なる特異性を有する、共に連結された2個以上の抗体または抗体結合断片(例えば、Fab)である。
【0023】
「抗原結合部位」または「結合部」とは、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成されている。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの非常に多岐にわたるひと続きは、「超可変領域」と呼ばれ、それらは、「フレームワーク領域」または「FR」として知られたより高度に保存された隣接のひと続きの間に挿入されている。したがって、用語「FR」は、天然では、免疫グロブリン内の超可変領域の間で、かつそれらに隣接して見出されるアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、3次元空間でお互いに対して配置され、抗原結合「表面」を形成する。この表面は、標的抗原の認識および結合を媒介する。重鎖および軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれ、例えば、Kabatら、Sequences of proteins of immunological interest、第4版、U.S. Dept. Health and Human Service、Public Health Services、Bethesda、MD (1987)によって特徴づけられている。
【0024】
用語「インターフェロン」は、完全長インターフェロン、または完全長野生型インターフェロンの生物活性を実質的に保持する(例えば、完全長抗体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、98%、または99%を保持する)インターフェロン断片(切断型インターフェロン)もしくはインターフェロン突然変異体を指す。インターフェロンには、I型インターフェロン(例えば、インターフェロンαおよびインターフェロンβ)、およびII型インターフェロン(例えば、インターフェロンγ)が挙げられる。インターフェロン(例えば、IFN-α)は、本質的に任意の哺乳動物種由来であり得る。特定の好ましい実施形態において、インターフェロンは、ヒト、ウマ、ウシ、齧歯類、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、マウス、ヤギ、ヒツジ、非ヒト霊長類などからなる群から選択される種由来である。様々な実施形態において、突然変異型インターフェロンは、1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含む。
【0025】
抗HER2/neu抗体は、HER2/neu受容体を特異的または優先的に結合する抗体である。
【0026】
本明細書に用いられる場合、用語「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物を指し、非ヒト動物としては、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、またはサルが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0027】
本明細書に用いられる場合、用語「C6抗体」は、C6.5に由来する抗体を指し、C6.5の配列は、例えば、米国特許第6,512,097号および第5,977,322号、ならびにPCT公開WO 97/00271に明確に提供されている。C6抗体は、好ましくは、HER2/neuについて約1.6×10-8またはそれ以上の結合親和性を有する。特定の実施形態において、C6抗体は、既知のC6可変重(VH)鎖が非常に多数の可変軽(VL)鎖と組み合わされて発現している、または逆に、既知のC6可変軽鎖が非常に多数の可変重(VH)鎖と組み合わされて発現しているファージディスプレイライブラリーを(c-erbB-2/HER2/neuへの親和性について)スクリーニングすることによって導かれる。C6抗体にはまた、例えば、米国特許第6,512,097号および第5,977,322号、ならびにPCT公開WO 97/00271に記載されているような、可変重鎖または可変軽鎖の相補性決定領域(CDR1、CDR2、またはCDR3)への突然変異の導入によって作製される抗体も挙げられる。加えて、C6抗体には、C6.5およびその誘導体に適用されるようなこれらの改変方法の任意の組合せによって作製される抗体が挙げられる。
【0028】
「抗EGFRファミリー抗体」とは、上皮成長因子受容体ファミリーのメンバーへ特異的に結合する抗体(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)とも名付けられたErbB-1、ヒトにおいてはHER2、齧歯類においてはneuとも名付けられたErbB-2、HER3とも名付けられたErB-3、および/またはHER4とも名付けられたErbB-4に結合する抗体)を指す。例示的な抗EGFRファミリー抗体として、C6.5、C6ML3-9、C6MH3-B1、C6-B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7などの抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない(例えば、参照により本明細書に組み入れられている、米国特許出願公開第2006/0099205 A1号およびUS 2004/0071696 A1号参照)。
【0029】
一本鎖Fv(「sFv」または「scFv」)ポリペプチドは、共有結合したVH:VLヘテロ二量体であり、それは、特定の実施形態において、直接連結されているか、またはペプチドをコードするリンカーによって連結されているかのいずれかのVHコード配列およびVLコード配列を含む核酸から発現してもよい。Hustonら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、85:5879〜5883頁(1988)。抗体V領域由来の天然では凝集しているが、化学的に分離される軽鎖および重鎖ポリペプチドを、抗原結合部位の構造に実質的に類似した3次元構造へ折り畳まれるsFv分子へ変換するためのいくつかの構造。例えば、米国特許第5,091,513号および第5,132,405号および第4,956,778号参照。
【0030】
「CD20」は、成熟B細胞の表面上に発現した非グリコシル化リンタンパク質である(例えば、Craggら、(2005) Curr. Dir. Autoimmun.、8:140〜174頁参照)。それはまた、B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病、皮膚/黒色腫癌幹細胞上などにも見出される。
【0031】
癌細胞の「成長および/または増殖の抑制」という句は、癌細胞の成長速度および/または増殖速度の減少を指す。特定の実施形態において、これは、(例えば、アポトーシスによる)癌細胞の死を含む。特定の実施形態において、この用語はまた、固形腫瘍の成長および/もしくは増殖を抑制すること、ならびに/または腫瘍サイズ低減もしくは腫瘍の消失を誘導することも指す。
【0032】
用語「癌マーカー」は、癌細胞上に独占的に、もしくは優先的に、もしくは示差的に発現し、および/または癌細胞に会合して見出され、それにより、癌に優先的な、または特異的なターゲットを提供する、タンパク質、糖質、糖タンパク質などの生体分子を指す。様々な実施形態において、優先的な発現は、生物体におけるいずれの他の細胞と比較しても優先的な発現、または生物体の特定の領域内(例えば、特定の器官または組織内)での優先的な発現であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。抗HER2/neu IgG3重鎖-IFN-α(配列番号1)および抗HER2/neu IgG3軽鎖(配列番号2)についてのアミノ酸配列を示す図である。一重下線はリンカーであり、二重下線はマウスIFN-αであり、下線なしは抗HER2/neuである。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1B】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20軽鎖の核酸配列(配列番号3)、アミノ酸配列(配列番号4)を示す図である。
【図1C−1】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG3-muIFNα Gly4Serリンカーの核酸配列(配列番号5)、アミノ酸配列(配列番号6)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1C−2】図1C−1の続きである。
【図1D−1】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG3-muIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号7)、アミノ酸配列(配列番号8)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1D−2】図1D−1の続きである。
【図1E−1】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG3-huIFNα Gly4Serリンカーの核酸配列(配列番号9)、アミノ酸配列(配列番号10)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1E−2】図1E−1の続きである。
【図1F−1】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG3-huIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号11)、アミノ酸配列(配列番号12)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1F−2】図1F−1の続きである。
【図1G】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG1-muIFNα Gly4Serリンカーの核酸配列(配列番号13)、アミノ酸配列(配列番号14)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1H】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG1-muIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号15)、アミノ酸配列(配列番号16)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1I】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG1-huIFNα Gly4Serリンカーの核酸配列(配列番号17)、アミノ酸配列(配列番号18)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1J】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αCD20-IgG1-huIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号19)、アミノ酸配列(配列番号20)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1K】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αHer2/neu軽鎖の核酸配列(配列番号21)、アミノ酸配列(配列番号22)を示す図である。
【図1L】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αHer2/neu-IgG1-muIFNα GlySerリンカーの核酸配列(配列番号23)、アミノ酸配列(配列番号24)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1M】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αHer2/neu-IgG1-muIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号25)、アミノ酸配列(配列番号26)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1N】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αHer2/neu-IgG1-huIFNα GlySerリンカーの核酸配列(配列番号27)、アミノ酸配列(配列番号28)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図1o】本明細書に記載の様々な構築物についての核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。αHer2/neu-IgG1-huIFNα αヘリックスリンカーの核酸配列(配列番号29)、アミノ酸配列(配列番号30)を示す図である。この図における構築物は特定のリンカーに関して示されているが、特定の実施形態において、本明細書に記載されているように、他のリンカーがそれらと置換できることは理解されよう。
【図2A】抗HER2/neu IgG3-IFN-αの構築および特徴づけを示す図である。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの概略図である。黒色べた領域は抗HER2/neu可変領域を表す。白抜き領域は、ヒトIgG3およびκ定常領域を表す。白色円領域はマウスIFN-αを表す。
【図2B】抗HER2/neu IgG3-IFN-αの構築および特徴づけを示す図である。非還元条件(レーン1〜3)または還元条件(レーン4〜6)下での、精製された抗HER2/neu-IgG3(レーン1および4)、IgG3-IFN-α(レーン2および5)、および抗HER2/neu-IgG3-IFN-α(レーン3および6)のSDS-PAGEを示す図である。分子量マーカータンパク質は、各ゲルの左側に示されている。
【図2C】抗HER2/neu IgG3-IFN-αの構築および特徴づけを示す図である。抗HER2/neu-IgG3および抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、HER2/neuを結合する。高レベルのヒトHER2/neuを発現するマウス結腸細胞系CT26/HER2を、ヘパリン有りまたは無しで、抗HER2/neu-IgG3、IgG3-IFN-α、または抗HER2/neu-IgG3-IFN-αと反応させ、続いて、PE標識ウサギ抗ヒトIgGと反応させた。破線は、組換えタンパク質の添加なしでの細胞からのシグナルを表す。
【図2D】抗HER2/neu IgG3-IFN-αの構築および特徴づけを示す図である。IFN-α基準および種々のIFN-α融合タンパク質のVSVに対する防御活性を示す図である。100μlにおける1UのIFN-α基準、0.21ng(10pM)の抗HER2/neu-IgG3-IFN-α、0.21ng(10pM)のIgG3-IFN-α、または0.17ng(10pM)の抗HER2/neu-IgG3の希釈溶液を調製し、L-929細胞に加えた。24時間のインキュベーション後、4000PFUのVSVを加えた。48時間後、生存細胞を、クリスタルバイオレット色素で染色し、メタノールで溶解し、可溶化された色素をELISAリーダーを用いて570nmで検出した。
【図3A】種々のIFN-α融合タンパク質およびrIFN-αのインビボ抗腫瘍活性を示す図である。C3H/HeNマウスに1×103個の38C13/HER2細胞を皮下に投与し、腫瘍負荷後1日目、3日目、および5日目、2.5μgの示されたタンパク質での処置を腹腔内に施した。各マウスの腫瘍容積を測定する。皮下腫瘍の直径が15mmに達するまで動物を観察した。
【図3B】種々のIFN-α融合タンパク質およびrIFN-αのインビボ抗腫瘍活性を示す図である。C3H/HeNマウスに1×103個の38C13/HER2細胞を皮下に投与し、腫瘍負荷後1日目、3日目、および5日目、1μgの示されたタンパク質での処置を腹腔内に施した。各マウスの腫瘍容積を測定する。皮下腫瘍の直径が15mmに達するまで動物を観察した。
【図4A】IgG3のIFN-αへの融合がその抗腫瘍活性を向上させ、そのインビボ半減期を増加させたことを示す図である。マウスを、腫瘍負荷後1日目および3日目に、9600UのrIFN-αまたは9600U(4μg)のIgG3-IFN-αで処置した。動物を生存について追跡し、皮下腫瘍の直径が15mmに達した時、屠殺した。
【図4B】IgG3のIFN-αへの融合がその抗腫瘍活性を向上させ、そのインビボ半減期を増加させたことを示す図である。3匹のC3H/HeNマウスの群に、66μCiの125I標識rIFN-α、IgG3-IFN-α、または抗HER2/neu-IgG3-IFN-αを腹腔内に注射した。125I標識タンパク質の注射後の様々な間隔において、残存放射能を、マウス全身カウンターを用いて測定した。結果は、3匹のマウスの平均を表す。バーはSDを示す。
【図5A】IFN-α融合タンパク質は、インビトロで38C13/HER2細胞において、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導したことを示す図である。IFN-α融合タンパク質は腫瘍細胞増殖を抑制した。異なる用量の異なる融合タンパク質との48時間のインキュベーション後、生存可能な38C13/HER2細胞を、MTSアッセイを用いて測定した。これらの実験を3連で3回、行った;誤差バーは測定値のSDを示す。
【図5B】IFN-α融合タンパク質は、インビトロで38C13/HER2細胞において、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導したことを示す図である。IFN-α融合タンパク質は腫瘍細胞増殖を抑制した。異なる用量の異なる融合タンパク質との48時間のインキュベーション後、生存可能な38C13細胞を、MTSアッセイを用いて測定した。これらの実験を3連で3回、行った;誤差バーは測定値のSDを示す。
【図5C】IFN-α融合タンパク質は、インビトロで38C13/HER2細胞において、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導したことを示す図である。IFN-α融合タンパク質は、38C13/HER2細胞においてアポトーシスを誘導する。簡単には、1×106個の38C13/HER2細胞を1nMの示されたタンパク質と72時間、インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、Alexa Fluor 488、アネキシンV、およびPIで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各象限に位置する細胞のパーセンテージは角に示されている。
【図5D】IFN-α融合タンパク質は、インビトロで38C13/HER2細胞において、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導したことを示す図である。IFN-α融合タンパク質は生存している38C13/HER2細胞の増殖を抑制した。簡単には、1×106個の38C13/HER2細胞を2.5μM CFSEで標識し、すぐに固定し(破線)、あるいはPBS(細い黒色の線)、または1nMの抗HER2/neu IgG3(細い黒色の線、PBS対照と重なっている)、IgG3-IFN-α(太い黒色の線)、もしくは抗HER2/neu-IgG3-IFN-α(黒色領域)のいずれかで48時間、処理した。その後、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。ヒストグラムは、生細胞の集団に関してゲーティングすることによって得られた。
【図6A】IFN-α融合タンパク質が38C13/HER2細胞においてSTAT1活性化を誘導したことを示す図である。簡単には、1×107個の38C13/HER2細胞を1000U/mlの抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで指示された時間、処理した。細胞可溶化液を、SDS-PAGEによって分離し、ポリクローナルのウサギ抗ホスホSTAT1を用いるウェスタンブロットによって分析した。タンパク質試料の均等負荷を確認するために、GAPDHに対するHRP結合ウサギポリクローナル抗体でブロットを探索した。
【図6B】IFN-α融合タンパク質が38C13/HER2細胞においてSTAT1活性化を誘導したことを示す図である。簡単には、1×107個の38C13/HER2細胞を1000U/mlの抗IgG3-IFN-αで指示された時間、処理した。細胞可溶化液を、SDS-PAGEによって分離し、ポリクローナルのウサギ抗ホスホSTAT1を用いるウェスタンブロットによって分析した。タンパク質試料の均等負荷を確認するために、GAPDHに対するHRP結合ウサギポリクローナル抗体でブロットを探索した。
【図6C】IFN-α融合タンパク質が38C13/HER2細胞においてSTAT1活性化を誘導したことを示す図である。抗ホスホSTAT1の強度を、それぞれの示された時点について抗GAPDHの強度で標準化し、得られた値を時間0における値で割り、STAT1についての倍数活性化を得た。これらの実験を2回、行った;誤差バーは測定値のSDを示す。
【化1】

は、2つの群がp<0.05で異なる唯一の点を示す。
【図7】IFN-α融合タンパク質は、樹立腫瘍の成長を抑制することを示す図である。C3H/HeNマウスに1×103個の38C13/HER2細胞を皮下に注射した。12日後、マウスに5μgの示されたタンパク質での処置を3日間連続、腹腔内に施した。各マウスの腫瘍容積を測定する。皮下腫瘍の直径が15mmに達した時、動物を屠殺した。
【図8】CD20を発現するヒト細胞への組換え抗体の結合を示す図である。Daudi細胞を、組換えIgG3かまたはリツキシマブかのいずれかとインキュベートし、続いて、ビオチン化ラット抗ヒトIgGおよびPE標識ストレプトアビジンとインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析した。A、二次抗体だけとの細胞;B、組換えIgG3との細胞;C、リツキシマブとの細胞。
【図9】抗体-IFN-α融合タンパク質の重鎖の図を示す。特に、図は、(Gly4Ser)3(配列番号31)のGly4Ser(配列番号32)リンカーへの短縮が、完全長αCD20-IgG3-mIFNαの産生を可能にすることを示す。
【図10】プロテインAセファロースから溶出された画分のSDS-PAGE分析を示す図である。(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーを有する抗CD20-IgG3-IFNαを発現する細胞からの培養上清をプロテインAセファロースに通過させ、溶出前に融合タンパク質を結合させた。A. タンパク質を還元なしで泳動した。レーン1、IgG3;レーン2〜6、プロテインAセファロースから溶出された画分。B. タンパク質を分析の前に還元した。レーン2、IgG3;レーン3〜7、プロテインAセファロースから溶出された画分。
【図11】HEK293T細胞において一過性発現によって産生されたタンパク質のSDS-PAGE分析を示す図である。レーン1、延長された(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーを有する抗CD20-IgG3-huIFNα;レーン2、短縮されたGly4Ser(配列番号32)リンカーを有する抗CD20-IgG3-huIFNα;レーン3、延長された(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーを有する抗CD20-IgG3-muIFNα;レーン4、短縮されたGly3Serリンカーを有する抗CD20-IgG3-muIFNα;レーン5、抗CD20-IgG3。
【図12】フローサイトメトリーを用いた、Daudi細胞へのタンパク質結合の分析を示す図である。1×106個のDaudi細胞を、ヒトIFN-αまたはRituxanを含む1μgの融合タンパク質で染色した。
【図13】フローサイトメトリーによる38C13-CD20へのタンパク質結合の分析を示す図である。
【図14】Daudi細胞を様々な濃度のIFN-α、抗体、または融合タンパク質と72時間、インキュベートした。成長抑制を、CellTiter 96 AQueous細胞増殖アッセイを用いて評価した。
【図15】Daudi細胞を、10pMの示されたタンパク質で72時間、処理した。アネキシンVおよびPIでの染色ならびにフローサイトメトリーによる分析に従って、細胞生存率およびアポトーシスを決定した。
【図16】38C13/CD20細胞を、10pMの示されたタンパク質で48時間、処理した。アネキシンVおよびPIでの染色ならびにフローサイトメトリーによる分析に従って、細胞生存率およびアポトーシスを決定した。
【図17】様々な濃度での種々のタンパク質での処理後の細胞増殖の抑制を示す図である。38C13-CD20細胞を、様々な濃度での示されたタンパク質で48時間、処理した。処理後、増殖の程度を、MTSアッセイを用いてモニターした。
【図18】38C13/CD20細胞を、異なる濃度の示されたタンパク質で48時間、処理した。アネキシンVおよびPIでの染色ならびにフローサイトメトリーによる分析に従って、細胞生存率およびアポトーシスを決定した。
【図19】Daudi細胞を、異なる濃度の融合タンパク質と72時間、インキュベートした。アネキシンVおよびPIでの染色ならびにフローサイトメトリーによる分析に従って、細胞生存率およびアポトーシスを決定した。
【図20】Daudi細胞を、様々な濃度の融合タンパク質で72時間、処理した。MTS溶液を加えて、細胞生存率を定量化した。
【図21】Daudi細胞を、1pMのGly4Serリンカー(32)(Gly-Serリンカー)を有する抗CD20-IgG3-hIFNα、または1pMのαヘリックスリンカー(αヘリックスリンカー)を有する抗CD20-IgG3-hIFNαと72時間、インキュベートした。アネキシンVおよびPIでの染色ならびにフローサイトメトリーによる分析に従って、細胞生存率およびアポトーシスを決定した。
【図22】5000個の38C13-CD20細胞を接種され、1日目、2日目、および3日目にHBSS、または示された量の抗CD20-IFN-α融合タンパク質で処置されたマウスの生存を示す図である。
【図23】5000個の38C13-CD20細胞を接種され、5日目、6日目、および7日目に、10μgの抗CD20-IgG1、抗CD20-IgG3、リツキシマブ、または抗CD20-IgG3-mIFNαで処置されたマウスの生存を示す図である。
【図24】5000個の38C13-CD20細胞を接種され、5日目、6日目、および7日目に、10μgの抗CD20-IgG3、抗CD20-IgG3+IFNα、抗DNS-IgG3、または抗CD20-IgG3-mIFNαで処置されたマウスの生存を示す図である。
【図25】0日目、8匹のマウスの群に5000個の38C13-CD20細胞を注射した。8日目、9日目、および10日目に、それらをHBSSまたは100μgの抗CD20-IgG3-mIFNαで処置した。腫瘍成長を長い期間をかけてモニターした。
【図26】0日目、8匹のマウスの群に5000個の38C13-CD20細胞を注射した。8日目、9日目、および10日目に、それらをHBSSまたは100μgの抗CD20-IgG3-mIFNαで処置した。生存を長い期間をかけてモニターした。
【発明を実施するための形態】
【0034】
インターフェロンα(IFN-α)は、自然免疫応答を惹起するにおいて重要なサイトカインであり、また、広域の抗腫瘍活性を示す。しかしながら、インターフェロン(例えば、IFN-α)の抗癌薬としての臨床的使用は、その治療効果を有意に損なうその短い半減期によって妨げられる。特定の実施形態において、本発明は、インターフェロンの治療指数が、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)上またはそれに会合したマーカーを特異的/優先的に結合するターゲティング部分にインターフェロンを付着させることによって向上させることができるという発見に関する。これは、全身性合併症がより少なく、より高い用量のインターフェロンを標的部位へ送達することを可能にする。これは、一実施形態において、抗HER2/neu IgG3およびIFN-αからなる融合タンパク質(抗HER2/neu-IgG3-IFN-α)の構築および使用によって、ならびに別の実施形態において、抗CD20-IFN-α融合タンパク質の構築および使用によって例証された。
【0035】
HER2/neu-IgG3-IFN-α構築物の効力を、ヒトHER2/neuを形質導入されたマウスB細胞リンパ腫、38C13において試験した。抗HER2/neu-IgG3-IFN-α融合タンパク質は、インビボで38C13/HER2腫瘍成長を抑制するのに強力な効果を示し、1μgの抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの投与でさえも、腫瘍負荷後、88%の長期生存動物を生じた。
【0036】
際立ったことには、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、38C13/HER2樹立腫瘍に対して強力な活性を示し、88%の処置マウスにおいて完全な腫瘍寛解が観察された。この劇的な抗腫瘍活性は、IFN-α誘導アポトーシスによって媒介され、抗HER2/neu IgG3抗体によるIFN-αの38C13/HER2腫瘍細胞へのターゲティングが、これらの効果を増強するのに必須であった。
【0037】
同様の結果は、抗CD20-IgG3-IFN-α構築物について観察された(実施例2参照)。これらの結果は、インターフェロン(例えば、IFN-α)のターゲティング部分へ(例えば、腫瘍特異的抗体へ)の付着(例えば、融合)が、標的細胞(複数可)の成長および/もしくは増殖を抑制し、さらにはそれらを死滅させるために用いることができる効果的な治療用物質を生み出すことを示している。したがって、例えば、本明細書に記載の例示的な構築物は、診療所でのB細胞リンパ腫および他の癌の処置に容易に用いることができる。
【0038】
したがって、特定の実施形態において、本発明は、ターゲティング部分に(例えば、癌細胞上の癌特異的マーカーを特異的に結合する抗体に)付着したインターフェロン(例えば、IFN-α)を含む構築物(例えば、キメラ成分)を提供する。構築物としては、化学的コンジュゲートおよび融合タンパク質が挙げられる。融合タンパク質をコードする核酸、および融合タンパク質を発現するために核酸をトランスフェクションされた細胞もまた提供される。癌細胞の成長および増殖を抑制する方法、ならびに様々な癌の処置のための、例えば、本明細書に記載のキメラ成分を含むキットもまた提供される。
【0039】
I. インターフェロンに付着したターゲティング部分を含むキメラ構築物
天然(野生型)または改変IFN(例えば、IFN-α)に付着したターゲティング部分(例えば、抗腫瘍マーカー抗体)を含むキメラ構築物を用いて、ターゲティング部分が向けられるマーカーを発現する、またはそのマーカーを会合する標的癌細胞の成長および/または増殖を効果的に抑制することができることは、驚くべき発見であった。特定の実施形態において、ターゲティング部分は、インターフェロンに化学的にコンジュゲートされ、一方、他の実施形態において、ターゲティング部分は、IFN-αとの融合タンパク質として発現している。融合タンパク質として産生される場合、ターゲティング部分(例えば、抗体)構成要素は、IFN-αに直接融合することができ、またはペプチドリンカー(例えば、(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカー、GlyGlyGlyGlySer(配列番号32)リンカー、AEAAAKEAAAKA(配列番号33)など)によって付着することができる。
【0040】
A)ターゲティング部分
様々な実施形態において、ターゲティング部分は、標的細胞(複数可)によって発現した(例えば、標的細胞の表面上の)、または標的細胞に会合したマーカーを特異的または優先的に結合する分子である。本質的に任意の細胞を標的とすることができるが、特定の好ましい細胞として、細胞の過剰増殖によって特徴づけられる病態(すなわち、過剰増殖性障害)に関連した細胞が挙げられる。例示的な過剰増殖性障害には、乾癬、好中球増加症、赤血球増加症、血小板増加症、および癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0041】
癌として特徴づけられる過剰増殖性障害として、乳房、呼吸器、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌、およびそれらの遠隔転移などの固形腫瘍が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。これらの障害にはまた、リンパ腫、肉腫、および白血病が挙げられる。乳癌の例として、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、および上皮内小葉癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。呼吸器の癌の例として、小細胞および非小細胞肺癌、加えて、気管支腺腫および胸膜肺芽腫が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。脳癌の例として、脳幹神経膠腫および視床下部膠腫、小脳および大脳星状細胞腫、髄芽腫、上衣腫、加えて神経外胚葉腫瘍および松果体腫瘍が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。男性生殖器の腫瘍として、前立腺癌および精巣癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。女性生殖器の腫瘍として、子宮内膜癌、子宮頚癌、卵巣癌、腟癌、および外陰癌、加えて、子宮肉腫が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。消化管の腫瘍として、肛門癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌、小腸癌、および唾液腺癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。尿路の腫瘍として、膀胱癌、陰茎癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌、および尿道癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。眼癌として、眼球内黒色腫および網膜芽細胞腫が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。肝臓癌の例として、肝細胞癌(線維層板型変異体を含むまたは含まない肝細胞癌)、胆管細胞癌(肝内胆管癌)、および肝細胞癌胆管癌混合型が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。皮膚癌として、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌、および非黒色腫皮膚癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。頭頸部癌として、咽頭/下咽頭/上咽頭/中咽頭癌、ならびに口唇癌および口腔癌が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。リンパ腫として、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病、および中枢神経系のリンパ腫が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。肉腫として、軟部組織肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、および横紋筋肉腫が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。白血病として、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、および有毛細胞白血病が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0042】
これらの障害は、ヒトにおいて十分、特徴づけられており、他の哺乳動物においても類似した原因で存在し、本発明の薬学的組成物を投与することによって処置できる。
【0043】
特定の実施形態において、ターゲッティング部分は、癌マーカー(例えば、腫関連抗原)を結合する部分である。幅広い種類の癌マーカーが当業者に知られている。マーカーは癌細胞に独特である必要はないが、マーカーの発現が癌細胞において(健常細胞と比較して)上昇している場合、またはマーカーが、周囲組織において匹敵するレベルで存在しない場合(特に、キメラ成分が局所的に送達される場合)、効果的でもあり得る。
【0044】
例示的な癌マーカーとして、例えば、ND4モノクローナル抗体によって認識される腫瘍マーカーが挙げられる。このマーカーは、低分化結腸直腸癌、および胃腸神経内分泌腫瘍上に見出される(例えば、Tobiら、(1998) Cancer Detection and Prevention、22(2):147〜152頁参照)。癌免疫療法についての他の重要な標的は、膜結合型補体調節糖タンパク質:CD46、CD55、およびCD59であり、それらは、インビボおよびインビトロでほとんどの腫瘍細胞上に発現していることが見出されている。ヒトムチン(例えば、MUC1)は、既知の腫瘍マーカーであり、gp100、チロシナーゼ、およびMAGEも同様であり、それらは黒色腫内に見出される。野生型ウィルムス腫瘍遺伝子WT1は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、および慢性骨髄性白血病の大部分においてだけでなく、肺癌を含む様々な型の固形腫瘍においても高レベルで発現している。
【0045】
急性リンパ性白血病は、TAAのHLA-DR、CD1、CD2、CD5、CD7、CD19、およびCD20によって特徴づけられている。急性骨髄性白血病は、TAAのHLA-DR、CD7、CD13、CD14、CD15、CD33、およびCD34によって特徴づけられている。乳癌は、マーカーEGFR、HER2、MUC1、Tag-72によって特徴づけられている。様々な細胞腫は、マーカーMUC1、TAG-72、およびCEAによって特徴づけられている。慢性リンパ性白血病は、マーカーCD3、CD19、CD20、CD21、CD25、およびHLA-DRによって特徴づけられている。有毛細胞白血病は、マーカーCD19、CD20、CD21、CD25によって特徴づけられている。ホジキン病は、Leu-M1マーカーによって特徴づけられている。様々な黒色腫は、HMB 45マーカーによって特徴づけられている。非ホジキンリンパ腫は、CD20、CD19、およびIaマーカーによって特徴づけられている。そして、様々な前立腺癌は、PSMAおよびSE10マーカーによって特徴づけられている。
【0046】
加えて、多くの種類の腫瘍細胞は、細胞型および/もしくはその環境に不適当であるか、または正常には生物体の発生中のみ存在する(例えば、胎児抗原)かのいずれかである異常な抗原を表示する。そのような抗原の例として、スフィンゴ糖脂質GD2が挙げられ、それは、正常には神経細胞の外側表面膜上にのみ有意なレベルで発現するジシアロガングリオシドであり、それの免疫系への曝露は、血液脳関門によって制限されている。GD2は、神経芽細胞腫、髄芽腫、星状細胞腫、黒色腫、小細胞肺癌、骨肉腫、および他の軟部組織肉腫を含む広範な腫瘍細胞の表面上に発現している。したがって、GD2は、免疫療法のための好都合の腫瘍特異的標的である。
【0047】
他の種類の腫瘍細胞は、正常細胞の表面上ではまれである、または存在しない細胞表面受容体を表示し、かつそれが、腫瘍細胞の未制御の成長および分裂を引き起こす細胞シグナル伝達経路を活性化する原因である。例として、乳癌腫瘍細胞の表面上に異常な高レベルで産生される構成的活性型細胞表面受容体であるHER2/neu(ErbB2)が挙げられる。
【0048】
他の有用な標的には、CD20、CD52、CD33、上皮成長因子受容体などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0049】
適切な腫瘍マーカーの例示ではあるが、非限定的なリストがTable 1(表1)に提供されている。これらを始めとする癌マーカーに対する抗体は当業者に知られており、商業的に入手することができ、または例えば、ファージディスプレイテクノロジーを用いて、容易に作製することができる。
【0050】
【表1A】

【0051】
【表1B】

【0052】
【表1C】

【0053】
前記のマーカーのいずれも、本発明のインターフェロン-ターゲティング部分構築物を構成するターゲティング部分についての標的として用いることができる。特定の実施形態において、標的マーカーとして、上皮成長因子ファミリーのメンバー(例えば、HER2、HER3、EGF、HER4)、CD1、CD2、CD3、CD5、CD7、CD13、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD23、CD25、CD33、CD34、CD38、5E10、CEA、HLA-DR、HM 1.24、HMB 45、1a、Leu-M1、MUC1、PMSA、TAG-72、ホスファチジルセリン抗原などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0054】
前記のマーカーは、例示するものであって、限定するものではない。他の腫瘍関連抗原は当業者に知られているだろう。
【0055】
腫瘍マーカーが細胞表面受容体である場合、その受容体に対するリガンドは、ターゲティング部分として機能することができる。同様に、そのようなリガンドの模倣体もまた、ターゲティング部分として用いることができる。
【0056】
抗体
特定の実施形態において、ターゲティング部分は、腫瘍マーカーを特異的または優先的に結合する抗体、UniBody、またはAffibodyを含むことができる。腫瘍マーカーを特異的または優先的に結合する抗体は、当業者によく知られている。このように、例えば、ヒトB細胞上に発現するCD22抗原を結合する抗体として、HD6、RFB4、UV22-2、Tol5、4KB128、ヒト化抗CD22抗体(hLL2)が挙げられる(例えば、Liら、(1989) Cell. Immunol. 111:85〜99頁; Masonら、(1987) Blood 69頁:836〜40頁; Behrら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:3304s〜3314s頁; Bonardiら、(1993) Cancer Res. 53:3015〜3021頁参照)。
【0057】
CD33に対する抗体として、例えば、HuM195(例えば、Kossmanら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:2748〜2755頁参照)、CMA-676(例えば、Sieversら、(1999) Blood 93:3678〜3684頁参照)が挙げられる。
【0058】
CD38に対する抗体として、例えば、AT13/5(例えば、Ellisら、(1995) J. Immunol. 155:925〜937頁参照)、HB7などが挙げられる。
【0059】
特定の実施形態において、ターゲティング部分は、抗HER2抗体を含む。ergB2遺伝子、より一般的には(Her-2/neu)として知られている遺伝子は、膜貫通受容体をコードする癌遺伝子である。いくつかの抗体がHer-2/neuに対して開発されており、それらには、トラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標); Fornierら、(1999) Oncology(Huntingt) 13:647〜58頁)、TAB-250(Rosenblumら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:865〜874頁)、BACH-250(同文献)、TA1(Maierら、(1991) Cancer Res. 51:5361〜5369頁)、ならびに米国特許第5,772,997号;第5,770,195号(mAb 4D5; ATCC CRL 10463);および米国特許第5,677,171号に記載のmAbが挙げられる。
【0060】
例示的な抗MUC-1抗体として、Mc5(例えば、Petersonら、(1997) Cancer Res. 57:1103〜1108頁; Ozzelloら、(1993) Breast Cancer Res. Treat. 25:265〜276頁参照)およびhCTMO1(例えば、Van Hofら、(1996) Cancer Res. 56:5179〜5185頁参照)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0061】
例示的な抗TAG-72抗体として、CC49(例えば、Pavlinkovaら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:2613〜2619頁参照)、B72.3(例えば、Divgiら、(1994) Nucl. Med. Biol. 21:9〜15頁参照)、および米国特許第5,976,531号に開示された抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0062】
例示的な抗HM1.24抗体として、マウスモノクローナル抗HM1.24 IgG2a/κ抗体およびヒト化抗HM1.24 IgG1/κ抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない(例えば、Onoら、(1999) Mol. Immunol. 36:387〜395頁参照)。
【0063】
HER2を特異的に結合するいくつかの抗体が開発されており、一部は臨床に用いられている。これらには、例えば、トラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標)、Fornierら、(1999) Oncology(Huntingt) 13:647〜58頁)、TAB-250(Rosenblumら、(1999) Clin. Cancer Res. 5:865〜874頁)、BACH-250(同文献)、TA1(例えば、Maierら、(1991) Cancer Res. 51:5361〜5369頁参照)、ならびに米国特許第5,772,997号;第5,770,195号および第5,677,171号に記載の抗体が挙げられる。
【0064】
他の完全なヒト抗HER2/neu抗体は当業者によく知られている。そのような抗体として、C6.5、DPL5、G98A、C6MH3-B1、B1D2、C6VLB、C6VLD、C6VLE、C6VLF、C6MH3-D7、C6MH3-D6、C6MH3-D5、C6MH3-D3、C6MH3-D2、C6MH3-D1、C6MH3-C4、C6MH3-C3、C6MH3-B9、C6MH3-B5、C6MH3-B48、C6MH3-B47、C6MH3-B46、C6MH3-B43、C6MH3-B41、C6MH3-B39、C6MH3-B34、C6MH3-B33、C6MH3-B31、C6MH3-B27、C6MH3-B25、C6MH3-B21、C6MH3-B20、C6MH3-B2、C6MH3-B16、C6MH3-B15、C6MH3-Bl1、C6MH3-B1、C6MH3-A3、C6MH3-A2、およびC6ML3-9のようなC6抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。これらを始めとする抗HER2/neu抗体は、米国特許第6,512,097号および第5,977,322号、PCT公開WO 97/00271、Schierら、(1996) J Mol Biol 255: 28〜43頁、Schierら、(1996) JMoI Biol 263: 551〜567頁などに記載されている。
【0065】
より一般的には、上皮成長因子受容体ファミリーの様々なメンバーに向けられる抗体が、本発明の構築物におけるターゲティング部分として用いるのによく適している。そのような抗体として、米国特許第5,844,093号および第5,558,864号、ならびに欧州特許第706,799A号に記載されているような抗EGF-R抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。他の例示的な抗EGFRファミリー抗体として、C6.5、C6ML3-9、C6MH3-B1、C6-B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7などのような抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない(例えば、米国特許出願公開第2006/0099205 A1号およびUS 2004/0071696 A1号参照、それらは参照により本明細書に組み入れられている)。
【0066】
米国特許第6,512,097号および第5,977,322号に記載されているように、他の抗EGFRファミリーメンバー抗体は、軽鎖および/または重鎖を組み替え、続いて、1ラウンドまたは複数のラウンドの親和性選択によって容易に作製することができる。したがって、特定の実施形態において、本発明は、上記で同定された抗体および/または上記で同定された刊行物に記載のCDRである、VL領域および/またはVH領域の1つ、2つ、または3つのCDRの使用を企図する。
【0067】
様々な実施形態において、ターゲティング部分は、CD20を特異的または優先的に結合する抗体を含む。抗CD20抗体は当業者によく知られており、それらには、リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン、およびトシツモマブ、AME-133v(Applied Molecular Evolution)、オクレリズマブ(Roche)、オファツムマブ(Genmab)、TRU-015(Trubion)、およびIMMU-106(Immunomedics)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0068】
本発明は、上記の抗体の使用に限定される必要はなく、当業者に知られているような他のそのような抗体を、本明細書に記載の組成物および方法に用いることができる。
【0069】
上記の考察は抗体に関するものであるが、Affibodyおよび/またはUniBodyを抗体の代わりに用いることができることは認識されているであろう。
【0070】
UniBody
UniBodyは、安定な、より小さい抗体形式を生じる抗体テクノロジーであり、ある特定の小さい抗体形式より予想される治療濃度域が広い。特定の実施形態において、UniBodyは、IgG4抗体からその抗体のヒンジ領域を除去することによって作製される。完全なサイズのIgG4抗体と違って、半分の分子断片は、非常に安定であり、UniBodyと名付けられている。IgG4分子を半減させて、標的に結合できるUniBody上の1つの領域のみを残す。UniBodyを作製する方法は、全体として参照により本明細書に組み入れられているPCT公開WO 2007/059782に詳細に記載されている(Kolfschotenら、(2007) Science 317:1554〜1557頁も参照)。
【0071】
Affibody
Affibody分子は、ブドウ球菌プロテインAのIgG結合ドメインの1つに由来する58個のアミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づいた親和性タンパク質の類である。この3ヘリックスバンドルドメインは、コンビナトリアルファージミドライブラリーの構築のためのスキャフォールドとして用いられており、そのライブラリーから、所望の分子を標的とするAffibody変異体が、ファージディスプレイテクノロジーを用いて選択することができる(例えば、Nordら、(1997) Nat. Biotechnol. 15:772〜777頁; Ronmarkら、(2002) Eur. J. Biochem. 269:2647〜2655頁参照)。Affibodyの詳細および作製方法は当業者に知られている(例えば、全体として参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第5,831,012号参照)。
【0072】
上記の抗体が、当業者によく知られた方法を用いて、無傷の抗体全体(例えば、IgG)、抗体断片、または一本鎖抗体として提供され得ることは認識されているだろう。加えて、抗体は、本質的に任意の哺乳動物種由来であり得るが、免疫原性を低減するために、構築物(例えば、抗HER2/neu-IFN-αキメラ)が用いられることになっている種のものである抗体を用いることが望ましい。換言すれば、ヒト用には、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラヒト抗体を用いることが望ましい。
【0073】
B)IFN-αおよび改変IFN-α
様々な実施形態において、本発明のキメラ成分は、ターゲティング部分(例えば、抗HER2/neu抗体)に連結したインターフェロン(例えば、IFN-α)を含む。インターフェロンは、完全長野生型インターフェロン(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γなど)、インターフェロン断片(例えば、IFN-α断片)、および/または突然変異型インターフェロンであり得る。典型的には、インターフェロン断片は、野生型インターフェロンより、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%または95%、最も好ましくは少なくとも98%、99%、100%のレベル、またはそれ以上のレベルでの内因性活性を有するものである。
【0074】
そのような改変インターフェロン分子を同定する手段は、当業者にとって日常的である。1つの例示的なアプローチにおいて、切断型および/または突然変異型IFN-αのライブラリーを作製し、IFN-α活性についてスクリーニングする。ポリペプチド変異体のライブラリーを作製する方法は、当業者によく知られている。このように、例えば、エラープローンPCRを用いて、突然変異体および/または切断型IFN-αのライブラリーを作製することができる(例えば、米国特許第6,365,408号参照)。
【0075】
その後、生じたライブラリーメンバーを、当業者に知られた標準方法に従ってスクリーニングすることができる。このように、例えば、IFN-α活性を、特定の試験ウイルスに対する抗ウイルス活性を測定することによってアッセイすることができる。IFN-α活性についてアッセイするためのキットは市販されている(例えば、Neutekbio、IrelandによるiLite(商標)alphabetaキット参照)。
【0076】
これらの方法は、例示するものであって、限定するものではない。本明細書に提供された教示を用いて、他の適切な改変インターフェロン(例えば、改変IFN-α、IFN-β、IFN-γなど)を容易に同定し、作製することができる。
【0077】
C. 抗体(例えば、抗HER2/neu)のIFN-αへの付着
一般的に言えば、ターゲティング部分(例えば、抗HER2/neu抗体および抗CD20抗体など)は、任意の順序で連結することができる。したがって、例えば、抗体は、インターフェロンのアミノ末端かまたはカルボキシ末端かのいずれかに連結することができる。抗体はまた、インターフェロンの内部領域に連結することもでき、または逆に、インターフェロンが、その付着が抗体のその標的マーカー(例えば、HER2/neu受容体)への結合に干渉しない限り、抗体の内部の位置もしくは任意の末端に連結することができる。
【0078】
抗体(例えば、C6抗HER2/neu)およびインターフェロン(例えば、IFN-α)は、当業者によく知られたいくつかの手段のいずれかによって付着させることができる。特定の実施形態において、インターフェロンは、抗体に、直接かまたはリンカー(スペーサー)を通してコンジュゲートされる。しかしながら、特定の実施形態において、キメラ成分を融合タンパク質として組換えで発現することが好ましい。
【0079】
i)ターゲティング部分のインターフェロンへの化学的コンジュゲート
特定の実施形態において、ターゲティング部分(例えば、C6.5、C6MH3-B1、G98A、ML3-9、H3B1、B1D2などの抗HER2/neu抗体)は、インターフェロン(例えば、IFN-α)分子に化学的にコンジュゲートされる。分子を化学的にコンジュゲートする手段は当業者によく知られている。
【0080】
2つの分子をコンジュゲートするための手順は、作用物質の化学構造によって異なる。ポリペプチドは、典型的には、様々な官能基、例えば、カルボン酸基(COOH)または遊離アミン(-NH2)基を含み、それらは、他のペプチド上、またはその分子をそれに連結するためのリンカー上の適切な官能基との反応に利用できる。
【0081】
あるいは、抗体および/またはIFN-αは、追加の反応性官能基を露出する、または付着するように誘導体化することができる。誘導体化は、Pierce Chemical Company、Rockford Illinoisから入手できるものなどのいくつかのリンカー分子のいずれかの付着を含むことができる。
【0082】
本明細書に用いられる場合、「リンカー」とは、典型的には、抗体をIFN-αに連結するために用いられる分子を指す。様々な実施形態において、リンカーは、抗体とIFN-αの両方に対して共有結合を形成する能力がある。適切なリンカーは当業者によく知られており、それらには、直鎖または分岐鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー、またはペプチドリンカーが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。特定の実施形態において、リンカー(複数可)は、抗体および/またはIFN-αの成分アミノ酸にそれらの側基を通して(例えば、システインへのジスルフィド結合を通して)連結することができる。特定の好ましい実施形態において、リンカーは、抗体および/またはIFN-αの末端アミノ酸のα炭素アミノ基および/またはカルボキシル基に連結される。
【0083】
抗体上の基と反応性の1つの官能基、およびIFN-α上の基と反応性のもう1つの基を有する二官能性リンカーは、所望のコンジュゲートを形成するために用いることができる。あるいは、誘導体化は、ターゲティング部分の化学的処理を含むことができる。抗体または抗体断片などのポリペプチド上の、例えば、遊離スルフヒドリル基の生成の手順は知られている(米国特許第4,659,839号参照)。
【0084】
放射性核種金属キレート、毒素、および薬物を含む様々な化合物を抗体などのタンパク質に付着させるための多くの手順およびリンカー分子は知られている。例えば、欧州特許出願第188,256号;米国特許第4,671,958号、第4,659,839号、第4,414,148号、第4,699,784号、第4,680,338号、第4,569,789号、および第4,589,071号、ならびにBorlinghausら、(1987) Cancer Res. 47:4071〜4075頁を参照されたい。特に、様々な免疫毒素の作製は、当技術分野内では周知であり、例えば、「Monoclonal Antibody-Toxin Conjugates: Aiming the Magic Bullet」、Thorpeら、Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine、Academic Press、168〜190頁(1982); Waldmann (1991) Science 252:1657頁; 米国特許第4,545,985号および第4,894,443号などに見出すことができる。
【0085】
ii) 融合タンパク質の作製
特定の実施形態において、キメラのターゲティング部分-インターフェロン融合タンパク質は、組換えDNA方法を用いて合成される。一般的に、これは、融合タンパク質をコードするDNA配列を作製する段階と、そのDNAを特定のプロモーターの制御下の発現カセットに配置する段階と、宿主においてタンパク質を発現させる段階と、発現したタンパク質を単離する段階と、必要に応じて、タンパク質を再生する段階を含む。
【0086】
本発明の融合タンパク質(例えば、抗HER2/neu-IFN-α、抗CD20-IFN-αなど)をコードするDNAは、任意の適切な方法によって調製することができ、その方法として、例えば、適切な配列のクローニングおよび制限、またはNarangら、(1979) Meth. Enzymol. 68:90〜99頁のホスホトリエステル方法; Brownら、(1979) Meth. Enzymol. 68:109〜151頁のホスホジエステル方法; Beaucageら、(1981) Tetra. Lett. 22:1859〜1862頁のジエチルホスホラミダイト方法;米国特許第4,458,066号の固体支持体方法などの方法によって直接的化学合成が挙げられる。
【0087】
化学合成は、単一の標準オリゴヌクレオチドを生成する。これは、相補的配列とのハイブリダイゼーション、または鋳型としてその一本鎖を用いるDNAポリメラーゼでの重合によって二本鎖DNAへ変換することができる。DNAの化学合成が約100塩基の配列に制限されるが、より短い配列のライゲーションによって、より長い配列を得ることができることは当業者は認識しているだろう。
【0088】
あるいは、部分配列をクローニングし、適切な制限酵素を用いて適切な部分配列を切断することができる。その後、断片をライゲーションして、所望のDNA配列を生じることができる。
【0089】
特定の実施形態において、本発明の融合タンパク質をコードするDNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのDNA増幅方法を用いてクローン化することができる。したがって、例えば、IFN-αについての遺伝子を、例えばNdeIについての制限部位を含むセンスプライマー、およびHindIIIについての制限部位を含むアンチセンスプライマーを用いてPCR増幅する。これは、成熟IFN-α配列をコードし、かつ末端制限部位を有する核酸を産生することができる。「相補的な」制限部位を有する抗体を、同様に、クローン化し、その後、IFN-αおよび/またはIFN-αに付着したリンカーにライゲーションすることができる。核酸配列のライゲーションおよびベクターへの挿入により、抗HER2/neu抗体に連結されたIFN-αをコードするベクターが生じる。
【0090】
2つの分子を直接的に連結することができるが、当業者は、それらの分子を、1個または複数のアミノ酸からなるペプチドスペーサーによって隔て得ることは理解しているだろう。一般的に、スペーサーは、タンパク質を連結すること、またはそれらの間にいくらかの最小距離もしくは他の空間的関係を保つこと以外に特定の生物活性を有しない。しかしながら、特定の実施形態において、スペーサーの成分アミノ酸は、折り畳み、正味荷電、または疎水性などの分子のいくつかの性質に影響するように選択することができる。
【0091】
しかしながら、特定のリンカーが本発明の融合タンパク質の調製に不適切であることは驚くべき発見であった。このように、例えば、(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーは、抗CD20-IFN-α構築物の作製にあまり適していなかった。特定の理論に囚われるつもりはないが、インターフェロンは、タンパク質分解によって融合タンパク質から除去されつつあったと考えられる。抗Fcおよび抗インターフェロンを用いるウェスタンブロット分析により、上部バンドの両方が重鎖であるが、最大のもののみがインターフェロンを含んでいたことが確認された。
【0092】
したがって、特定の好ましい実施形態において、タンパク質分解に抵抗性であるリンカーを用いることが望ましい。特定の好ましいリンカーは、(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーではないリンカーである。特定の好ましいリンカーは、長さが15個未満のアミノ酸のリンカー、または14個未満、13個未満、12個未満、11個未満、10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、3個未満、もしくは2個未満のアミノ酸のリンカーである。特定の実施形態において、リンカーは、長さが約12個まで、または約13個まで、または約14個までのアミノ酸の範囲であるαヘリックスリンカーである。
【0093】
本発明の構築物に用いるのによく適した特定の例示的なタンパク質分解抵抗性リンカーは、Table 2(表2)に示されている。
【0094】
【表2】

【0095】
融合タンパク質をコードする核酸配列は、様々な宿主細胞で発現することができ、それらの宿主細胞として、大腸菌(E. coli)、他の細菌宿主、酵母、ならびにCOS、CHO、およびHeLa細胞系、および骨髄腫細胞系などの様々な高等真核細胞が挙げられる。組換えタンパク質遺伝子は、典型的には、各宿主について適切な発現調節配列に作動可能に連結される。大腸菌については、これは、T7、trp、またはλプロモーターなどのプロモーター、リボソーム結合部位、および好ましくは、転写終結シグナルを含む。真核細胞については、調節配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルスなど由来のプロモーターおよび好ましくはエンハンサー、ならびにポリアデニル化配列を含み、スプライス供与配列およびスプライス受容配列を含んでもよい。
【0096】
本発明のプラスミドは、大腸菌についての塩化カルシウム形質転換、哺乳動物細胞についてのリン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションなどの周知の方法によって、選択された宿主細胞へ移入することができる。プラスミドにより形質転換された細胞は、プラスミド上に含まれる遺伝子例えば、amp、gpt、neoおよびhyg遺伝子により与えられる抗生物質に対する抵抗性によって選択することができる。
【0097】
発現したならば、組換え融合タンパク質は、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当技術分野の標準手順に従って精製することができる(一般的に、R. Scopes (1982) Protein Purification、Springer-Verlag、N.Y.; Deutscher (1990) Methods in Enzymology 182巻: Guide to Protein Purification、Academic Press, Inc. N.Y.など参照)。少なくとも約90〜95%均一性の実質的に純粋な組成物が好ましく、98〜99%またはそれ以上の均一性が薬学的使用には最も好ましい。部分的に、または所望の均一性まで精製されたならば、その後、ポリペプチドは治療的に用いてもよい。
【0098】
化学合成、生物学的発現、または精製後、融合タンパク質(例えば、抗HER2/neu-IFN-α、抗CD20-IFN-αなど)は、構成要素ポリペプチドの天然立体構造と実質的に異なる立体構造を有する場合があることを当業者は認識しているだろう。この場合、ポリペプチドを変性および還元し、その後、ポリペプチドが好ましい立体構造へ再び折り畳まれるようにすることが必要である可能性がある。タンパク質を還元および変性して、再折り畳みを引き起こす方法は、当業者によく知られている(例えば、Debinskiら、(1993) J. Biol. Chem.、268:14065〜14070頁; KreitmanおよびPastan (1993) Bioconjug. Chem. 4:581〜585頁;ならびにBuchnerら、(1992) Anal. Biochem. 205: 263〜270頁参照)。例えば、Debinskiらは、グアニジン-DTEにおける封入体タンパク質の変性および還元を記載している。その後、タンパク質は、酸化グルタチオンおよびL-アルギニンを含む酸化還元緩衝液中で再び折り畳まれる。
【0099】
特定の実施形態において、一過性発現系は、本明細書に記載のキメラ構築物を発現するのに用いることができる。多くの細胞系を潜在的には用いることができるが、一過性発現のためによく機能する1つの細胞系は293Tである。293Tの一過性発現について、0日目に、25ml中の900万個の細胞を、各150mm組織培養プレートに播種する。1mg/mlのPEI(ポリエチレンイミン)を滅菌水を用いて作製する。完全抗体または抗体融合タンパク質の発現について、プレートあたり、HおよびLのそれぞれ25μg(合計50μg)を用いる。5mlの容量を、各150mmプレートのトランスフェクションに用いる。DNAをDMEMと混合し、その後、PEIを加え、混合物を室温で10分間、インキュベートする。DNAの1μgあたり1.75μgのPEIを用いる。トランスフェクションについて、古い培地を除去し、捨て、20mlの新鮮な培地(Iscove+5%仔ウシ血清)と交換する。トランスフェクション混合物を加え、プレートを回旋する。2日目、存在するウシIgの量を最小にするために1%FBS(ウシ胎児血清)を含む30mlのIscove培地とその培地を交換する。4日目、6日目、および13日目、培地を除去し、1%FBSを含む30mlの新鮮なIscoveとそれを交換することによって上清を細胞から収集する。
【0100】
抗HER2/neu-IFN-α融合タンパク質のクローニングおよび発現は、本明細書の実施例1に例示されており、抗CD20-IFN-α融合タンパク質のクローニングおよび発現は実施例2に示されている。
【0101】
当業者は、これらの発現方法が例示するものであり、限定するものではないことを認識しているだろう。本明細書に記載の融合タンパク質に、それらの活性/効力を減少させることなく改変を施すことができる。クローニング、発現、またはターゲティング分子の融合タンパク質への組み入れを促進するいくつかの改変を施してもよい。そのような改変は当業者によく知られており、例えば、開始部位を供給するためのアミノ末端におけるメチオニンの付加、または都合良く位置する制限部位もしくは終止コドンを生じるためのいずれかの末端に位置するアミノ酸の付加が挙げられる。
【0102】
他にも、血中半減期および/または生物学的利用能を増加させる改変を施すことができる。そのような改変として、Dアミノ酸の組み入れ(特にリンカーにおける)、非天然のアミノ酸の使用、融合タンパク質のペグ化などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0103】
D. 他の多価ターゲティング部分
特定の実施形態において、本発明は、インターフェロンを標的細胞にターゲティングするための多価、好ましくは、三価、四価、五価、またはそれ以上のターゲティング部分(例えば、抗HER2/neu抗体、抗CD20抗体など)の使用を企図する。
【0104】
例えば、多価抗HER2/neu部分は、いくつかの方法のいずれかによって作製することができる。例えば、3つ、4つ、またはそれ以上の反応部位を有するリンカーを抗HER-2/neu抗体と反応させて、三量体またはそれ以上のコンジュゲートを形成することができる。
【0105】
特定の実施形態において、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、または他のディスプレイシステムを用いて、ターゲティング(例えば、抗HER2/neu、抗CD20など)抗体の複数コピー(例えば、少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピーなど)を発現およびディスプレイし、それによって多価ターゲティング部分を効果的に供給することができる。
【0106】
II. 併用用途
本発明のキメラ構築物は、標的細胞(例えば、癌細胞)の成長および/または増殖を抑制するのに有用である。様々な実施形態において、キメラ成分は、疾患進行を抑制する、腫瘍サイズを縮小させる、および/または退縮/寛解を安定化するために用いることができる。
【0107】
特に癌の処置において、本発明の組成物および方法はまた、追加の治療的および/または薬理学的に許容される作用物質を含んでもよい。例えば、組成物または方法は、癌の処置のための他の作用物質を含んでもよい。そのような作用物質として、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン(Mustargen)、シクロホスファミド(Cytoxan、Neosar)、イホスファミド(Ifex)、フェニルアラニンマスタード;メルファレン(Alkeran)、クロラムブシル(Leukeran)、ウラシルマスタード、エストラムスチン(Emcyt)、チオテパ(Thioplex)、ブスルファン(Myerlan)、ロムスチン(CeeNU)、カルムスチン(BiCNU、BCNU)、ストレプトゾシン(Zanosar)、ダカルバジン(DTIC-Dome)、cis-白金、シスプラチン(Platinol、Platinol AQ)、カルボプラチン(Paraplatin)、アルトレタミン(Hexalen)など)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート(Amethopterin、Folex、Mexate、Rheumatrex)、5-フルオロウラシル(Adrucil、Efludex、Fluoroplex)、フロクスウリジン、5-フルオロデオキシウリジン(FUDR)、カペシタビン(Xeloda)、フルダラビン(Fludara)、シトシンアラビノシド(Cytaribine、Cytosar、ARA-C)、6-メルカプトプリン(Purinethol)、6-チオグアニン(Thioguanine)、ゲムシタビン(Gemzar)、クラドリビン(Leustatin)、デオキシコホルマイシン;ペントスタチン(Nipent)など)、抗生物質(例えば、ドキソルビシン(Adriamycin、Rubex、Doxil、Daunoxomeリポソーム調製物)、ダウノルビシン(Daunomycine、Cerubidine)、イダルビシン(Idamycin)、バルルビシン(Valstar)、ミトキサントロン(Novantrone)、ダクチノマイシン(Actinomycin D、Cosmegen)、ミトラマイシン、プリカマイシン(Mithracin)、マイトマイシンC(Mutamycin)、ブレオマイシン(Blenoxane)、プロカルバジン(Matulane)など)、有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル(Taxol)、ドセタキセル(Taxotere)、ビンブラスチン硫酸塩(Velban、Velsar、VLB)、ビンクリスチン硫酸塩(Oncovin、Vincasar PFS、Vincrex)、ビノレルビン硫酸塩(Navelbine)など)、クロマチン機能阻害剤(例えば、トポテカン(Camptosar)、イリノテカン(Hycamtin)、エトポシド(VP-16、VePesid、Toposar)、テニポシド(VM-26、Vumon)など)、ホルモンおよびホルモン阻害剤(例えば、ジエチルスチベストロール(Stibestrol、Stilphostrol)、エストラジオール、エストロゲン、エステル化エストロゲン(Estratab、Menest)、エストラムスチン(Emcyt)、タモキシフェン(Nolvadex)、トレミフェン(Fareston)、アナストロゾール(Arimidex)、レトロゾール(Femara)、17-OH-プロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ゴセレリン(Zoladex)、ロイプロリド(Leupron)、テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロン(Android-F、Halotestin)、フルタミド(Eulexin)、ビカルタミド(Casodex)、ニルタミド(Nilandron)など)、合成の阻害剤(例えば、アミノグルテチミド(Cytadren)、ケトコナゾール(Nizoral)など)、免疫調節剤(例えば、リツキシマブ(Rituxan)、トラスツズマブ(Herceptin)、デニロイキンジフチトクス(Ontak)、レバミソール(Ergamisol)、ガルメット・ゲラン桿菌、BCG(TheraCys、TICE BCG)、インターフェロンα-2a、α-2b(Roferon-A、Intron A)、インターロイキン-2、アルデスロイキン(ProLeukin)など)、ならびに1-アスパラギナーゼ(Elspar、Kidrolase)、ペグアスパルガーゼ(Oncaspar)、ヒドロキシウレア(Hydrea、Doxia)、ロイコボリン(Wellcovorin)、ミトタン(Lysodren)、ポルフィマー(Photofrin)、トレチノイン(Veasnoid)などのような他の作用物質が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0108】
III. 薬学的組成物
本発明の方法を行うために、本発明の1つまたは複数の活性物質(キメラ成分)が、例えば、癌を有すると診断された個体に投与される。活性物質(複数可)は、「天然」の形で、または、必要に応じて、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、誘導体などの形で投与することができるが、ただし、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、または誘導体が、本方法において薬理学的に適している、すなわち、効果的であるという条件である。活性物質の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、および他の誘導体は、合成有機化学分野の業者に知られた、および例えば、March (1992) Advanced Organic Chemistry; Reactions, Mechanisms and Structure、第4版、N.Y. Wiley-Interscienceに記載の標準手順を用いて調製することができる。
【0109】
例えば、酸付加塩は、典型的には適切な酸との反応を含む、通常の方法を用いて遊離塩基から調製される。一般的には、薬物の塩基型を、メタノールまたはエタノールなどの極性有機溶媒に溶解し、それに酸を加える。生じた塩は、沈殿するか、または弱極性溶媒の添加によって溶液から引き出すことができる。酸付加塩を調製するのに適した酸として、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など、および無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの両方が挙げられる。酸付加塩は、適切な塩基での処理によって遊離塩基へ再変換することができる。本明細書で活性物質の特に好ましい酸付加塩は、塩酸または臭化水素酸を用いて調製することができるようなハロゲン化物塩である。逆に、本発明の活性物質の塩基性塩の調製は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容される塩基を用いて同じような方法で調製される。特に好ましい塩基性塩として、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、および銅塩が挙げられる。
【0110】
エステルの調製は、典型的には、薬物の分子構造内に存在する可能性があるヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の機能付与を含む。エステルは、典型的には、遊離アルコール基、すなわち、化学式RCOOH(式中、Rはアルキル、好ましくは、低級アルキルである)のカルボン酸に由来する部分のアシル置換誘導体である。エステルは、必要に応じて、通常の水素化分解または加水分解手順を用いることによって遊離酸に再変換することができる。
【0111】
アミドおよびプロドラッグもまた、当業者に知られた、または関連文献に記載の技術を用いて調製することができる。例えば、アミドは、適切なアミン反応体を用いてエステルから調製してもよく、またはアンモニアもしくは低級アルキルアミンとの反応によって無水物もしくは酸塩化物から調製してもよい。プロドラッグは、典型的には、個体の代謝系によって改変されるまで治療的不活性である化合物を結果として生じる、部分の共有結合によって調製される。
【0112】
本明細書で同定された活性物質は、本明細書に記載の病態/適応症(例えば、アテローム性動脈硬化および/またはその症状)の1つまたは複数の予防的および/または治療的処置のための、エアロゾルによる、または経皮的などの非経口、局所、経口、経鼻(または別の方法での吸入)、直腸内、または局部投与に有用である。薬学的組成物は、投与方法に依存して様々な単位剤形で投与することができる。適切な単位剤形として、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、ロゼンジ、座剤、パッチ、スプレー式点鼻剤、注射可能物質、埋め込み型徐放性製剤、脂質複合体などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0113】
本発明の活性物質は、典型的には、薬学的に許容される担体(賦形剤)と組み合わされて、薬理学的組成物を形成する。薬学的に許容される担体は、例えば、組成物を安定化するように、または活性物質(複数可)の吸収を増加もしくは減少させるように働く1つまたは複数の生理学的に許容される化合物(複数可)を含むことができる。生理学的に許容される化合物として、例えば、グルコース、スクロース、もしくはデキストランなどの糖質、アスコルビン酸もしくはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート化剤、低分子量タンパク質、脂質などの保護および取り込みの増強剤、活性物質のクリアランスもしくは加水分解を低下させる組成物、または賦形剤もしくは他の安定剤および/もしくは緩衝剤を挙げることができる。
【0114】
他の生理学的に許容される化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤、または微生物の成長もしくは作用を防ぐのに特に有用である保存剤が挙げられる。様々な保存剤がよく知られており、それらには、例えば、フェノールおよびアスコルビン酸が挙げられる。当業者は、生理学的許容される化合物を含む薬学的に許容される担体(複数可)の選択が、例えば、活性物質(複数可)の投与経路、および活性物質(複数可)の特定の生理化学的特性に依存することは理解しているだろう。
【0115】
賦形剤は、好ましくは、無菌であり、一般的には、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、通常の周知の滅菌技術によって滅菌してもよい。
【0116】
治療的適用において、本発明の組成物は、疾患および/またはその合併症を予防し、および/または治癒させ、および/または少なくとも一部、予防し、もしくは停止させるのに十分な量で、例えば、癌を患っている、または癌のリスクがある(例えば、原発腫瘍の外科的除去後)患者に投与される。これを達成するのに適切な量が「治療有効量」と定義される。この使用に有効な量は、疾患の重症度、および患者の健康の一般的状態に依存する。組成物の単回または複数回投与が、患者が必要とし、かつ許容する用量および回数に依存して施されてもよい。いずれにしても、組成物は、患者を効果的に処置する(1つまたは複数の症状を寛解させる)のに十分な量の本発明の製剤の活性物質を供給するべきである。
【0117】
活性物質(複数可)の濃度は、大きく異なる可能性があり、選択された特定の投与様式および患者のニーズに従って、主に液量、粘度、体重などに基づいて選択される。しかしながら、濃度は、典型的には、約0.1mg/kg/日または約1mg/kg/日から約50mg/kg/日までの範囲、時にはそれ以上の用量を提供するように選択される。典型的な用量は、約3mg/kg/日から約3.5mg/kg/日まで、好ましくは約3.5mg/kg/日から約7.2mg/kg/日まで、より好ましくは約7.2mg/kg/日から約11.0mg/kg/日まで、最も好ましくは約11.0mg/kg/日から約15.0mg/kg/日までの範囲である。特定の好ましい実施形態において、用量は、約10mg/kg/日から約50mg/kg/日までの範囲である。特定の実施形態において、用量は、1日に2回、経口で与えられる約20mgから約50mgまでの範囲である。そのような用量を、特定の対象または対象群における治療計画を最適化するように変え得ることは理解されよう。
【0118】
特定の好ましい実施形態において、本発明の活性物質は、当業者によく知られた標準方法に従って経口で(例えば、錠剤によって)、または注射可能物質として投与される。他の好ましい実施形態において、そのペプチドはまた、通常の経皮的薬物送達システム、すなわち、典型的には、皮膚に貼ることができる薬物送達デバイスとして働く積層構造内に活性物質(複数可)が含まれている経皮的「パッチ」を用いて皮膚を通して送達されてもよい。そのような構造において、薬物組成物は、典型的には、層、または上部バッキング層の下にある「リザーバ」内に含まれる。この関連における用語「リザーバ」とは、最終的に皮膚の表面上への送達に利用できる多量の「活性成分(複数可)」を指すことが理解されよう。したがって、例えば、「リザーバ」として、パッチのバッキング層上の粘着剤中、または当業者に知られた様々な異なるマトリックス製剤のいずれかの中の活性成分(複数可)を挙げることができる。パッチは、単一のリザーバを含んでもよく、または複数のリザーバを含んでもよい。
【0119】
一実施形態において、リザーバは、薬物送達中、システムを皮膚に貼るように機能する薬学的に許容される接触粘着性物質のポリマーマトリックスを含む。適切な皮膚接触粘着性物質の例として、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、ポリアクリレート、ポリウレタンなどが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。あるいは、薬物含有リザーバおよび皮膚接触粘着剤は、別々の異なる層として存在し、粘着剤がリザーバの下にあり、この場合、リザーバは、上記のようなポリマーマトリックスでもよいし、液体またはハイドロゲルリザーバであってもよいし、いくつかの他の形をとってもよい。デバイスの上部表面としての役割を果たすこれらの積層におけるバッキング層は、好ましくは、「パッチ」の主要な構造要素として機能し、デバイスにその柔軟性の大部分を与える。バッキング層について選択される物質は、好ましくは、活性物質(複数可)および存在するいずれの他の物質に対しても実質的に不浸透性である。
【0120】
特定の実施形態において、血中半減期の上昇は、徐放性タンパク質「パッケージング」システムの使用によって維持することができる。そのような徐放システムは当業者によく知られている。1つの好ましい実施形態において、タンパク質およびペプチドについてのProLease(商標)生分解性ミクロスフェア送達システム(例えば、Tracy (1998) Biotechnol. Prog. 14:108頁; Johnsonら、(1996) Nature Med. 2:795頁; Herbertら、(1998) Pharmaceut. Res. 15:357頁参照)、他の作用物質を含むまたは含まない乾燥製剤として配合することができる、ポリマーマトリックス中に活性物質を含む生分解性ポリマーミクロスフェアで構成される乾燥粉末。
【0121】
ProLease(商標)ミクロスフェア製作工程は、具体的には、作用物質の完全性を維持しながら、高いカプセル化効率を達成するように設計された。工程は、(i)安定化賦形剤を含む薬物溶液をスプレー凍結乾燥することによるバルクからの凍結乾燥薬物粒子の調製、(ii)薬物-ポリマー懸濁液の調製、続いて、薬物粒子サイズを低下させるための超音波処理またはホモジナイズ、(iii)液体窒素への噴霧による凍結薬物-ポリマーミクロスフェアの生成、(iv)ポリマー溶媒のエタノールでの抽出、ならびに(v)最終の乾燥粉末生成物を生成するための濾過および真空乾燥からなる。生じた粉末は、多孔性ポリマー粒子内に均一かつきっちりと分散している固体型の活性物質を含む。工程で最も一般的に用いられるポリマーである、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)は、生体適合性かつ生分解性である。
【0122】
カプセル化は、低温(例えば、-40℃)で達成することができる。カプセル化中、タンパク質は、水の非存在下で固体状態に維持され、したがって、タンパク質の水によって引き起こされる立体構造可動性を最小限にし、反応体として水を含むタンパク質分解反応を防ぎ、タンパク質が変性を起こす可能性がある有機水溶液界面を回避する。好ましい工程は、たいていのタンパク質が不溶性である溶媒を用い、したがって、高いカプセル化効率(例えば、95%より高い)を生じる。
【0123】
別の実施形態において、溶液の1つまたは複数の成分は、例えば、希釈の準備ができた貯蔵容器(例えば、前もって測定された容量での)中、または多量の水への添加の準備ができた可溶性カプセル中の「濃縮物」として供給することができる。
【0124】
前記の製剤および投与方法は、例示するものであって、限定するものではない。本明細書に提供された教示を用いて、他の適切な製剤および投与様式を容易に考案することができることは理解されよう。
【0125】
IV. キット
特定の実施形態において、本発明は、原発性癌の処置のための、および/または補助治療においてのキットを提供する。キットは、典型的には、本発明のキメラ成分(例えば、抗HER2/neu-IFNα、抗CD20-IFN-αなど)を含む容器を含む。キメラ成分は、薬理学的に許容される賦形剤中に存在することができる。
【0126】
加えて、キットは、任意で、キメラ成分の(例えば、癌を処置するための、および/または補助治療用物質としての)使用方法を開示する使用説明書を含むことができる。使用説明書はまた、任意で、好ましい用量、禁忌などを教示してもよい。
【0127】
キットが設計される特定の適用を促進するために、キットはまた、追加の成分を含むことができる。したがって、キットは、例えば、追加として、創傷を消毒する、疼痛を低減する、包帯の付着などのための手段を含む。
【0128】
使用説明書は、典型的には、文書または印刷物を含むが、そのようなものに限定されない。そのような使用説明書を保存し、それらをエンドユーザーへ伝達することができる任意の媒体が本発明によって企図される。そのような媒体として、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。そのような媒体は、そのような使用説明書を提供するインターネットサイトへのアドレスを含んでもよい。
【0129】
(実施例)
以下の実施例は、例示するために提供されるが、主張された発明を限定するものではない。
【0130】
(実施例1)
抗Her2/neu IgG3とIFN-αの融合タンパク質は、B細胞リンパ腫に対する強力なアポトーシス活性および抗腫瘍活性を示す
本研究において、本発明者らは、C6MH3-B1の可変領域(20)を有する抗HER2/neu-IgG3およびIFN-αからなる融合タンパク質を構築し、ヒトHER2/neuを発現するマウスB細胞リンパ腫38C13(38C13/HER2)へのその効果を調べた。本発明者らは、このB細胞リンパ腫のIFN-αへの応答性を仮定して(21)、このモデルにおけるIFN-αの腫瘍へのターゲティングを評価するために選択した。IFN-αの抗体への融合は、そのインビボの半減期を有意に増加させた。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、38C13/HER2の小腫瘍および樹立腫瘍の両方のインビボでの成長を抑制するのに効果があることが見出され、有効量において全身毒性の徴候は観察されなかった。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、38C13/HER2細胞において成長を抑制し、アポトーシスを誘導した。これらの結果より、IFN-αの腫瘍特異的抗体への融合が、B細胞リンパ腫の処置に効果的な作用物質をもたらすことを示している。
【0131】
材料および方法
細胞系および培養条件
38C13は、C3H/HeNマウス由来の極めて悪性のマウスB細胞リンパ腫である。ヒトHER2/neuを発現する38C13(38C13/HER2)の構築および特徴づけは、以前に記載されている(6)。38C13および38C13/HER2の両方を、2mMのL-グルタミン、10U/mlのペニシリン、10マイクロg/mlのストレプトマイシン(GPS; Sigma-Aldrich)、および10%仔ウシ血清(Atlanta Biologicals)を追加したIMDM(Irvine Scientific)中で培養した。マウス骨髄腫P3X63Ag8.653(American Type Culture Collection)および抗HER2 IgG3-IFN-αまたはIgG3-IFN-αを発現するそれの誘導体を、10%仔ウシ血清を追加したIMDM中で成長させ、GPS. L929線維芽細胞(American Type Culture Collection)を、5%仔ウシ血清およびGPSを含むIMDM中で培養した。ヒトHER2/neuを過剰発現するマウス結腸腺癌細胞系であるCT26/HER2の構築および特徴づけは、以前に記載されている(6)。CT26/HER2を、5%仔ウシ血清およびGPSを含むIMDM中で培養した。
【0132】
プラスミド構築
抗ヒトHER2/neu scFvである、C6MH3-B1のH鎖可変領域およびL鎖可変領域を、ヒトγ3H鎖(pAH4802)およびκL鎖(pAG4622)発現ベクターへ、それぞれ挿入し(22)、それらを用いて、この特異性のキメラIgG3を作製した。抗ヒトHER2/neu-IgG3(C6MH3-B1)-IFN-α融合タンパク質を構築するために、まずPCRを用いて、BALB/cマウスのゲノムDNAからフォワードプライマー5'-CGC GGA TCC TGT GAC CTG CCT CAG ACT C-3(配列番号55)およびリバースプライマー5'-GCT CTA GAT CAT TTC TCT TCT CTC AGT CTT C-3(配列番号56)を用いるPCRによって増幅された成熟マウスIFN-α遺伝子の上流にBamH1制限酵素部位、および下流にXbaI制限酵素部位を導入した。最終PCR産物を、TAベクターにライゲーションした。シーケンシング後、生じたベクターをBamH1およびXbaIで消化し、DNA断片を遊離させ、それを、C6MH3-B1 H鎖可変領域およびCH3の末端のGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号57)ペプチドリンカーと共にIgG3定常領域を含むベクターpAH9612に挿入した。最終PCR産物、pAH9616は、抗HER2/neu-IgG3、続いて、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号57)ペプチドリンカーおよびマウスIFN-αを含んだ。
【0133】
組換えタンパク質の産生および精製
IFN-αに融合したC6MH3-B1可変領域を含むIgG3 H鎖をコードするプラスミドを、960μFd電気容量および0.2Vのパルスでのエレクトロポレーションによって、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αを産生するためにC6MH3-B1可変領域(23)を含むL鎖を発現するP3X63Ag8.653細胞へトランスフェクションするか、またはIgG3-IFN-αを産生するために非特異的L鎖(4D5; Genentech)(6)を発現するP3X63Ag8.653細胞へトランスフェクションした。抗HER2/neu(C6MH3-B1)-IgG3、抗HER2/neu(C6MH3-B1)-IgG3-IFN-α、またはIgG3-IFN-αを産生するトランスフェクタントを、以前に記載されているように(6)、選択し、特徴づけた。抗HER2/neu(C6MH3-B1)-IgG3を、Sepharose 4B fast flow(Sigma-Aldrich)上に固定化されたプロテインGを用いて培養上清から精製し、抗HER2/neu(C6MH3-B1)-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αを、Sepharose 4B fast flow(Sigma-Aldrich)上に固定化されたプロテインAを用いて培養上清から精製した。純度および完全性を、SDS-PAGEにより分離されたタンパク質のクーマシーブルー染色によって評価した。National Institute of Healthによって提供されたマウスIFN-αについての国際参照基準を用いて、融合タンパク質のIFN活性を決定した。rIFN-αについては、PBL Biomedical Laboratoriesから入手した。
【0134】
IgG3-IFN-α融合タンパク質のFPLC分析
融合タンパク質が溶液中に単量体および/または多量体として存在するのかを決定するために、内部対照を提供するための400μgのOVAと混合した100μgのIgG3-IFN-αを、PBSおよび0.5ml/分流速を用いる高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)に付属した30×1.5cm Superose 6カラムによるゲル濾過によって分析した。分子量標準を提供するために、350kDaの分子量をもつ主に二量体抗体として存在するIgA2m、および分子量150kDaのMiles IgGと分子量45kDaのOVAの混合物の同じカラムによるゲル濾過を用いた。
【0135】
HER2/neu結合活性のフローサイトメトリー分析
様々な抗HER2/neu融合タンパク質のCT26/HER2細胞との反応性を検出するために、1×106個の細胞を、10pMの融合タンパク質と4℃で1時間、インキュベートした。いくつかの実験については、融合タンパク質を、CT26/HER2細胞とのインキュベーション前に900Uのヘパリンと4℃で17時間、あらかじめインキュベートした。その後、細胞を、1/100希釈されたビオチン化ラット抗ヒトIgG(BD Biosciences)と反応させた。結合したビオチン化抗体を、1/1500希釈されたPE標識ストレプトアビジン(BD Biosciences)で検出し、細胞をFACScan(BD Biosciences)を用いるフローサイトメトリーによって分析した。
【0136】
IFN-α抗ウイルス活性
水疱性口内炎ウイルス(VSV)感染に感受性があるL-929線維芽細胞系を用いて、IFN-αの生物活性を定量化した。L-929細胞を96ウェル組織培養プレート(Falcon; BD Biosciences)に4×104個の細胞/ウェルの密度で蒔き、5%CO2雰囲気下、37℃で一晩、インキュベートした。その後、種々のIFN-α融合タンパク質または基準IFN-α(マウスIFN-αについての国際参照基準; National Institutes of Health、Bethesda、MD)の段階希釈を加え、プレートを37℃で24時間、インキュベートした。その後、4000PFUのVSVを各ウェルに加え、37℃でさらに48時間、インキュベートした。生存している接着細胞を、50μlのクリスタルバイオレット(20%エタノール中0.05%)で10分間、染色した。プレートを水で洗浄し、残存する色素を、100μlの100%メタノールの添加によって可溶化した。プレートを、ELISAリーダーを用いて595nmで読み取った。
【0137】
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの抗増殖効果についてのアッセイ
簡単には、38C13または38C13/HER2細胞を、96ウェル組織培養プレートに1.25×104個の細胞/ウェルの密度で蒔き、種々の融合タンパク質の段階希釈を加えた。その後、プレートを5%CO2雰囲気下、37℃で48時間、インキュベートした。プレートを、20μlのMTS溶液(Promega)の添加によって発色させ、ELISAリーダーを用いて490nmで分析した。増殖の阻害(パーセント)を以下のように計算した: [(ODexp-ODblank)/(ODmedium-ODblank)]×100。
【0138】
アポトーシスについてのアッセイ
簡単には、1×106個の細胞を、種々の融合タンパク質で72時間、処理した。その後、細胞を氷冷PBSで洗浄した。アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)アッセイを、Vybrant Apoptosis Assay Kit 2(Molecular Probes)を用いて製造会社により推奨された手順に従って行った。
【0139】
CFSE標識38C13/HER2腫瘍細胞の増殖
簡単には、1×106個の細胞を、2.5μM CFSE(Molecular Probes)と37℃で10分間、インキュベートした。その後、細胞を、1nMの種々の融合タンパク質で48時間、処理し、CellTrace CFSE Cell Proliferation Kit(Molecular Probes)を用いて製造会社により推奨された手順に従ってフローサイトメトリーによって分析した。
【0140】
マウス
Taconic Farmsから入手した週齢6〜8週間の雌C3H/HeNマウスを用いた。動物を、経木の寝具を含む加圧滅菌したポリカーボネート製ケージを用いる施設で飼育した。動物は、随意に食物および水を受け取った。人工光は、12/12時間の明/暗サイクル下で提供された。施設の温度は20℃であり、1時間あたり10〜15回、換気した。
【0141】
半減期
マウスrIFN-α(PBL Biomedical Laboratories)、IgG3-IFN-α、および抗HER2/neu-IgG3-IFN-αを、Iodo-Beads(Pierce)を用いる125Iで、製造会社のプロトコールに従って、10μCi/μgまでヨウ素化した。マウスに66μCiの125I標識タンパク質を腹腔内に注射した。125I標識rIFN-α、IgG3-IFN-α、または抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの注射後の様々な間隔において、残存放射能を、マウス全身カウンター(Wm. B. Johnson and Associates)を用いて測定した。
【0142】
腫瘍負荷および抗体療法
C3H/HeNマウスは1000個の38C13/HER2腫瘍細胞を皮下に受けた。処置は、腫瘍負荷後1日目、3日目、および5日目か、または12日目、13日目、および14日目かのいずれかで腹腔内注射によって施された。腫瘍を1日おきに測定し、腫瘍容積(立方ミリメートル)を以下の式を用いて近似した:[長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)]/2 (24)。皮下腫瘍の長さが15mmに達するまで、またはいずれかのマウスが苦しんでいるのが観察され、もしくは瀕死の状態であるように見えるまで、動物を観察した。これらの条件下の動物を、機関の方針に従って人道的に安楽死させた。
【0143】
ウェスタンブロット分析および抗体
簡単には、38C13/HER2細胞を、種々の融合タンパク質で示された時間、処理し、氷冷PBSで洗浄し、溶解緩衝液(0.125% Nonidet P-40、0.875% Brij 97、10mM Tris-HCl(pH 7.5)、2mM EDTA、0.15M NaCl、0.4mM Na3VO4、0.4mM NaF、1mM PMSF、2.5μMロイペプチン、および2.5μMアプロチニン)中、10分間、氷上で溶解した。細胞可溶化液を、10,000×gで4℃で10分間、清澄化した。その後、タンパク質試料を、8%SDS-PAGEゲル上での分離前に試料緩衝液中で煮沸し、ポリフッ化ビニリデン微孔性膜(Millipore)上へ移した。150mM NaCl、50mM Tris-HCl(pH 7.6; TBS)中3%BSAで室温で1時間、ブロッキングした後、ブロットを、示された一次抗体で4℃で一晩、探索した。その後、ブロットをTBS中0.05%Tween 20で室温、3回、洗浄し、HRPを結合した適切な二次抗体とインキュベートし、ペルオキシダーゼ触媒ECL検出システム(ECL; Pierce)によって検出した。ポリクローナルウサギ抗ホスホSTAT1についてはCell Signaling Technologyから入手した。ポリクローナルHRP結合ロバ抗ウサギIgGはAmersham Biosciencesから入手した。ポリクローナルウサギ抗GAPDHはAbcamから入手した。
【0144】
統計解析
インビトロ研究については両側スチューデントt検定を、動物生存曲線についてはログランク(Mantel-Cox)解析を用いて、統計解析を行った。
【0145】
結果
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの作製および特徴づけ
C6MH3-B1(20)可変領域を有する抗HER2/neu-IgG3の構築および発現は、以前に記載されている(23)。成熟マウスIFN-αのアミノ末端を、抗HER2/neu-IgG3のカルボキシル末端に、可動性[(Gly4)Ser]3(配列番号31)リンカーで隔てて、融合させた(図2A)。HER2/neu特異性を欠く同一の融合タンパク質、IgG3-IFN-αを、C6MH3-B1 L鎖を4D5(rhuMab HER2、Herceptin; Genentech)L鎖と置換することによって構築した。プロテインGを用いて培養上清から精製したタンパク質を、非還元および還元条件下でのSDS-PAGEによって分析した(図2B)。還元剤の非存在下で、抗HER2/neu-IgG3(図2B、レーン1)は、170kDaの分子量で移動し、一方、抗HER2/neu-IgG3-IFN-α(図2B、レーン2)およびIgG3-IFN-α(図2B、レーン3)は210kDaであり、2分子のマウスIFN-αが付着した完全なIgG3(図2A)について予想されるサイズである。還元剤での処理後、25kDaの分子量で移動するL鎖が、これらのタンパク質について見られる(図2B、レーン4〜6)。しかしながら、抗HER2/neu-IgG3は、60kDaの分子量をもつH鎖を有し(図2B、レーン4)、一方、IgG3-IFN-α(図2B、レーン5)および抗HER2/neu-IgG3-IFN-α(図2B、レーン6)は、予想通り、80kDaの分子量をもつH鎖を有する。レーン1(図2B)における下部のバンドは、プロテインGカラムにも結合したウシIgGである;ウシH鎖およびL鎖もまたレーン4(図2B)に見られ、より少ない程度で、レーン5および6(図2B)に見られる。FPLC分析により、IgG3-IFN-α融合タンパク質が溶液中、単量体として存在することが示された(データ示さず)。
【0146】
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αのAg結合および抗ウイルス活性
抗HER2/neu-IgG3および抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの両方が、高レベルのヒトHER2/neuを発現するCT26/HER2細胞を結合したが、IgG3-IFN-αはCT26/HER2を弱く結合した(図2C)。IL-1、IL-2、IL-6(25)、およびIFN-α(26)を含む多くのサイトカインは、ヘパリンと相互作用することが示されている。IgG3-IFN-αとCT26/HER2との間の弱い相互作用がヘパリン結合のせいであるかどうかを決定するために、タンパク質を、CT26/HER2への添加前にヘパリンとインキュベートした。ヘパリンは、IgG3-IFN-αのCT26/HER2細胞への結合を阻害したが、抗HER2/neu-IgG3および抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの結合を阻害しなかった(図2C)。
【0147】
これらの結果により、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、抗原を結合するその能力を保持するが、IgG3-IFN-αはHER2/neuを認識しないことが示された。VSV感染に感受性があるL-929線維芽細胞系を用いて、IFN-α基準と比較した、融合タンパク質のIFN-α生物活性を定量化した。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αの両方が、L-929細胞においてVSV誘発細胞傷害性に対して約2400UのIFN-α活性/μgを示したが、抗HER2/neu-IgG3は、抗ウイルス活性を示さなかった(図2D)。
【0148】
融合タンパク質のインビボ抗腫瘍活性
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αのインビボ抗腫瘍活性を測定するために、同系のマウスに1×103個の38C13/HER2腫瘍細胞を皮下に接種し、腫瘍負荷後1日目、3日目、および5日目に異なる用量のタンパク質の腹腔内投与によって処置した(図3A〜3B)。2.5μgのIgG3-IFN-αで処置されたマウスは、腫瘍成長のいくらかの退縮を示し、8匹のマウスのうちの1匹(13%)が50日後、生きていた(図3A)。しかしながら、腫瘍特異的抗体を用いるIFN-αの腫瘍へのインビボターゲティングは、その抗腫瘍効果を劇的に向上させた。2.5μg(図3A)の抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで処置された全てのマウスは、腫瘍負荷後50日目において、腫瘍がないままであり(PBS対照と比較して、p=0.0048)、処置されたマウスのいずれも毒性の徴候を示さなかった。このように、IFN-αの腫瘍細胞表面へのターゲティングは、非特異的抗体に連結したIFN-αと比較して著しい抗腫瘍活性を生じた(p=0.007)。ターゲティング化抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、より低い用量が用いられた場合も、強力な抗腫瘍活性を示し続けた。1μg(図3B)の抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで処置された8匹のマウスのうちの7匹(88%)が、50日後、腫瘍がないままであった。好対照的には、このより低い用量において、IgG3-IFN-αで処置されたマウスは、PBSで処置されたマウスと類似した腫瘍成長を示し(p=0.183)、8匹のマウスのうちの1匹のみ(13%)が生き残った。処置を5μgの3回投与まで増加させた場合、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αの両方は、腫瘍成長を阻止するのに効果があり(データ示さず)、疑う余地無く、38C13細胞がIFN-α処置に感受性がある(21、27、28)という事実を反映している。5μgの抗HER2/neu-IgG3抗体で処置されたマウスにおける腫瘍成長は、PBS対照と同じであり、抗体単独ではインビボで抗腫瘍効果を生じないことを示唆している(データ示さず)。これらの結果により、腫瘍特異的抗体によるIFN-αの腫瘍細胞へのターゲティングが、その効果を劇的に増強し得ることが示され、それは、低用量が投与された場合に最も明らかに見られた。重要なことには、この抗腫瘍活性は、いかなる明らかな毒性もなく、達成することができる。
【0149】
抗体に融合したIFN-αは、IFN-αなしと比較して、抗腫瘍活性の向上を生じる
上記のように、本発明者らは、非腫瘍特異的抗体に融合したIFN-αが抗腫瘍活性を示すことを見出した。その抗腫瘍活性を可溶性rIFN-αのそれと比較するために、マウスに1×103個の38C13/HER2腫瘍細胞を皮下に接種し、腫瘍負荷後1日目および3日目に9600U(4μg)のIgG3-IFN-αまたは9600UのrIFN-αの腹腔内投与によって処置した(図4A)。9600UのIgG3-IFN-αで処置された全てのマウスは腫瘍成長の遅延を示し、マウスの75%が、腫瘍負荷後50日目で、腫瘍がないままであった(p=0.027)。対照的に、同数のユニットのrIFN-αで処置されたマウスは、それらの腫瘍成長パターンにおいてPBS対照と統計的に異ならなかった。
【0150】
IFN-αは非常に短いインビボ半減期を有する(29)。以前の研究において、抗体のサイトカインへの融合が、それらの半減期を増加させることが示されている(6)。125I標識したrIFN-α、IgG3-IFN-α、または抗HER2/neu-IgG3-IFN-αのクリアランスを、C3H/HeNマウスにおいて調べた。マウスに66μCiの125I標識タンパク質を腹腔内に注射し、残存放射能を、マウス全身カウンターを用いて測定した。rIFN-αは迅速にクリアランスされ、約2.5時間で50%排除された(図4B)。対照的に、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αの両方は、インビボ半減期の有意な増加を示し、注射された放射能の50%の排除に約8時間を必要とした。この半減期の増加は、IFN-α融合タンパク質の抗腫瘍効力に貢献する可能性がある。したがって、IgG3抗体のIFN-αへの融合は、そのインビボ抗腫瘍活性を有意に向上させることができる。しかしながら、この抗腫瘍活性は、IFN-αを腫瘍にターゲティングすることによりさらに向上させることができ、それをより低い用量で有効にする。
【0151】
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αはインビトロで腫瘍細胞の増殖を抑制する
IFN-αは、免疫応答の活性化および腫瘍に対する直接的な細胞傷害性を含む複数の活性を有する。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αまたはIgG3-IFN-αのいずれを用いても見られる抗腫瘍効果の可能性のある機構を調べるために、腫瘍がないままであった8匹のマウス(図3A参照)に、1×103個の38C13/HER2腫瘍細胞を負荷した。驚くべきことに、全てのマウスは未処置マウスと似て、すぐに巨大腫瘍を発生した(データ示さず)。これらの結果は、低腫瘍量のこれらの実験条件下で、IFN-α融合タンパク質は防御適応免疫応答を惹起しなかったが、代わりに、IFN-α融合タンパク質の強力な抗腫瘍活性が、自然免疫系によるか、または腫瘍細胞への直接的な細胞傷害効果によるかのいずれかで媒介されることを意味している。
【0152】
IFN-α融合タンパク質が腫瘍細胞に対して直接的な細胞傷害性であるかどうかを決定するために、38C13/HER2腫瘍細胞または親の38C13腫瘍細胞を、種々のタンパク質と48時間、インキュベートし、細胞増殖をMTSアッセイを用いて測定した。抗HER2/neu-IgG3での処置は、38C13/HER2腫瘍細胞または親の38C13腫瘍細胞のいずれの増殖も有意には抑制しなかった(図5Aまたは5B)。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αの両方は38c13/HER2腫瘍細胞の増殖を抑制したが、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αがIgG3-IFN-αより効果的で、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αについて、それぞれ、10pMおよび100pMのIP50値であった(図5A)。対照的に、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αは、親の38C13腫瘍細胞に対して類似した抗増殖活性を示した。これらの結果は、IFN-α融合タンパク質が、B細胞リンパ腫38C13の増殖を直接的に抑制することができ、IFN-αの腫瘍細胞へのターゲティングがこの効果を増強したことの証拠を提供した。
【0153】
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αはインビトロで腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する
IFN-αシグナル伝達は、いくつかの腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導することができる。アポトーシスが、本発明者らが観察した抗増殖効果に寄与したかどうかを決定するために、種々のタンパク質で処理した38C13/HER2細胞を、アネキシンV親和性アッセイを用いて細胞膜の内層から外層へのホスファチジルセリンの転位置についてアッセイした(30)。破壊された細胞膜を有する細胞に入り、DNAに結合するPIによって、死細胞が染色された。PBS対照と比較して、抗HER2/neu-IgG3での処理後、死細胞(アネキシンV/PIブライト(bright)、2%)または初期アポトーシス細胞(アネキシンVブライト、3%)の数の増加はなかった(図5C)。対照的に、細胞をIgG3-IFN-αで処理した場合、死細胞(21%)および初期アポトーシス細胞(6%)の数の有意な増加があった。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αでの処理は、死細胞(33%)および初期アポトーシス細胞(16%)の数の両方のさらなる増加を生じた。これらの結果により、IFN-αが38C13/HER2腫瘍細胞のアポトーシスを誘導できること、およびIFN-αを腫瘍細胞にターゲティングすることがこの効果を顕著に増加させ得ることが示された。
【0154】
アポトーシスを誘導することに加えて、IFN-αは、腫瘍細胞の増殖を直接的に抑制することができる(31)。増殖の抑制およびアポトーシスの両方が処理された腫瘍細胞において起こっていたかどうかを決定するために、CFSE標識38C13/HER2細胞を種々のタンパク質で48時間処理し、生細胞をゲーティングし、CFSEのレベルをフローサイトメトリーによって測定した。抗HER2/neu-IgG3処理細胞(図5D、細線)におけるCFSEシグナルは、PBS処理細胞と重なり、CFSE標識直後に固定した細胞(図5D、点線)のそれより有意に低く、抗HER2/neu-IgG3は38C13/HER2の増殖を抑制しなかったことを示した。対照的に、IgG3-IFN-αは、生存する38C13/HER2細胞の増殖を有意に抑制し(図5D、太線)、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αによってIFN-αを38C13/HER2細胞にターゲティングすることが、この効果を増強した(図5D、黒色領域)。これらの結果により、抗HER2/neu-IgG3-IFN-α処理が48時間で完全な細胞死を生じなかったが、生存する細胞は増殖能力が低下したことが示された。
【0155】
IFN-α融合タンパク質は腫瘍細胞におけるSTAT1活性化を誘導する
IFN-α受容体の結合は複数のSTATタンパク質の活性化を惹起することができるが、STAT1は、IFN-α依存性シグナル伝達を媒介するにおいて必須の役割を果たしている(32)。IFN-α融合タンパク質が38C13/HER2においてIFN-αシグナル伝達を惹起するかどうか、およびIFN-αを腫瘍にターゲティングすることがこの効果を増大することを研究するために、処理後のSTAT1のリン酸化を調べた。図6A〜6Cに示されているように、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αおよびIgG3-IFN-αは、38C13/HER2において頑強なSTAT1リン酸化を惹起し、STAT1リン酸化は10分間で8倍に増加した。しかしながら、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αにより誘導されたSTAT1のリン酸化は、より長い時間、持続し、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで処理された細胞において30分間目、60分間目、および90分間目に、さらに多いSTAT1リン酸化が見られた。これらの結果により、IFN-α融合タンパク質が、38C13リンパ腫細胞においてIFN-αシグナル伝達を誘導することができ、IFN-αを腫瘍細胞にターゲティングすることがこの効果を増大することが示された。
【0156】
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは樹立腫瘍に対して強力な活性を示した
抗HER2/neu-IgG3-IFN-αが、38C13/HER2腫瘍細胞に対して強力な細胞傷害性を示したため、本発明者らは、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αが38C13/HER2樹立腫瘍に対して効果があるかどうかを調べた。同系のマウスに1×103個の38C13/HER2腫瘍細胞を皮下に接種し、腫瘍負荷後12日目、13日目、および14日目に、5μg(図7)の示されたタンパク質での処置を腹腔内に施した。12日目における平均腫瘍サイズは100mm3であり、PBSまたは10μgの抗HER2/neu-IgG3(データ示さず)での処置は腫瘍成長を抑制しなかった。5μgのIgG3-IFN-αでの処置は、腫瘍成長を抑制することにいくらかの効果を示した;しかしながら、全てのマウスは巨大腫瘍を発生し、腫瘍負荷後32日目において、それらのいずれも生き残れなかった。対照的に、5μgの抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで処置された全てのマウスは、腫瘍成長を遅らせ、8匹のマウスのうち3匹が完全な腫瘍退縮を有し、腫瘍負荷後50日目において腫瘍がないままであった(抗HER2/neu-IgG3-IFN-α対PBS、p=0.0001;抗HER2/neu-IgG3-IFN-α対IgG3-IFN-α、p=0.063)。このように、IgG3-IFN-αおよび抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの両方が抗腫瘍活性を示したが、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αが、腫瘍成長を遅らせるのにより効果的であり、完全な腫瘍退縮が、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αで処置されたマウスにおいてのみ観察された。処置用量が10μgの融合タンパク質まで増加した場合、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αかまたはIgG3-IFN-αのいずれかで処置されたほとんど全てのマウスは、完全な腫瘍退縮を有し、50日後、腫瘍がないままであった。
【0157】
10μgの融合タンパク質の3回投与での処置後に腫瘍がないままであったマウスに、50日目において、1×103個の38C13/HER2腫瘍細胞を再負荷した。全てのマウスは腫瘍がないままであった(データ示さず)。これらの結果により、より大きな樹立腫瘍が、抗体に融合したIFN-αで処置された場合、免疫記憶での適応免疫応答が、惹起されることを示唆している。
【0158】
考察
rIFN-αはB細胞リンパ腫および多発性骨髄腫に対して活性を示しているが、不定の効力および全身毒性がその有用性を制限している(33)。本研究は、IFN-αを抗体に融合させることが腫瘍に対するその効力を向上させ、IFN-αが腫瘍特異的抗体によって腫瘍細胞にターゲティングされた場合、さらなる向上が見られることを実証している。この抗腫瘍効力は、いかなる明らかな毒性もなく、観察される。これらの研究により、IFN-αの腫瘍特異的抗体との融合が、B細胞リンパ腫の処置に効果的な生物学的作用物質を生み出す可能性があることを示唆している。
【0159】
IFN-αを抗体を用いて腫瘍部位へ方向付けることが効力の向上を生じるという仮説を検証するために、本発明者らは、抗体が入手できる、一般的なTAA、HER2/neuを発現するように操作された十分特徴づけられたマウスB細胞リンパ腫を選択する。本研究において遺伝子導入により導入された外来抗原が標的であったとはいえ、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、以前に記載の免疫療法剤より38C13 B細胞リンパ腫の処置においてより効果的であるように見える。腫瘍負荷後1日目に開始した3回の1μg投与の抗HER2/neu-IgG3-IFN-αでの処置は、腫瘍負荷後1日目に開始した5日間の10μgの抗イディオタイプIgG1-IL-2融合タンパク質での処置(34)と同じくらい、腫瘍成長を抑制するのに効果的であるように見えた。加えて、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、樹立腫瘍に対して効果的であったが(図7)、抗イディオタイプIgG1-IL-2は、腫瘍負荷後3日目か7日目のいずれかで処置を開始した場合、ほとんど抗腫瘍活性はなかった(34)。樹立腫瘍を治癒させるその能力は、抗体によるターゲティング化IFN-αが、イディオタイプ抗原に融合したGM-CSF(35)、CTLA-4(36)、またはCD40リガンド(37)より強力な治療剤であることを示唆しており、それは、これらのワクチンストラテジーのいずれも樹立腫瘍に対して効果がなかったからである。それゆえに、IFN-αを腫瘍細胞にターゲティングすることは、B細胞リンパ腫を処置するための有望なアプローチであり得る。
【0160】
腫瘍特異的抗体を用いてIFN-αを腫瘍にターゲティングすることは、IFN-αの抗腫瘍効力を増加させる。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは、IgG3-IFN-αより、38C13/HER2において増殖を抑制すること、およびアポトーシスを誘導することにおいてより効果的であり(図5A〜5D)、2.5μgまたは1μgのいずれの抗HER2/neu-IgG3-IFN-αでの処理も、同用量のIgG3-IFN-αよりインビボで小腫瘍の成長を抑制するのに効果があった(図3Aおよび3B)。これらの結果より、腫瘍特異的抗体は、IFN-αを腫瘍へ向け、それにより、その治療指数を向上させ、全身毒性を減少させることが示唆される。
【0161】
際立ったことには、IgG3-IFN-αは、rIFN-αより強力な抗腫瘍活性を示す(図4A)。rIFN-αは様々な腫瘍の処置において効果的であるが(38〜40)、1つにはそのサイトカインの非常に短い半減期のため、効果的な抗腫瘍活性が認められるには、高用量での長期処置が必要とされる。この研究において、本発明者らは、IgG3抗体のIFN-αへの融合がその半減期を有意に増加させることを実証し(図4B)、この半減期の増加が融合タンパク質のインビボ抗腫瘍活性の増加に寄与している可能性がある(図4A)。加えて、IgG3-IFN-αのFc領域が、Bリンパ腫細胞上に存在するFc受容体にIFN-αをターゲットし、結果として抗腫瘍活性を増加させるのを助けている可能性がある。したがって、IFN-αのIgG3抗体への融合は、IFN-αの抗腫瘍効力を向上させるのに多数の利点を提供し得る。
【0162】
IFN-αは、免疫応答の活性化を含む複数の活性を有するが、直接的細胞傷害性が、抗HER2/neu-IgG3-IFN-αの強力な抗腫瘍活性において重要な役割を果たしているように思われる。両方のIFN-α融合タンパク質は、38C13/HER2に対してアポトーシス活性および抗増殖活性を示し、腫瘍ターゲティングはこれらの効果を有意に増加させていた(図5A〜5D)。IFN-α融合タンパク質は、小腫瘍を処置するのに非常に効果的であったが(図3Aおよび3B)、生存動物のいずれも、第二の腫瘍負荷に対して防御する免疫応答を発生させず、IFN-α融合タンパク質の直接的細胞傷害性が、腫瘍細胞を死滅させるにおいて非常に効果的であること、および腫瘍量が小さい場合、適応免疫は役割を果たしていないことを示唆した。38C13は極めて悪性のBリンパ腫細胞系であり、200個ほどの少ない細胞を注射されたマウスでも、20日以内に巨大腫瘍を発生することができるため(36)、IFN-α融合タンパク質は、接種された腫瘍細胞の大部分を死滅させるのに非常に効果的で、長期生存者をもたらすに違いない。NF-κBの下方制御(41)、カスパーゼ3を活性化することによるアポトーシスの誘導(42)、ならびにTRAILおよびTRAIL受容体の両方の上方制御(43)を含む複数の機構が、腫瘍細胞に対するIFN-α媒介性細胞傷害性に関与していることが示されており、本発明者らは、これらの機構が、抗体-IFN-α融合タンパク質を用いて見られる腫瘍細胞に対する直接的細胞傷害性に寄与すると予想している。これと一致して、本発明者らは、融合タンパク質での腫瘍細胞の処理後、STAT1活性化を観察した(図6A〜6C)。
【0163】
IFN-α融合タンパク質は、マウスに腫瘍接種後1日目に処置を開始した場合、記憶免疫応答を惹起することができなかったが、マウスに腫瘍接種後12日目に処置を開始した場合、IFN-α融合タンパク質は、第二の腫瘍負荷に対して防御する免疫応答を惹起した。それゆえに、IFN-α融合タンパク質は、大きい腫瘍量の存在下で防御適応免疫を活性化することができる。IFN-αはDC分化および成熟の刺激を介して適応免疫を活性化する能力があるため(9)、樹立腫瘍は、IFN-αの存在下でDC活性化のためにより多くのTAAを供給している可能性がある。加えて、外来抗原ヒトHER2/neuは、このモデルにおいて腫瘍細胞の免疫原性を増加させることによって抗腫瘍免疫に寄与している可能性がある。
【0164】
B細胞によって発現する抗原、CD20は、ほとんどのB細胞リンパ腫で発現しており(44)、抗CD20(リツキシマブ、Genentech)は、毒性がほとんどなく、リンパ腫に対して驚異的な効力を有する、最も成功した癌治療剤の1つである(45)。抗HER2/neu-IgG3-IFN-αは38C13/HER2に対して非常に効果的であるが、HER2/neuは通常にはリンパ腫細胞に発現しておらず、それゆえに、それはおそらく、リンパ腫の処置においては治療的適用が限られしまうが、HER2/neuを発現する癌の処置には効果的であるはずである。対照的に、IFN-αの抗CD20への融合は、抗CD20の抗リンパ腫活性とIFN-αの強力な免疫賦活性および細胞傷害活性とを1つのタンパク質に組み合わせることによってさらに強い抗腫瘍活性を有する、リンパ腫に対して効果的な融合タンパク質を生じることが予想される。さらに、IFN-αはさらに、IFN-α処置後B細胞リンパ腫を有する患者に見られたように、CD20発現を上方制御する可能性がある(46)。本発明者らは、現在、B細胞リンパ腫のマウスモデルにおいて抗CD20-IFN-α融合タンパク質の効果を研究中である。
【0165】
要約すれば、本発明者らは、IFN-αがTAAを認識する抗体に連結した新規な融合タンパク質を構築し、特徴づけた。本発明者らの結果より、IFN-αの腫瘍特異的抗体への融合が、IFN-αの効力を劇的に増加させることができ、いかなる明らかな毒性もなく抗腫瘍活性が観察されることを示している。際立ったことには、抗体-IFN-α融合タンパク質が樹立腫瘍に対して効果的であった。それゆえに、腫瘍特異的抗体に融合したIFN(例えば、IFN-α)は、B細胞リンパ腫の処置に有望である。
【0166】
(参考文献)






【0167】
(実施例2)
抗CD20-IFN-α融合タンパク質
序論
本発明者らの最初の研究により、IFN-αに連結した抗HER2/neuに関する融合タンパク質はHER2/neu発現リンパ腫の処置に効果的な治療用物質であることが示された。本発明者らは、IFN-αの抗CD20との融合がCD20発現リンパ腫を処置するための効果的な治療用物質であろうことを示すためにこれらの研究を広げることにした。CD20は、事実上全てのリンパ腫上に存在する。しかしながら、HER2/neuが多くの癌に発現していることに留意すべきであり、抗HER2/neu融合タンパク質がこれらを処置するのに効果的であろうことが予想されるであろう。抗CD20融合タンパク質において、本発明者らは、融合タンパク質におけるIFN-αが、腫瘍細胞に対して直接的な細胞傷害効果を発揮すること、および抗腫瘍免疫応答を誘発するのを助けることの両方を予想している。
【0168】
CD20に特異的な組換え抗体の産生
ヒトκ軽鎖およびγ3重鎖を有するキメラ抗体の産生のために、抗CD20(リツキシマブ)についての可変領域を増幅し、発現ベクターにクローン化した。タンパク質が産生され、CD20を認識するその能力を、フローサイトメトリーおよびヒトB細胞系Daudiを用いて調べた。図8に示されているように、組換えタンパク質は、組換えIgG1であるリツキシマブと同じくらいよく結合する。
【0169】
CD20に特異的な抗体に連結したヒトインターフェロンに関する抗体融合タンパク質の作製
a. 融合タンパク質の設計
融合タンパク質を作製する本発明者らの最初の試みにおいて、本発明者らは、(Gly4Ser)3(配列番号31)からなる可動性グリシン-セリンリンカーを用いてIFN-αをヒトIgG3遺伝子のカルボキシ末端に連結した。重鎖は図9に図式的に示されている。
【0170】
融合タンパク質ベクターが正しいヌクレオチド配列を有することを検証した後、それをキメラ抗CD20軽鎖と共にNS0細胞へトランスフェクションした。トランスフェクタントを、IgGの産生についてELISAによってスクリーニングした。最大のシグナルを与えるクローンを増殖し、サブクローニング後、ローラーボトル内で成長させた。その後、上清を、プロテインAセファロースカラムに通過させ、結合したタンパク質を溶出し、非還元および還元後の両方のSDS-PAGEによって分析した(図10参照)。単離されたタンパク質は、集合してH2L2分子を構築したが、単離されたタンパク質の大部分は予想より小さかった。還元後、重鎖の大部分は予想より小さく、融合タンパク質を欠くγ3重鎖と同じ位置に泳動した。インターフェロンはタンパク質分解によって融合タンパク質から除去されつつあるように思われた。抗Fcおよび抗インターフェロンを用いるウェスタンブロット分析により、上部バンドの両方が重鎖であるが、最大のもののみがインターフェロンを含むことが確認された。
【0171】
可動性リンカーはタンパク質分解の標的であり得る。したがって、本発明者らは、リンカーをGly4Ser(配列番号32)の1コピーのみまで短縮した。これらのベクターおよび延長したリンカーを有するベクターを、適切な軽鎖と共にHEK293T細胞へ一過性にトランスフェクションした。細胞を、35S-メチオニンにおいて成長させることによって放射標識し、免疫グロブリンをプロテインAで沈殿させ、SDS-PAGEによって分析した(図11)。延長したリンカーを有する融合タンパク質の切断は容易に明らかであるが、リンカーが1つのGly4Ser(配列番号32)のみからなる場合、切断は起こらない。したがって、融合タンパク質を作製するのに用いられるリンカーは重要であり、その安定性に影響を及ぼすことができる。
【0172】
b. 融合タンパク質によるCD20の認識
融合タンパク質がCD20を認識するかどうかを決定するために、CD20を発現するヒト細胞系DaudiをRituxan、抗DNS/IgG3-hu-IFN-α、または抗CD20/IgG3-hu-IFN-αとインキュベートした。抗CD20/IgG3-hu-IFN-αは、Rituxanより良く結合した(図12)。いずれのCD20特異的タンパク質より低かったとはいえ、抗DNS/IgG3-hu-IFN-α融合物もまたいくらかの結合を示した。本発明者らは、抗DNS/IgG3-hu-IFN-αの結合、およびRituxanと比較した抗CD20/IgG3-hu-IFN-αの結合の増強は、hu-IFN-α部分が、Daudi細胞上に発現したIFN受容体に結合するためであると仮定する。
【0173】
Timmerman研究室は、ヒトCD20を発現するマウスリンパ腫38C13のトランスフェクタントを作製した。Rituxanおよび抗CD20/IgG3-mu-IFN-αの両方がそのトランスフェクタントを結合した。抗DNS/IgG3-mu-IFN-αは結合を示さなかった(図13)。
【0174】
c. 融合タンパク質の抗ウイルス活性
hu-IFN-αタンパク質の抗ウイルス活性を評価するために、HeLa細胞を2×105個の細胞/mlで播種し、融合タンパク質またはRoferon(組換えヒトインターフェロン2a)の2倍段階希釈で24時間、処理した。その後、細胞に、4000pfu/100μlの濃度のVSV(水疱性口内炎ウイルス)を感染させた。72時間後、細胞を0.1%クリスタルバイオレットで染色した。ウイルス感染に対する防御は、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、スポット濃度計を用いて各ウェルにおける色素の量を測定することにより感染後生存している細胞を定量化することによるか、またはプラークの数をカウントすることによるかのいずれかで、決定した。両方のアッセイにおいて、融合タンパク質は、有意なIFN-α活性を有したが、Roferonと比較して約100分の1に低下していた。
【0175】
融合タンパク質でのDaudiリンパ腫細胞の成長抑制および死滅
融合タンパク質によるCD20を発現するリンパ腫細胞の成長抑制/死滅を評価するために2つの方法を用いた。これらの実験について、天然でCD20を発現するヒト細胞系、Daudiを用いたことに留意されたい。第一アプローチにおいて、Daudi細胞を、様々な濃度のIFN-α、抗体、または融合タンパク質と72時間、インキュベートし、CellTiter 96 AQueous細胞増殖アッセイを用いて成長抑制を評価した(図14)。抗ウイルスアッセイにおいてはより低いIFN-α活性を示したが、抗CD20/IgG3-hu-IFN-αおよびRoferonは、リンパ腫成長を抑制する同じような能力を示し、IFN-αをターゲットすることがその細胞傷害効果を増強することを示唆した。抗CD20/IgG3+Roferonは、Roferon単独と比較して活性の増強を示さなかった。抗DNS/IgG3-hu-IFN-α、Rituxan、および抗CD20/IgG3のみは、用いられた最高の濃度でいくらかの成長抑制を示した。融合タンパク質は、このアッセイで細胞成長を防ぐことにおいて、Rituxanより活性が高いことは注目されるべきである。
【0176】
第二アプローチにおいて、Daudi細胞を様々な濃度のIFN-α、抗体、または融合タンパク質と72時間、インキュベートし、その後、フローサイトメトリーによって分析されるアネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。10pMの様々なタンパク質を用いた場合に得られた結果が、図15に示されている。アポトーシスの初期相における細胞はアネキシンV+PI-である;後期アポトーシス細胞および死細胞はアネキシンV+PI+である。
【0177】
これらの実験はいくつかのことを実証している。Rituxanおよび抗CD20/IgG3の両方は、試験された最高濃度においてでさえも、ほとんどアポトーシスを誘導しない。予想された通り、マウスIFN-αは、ヒト組換えIFN-α(Roferon)よりヒト細胞系に対して効果が低く、腫瘍細胞を標的としないだろう抗DNS/IgG3-mIFN-αは、組換えマウスINF-αとほぼ同じくらいの効果である。しかしながら、マウスIFN-αを抗CD20/IgG3-mIFN-αを用いて腫瘍細胞にターゲティングすることが、細胞死の効果的な誘導をもたらす。抗CD20/IgG3-hIFN-αは、抗DNS/IgG3-hIFNαより効果が高く、この場合もやはり、細胞ターゲティングの細胞死滅への寄与を実証した。このインビトロアッセイにおいて、Roferonおよび抗CD20/IgG3-hIFNαは、1pMほどの低い濃度で細胞死を引き起こす同様の活性を示す(データ示さず)。しかしながら、インビボでのCD20/IgG3-hIFNαは、腫瘍の部位にターゲティングし、かつ蓄積するであろうが、Roferonは身体中にその活性を示すだろうことは、指摘されるべきである。
【0178】
融合タンパク質での38C13-CD20リンパ腫細胞の成長抑制および死滅
簡単に上記で述べられているように、John Timmerman博士の研究室では、ヒトCD20を発現し、同質遺伝子的なC3H/HeJマウス中で成長するだろう、マウスリンパ腫、38C13-CD20を開発している。この細胞系を利用できることによって、本発明者らの融合タンパク質のインビボ効力を調べることが可能になる。38C13-CD20細胞を、様々な抗体および融合タンパク質と48時間、インキュベートした。その後、アネキシンVおよびPIで細胞を染色し、フローサイトメトリーを用いてそれらを調べることによって、死滅およびアポトーシスを測定した。タンパク質を100pMの濃度で用いた場合(データ示さず)、組換えmIFN-αおよび抗CD20-IgG3-mIFN-αの両方は、アポトーシスを引き起こすのに非常に効果的であり、抗CD20-IgG3-mIFN-αが組換えmIFN-αより幾分、効果が高かった。38C13-CD20細胞を抗DNS-IgG3-mIFN-αまたはRituxanで処理することによっていくらかのアポトーシスが誘導された。この濃度での抗CD20/IgG3での処理は細胞生存率に効果を生じなかった。処理濃度を10pMまで低下させた場合(図16)、組換えmIFN-αおよび抗CD20/IgG3-mIFN-αは、アポトーシスを引き起こすのに有効であり続け、抗CD20/IgG3-mIFN-αが組換えmIFN-αより効果が高かった。抗DNS-IgG3-mIFN-αでの処理後、アポトーシスが少しだけ見られ、抗CD20-IgG3-mIFN-αを用いるIFN-αのターゲティングが、より効果的な治療剤をもたらすことを示した。この濃度でのRituxanは、ほとんどアポトーシスを引き起こさず、抗CD20-IgG3/mIFN-α融合タンパク質の非融合型抗CD20抗体に対する優位性を示した。先と同様に、抗CD20/IgG3での処理は、細胞生存率に効果を生じなかった。1pMの処理用量において、抗CD20-IgG3-mIFN-αだけが、38C13-CD20にアポトーシスを誘導した(データ示さず)。0.1pMの用量において、いずれの処理もアポトーシスを誘導しなかった(データ示さず)。
【0179】
代替のアプローチとして、38C13-CD20細胞を、異なる濃度の様々なタンパク質で処理し、MTSアッセイを用いて成長の抑制をモニターした(図17)。抗CD20/IgG3-mIFN-αが、細胞成長を抑制するのに最も効果が高く、続いて、組換えmIFN-αであった。抗DNS/IgG3-mIFN-αに関して、いくらかの成長抑制が観察された。抗CD20/IgG3およびRituxanは細胞成長にほとんど効果を生じなかった。このように、このアッセイで得られた結果は、アポトーシスをモニターした場合に観察されたものに酷似していた。
【0180】
追加のIgG-IFNα融合タンパク質の作製および特徴づけ
a. 抗CD20-IgG1-mIFNαおよび抗CD20-IgG1-hIFNα
最初のタンパク質については、IFN-αがヒトIgG3バックボーンに融合しているように作製した。RituxanはIgG1である。免疫グロブリンバックボーンが融合タンパク質の性質に影響するかどうかを決定するために、今度は、m-IFN-αおよびhu-IFN-αがIgG1に融合している融合タンパク質を作製した。それらは、予想された分子量であった。
【0181】
抗CD20/IgG1-mIFNαを、38C13-CD20のアポトーシスを誘導するその能力について評価した(図18)。その研究により、それが有効であることが示され、おそらく、IgG3融合タンパク質よりさらに効果が高い。
【0182】
抗CD20/IgG1-hIFNαを、Daudi細胞のアポトーシスを誘導するその能力について評価した。その研究により、それが抗CD20/IgG3-hIFNαと同様の活性を示すことが示された(図19)。
【0183】
図20に示されているように、融合タンパク質を、Daudi細胞の成長を抑制するそれらの能力について評価した。マウスIFNαおよびヒトIFNαのどちらに関するIgG1融合も、Daudi細胞の成長を抑制するそれらの能力においてIgG3融合と似ていた。
【0184】
b. IFN-αがαヘリックスリンカーでIgGバックボーンに連結した融合タンパク質
GlySerリンカーが、配列A(EAAAK)2A(配列番号33)を有するリンカーと置換されている融合タンパク質を作製した。この配列は、αヘリックスとして折り畳まれるよう企てられる。
【0185】
293T細胞において一過性発現によってタンパク質が産生され、SDS-PAGEによって評価した。そのタンパク質は集合し、予想された分子量であった。リンカーの切断は観察されなかった。
【0186】
Gly4Ser(配列番号32)リンカーを有する融合タンパク質と同じ濃度で用いる場合、融合タンパク質、抗CD20-IgG3-hIFNα(αヘリックスリンカー)は、Daudi細胞のアポトーシスを効果的に誘導することが見出された(図21)。
【0187】
腫瘍のインビボ処置
ヒトCD20を発現するようにTimmerman研究室によって形質導入された38C13リンパ腫をこれらの研究に用いた。38C13は、同質遺伝子的C3H/HeJマウスで成長する侵襲性リンパ腫である。形質導入体、38C13-CD20は、同じ成長特性を示す。したがって、免疫コンピテント動物において融合タンパク質媒介性防御を調べることが可能である。
【0188】
a. 初期腫瘍の処置
0日目、マウス(4匹の群)に5000個の38C13-CD20細胞を皮下注射した。1日目、2日目、および3日目、それらに、HEPES緩衝生理食塩水(HBSS)または0.4μg、2μg、もしくは10μgの抗CD20-m-IFN-αでの処置を静脈内に施し、腫瘍成長をモニターした。20日目までに、HBSSで処置された動物の全部が大きな腫瘍を有し、屠殺するほかなかった。対照的に、10μgの融合タンパク質で処置された動物において腫瘍成長は見られなかった;20日目の後、0.4μgの融合タンパク質で処置された4匹の動物のうち3匹、および2μgで処置されたマウスの1匹において腫瘍が成長し始めた。その結果より、抗CD20/IFN-α融合タンパク質が、インビボの腫瘍成長を抑制することにおいて、および生存を増加させるにおいて、非常に効果的であることが示された(例えば、図22参照)。
【0189】
b. 抗CD20-mIFNα融合タンパク質は中程度のサイズの腫瘍を処置するにおいてリツキシマブまたは抗CD20/IgG3のどちらよりも効果が高い
0日目、C3H/HeJマウスに5000個の38C13-CD20細胞を接種した。5日目、6日目、および7日目、それらを、HBSS、または10μgの抗CD20-IgG1(293T細胞で産生)、抗CD20-IgG3、リツキシマブ、もしくは抗CD20-IgG3-mIFNαで処置した。それらを、腫瘍成長および生存についてモニターした(例えば、図23参照)。抗CD20/IgG3-mIFNαは、中程度のサイズの腫瘍の成長を防ぐにおいて、リツキシマブ、抗CD20/IgG3、または抗CD20/IgG1よりずっと効果が高かった。
【0190】
融合タンパク質の腫瘍ターゲティング能力はインビボでその効力を有意に増強する
0日目、C3H/HeJマウスに5000個の38C13-CD20細胞を接種し、5日目、6日目、および7日目、10μgの抗CD20-IgG3、10μgの抗CD20-IgG3+mIFN-α(融合タンパク質内と同じモルであるように選択された用量)、抗DNS-IgG3-mIFNα、または抗CD20-IgG3-mIFNαで処置し、腫瘍成長および生存について追跡した(例えば、図24参照)。抗CD20-IgG3-IFNαは、腫瘍成長を有意に遅らせ、生存を促進し、抗体の結合部位を用いてIFNαを腫瘍にターゲティングすることが、融合したIFNαをターゲットしない融合タンパク質(抗DNS-IgG3-IFNα)、または共有結合していないIFNαと共での抗CD20の注射(抗CD20-IgG3+mIFN-α)のどちらよりもそれを効果的な治療用物質にさせることを示した。
【0191】
融合タンパク質処置は樹立腫瘍に対して効果的である
8匹のC3H/HeJマウスの群に、5000個の38C13-CD20細胞を接種し、8日目、9日目、および10日目、100μgの抗CD20-mIFNαまたはHBSSで処置した。マウスを腫瘍成長(図25参照)および生存(図26参照)についてモニターした。抗CD20-mIFNαを接種されたマウスは、生存の向上を示す(図26)。
【0192】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示を目的とするのみであること、ならびにそれらを鑑みれば、様々な改変または変化が当業者に示唆されるだろうし、それらが本出願の精神と視野内、および添付された特許請求の範囲内に含まれ得ることは、理解されている。本明細書に引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍関連抗原に結合するターゲティング部分に付着したインターフェロンを含むキメラ構築物であって、腫瘍細胞に接触すると、前記腫瘍細胞の死滅、または成長もしくは増殖の抑制をもたらすキメラ構築物。
【請求項2】
細胞表面マーカーまたは細胞会合型マーカーに結合するターゲティング部分に付着したインターフェロンを含むキメラ構築物であって、前記ターゲティング部分が、(Gly4Ser)3(配列番号31)リンカーによって前記インターフェロンに付着していない、キメラ構築物。
【請求項3】
前記インターフェロンが1型インターフェロンである、請求項1または2に記載の構築物。
【請求項4】
前記インターフェロンが2型インターフェロンである、請求項1または2に記載の構築物。
【請求項5】
前記インターフェロンがインターフェロンαである、請求項3に記載の構築物。
【請求項6】
前記インターフェロンがインターフェロンβである、請求項3に記載の構築物。
【請求項7】
前記ターゲティング部分が、腫瘍関連抗原を結合する抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項8】
前記ターゲティング部分が前記インターフェロンに化学結合している、請求項1から7のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項9】
前記ターゲティング部分がペプチドリンカーで前記インターフェロンに連結している、請求項1から7のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項10】
前記ペプチドリンカーの長さが15個未満のアミノ酸である、請求項9に記載の構築物。
【請求項11】
前記ペプチドリンカーが(Gly4Ser)3ではない、請求項9に記載の構築物。
【請求項12】
前記ペプチドリンカーがGly4Serである、請求項9に記載の構築物。
【請求項13】
組換え発現した融合タンパク質である、請求項9から12のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項14】
前記抗体が、HER3、HER2/neu、MUC-1、G250、メソテリン、gp100、チロシナーゼ、およびMAGEからなる群から選択されるマーカーを特異的に結合する、請求項7に記載の構築物。
【請求項15】
前記ターゲティング部分が、CD20を結合する抗体である、請求項14に記載の構築物。
【請求項16】
前記ターゲティング部分が、抗CD20(リツキシマブ)についての可変領域を含む一本鎖抗体である、請求項15に記載の構築物。
【請求項17】
前記ターゲティング部分が、HER2を結合する抗体である、請求項14に記載の構築物。
【請求項18】
前記抗体がC6抗体である、請求項17に記載の構築物。
【請求項19】
前記抗体がC6MH3-B1のVH CDRおよびVL CDRを含む、請求項17に記載の構築物。
【請求項20】
前記抗体がC6MH3-B1のVHドメインおよびVLドメインを含む、請求項17に記載の構築物。
【請求項21】
前記抗体が、一本鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab')2、(scFv)2、および完全IgGからなる群から選択される抗体である、請求項7に記載の構築物。
【請求項22】
前記抗体が、Rituxan、IF5、B1、1H4、CD19、B4、B43、FVS191、hLL2、LL2、RFB4、M195、HuM195、AT13/5、Herceptin、4D5、HuCC49、HUCC39ΔCH2 B72.3、12C10、IG5、H23、BM-2、BM-7、12H12、MAM-6、HMFG-1からなる群から選択される抗体である、請求項7に記載の構築物。
【請求項23】
前記抗体が、EGF受容体ファミリーのメンバーを結合する抗体である、請求項7に記載の構築物。
【請求項24】
前記抗体が、C6.5、C6ML3-9、C6MH3-B1、C6-B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7からなる群から選択される、請求項23に記載の構築物。
【請求項25】
薬学的に許容される賦形剤に請求項1から21のいずれか一項に記載の構築物を含む薬学的製剤。
【請求項26】
単位用量製剤である、請求項25に記載の薬学的製剤。
【請求項27】
非経口投与用に製剤化されている、請求項25に記載の薬学的製剤。
【請求項28】
経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、直接腫瘍投与、吸入、直腸内投与、膣内投与、経皮投与、および皮下デポー投与からなる群から選択される経路による投与用に製剤化されている、請求項25に記載の薬学的製剤。
【請求項29】
癌細胞の成長および/または増殖を抑制する方法であって、前記癌細胞を請求項1から21のいずれか一項に記載のキメラ構築物と接触させる段階を含む方法。
【請求項30】
前記癌細胞が転移細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記癌細胞が固形腫瘍内にある、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記癌細胞が乳癌細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記癌細胞がB細胞リンパ腫である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記癌細胞が、B細胞リンパ腫、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頚癌、黒色腫、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、胆道癌、小腸癌または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、精巣癌、および悪性線維性組織球腫からなる群から選択される癌によって産生される細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記接触段階が、前記キメラ成分を哺乳動物に全身性に投与する段階を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記接触段階が、前記キメラ成分を腫瘍部位に直接的に投与する段階を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記接触段階が前記キメラ成分の静脈内投与を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記癌細胞がヒトの癌細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記癌細胞が非ヒト哺乳動物の癌細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
C6一本鎖抗体または抗CD20一本鎖抗体に付着したインターフェロンを含む融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項41】
前記インターフェロンがI型インターフェロンである、請求項35に記載の核酸。
【請求項42】
前記インターフェロンがIFN-αである、請求項35に記載の核酸。
【請求項43】
前記抗体がC6MH3-B1のVH CDRおよびVL CDRを含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項44】
前記抗体がペプチドリンカーによって前記IFN-αに付着している、請求項43に記載の核酸。
【請求項45】
前記抗体がC6MH3-B1のVHドメインおよびVLドメインを含む、請求項38に記載の核酸。
【請求項46】
前記抗体が抗CD20(リツキシマブ)についての可変領域を含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項47】
前記抗体が、15個以下のアミノ酸であるペプチドリンカーによって前記IFN-αに付着している、請求項46に記載の核酸。
【請求項48】
前記抗体が、Gly4Serペプチドリンカーによって前記IFN-αに付着している、請求項46に記載の核酸。
【請求項49】
融合タンパク質を発現する核酸を含む細胞であって、請求項40から48のいずれか一項に記載の核酸を含む細胞。
【請求項50】
癌細胞の成長および/または増殖を抑制するための医薬の製造における請求項1から21のいずれか一項に記載の構築物の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C−1】
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【図1C−2】
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【図1D−1】
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【図1D−2】
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【図1E−1】
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【図1E−2】
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【図1F−1】
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【図1F−2】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1o】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2010−540453(P2010−540453A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526011(P2010−526011)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/077074
【国際公開番号】WO2009/039409
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】